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【発明の名称】 光回折層を有するカード、及びその製造方法
【発明者】 【氏名】田島 真治
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

【要約】 【課題】既存設備で安価に、大量生産ができ、意匠性が高く、かつ、セキュリティ性の高い光回折層を有するカード、及びその製造方法を提供する。

【解決手段】(a)転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、印刷法で部分的に設けられた高輝度インキ反射層、及び必要に応じて接着層を順次積層した転写箔を作成する工程、(b)該転写箔を、大判又は長尺のウェブ状態のカード基材へラミネート転写する工程、(c)転写基材が剥離されて露出した剥離層上へ、プライマ層を介して半硬化状態のUVアンカー層を形成する工程、(d)該半硬化状態のUVアンカー層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成し、該UVアンカー層とオフセット印刷層を同時に硬化する工程、(e)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、からなる製造方法、及び光回折層を有するカードを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層、及び必要に応じて接着層を順次積層してあり、前記高輝度インキ反射層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含有し、かつ、印刷法で部分的に設けられている転写箔を作成する工程、(b)該転写箔を、複数のカードを面付けした大判状態、又は長尺のウェブ状態のカード基材の、少なくとも一方の面へ全面転写し、転写基材のみを剥離する工程、(c)転写基材が剥離されて露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、半硬化状態のUVアンカー層を形成する工程、(d)該半硬化状態のUVアンカー層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成し、該UVアンカー層とオフセット印刷層を同時に硬化する工程、(e)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、からなることを特徴とする光回折層を有するカードの製造方法。
【請求項2】 上記転写箔が転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層を順次積層したもので、全面転写法がラミネート転写法であることを特徴とする請求項1に記載の光回折層を有するカードの製造方法。
【請求項3】 (a)転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層、及び必要に応じて接着層を順次積層してあり、前記高輝度インキ反射層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含有し、かつ、印刷法で部分的に設けられている転写箔を作成する工程、(b)該転写箔を、複数のカードを面付けした大判状態、又は長尺のウェブ状態のカード基材の、少なくとも一方の面へ全面転写し、転写基材のみを剥離する工程、(c)転写基材が剥離されて露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、半硬化状態のUVアンカー層を形成する工程、(d)該半硬化状態のUVアンカー層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成し、該UVアンカー層とオフセット印刷層を硬化する工程、(e)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、から製造されてなることを特徴とする光回折層を有するカード。
【請求項4】 上記高輝度インキ反射層が、光回折層の回折画像及び/又は印刷絵柄と、同調して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の光回折層を有するカード。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カードに関し、さらに詳しくは、光回折層、透明反射層、及び高輝度インキ反射層を有する転写箔を、カード基材へ全面転写して設け、さらに光回折層上へオフセット印刷層を設けた光回折層を有するカード、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】(技術の概要)光回折層をカードに設けるには3つ大きな障害があり、これらを解決する3つの技術を組み合わせることで、実用に耐える光回折層を有するカード、及びその製造方法を見出した。第1は、光回折層の意匠性を高めるための部分的(絵柄的)な金属光沢の反射層を、印刷法で設けること。第2は、カード基材への転写作業を1枚1枚毎の作業から、複数枚数へ連続作業で全面転写すること。第3は、光回折層上へ設けるオフセット印刷が、UVアンカー層を設けることで強固に接着すること。以上の3つの技術を組み合わせることで、コストが押さえられて、大量生産することができ、意匠性及びセキュリティ性の高いカードが得られる。
【0003】(従来技術)従来、光回折層を有する転写箔の金属光沢を有する反射層は、通常、真空成膜法で金属の薄膜を全面に形成することが、知られている。しかしながら、真空成膜法は特殊な真空設備を必要とする。また、意匠的に高めるために、部分的な反射層を設けるには、一旦、真空成膜法で金属薄膜の全面反射層を設けた後に、別工程で、レジストを印刷しエッチングするので、小ロット生産に向かず、また、コストがかかるという欠点がある。さらに、該転写箔を用いて、剥離層/光回折層/反射層/接着層をカード基材へ転写するには、ホットスタンプ(箔押し)法で部分的に転写する方法が、知られている。しかしながら、カード1枚毎に転写作業をするために、安価に大量生産ができないという問題点がある。さらにまた、カード基材へ転写した後は、剥離層面が露出するので、該剥離層面へはオフセット印刷が難しいという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、既存設備で安価に、大量生産ができ、反射層と印刷絵柄とを同調して設けることで、意匠性が高く、かつ、セキュリティ性の高い光回折層を有するカード、及びその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる光回折層を有するカードの製造方法は、(a)転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層、及び必要に応じて接着層を順次積層してあり、前記高輝度インキ反射層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含有し、かつ、印刷法で部分的に設けられている転写箔を作成する工程、(b)該転写箔を、複数のカードを面付けした大判状態、又は長尺のウェブ状態のカード基材の、少なくとも一方の面へ全面転写し、転写基材のみを剥離する工程、(c)転写基材が剥離されて露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、半硬化状態のUVアンカー層を形成する工程、(d)該半硬化状態のUVアンカー層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成し、該UVアンカー層とオフセット印刷層を同時に硬化する工程、(e)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、からなるようにしたものである。本発明によれば、既存設備で製造でき、かつ、小ロット生産に対応でき、コストが安い光回折層を有するカードの製造方法が提供される。請求項2の発明に係わる光回折層を有するカードの製造方法は、上記転写箔が転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層を順次積層したもので、全面転写法がラミネート転写法であるようにしたものである。本発明によれば、既存設備で製造でき、接着層の形成と転写(ラミネート)が同一工程でできる、かつ、小ロット生産に対応でき、コストが安い光回折層を有するカードの製造方法が提供される。請求項3の発明に係わる光回折層を有するカードは、(a)転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層、及び必要に応じて接着層を順次積層してあり、前記高輝度インキ反射層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含有し、かつ、印刷法で部分的に設けられている転写箔を作成する工程、(b)該転写箔を、複数のカードを面付けした大判状態、又は長尺のウェブ状態のカード基材の、少なくとも一方の面へ全面転写し、転写基材のみを剥離する工程、(c)転写基材が剥離されて露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、半硬化状態のUVアンカー層を形成する工程、(d)該半硬化状態のUVアンカー層上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成し、該UVアンカー層とオフセット印刷層を硬化する工程、(e)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、から製造されてなるようにしたものである。本発明によれば、高輝度インキ反射層で部分的な金属調反射を有する光回折画像が得られて、意匠性が高く、かつ、目視で容易に真偽が判定でき、カラーコピーで偽造しにくくセキュリティ性の高く、さらに、既存設備で製造でき、かつ、小ロット生産に対応でき、コストが安い光回折層を有するカードが提供される。請求項4の発明に係わる光回折層を有するカードは、上記高輝度インキ反射層が、光回折層の回折画像及び/又は印刷絵柄と、同調して設けられているようにしたものである。本発明によれば、印刷絵柄と同調した光回折画像が得られるので、さらに意匠性が高く、かつ、目視で容易に真偽が判定でき、カラーコピーでさらに偽造しにくくセキュリティ性が高い光回折層を有するカードが提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施態様について、図面を参照しながら、詳細に説明する。(カード)近年、社員証・会員証・学生証などのIDカード、ギフト券、入場証、通行証、サービスポイントなどの、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が増加している。これらカードには、不可視および可視の情報が記録または表示されている。該情報によって有効な使用者が認証され、多種多様の用途に使用できる。不可視情報は、磁気記録部・ICチップ・光記録部などへ記録され、可視情報は、印刷・刻印・顔写真・印字などで表示されている。該媒体は一定の経済的価値や効果を持つため、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えない。特に、カラーコピー機の精度向上が著しく、各種の媒体類の偽造を容易にしている。これを防止するため各種の偽造防止手段が施されている。一方、カード券面は意匠性が求められ、多様化している。すなわち、物体としてのカード自体(使用者に固有の情報が記録または表示されていないカードで、白カード又は生カードと呼ぶ)の種別(券種)も増加して、多種類の白カード券種がある。
