| 【発明の名称】 |
インクジェット用保護層転写フィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】海江田 晃彰 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
【氏名】半村 昌弘 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
【氏名】水谷 肇 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
【氏名】大西 弘幸 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】インクジェット記録物本来の画質や風合いなどを低下させることなく、該記録物の画像面上に高光沢の保護層を形成することができ、耐熱性フィルムと転写性保護層との間の密着性、転写性保護層の記録物への転写容易性、耐ブロッキング性、経時保存性にも優れたインクジェット用保護層転写フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明のインクジェット用保護層転写フィルム1は、耐熱性フィルム2上に剥離自在に形成され、インクジェット記録方式により画像が形成された記録物上に熱転写される転写性保護層3を有する。該転写性保護層3は、最低造膜温度の異なる複数の水系樹脂エマルションから形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耐熱性フィルム上に剥離自在に形成され、インクジェット記録方式により画像が形成された記録物上に熱転写される転写性保護層を有するインクジェット用保護層転写フィルムにおいて、上記転写性保護層が、最低造膜温度の異なる複数の水系樹脂エマルションから形成されていることを特徴とするインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項2】 複数の上記水系樹脂エマルションが、最低造膜温度50℃以上の水系樹脂エマルションの1種以上と、最低造膜温度50℃未満の水系樹脂エマルションの1種以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項3】 上記転写性保護層中における、最低造膜温度50℃以上の上記水系樹脂エマルション由来の樹脂の含有量が、20重量%以上であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項4】 上記転写性保護層中における、最低造膜温度50℃未満の上記水系樹脂エマルション由来の樹脂の含有量が、80重量%以下であることを特徴とする請求項2又は3記載のインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項5】 複数の上記水系樹脂エマルションが、アクリル共重合体及び/又はアクリル−スチレン共重合体を分散質とする水系樹脂エマルションであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項6】 上記転写性保護層の厚みが2〜50μmであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項7】 上記耐熱性フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンの何れかからなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項8】 上記耐熱性フィルムの厚みが3〜50μmであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のインクジェット用保護層転写フィルム。 【請求項9】 上記記録物が、顔料インクにより画像が形成された顔料インク記録物であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のインクジェット用保護層転写フィルム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録方式によって画像が形成されたインクジェット記録物の該画像を保護層で被覆し、その光沢、画質、保存性などを向上させ得るインクジェット用保護層転写フィルムに関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録方式は、記録ヘッドの微小なジェットノズルから画像データに応じてインクの液滴を吐出させ、記録媒体に付着させて印字を行う印刷方式である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、高光沢、高画質、且つ高保存性のインクジェット記録物が得られるようになっているが、銀塩写真に匹敵するには到っていないのが現状である。