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【発明の名称】 記録媒体およびその製造方法
【発明者】 【氏名】笠原 健三
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】前原 雄一郎
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】斉藤 篤志
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【要約】 【課題】本発明の目的は、薄層の最表層を有し、美観に優れた記録媒体とその製造方法を提供するものである。

【解決手段】支持体上に、少なくとも1層の下層と表層とを有する記録媒体において、該表層と、それに隣接する該下層との屈折率差の絶対値が0.05以上、該表層の平均膜厚が0.05〜2μm、表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、下記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上、2.0以下であることを特徴とする記録媒体。L値:全波長範囲の反射率を平均反射率で除した相対反射率を縦軸に、波長400nm〜700nmを均等に割り付けた値を横軸とし、反射スペクトル曲線をプロットし、波長400nm〜700nmまでの反射スペクトル曲線の軌跡の長さである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上の少なくとも一方の面側に、少なくとも1層の下層と表層とを有する記録媒体において、該表層と、それに隣接する該下層との屈折率差の絶対値が0.05以上であり、該表層の平均膜厚が0.05〜2μmであり、かつ表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、下記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上、2.0以下であることを特徴とする記録媒体。L値とは、全波長範囲の反射率を平均反射率で除した相対反射率を縦軸に、波長400nmを0、波長700nmを1とし各波長を均等に割り付けた値を横軸とし、反射スペクトル曲線をプロットし直した際の、波長400nmから波長700nmまでの反射スペクトル曲線の軌跡の長さである。
【請求項2】 支持体上の少なくとも一方の面側に、少なくとも1層の下層と表層とを有し、該下層又は表層の少なくとも1層が多孔質層である記録媒体において、該表層と、それに隣接する該下層との空隙率差の絶対値が0.1以上であり、該表層の平均膜厚が0.05〜2μmであり、かつ表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、前記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上、2.0以下であることを特徴とする記録媒体。
【請求項3】 支持体に最も近い下層が多孔質層であり、該多孔質層が平均粒子径100nm以下の無機微粒子と親水性バインダーとを主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体。
【請求項4】 前記支持体の下層に面する表面が非多孔性であり、かつ下層の一部または全部が多孔性層からなり、該多孔性層の空隙容量の総和が10〜30ml/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項5】 インクジェット記録に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項6】 前記表層が、下記有機粒子A又は有機微粒子Bを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録媒体。
有機微粒子A:SP値が18.414〜30.69(MPa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機微粒子で、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。
有機微粒子B:下記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。
【化1】

〔式中、Xは−O−または−N(R2)−を表し、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xが−O−の場合、Jは、炭素数2〜8を有する、エーテル構造またはチオエーテル構造を有しても良いアルキレン基であり、Yは、ヒドロキシル基、アルコキシル基またはカルバモイル基を表し、Xが−N(R2)−の場合、Jは、単結合または炭素数2〜8を有する、エーテル構造またはチオエーテル構造を有してもよいアルキレン基であり、Yは、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシル基またはカルバモイル基を表わす。〕
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録媒体を製造する方法であって、表層をスロットノズルスプレー塗布方法を用いて形成することを特徴とする記録媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体とその製造方法に関するものであり、詳しくは、美観に優れた記録媒体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、記録媒体の多くは、支持体とその表面に設けた構成層からなる。塗工する目的は様々であるが、概ね、記録後の品質を向上させるためであり、様々な目的効果を分離分担するため、構成層は複数の層から構成される場合が多い。
【0003】更に今日、構成層の1つとして多孔質層が注目され、多孔質層を塗設した記録媒体では、記録方法を問わず多様な用途が期待されている。特に、インクジェット記録方法の場合、多孔質層が有する空隙部にインクを吸収させることが大きな特徴であり、吸収速度が早いことにより高画質のプリントが得られる利点を有している。
【0004】多孔質層の空隙構造は、近年微細化し、多孔質層の透明度及び表面光沢度が向上したため、結果として高プリント濃度及び高光沢度等の高品質のプリントが得られ、プリント品質として従来の銀塩写真プリントと遜色のないレベルに達している。
【0005】このような微細空隙構造の多孔質層を有する記録媒体の例としては、特開平10−119423号、同10−119424号、同10−175364号、同10−193776号、同10−193776号、同10−217601号、同11−20300号、同11−106694号、同11−321079号、同11−348410号、同11−348410号、同10−178126号、同11−348409号、特開2000−27093、同2000−94830、同2000−158807、同2000−211241等に記載のものが挙げられる。
【0006】一方で、記録媒体の最表面に膜厚0.05〜2μm程度のごく薄い機能層を設ける試みがなされている。その例としては、ドット径をコントロールする層や、まだら状ムラを抑制する層、変褪色を抑制する層などが挙げられる。
【0007】このような薄膜を設けた記録媒体においては、その表面に自然光を当てた場合、時として虹色の表面外観を呈するため、記録画像の品質を低下させる要因となる。これまで、この様な虹色の外観を防止する方法としては、例えば、膜厚を厚くする方法、逆に極度に薄くする方法、あるいは設けた薄膜とそれに隣接する層との材質や密度などを一致させる方法等といった方法しかなかった。特に、膜厚や材質といった要素が重要な意味をもつ機能層においては、有効な解決手段がないのが現状である。