【0007】該白カードの状態では実使用できず、上記の不可視および可視の情報が、記録または表示されて、始めて使用が可能となる。すなわち、高意匠性とセキュリティ性を合わせて有するホログラムなどの光回折層を有する白カードを予め大量生産しておき、使用目的の情報やカード名などを印刷して表示することで、使用可能なカードとする。光回折層は、カラーコピーでは再現できないので、セキュリティ性が高い。
【0008】まず、第1の障害である、光回折層の意匠性を高めるための部分的(絵柄的)な金属光沢の反射層を、印刷法で設けることを含めて、転写箔の材料、製造方法について、説明する。図1は、本発明の1実施例を示すカードの断面図である。図2は、本発明の他の1実施例を示すカードの断面図である。(層の構成)図1は、カード基材21のオフセット印刷層35側に、転写基材11/剥離層13/光回折層15/透明反射層17/高輝度インキ反射層18/必要に応じて接着層19からなる転写箔1を用いて、転写基材11は剥離し除去して、転写層(剥離層13/光回折層15/透明反射層17/高輝度インキ反射層18/必要に応じて接着層19)のみを転写する。次に、剥離層13上へ、必要に応じてプライマ層31を介して、UVプライマー層33を設ける。さらに、該UVプライマー層33へ絵柄や地紋などのオフセット印刷層35を設け、さらにまた、必要に応じて保護層37を設ける。
【0009】カード基材21の裏面には、通常、磁気記録層23が設けられているが、なくともよい。該磁気記録層23面には、必要に応じてプライマ層25を介して、説明文印刷層27を設け、さらに必要に応じて保護層29を設ける。また、プライマ層25、説明文印刷層27、保護層29は、用途や要求に応じて適宜設ければよい。また、図2のように、転写層(剥離層13/光回折層15/透明反射層17/高輝度インキ反射層18/必要に応じて接着層19)を、カード基材に磁気記録層面へ転写し設けてもよく、さらにまた、カード基材の両面に転写層を設けてもよい。
【0010】次に、転写箔とカード本体、及び転写後の印刷などの材料について説明する。図3は、転写箔の転写層のカード本体への転写方法を説明する説明図である。(転写箔)図3に図示する図3(A)は転写箔1で、図3(B)のカード本体3へ転写し、転写基材11を剥離し除去する。転写箔1の転写層が、カード基材21へ転写されて図3(C)となる。転写層は剥離層13/光回折層15/透明反射層17/高輝度インキ反射層18/必要に応じて接着層19からなっている。また、必要に応じて、剥離層13と光回折層15との間へ、保護層を設けてもよい。また、剥離層13へ保護層機能を付与して剥離性保護層としてもよい。
【0011】(保護層)保護層は、転写基材11と光回折層15との剥離性を高め、かつ転写基材11の剥離後に光回折層15を保護する作用を果たす。保護層の材質としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミド系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂等が例示でき、その膜厚は0.5〜5μmが好適であるが、これらに限定されることはない。
【0012】(転写基材)転写基材11としては、フィルム状のあらゆる材料を用いることが可能であり、その材質、厚さ、および光学的特性は限定されず、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の単体あるいは積層体が適用できる。また、その膜厚は1〜100μm、好ましくは4〜25μmである。
【0013】(剥離層)剥離層13としては、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂、ワックスなどが適用できる。離型性樹脂は、例えば、弗素系樹脂、シリコーン、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、繊維素系樹脂などである。離型剤を含んだ樹脂は、例えば、弗素系樹脂・シリコーン・各種のワックスなどの離型剤を、添加または共重合させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂などである。電離放射線で架橋する硬化性樹脂は、例えば、紫外線(UV)、電子線(EB)などの電離放射線で重合(硬化)する官能基を有するモノマー・オリゴマーなどを含有させた樹脂である。
【0014】剥離層13の形成は、該樹脂を溶媒へ分散または溶解させた組成物インキを、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法、またはロールート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコ−ト、キスコート、ナイフコート、ダイコート、コンマコート、フローコート、スプレーコートなどのコーティング方法で塗布し、温度30℃〜120℃で加熱乾燥して、溶剤を除去して剥離層13を形成させる。また、電離放射線で架橋する硬化性樹脂は、そのままの無溶剤、または溶剤へ分散若しくは溶解した組成物インキを、公知の印刷法またはコーティング法で、少なくとも1部に塗布し、必要に応じて乾燥し、電離放射線を照射して硬化して形成する。剥離層13の厚さは、通常は0.01μm〜5.0μm程度、好ましくは0.5μm〜3.0μm程度である。該厚さは欠陥のない被膜が得られれば、薄ければ薄い程良いが、0.1μm以上であればより良い成膜が得られて剥離力が安定する。
【0015】(光回折層)光回折層15は、無色または着色された透明または半透明なもので、単層であっても多層状であってもよく、凹凸を注型や型押しで再現できる熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、あるいは、光回折パターン情報に応じて硬化部と未硬化部とを成形することができる感光性樹脂組成物が利用できる。具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル(ポリメチルメタクリレート)、ポリスチレン、またはポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、またはトリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂であり、それぞれの単独、熱可塑性樹脂どうし、または熱硬化性樹脂同志の混合、もしくは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合等であってもよい。ラジカル重合性不飽和基を有し、熱成形性を有するものや、ラジカル重合性不飽和モノマーを添加した電離放射線硬化性樹脂組成物も利用できる。
【0016】また、電離放射線硬化樹脂(光回折層15)としては、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂で、特に下記の一般式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂が好ましい。
【0017】
【化1】

ここで、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子またはメチル基を表わし、R2は炭素数が1〜16個の炭化水素基を表わし、XおよびYは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表わす。l、m、n、o及びpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。
【0018】上記式(1)で表わされるウレタン変性アクリル系樹脂は、例えば、好ましい1例として、メタクリル酸メチル20〜90モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モル、Zとしてイソボルニルメタクリレート0〜80モルとを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂である。
【0019】従って、上記メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが共重合体中に存在している全ての水酸基に反応している必要はなく、共重合体中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位の水酸基の少なくとも10モル%以上、好ましくは50モル%以上がメタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応していればよい。上記の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて又は併用して、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有するモノマーも使用することができる。
【0020】以上の如く、水酸基含有アクリル系樹脂中に存在している水酸基を利用して、分子中に多数のメタクリロイル基を導入したウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする樹脂組成物によって、例えば、回析格子等を形成する場合には、硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用でき、しかも高架橋密度でありながら柔軟性および耐熱性等に優れた回析格子等を形成することができる。
【0021】上記式(1)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂は、前記共重合体を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セロソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等の溶媒に溶解させ、この溶液を撹拌しながら、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下及び反応させることにより、イソシアネート基がアクリル系樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、該ウレタン結合を介して樹脂中にメタクリロイル基を導入することができる。この際使用するメタクリロイルオキシエチルイソシアネートの使用量は、アクリル系樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で水酸基1モル当たりイソシアネート基0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。なお、上記樹脂中の水酸基よりも当量以上のメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用する場合には、該メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは樹脂中のカルボキシル基とも反応して−CONH−CH2CH2−の連結を生じることもあり得る。
