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【発明の名称】 水性分散液の分散方法およびインクジェット記録材料
【発明者】 【氏名】坂井 智彦
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】遠藤 喜芳
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】間宮 周雄
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】菊地 雅子
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【要約】 【課題】分散質が高濃度で生産性が優れる水性分散液を、分散性が良好に玉の発生残留も改良して安定に分散作製できるインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法、および該分散方法により作製した水性分散液を用いて作製したインク受容層用の塗布液をインク受容層として塗設した塗膜故障やひび割れが改良されたインクジェット記録材料を提供する。

【解決手段】分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、かつ後分散機での分散時の分散質の濃度が前分散機での分散時の分散質の濃度未満であることを特徴とするインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、かつ後分散機での分散時の分散質の濃度が前分散機での分散時の分散質の濃度未満であることを特徴とするインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項2】 分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、かつ分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液を冷却することを特徴とするインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項3】 前記分散質が無機微粒子であることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項4】 前記無機微粒子が微粒子シリカであることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項5】 前記水性媒体が、少なくとも親水性バインダー、硬膜剤、低級アルコール、水を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項6】 前記親水性バインダーがカチオン性ポリマーであることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項7】 分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液を冷却することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項8】 前記冷却することが、冷却装置及び冷却した希釈液を注入することから選ばれる少なくとも1つにより冷却することであることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項9】 前記2〜10基直列に使用する分散機が、第1番目の分散機が遠心方式の分散機であり、第2番目の分散機が遠心方式の分散機であり、第3番目の分散機がメディア型分散機であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項10】 前記水性分散液の第1回目水性分散液の分散質(シリカ)濃度が20〜30質量%であり、最終仕上がり水性分散液の分散質(シリカ)濃度が18〜28質量%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法により作製した水性分散液を用いて調製したインク受容層用の塗布液をインク受容層として塗設したことを特徴とするインクジェット記録材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用水性分散液の分散方法および該分散方法により作製した水性分散液を用いて作製した塗布液を塗設したインクジェット記録材料に関するものであり、詳しくは、インクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法、および該分散方法により作製した水性分散液を用いて作製したインク受容層用の塗布液をインク受容層として塗設したインクジェット記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録材料のインク受容層(空隙層)用の水性分散液の分散方法としては、釜等の容器中で水性媒体(分散媒)と分散質を攪拌・混合等で混ぜ合わせ、その後高圧ホモジナイザー等の分散機を用いて分散する方法等が知られている。この方法でバッチ方式で分散する場合には、分散度を確認しながら高圧ホモジナイザー等の分散機を用いて分散が最適になるように複数回分散を実施することができるという利点があるが、しかし乍がら、幾度も幾度も分散操作をバッチ方式で繰り返さなければならないので、多大な労力が必要となり、また時間がかかる等のデメリットがあり、コスト高となり、且つ生産性が上がらないという問題があった。
