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【発明の名称】 インクジェット用記録媒体
【発明者】 【氏名】多田 有歌子
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【氏名】内藤 晃
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【氏名】杉下 康雄
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【要約】 【課題】インクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやコックリングの発生も無く、特には、記録部の色域再現範囲の広い、印刷校正用途としても好適であるインクジェット用記録媒体を提供すること。

【解決手段】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤とが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカと結着剤とが用いてあるインクジェット用記録媒体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤とが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカと結着剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項2】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項3】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカと結着剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項4】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤とが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカと結着剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項5】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と湿式シリカとが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカとポリビニルアルコール類とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項6】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と湿式シリカとが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカとポリビニルアルコール類とが用いてあり、かつ染料定着層の組成におけるカチオン性乾式シリカの重量比率が、中間層の組成における湿式シリカの重量比率より高いことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項7】支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と湿式シリカとが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカとポリビニルアルコール類とが用いてあり、かつ染料定着層の組成におけるカチオン性乾式シリカの重量比率が、中間層の組成における湿式シリカの重量比率より高く、かつ染料定着層の塗工液がpH6.0以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項8】前記カチオン性乾式シリカの平均粒径が0.4μm以下であることを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
【請求項9】前記充填剤が、平均粒子径2〜5μmの湿式シリカであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
【請求項10】前記非コーテッド紙の透気度が300秒以下/100CCであることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやコックリングの発生もなく、特には記録部の色域再現範囲の広い、印刷校正用途としても好適であるインクジェット用記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ出力用に各種方式のプリンターが普及している。なかでもインクジェットプリンターは、静粛性、コスト、簡便性、画像品質が優れ、特にフルカラー画像を高品位で再現でき、他方式にはない優れた性能を有し、さらなる普及が期待できる。特に近年では、インク滴の制御と濃淡インクの開発、および記録媒体の性能向上に伴い、銀塩写真並の画像を得られるまでに技術が進歩している。
【0003】このような技術の発展に伴い、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷校正用としても、インクジェットプリンターを用いることが多くなってきている。インクジェットプリンターによる印刷校正によって、リモートプルーフシステムが実現可能となり、従って迅速な校正が可能となる。上記インクジェット記録方式においては、インクとしては染料が溶解された水性インクを使用し、記録媒体としては支持体上にインク受容層の形成された記録媒体を用いるのが一般的である。