【0022】上記式(1)におけるZは、上記のウレタン変性アクリル系樹脂を改質するために導入することができ、例えばフェニル基、ナフチル基等の芳香族環或いはピリジン等の複素芳香族環を有するモノマー、(メタ)アクリロイル変性シリコーンオイル(樹脂)、ビニル変性シリコーンオイル(樹脂)等の重合性二重結合基を有するシリコーンオイル(樹脂)、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の長鎖アルキル基を有するモノマー、γ‐(メタ)アルコキシプロピルトリメトキシシラン等の珪素含有基を有するモノマー、2‐(パーフルオロ‐7‐メチルオクチル)エチルアクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素系含有基を有するモノマー等の離型性を付与するモノマー、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、EO変性ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の嵩高い構造を有するモノマー、アクリロイルモルフォリン、ビニルピロリドン或いはビニルカプロラクトン等の環状親水性基を有するモノマー等いずれも用いることができる。
【0023】以上の例は、前記一般式(1)において、全てのR1及びR2がメチル基であり、X及びYがエチレン基である場合であるが、本発明は、これらに限定されず、6個のR1は夫々独立して水素原子又はメチル基であってもよく、更にR2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、置換又は未置換のフェニル基、置換又は未置換のベンジル基等が挙げられ、X及びYの具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ジエチレン基、ジプロピレン基等が挙げられる。このようにして得られる本発明で使用するウレタン変性アクリル系樹脂の全体の分子量としては、GPCで測定した標準ポリスチレン換算の平均分子量が1万〜20万、更に2〜4万であることがより好ましい。
【0024】更に、硬化後の電離放射線硬化樹脂層(光回折層15)の柔軟性、粘度を調整するために、本発明の電離放射線硬化性樹脂には、通常の熱可塑性樹脂や、アクリル系およびその他の単官能または多官能のモノマー、オリゴマー等を包含させることができる。例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート、2官能以上では、骨格構造で分類するとエエポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等のポリオール(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートであり、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
【0025】更に詳しく述べると、2官能のモノマー、オリゴマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等、4官能のモノマー、オリゴマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】官能基数は、特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、光回折層15の1部に傷が入ったり、レリーフ面が白濁する、また、20以上では柔軟性が低下する傾向があるため、特に3〜20官能のものが好ましい。
【0027】上記モノマー或いはオリゴマーは、複数を組み合わせて用いてもよい。その使用量は、上記ウレタン変性アクリル系樹脂100質量部当たり、5〜90質量部の範囲、好ましくは10〜70質量部の割合で使用する。モノマー或いはオリゴマーの使用量が上記範囲未満では、得られる電離放射線硬化樹脂層の強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材11に対する密着性が十分とはいえず、一方、モノマー或いはオリゴマーの使用量が上記範囲を超えると表面のタックが高くなり、ブロッキングを引き起こしたり、レリーフホログラムや回折格子等のレリーフ複製時に版(プレススタンパー)に材料の一部が残って(当業者が版取られと呼ぶ現象)、反復したレリーフ複製性(エンボス性)が低下する等の点で好ましくない。
【0028】さらに、電離放射線硬化性樹脂層(光回折層15)へレリーフを形成(複製)する際には、光回折層15面へ表面に凹凸レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を圧着して、該凹凸レリーフを光回折層15へ形成(複製)する。この時に、スタンパが光回折層15から容易に引き剥がせるように、予め光回折層15へ離型剤を含有させてもよい。該離型剤としては、公知の離型剤が適用でき、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、フッ素樹脂パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等であり、特に好ましくは、離型剤は変性シリコーンである。具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型、トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと称されている)、シリコーングラフトアクリル樹脂、及びメチルフェニルシリコーンオイル等がある。
【0029】変性シリコーンオイルには、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルがある。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル基変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等がある。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等がある。
【0030】上記シリコーンオイルの中でも、反応性シリコーンオイルは、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化する。従って、後にレリーフ凹凸が形成された光回折層15の表面にブリードアウトし(滲み出)ない。この特徴的な性能は、光回折層15と、そのレリーフ表面に設けた透明反射層17との密着性を著しく向上できる。上記離型剤の使用量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部当たり約0.1〜50質量部の範囲、好ましくは約0.5〜10質量部の範囲で使用する。離型剤の使用量が上記範囲未満では、プレススタンパーと電離放射線硬化樹脂層との剥離が不十分であり、プレススタンパーの汚染を防止することが困難である。一方、離型剤の使用量が上記範囲を超えると、組成物の塗工時にはじきが発生して塗膜面の面が荒れたり、基材又は反射層との密着性が悪くなったり、転写時に光回折層15皮膜が破壊(膜強度が弱くなりすぎる)を引き起こすので好ましくない。
【0031】さらにまた、硬化後の電離放射線硬化樹脂層(光回折層15)の、耐熱性、膜強度、及び透明反射層17との密着性を向上させるために、本発明の電離放射線硬化樹脂には、予め有機金属カップリング剤を含有させてもよい。該有機金属カップリング剤としては、公知のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤がある。
【0032】シランカップリング剤としては、例えば、末端に、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基(チオール基)、アミノ基、水酸基を有するシランカップリング剤などの架橋性のシランカップリング剤が適用できる。ビニル基を末端に有するシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどがある。エポキシ基を末端に有するシランカップリング剤としては、γ‐グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ‐グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどがある。メルカプト基(チオール基)を末端に有するシランカップリング剤としては、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β‐メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、などがある。アミノ基を末端に有するシランカップリング剤としては、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロポキシプロピルトリメトキシシラン、β‐アミノエチルトリメトキシシラン、N‐(β‐アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン、N‐(β‐アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシランなどがある。水酸基を持つものとしては、β−ヒドロキシエトキシエチルトリエトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシランなどがある。また、これらのシランカップリング剤は、1種単独でも、2種以上併用して使用してもよい。
【0033】チタンカップリング剤としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラn‐ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート等がある。
【0034】ジルコニウムカップリング剤としては、例えば、テトラn‐プロポキシジルコニウム、テトラ‐ブトキシ等のジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセトアセトネートビス(エチルアセトアセてート)等のジルコニウムキレート等がある。
【0035】アルミニウムカップリング剤としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノsec‐ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート、環状アルミニウムオリゴマー等がある。このような有機金属カップリング剤は、電離放射線硬化性樹脂100質量部あたり、0.1〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0036】上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(光回折層15)となる。電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線(EB)などが適用できるが、紫外線(UV)、電子線(EB)が好適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。