最近では、銀塩写真に匹敵する高保存性を達成するため、インクジェット記録用のインクとして、染料インクに比して耐水性や耐光性等に優れる顔料インクが使用されるようになってきている。 【0003】顔料インクを使用したインクジェット記録の技術的課題として、特に記録媒体として高光沢メディアを使用した場合に、いわゆる光沢ムラが発生するという問題があった。光沢ムラは、地部分(メディア自体の光沢が現れる非印刷部分)と印刷部分との間、あるいは印刷部分の中においても複数の色間や同色でも濃淡間で、光沢差が生じる現象である。また、顔料インクにより画像が形成された記録物(顔料インク記録物)は、銀塩写真に比して、目視した場合の画像の鮮明性に劣るという問題もあった。さらに、顔料インク記録物の画像は、記録物の表層に付着した顔料粒子により形成されているため、他の物と擦れたりすると画像が剥げたり汚れたりすることがあり、耐擦過性に問題がある場合も多い。 【0004】このような顔料インク記録物の問題を解決する方法として、画像が形成された画像面上に、透明フィルム等の樹脂層を形成することが考えられる。この樹脂層の形成方法については、主に染料インク記録物を対象として多数の方法が提案されており、ポリエチレンやポリプロピレンを溶融ラミネートする方法や、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムを貼り合わせによりラミネートする方法等がよく知られている。しかし、これらのラミネート法では、樹脂層に、いわゆるピンホールを生じさせず且つ通常の使用条件で画像面から剥がれない程度の接着性や密着性を付与するために、該樹脂層をある程度厚くせざるを得ないところ、そのような厚みの樹脂層では、画質が低下し、不快なギラツキが生じたり、カールが生じる等の問題があった。 【0005】上記ラミネート法の改良技術として、特開昭60−23096号公報、特開昭60−189486号公報及び特開昭61−230973号公報には、フィルム上に剥離可能に保護層(樹脂層)が設けられた保護層転写フィルムを用い、該保護層を記録物の画像面上に熱転写することにより、該画像上に簡便に保護層を設ける方法が開示されている。また、特開平8−174989号公報には、記録物に、耐熱性フィルムを介して溶融転写された熱可塑性樹脂を主成分とする転写オーバーコート層を設ける方法が開示されている。このような保護層(樹脂層)転写フィルムを用いた熱転写法によれば、上記ラミネート法に比して薄膜の樹脂層を形成することが可能となるため、画質低下を招くことなく、顔料インク記録物の光沢ムラや画像鮮明性及び耐擦過性の弱さを解消することができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】耐熱性フィルム上に転写性保護層が剥離自在に形成された、従来の熱転写法用の保護層転写フィルムは、保護層の記録物への転写容易性を追究するあまり、耐熱性フィルムと転写性保護層との密着性が不十分となり、スリット時や熱転写作業時に耐熱性フィルムから転写性保護層が剥がれたり、脱落したりするという問題があった。一方で、転写性保護層を耐熱性フィルムとの密着性に優れたものとすると、記録物への光沢付与効果に劣るという問題があり、転写容易性及び光沢付与効果の両方に優れた保護層転写フィルムは未だ提供されていない。また、従来の保護層転写フィルムは、転写性保護層が経時的に劣化して表面がべたつくことがあるため、巻回されてロール形態で保管されている時などに、表面がべたついた転写性保護層が接触する耐熱性フィルムの裏面にくっついたり、ひどい場合には該裏面に転移したりする、いわゆるブロッキングを起こすという問題もあった。 【0007】従って、本発明の目的は、インクジェット記録物、特に顔料インク記録物本来の画質や風合いなどを低下させることなく、該記録物の画像面上に高光沢の保護層を形成することができ、耐熱性フィルムと転写性保護層との間の密着性、転写性保護層の記録物への転写容易性、耐ブロッキング性、経時保存性にも優れたインクジェット用保護層転写フィルムを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱転写法に適したインクジェット用保護層転写フィルムについて種々検討した結果、該保護層転写フィルムを構成する転写性保護層を、最低造膜温度の異なる複数の水系樹脂エマルションから形成することにより、好ましくは、最低造膜温度50℃以上の水系樹脂エマルションの1種以上及び最低造膜温度50℃未満の水系樹脂エマルションの1種以上から形成することにより、転写容易性及び高光沢付与効果を両立させることができ、経時保存性にも優れた保護層転写フィルムが得られることを知見した。 