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【発明の名称】 インクジェット記録用紙
【発明者】 【氏名】鬼頭 泰史
【住所又は居所】愛媛県伊予三島市紙屋町5番1号 大王製紙株式会社内

【氏名】水谷 路人
【住所又は居所】愛媛県伊予三島市紙屋町5番1号 大王製紙株式会社内

【要約】 【課題】高速インクジェット適性が良好で、良好なインク乾燥性があり、さらに良好な発色性と耐水性を有するとともに良好な封入封緘適性をもつインクジェット記録用紙を提供すること。

【解決手段】主原料である木材パルプに、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤、及び填料として炭酸カルシウムを使用して抄紙され、さらに、たとえばサイズプレスにて水溶性バインダー及びカチオン性高分子定着剤を主成分とする塗工液を塗工した普通紙タイプのインクジェット記録用紙であり、JISP−8140に規定されたコッブ法による10秒サイズ度が25〜50g/m2であり、1μlのインク(サイテックス社製)の吸収時間が300〜600秒である。また、紙のJISL−1095に規定される静摩擦抵抗値は500〜600gとされる。炭酸カルシウムの含有率は対パルプ比で5〜20%の範囲とする。木材パルプ中の古紙配合を30〜100%としてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木材パルプを主原料とし、これに内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤、及び填料として炭酸カルシウムを用いて抄紙するとともに、その表面に水溶性バインダー及びカチオン性高分子定着剤を主成分とする塗工液を設けた、JISP−8140に規定されたコッブ法による10秒サイズ度が25〜50g/m2であり、1μ1のインク(サイテックス社製)の吸収時間が300〜600秒であるインクジェット記録用紙であり、かつ、紙のJISL−1095に規定される静摩擦抵抗値が500〜600gであることを特徴とする、高速インクジェット印刷用の普通紙タイプのインクジェット記録用紙。
【請求項2】 炭酸カルシウムの含有率が対パルプ比で5〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
【請求項3】 木材パルプ中における古紙の配合率が30〜100%であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、高速インクジェット印刷に用いる普通紙タイプのインクジェット記録用紙に関するものであり、記録した画像の鮮明さ、インク発色濃度に優れ、かつ耐水性を有するインクジェット記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速インクジェット印刷は、水溶性インクを噴出させ、紙に付着させることにより、請求伝票等の情報を高速で印刷、記録する方式であって、従来の捺染技術と比較して固定情報だけでなく、可変情報についても高速で同時印刷が可能である。しかし用紙の性能としてインクの吸収が早く、且つシャープな印字性、さらに印刷画像の耐水性を要求される。
【0003】インクジェット印刷に用いる記録用紙としては、基紙表面にシリカ系顔料及びバインダーを主成分とする塗工層を有する用紙が提案されているが、塗工タイプのインクジェット用紙は高価であり、高速で多量の情報を印刷する場合には低価格で汎用性のある普通紙タイプのインクジェット記録用紙が望まれている。
【0004】しかし、一般コピー用紙を使用するとインクの乾燥性が悪く、印刷後のインクの転写、印刷機ロールへのインクの付着等が発生する。また用紙の繊維に沿ってインクが流れるフェザリングといった現象が生じ、画像の鮮明さが損なわれる。インクの吸収性を良くするため、サイズ度の低い普通紙を用いた場合、インクの滲みが発生し、解像度の低下が発生する。