【0008】また、多孔質層の場合、特に、空隙率が大きな意味を持ち、多孔質層の上に薄層の多孔質層を積層する場合、例え同じ材質であってもそれぞれの空隙率が異なる場合には、同様に虹色の外観を呈するため、問題を抱えている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、薄層の最表層を有し、美観に優れた記録媒体とその製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0011】1.支持体上の少なくとも一方の面側に、少なくとも1層の下層と表層とを有する記録媒体において、該表層と、それに隣接する該下層との屈折率差の絶対値が0.05以上であり、該表層の平均膜厚が0.05〜2μmであり、かつ表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、下記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上、2.0以下であることを特徴とする記録媒体。
【0012】L値とは、全波長範囲の反射率を平均反射率で除した相対反射率を縦軸に、波長400nmを0、波長700nmを1とし各波長を均等に割り付けた値を横軸とし、反射スペクトル曲線をプロットし直した際の、波長400nmから波長700nmまでの反射スペクトル曲線の軌跡の長さである。
【0013】2.支持体上の少なくとも一方の面側に、少なくとも1層の下層と表層とを有し、該下層又は表層の少なくとも1層が多孔質層である記録媒体において、該表層と、それに隣接する該下層との空隙率差の絶対値が0.1以上であり、該表層の平均膜厚が0.05〜2μmであり、かつ表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、前記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上、2.0以下であることを特徴とする記録媒体。
【0014】3.支持体に最も近い下層が多孔質層であり、該多孔質層が平均粒子径100nm以下の無機微粒子と親水性バインダーとを主成分とすることを特徴とする前記1又は2項に記載の記録媒体。
【0015】4.前記支持体の下層に面する表面が非多孔性であり、かつ下層の一部または全部が多孔性層からなり、該多孔性層の空隙容量の総和が10〜30ml/m2であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の記録媒体。
【0016】5.インクジェット記録に用いることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の記録媒体。
【0017】6.前記表層が、前記有機粒子A又は有機微粒子Bを含有することを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項に記載の記録媒体。
【0018】7.前記1〜6項のいずれか1項に記載の記録媒体を製造する方法であって、表層をスロットノズルスプレー塗布方法を用いて形成することを特徴とする記録媒体の製造方法。
【0019】以下、本発明の詳細について説明する。請求項1に係る発明においては、支持体上の少なくとも一方の面側に、少なくとも1層の下層と表層とを有する記録媒体において、該表層と、それに隣接する該下層との屈折率差の絶対値が0.05以上であり、該表層の平均膜厚が0.05〜2μmであり、かつ表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、前記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上、2.0以下であることが特徴である。本発明において、表層に隣接する下層と、表層とで形成される界面は、必ずしも厳密な平面でなくて良いが、その粗さとしてはRa値として0〜0.5μmの範囲にあるものを本発明では界面とする。この粗さ及び膜厚などは、記録媒体の断面を電子顕微鏡観察し、得られた画像を、公知の方法に従って画像処理することによって求めることができる。
【0020】本発明においては、本発明に係る下層より表層側に位置する全ての構成層を、便宜上表層といい、表層は1層でもよく、あるいは多層からなっていても良い。また、本発明では、表層より支持体側に位置する全ての構成層を下層という。本発明においては、表層と、それに隣接する下層との屈折率差の絶対値が0.05以上であることが1つの特徴であるが、表層あるいは下層が、屈折率が同一である複数の層で構成されている場合には、それらは同一層であると定義する。
【0021】請求項2に係る発明においては、支持体上の少なくとも一方の面側に、少なくとも1層の下層と表層とを有し、該下層又は表層の少なくとも1層が多孔質層である記録媒体において該表層と、それに隣接する該下層との空隙率差の絶対値が0.1以上であり、該表層の平均膜厚が0.05〜2μmであり、かつ表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、前記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上、2.0以下であることが特徴である。
【0022】本発明において、下層あるいは表層の空隙率は、下層あるいは表層を構成する成分の体積を足しあわせ、下層あるいは表層の体積から減じた分を空隙とし、下層あるいは表層体積に対する比率として求められる。好ましい空隙率は0.1〜0.8である。特に下層については、好ましい空隙率は0.5〜0.8である。
【0023】本発明においては、表層と、それに隣接する下層との屈折率差の絶対値が0.05以上であることが1つの特徴であるが、表層あるいは下層が、空隙率が同一である複数の層で構成されている場合には、それらは同一層であると定義する。
【0024】下層あるいは表層の屈折率は、下層あるいは表層を構成する成分各々の屈折率に対し、下層あるいは表層に対する各々の体積分率を乗じたものの総和として求められる。表層あるいは下層が多孔質層である場合は、空隙も構成成分として計算に加える。例えば、多孔質層の構成成分が、屈折率1.45の無機微粒子18体積%と、屈折率1.50のポリマー10体積%と空隙が72体積%である場合、多孔質層全体の屈折率は1.45×0.18+1.50×0.1+1.00×0.72=1.13と求めることが出来る。一方、従来からの光学的測定器を用いることによっても下層あるいは表層の屈折率を求めることは可能である。本発明においては、好ましい屈折率は1.1〜2.0である。
【0025】本発明の記録媒体においては、表面を波長範囲400〜700nmで分光反射率を測定したとき、下記で規定する反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上2.0以下であることが特徴の1つである。
【0026】本発明でいうL値とは、全波長範囲の反射率を平均反射率で除した相対反射率を縦軸に、波長400nmを0、波長700nmを1とし各波長を均等に割り付けた値を横軸とし、反射スペクトル曲線をプロットし直した際の、波長400nmから波長700nmまでの反射スペクトル曲線の軌跡の長さである。
【0027】通常、0.05〜2μmの薄層を有する表面の分光反射スペクトルでは、いくつかの極大値と極小値をもった曲線となる。本発明者は、上記特性について鋭意検討を進めた結果、この極大値と極小値の振幅が大きく、また個数の多い場合に表面の均一性や美観が損なわれることが判明した。すなわち、反射スペクトル曲線のグラフ(軌跡)の長さが長いほど美観が損なわれることを見いだした。
【0028】本発明においては、この長さをL値というパラメータで計数化した。具体的には、記録媒体表面を、波長領域400〜700nmについて反射スペクトルを、2nm以下の分解能で測定する。測定箇所は1mm平方の範囲内で、10μm以上のスポット径により5点での平均測定を行ない、得られた反射スペクトル曲線について以下のデータ処理を行なう。
【0029】細かなノイズを除去するため、窓関数を用いて移動平均しスムージング処理をする。窓関数の長さは4〜10nmの範囲で行なう。全波長域での反射率データR(λ)から反射率平均値Ravを求め、相対反射率Rn(λ)=R(λ)/Ravを求める。波長λn=(λ−400)/300を横軸として、Rn(λ)をグラフの縦軸にプロットし、その曲線のλn=400〜λn=700までの軌跡の長さを求め、この長さをL値とする。本発明において、L値は1.0〜2.0であることが特徴であるが、好ましくは1.0〜1.5の範囲である。
【0030】本発明で規定するL値を有する表面特性を実現する具体的方法としては、特に制限はないが、本発明においては、最表層の形成方法として、後述スロットノズルスプレー塗布方法を用い、かつ塗布液粘度、塗布液表面張力、エアー圧力などの各種パラメータを最適化することが好ましい。
