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【発明の名称】 前処理液の吐出検査方法並びに検査液塗布具及び検査シート
【発明者】 【氏名】柴谷 正也
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】寺尾 幸一
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】大西 弘幸
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】前処理液の吐出検査を容易に行うことができる吐出検査方法並びに検査液塗布具及び検査シートを提供すること。

【解決手段】本発明の前処理液の吐出検査方法は、記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させる前処理工程、及び該前処理工程で該前処理液が付着された該被記録面に対し、顔料インクによりインクジェット記録を行う記録工程を備えたインクジェット記録方法の実施に先立って行われるもので、上記顔料インク凝集剤に対して呈色反応する検査液を、検査用記録媒体の被記録面に塗布し、該検査液が塗布された該被記録面に対し、上記記録ヘッドより上記前処理液を吐出・付着させ、該被記録面の呈色の状況を目視で検査する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させる前処理工程、及び該前処理工程で該前処理液が付着された該被記録面に対し、顔料インクによりインクジェット記録を行う記録工程を備えたインクジェット記録方法における上記前処理液の吐出検査方法であって、上記顔料インク凝集剤に対して呈色反応する検査液を、検査用記録媒体の被記録面に塗布し、該検査液が塗布された該被記録面に対し、上記記録ヘッドより上記前処理液を吐出・付着させ、該被記録面の呈色の状況を目視で検査する前処理液の吐出検査方法。
【請求項2】 上記顔料インク凝集剤が、Ca2+、Cu2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+、Ba2+、Ni2+及びAl3+からなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属イオンであり、上記検査液が、アリザリン及びアンモニアを含有する請求項1記載の前処理液の吐出検査方法。
【請求項3】 上記顔料インク凝集剤が金属イオンMg2+であり、上記検査液が、p−ニトロベンゼンアゾレゾルシン、水酸化ナトリウム及びシアン化カリウムを含有する請求項1記載の前処理液の吐出検査方法。
【請求項4】 請求項1記載の前処理液の吐出検査方法における上記検査液の塗布に用いる検査液塗布具であって、アリザリン及びアンモニアを含有する検査液を筆記用インクとする筆記用具形状の検査液塗布具。
【請求項5】 請求項1記載の前処理液の吐出検査方法における上記検査液の塗布に用いる検査液塗布具であって、p−ニトロベンゼンアゾレゾルシン、水酸化ナトリウム及びシアン化カリウムを含有する検査液を筆記用インクとする筆記用具形状の検査液塗布具。
【請求項6】 記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させる前処理工程、及び該前処理工程で該前処理液が付着された該被記録面に対し、顔料インクによりインクジェット記録を行う記録工程を備えたインクジェット記録方法における上記前処理液の吐出検査方法であって、上記顔料インク凝集剤に対して呈色反応する呈色剤を含有する検査シートを用い、該検査シートに対し、上記記録ヘッドより上記前処理液を吐出・付着させ、その呈色の状況を目視で検査する前処理液の吐出検査方法。
【請求項7】 請求項6記載の前処理液の吐出検査方法で用いる検査シートであって、シート状基材に、呈色剤としてアリザリン及び/又はp−ニトロベンゼンアゾレゾルシンを含有する塗被組成物を塗布してなる検査シート。
【請求項8】 上記呈色剤を1〜50重量%含有する請求項7記載の検査シート。
【請求項9】 アンモニア、水酸化ナトリウム、シアン化カリウム及びエタノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の助剤を含有する請求項7又は8記載の検査シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料インクによるインクジェット記録の前に、記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させるインクジェット記録方法の実施に先立って行われる、該前処理液の吐出検査方法並びに検査液塗布具及び検査シートに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、記録ヘッドの微小なノズルから画像データに応じてインクの液滴を吐出させ、記録媒体に付着させて印字を行う記録方式である。インクジェット記録用のインクとしては、染料や顔料等の着色剤を水やアルコール等を含む水性媒体中に溶解又は分散させたものが一般的であり、染料インクと顔料インクとに大別される。これまで、色再現性や吐出安定性等に優れる染料インクが多用されてきたが、インクジェット記録技術のデジタル写真サービスや商業印刷等への用途拡大により、記録画像の長期保存性が重要視されるようになってきており、染料インクに比して耐水性や耐光性等に優れる顔料インクが使用されるようになってきている。