【0009】本発明は、上記知見に基づきなされたもので、耐熱性フィルム上に剥離自在に形成され、インクジェット記録方式により画像が形成された記録物上に熱転写される転写性保護層を有するインクジェット用保護層転写フィルムにおいて、上記転写性保護層が、最低造膜温度の異なる複数の水系樹脂エマルションから形成されていることを特徴とするインクジェット用保護層転写フィルムを提供することにより、上記目的を達成したものである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明のインクジェット用保護層転写フィルム(以下、転写フィルムともいう)について詳細に説明する。 【0011】図1は、本発明の転写フィルムの一実施形態の断面模式図である。この転写フィルム1は、耐熱性フィルム2と、該耐熱性フィルム2上に剥離自在に形成され、インクジェット記録方式により画像が形成された記録物上に熱転写される転写性保護層3とから構成されている。 【0012】耐熱性フィルム2としては、熱転写時における所定の加熱加圧条件下で形状を安定して維持できる程度の耐熱性を有するものが用いられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン(TPX)等の樹脂フィルム;アルミ箔等の金属箔;アルミ蒸着フィルム、アルミ箔貼り合わせフィルム等が好ましく用いられる。該樹脂フィルムは、転写性保護層3を構成する樹脂よりも軟化点が高い樹脂からなるものが好ましい。 【0013】耐熱性フィルム2の厚みは、熱転写時における熱伝導性及び転写性保護層3と記録物表面との密着性を考慮すると、出来るだけ薄いことが好ましいが、薄過ぎると、取扱いが困難となるばかりか、熱転写時に転写性保護層3にシワが入ったり、転写性保護層3と記録物との間に気泡が入るおそれがあるため好ましくない。このような観点から、耐熱性フィルム2の厚みとしては3〜50μmが好ましく、10〜30μmが更に好ましい。 【0014】耐熱性フィルム2は、必要に応じ、セラミック微粒子を含有させたり、表面にポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、セルロース樹脂やヒドロキシエチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、シリコーン変性樹脂、長鎖アルキル変性樹脂等の耐熱性樹脂を塗布したりすることにより、耐熱性を更に高めることも可能である。また、耐熱性フィルム2の転写性保護層3が形成される面に対し、シリコーン等を用いた離型処理、帯電防止処理、コロナ放電処理、エンボス処理等の各種表面処理を施すことにより、転写容易性、静電気による埃の付着防止、転写性保護層の表面の意匠性の向上等を図ることもできる。 【0015】転写性保護層3は、最低造膜温度(JIS K6800に準拠。以下、MFTという)の異なる複数の水系樹脂エマルションから形成されている。水系樹脂エマルションは、樹脂を分散質とし、水を主要な分散媒とする樹脂分散液であり、該樹脂は、該分散媒中にほぼ球形の樹脂微粒子として均一分散している。 【0016】特に、転写性保護層3は、MFT50℃以上、好ましくはMFT50〜250℃、更に好ましくは60〜150℃の水系樹脂エマルション(以下、第1エマルションという)の1種以上と、MFT50℃未満、好ましくはMFT45℃未満、更に好ましくは40℃未満の水系樹脂エマルション(以下、第2エマルションという)の1種以上から形成されることが好ましい。第1エマルション及び第2エマルションは、互いに混合して使用される。 【0017】上記第1エマルション中の樹脂のガラス転移温度(Tg)は、MFTを上記所定範囲とすると共に、転写性保護層3に良好な転写性、耐熱性、塗膜強度等を付与する観点から、好ましくは20〜150℃、更に好ましくは30〜120℃、一層好ましくは40〜100℃である。また、同様の観点から、上記第2エマルション中の樹脂のTgは、好ましくは−50〜40℃、更に好ましくは−40〜40℃、一層好ましくは−30〜30℃である。このように、MFTの異なる複数の水系樹脂エマルションから形成された本発明に係る転写性保護層は、Tgの異なる複数の樹脂から形成されており、各Tgの範囲は、上記の通りである。 【0018】上記第1エマルション及び上記第2エマルションの配合比率は、転写性保護層3の耐熱性フィルム2との密着性及び転写容易性、並びに転写性保護層3が記録物上に熱転写されて保護層となったときの該保護層の光沢感及び耐ブロッキング性などに対する要求レベルに応じて適宜調整すればよい。これらの各特性をバランスよく発揮させたい場合は、転写性保護層3中における第1エマルション由来の樹脂の含有量(第1エマルションが2種以上ある場合はそれらの合計量)を、20重量%以上とすることが好ましく、20〜50重量%とすることが更に好ましい。