【0031】次いで、本発明に係る下層及び多孔質層について説明する。本発明に係る下層は、材質として従来公知のものから適宜選択される。
【0032】非多孔質層を構成する主成分としては水溶性ポリマー、油溶性ポリマーなどを従来公知の方法で塗工したものが考えられるが、塗工に際し有機溶剤を必要としない水溶性ポリマーが好ましい。水溶性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。または、非水溶性のポリマーを水中に分散したエマルジョンを塗工したものも好ましく、この場合のポリマーの材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、SBR、NBR、ポリテトラフルオロエチレン等が考えられる。
【0033】本発明において、下層としては、多孔質層であることが好ましい。本発明における多孔質とは、5〜200nm程度の孔径をもつ空隙を多数有することを指す。空隙同士は単独に孤立するのではなく、連続的にお互いに導通していることが好ましい。この場合の空隙径の定義としては、例えば、水銀圧入法による測定値を用いることができる。
【0034】以下、好ましい多孔質層について説明する。多孔質層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている。本発明においては、多孔質層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが、特に好ましい。
【0035】上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0036】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは多孔質層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0037】無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
【0038】本発明で用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0039】無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0040】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0041】本発明においては、インク吸収層に水溶性バインダーを用いることができる。本発明で用いることのできる水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダーは、二種以上併用することも可能である。
【0042】本発明で好ましく用いられる水溶性バインダーは、ポリビニルアルコールである。
【0043】本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0044】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0045】カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0046】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0047】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0048】アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0049】また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0050】本発明においては、染料定着剤として多価金属化合物を用いることが好ましく、本発明の目的効果を達成する範囲において、それらの化合物と共に、カチオン性ポリマーを併用することを妨げるものではない。
【0051】カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。
【0052】また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
【0053】インク吸収層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、多孔質層の空隙率、無機顔料の種類、水溶性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には、記録媒体1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0054】また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
【0055】また、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0056】多孔質層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0057】インク保持能を有する多孔質層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0058】空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0059】本発明においては、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤は、インクジェット記録媒体作製の任意の時期に添加することができ、例えば、インク吸収層形成用の塗布液中に添加しても良い。
【0060】本発明においては、インク吸収層形成後に、水溶性バインダーの硬化剤を供給する方法を単独で用いても良いが、好ましくは、上述の硬化剤をインク吸収層形成用の塗布液中に添加する方法と併用して用いることである。
【0061】本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0062】ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
【0063】硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
【0064】ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
【0065】本発明のインクジェット記録媒体のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン性、カチオン性、非イオン性、ベタイン型の各界面活性剤特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0066】インク吸収層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。
【0067】上記のような多孔質層は、特に、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。インクジェット記録方法に好ましい多孔質層の空隙容量は10〜30ml/m2である。
【0068】本発明の記録媒体における塗工層は、従来公知の塗布方法で塗設することができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、スライドビード塗布方法、カーテン塗布方法、スロットノズルスプレー塗布方法あるいは、米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等が、好ましく用いられる。
【0069】以下、最表層を塗設するのに最も好ましいスロットノズルスプレー塗布方法について説明する。
【0070】本発明において、スロットノズルスプレー塗布方法で用いるスロットノズルスプレー装置とは、塗布液を吐出する塗布液ノズル孔を塗布幅方向に複数有する。各塗布液ノズル孔は、塗布幅方向に一列に並んでいても、千鳥に並んでいてもよい。そして、前記塗布液ノズル孔に近接してガスを噴出するガスノズル孔を有し、ここから噴出されるガスを前記塗布液ノズル孔から吐出された塗布液に衝突させて液滴を形成する機構を有する。