【0003】また、水性分散液の分散不良に起因する水性分散液の濁度の劣化、玉の発生、停滞性の劣化が起こり易く、惹いては塗布故障、塗膜のひび割れ等が起こり易く問題であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、分散質が高濃度で生産性が優れる水性分散液を、分散性が良好に玉の発生残留も改良して安定に分散作製できるインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法、および該分散方法により作製した水性分散液を用いて作製したインク受容層用の塗布液をインク受容層として塗設した塗膜故障やひび割れが改良されたインクジェット記録材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0006】1.分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、かつ後分散機での分散時の分散質の濃度が前分散機での分散時の分散質の濃度未満であることを特徴とするインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0007】2.分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、かつ分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液を冷却することを特徴とするインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0008】3.前記分散質が無機微粒子であることを特徴とする前記1または2記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0009】4.前記無機微粒子が微粒子シリカであることを特徴とする前記3記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0010】5.前記水性媒体が、少なくとも親水性バインダー、硬膜剤、低級アルコール、水を含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0011】6.前記親水性バインダーがカチオン性ポリマーであることを特徴とする前記5記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0012】7.分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液を冷却することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0013】8.前記冷却することが、冷却装置及び冷却した希釈液を注入することから選ばれる少なくとも1つにより冷却することであることを特徴とする前記7記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0014】9.前記2〜10基直列に使用する分散機が、第1番目の分散機が遠心方式の分散機であり、第2番目の分散機が遠心方式の分散機であり、第3番目の分散機がメディア型分散機であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0015】10.前記水性分散液の第1回目水性分散液の分散質(シリカ)濃度が20〜30質量%であり、最終仕上がり水性分散液の分散質(シリカ)濃度が18〜28質量%であることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法。
【0016】11.前記1〜10のいずれか1項記載のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法により作製した水性分散液を用いて調製したインク受容層用の塗布液をインク受容層として塗設したことを特徴とするインクジェット記録材料。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の請求項1の発明のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法は、分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、かつ後分散機での分散時の分散質の濃度が前分散機での分散時の分散質の濃度未満であることを特徴とする。
【0018】分散機を2〜10基直列に使用し、かつ後分散機での分散時の分散質の濃度が前分散機での分散時の分散質の濃度未満であることにより、分散質の濃度が小さい場合は勿論のこと、従来の分散時の分散質の濃度が前分散機での分散時の分散質の濃度と同じである分散方法では分散性が劣るまた玉の発生残留が多いことから分散が困難であったような分散質の濃度が大きい(濃い、粘度が大きい)場合でも、分散性が改良され良好となり玉の発生残留も少なく好適に分散することができ、分散質の濃度が大きく生産性が大きな水性分散液でも、分散性が優れ玉の残留もなく好適に水性分散液を分散作製することができる。
【0019】本発明の水性分散液の分散方法においては、分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するが、好ましくは分散機を2〜6基直列に使用することであり、より好ましくは2〜4基直列に使用することである。分散機が2基未満では、分散性が不十分で玉が残留することがある。また、10基を越えると水性分散液の温度上昇で凝集が発生することがあるまた生産コストアップともなる。