【0037】光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、αーアミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサントン類などが適用できる。また、必要に応じて、光増感剤、光重合促進剤を添加する。該光増感剤、光重合促進剤としては、公知の光増感剤でよく、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジル;ジアセチル;アセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド化合物;α−クロルメチルナフタリン;アントラセンおよびヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーnーブチルホスフィンなどがある。このような光重合開始剤、及び光増感剤の含有量は、前記ウレタン変性アクリル系樹脂100質量部当たり約0.5〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0038】本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物には、上記の各成分に加えて、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン等:銅類等の重合防止剤を配合すると貯蔵安定性が向上する。更に、必要に応じて、促進剤、粘度調節剤、界面活性剤、消泡剤等の各種助剤を配合してもよい。また、スチレン・ブタジエンラバー等の高分子体を配合することも可能である。
【0039】(光回折層の形成)光回折層15の形成は、上述した材料を溶剤に溶解または分散させて、適宜添加剤を添加するなどした組成物インキを、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法、またはロールート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコートなどのコーティング方法で塗布し、温度30℃〜120℃で加熱乾燥すればよい。乾燥後の厚さとしては、0.1〜20μm程度、0.5〜10μmが好ましい。
【0040】(レリーフの形成)次に、転写基材11/剥離層13/光回折層15の層構成となっている、光回折層15へレリーフを賦形する。レリーフは、2次元または3次元画像を再生可能な表面凹凸パターン(光回折パターン)が形成されたものである。この表面凹凸パターンとしては、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞の光の強度分布が凹凸模様で記録されたホログラムや回折格子が適用できる。
【0041】(ホログラム)ホログラムとしては、フレネルホログラム、フラウンホーファーホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラム、イメージホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレイ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子などがある。(回折格子)回折格子としては、ホログラム記録手段を利用したホログラフィック回折格子があげられ、その他、電子線描画装置等を用いて機械的に回折格子を作成することにより、計算に基づいて任意の回折光が得られる回折格子をあげることもできる。これらのホログラムおよび/または回折格子は、単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。
【0042】通常、賦形は、光回折層15の表面に、レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を圧着(所謂エンボス)をして、該レリーフを光回折層15へ形成(複製)した後に、スタンパを剥離することで行う。レリーフを複製するスタンパは、マスターそのものも使用できるが、摩耗や損傷の恐れがあるため、アナログレコード等におけるのと同様、マスターに金属メッキまたは紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させて剥がす等の方法(当業者では2P法と呼ぶ)により、金属又は樹脂による複製を行ない、複製された型(スタンパ)を使用して商業的複製を行なう。
【0043】(商業的複製)商業的複製の方法は、金型又は樹脂型のスタンパを用いて、光回折層15の表面へエンボスしてレリーフを複製した後に電離放射線を照射するか、又は、エンボス中に電離放射線を照射してからスタンパを剥離することでレリーフを複製する。この商業的な複製は、長尺状で行うことで連続な複製作業ができる。
【0044】(電離放射線)光回折層15の表面へ、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、若しくはエンボス中及びエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。該電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線(EB)などが適用できるが、紫外線(UV)、電子線(EB)が好適である。
【0045】(電子線)電子線(EB)照射は、電子線加速器により発生させた電子線を照射する。電子線照射装置としては、たとえば、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器などを用いて、エクレトロンカーテン方式、ビームスキャニング方式などで、電子線を照射する。好ましくは、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロカーテン」(商品名)である。電子線の照射量は、通常100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を、0.5〜20Mrad程度の照射量で照射する。照射量が0.5Mrad未満の場合、未反応モノマーが残留して硬化が不十分となる恐れがあり、また、照射量が20Mradを超えると、架橋密度が高くなり硬化したバインダ、若しくは基材が、損傷を受ける恐れがある。また、硬化の際の雰囲気は、酸素濃度500ppm以下で行われ、通常は200ppm程度で行うのが好ましい。
【0046】(紫外線)紫外線を照射する紫外線(UV)ランプは、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプが適用でき、紫外線の波長は200〜400nm程度で、紫外線硬化性樹脂組成物に応じて、適宜波長を選択すれば良い。その照射量は、組成物の材質や量と、UVランプの出力と、加工速度に応じて照射すれば良い。好ましくは、紫外線の波長は300〜400nmである。
【0047】(透明反射層)透明反射層17は、ホログラム又は回折格子等のレリーフ構造を設けた光回折層15面のレリーフへ透明反射層17へ設けることにより、ホログラムの再生像及び/又は回折格子などが明瞭に視認できるようになる。該透明反射層17としては、光回折層15面と屈折率に差のある透明金属化合物を用いる。その光学的な屈折率が光回折層のそれとは異なることにより、ほぼ無色透明な色相で、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラム等のレリーフを視認できる。該透明反射層17の屈折率としては、光回折層15面との屈折率の差が大きいほど効果があり、屈折率の差が0.3以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。例えば、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、TiO、SiO2、ITO、等が適用でき、好ましくは、ITO、又は酸化スズで、屈折率はいずれも2.0であり、充分な屈折率の差を有している。また、屈折率が小さいものでは、LiF、MgF2、AlF2などがある。なお、この透明とは、可視光が十分透過すれば良く、無色または有色で透明なものも含まれる。
【0048】上記の透明金属化合物の形成は、いずれも10〜2000nm程度、好ましくは100〜1000nmの厚さになるよう、蒸着蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られる。透明反射層17の厚さがこの範囲未満では、光がある程度透過して効果が減じ、また、その以上では、反射効果は変わらないので、コスト的に無駄である。
【0049】(高輝度インキ反射層)透明反射層17面へ高輝度インキ反射層18を部分的(絵柄的)に設ける。このことにより、金属光沢(金属反射光沢)を持ったホログラムの再生画像及び/又は回折格子となって明瞭に視認できるようになる。一方、部分的に高輝度インキ反射層18が欠けている部分は透明ホログラムのままである。さらに、後述するオフセット印刷による画像(絵柄)を、透明反射層17及び/又は高輝度インキ反射層18の画像と、同調させることで意匠性、セキュリティ性が高められる。従来、金属光沢の高輝度インキ反射層18としては、通常、特殊機能を発揮させるものを除いては、真空蒸着法で形成したアルミニウムの金属薄膜が用いられてきた。他の、例えば、圧延法のアルミニウム箔では、真空薄膜法の金属薄膜ほどの金属光沢が、得られなかった。また、他の金属では、色調を帯びていたり、高コストためである。このように、真空蒸着法のアルミニウム薄膜が、実際に実用されている汎用用途では、全てと言って良いほどに、また、長期間にわたって用いられてきた。
【0050】また、従来からも、金属光沢を付与する印刷インキがったが、該インキはアルミニウムペーストやアルミニウム粉等の金属顔料を用いた、シルバーまたはゴールド等のメタリック調印刷インキである。アルミニウムペーストには、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプがあるが、いずれを用いても、真空薄膜法の金属薄膜の金属光沢には、はるかに及ばなかった。さらにまた、蒸着アルミニウム薄膜を粉砕した粉末を用いたインキがあったが、表面処理が異なり分散性が悪く、十分な高輝度が得られなかった。
【0051】ところが、本発明では、印刷法で、真空薄膜法の金属薄膜に匹敵する金属光沢が得られる高輝度インキを用いる。即ち、少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含有させた高輝度インキを用いて、印刷法で高輝度を発揮でき、光回折画像の反射層に使用することができることを見出した。さらに、印刷法なので、部分的な高輝度インキ反射層を、また、他の印刷層があればこの印刷絵柄に同調させて、高輝度インキ反射層を設けることが容易である。さらに高価な真空蒸着機を用いず、既存の印刷設備で製造することができる。上記高輝度インキ反射層を用いて印刷法で部分的に設け、また、印刷絵柄と同調するように設けることで、意匠効果が高まる。部分的とは、文字、数字、記号、イラスト、模様、写真などのすべての絵柄が使用できる。少なくとも、有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片とバインダとからなる高輝度インキ反射層18は、意匠性が高く、かつ、目視で容易に真偽が判定できてセキュリティ性も高まり、小ロット生産にも対応でき、また、コストも低くできるという著しい効果を発揮する。