第1エマルション由来の樹脂の含有量が20重量%未満では、特に耐ブロッキング性及び光沢感の点で、十分な改善効果が得られないおそれがある。また、転写性保護層3中における第2エマルション由来の樹脂の含有量(第2エマルションが2種以上ある場合はそれらの合計量)は、80重量%以下とすることが好ましく、50〜80重量%とすることが更に好ましい。第2エマルション由来の樹脂の含有量が80重量%超では、耐ブロッキング性が低下するおそれがある。 【0019】上記水系樹脂エマルションとしては、被熱転写層に通常求められる程度の熱転写性、耐熱性、透明性、耐熱性フィルム2に対する密着性等を有し、化学的・物理的バリヤ性のある塗膜を形成し得るものが用いられる。好ましい水系樹脂エマルションとして、アクリル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体及びアクリル−シリコーン共重合体からなる群から選ばれる1種以上を分散質とするものが挙げられる。特に、転写容易性及び密着性等の観点から、アクリル共重合体及び/又はアクリル−スチレン共重合体を分散質とする水系樹脂エマルションを用いることが好ましい。 【0020】上記水系樹脂エマルションは、ラジカル重合可能な単量体を、乳化剤や重合開始剤の存在下、水中で重合させることにより得られる。該単量体の例として、下記のものが挙げられる。 【0021】メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類; 【0022】N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、2−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、2−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノアルキル基含有アクリルアミド類; 【0023】2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロキシプロピオキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル]プロパン、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類; 【0024】スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、3、4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、ケイ皮酸ニトリル等のシアノ基含有不飽和単量体類; 【0025】(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、ヘキサヒドロフタル酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有不飽和単量体あるいはその無水物類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステル等のハロゲン化ビニル化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、チッソ(株)製のサイラプレーンFM0711(商品名)等の重合性シリコーン類; 【0026】2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基含有(メタ)アクリレート類;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート等の光安定化基を有する(メタ)アクリレート類。 【0027】上記単量体の重合方法は、生成される重合体が粒子として水系媒体中に分散される限り特に限定されるものではないが、乳化重合が好ましい。 【0028】乳化重合を行う場合は、上記単量体の他に、必要に応じ、各種乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤、電解質、pH調整剤などを併用する。作業性、防災安全性、環境安全性及び製造安全性を損なわない範囲で、少量の溶剤を用いることもできる。乳化剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤や、ヒドロキシル基含有水溶性高分子以外の水溶性重合体等を用いることができる。 【0029】乳化重合は、重合転化率が95%以上となるような条件で行うことが好ましい。例えば、単量体100重量部に対して、水100〜1000重量部を使用し、乳化剤及び重合開始剤などを併用して、重合温度5〜100℃、好ましくは40〜90℃、重合時間0.1〜10時間の条件で乳化重合を行うことができる。 