【0071】本発明に好ましく用いることのできるスロットノズルスプレー装置としては、例えば、特開平6−170308号公報に記載されているものを適用することが可能である。特開平6−170308号公報では、このスロットノズルスプレー装置を用いて、使い捨ておむつの接着剤を繊維上に塗布する例が開示されているが、極めて高粘度の塗布液(接着剤)をスロットノズルスプレー装置の塗布液ノズル(塗布液吐出部)からファイバー状に落下させるものであり、塗布装置と基体(繊維)とが、前記ファイバー状の塗布液でつながっている。つまり、本発明の塗布方法のように不連続な液滴として基体上に付与するものではない。塗布幅にわたって設けられた複数の塗布液ノズルおのおのから平行に落下するファイバー状塗布液が、前記塗布液ノズルに近接して設けられたガスノズルから噴出されるガスにより攪乱され、垂直落下することが妨げられ、基体上のある面積範囲内でランダムに着地するのみである。ガスノズルなしでは、ファイバー状の塗布液がそのまま垂直落下することになるが、ガスノズルからガスを噴出することで、より広範囲に塗布液を分散して着地させることが可能となっているが、ラーメンを広げて載せただけのような塗布層となり、インクジェット記録媒体の例で述べたような基体全面にわたり、厳密に塗布膜厚の均一性が求められる塗布ではない。また、接着剤を塗布するものであるから、形成される塗布膜も極めて厚いものである。
【0072】また、特開平5−309310号公報に開示されるスロットノズルスプレー塗布装置も、本発明に好ましく用いることができる。特開平5−309310号公報で開示されている例は、上述の特開平6−170308号公報と同様に、ホットメルトタイプの接着剤を基体上に塗布するものである。これも極めて高粘度の塗布液(接着剤)であるために、同様に塗布液を基体表面にファイバー状に、連続的に、吐出する方法であり、厳密な膜厚均一性はなく、かつ形成する塗布膜も極めて厚膜なものである。
【0073】このようなスロットノズルスプレー装置を用いて、上述のごとく塗布幅にわたって噴霧状態の均一性を高める方法としては、塗布液の粘度を比較的低くすること、ガスノズルから噴出するガス圧を高くすることにより可能である。また、スロットノズルスプレー装置の塗布液ノズル開口端の面積を小さくすること、該開口端のピッチを狭くすることなどにより、噴霧の均一性を高めることができる。
【0074】塗布液の粘度としては、好ましくは0.1〜250mPa・s、より好ましくは0.1〜50mPa・s、さらに好ましくは0.1〜20mPa・sであり、このような低粘度の塗布液をスロットノズルスプレー装置に適用することで、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧が可能である。
【0075】また、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧を行うには、塗布液の表面張力を20〜70mN/mに調整すること、好ましくは20〜50mN/m、さらに好ましくは20〜30mN/mとすることである。
【0076】また、スロットノズルスプレー装置等を用いて、ガスを塗布液に衝突させて液滴を形成するときのガス内圧は、10kPa以上、好ましくは20kPa以上、さらに好ましくは50kPa以上とすると均一な噴霧が行い易い。ガスの流量としては、3.5CMM/m以上、好ましくは7CMM/m以上、さらに好ましくは10CMM/m以上である。
【0077】上記手段を用いて、塗布幅にわたり、連続ファイバー状ではなく、不連続な液滴状に飛散させることにより、塗布液が少量であっても、均一に、塗布液を基体上に供給できる。結果として、塗布膜厚を均一にすることができる。また、不連続な液滴の基体上への供給であって、塗布液量が少なくなるので、乾燥負荷もかからない。
【0078】本発明において用いることのできるスロットノズルスプレー塗布装置の形態として、特に制限はないが、好ましい一例を以下に示す。
【0079】図1は、スロットノズルスプレー部を含むスロットノズルスプレー装置の概略断面図である。
【0080】図1において、スロットノズルスプレー部1には、ガスポケットAを有する1対のガスノズル2と塗布液ポケットBを有する塗布液ノズル3を有している。塗布液は、ファイバー状にならず液滴を形成できる粘度(0.1〜250mPa・sが好ましい)を有する塗布液を調製釜4に入れ、ポンプ5、流量計6を経て、塗布液ポケットBに供給されて塗布液ノズル3に導かれる。一方、ガスノズル2へは、加圧空気源7より、弁8を介して、ガスポケットAに加圧空気が供給される。塗布に際しては、塗布液ノズル3より規定の塗布量となるように調製釜4より塗布液を供給すると同時に、ガスノズル2対より加圧空気を吹き付け、塗布液を液滴状にして、基体9上に噴霧、吐着させるものである。本発明の塗布方法においては、塗布液を、ファイバー状ではなく、微細な液滴として噴霧することができることが大きな特徴である。塗布液を微細な液滴として、基体9表面に供給することにより、極めて均一性の高い薄膜を、乾燥負荷なく、高速で形成することができる。
【0081】次に、図2を用いて、スロットノズルスプレー部とそこで形成される液滴の形成及び飛翔状態を説明する。
【0082】図2において、塗布液ノズル3より吐出された塗布液は、塗布液ノズル3の両サイドに近接して設けられたガスノズル2より供給される圧縮空気により、細分化、液滴化され球形に近い液滴粒子10となり、飛翔し、基体9表面に均一に着弾する。図2では、基体9は、支持体9a上にインク吸収層9bを下層として塗布したモデルで示してある。基体9上に着地する塗布液の液滴の面積範囲は、常に均一であることが好ましいが、特に、搬送方向における長さ(図中、落下長さと記載)が塗布幅にわたって均一であることが好ましい。また、塗布液ノズル3の開口端を基点として基体に対し、噴霧される液滴群の広がり角度θは、塗布幅にわたって均一であることが好ましい。
【0083】本発明の記録媒体における最表層に関しては、様々な機能を付与することができ、その形成い用いる構成、素材、機能等について特に制限はない。
【0084】本発明において好ましい最表層として、以下に述べる機能を持つ層が例示できる。
【0085】本発明者は、鋭意検討の結果、インクジェット記録に見られる変褪色の防止に対しては、インク印字部分の吸収速度がインク印字前の吸収速度に比べて遅くなることが好ましいことを見いだした。インク印字後に吸収速度の低下を発現させる具体的方法として、例えば、インク印字前に存在した空隙が、インク印字後に、1.空隙でなくなる、2.空隙の数が減少する、3.空隙径が縮小する等が挙げられる。
【0086】本発明においては、空隙の数が減少することが好ましく、空隙径分布のうち0.01〜1μmに存在する最大ピーク高さが40%以下になることが好ましい。また、空隙の径が縮小することも好ましく、空隙径分布のうち0.01〜1μmに存在する最大ピークを空隙径とした場合に、記録前後でその空隙径の値が60%以下に縮小することが好ましい。最も好ましいのは、記録後に記録部分表面の電子顕微鏡観察をした場合に空隙が観察されない状態である。
【0087】更なる鋭意検討の結果、上記のような印字後の空隙形態変化を実現する具体的手段として、水溶性有機溶媒に可溶な有機微粒子を用いることが非常に有効であることを見いだした。
【0088】インクが記録媒体に付与された後、インク中の水分は次第に蒸発するが、インクに含まれる水溶性有機溶媒の蒸発は一般に遅く、記録媒体に残留する液体として、水溶性有機溶媒の比率は次第に高くなる。この結果、水に不溶で、かつこれらの水溶性有機溶媒に可溶の物質は、インクの乾燥とともに次第に溶解を開始する。すなわち、インク中の水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する有機微粒子を含有する最表層を塗設した記録媒体を用いてインクジェット記録を行なうと、インクの乾燥後に有機微粒子が一部又は全部溶解、或いは膨潤することによって、空隙を塞いだり、空隙径を縮小させることができる。このような構成からなる層は空隙率が低く、インク吸収速度がやや遅いため、2μm以上の厚膜層にするとはできない。
【0089】本発明においては、上記特性を発現する方法として、下層より上側に位置する表層に、下記有機粒子A又は有機微粒子Bを含有することが好ましい。