【0052】また、従来の真空蒸着法で形成したアルミニウムの金属薄膜は、十分な金属光沢が得られる。しかしながら、意匠的に高めるために、部分的なアルミニウムの金属薄膜を設けるには、一旦、真空成膜法でアルミニウム金属薄膜を全面に設けた後に、別工程で、レジストを印刷しエッチングするので、コストが非常に高く、また、製造工程が多くなって小ロット生産に向かない。
【0053】(高輝度インキ)そこで、本発明の高輝度インキ反射層18としては、金属蒸着膜に匹敵する金属光沢を有する高輝度インキを用いた印刷法によって、任意な画像絵柄の高輝度インキ反射層18とする。該任意な画像絵柄の高輝度インキ反射層18が得られることで、これに対応する光回折層24部分の光回折画像が視認できるようになる。該インキは、金属蒸着膜細片を有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理してインキ中への分散性を向上させて、インキ塗膜の金属光沢を高輝度としたものである。該インキは、有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片、バインダ、添加剤、及び溶剤からなり、必要に応じてグラビアインキ、スクリーンインキ、又はフレキソインキ化すればよい。
【0054】金属蒸着膜細片の金属としては、アルミニウムが適用できるが、必要に応じて、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等も使用できる。金属蒸着膜の厚さは、0.01〜0.1μmが好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.08μmであり、インキ中に分散させた金属蒸着膜細片の大きさは、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは10〜15μmである。大きさが、この範囲未満の場合はインキ塗膜の輝度が不十分となり、この範囲を超えると、グラビア版のセルに入りにくく、またスクリーン版が目詰まりし易く、印刷塗膜の光沢が低下する。
【0055】金属蒸着膜細片は、まず、ポリエステルフィルム/剥離層/蒸着膜/表面の酸化防止トップコート層からなる蒸着フィルムを作成する。剥離層、トップコート層は、特に限定されないが、例えば、セルロース誘導体、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレンなどが適用できる。上記蒸着フィルムを、溶剤中に浸積して、金属蒸着膜を剥離、撹拌、濾別、乾燥して、金属蒸着膜細片を得る。該金属蒸着膜細片を温度10〜35℃、30分程度、撹拌しながら、有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体溶液を加え、金属蒸着膜細片の表面に有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体を吸着させて、金属蒸着膜細片の表面処理を行う。有機脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等が適用できる。セルロース誘導体としては、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等が適用できる。有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体の添加量は、金属がアルミニウムの場合は、蒸着膜細片に対して1〜20質量%が好ましい。
【0056】該表面処理の後、金属蒸着膜細片を分離、又は金属蒸着膜細片スラリーをそのまま、バインダ及び溶剤へ配合、分散させてインキ化する。該バインダとしては、公知のインキ使われているものでよく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セラック、アルキッド樹脂等がある。該インキには、必要に応じて、着色用顔料、染料、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、キレート化剤などの添加剤を添加してもよい。インキの溶剤は、公知のインキ用溶剤を使用することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、IPA等のアルコール類、アセトン、MEK等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等がある。
【0057】また、通常のインキは、ロールミル、ボールミルなどで混練して、顔料た添加剤をサブミクロンまで微粒子化し高度に分散させて、印刷適性を持たせる。しかしながら、本発明で使用する高輝度インキは、混練工程を必要とせず、攪拌機で混合するだけでよく分散し、金属光沢が損なわれない。即ち、高輝度の金属光沢を発現させるためには、金属蒸着膜細片の大きさが5〜25μm程度が必要で、上記混練工程を行うと金属光沢が極端に低下してしまう。
【0058】(高輝度インキの印刷)以上のようにして得られたインキを、公知のグラビ印刷、スクリーン印刷、又はフレキソ印刷で、所要の絵柄を製版して、印刷し、乾燥、必要に応じて硬化すればよい。このようにして、部分的、又は任意の画像の高輝度インキ反射層18が得られる。また、高輝度インキ反射層18を着色してもよく、高輝度インキ中に染料及び/又は顔料を添加したり、金属蒸着膜細片へ有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体を吸着させる表面処理を行う際に、有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体溶液に染料及び/又は顔料を添加したり、すればよい。また、該着色は透明、半透明、不透明でもよく、半透明又は少量の不透明着色であればパール調、パステル調の外観が得られる。
【0059】(接着層)次に、高輝度インキ反射層18面に必要に応じて熱接着層19を設ける。後述するラミネート転写法による場合には、熱接着層19はなくともよい。該熱接着層19の材料としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニール酢酸ビニール共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜10μmの層とする。
【0060】(接着層)接着層19は熱で溶融又は軟化して接着する熱接着型接着剤、又は粘着型接着剤(感圧型接着剤ともいう)が適用できる。熱接着型接着剤としては、例えば、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン‐(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、フェノール系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン‐アルキッド樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用でき、これらの樹脂を単独または複数を組み合せて使用する。
【0061】これらの接着層19の樹脂は、接着力などの点で、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適である。接着層19の厚さは、通常は0.2〜10μm程度、好ましくは0.5〜5μmである。接着層19の厚さは、この範囲未満では、被転写体との接着力が不足して脱落し、また、その以上では、接着効果は十分でその効果は変わらないのでコスト的に無駄であり、さらには、サーマルヘッドの熱を無駄に消費してしまう。さらにまた、接着層19へは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を、適宜加えてもよい。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料が適用できる。特に体質顔料の添加は、箔切れを良化させる。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤などや、ポリアミドやアクリル酸誘導体などが適用できる。
【0062】粘着(感圧)型接着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム・ポリイソプレン・ポリイソブチレン・ポリクロロプレン・スチレン−ブタジエン共重合樹脂などの合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニール・エチレン‐酢酸ビニール共重合体などの酢酸ビニール系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン・ロジントリグリセリド・水素化ロジンなどのロジン系樹脂が適用できる。上記の粘着剤も有用であるが、好ましくは、ポリイソシアネート、ポリオール、及び触媒を使用直前に混合して使用する2液硬化型のウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤などである。
【0063】次に、第2の障害である、カード基材への転写作業を1枚1枚毎の作業から、複数枚数へ連続作業で全面転写する製造方法について、説明する。図4は、従来の転写方法を説明する模式的な断面図である。図5は、本発明の転写方法を説明する模式的な断面図である。図6は、本発明の他の転写方法を説明する模式的な断面図である。
(転写方法)図4に図示する転写方法は従来方法で、当業者が所謂ホットスタンプ法と呼ぶ方法である。カード本体3と、転写箔1の接着層19面とを重ね合わせて、転写箔1側より、スタンパと呼ぶ加熱した金型を圧着する。転写箔1の接着層19が軟化又は溶融してカード基材21へ接着する。そして転写基材を剥離して除去することで、転写層のみがカード側へ転写し移行する。しかしながら、該従来方法では、スタンパを用途などに合わせて、その都度作る必要があり、また、転写速度も極めて遅く、安価に大量生産ができないという問題がある。
【0064】(全面転写法)そこで、本発明では、転写箔1の転写層を全面を連続的に転写する方法とする。図5には熱転写法を、図6にはラミネート転写法を示す。
(全面熱転写法)図5は、転写箔1を供給部41から長尺に連続したウェブ状に繰り出される。一方、カード本体3も、供給部42から長尺に連続したウェブ状に繰り出される。ウェブ状に繰り出された転写箔1の接着層19面と、カード本体3のカード基材21面とを重ね合わせて、加熱ロール45と受けロール47との間に挟持し、ロールの回転に応じて走行する。ロールの加熱加圧から開放された剥離部51で、転写箔1の転写基材11を剥離し、剥離された転写基材53は、巻上げ部49へ巻上げられる。このようにすると、既存の簡易な熱ラミネータを用いて、連続作業で、効率よく、安価に転写作業をすることができる。カード本体3は、長尺に連続したウェブ状でなくとも、複数枚数のカードを面付けしてカットした大判シート状態でもよい。該大判シートを数珠繋ぎ状に、間歇に送出してもほぼ同様の結果が得られる。ここで大判シートとは、規格サイズの完成カードが縦2〜8枚、横4〜10枚、合計8〜80枚に打抜き得るサイズのカード本体の原反をいう。
【0065】(ラミネート転写法)また、本発明では、図6に図示するようなラミネータを用いて、全面を連続的にラミネートし、その後に転写基材を剥離するラミネート転写方法を用いることもできる。このラミネート方法は、当業者がドライラミネーション(ドライラミ、ドライラミネートともいう)という貼合法である。転写箔1は、巻取り状態から連続したウェブ状に繰り出される。一方、カード本体3も、巻取り状態から長尺に連続したウェブ状に繰り出される。この場合の転写箔1には接着層19を設けず、転写基材/剥離層/光回折層/透明反射層/高輝度インキ反射層が順次積層したものを使用する。