【0004】ここで、記録媒体の一般的な技術例を挙げるなら、多孔質シリカをポリビニルアルコールに分散させカチオン成分を添加したものをインク受容層として設けた記録媒体によって、物理的な作用によりインクをシリカ細孔に吸収させ、かつカチオン成分を添加することにより染料を化学的に定着させる方法、もしくはアルミナゾルを用いて、物理的にインクを吸収させながらアルミナにより染料を化学的に定着させる方法、もしくは、カチオン性樹脂を用いて、膨潤によりインクを物理的に吸収させながらカチオン部により染料を化学的に定着させる方法等がある。
【0005】しかしながら、このような一般的な記録媒体においては、銀塩写真をターゲットとして、画質、光沢感、乾燥性、耐水性の向上を目的として開発されたものが多い。その為、これらの特性については満足の出来るものが多いが、色域再現範囲はオフセット印刷やグラビア印刷の色域再現範囲を満たすことができず、印刷校正用途としては実用的ではなかった。
【0006】例えば、物理的な作用によりインクを細孔に吸収させるようなインクジェット用記録媒体の場合、インクの吸収性には優れるものの、染料は受容層の内部にて発色するために、染料が持つ本来の色相が得られず、色再現範囲は狭くなる。例として、特開平11−348409号公報、特開2000−94830号公報、特開2000−211234号公報、特開2000−309157号公報、特開2001−96911号公報等で提案されている微粒子にて細孔を形成したインクジェット用記録媒体においては、インク吸収性、画像品位には優れているものの、色域再現範囲はオフセット印刷やグラビア印刷の印刷における色域再現範囲を満たさず、校正用途としては不十分であった。
【0007】また、膨潤によりインクを吸収させるようなインクジェット用記録媒体の場合、透明な樹脂を用いることにより染料が持つ本来の色相に近いものが得られ、色域再現範囲は広くなるが、膨潤しながらインクを吸収させるためにインク吸収速度は遅く、近年の高速のインクジェットプリンターでは高画質を得ることは出来なかった。
【0008】すなわち、従来の技術では、銀塩写真に類似した風合いや印画物を得るには好適であるが、色域再現範囲に関してはオフセット印刷やグラビア印刷の持つ色域再現範囲に対して不足していた。
【0009】一般にオフセット印刷やグラビア印刷では、専用の印刷用紙の上に画像情報に基づいてインキをのせ、乾燥や硬化させることにより画像情報を記録する。その際、印刷インクの一部は用紙内部に浸透するが、その大部分は用紙の表面に留まるのが普通であり、従って、発色成分である染料や顔料の大部分も表面に留まることになり、染料や顔料が持つ本来の色相が十分発現される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インクジェットによる印刷においては、インクジェットのインクは、基本的にインク受容層と呼ばれる塗布層の内部に浸透し、従って染料もインク受容層の内部に定着され、発色する。そのため、インク受容層の膜の透明性、屈折率等の他、さらにはインク中の染料以外の成分、すなわち残溶媒や残添加剤にも発色が影響され、染料本来が持つ色相が十分発現されない場合が多い。
【0011】そのため、オフセット印刷やグラビア印刷の色校正等にインクジェットプリンターを用いる場合、従来のインクジェット用記録媒体では、画質や文字の滲み等が優れていても、色再現範囲がオフセット印刷やグラビア印刷の色再現によりも狭く、実用上十分ではなかった。
【0012】本発明は、このような従来の技術が持つ問題点に鑑みてなされたものであって、すなわち、インクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやコックリングの発生もなく、特には記録部の色域再現範囲の広い、印刷校正用途としても好適であるインクジェット用記録媒体に関するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1に示す発明は、支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤とが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカと結着剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0014】請求項2の発明は、支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0015】請求項3の発明は、支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカと結着剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0016】これによると、インクジェットプリンターにて文字や画像情報の記録をした場合、得られる画質が優れており、かつ、記録部のコックリングや波打ちもなく、特には色域再現範囲の広く、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷校正用途としても使用可能なインクジェット用記録媒体を得ることが出来る。
【0017】このように、インク受容層中の中間層と染料定着層の特定材料による組み合わせによるもの、また、支持体とインク受容層中の中間層もしくは染料定着層の特定材料による組み合わせによるもので広い色域再現が達成されることを見い出した。