【0090】本発明に係る有機微粒子Aとは、SP値が18.414〜30.69(MPa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機微粒子で、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子と定義する。
【0091】本発明でいうSP(Solubility Parameter)値とは、溶解度パラメーターのことであり、物質の溶解性を予測するための一つの有用な尺度である。SP値の単位は(MPa)1/2で表され、25℃における値を指す。
【0092】有機溶媒のSP値に関しては、例えば、「POLYMER HANDBOOK」(J.Brandrup他、 A Wiley−intersciencePublication)のIV−337頁に記載されている他、各種の文献などに掲載されている。
【0093】本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒(括弧内に、代表的なSP値を示す)の例としては、アルコール類(例えば、ブタノール(23.3)、イソブタノール(21.5)、セカンダリーブタノール(22.1)、ターシャリーブタノール(21.7)、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール(23.3)、ベンジルアルコール(24.8)等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール(29.9)、ジエチレングリコール(24.8)、トリエチレングリコール(21.9)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(25.8)、ジプロピレングリコール(20.5)、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール(21.1)、ペンタンジオール、グリセリン(33.8)、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(23.3)、エチレングリコールモノエチルエーテル(21.5)、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(17.6)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(23.3)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン(25.2)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。
【0094】本発明において、特に好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、複素環類であり、これらから2〜3種選ばれるのが好ましい。
【0095】本発明に係るSP値が18.414〜30.69の範囲の水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエタノールアミン、2−ピロリドン等が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値19.437、沸点230℃)である。
【0096】本発明に係る水溶性有機溶媒は、沸点が120℃以上のものが選ばれる。沸点の上限は特に限定されないが、融点が30℃以下のものが好ましい。
【0097】本発明に係る有機微粒子Aは、SP値が18.414〜30.69(MPa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の上記水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機微粒子であり、かつガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、平均粒子径が100nm以下であることが特徴であり、重量平均分子量としては5000以上の高分子が好ましく、その材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、SBR、NBR、ポリテトラフルオロエチレン、クロロプレン、タンパク質、多糖類、ロジンエステル、セラック樹脂等、従来公知のものから選ばれる。特に好ましい有機微粒子Aの材質は、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、SBR等であり、変成や共重合によって2種以上の単量体からなる樹脂も好ましく用いられ、樹脂に対して特定の修飾基を付加したものや脱離基を除いたものでもよく、2種以上の材質を混合して有機微粒子を形成してもよく、更には2種類以上の有機微粒子を混合して用いてもよい。
【0098】本発明でいう「有機溶媒により溶解する」とは、有機微粒子Aとインク中の水溶性有機溶媒が平衡状態で単一の相をなすことを指し、「有機溶媒により膨潤する」とは有機微粒子Aが同水溶性有機溶媒を吸収して体積を増加させることを言う。膨潤したときの好ましい体積増加率は2〜8倍である。
【0099】本発明に係る有機微粒子Aは、インクジェット記録中で溶解しないために、水に不溶でなければならない。ただし、インク吸収速度を妨げない範囲で水を吸収することは許される。有機微粒子Aの質量に対し20質量%までの水の吸収をしてもよい。また、本発明に係る有機微粒子Aは、顔料インクによるプリント後、該有機微粒子A含有層が軟化する程度の量含まれれば足りるが、好ましくは層中の固形分に対し質量比で50%以上であり、より好ましくは75%以上である。
【0100】また、本発明に係る有機微粒子Aには、水溶性有機溶媒に対する溶解や膨潤に支障のない範囲で架橋剤を使用してもよい。本発明において、架橋剤としては有機物・無機物を問わず、従来公知の架橋剤を適宜選択して用いることができる。
【0101】本発明に係る有機微粒子Aの平均粒子径は、記録用紙の表面光沢に大きく影響する。本発明においては、100nm以下であることが1つの特徴ではあるが、好ましい平均粒子径は1〜100nmであり、より好ましくは5〜100nmである。有機微粒子Aの平均粒子径が5〜100nmであると、プリント部と非プリント部の光沢度差を小さくするという本発明の効果に大きく寄与することができる。平均粒子径の測定法としては、例えば、有機微粒子含有層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、多数個の任意の有機微粒子Aの粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求める方法がある。なお、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。又は別の方法としては、有機微粒子Aを適当な分散媒に分散させ、レーザー回折散乱式粒度分布測定によって粒径を求めることもできる。本発明に係る有機微粒子Aの形状は、真球形である必要はなく、針状でも板状でもよい。粒径は、体積から球換算で求められる。
【0102】次いで、本発明に係る有機微粒子Bについて説明する。本発明でいう有機微粒子Bとは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子と定義する。
【0103】前記一般式(1)で表される繰り返し単位の詳細について、以下説明する。本発明の目的効果を好ましく発現せしめる観点から、有機微粒子Bとして、前記一般式(1)で表される繰り返し単位は親水性を有することが好ましく、具体的には、下記に示すアクリル系単量体、アクリルアミド系単量体及び/またはメタクリルアミド系単量体等の親水性単量体を重合させて得ることができるが、本発明ではこれらに限定されない。
【0104】
【化2】

【0105】
【化3】

【0106】
【化4】

【0107】前記一般式(1)で表される繰り返し単位に親水性を付与しているのは、前記一般式(1)を形成する、X、J及び置換基Y等の各々の部分構造であるが、本発明においては、置換基Yにより親水性が付与されることが好ましい。
【0108】また、前記一般式(1)で表される繰り返し単位に親水性を付与する為に用いられる置換基としては、『薬物の構造活性相関(ドラッグデザインと作用機作への指針)』(化学の領域増刊122号)構造活性相関懇話会編、南江堂(1980)、p96〜103に記載のような、疎水性パラメータ(π)が負の置換基等を用いることができる。