【0005】また、これらの印刷後の印刷物を封入する工程において、内添サイズ剤としてロジンサイズを使用した用紙の場合、紙表面の静摩擦抵抗値が上昇し、印刷物搬送時のジャム、重送が発生する。同様にアルキルケテンダイマーサイズ剤を用いた場合には紙表面の静摩擦抵抗値が低下し、用紙の紙滑り不良が発生する。このように適切な静摩擦抵抗値を有していない場合、作業効率が著しく低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、高速インクジェット印刷に用いる普通紙タイプのインクジェット記録用紙に関するものであり、従来の問題点を解決するため、適切な製法で抄紙した、記録した画像の鮮明さ、インク発色濃度、インク乾燥性に優れ、かつインク耐水性を有し、適切な静摩擦抵抗値を有するインクジェット記録用紙を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明は、高速インクジェット印刷に用いる普通紙タイプのインクジェット記録用紙に関するものであり、木材パルプを主原料とする。これに内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤、及び填料として炭酸カルシウムを用いて抄紙される。そのあと、たとえばサイズプレスにて、水溶性バインダー及びカチオン性高分子定着剤を主成分とする塗工液を塗工される。
【0008】そして、本願発明のインクジェット記録用紙は、JISP−8140に規定されたコッブ法による10秒サイズ度が25〜50g/m2であるようにサイズ度が調整される。
【0009】その理由は、コッブサイズが25g/m2未満の場合は、印刷機ロールへのインク付着が多くなって、掃除の頻度が多くなるとともに、他方、コッブサイズが50g/m2を超えた場合は、印字性のシャープさ(フェザリング発生)が劣るからである。
【0010】次に、本願発明のインクジェット記録用紙は、1μ1のインク(サイテックス社製)の吸収時間が300〜600秒であるようにインク吸収時間が調整される。
【0011】その理由は、インク吸収速度が300秒未満の場合は、印字性のシャープさ(フェザリング発生)が劣るという問題があり、他方、インク吸収速度が600秒を超える場合は、印刷機ロールへのインク付着が多くなり、掃除の頻度が多くなるという問題を生じるからである。
【0012】本願発明のインクジェット記録用紙は、このほか、さらに、紙のJISL−1095に規定される静摩擦抵抗値が500〜600gであるように、静摩擦抵抗値が調整される。
【0013】その理由は、静摩擦抵抗値が500g未満の場合または600gを超える場合は、紙の自動搬送工程(コンベア)で紙シートの送り不良が発生することによる。
【0014】なお、上記のように静摩擦抵抗値を調整するには、炭酸カルシウムの含有率を対パルプ比で5〜20%とするのが好ましい。その理由は、炭酸カルシウム含有率が5%未満の場合は、インク吸収性が悪化し、印刷機ロールのインク付着が多くなり、掃除の頻度が多くなるとともに、紙の不透明度が低下し、裏写りする、ということであり、他方、炭酸カルシウム含有率が20%を超えた場合は、摩擦抵抗が高くなり、コンベアでの搬送不良が発生するという理由による。より好ましくは、炭酸カルシウムの含有率を対パルプ比で8〜15%とするのが好ましい。
【0015】主原料としては、各種木材パルプが使用されるが、古紙を30〜100%の配合率で使用することも可能である。より好ましくは、古紙を50%以上配合することが、資源の有効活用、インクの裏抜け抑制に好ましい。
【0016】
【実施例】以下、本願発明の好適な実施例を説明するとともに、本願発明の技術的優位性を示すための比較対象として、いくつかの比較例を表1に例示する。
【0017】
【表1】

【0018】※1 サイズが効いていないため、インクが沈んでしまい、発色性が悪くなった※2 表面サイズ剤が多いため、インク吸収時間が遅く、乾燥性が悪くなった※3 炭酸カルシウムの配合量が少ないため、インク吸収時間が遅く、乾燥性が悪くなった※4 ロジンサイズ+サイズ炭酸カルシウムの配合量大のため、搬送性が悪くなった※5 ロジンサイズ+タルクを使用し搬送性は改善したが、インクの裏抜けが解消されなかったなお、表1中の用語の内容又は意味は次の通りである。
【0019】再生パルプ上白、カード、特白、中白、白マニア、模造、色上、切付、中更反古、新聞、雑誌、茶模造、段ボール、台紙、地券等の古紙をパルプ化した古紙再生パルプであり、各実施例および比較例においては、上白古紙および雑誌古紙を使用した。
【0020】バージンパルプ針葉樹および広葉樹を材料とした木材パルプであり、各実施例および比較例においては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を使用した。
【0021】中性AKD内添サイズ剤として使用されるアルキルケテンダイマーサイズ剤である。
【0022】中性ロジン内添サイズ剤として使用されるロジンサイズ剤である。