【0003】インクジェット記録用インクの画質面での技術的課題としては、特に普通紙(非塗工紙)に記録を行った場合にインクが普通紙の内部に浸透してしまい十分な画像濃度が得られない;記録媒体表面の填料やサイズ剤等の不均一な分布に起因すると考えられる画像濃度の不均一(いわゆる印刷ムラ)が生じる;カラー画像において、異色の境界部分で色が滲んだり、不均一に混ざり合ったりする(いわゆるカラーブリード)等が挙げられる。
【0004】上記の課題を解決する方法として、特開平10-120956号公報には、顔料インクの打ち込みに先立って、記録媒体の被記録面に、インク凝集能を有する前処理液を、インクジェットプリンタの記録ヘッドより吐出させる方法が開示されている。この方法は、被記録面上でインクと接触した前処理液が、インク成分の分散状態を破壊して凝集物を形成し、着色剤(顔料)が記録媒体中に浸透するのを抑制すると共に、未反応の前処理液成分が、記録媒体上で皮膜を形成して着色剤の記録媒体への定着を促進することにより、高い色濃度で、カラーブリードや印刷ムラのない高品位の画像を実現するものと考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の前処理液を用いたインクジェット記録方法では、記録ヘッドから前処理液を確実に吐出させ、記録媒体の被記録面に確実に付着させることが重要である。そこで、該インクジェット記録方法の実施に先立って、記録ヘッドから前処理液が正常に吐出されるかどうかを検査する必要がある。特に、大判のポスターを印刷したり、多数枚の印刷物を作成するような印刷用途、例えば、商業印刷用途などにおいては、前処理液の吐出検査は、欠くことの出来ない作業となっている。
【0006】ところで、前処理液の吐出検査は、実際に使用する記録ヘッドから、記録媒体に対して前処理液を所定量吐出させ、該記録媒体に前処理液が所定量付着したかどうかを目視で確認することにより行われる。しかし、この種の前処理液は、一般に無色透明であるため、前処理液の付着状況を目視で確認し難く、吐出検査が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】従って、本発明の目的は、前処理液の吐出検査を容易に行うことができる吐出検査方法並びに検査液塗布具及び検査シートを提供することにある。
【0008】本発明は、記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させる前処理工程、及び該前処理工程で該前処理液が付着された該被記録面に対し、顔料インクによりインクジェット記録を行う記録工程を備えたインクジェット記録方法における上記前処理液の吐出検査方法であって、上記顔料インク凝集剤に対して呈色反応する検査液を、検査用記録媒体の被記録面に塗布し、該検査液が塗布された該被記録面に対し、上記記録ヘッドより上記前処理液を吐出・付着させ、該被記録面の呈色の状況を目視で検査する前処理液の吐出検査方法、及び該吐出検査方法における上記検査液の塗布に好適に用いられる筆記用具形状の検査液塗布具を提供するものである。
【0009】また、本発明は、記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させる前処理工程、及び該前処理工程で該前処理液が付着された該被記録面に対し、顔料インクによりインクジェット記録を行う記録工程を備えたインクジェット記録方法における上記前処理液の吐出検査方法であって、上記顔料インク凝集剤に対して呈色反応する呈色剤を含有する検査シートを用い、該検査シートに対し、上記記録ヘッドより上記前処理液を吐出・付着させ、その呈色の状況を目視で検査する前処理液の吐出検査方法、及び該吐出検査方法で用いる検査シートを提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、先ず、本発明の前処理液の吐出検査方法で用いる検査液について説明する。
【0011】上記検査液は、前処理液中に含有されている顔料インク凝集剤に対して呈色反応するもので、呈色剤を必須成分として含有する。
【0012】上記呈色剤としては、顔料インク凝集剤として一般的に使用される金属イオン(後述する)に対して呈色反応するものが好ましく用いられる。具体的には、アリザリン(1,2−ジヒドロキシアントラキノン)及びp−ニトロベンゼンアゾレゾルシンが挙げられ、使用する顔料インク凝集剤(金属イオン)に応じて適宜選択する。呈色剤の含有量は、目視で呈色状況を観察できる程度であればよく、呈色剤の種類に応じて適宜調整すればよいが、前処理液の重量に対して、0.1〜15重量%程度が好ましい。