【0109】本発明に係る有機微粒子Bは、前記一般式(1)で表されるような特定の繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上もつことが必要であるが、10質量%以上含有することが好ましい。
【0110】また、有機微粒子B自体としては、親水性ではあっても水溶性ではないことが好ましいので、10〜50質量%未満の範囲の含有率に調整されることが好ましい。
【0111】以下、本発明に係る有微微粒子Bの構成成分として用いられる、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0112】
【化5】

【0113】
【化6】

【0114】一方、有機微粒子Bを構成するポリマーの他の単量体成分としては、エチレン性不飽和基を有する従来公知の任意のものが選ばれる。これらは、単一の種類であっても、複数種類であっても良い。このような単量体の例としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステルまたはアルキルアミド等であり、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、または、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、または、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジブチルアミノメチルアクリレート、ジヘキシルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、(t−ブチル)アミノエチルアクリレート、ジイソヘキシルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノプロピルアクリレート、ジ(t−ブチル)アミノヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらのうち好ましく用いられるのは、スチレン、メチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレートである。
【0115】本発明に係る有機微粒子Bは、水系エマルジョンとして調製し、塗布液を構成することが好ましく、その場合のエマルジョン粒子のイオン性は塗布液と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、有機微粒子Bを含有する層の塗布液のイオン性は、他の層の塗布液のイオン性と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、最も好ましいのは有機微粒子Bと塗布液全てのイオン性がカチオン性または非イオン性であることである。
【0116】通常、インクジェット記録用紙は、室温下で使用されるが、使用前の保存状態は必ずしも室温とは限らず、特に、夏場の密閉された車中では非常に高温状態となるため、そのような環境を経た後でも支障なく使用できることが望まれる。このため、有機微粒子Bのガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが必要であるが、好ましくは、80℃以上であり、更に好ましくは、90℃〜120℃である。
【0117】前述の有機微粒子A及び有機微粒子Bのガラス転移温度(Tg)が70℃未満の場合には、加熱による有機微粒子の融着を生じやすくなり、その結果として、記録用紙表面の空隙が縮小または減少し、インク吸収速度の低減が起こりやすくなる。
【0118】ここで、本発明に係る有機微粒子の構成成分であるポリマーのTgは、共重合成分としての単量体単独重合体のTgおよび単量体組成比から質量分率によって計算で求めることが可能である。例えば、スチレン(単独重合体Tg=100℃=373K):n−ブチルアクリレート(単独重合体Tg=−54℃=219K)が4:1(質量比)の組成からなるポリマーのTgとしては、1/((1/373K)×4/5+(1/219K)×1/5)=327K(=54℃)と求められる。単量体単独重合体のTgについては、POLYMER HANDBOOK (A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に多数の測定値が掲載されている。
【0119】また、有機微粒子Bの平均粒子径は100nm以下であることが必要であるが、好ましくは60nm以下であり、更に好ましくは、20〜40nmであり、本発明に係る有機微粒子Bは、従来公知の乳化重合法等により水中で合成されることが好ましい。その粒子径は、乳化剤の種類や量、単量体成分を調節するなど従来公知の手法により上述の20nm程度から100nm程度までの範囲になるように調節することが可能である。
【0120】本発明の効果を顕著に奏するために、インク吸収層の表面に配置する表層として、有機微粒子A又はBの含有率は50〜90質量%であることが好ましいが、該表層中での有機微粒子同士の融着を効果的に防止し、インク吸収速度を更に高める観点から、後述するインク吸収層で用いるのと同様の無機微粒子を含有しても良い。
【0121】本発明のインクジェット記録用紙は、前記有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有する表層を有していることが好ましいが、本発明でいう表層とは、最表面層に限定されることはなく、本発明の効果が発現する構成であれば、特に限定されるものではない。
【0122】本発明でいう表層を明示するための好ましい構成例を以下に列挙するが、本発明に係る層構成は、これらにのみ限定されるものではない。
【0123】1:支持体上に1層以上の下層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている表層が最表層である構成2:支持体上に1層以上の下層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている表層を設け、更にその上に、表面物性の改良を目的とした薄層を設けた構成3:支持体上に1層以上の下層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている表層を設け、更にその上に、有害光をカットする目的で、紫外線吸収機能を有する薄層を設けた構成4:支持体上に1層以上の下層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている表層を設け、更にその上に、マット剤を含む層を設けた構成5:支持体上に1層以上の下層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている表層を設け、更にその上に、剥離可能な層を設けた構成。
【0124】上記に記載の構成例の内で最も好ましい構成は、本発明の効果を最も発揮できる1項に係る有機微粒子A又は有機微粒子Bの含有層が最表層である場合である。
【0125】本発明に係る有機微粒子A又は有機微粒子Bを含む表層には、後述するインク吸収層で用いるのと同様の無機微粒子、バインダー成分等を含んでも良い。
【0126】本発明においては、表層及び後述の多孔質層の少なくとも1層が、多価金属元素を含む化合物を含有することが好ましい。
【0127】好ましい最表層の形態の他の例として、ドット径コントロール層が挙げられる。インクジェット記録媒体の最表層に平均粒子径20〜70nmのコロイダルシリカを主成分として含有する薄層を設けることによって、ドット径を10%程度拡大させることができる。このような構成からなる層は空隙率が低く、インク吸収速度がやや遅いため、2μm以上の厚膜層にするとは好ましくない。
【0128】好ましい最表層の形態の他の例は、まだらを抑制する層である。通常の多孔質層に比べ極端にバインダー含有量の少ない薄層を最表層に設けることによって、インクジェット記録後の画像のまだらを抑制することができる。このような構成からなる層はひび割れやすく、2μm以上の厚膜層にすることはできない。
【0129】その他本発明の記録媒体の好ましい最表層として、紫外線透過性、酸素(その他ガス)透過性、表面耐擦性、耐キズ性、スベリ性、染料定着性、顔料定着性、接着性、被接着性、剥離性、耐結露性、撥水性、耐水性、耐火性、耐ホコリ付着性などをコントロールするためのものが考えられる。
