トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 装身具の印刷方法及びそれにより得られた装身具
【発明者】 【氏名】板橋 義雄

【要約】 【課題】装身具用素材に装飾性の高いインク層を形成することができる装身具の印刷方法及びこの方法により得られた装飾性の高い装身具を提供すること。

【解決手段】凹部12を有する本体11の凹部12に、ホログラムインク及びスクリーン印刷用インクを含む第1インク15を充填し、第1インク15を乾燥することにより第1インク層15aを形成する。次に、第1インク層15a上にスクリーン印刷用インクを含む第2インク33を印刷し、第2インク33を乾燥することにより第2インク層33aを形成する。次に、第2インク層33a上にスクリーン印刷用インクを含む第3インク51を印刷し、第3インク51を乾燥することにより第3インク層51aを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 貴金属を主素材とする本体の表面に凹部を形成し、該凹部にホログラムインク及びスクリーン印刷用インクを含むペースト状の第1インクを充填し、乾燥することにより第1インク層を形成する工程と、前記第1インク層上にスクリーン印刷用インクを含む第2インクをスクリーン印刷し、乾燥することにより第2インク層を形成する工程と、を具備することを特徴とする装身具の印刷方法。
【請求項2】 前記形成された第2インク層上に、スクリーン印刷用インクを含み、前記第2インク比しスクリーン印刷用インクの含有比率が高い第3インクをスクリーン印刷し、乾燥することにより第3インク層を形成する工程と、をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の装身具の印刷方法。
【請求項3】 前記第1インクを前記凹部に充填した後、乾燥する前に、該第1インク上に前記ホログラムインクの粉末を散布する工程をさらに具備することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の装身具の印刷方法。
【請求項4】 前記第1インクを充填する前の前記凹部の内壁面に、微細な凹凸形状を形成する工程をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の装身具の印刷方法。
【請求項5】 前記第1インク層及び第2インク層の乾燥は、50℃から65℃の乾燥ボックス内における温風乾燥を経た後、空気中に放置する常温乾燥により行われることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の装身具の印刷方法。
【請求項6】 貴金属を主素材とする本体の表面に凹部を形成し、該凹部の下層にはホログラムインク及びスクリーン印刷用インクを含む第1インク層と、上層にはスクリーン印刷用インクからなる第2インク層を具備することを特徴とする装身具。
【請求項7】 貴金属を主素材とする本体の表面に凹部を形成し、該凹部にはホログラムインク及びスクリーン印刷用インクを含むペースト状の第1インクを充填し、該第1インク上に前記ホログラムインクの粉末を散布し、乾燥することにより第1インク層を形成する工程と、該第1インク層上にスクリーン印刷用インクを含む第2インクをスクリーン印刷し、乾燥することにより第2インク層を形成する工程と、により得られることを特徴とする装身具。
【請求項8】 前記本体は、指輪、ブローチ、ペンダントヘッド、イアリング、ピアス、ネックレス、ブレスレット、カフスなどの装身具であることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の装身具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、装身具の印刷方法及びそれにより得られた装身具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、指輪などに代表される装身具の素材としては、身につけて使用するための耐久性及び装飾的なものとしての美観が要求されるため、金、プラチナ、銀などの貴金属が主に使用されている。これらの素材から形成される装身具本体の表面にさらにデザイン上の装飾性を付与する場合には、同様に耐久性と美観が必要であるため、例えば、オニキスなどの半貴石を細かく切断し、母体となる素材に嵌め込んだりすることが行われていた。