【0030】重合方式としてはバッチ方式、単量体を分割若しくは連続して添加する方式、単量体のプレエマルションを分割若しくは連続して添加する方式、又はこれらの方式を段階的に組み合わせた方式等を採用することができる。水溶性の低い単量体を使用する場合は、高圧ホモジナイザーや超音波分散機を用いて予め乳化剤、エチレン性不飽和単量体、水を強制乳化させてプレエマルジョンを調整してから、バッチ重合方式、分割または連続して添加する重合方式が好ましい。 【0031】上記水系樹脂エマルションとしては、市販のものを使用することもできる。例えば、EX−40、EX−35(アクリル−スチレン共重合体エマルション、株式会社日本触媒製);5391、EC−880、5410、9470、3983、5450(アクリル−スチレン共重合体エマルション、大日本インキ化学工業株式会社製);972、870、928(アクリル−スチレン共重合体エマルション、クラリアントポリマー株式会社製);790、727、718(アクリル共重合体エマルション、クラリアントポリマー株式会社製);2598、2778、2647、2650(アクリル共重合体エマルション、日信化学株式会社製);660、520(塩化ビニル共重合体エマルション、日信化学株式会社製)等が好ましく用いられる。 【0032】転写性保護層3には、上記水系樹脂エマルション以外に、必要に応じ、染料、顔料、離型剤、湿潤剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光染料、蛍光増白剤などの各種添加剤の1種又は2種以上を含有させることができる。 【0033】上記顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、酸化チタン等の無機質粒子が挙げられる。このような無機質粒子を転写性保護層3に含有させることにより、保護層の耐ブロッキング性の更なる向上を図ることができる。また、上記離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、アマイドワックス等の固形ワックス類、リン酸エステル系等の界面活性剤、シリコーンオイル、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー等のフッ素系、シリコーン系化合物などが挙げられる。このような離型剤を転写性保護層3に含有させることにより、該転写性保護層3が転写された記録物やロール形態の転写フィルムの耐ブロッキング性の更なる向上を図ることができるが、含有量が多いと密着性や画像濃度が低下するおそれがあるため、ごく少量を含有させるに留めるのが好ましい。 【0034】転写性保護層3の厚みは、熱転写時における熱伝導性及び記録物表面との密着性を考慮すると、出来るだけ薄いことが好ましいが、薄過ぎると、光沢付与効果に劣るばかりか、熱転写時に転写性保護層3にシワが入ったり、転写性保護層3と記録物との間に気泡が入るおそれがあるため好ましくない。このような観点から、転写性保護層3の厚みとしては2〜50μmが好ましく、5〜25μmが更に好ましい。尚、転写性保護層3は、記録物上に熱転写されて保護層となっても、その厚みはほとんど変化せず、該保護層の厚みはほぼ上記範囲となる。 【0035】転写フィルム1は、複数の上記水系樹脂エマルションと、必要に応じ上記各種添加剤とを混合して塗工液を調製し、この塗工液を耐熱性フィルム2に塗工した後、乾燥させて、該耐熱性フィルム2上に転写性保護層3を形成することにより製造することができる。転写性保護層3は、通常、耐熱性フィルム2の全面に形成されるが、耐熱性フィルム2の一部に形成してもよい。塗工液の塗工は、ブレードコータ、ダイコート、リバースロールコータ、グラビヤロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス、スプレー等の各種塗工装置を用いて行うことができる。 【0036】本発明の転写フィルムは、この種の熱転写フィルムと同様に使用することができ、比較的簡素な設備で容易に、記録物上に保護層を形成することができる。 【0037】図2(a)〜(c)は、図1に示す転写フィルム1を用いた熱転写法による保護層形成工程の説明図である。尚、本実施形態では、記録物として、図2(a)に示すように、紙やフィルム等からなる基材11上に、シリカやアルミナ等の多孔性無機粒子を主成分とするインク受容層12を設けてなり、該インク受容層12上にインクジェット記録方式により画像(図示せず)が形成されたインクジェット記録物10を用いているが、本発明の転写フィルムの適用範囲は、該インクジェット記録物10に限定されるものではない。 【0038】先ず、転写フィルム1とインクジェット記録物10とを、転写性保護層3とインク受容層12とが対向するように重ね合わせて積層シート20とする(図2(b)参照)。