【0130】本発明の記録媒体の各構成層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン性、カチオン性、非イオン性、ベタイン型の各界面活性剤特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0131】本発明で用いることのできる支持体としては、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。すなわち、吸水性支持体の場合よりも非吸水性支持体の場合の方が、記録用紙中に顔料インク中の水溶性有機溶媒が多量に残留し、有機微粒子溶解等に対し効果的に作用するため、本発明の効果を顕著に奏することができると推定している。尚、正確には、「インク中の水溶性有機溶媒を吸収しない支持体」を使用するのが好ましいのであるが、ここでは非吸水性支持体を用いても、本発明の効果を顕著に奏することができると考えている。
【0132】本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に、紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0133】上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
【0134】紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
【0135】本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体及び不透明支持体がある。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用として使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
【0136】また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0137】前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0138】本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
【0139】そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。
【0140】上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0141】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長は、JIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0142】原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0143】原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。また、原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良い。
【0144】原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0145】原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0146】特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0147】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、またポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
【0148】本発明の記録用紙の空隙層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種のインク吸収層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ませる同時重層塗布方法が好ましい。
【0149】塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0150】本発明のインクジェット記録用紙を用いた画像記録においては、水性インクを用いる記録方法が好ましい。
【0151】本発明でいう水性インクとは、下記の着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体を意味する。
【0152】本発明で用いることのできる着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素等の水溶性染料又は水分散性顔料を使用することができる。中でも、特に好ましい着色剤は、フタロシアニン系の染料をシアン染料として用いたインクである。フタロシアニン系染料は、シアン系染料の中でも特に広く知られ、かつ用いられているものである。
【0153】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。
【0154】これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。
【0155】その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤などが挙げられる。
【0156】水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするため、20℃において25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有することが好ましい。
【0157】本発明の記録媒体を用いることのできる記録方式としては、特に制限はないが、好ましくは、インクジェット記録用の記録媒体、電子写真方式で用いる記録媒体、感熱転写材料、銀塩写真材料、オフセット印刷材料等の美観が重要な要素となる最終鑑賞用の記録媒体として用いることができる。
【0158】その一例として、インクジェット記録用の記録媒体として用いる場合には、用いられるプリンターとしては、記録媒体収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するインクジェット用プリンターや、ロール状の記録媒体収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであることが好ましい。使用するインクジェットプリントヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0159】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。尚、実施例中で「%」は特に断りのない限り質量%を示す。
【0160】《記録媒体の作製》
〔記録媒体1の作製〕
(分散液1の調製)カチオン性ポリマー(P1)の15%水溶液100gに、一次粒子の平均粒子径が12nmの微粒子シリカ(トクヤマ製、QS−20)の25%水分散液500g、ついで硼酸3.0g、ホウ砂0.7gを添加し、高速ホモジナイザーで分散し、青白色澄明な分散液1を得た。
【0161】
【化7】

【0162】(塗布液1の調製)上記調製した分散液1を45℃に昇温し、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA203)の10%水溶液及びポリビニルアルコール(クラレ製、PVA245)の6%水溶液をそれぞれ45℃に昇温した後に添加した。次いで、45℃の純水を加えて液量を調整して、半透明状の塗布液1を得た。
【0163】(塗布)両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚み230μm)上に、ワイヤーバーを用いて上記塗布液1を塗布、乾燥して、記録媒体1を作製した。記録媒体1の下層における各成分の付量は以下の通りで、乾燥膜厚は35μmである。
【0164】
微粒子シリカ 15g/m2 カチオン性ポリマー(P1) 2.2g/m2 ポリビニルアルコール 2.3g/m2上記組成により計算される記録媒体1の下層の空隙率は0.68、屈折率は1.15である。