【0020】本発明に係る水性分散液の第1回目水性分散液の分散質(好ましくは例えば、微粒子シリカ等)濃度は20〜30質量%であることが好ましく、最終仕上がり水性分散液の分散質(好ましくは例えば、微粒子シリカ等)濃度は18〜28質量%であることが好ましい。第1回目水性分散液の分散質濃度が20質量%未満では分散不良(分散安定性の劣化など)となることがある。また、30質量%を越えると分散不良(玉の発生など)となることがある。最終仕上がり水性分散液の分散質濃度が18質量%未満では分散不良(分散安定性の劣化など)となることがある。また、28質量%を越えると分散不良(玉の発生など)となることがある。
【0021】本発明の請求項2の発明のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法は、分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、かつ分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液を冷却することを特徴とする。
【0022】水性媒体に分散質を、分散機を少なくとも2基以上直列に使用して分散して水性分散液を作製する場合、即ち、好ましくは例えば、水性媒体(好ましくは例えば、水を主成分とし、親水性バインダー(好ましくは例えばカチオン性ポリマー等)、硬膜剤(好ましくは例えばホウ酸、硼砂等)、低級アルコール(好ましくは例えばエチルアルコール等)、硝酸等を含有する)に分散質(好ましくは例えば、微粒子シリカ等)を、分散機を少なくとも2基以上(好ましくは例えば、第1回目の分散に遠心方式の分散機1基、第2回目の分散に遠心方式の分散機1基、第3回目の分散にメディア型分散機1基)直列に使用して分散して水性分散液を作製する場合に、分散質の濃度が小さい場合には温度上昇が小さく粘度も低く、分散性が若干劣るとはいえ玉の発生残留も少なく分散し得て水性分散液を作製し得るが、これでは分散質の濃度が小さく生産性に劣る。そこで生産性改良のために分散質の濃度を大きくしていくが、温度上昇、粘度上昇も次第に増大し、それに伴って分散性の劣化や玉の発生残留が増大し、従来は分散困難であった。
【0023】ところが、分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液を冷却することを試みたところ、驚くべきことに分散質の濃度が小さい場合は勿論のこと、従来分散性が劣るまた玉の発生残留が多いことから分散が困難であった分散質の濃度が大きい(濃い、粘度が大きい)場合でも、分散性が改良され良好となり玉の発生残留も少なく好適に分散することができ、分散質の濃度が大きく生産性が大きな水性分散液でも、分散性が優れ玉の残留もなく好適に分散作製することができることを見出した。
【0024】したがって更に、本発明においては、本発明の請求項7の発明のインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法の如く、分散機を2〜10基直列に使用して水性媒体に分散質を分散するインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法において、分散機を2〜10基直列に使用し、後分散機での分散時の分散質の濃度が前分散機での分散時の分散質の濃度未満であり、かつ、分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液(分散系)を冷却することが好ましい。
【0025】また、本発明において、分散機での分散時、および分散機と分散機の間、から選ばれる少なくとも1つの際に、水性分散液を冷却することが、冷却装置及び冷却した希釈液を注入することから選ばれる少なくとも1つにより冷却することであることが好ましい。即ち、冷却装置で冷却することが好ましく、また、冷却した希釈液を注入して冷却することが好ましいが、冷却装置で冷却するしかつ冷却した希釈液を注入して冷却することが特に好ましい。
【0026】上記冷却装置としては、ジャケット、熱交換器等があげられるが、中でも、熱交換器が好ましい。また、上記冷却した希釈液としては、水性媒体、純水等が好ましい。
【0027】分散機本発明に係る分散機としては、例えば、遠心方式分散機(フロージェットミキサー、ファインフローミル等)、メディア型分散機(ボールミル、サンドミル等)、超音波分散機、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられるが、中でも、遠心方式分散機やメディア型分散機が好ましい。
【0028】分散質本発明に係る分散質としては無機微粒子が好ましいものとして挙げられる。無機微粒子のうちでも微粒子シリカがより好ましい。
【0029】本発明においては微粒子シリカの中でも、気相法により合成された微粒子シリカが特に高い空隙率と強い皮膜強度が得られる点で好ましい。気相法により合成された微粒子シリカとしてはハロゲン化珪素の高温での気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、およびケイ砂とコークスを電気炉でアークにより加熱還元気化しこれを空気酸化する方法(アーク法)が知られている。また、湿式法シリカとしては珪酸塩の酸分解により活性シリカを生成した後、適度に重合させて凝集・沈殿させて得られる。
【0030】本発明で用いられる微粒子シリカの平均粒径は、100nm以下であることが好ましい。特に気相法により合成された微粒子シリカである場合には好ましくは平均1次粒径が30nm以下であり、特に好ましくは20nm以下である。下限は合成上、通常3nmである。気相法により合成された微粒子シリカは塗布液中で2次凝集してより大きな粒子を形成するが、この場合、2次凝集粒子の平均粒径は下限30nmであることが好ましく、上限は100nmであることが好ましい。
【0031】上記において微粒子シリカの平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定したときのその直径で表したものである。