【0018】これらの機構については明らかになってはいないが、インク受容層中の中間層と染料定着層の組み合わせにおいて、中間層にシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤、染料定着層にカチオン変性の乾式シリカと結着剤を用いることにより、染料定着層中のカチオン成分によって染料の定着性が向上し染着層の上部にて多くの染料が定着され、また、シラノール基によって弱架橋され適度な吸収能力となった中間層へインク中の染料以外の溶媒や添加剤等が吸収されるために、染料分子が単独で存在しやすくなり、広い色域再現範囲が達成されるとも考えられる。同様に、支持体に非コーティッド紙を用い溶媒吸収層中の中間層にシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤を用いた組み合わせにより、支持体、中間層ともに溶媒や添加剤等が適度に浸透しやすい層となり、染料定着能力を持たせた適当な染料定着層を設けることにより、染着層の上部で染料が定着され、かつ染料分子が単独で存在しやすくなることにより広い色域再現範囲が達成されるとも考えられる。同様に、支持体に非コーティッド紙を用い溶媒吸収層中の染着層にカチオン変性の乾式シリカと結着剤を用いることにより、さらに染料定着層中のカチオン成分によって定着性が向上し染料定着層の上部にて多くの染料が定着され、さらに支持体に非コーティッド紙を用いることでコーティッド紙よりも適度に溶媒や添加剤等が浸透し、染料定着層中の染料分子が単独で存在しやすくなることにより広い色域再現範囲が達成されるとも考えられる。
【0019】また、請求項4の発明は、支持体上の少なくとも片面にインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、インク受容層には少なくとも中間層と染料定着層とが支持体よりこの順に設けてあり、支持体には非コーティッド紙を用いてあり、中間層には少なくともシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤とが用いてあり、染料定着層には少なくともカチオン性乾式シリカと結着剤とが用いてあることを特徴とするインクジェット用記録媒体であると、より広い色域再現範囲が達成される。これは上記機構がより効果的に発現されるものと考えられる。
【0020】さらに上記中間層にシラノール変性されたポリビニルアルコール類と湿式シリカを、上記染料定着層にはカチオン性シリカとポリビニルアルコール類を用いることにより、より広い色域再現が達成される。
【0021】また、上記インク受容層において、染料定着層の組成におけるカチオン性乾式シリカの重量比率が、中間層の組成における湿式シリカの重量比率より高くすることにより、より画像が良好となり、コックリングも少なく、広い色域再現範囲を持つインクジェット受像紙が得られる。
【0022】また、染料定着層の塗工液がpH6.0以下であることにより、インキの安定性が優れ、塗工安定性に優れる塗工液が得られる。
【0023】また、請求項8の発明は、前記カチオン性乾式シリカの平均粒径が0.4μm以下であることを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体である。カチオン性乾式シリカの平均粒子径が0.4μm以下であると光の可視域波長以下となるため染料定着層の透明性が増し、さらに発色性が良好となり広い色域再現範囲が達成されると共に受容層表面が平滑化され印刷校正用紙に近い適度な表面光沢を有する記録媒体を得ることができる。
【0024】また、請求項9の発明は、前記充填剤が、平均粒子径2〜5μmの湿式シリカであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体である。充填剤に、平均粒子径2〜5μmの湿式シリカを用いると、記録媒体の平滑性を保ちながらインク中の染料以外の溶媒や添加剤等がより効果的に中間層へ吸収され広い色域再現が達成される。
【0025】また、請求項10の発明は、前記非コーテッド紙の透気度が300秒以下/100CCであることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体である。非コーテッド紙の透気度が300秒以下/100CCとすることでも記録媒体の平滑性を保ちながらインク中の染料以外の溶媒や添加剤等がより効果的に中間層へ吸収され広い色域再現が達成される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明のインクジェット用記録媒体について詳細に説明する。本発明によるインクジェット用記録媒体は、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷校正用途としても十分実用的な広い色域再現範囲を有するインクジェット用記録媒体である。
【0027】本発明で述べるインク受容層とは、インクジェットプリンターから吐出されるインクを十分に吸収することのできる層であり、少なくとも中間層、染料定着層の2層以上から構成される。染料定着層は主にインク中の染料を定着させることのできる層であり、中間層は主にインク中の溶媒、添加剤等を吸収することのできる層である。また、支持体とは、少なくとも片面にインク受容層を形成させることのできる基材である。