【0066】(ドライラミラミネーション法)ドライラミネーション法とは、溶媒へ分散または溶解した接着剤を塗布し乾燥させて、貼り合せ基材を重ねて積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させることで、2種の材料を積層させる方法である。その変形法であるノンソルベントラミネーション法とは、溶媒へ分散または溶解せずに接着剤自身を塗布し乾燥させて、貼り合せ基材を重ねて積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させることで、2種の材料を積層させる方法である。
【0067】ドライラミネーション法、またはノンソルベントラミネーション法で用いる接着層の接着剤として、熱、または紫外線・電子線などの電離放射線で硬化する接着剤が適用できる。熱硬化接着剤としては、具体的には、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤などが適用できるが、2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。
【0068】該2液硬化型ポリウレタン系樹脂としては、具体的には、例えば、多官能イソシアネ−トとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリマ−、具体的には、例えば、トリレンジイソシアナ−ト、ジフェニルメタンジイソシアナ−ト、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナ−ト等の芳香族ポリイソシアナ−ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナ−ト、キシリレンジイソシアナ−ト等の脂肪族ポリイソシアナ−ト等の多官能イソシアネ−トと、ポリエ−テル系ポリオ−ル、ポリエステル系ポリオ−ル、ポリアクリレ−トポリオ−ル等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる2液型ポリウレタン系樹脂を使用することができる。
【0069】ドライラミネーション法では、これらを主成分とする接着剤組成物を有機溶媒へ溶解または分散し、これを、例えば、ロ−ルコ−ティング、リバースロ−ルコ−ティング、グラビアコ−ティング、グラビアリバースコ−ティング、グラビアオフセットコーティング、キスコーティング、ワイヤーバーコーティング、コンマコーティング、ナイフコーティング、デップコーティング、フローコーティング、スプレイコーティングなどのコーティング法で塗布し、溶剤などを乾燥して、本発明のラミネ−ション用接着層を形成することができる。好ましくは、ロ−ルコ−ティング、リバースロ−ルコ−ティング法である。
【0070】該接着層の膜厚としては、0.1〜20μm(乾燥状態)程度、好ましくは1.0〜5.0μmである。該接着層を形成したら直ちに、貼り合せ基材を積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させることで接着する。貼り合せ基材の材質、例えば有機重合体シートまたはフィルムのような非吸収性の材料を用いる場合には、貼り合せ基材側へ接着剤を塗布して、基材フィルム11面とを積層して、接着させても良い。
【0071】ノンソルベントラミネーション法は、基本的にはドライラミネーション法と同様であるが、接着剤組成物を有機溶媒へ溶解または分散しないで、接着剤組成物そのままを用いるが、必要に応じて、粘度を低下させるために、接着剤組成物を加熱加温して用いる場合もある。
【0072】このように、ラミネータを用いて、全面同志を連続的にラミネートして積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングして接着剤を硬化させた後に、転写基材のみを剥離すれば、転写層がカード基材へ転写される。既存のラミネータを用いて、連続作業で、接着層の形成と転写(ラミネート)が同時にできて、効率よく、安価に転写作業をすることができる。また、転写箔1とカード本体3の繰り出し位置は逆でもよく、ドライラミの接着剤を塗布する側もどちらでもよい。さらに、カード本体3は、長尺に連続したウェブ状でなくとも、複数枚数のカードを面付けしてカットした大判シート状態でもよい。該大判シートを数珠繋ぎ状に、連続又は間歇に送出してもよい。
【0073】(全面転写の効果)このように、連続作業で効率良く、安価に、大量生産することがができる。すなわち、物体として、多種の券種がある白カード(生カードとも呼ぶ)を予めまとめて、量産しておく。個々の完成カードは、用途別会社別、さらには各種の絵柄の取り揃えなどから完成カードの枚数は限られている。従って、連続大量生産したウェブ状、又は大判シート状の原反(複数の白カード)の一部を用いて、カード毎に券面のカード名、使用者情報などを印刷することで、実使用できるカードとする。従来の個別カード毎に光回折層を設ける方法に比較して、製造の全体から見て、非常に効率的である。
【0074】(カード本体)全面転写するカード本体3は、図3(B)に図示するように、カード基材21、磁気記録層23からなるが、磁気記録層23はなくともよい。
(カード基材)カード基材21としては、従来のカードに使用されている基材と同様であり、繰り返し使用に耐える機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性、製造に耐える耐熱性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、上質紙、OCR紙、ノーカーボン紙、アート紙等の紙類、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PETと略す)などの基材フィルムが適用できる。板状の物体は、業種によってはフィルム、シート、ボードなどと種々に呼ばれるが、本明細書では同じものとする。該基材フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト・ポリブチレンテレフタレ−ト・ポリエチレンナフタレ−ト・ポリエチレンテレフタレート‐イソフタレート共重合体・テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体・ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルムなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6・ナイロン66・ナイロン610などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリアクリレート・ポリメタアクリレート・ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリイミド・ポリアミドイミド・ポリエーテルイミドなどのイミド系樹脂、ポリアリレ−ト・ポリスルホン・ポリエーテルスルホン・ポリフェニレンエ−テル・ポリフェニレンスルフィド(PPS)・ポリアラミド・ポリエーテルケトン・ポリエーテルニトリル・ポリエーテルエーテルケトン・ポリエーテルサルファイトなどのエンジニアリング樹脂、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン・高衝撃ポリスチレン・AS樹脂・ABS樹脂などのスチレン系樹脂、セロファン・セルローストリアセテート・セルロースダイアセテート・ニトロセルロースなどのセルロース系フィルム、などがある。
【0075】該基材フィルムは、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材フィルムは、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。通常は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリ塩化ビニールなどのビニール系フィルム、機械的強度、コスト面から好適に使用され、ポリエチレンテレフタレートが最適である。
【0076】該基材フィルムは、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、該樹脂フィルムは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料が適用できる。着色剤としては、分散染料が好ましく、モノアゾ、ビスアゾ、アントラキノン、ニトロ、スチリル、メチン、アロイレン、ベンズイミダゾール、アミノナフチルアミド、ナフトキノンイミド、クマリン誘導体などの分散染料が適用できる。通常は、酸化チタンなどの顔料で白色に着した基材が用いられる。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤などや、ポリアミドやアクリル酸誘導体などが適用できる。
【0077】カード基材21の厚みは、全体の剛度が適当に保たれる厚みであればよく、通常、50〜1000μm程度が適用できるが、100〜800μmが好適で、150〜300μmが最適である。例えば、PETの場合には、190〜260μm程度である。これ以上の厚さでは、剛度があり過ぎて携帯に不便で、重くコストも高い、これ以下では、繰り返し使用又は携行時の外力で、シワ、折り癖がついたり、磁気の読み取り不良が発生したりして耐久性が悪い。サイズに関しては、特に限定はないが、少なくとも転写箔を転写する工程までは、カードサイズの複数倍を面付けできる大判シート、又は長尺で連続した巻取り体とする。そして、転写後のサイズは、必要に応じて、適宜裁断して用いてもよく、最後にカードサイズに打抜き、又は裁断すればよい。
【0078】(磁気記録層)磁気記録層23は、例えば、定期券の自動改札等に見られるように、磁気ヘッドに接触させて、記録されている信号を読み取り、証明書が真正であるか、あるいは使用が正当である旨を判定するためのもので、磁性の酸化物をバインダ中に分散させたものであるか、あるいは、磁性金属の蒸着又はスパッタリング等による薄膜である。自動改札でない目視確認の場合には、磁気層はなくともよい。
【0079】磁気記録層23は、γ−Fe23、Fe34、CrO2、Fe、Fe−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Ni、MnAl、Baフェライト、Srフェライトなどの従来公知の磁性微粒子を、バインダへ分散されてなる組成物である。該組成物を溶剤などへ分散又は溶解させた組成物インキを用いて、公知のコーティング法で、カード基材21上へ、組成物インキを塗布して、乾燥し、必要に応じて、温度30℃〜70℃で適宜エージング、または、電離放射線(紫外線、電子線など)を照射して、形成すれば良い。コーティング法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ナイフコート、スクイズコート、エアードクターコート、エアナイフコート、ダイコート、リップコート、カーテンコート、フローコートなどが適用できる。該塗布方法で磁気記録層23を形成する場合には、その膜厚は1〜100μm、好ましくは5〜20μm程度である。