【0013】また、上記検査液には、上記呈色剤に加えて、呈色反応の助剤として、アンモニア、水酸化ナトリウム、シアン化カリウム、アルコール(エタノール)等を適宜含有させることができる。助剤の含有量は、その目的に応じて適宜調整すればよい。
【0014】下記表1に、呈色剤及び助剤の好ましい組み合わせを示す。表1の左欄に挙げられている顔料インク凝集剤(金属イオン)を使用する場合は、その右欄に挙げられた呈色剤及び助剤を用いることが好ましい。
【0015】
【表1】

【0016】上記検査液は、水を主溶媒とする。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理された水は、カビやバクテリアの発生を防止して長期保存を可能とする点で好ましい。
【0017】また、上記検査液には、上記呈色剤の溶解助剤として、必要に応じ、水酸化ナトリウム、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エーテル、アセトン、ベンゼン、ピリジン等の1種又は2種以上を含有させることができる。
【0018】さらに、上記検査液には、該検査液の塗布性や取扱性などの向上のため、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の有機溶剤の1種又は2種以上、及び/又は界面活性剤、防黴剤、防腐剤、増粘剤、流動性改良剤、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種又は2種以上を含有させることができる。
【0019】本発明の吐出検査方法は、上記検査液を、検査用記録媒体の被記録面に塗布し、該検査液が塗布された該被記録面に対し、インクジェット記録で実際に使用する記録ヘッドより前処理液を吐出・付着させ、該被記録面の呈色の状況を目視で検査することにより行われる。
【0020】上記検査用記録媒体としては、実際のインクジェット記録で使用する記録媒体(後述する)と同じものが好ましいが、検査液を塗布することができ且つ呈色反応を目視で観察できるものであればよく、特に制限されない。
【0021】上記検査液の検査用記録媒体への塗布方法は、特に制限されず、例えば、刷毛等の塗布具を用いて手動で行う塗布方法や、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、フローティングナイフコーター、コンマコーター、ダイコーター、ゲートロールコーター、サイズプレス装置等の公知の塗工装置を用いて接触方式で塗布する方法や、スプレー、インクジェットヘッド、ジェットノズル等を用いて非接触方式で塗布する方法等を採ることができる。
【0022】また、手動で検査液を塗布する場合の検査液塗布具として、図1に示すような、筆記用具形状の検査液塗布具を用いることもできる。この検査液塗布具は、上記検査液を筆記用インクとする点以外は、油性あるいは水性インクが充填された通常のサインペンと同様に構成されている。このような筆記用具形状の検査液塗布具は、携帯が可能であり、また、使い勝手も良いので、吐出検査作業に好適に用いられる。該筆記用インク(検査液)には、筆記用インク適性を付与するため、必要に応じ、染料や顔料などの着色剤、グリセリン等の湿潤剤、各種乾燥防止剤等を適宜含有させることができる。
【0023】上記検査液は、検査用記録媒体の被記録面の全面に塗布することが好ましい。また、検査液の塗布量は、使用する呈色剤の種類などに応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、固形分換算で0.01〜15g/m2程度が好ましい。
【0024】上記のようにして検査液が塗布された検査用記録媒体を、インクジェット記録で実際に使用するインクジェットプリンタに常法通りセットし、これを稼働させて、該検査用記録媒体の被記録面の所定箇所あるいは全面に対し、前処理液を実際に吐出させる記録ヘッドより該前処理液を吐出させる。前処理液の吐出が正常に行われれば、該被記録面の該所定箇所あるいは全面に呈色反応を観察することができる。ジェットノズルの目詰まりが起きた場合は、その時該記録ヘッドの直下にあった部分に前処理液が付着しないので、該部分に呈色反応が観られない。また、呈色反応が観られても、その呈色度合いが低い(色が薄い)場合は、吐出不良・不調と判断できる。