【0032】水性媒体本発明に係る水性媒体としては、例えば、水を主成分とし、親水性バインダー(カチオンポリマー)、硬膜剤(ホウ酸、硼砂)、低級アルコール(好ましくは例えばエチルアルコール)、硝酸等を含有する水性液が本発明に係る水性媒体として好ましい。
【0033】低級アルコール本発明に係る水性媒体に好ましく用いられる低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられるが、中でも、エチルアルコールが好ましい。
【0034】親水性バインダー本発明のインクジェット記録材料に、上記無機微粒子と組み合わせてバインダーとして用いられる本発明に係る分散質親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、プルラン、カゼイン、デキストラン等を用いることができるが、インクが含有する高沸点有機溶媒や水に対する膨潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使用するのが印字直後の皮膜強度の点から好ましい。
【0035】本発明では特に皮膜形成性のため、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が好ましく、中でも平均重合度が1000以上が好ましく、最も好ましくは平均重合度が2000以上のポリビニルアルコールまたはその誘導体である。また、ケン化度は70〜100%が好ましく、特に80〜100%が最も好ましい。
【0036】上記親水性バインダーは2種以上併用することもできるが、この場合であってもポリビニルアルコールまたはその誘導体を少なくとも50質量%以上含有しているのが好ましい。
【0037】上記ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコールまたはノニオン変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0038】カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0039】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0040】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して通常0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0041】カチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は通常500〜4000、好ましくは1000〜4000である。
【0042】また、酢酸ビニル基のケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0043】アニオン変性ポリビニルアルコールは例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0044】また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0045】本発明のインクジェット記録材料の空隙層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は質量比で3倍以上であることが、高い空隙率と高い皮膜強度を得る上で好ましい。同様の観点から更に好ましい無機微粒子の親水性バインダーに対する比率は6以上である。
【0046】親水性バインダーに対する無機微粒子の比率の上限は、皮膜のひび割れ性能の点から概ね8以下であることが好ましい。
【0047】硬膜剤(ホウ酸、硼砂)
本発明のインクジェット記録材料の空隙層中には前記親水性バインダーと架橋し得る硬膜剤を添加するのが空隙層の造膜性の改良、皮膜の耐水性、および本発明の目的である印字後の皮膜強度を改善する点で好ましい。そのような硬膜剤としてはエポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を含有する有機硬膜剤、クロムみょうばん、ホウ酸、あるいはホウ砂等の無機硬膜剤が挙げられる。
【0048】親水性バインダーがポリビニルアルコールである場合には特に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ系硬膜剤、ホウ酸またはその塩、ホウ砂が好ましい。ホウ酸としてはオルトホウ酸だけでなく、メタホウ酸や四ホウ酸等も使用できる。
【0049】上記硬膜剤の添加量は上記親水性バインダー1g当たり通常1〜200mg、好ましくは2〜100mgである。カチオン性ポリマー本発明のインクジェット記録材料の空隙層中には、画像の耐水性、耐滲み性を改良する目的で、カチオン性ポリマーを含有させている。本発明に係るカチオン性ポリマーとしては、例えば1級〜3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを用いることができるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の定着性が高いこと等から、4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。
【0050】本発明においては、本発明に係るカチオン性ポリマーが本発明の水性分散液に用いられることが好ましい。
【0051】好ましいカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
【化1】

【0053】
【化2】

【0054】
【化3】

【0055】
【化4】