【0165】〔記録媒体2の作製〕上記記録媒体1の作製において、下層における各成分の付量を以下の様に変更した塗布液2を用いた以外は同様にして、記録媒体2を作製した。乾燥膜厚は35μmである。
【0166】
シリカ 15g/m2 カチオン性ポリマー(P1) 2.2g/m2 ポリビニルアルコール 4.5g/m2上記組成により計算される記録媒体2の下層の空隙率は0.61、屈折率は1.19である。
【0167】〔記録媒体3〜11の作製〕
(有機微粒子エマルジョン1の調製)n−ブチルアクリレート:スチレン:2−ヒドロキシエチルメタクリレート:t−ブチルメタクリレート=10:50:20:20(質量比)のモノマーを用い乳化重合して、有機微粒子エマルジョン1を合成した。用いた活性剤はステアリルトリメチルアンモニウムクロライドである。Tgは76℃、レーザー散乱法で得られたエマルジョンの粒子径は30nmであった。
【0168】(塗布液3の調製)前記調製した分散液1、有機微粒子エマルジョン1、アクリル系エマルジョン(粒子径30nm、非イオン性界面活性剤使用、Tg=−30℃)及び水からなる塗布液3を調製した。
【0169】(塗布液4の調製)前記調製した分散液1、ポリビニルアルコール(クラレ製 PVA235)、コロイダルシリカ(日産化学製 スノーテックスO)及び水からなる塗布液4を調製した。
【0170】(塗布液5の調製)前記調製した分散液1、ポリビニルアルコール(クラレ製 PVA235)及び水からなる塗布液5を調製した。
【0171】(記録媒体3〜11の作製)上記調製した塗布液3、4を、以下の塗布方法により記録媒体1上に塗布して、記録媒体3〜8を作製した。次いで、上記調製した塗布液5を、以下の塗布方法により記録媒体2上に塗布して、記録媒体9〜11を作製した。
【0172】〈塗布方法1:スロットノズルスプレー塗布方法〉エア圧力:3×104Paウェット塗布量:10〜20g/m2〈塗布方法2:スライドホッパー塗布方法〉ウェット塗布膜厚:25μm(20〜30μm)
塗布速度:150m/min以上ビード減圧度:300Pa(200〜400Pa)
〈塗布方法3:ワイヤーバー塗布方法〉記録媒体3〜11における各塗布液と塗布方法との組み合わせを表1に示す。
【0173】
【表1】

【0174】なお、同一の塗布液を用いた下層の平均乾燥膜厚及び固形分の付量は同一であり、各素材の構成及び付量、平均乾燥膜厚及び計算される空隙率、屈折率を表2に示す。
【0175】
【表2】

【0176】〔各有機微粒子の溶解性試験〕上記記録媒体3〜5の作製に使用した有機微粒子エマルジョン1を、ジエチレングリコールモノブチルエーテル〔SP値19.437(MPa)1/2、沸点230℃〕と室温で混合した結果、全て溶解した。
【0177】〔処理A後の記録媒体の表面及び断面の電子顕微鏡観察〕記録媒体1〜5に下記処理Aを施した部分の電子顕微鏡による表面・断面の観察を行ったところ、記録媒体3〜5は、有機微粒子が溶解または膨潤することにより互いに融着している状態が観察された。
【0178】〈処理A〉ジエチレングリコールモノブチルエーテル〔SP値19.437(MPa)1/2、沸点230℃〕の20%水溶液を、記録媒体1〜5の表面に均一にスプレー塗布した。塗布量は20ml/m2であった。次いで、この部分を23℃、55%RHの環境下で1時間乾燥させた。
【0179】《記録媒体の評価》
(インク液の調製)以下の組成からなるシアンインク液を作製した。
【0180】
水 68.5部 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12部 ジエチレングリコール 10部 グリセリン 8部 C.I.Direct Blue 86 1部 界面活性剤(信越化学製 サーフィノール465) 0.5部(インクジェット画像印字)上記インクを搭載したインクジェットプリンタMJ−800C(セイコーエプソン(株)製)を用いて、記録媒体1〜11に各色ベタ画像及び離散的なドットパターンを印字した。インク吐出量は12ml/m2であった。この画像を23℃・55%RHの環境下で1時間乾燥させた。
【0181】(乾燥膜厚の測定)上記作製した記録媒体3〜11について、電子顕微鏡を用いて断面観察し、下層(塗布液1、2)および表層(塗布液3〜11)の平均乾燥膜厚を測定した。
【0182】(L値の測定)大塚電子(株)製FE−3000を用い、記録媒体3〜11の表面について反射スペクトルを測定した。
【0183】測定スポット径:約10μm波長分解能:約1.6nm1mm角の範囲のおよそ中央、右上隅、右下隅、左上隅、左下隅の5点について各1回測定し、5点の測定を平均化した。測定データは隣り合う5点(約8nmの窓関数)で平均したスムージング処理を行ない、400〜700nmの範囲にあるデータの平均値でそれぞれのデータを除し規格化した。400〜700nmの範囲にあるi番目のデータの規格化反射率をRn(i)、i番目の波長をλ(i)、λn(i)=(λ(i)−400)/300として、L=Σ((Rn(i)−Rn(i+1))2+(λn(i)−λn(i+1))20.5ただし400≦λ(i)≦700、400≦λ(i+1)≦700の式によりL値を求めた。
【0184】反射スペクトル曲線の一例として、図3の(a)、(b)に記録媒体3、4のRn(λn)のグラフを示す。
【0185】(虹ムラ:美観の評価)記録媒体3〜11の未記録部分の表面を目視判定し、以下の基準に則って虹ムラの評価を行い、得られた結果を表3〜5に示す。
【0186】
○:30cmの観察距離でも虹ムラが認められない△:60cmの観察距離では虹ムラが認められない×:60cm以上の観察距離でも虹ムラが明らかに認められる実用上問題がないレベルは○、△である。
【0187】(変褪色耐性の評価)上記作製した記録媒体1及び記録媒体3〜5について、シアンのベタ印字画像部を、オフィス室内の窓際に貼り、外気流が曝露されるが直射日光の当たらない環境に6ヶ月放置した。放置前後のプリント部の反射濃度を赤色の単色光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を求め、これを変褪色耐性の尺度とした。得られた結果を表3に示す。
【0188】濃度残存率=(6ヶ月放置後の濃度/放置前の濃度)×100(%)
(ドット径拡大率の測定)記録媒体1及び6〜8について、印字した離散的なドットパターンを、光学顕微鏡観察及び画像処理によってドット径を測定した。ドット径は、同面積の真円に換算した10個のドットのサンプリングから平均した値を求め、記録媒体1のドット径に対する拡がりの程度を、ドット径平均値/基準ドット径×100(%)により求め、これをドット径拡大率とし、得られた結果を表4に示す。
【0189】(まだら状ムラの評価)記録媒体1及び9〜11のベタ画像記録部を目視観察し、下記の基準に則りまだら状ムラの評価を行い、得られた結果を表5に示す。
【0190】
○:30cmの観察距離でまだら状ムラが認められない△:60cmの観察距離ではまだら状ムラが認められない×:60cm以上の観察距離でも、明らかにまだら状ムラが認められる実用上問題がないレベルは○、△である。
【0191】
【表3】

【0192】
【表4】

【0193】
【表5】

【0194】表3〜5より明らかなように、表層と、それに隣接する下層との屈折率差の絶対値が0.05以上であること、あるいは表層と、それに隣接する下層との空隙率差が0.1以上で、表面の平均膜厚が0.05〜2μmで、かつ表面の反射スペクトル曲線のパラメータL値が1.0以上2.0以下である本発明の記録媒体は、比較例に対して、表面での虹ムラの発生がなく、かつ変褪色性、ドットの拡がり、あるいはまだら状ムラの発生が低減され、美観に優れていることが分かる。
【0195】
【発明の効果】本発明により、薄層の表層を有し、美観に優れた記録媒体とその製造方法を提供することができた。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番1号
【出願日】 平成14年5月13日(2002.5.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−326836(P2003−326836A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−136804(P2002−136804)