【0025】尚、上記被記録面上で観察される呈色反応は、使用する検査液及び顔料インク凝集剤(金属イオン)により異なる。例えば、アリザリン及びアンモニアを含有する検査液を使用した場合、これを白地の検査用記録媒体の被記録面に塗布すると、該被記録面は淡黄色となる。そして、この被記録面に、Ca2+が付着すると青色となり、Cu2+が付着すると紫色となり、Mg2+が付着すると青色となり、Zn2+が付着すると紫色となり、Sr2+が付着すると青色となり、Ba2+が付着すると淡青色となり、Ni2+が付着すると紫青色となり、Al3+が付着すると紅色となる。また、p−ニトロベンゼンアゾレゾルシン、水酸化ナトリウム及びシアン化カリウムを含有する検査液を使用した場合、これを白地の検査用記録媒体の被記録面に塗布すると、該被記録面は淡赤色となる。そして、この被記録面に、Mg2+が付着すると青色となる。
【0026】また、本発明の吐出検査方法は、上記顔料インク凝集剤に対して呈色反応する呈色剤を含有する検査シートを用い、該検査シートに対し、インクジェット記録で実際に使用する記録ヘッドより前処理液を吐出・付着させ、その呈色の状況を目視で検査することにより行うこともできる。以下、この検査シートについて説明する。
【0027】上記検査シートとしては、シート状基材に、上記呈色剤(アリザリン及び/又はp−ニトロベンゼンアゾレゾルシン)を含有する塗被組成物を塗布して作成したものを用いることができる。シート状基材としては、上記検査用記録媒体と同様のものを用いることができる。
【0028】上記塗被組成物としては、上記検査液と同様の組成のものを用いることができる。塗被組成物は、上記シート状基材の被記録面の全面に塗布することが好ましい。塗布量は、固形分換算で、好ましくは0.01〜15g/m2である。塗布方法は、上記検査液の塗布と同様の方法でよく、塗布後は、熱風式、赤外線式等の各種乾燥装置を用いて乾燥させる。
【0029】上記検査シート中における上記呈色剤の含有量は、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。
【0030】次に、本発明の吐出検査方法の対象となるインクジェット記録方法について説明する。
【0031】上記インクジェット記録方法は、記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させる前処理工程、及び該前処理工程で該前処理液が付着された該被記録面に対し、顔料インクによりインクジェット記録を行う記録工程を備える。
【0032】上記前処理工程で使用する前処理液は、水に、Ca2+、Cu2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+、Ba2+、Ni2+、Al3+等の上記顔料インク凝集剤(金属イオン)を含む金属塩を添加し、これを十分に攪拌することにより調製することができる。該金属塩は、該金属イオンと、これに結合する陰イオン、例えば、Cl-、NO3-、I-、Br-、ClO3-、CH3COO-、F-、SO42-、SO32-、CO32-、SiO44-、C65SO3-等とから構成される。該金属塩としては、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。該金属塩の添加量は、特に制限されないが、通常、水の重量に対して3〜30重量%程度である。
【0033】上記前処理液には、記録ヘッドから安定して吐出される吐出安定性や、記録媒体への浸透性等の特性の向上のため、必要に応じ、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の有機溶剤の1種又は2種以上、及び/又は紫外線吸収剤、光安定剤、消光剤、酸化防止剤、耐水化剤、防黴剤、防腐剤、増粘剤、流動性改良剤、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種又は2種以上を含有させることができる。
【0034】また、上記記録工程で使用する顔料インクは、インクジェット記録で使用できるものであればよく、特に制限されない。インクジェット記録用の顔料インクは、水に、着色剤として顔料を含有させたものが一般的であり、通常、保湿や浸透調整等のため、更に各種有機溶剤や界面活性剤等が含有されている。カラー画像を形成する場合は、イエロー、マゼンタ及びシアンの減法混色の3原色のインク、あるいはこれにブラックその他の色のインクを加えた4色以上のインクを用いる。
【0035】また、上記インクジェット記録方法で使用する記録媒体は、普通紙などの非塗工紙や、インクジェット記録用紙などの塗工紙など、インクジェット記録で通常使用できるものであればよく、特に制限されない。インクジェット記録用紙は、特に高画質の画像が要求される場合に使用されるもので、一般に、紙やフィルム等の基材上に、多孔性無機粒子を主成分とするインク受容層を設けた構成となっている。多孔性無機粒子としては、多孔性非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が好ましく用いられ、その含有量は、インク受容層の乾燥重量に対して、40〜90重量%程度である。インク受容層には、通常、必要な塗膜強度の確保のため、ポリビニルアルコール等のバインダー樹脂も含有される。インクジェット記録用紙は、インク受容層の質感、風合いなど(表面性)により、マット調、光沢調などに分類されるが、上記インクジェット記録方法では、何れのインクジェット記録用紙でも問題なく使用できる。