【0056】これらの第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。
【0057】さらに必要に応じて、特開昭57−36692号公報の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−15744号、特開昭61−58788号、同62−174184号等各公報記載のポリアリルアミン、特開昭61−47290号公報記載のアルカリ金属弱酸塩等を併用することができる。
【0058】支持体本発明でインクジェット記録材料の支持体としては、公知のものを適宜使用できる。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルムや板、およびガラス板などが挙げられ、この中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。
【0059】また、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、一般の紙、合成紙、樹脂被覆紙、布、木材、金属等からなるシートや板、および上記の透光性支持体を公知の手段により不透明化処理したもの等を挙げることができる。不透明の支持体としては、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。支持体とインク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録材料は必ずしも無色である必要はなく、着色されたインクジェット記録材料であってもよい。
【0060】本発明のインクジェット記録材料では紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
【0061】本発明のインクジェット記録材料の空隙層には、塗布後乾燥時の皮膜の脆弱性を改良するために、各種液滴やポリマーラテックスを含有することが好ましい。そのような液滴としては例えば流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイルのような、室温で水に対する溶解性が約0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒、例えばスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリレート等のモノマーを1種以上を乳化重合、あるいは重合後乳化分散させて得られるようなポリマーラテックスを添加することができる。このような液滴、ラテックス粒子は、好ましくは親水性バインダーに対し10〜50質量%用いることができる。クラック防止や皮膜の脆弱性に対しては、分子量が300以下のポリオール類を含有させることも好ましい。このようなポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、分子量が300以下のポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0062】本発明のインクジェット記録材料のインク吸収層側の任意の層中には、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができる。
【0063】例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0064】本発明のインクジェット記録材料におけるインク吸収層側の塗布固形分の量は5〜40g/m2が好ましく、10〜30g/m2がより好ましい。
【0065】本発明のインクジェット記録材料の乾燥膜厚は皮膜の空隙率や要求される空隙量により決まるが、一般には15μm以上、好ましくは20μm以上である。
【0066】本発明のインクジェット記録材料のインク吸収層の空隙容量はインクジェット記録材料1m2当たり10〜40mlが好ましく、15〜30mlになる範囲に調整されることがより好ましい。
【0067】但し、空隙容量はJ.TAPPI 紙パルプ試験方法 No.51−87「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」(ブリストー法)に記載された方法でインクジェット記録材料のインク吸収性側を測定した時、吸収時間が2秒における液体転移量(ml/m2)で表される。なお、この時使用する液体は純水(イオン交換水)であるが、測定面積の判別を容易にするために2%未満の水溶性染料を含有していてもよい。
【0068】本発明のインクジェット記録材料は、前記した空隙層を有する記録層を2層以上有していてもよく、この場合、2層以上の空隙層の無機微粒子の親水性バインダーに対する比率はお互いに異なっていてもよい。
【0069】また、上記空隙層以外に、空隙層を有さず、あるいは空隙層と共にインクに対して膨潤性の層である膨潤性層を有していてもよい。
【0070】このような膨潤性層は空隙層の下層(支持体に近い側)あるいは空隙層の上層(支持体から離れた側)に設けてもよく、更には空隙層が2層以上有る場合には空隙層の間に設けられてもよい。かかる膨潤性層には通常親水性バインダーが用いられ、ここに用いられる親水性バインダーの例としては、前記空隙層に用いられる親水性バインダーが挙げられる。
【0071】本発明のインクジェット記録材料のインク吸収性層を有する側とは反対側にはカール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつき防止やインク転写防止を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けることが好ましい。