【0028】本発明で述べるシラノール変性されたポリビニルアルコール類とは、シラノール基を有するポリビニルアルコール類であり、ケン化度、重合度は特に規定しないが、膜の強度を上げる為には1000以上の重合度のものを用いると良い。さらに、本発明における充填剤とは、一般的に使用される充填剤であり、シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等があげられる。中でもゲル法または沈殿法で作製された湿式シリカを用いた場合、吸油量が高く、インク吸収性に優れるために好ましい。
【0029】本発明で述べる乾式シリカとは、気相法シリカともよばれ、一般的には四塩化ケイ素を水素と酸素と共に燃焼させ作製されるシリカであり、特徴としては、粒子が非常に微細であることがあげられる。カチオン性シリカとは、乾式シリカの表面をカチオン性化合物によりカチオン化させたものであり、通常、未処理の乾式シリカは表面がアニオン性であるが、十分カチオン化させ、表面を完全にカチオン性とさせる。
【0030】カチオン性化合物としては、有機化合物、無機化合物を問わない。さらに電気的にプラスの電荷を持つ化合物だけではなく、水に分散された状態で電解によりカチオン性を示すような官能基を有する化合物でも良い。
【0031】例えば四級アンモニウム塩を有する有機化合物やポリマーにて表面処理を行い乾式シリカの表面をカチオン化させる方法、あるいはアミンを有する有機化合物やポリマーにて乾式シリカの表面処理を行い、その後ハロゲン化アルキルやルイス酸等で処理を行いアミン塩としてカチオン化させる方法、あるいはアルミナ、チタン、マグネシウムの無機化合物あるいはその酸化物によって乾式シリカの表面処理を行いカチオン化させる方法、アミノ基を有する有機化合物やポリマーにて乾式シリカの表面処理を行い、水中に分散させてアミノ基を電解させることにより表面をカチオン化させる方法等がある。尚、電解により表面をカチオン化させる方法においては、乾式シリカのコロイド分散液のpHを十分に等電点のpH以下とすることが必要である。
【0032】また、本発明での結着剤は任意のものが用いられるが、一般的にはポリビニルアルコール類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂を溶媒に溶解させて用いるか、或いは自己乳化もしくは乳化剤によりエマルジョン化させて用いる。その際、カチオン性乾式シリカを凝集させることのないような結着剤の選定が重要である。中でもポリビニルアルコール類を用いる場合、高画質で広い色域再現範囲を持つインクジェット用記録媒体を安価に製造できるだけではなく、カチオン性乾式シリカの分散安定性が良く、塗工安定性に優れた染料定着層の塗工液を得ることが出来る。さらにこの安定性を高める為に染料定着層の塗工液のpHを6.0以下に調整することが好ましく、さらにはpH5.0以下であるとより好ましい。
【0033】本発明で述べる非コーティッド紙については紙の表面がコート処理されていない紙であり、上質紙、中質紙などが用いられる。また、サイズ度、白色度は特に限定されないが、サイズ剤を内添させ、ステキヒトサイズ度がおおよそ15秒以上であるものを用いるとインク受容層の塗布工程がより容易となるために好ましいが、ステキヒトサイズ度が高すぎると吸収性が低下し、滲みや色域再現範囲の低下となるので、バランスを考慮し適当なものを選択する。
【0034】中間層におけるシラノール変性されたポリビニルアルコール類と充填剤との混合割合は特に規定しないが、インク吸収性の点からは、通常、ポリビニルアルコール類/充填剤が1/10〜30/10程度、好ましくは2/10〜5/10程度である。ポリビニルアルコール類の割合が多くなるとインクの吸収性が悪くなり、結果としてインク受像層の乾燥性が悪くなり、充填剤の割合が多くなると塗膜の強度が落ち、結果としてインク受容層の表面強度が低下する。
【0035】染料定着層におけるカチオン性乾式シリカと結着剤との混合割合は特に規定しないが、通常、結着剤/乾式シリカが10/30〜10/150程度、好ましくは10/40〜10/120程度である。乾式シリカの割合が多くなると、塗膜の強度が低下し粉落ち等の問題が発生する他、膜面のひび割れが目立ち美観が損なわれるようになる。また、結着剤の割合が多くなると、吸収性が低下し滲みの発生が多くなり、さらには色域再現範囲が狭くなる。
【0036】中間層の塗布量は、通常、10〜40g/m2程度、好ましくは15〜30g/m2程度である。厚みが薄すぎるとインク吸収性が低下し、インク受容層の表面で滲みが発生する、乾燥性が遅くなる、コックリングが発生する等の悪影響を与えるため好ましくない。また、厚みが厚すぎると、コスト高になり、カールが発生したりするために好ましくない。
【0037】染料定着層の塗布量は、通常、3g〜20g/m2程度、好ましくは5g〜15g/m2程度である。厚みが薄すぎると染料定着能力が不足し、滲みの発生がみられたり色域再現範囲が狭くなったりし、逆に厚みが厚すぎると、コスト高になり、カールが発生するために好ましくない。
【0038】支持体は、インクジェットプリンターへの良好な搬送性の為に、通常、80〜200g/m2程度のものを用いるのが好ましい。
【0039】本発明においては、インク受容層には必要に応じて、架橋剤、染料固着剤、傾向増白剤、界面活性剤、消泡剤、PH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、分散剤等の添加剤を、本発明の目的を防げない範囲で、従来公知のものから任意に選択し含有させても良い。
【0040】また、インク受容層は支持体の片面、或いは両面に設けることが出来るが、片面に設ける場合、カール防止やプリンターへの搬送性向上の為に、必要に応じてインク受容層の反対面に背面層を設けることができる。