そして、この積層シート20を、ヒートローラ、サーマルヘッド、アイロン等の公知の加熱加圧装置を用いて加熱加圧し、インク受容層12上に転写性保護層3を圧着させる。加熱温度は、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは80〜150℃である。 【0039】積層シート20の温度がある程度低下し、転写性保護層3がインク受容層12の表面にしっかりと圧着されたところで、該積層シート20から耐熱性フィルム2のみを剥離することにより、インク受容層12上に保護層3’が形成された保護層付き記録物10’が得られる(図2(c)参照)。 【0040】本発明の転写フィルムは、インクジェット記録方式により画像が形成された記録物(インクジェット記録物)に対して、上記の如き要領で使用されることにより、その効果を充分に発揮する。本発明の転写フィルムは、インクジェット記録物を特に選ばず、図2に示す如きいわゆるインクジェット記録用紙の他、アート紙やコート紙のような一般印刷用の塗工紙(インクジェット適性を特に考慮されていない塗工紙)、普通紙や上質紙や再生紙のような非塗工紙に対しても適用可能である。インクジェット記録用紙は、特に高画質の画像が要求される場合に使用されるもので、一般に、紙やフィルム等の基材上に、多孔性無機粒子を主成分とするインク受容層を設けた構成となっている。多孔性無機粒子としては、多孔性非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が好ましく用いられ、その含有量は、インク受容層中、40〜90重量%程度である。インク受容層には、通常、必要な塗膜強度の確保のため、ポリビニルアルコール等のバインダー樹脂も含有される。インクジェット記録用紙は、インク受容層の質感、風合い、表面性などにより、マット調、半光沢調、光沢調、高光沢調などに分類されるが、本発明の転写フィルムは何れのインクジェット記録用紙に対しても適用可能である。 【0041】また、上記インクジェット記録物は、染料インクにより画像が形成された染料インク記録物でもよく、顔料インクにより画像が形成された顔料インク記録物でもよい。特に、顔料インク記録物は、一般に、染料インク記録物に比して記録画像の耐光性や耐水性などに優れているので、本発明の転写フィルムを用いて更に保護層を形成することで、長期保存性に優れた記録物とすることが可能となる。尚、インクジェット記録用の染料インクや顔料インクは、水に染料や顔料などの着色剤を含有させたものが一般的であり、通常、保湿や浸透調整等のため、更に各種有機溶剤や界面活性剤等が含有されている。カラー画像を形成する場合は、イエロー、マゼンタ、シアンの減法混色の3原色のインク、あるいはこれにブラックその他の色のインクを加えた4色以上のインクを用いる。 【0042】本発明のインクジェット用保護層転写フィルムは、耐熱性フィルム上に剥離自在に形成され、インクジェット記録方式により画像が形成された記録物上に熱転写される転写性保護層を有し、該転写性保護層が、最低造膜温度の異なる複数の水系樹脂エマルションから形成されていればよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、転写性保護層は、図1に示す実施形態のように、1種類の塗工液から形成された単層構造に制限されず、複数種の塗工液を重ね塗りすることにより得られる多層構造としてもよい。多層構造の場合、多層を構成する各層が、最低造膜温度の異なる複数の水系樹脂エマルションから形成されている。 【0043】また、転写性保護層の転写性を向上させるため、耐熱性フィルムと転写性保護層との間に、コロイダルシリカ等の主成分とする、厚さ0.5〜5μm程度の離型層を設けることもできる。 【0044】また、耐熱性フィルムの裏面側(転写性保護層が設けられていない側)には、ヒートロール等の加熱加圧装置への熱融着の防止や、耐ブロッキング性の向上、給紙時における転写フィルムの滑り性を改善する等の目的で、耐熱スリップ層を設けることもできる。該耐熱スリップ層は、シリコーン樹脂等を塗布して形成することができ、厚みは、通常、0.1〜10μm程度である。 【0045】 【実施例】以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。 【0046】〔実施例1〜9及び比較例1〜3〕PETフィルム(耐熱性フィルム)の片面の全面に、複数の水系樹脂エマルションを混合して調製した塗工液を、ワイヤーバーを用いて均一な塗工量で塗工し、乾燥させて、該PETフィルム上に転写性保護層を形成した。このようにして、転写性保護層の組成等が異なる複数の転写フィルムを製造し、これらを実施例1〜9及び比較例1〜3の各サンプルとした。各サンプルにおけるPETフィルム及び転写性保護層の厚み、使用した水系樹脂エマルション及びその含有比(固形分の重量比)を下記表1に示す。 【0047】 【表1】