【0036】上記インクジェット記録方法は、公知のインクジェット方式の記録装置(インクジェットプリンタ)を用いて実施することができる。インクジェット方式には、ノズルから一定時間間隔でインクを吐出し続け、吐出されたインク液滴を偏向させることにより画像を形成するコンティニュアス方式と、画像データに対応してインクを吐出させるオンデマンド方式とがあり、何れの方式でもよいが、細かい打ち込み制御が可能、廃液量が少ない等の点で、オンデマンド方式が好ましい。また、インク吐出制御方式には、圧電素子を用いて電圧により制御する方式や、発熱抵抗素子を用いて熱エネルギーにより制御する方式等があるが、特に制限されない。
【0037】上記インクジェット記録方法は、例えば、次のようにして実施することができる。
【0038】図1は、本実施形態のインクジェット記録方法の実施に使用するインクジェットプリンタの要部の斜視図である。図1に示すプリンタ10は、紙送りモータ11で駆動されるプラテンローラ12により記録媒体Mを矢標A方向に搬送し、キャリッジ13上に搭載された記録ヘッド20が、記録媒体Mの被記録面に、インクタンク30から供給される前処理液及び各色顔料インクをそれぞれ吐出した後、これを搬出するようになしてある。キャリッジ13は、キャリッジベルト14を介してキャリッジモータ15に連結されており、ガイドレール16上を摺動して、矢標A方向と直交する矢標B1又はB2方向に往復走査するようになっている。
【0039】図2は、記録ヘッド20のノズル面20aの拡大図である。図2中、21及び26は前処理液を吐出するノズル列であり、22,23,24,25は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の顔料インクを吐出するノズル列である。このように、主走査方向の両端のノズル列を前処理液用とすることで双方向(B1及びB2)印字が可能となり、印字高速性が上がる。
【0040】このような構成の記録ヘッド20は、矢標B1方向に走査される場合は、記録媒体Mの被記録面に対し、先ず、ノズル列21より前処理液をベタ打ちして帯状の処理液付着領域を形成していき(前処理工程)、続いて、該処理液付着領域に対して、受信した画像データに基づき、ノズル列22,23,24,25よりY、M、C、Kの各色顔料インクを順次打ち込んでインクジェット記録を行う(記録工程)。矢標B1方向への走査では、ノズル列26は使用しない。記録ヘッド20は、記録領域の矢標B1方向の終端に到達し、記録媒体Mが処理液付着領域の幅に略等しい送り量でプラテンローラ12により矢標A方向に搬送された後、矢標B2方向に走査される。矢標B2方向に走査される場合は、先ず、ノズル列26より前処理液をベタ打ちして帯状の処理液付着領域を形成していき(前処理工程)、続いて、該処理液付着領域に対して、ノズル列25,24,23,22よりK、C、M、Yの各色顔料インクを順次打ち込んでインクジェット記録を行う(記録工程)。矢標B2方向への走査では、ノズル列21は使用しない。このような記録ヘッド20の双方向(B1及びB2方向)走査と、紙送り動作とが繰り返されることにより、上記インクジェット記録方法が実施され、所望の記録物が作成される。
【0041】尚、本発明の前処理液の吐出検査方法の対象となるインクジェット記録方法は、記録媒体の被記録面に対し、顔料インク凝集剤を含有する前処理液を記録ヘッドより吐出・付着させる前処理工程、及び該前処理工程で該前処理液が付着された該被記録面に対し、顔料インクによりインクジェット記録を行う記録工程を備えていればよく、使用する顔料インクの種類や数、インクジェットプリンタの具体的構成、記録ヘッドの前処理液吐出用ノズル列の配置パターン、記録媒体に対する前処理液の吐出パターン等は、上記実施形態に制限されるものではない。
【0042】また、本発明の検査液塗布具は、上記検査液、例えば、アリザリン及びアンモニアを含有する検査液、あるいはp−ニトロベンゼンアゾレゾルシン、水酸化ナトリウム及びシアン化カリウムを含有する検査液などを筆記用インクとする筆記用具形状の検査液塗布具であればよく、その形状等は、図1に示すものに制限されず、種々の変更が可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、前処理液の吐出検査を容易に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成14年5月16日(2002.5.16)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
【公開番号】 特開2003−326828(P2003−326828A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−142132(P2002−142132)