【0041】本発明のインクジェット記録媒体を作成するに当たっては、樹脂と充填剤および添加剤を、分散機等を用いて分散、混合、または溶解する従来公知の方法を用いれば良い。
【0042】また、塗工に際しても、公知の方法、例えばロールコーター法、フレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレスコーター法等により支持体表面に塗布する。その後、熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥を行い、本発明のインクジェット記録媒体を得る。
【0043】<作用>以上説明したように、本発明のインクジェット記録媒体によれば、インクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやコックリングの発生もなく、特には記録部の色域再現範囲の広い、印刷校正用途としても好適であるインクジェット用記録媒体を得ることができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。文中の重量値は固形分基準である。
【0045】<支持体>支持体に用いた用紙は以下に示したものを用いた。
支持体A OKプリンス上質(王子製紙社製) 127.9g/m2支持体B OKトップコートN(王子製紙社製) 127.9g/m2【0046】
<中間層>中間層に用いたインキは以下に示す組成にて調液を行った。
中間層A 湿式シリカ X−37B(トクヤマ社製) 10g ポリビニルアルコール R−1130(クラレ社製) 4g 水 86g中間層B 湿式シリカ X−37B(トクヤマ社製) 10g ポリビニルアルコール PVA−117(クラレ社製) 4g 水 86g中間層C 炭酸カルシウム μ−POWDER 3N(備北粉化工業社製) 10g ポリビニルアルコール R−1130(クラレ社製) 4g 水 86g中間層D 湿式シリカ X−37B(トクヤマ社製) 10g ポリビニルアルコール R−1130(クラレ社製) 2g 水 88g【0047】<染料定着層>染料定着層に用いたインキは以下に示す組成にて調液を行った。
染料定着層A カチオン性乾式シリカA(平均1次粒子径 7nm) 80g ポリビニルアルコール PVA−617(クラレ社製) 10g 水 410g染料定着層B コロイダルシリカ PS−MO(日産化学工業社製) 100g ポリビニルアルコール PVA−617 10g 水 500g染料定着層C カチオン性乾式シリカA(平均1次粒子径 7nm) 45g ポリビニルアルコール PVA−617(クラレ社製) 10g 水 250g染料定着層D染料定着層Aに酢酸を加え、溶液のpHを4.5としたもの【0048】<実施例、比較例の作製方法>支持体上に中間層を乾燥塗布量が20.0g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥させた。その後、染料定着層を乾燥塗布量が10g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥させ、インクジェット記録媒体を得た。
【0049】得られたインクジェット記録媒体に対して、キヤノン製インクジェットプリンター(製品名 BJ−F870)を用いて、評価画像を形成させ、色域再現範囲の確認を行い、画質、滲み、コックリングを評価した。
【0050】色域再現範囲の確認には、グレタグマクベス社製のスペクトロリノを用いた。評価の基準は以下の通りである。
(画質)
人物、背景等の写真画像の印画を行い、目視にて評価を行った。
○ : ビーディングやインキの溢れがなく、美しい画像が得られる。
△ : ビーディングやインキの溢れが若干見られる。
× : ビーディングやインキの溢れが多く、実用上不十分である。
(滲み)文字のパターンを数種印画し、目視にて評価を行った。
○ : 抜き文字や背景のある文字にも滲みはなく、シャープである。
△ : 抜き文字や背景のある文字には若干滲みがあるが、文字は認識できる。
× : 単独の文字にも滲みが見られ、実用上不十分である。
(コックリング)記録媒体一面に濃度の濃いベタパターンを印画し、コックリングを評価した。
○ : コックリングは見られない。
× : 紙が波打ちした感じとなり、コックリングが見られる。
(色域再現範囲)色域確認用チャートを印画し、色相測定を行い、オフセット印刷あるいはグラビア印刷の持つ色域再現範囲を網羅することができるかの確認を行った。
○ : 色域は十分に広く、印刷の色域再現範囲を十分に満たす。
△ : 印刷の色域再現範囲を満たすことが出来る。
× : 色域は狭く、印刷の色域再現範囲を満たすことが出来ない。
結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明によるインクジェット記録媒体は、インクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやコックリングの発生もなく、オフセット印刷やグラビア印刷のもつ色域再現範囲を十分に満たすことのできるインクジェット用記録媒体を得ることができた。
【出願人】 【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号
【出願日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−326833(P2003−326833A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−135409(P2002−135409)