【0003】一方、これらの素材に直接印刷を施して装飾性を付与することも考えられるが、従来の印刷方法では、前記のような素材上に装飾性のあるインク層を形成することができないという問題があった。このため、実用上、直接印刷を施した装身具は存在していないのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、装身具用に装飾性が高くかつ耐久性と美観に優れるインク層を形成できる装身具の印刷方法及びこの方法により得られる装身具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1記載の本発明は、貴金属を主素材とする本体の表面に凹部を形成し、該凹部にホログラムインク及びスクリーン印刷用インクを含むペースト状の第1インクを充填し、乾燥することにより第1インク層を形成する工程と、前記第1インク層上にスクリーン印刷用インクを含む第2インクをスクリーン印刷し、乾燥することにより第2インク層を形成する工程と、を具備する装身具の印刷方法であることを特徴とする。この方法によれば、装飾性の高いホログラムインクに悪影響を及ぼすことなく、装身具に装飾性の高い印刷層を形成することができる。
【0006】請求項2記載の本発明は、前記形成された第2インク層上に、スクリーン印刷用インクを含み、前記第2インク比しスクリーン印刷用インクの含有比率が高い第3インクをスクリーン印刷し、乾燥することにより第3インク層を形成する工程と、をさらに具備する請求項1記載の装身具の印刷方法であることを特徴とする。これにより、溶剤が蒸発することによるインク層の凹みを小さくすることができ、表面を平坦に仕上げることが可能となる。
【0007】請求項3記載の本発明は、前記第1インクを前記凹部に充填した後、乾燥する前に、該第1インク上に前記ホログラムインクの粉末を散布する工程をさらに具備する請求項1又は請求項2記載の装身具の印刷方法であることを特徴とする。これにより、ホログラムインキを高い密度で配置することができ、そのメタリックな装飾性を強調することができる。
【0008】請求項4記載の本発明は、前記第1インクを充填する前の前記凹部の内壁面に、微細な凹凸形状を形成する工程をさらに具備する請求項1から請求項3のいずれかに記載の装身具の印刷方法であることを特徴とする。これにより、インク層を凹部の内壁面に強力に接着することができる。
【0009】請求項5記載の本発明は、前記第1インク層及び第2インク層の乾燥は、50℃から65℃の乾燥ボックス内における温風乾燥を経た後、空気中に放置する常温乾燥により行われる請求項1から請求項4のいずれかに記載の装身具の印刷方法であることを特徴とする。これにより、ホログラムインクの色調に悪影響を及ぼすことなく、インク層の母剤を強化することができる。
【0010】また、請求項6記載の本発明は、貴金属を主素材とする本体の表面に凹部を形成し、該凹部の下層にはホログラムインク及びスクリーン印刷用インクを含む第1インク層と、上層にはスクリーン印刷用インクからなる第2インク層を具備する装身具であることを特徴とする。請求項7記載の本発明は、貴金属を主素材とする本体の表面に凹部を形成し、該凹部にはホログラムインク及びスクリーン印刷用インクを含むペースト状の第1インクを充填し、該第1インク上に前記ホログラムインクの粉末を散布し、乾燥することにより第1インク層を形成する工程と、該第1インク層上にスクリーン印刷用インクを含む第2インクをスクリーン印刷し、乾燥することにより第2インク層を形成する工程と、により得られる装身具であることを特徴とする。請求項8記載の本発明は、前記本体は、指輪、ブローチ、ペンダントヘッド、イアリング、ピアス、ネックレス、ブレスレット、カフスなどの請求項6又は請求項7記載の装身具であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図7は、本発明に係る装身具の印刷方法により印刷された装身具の一実施形態を示す部分断面図である。
【0012】11は、装身具の本体の表面を示すもので、その主素材としては、金、プラチナ、銀などの貴金属を用い、その全体的形状としては、指輪、ブローチ、ペンダントヘッド、イアリング、ピアス、ネックレス、ブレスレット、カフスなどがある。
【0013】本体11の表面には凹部12が形成され、さらに該凹部12の内壁には、微細凹凸部13(凹凸は図示せず。)が形成されている。該凹部12は、例えば、ロストワックスキャスティングなどの方法により、前記貴金属素材を前記指輪などの形状とする時点で同時に形成する。また、該微細凹凸部13は、例えば、リューターなどの宝飾加工用工具などにより物理的に形成する。