【0023】表面サイズ剤表面サイズ剤としては、たとえばパラフィンワックスエマルジョン、アルキルケテンダイマー、アルケニルコハク酸無水物、ロジン、シリコン樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸系共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル系共重合体、スチレン−マレイン酸−マレイン酸エステル系共重合体、オレフィン−マレイン酸系共重合体などが挙げられ、本実施例および比較例ではスチレン−アクリル酸系共重合体を使用した。
【0024】インク定着剤インク定着剤としては、水溶性タイプのカチオン性樹脂インク定着剤が使用される。水溶性タイプのカチオン性樹脂インク定着剤としては、たとえばジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系インク定着剤、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系インク定着剤、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ジアリルアミン塩・SO2共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物等のポリカチオン系インク定着剤等が挙げられ、本実施例および比較例では、変性ポリアミン系インク定着剤を使用した。
【0025】内添填料炭酸カルシウム単独で使用、又は、炭酸カルシウムとタルクを併用した。
【0026】10秒コブサイズJISP−8140に規定されたコッブ法による10秒サイズ度である。
【0027】静摩擦抵抗値紙のJISL−1095に規定される静摩擦抵抗値である。
【0028】インク吸収時間J.TAPPI No.33に規定された「吸水速度試験方法(滴下法)」に準拠し、サイテックス社製のインク(型番:1069)を1μ1滴下して吸水時間を測定した。
【0029】印字鮮明度キャノン(株)製のインクジェットプリンタ(型番:BJシリーズ)を使用し、印字モードを普通紙:文書にして、サイテックス社製のインク(型番:1069)でアルファベットおよび数字を印字した時のにじみ(繊維に沿ってインクが流れる現象)の有無を目視により観察し、評価した。
〇:にじみ無し×:にじみ有り【0030】インク裏抜けキャノン(株)製のインクジェットプリンタを使用し、印字モードを文書:パターンにして、サイテックス社製のインク(型番:1069)でベタ印字した後、裏面へのインク抜けの有無を目視により観察し、評価した。
◎:裏抜け無し〇:裏抜け殆ど無し△:裏抜け若干有り【0031】インク発色キャノン(株)製のインクジェットプリンタを使用し、印字モードを文書:パターンにして、サイテックス社製のインク(型番:1069)でベタ印字した後、ベタ印字部の濃度をインク濃度計(Macbeth社製)により計測して評価した。
◎:インク濃度 1.20以上〇:インク濃度 1.00〜1.19×:インク濃度 1.00未満【0032】インク乾燥性キャノン(株)製のインクジェットプリンタを使用し、印字モードを文書:パターンにして、サイテックス社製のインク(型番:1069)でベタ印字した後、5秒後にベタ部を指でこすり、指へのインク付着度合いを目視にて判断した。
◎:指の汚れなし〇:殆ど汚れない×:指が汚れる【0033】紙の搬送性キャノン(株)製のインクジェットプリンタを使用し、印字モードを文書:パターンにして、500枚を連続印字を行い、紙のゆがみ、詰まりの有無を判断した。
○:紙のゆがみ、詰まりなし×:1枚以上紙のゆがみ、詰まりが生じた【0034】
【発明の効果】次に本願発明の効果について説明すると、本願発明の構成よりなるインクジェット記録用紙は、高速インクジェット適性が良好であり、かつ良好なインク乾燥性をもつとともに、良好な発色性と耐水性を有するものである。また、本願発明のインクジェット記録用紙を使用した場合は、バーコード読み取り率90%以上(ほぼ100%)であり、それに加えて封入封緘適性も良好であるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
【住所又は居所】愛媛県伊予三島市紙屋町2番60号
【出願日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【代理人】 【識別番号】100075731
【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
【公開番号】 特開2003−326831(P2003−326831A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−135347(P2002−135347)