【0072】バック層の構成は支持体の種類や厚み、インク吸収性層の構成や厚みによっても変わるが一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
【0073】また、バック層には他のインクジェット記録材料とのくっつき防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の微粒子である。
【0074】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の態様はこれにより限定されるものではない。
【0075】実施例1水性分散液の作製下記組成の水性媒体を作製し、この水性媒体に、遠心方式の分散機(フロージェットミキサー:粉研パウテックス社製)を第1分散機として用いて、下記分散質としての微粒子シリカ(A300:日本アエロジル社製)を(表1記載の量)になるように添加、分散して第1分散を行い、引き続き、遠心方式の分散機(ファインフローミル:太平洋機工社製)を第2分散機として直列に用いて分散して第2分散を行い、更に引き続き、メディア型分散機(サンドミル:アシザワ社製)を第3分散機として直列に用いて分散して第3分散を行い表1記載のように水性分散液をそれぞれ作製した。
【0076】但し、第1分散機、第2分散機、第3分散機の各分散機の間に表1記載のように冷却装置(ジャケット(熱交換器)よりなるものであり冷水を通水して分散液を冷却する)を設けて、水性分散液を表1記載のように冷却した。また、冷却した水性媒を表1記載(※)のように注入して水性分散液を表1記載のように希釈、冷却した。
水性分散液組成 水性媒体: 画像定着改良剤 カチオンポリマー:P−13 8.5質量% 硬膜剤 ホウ酸 0.25質量% 硼砂 0.25質量% 硝酸 1質量% 純水 59〜69質量% アルコール 1質量% 分散質: 微粒子シリカ(分散質)(A300:日本アエロジル社製)
(表1記載の量)
上記で作製した水性分散液それぞれの分散性として、濁度、玉の発生残留、停滞性についての結果を表2に示す。
【0077】濁度濁度は、水性分散液を積分球式濁度計(SEP−PT−706D:三菱化成社製)にて測定して求めた。
【0078】玉の発生残留玉の発生残留は、目視および指の感触により、下記基準にて評価した。
【0079】
無:玉の発生残留が認められない若干:玉の発生残留が僅かに認められるが実用可有:玉の発生残留が明らかに認められ実用不可停滞性停滞性は、水性分散液試料について30℃6時間停滞の前後の試料各々について、B型粘度計(東京計器社製)にて粘度を測定(30℃にて)し、下記基準にて停滞性として評価した。
【0080】
○:粘度変化が10%未満△:粘度変化が10〜25%未満×〜△:粘度変化が25〜50%未満×:粘度変化が50%以上結果を表2に示す。
【0081】次に、上記で作製した分散液それぞれについて、後工程(調製工程)として親水性バインダー(PVA−235;クラレ社製)、退色防止ざい、被膜柔軟化剤、粘度調整剤等を添加し、粘度調整して塗布液とした後、RCペーパーに乾燥膜厚40μmとなるように塗布し、乾燥してインクジェット記録材料を作製した。
【0082】評価方法作製したインクジェット記録材料の受容層の塗膜故障(ひび割れ)、光沢度、最大濃度について評価した。
【0083】塗膜故障(ひび割れ)
塗膜故障(ひび割れ)については、目視観察により下記基準にて評価した。
【0084】
○:ひび割れがない△:ひび割れが微かに観察されるが実用可×〜△:ひび割れが明らかに観察され実用不可×:ひび割れが多数発生光沢度光沢度は、光沢計TC−108DP/A(東京電色社製)を用いて60度の角度にて測定して求めた。数値が大きいほうが好ましい。
【0085】最大濃度最大濃度は、X−Light濃度計(X−Light社製)を用いて測定して求めた。数値が大きいほうが好ましい。
【0086】結果を表2に示す。
【0087】
【表1】

【0088】(注1) 冷却装置は、ジャケットに冷却(5℃)を通して冷却(注2) 冷却した水性媒体の注入は、10℃の水性媒体を注入(注3) 分散質濃度(質量%)は、水性媒体(100質量%)に対する質量%を表す(注4) 分散質は、微粒子シリカ(A300:日本アエロジル社製)
※1遠心方式分散機:フロージェットミキサー(粉研パテックス社製)
※2遠心方式分散機:ファインフローミル(太平洋機工社製)
※3メディア型分散機:サンドミル(アジザワ社製)
【0089】
【表2】

【0090】表1、表2から、本発明の請求項1または2の発明の構成により好適に分散された水性分散液が得られることがわかる。また、本発明の請求項1および2の発明の構成により特に好適に分散された水性分散液が得られることがわかる。即ち、例えば、冷却装置、及び冷却した水性媒体を注入することにより、生産性の高い高濃度の分散液作製も可能になり、塗膜に故障がないインクジェット記録用紙の安定生産が可能になることがわかる。
【0091】
【発明の効果】本発明により、分散質が高濃度で生産性が優れる水性分散液を、分散性が良好に玉の発生残留も改良して安定に分散作製できるインクジェット記録材料のインク受容層用の水性分散液の分散方法、および該分散方法により作製した水性分散液を用いて作製したインク受容層用の塗布液をインク受容層として塗設した塗膜故障やひび割れが改良されたインクジェット記録材料を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番1号
【出願日】 平成14年5月13日(2002.5.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−326835(P2003−326835A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−136796(P2002−136796)