【0080】さらにまた、磁気記録層23は、Fe、Fe−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Niなどの金属あるいは合金を、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、メッキ法などの方法によってカード基材21上に形成することもできる。これらの方法で基材上に形成する場合には、磁気記録層23の膜厚は100オングストローム〜1μm、好ましくは500〜2000オングストローム程度である。
【0081】なお、γ−Fe23などの磁性微粒子が分散されるバインダの材料としては、ブチラール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂などが用いられ、必要に応じて、ニトリルゴムなどのゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマーなどを添加することができる。また、必要に応じて、界面活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、ワックス、シリコーンオイル、カーボンその他の添加剤を使用することができる。
【0082】次に、第3の障害である、光回折層15上へ設けるオフセット印刷層35の接着性については、必要によりプライマ層31を介して、UVアンカー層33を設けることで強固に接着させる。該プライマ層31、UVアンカー層33の材料、及び印刷方法について説明する。(剥離層)図3(C)に図示する剥離層13面へ、オフセット印刷による使用者情報、絵柄などの所望の印刷層するが、剥離層13は離型剤であったり、又は離型剤を含有しているために、印刷層が強固に接着しない。そこで、必要によりプライマ層31を介して、UVアンカー層33を設けることで強固に接着することを見出した。プライマ層31は通常の使用条件下ではなくてもよいが、過酷な条件下で使用されるカードに使用することでより強固に接着して、擦れキズや脱落がしにくく、カード耐久性が高まる。
【0083】(UVアンカ層)UVアンカ層33としては、紫外線(UV)で硬化(反応)するバインダ前駆体が適用できる。該バインダ前駆体は、紫外線硬化性樹脂と、光重合開始剤及び/又は光重合促進剤からなる。紫外線の代わりにエネルギーの高い電子線を用いてもよい。電子線硬化の場合は、光重合開始剤及び/又は光重合促進剤を添加しなくても良い。紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤、光重合促進剤、及び各種の添加剤は、前述した光回折層15と同様なものが適用できる。
【0084】(アンカ層の効果)このバインダ前駆体を、適宜溶剤に溶解または分散してインキとし、これを剥離層13面へ公知のオフセット印刷などの印刷法で全面に印刷し、紫外線を照射して硬化させてUVアンカ層33とする。この際に照射する紫外線量を制御して、バインダ前駆体が完全に硬化(反応)せず、一部を残すようにする。当業者が半硬化(ハーフキュアとも呼ぶ)状態で留める。バインダ前駆体が完全に硬化してしまうと、該UVアンカ層33上へ設けるオフセット印刷層の接着力が悪化する場合があるからである。但し、未硬化分が多いとUVアンカ層33表面に粘着性が残るので、粘着性がなくなる紫外線の照射量とする。該UVアンカ層33の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。
【0085】(プライマ層)さらに、UVアンカー層33と強固に接着させるために、剥離層13面へ、必要に応じてプライマー層31を設ける。該プライマー層31としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとの共重合体、エポキシ樹脂などが適用できる。
【0086】これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解または分散して塗布液とし、これを剥離層13面へ公知のコーティング法で塗布し乾燥してプライマー層31とする。また、樹脂にモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどと、反応開始剤、硬化剤、架橋剤などを適宜組み合わせたり、あるいは、主剤と硬化剤とを組み合わせて、塗布し乾燥して、乾燥または乾燥した後のエージング処理によって反応させて、形成しても良い。該プライマー層13の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。該プライマー層13の形成までは、ウェブ状で加工することが好ましいが、複数カードが面付けできる大判状でもよい。
【0087】(オフセット印刷)半硬化状態のUVアンカ層33上へ、オフセット印刷層35を設け、さらに紫外線照射及び/又は加熱することで、良好な接着力が得られる。オフセット印刷層35としては、公知の黄、赤、藍、墨の基準色、他の着色オフセットインキを適宜用いて、オフセット印刷すればよい。また、該印刷の画像(絵柄)を、光回折層15の画像(絵柄)、高輝度インキ反射層18、の画像(絵柄)と意匠的、グラフィックデザイン的に関連させて、かつ各画像を同調させることが好ましく、意匠性と共に、セキュリティ性も向上する。
【0088】(画像の効果)印刷画像(絵柄)、光回折画像(絵柄)、高輝度インキ画像(絵柄)とが、グラフィックデザイン的に、独立及び/又は混在して、意匠性が高まる。また、偽造を試みても、極めて困難である。さらにカラーコピー機でコピーしても再現することはできない。
【0089】(OP層)オフセット印刷層35面には、必要に応じてOP層37を設けてもよい。オフセット印刷層35、光回折層15を保護するとともに、使用時の摩擦や外力から保護し、カードの耐久性を高める。該OP層37としては、後述する保護層29と同様の材料、及び形成方法が適用できる。
【0090】(その他の層)該カード基材21の磁気記録層23の面には、種々の情報や絵柄が印刷されていてもよい。該カード基材21の磁気記録層23の面には、必要に応じてプライマ層25を介して、説明文印刷層27、保護層29が設けられてもよい。プライマ層25としては、磁気記録層23との接着性を向上させるために、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとの共重合体、エポキシ樹脂などが適用できる。
【0091】これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解または分散して塗布液とし、公知のコーティング法で塗布し乾燥してプライマー層25とする。また、樹脂にモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどと、反応開始剤、硬化剤、架橋剤などを適宜組み合わせたり、あるいは、主剤と硬化剤とを組み合わせて、塗布し乾燥して、乾燥または乾燥した後のエージング処理によって反応させて、形成しても良い。該プライマー層25の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。
【0092】(説明文印刷層)説明文印刷層27としては、公知のグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷法で、使用方法、使用上の注意事項、警告、発行会社名などの各種の情報が印刷される。
【0093】(保護層)保護層29としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は反応型樹脂が、単独又はこれらの混合物等が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂などが適用できる。
【0094】熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、塗布液の状態では200,000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応により分子量が無限大となるものが好適である。また、これらの樹脂のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化または溶融しないものが好ましい。具体的には例えばフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミン樹脂、ポリイミン樹脂およびこれらの混合物等である。
【0095】これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解または分散して塗布液とし、公知のコーティング法で塗布し乾燥して保護層29とする。また、樹脂にモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどと、反応開始剤、硬化剤、架橋剤などを適宜組み合わせたり、あるいは、主剤と硬化剤とを組み合わせて、塗布し乾燥して、乾燥または乾燥した後のエージング処理によって反応させて、形成しても良い。該保護層29の厚さは、0.5〜30μm程度、好ましくは1〜10μmである。
【0096】
【実施例】(実施例1)製造工程順に実施例を示す。
(a)転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層、及び接着層を順次積層してあり、前記高輝度インキ反射層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含有し、かつ、印刷法で部分的に設けられている転写箔を作成する工程、まず、転写基材11として、厚さ25μmのルミラーT60(東レ社製、ポリエステルフィルム商品名)を用いた。この一方の面へ、剥離ニス45−3(昭和インク社製、アクリル系樹脂の剥離インキ商品名)を固形分10質量%となるように溶剤で稀釈して、ロールコーティング法で、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布し乾燥して、剥離層13を形成した。該剥離層13面へ、ユピマーLZ065(三菱化学社製、紫外線硬化樹脂商品名樹脂)を固形分25質量%となるように溶剤で稀釈して、リバースロールコーティング法で、乾燥後の厚さが3μmになるように塗布し乾燥して、光回折層15を形成した。該光回折層15面へ、スタンパを加圧(エンボス)してレリーフを賦形する。別途レーザー光を用いて作ったマスターホログラムから、2P法で複製したスタンパを複製装置のエンポスローラーに貼着して、150℃で相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯で波長が200〜400nmの紫外線を照射して硬化させた。該光回折層15面へ、真空蒸着法で、厚さが600nmになるように硫化亜鉛を蒸着して、透明反射層17を形成した。該反射層17面へ、ファインラップスーパーメタリックシルバーインキ(大日本インキ化学工業社製、高輝度インキ商品名)100質量部に対して、CVLハードナー(大日本インキ化学工業社製、硬化剤商品名)を5質量部を添加して、公知のグラビア印刷法で、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布し乾燥して、所望の絵柄を有する高輝度インキ反射層18を形成した。該高輝度インキ反射層18面へ塩化ビニル酢酸ビニル共重合体が25質量%、マイクロシリカ25質量%となるように溶剤で稀釈して、グラビア印刷法で、乾燥後の厚さが2μmになるように、全面に塗布し乾燥して、接着層19を形成して、転写箔1を得た。該転写箔1は、長尺の巻取り体である。