【0048】(インクジェット記録物の作成)市販のMCマット紙(セイコーエプソン株式会社製KA450MM)のインク受容層上に、顔料インクジェットプリンタ(商品名「MC2000」、セイコーエプソン株式会社製)を用いて自然画を印刷して、インクジェット記録物を作成した。 【0049】実施例1〜9及び比較例1〜3の各転写フィルムについて、耐ブロッキング性、密着性、転写性、光沢感を、それぞれ下記の方法で評価した。それらの結果を下記表2に示す。 【0050】(耐ブロッキング性の評価方法)各転写フィルムのA4サイズを2枚用意し、一方の転写性保護層と、他方のPETフィルムとが対向するようにこれら2枚を重ね合わせ、室温50℃、相対湿度60%の条件下、上から300g/cm2の荷重をかけた状態で24時間放置した。その後、剥離角度(対向する転写性保護層とPETフィルムとのなす角度)130度、剥離速度30cm/min.で重ねた2枚を剥がし、重ね合わされていた面の状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。 <評価基準>A:転写性保護層のPETフィルム上への移行が全く観られない。耐ブロッキング性良好。 B:転写性保護層の一部がPETフィルム上へ移行しているが、実用上問題なし。 C:転写性保護層の大部分がPETフィルム上へ移行しており、実用に堪えない。 【0051】(密着性の評価方法)各転写フィルムの転写性保護層の表面を、JIS−K5600−5−6に準じてクロスカット(2mm四方のます目10×10個)した。そして、クロスカットされた該表面に粘着テープを貼り付けた後、該粘着テープを引き剥がし、引き剥がされた粘着テープに取られることなく耐熱性フィルム上に残存したます目数が、100〜80個をA(密着性良好)、79〜40個をB(実用上問題なし)、39個以下をC(実用に堪えない)とした。 【0052】(転写性の評価方法)上記各転写フィルムと上記インクジェット記録物とを、転写性保護層と画像面とが接触するように重ね合わせ、一対のヒートロール間を通過させ、加熱温度100℃、線圧8N/mで加熱加圧処理を行い、該画像面の全面に該転写性保護層を圧着させて圧着物を製造した。この圧着物から、耐熱性フィルムを、剥離角度(耐熱性フィルムと転写性保護層とのなす角度)130度、剥離速度30cm/min.で剥離し、下記評価基準により評価した。 <評価基準>A:耐熱性フィルムのみを容易に剥がすことができ、インクジェット記録物上に平滑できれいな保護層が形成されている。転写性良好。 B:ごく一部に転写不良、又は形成された保護層とインクジェット記録物との間に空気が混入しているのが観られるが、実用上問題なし。 C:転写不良部分が目立ち、実用に堪えない。 【0053】(光沢感の評価方法)上記(転写性の評価方法)において、圧着物から耐熱性フィルムを剥離することにより得られた保護層付き記録物の保護層について、グロスメーターGM−3D(村上色彩技術研究所製)を用いて、60度反射角の光沢度(%)を測定(転写不良部分があるサンプルについては、転写不良の無い部分について光沢度を測定)し、該光沢度が50%以上をA、30%以上50%未満をB、30%未満をCとした。 【0054】 【表2】
【0055】 【発明の効果】本発明の保護層転写フィルムは、転写性保護層の記録物への転写容易性及び光沢付与効果に優れているので、高光沢の保護層付きインクジェット記録物を容易に製造することができる。また、この保護層転写フィルムは、耐熱性フィルムと転写性保護層との間の密着性、耐ブロッキング性、経時保存性等も良好で、使い勝手に優れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
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| 【出願日】 |
平成14年5月13日(2002.5.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095728 【弁理士】 【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−326826(P2003−326826A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月19日(2003.11.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−137603(P2002−137603) |
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