【0097】(カード本体3の作製)厚さ188μmの白色ポリエチレンテレフタレートE20(東レ社製、片面易接着処理)の処理面へ、下記組成の組成物インキを、グラビアリバースコート法で、乾燥後の厚さが10μmになるように、塗布し乾燥し、さらに80℃で3日間エージングして、磁気記録層23を形成して、カード本体3とした。該カード本体3も、長尺の巻取り体である。
・組成物インキ・バリウムフェライト(磁性材料) 36質量部 ・ウレタン樹脂 12質量部 ・カーボン 2質量部 ・トルエン 20質量部 ・メチルエチルケトン 15質量部 ・メチルイソブチルケトン 15質量部 ・イソシアネート系硬化剤 2質量部【0098】(b)該転写箔を、複数のカードを面付けした大判状態、又は長尺のウェブ状態のカード基材の、少なくとも一方の面へ全面転写し、転写基材のみを剥離する工程、上記の長尺のウェブ状態のカード本体3を、図4に図示する供給部43から繰り出し、上記転写箔1を供給部41から繰り出し、該カード本体3のPET面と該転写箔1の接着層19面とを、150℃の加熱した加熱ロール45と受けロール47との間で圧着して、転写基材11のみを剥離して除去した。該カード本体3の磁気記録層23面へ、公知の白グラビアインキで、グラビア印刷法で、ご使用上の注意分を印刷して、説明文印刷層27とした。該説明文印刷層27面へ、白色着色料を取り除いた無色の説明文印刷層27インキで、グラビア印刷法で、全面に印刷して、保護層29とした。
【0099】(c)転写基材が剥離されて露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、半硬化状態のUVアンカー層を形成する工程、次に転写基材11が剥離されて露出した剥離層13面へ、下記組成の組成物インキを、ロールコート法で、乾燥後の厚さが1μmになるように、塗布し乾燥し、プライマ層31を形成した。
・プライマ組成物 ・バイロン300(東洋紡績社製、ポリエステル商品名) 30質量部 ・VMCH(UCC社製、塩ビ酢ビ共重合体商品名) 30質量部 ・MEK 20質量部 ・トルエン 20質量部そして、ウェブ状体をシートカットして、完成カードが5行6列の計30面(枚)が採取できる大判シートとした。該大判シートのプライマ層31面へ、ユピマーU−3002(三菱化学社製、UV硬化樹脂商品名)を、ロールコート法で、厚さが2μmになるように塗布し、超高圧水銀ランプの365nm輝線を75mJ/cm2照射して半硬化させて、UVアンカ層33を形成した。
【0100】(d)該半硬化状態のUVアンカ層33上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成し、該UVアンカー層とオフセット印刷層を同時に硬化する工程、該UVアンカ層33面に、黄、赤、藍、及び墨色のUVカルトンインキ(ザ・インクテック社製、UVオフセットインキ商品名)を用いて、オフセット印刷法で、会社名、及び絵柄を印刷し、同時に下記組成のインキを用いて、全面に印刷した後に、超高圧水銀ランプの365nm輝線を150mJ/cm2照射して硬化させて、オフセット印刷層35、OP層37とした。UVアンカ層33も硬化し、オフセット印刷層35と強固に接着した。
・インキ組成物 ・UVカルトンメジューム (ザ・インクテック社製、UVオフセットインキ商品名)90質量部 ・WAX 5質量部 ・レジューサー 5質量部【0101】(e)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、次いで、大判シートをカードサイズに打抜いて、実施例1の光回折層を有するカードを得た。該カードは、印刷画像(絵柄)、光回折画像(絵柄)、高輝度インキ画像(絵柄)とが、グラフィックデザイン的に混在して、意匠性が良かった。また、偽造を試みても、極めて困難である。さらにカラーコピー機でコピーしたが、高輝度インキ画像部分は黒くなり、光回折画像(絵柄)部分はぼやけて、カードの画像を再現することはできなかった。従って、コピー品は目視で容易に偽造品を判断できた。
【0102】(実施例2)
(a)転写基材、剥離層、光回折層、透明反射層、高輝度インキ反射層を順次積層してあり、前記高輝度インキ反射層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含有し、かつ、印刷法で部分的に設けられている転写箔を作成する工程、まず、転写基材11として、厚さ12μmのルミラーFタイプ(東レ社製、ポリエステルフィルム商品名)を用いた。この一方の面へ、剥離ニス45−3(昭和インク社製、アクリル系樹脂の剥離インキ商品名)を固形分10質量%となるように溶剤で稀釈して、ロールコーティング法で、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布し乾燥して、剥離層13を形成した。該剥離層13面へ、SUZ−600(ザ・インクテック社製、紫外線硬化樹脂商品名樹脂)を固形分25質量%となるように溶剤で稀釈して、リバースロールコーティング法で、乾燥後の厚さが3μmになるように塗布し乾燥して、光回折層15を形成した。該光回折層15面へ、スタンパを加圧(エンボス)してレリーフを賦形する。別途電子線描画法を用いて作製した、50μm角の回折方向の異なる回折格子がランダムで、かつ、隣接して隙間なく配置して、目視では砂目模様の意匠効果を示す絵柄模様で、2P法で複製したスタンパを複製装置のエンポスローラーに貼着して、150℃で相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯で波長が200〜400nmの紫外線を照射して硬化させた。該光回折層15面へ、真空蒸着法で、厚さが600nmになるように硫化亜鉛を蒸着して、透明反射層17を形成した。該反射層17面へ、ファインラップスーパーメタリックシルバーインキ(大日本インキ化学工業社製、高輝度インキ商品名)100質量部に対して、CVLハードナー(大日本インキ化学工業社製、硬化剤商品名)5質量部、及び透明黄色染料を0.5質量部を添加して、公知のグラビア印刷法で、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布し乾燥して、所望の絵柄を有する着色高輝度インキ反射層18を形成して、転写箔1を得た。該転写箔1は、長尺の巻取り体である。接着層19は設けていない。
【0103】(カード本体3の作製)厚さ188μmの白色ポリエチレンテレフタレートE20(東レ社製、片面易接着処理)の処理面へ、下記組成の組成物インキを、グラビアリバースコート法で、乾燥後の厚さが10μmになるように、塗布し乾燥し、さらに80℃で3日間エージングして、磁気記録層23を形成して、カード本体3とした。該カード本体3も、長尺の巻取り体である。
・組成物インキ・バリウムフェライト(磁性材料) 36質量部 ・ウレタン樹脂 12質量部 ・カーボン 2質量部 ・トルエン 20質量部 ・メチルエチルケトン 15質量部 ・メチルイソブチルケトン 15質量部 ・イソシアネート系硬化剤 2質量部【0104】(b)該転写箔を、複数のカードを面付けした大判状態、又は長尺のウェブ状態のカード基材の、少なくとも一方の面へ全面転写し、転写基材のみを剥離する工程、図6に図示するラミネータを用いてラミネート転写する。図6のように、上記の長尺のウェブ状態のカード本体3を繰り出し、該カード本体3のPET面へ、下記のドライラミ用接着剤組成物を乾燥後の厚さが3μmになるように、ロールコーティング法で塗布し乾燥して、転写箔1の高輝度インキ反射層18面とを、ラミネート部の100℃の加熱した加熱ロールと受けロール間で圧着して巻き取った。該巻取り体を80℃で3日間エージングした後に、公知の巻返機で転写基材11のみを剥離して除去した。
・ドライラミ用接着剤組成物 ・タケラックA−310(武田薬品工業社製、接着剤商品名) 100質量部 ・A−10(武田薬品工業社製、硬化剤商品名) 5質量部 ・メチルエチルケトン/トルエン等量混合溶媒 30質量部該カード本体3の磁気記録層23面へ、公知の白グラビアインキで、グラビア印刷法で、ご使用上の注意分を印刷して、説明文印刷層27とした。該説明文印刷層27面へ、白色着色料を取り除いた無色の説明文印刷層27インキで、グラビア印刷法で、全面に印刷して、保護層29とした。
【0105】(c)転写基材が剥離されて露出した剥離層上へ、プライマ層を介して、半硬化状態のUVアンカー層を形成する工程、次に転写基材11が剥離されて露出した剥離層13面へ、下記組成の組成物インキを、ロールコート法で、乾燥後の厚さが1μmになるように、塗布し乾燥し、プライマ層31を形成した。
・プライマ組成物 ・バイロン300(東洋紡績社製、ポリエステル商品名) 30質量部 ・VMCH(UCC社製、塩ビ酢ビ共重合体商品名) 30質量部 ・MEK 20質量部 ・トルエン 20質量部そして、ウェブ状体をシートカットして、完成カードが5行6列の計30面(枚)が採取できる大判シートとした。該大判シートのプライマ層31面へ、ウレタンアクリレート20質量部、イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ社製、光重合開始剤商品名)0.5質量部、トルエンとMEKの等量混合溶剤79.5質量部からなる組成物インキを、ロールコート法で、厚さが1μmになるように塗布し、超高圧水銀ランプの365nm輝線を75mJ/cm2照射して半硬化させて、UVアンカ層33を形成した。
【0106】(d)該半硬化状態のUVアンカ層33上へ、オフセット印刷法で印刷層を形成し、該UVアンカー層とオフセット印刷層を同時に硬化する工程、は実施例1と同様にした。
【0107】(e)カードサイズへ打抜いてカードとする工程、は実施例1と同様にした。次いで、大判シートをカードサイズに打抜いて、実施例2の光回折層を有するカードを得た。該カードは、印刷画像(絵柄)、着色光回折画像(絵柄)、高輝度インキ画像(絵柄)とが、グラフィックデザイン的に混在して、意匠性が良かった。また、偽造を試みても、極めて困難である。さらにカラーコピー機でコピーしたが、高輝度インキ画像部分は黒くなり、光回折画像(絵柄)部分はぼやけて、カードの画像を再現することはできなかった。従って、コピー品は目視で容易に偽造品を判断できた。
【0108】
【発明の効果】回折層をカードに設ける3つの大きな障害を解決した、本発明の光回折層を有するカードは、安価に製造でき、かつ、意匠性、セキュリティ性が高い。光回折層15の効果を高める部分的(絵柄的)な金属光沢の反射層を、既存の印刷法で設けることができ、また、該光回折層15をカード基材へ転写を連続転写する製造方法で、安価に大量生産できる。。さらに、光回折層上へ設ける印刷を、公知で既存のオフセット印刷で設けられるので、枚数が限られた完成カードを印刷できる製造の全体から見て、非常に効率的である。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号
【出願日】 平成14年5月15日(2002.5.15)
【代理人】 【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
【公開番号】 特開2003−326824(P2003−326824A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−139504(P2002−139504)