【0014】凹部12の下層には、第1インク層15aが形成されている。この第1インク層15aは、ホログラムインク及びスクリーン印刷用インクから構成されている。また、第1インク層15a上には、ホログラムインク16が層状に存在する。さらに、ホログラムインク16上には、第2インク層33aが形成されている。
【0015】ここで、ホログラムインクとは、ポリエステル成型体やアルミニウム成型体に鏡面加工やレーザ彫刻を施して得られるもので、光を乱反射させる機能を有する粉末状のインクをいい、例えば、ミラクルカラー3(セイコーアドバンス社製、商品名)が挙げられる。かかるホログラムインクは、赤、緑、茶、黒などの種々の色調によるメタリックなインクであり、前記貴金属素材に使用する場合にも違和感がなく、優れた装飾性を付与することができる。
【0016】また、スクリーン印刷用インクとは、前記ホログラムインクによる装飾性を発揮させるため、透明なスクリーン印刷用インクであれば特に制限はなく、かつインク自体に光沢を有するものが望ましいが、例えば、エピライトインク(十条化工社製、商品名)などを用いることができる。
【0017】第1インク層を構成する第1インクとしては、例えば、ホログラムインク15重量%、エピライトインク75重量%、及びエピライトインク用の溶剤10重量%を含有するものである。また、第2インク層を構成する第2インクは、例えば、スクリーン印刷用インク90重量%及びエピライトインク用の溶剤10重量%を含有するものである。
【0018】なお、図7においては、説明の便宜上、凹部12に第1インク層、ホログラムインク層、第2インク層のみを形成した場合を図示したが、後記するように、第2インク層上にさらに第3インク層を形成することもでき、かかる場合には、より表面を平坦にすることと耐久性を強化して、装身具に装飾性を付与することができる。第3インク層を構成する第3インクは、例えば、エピライトインク95重量%及びエピライトインク用の溶剤5重量%を含有するものである。
【0019】次に、図1から図6を用いて、本発明の実施の形態に係る装身具の印刷方法について説明する。まず、図1(a)に示すように、本体11の表面に形成された凹部12の内壁面に、例えば、リュ−ターなどの宝飾加工用工具を使用し、微細凹凸形状13を手作業により形成する。このような微細凹凸形状13を形成すると、インク層が前記凹部12の内壁に強く接着することができる。その結果、インク層の耐久性を向上させることができる。なお、凹部12の深さは、本体11のサイズにも左右されるが、インクの耐久性と作業上の便利性を考慮すると、最大約0.5mm程度であることが望ましい。また、必要がある場合には、本体11の表面にメッキ加工などが施される。
【0020】次いで、図1(b)に示すように、本体11の凹部12以外の表面部分に、例えば、厚さ約0.03mm程度の養生テープ14を貼付する。これにより、インクが凹部12以外の表面部分に付着することを防止できる。
【0021】次いで、図1(c)に示すように、凹部1212に第1インク15を充填する。充填の方法としては、例えば、インクを装填した注射器を用いて充填する方法などを挙げることができる。第1インクとしては、例えば、ホログラムインク15重量%、エピライトインク75重量%、及びエピライトインク用の溶剤10重量%を含有するペースト状のものが用いられる。
【0022】次いで、図1(d)に示すように、第1インク15上にホログラムインクの粉末16を散布する(どうやって)。これにより、ホログラムインクを第1インク表面上により高い密度で配置することができ、赤、緑、茶、黒などの種々の色調によるメタリックな装飾性を強化することができる。その後、本体11から養生テープ14を剥す。
【0023】次いで、図2に示すように、装身具本体を一面のみ開口した乾燥ボックス21に設置し、開口側から温風(図中矢印)を吹き込んで第1インク15を温風乾燥する。かかる温風乾燥は、乾燥時間を約5時間程度とし、かつ、乾燥ボックス21内の温度を約50℃から65℃となるよう調節することで、装身具本体11の温度を約65℃から90℃の範囲で乾燥することができる。このような低温かつ長時間の温風乾燥を行うことにより、ホログラムインクの色調に悪影響を及ぼすことなく、インク層の母材を硬化することができる。その後、空気中で約12時間程度放置して第1インク15を常温乾燥すると、図3(a)に示すような、第1インク層15aが形成される。このとき、第1インク層15aは、溶剤が除去された分、本体11の表面から凹んだ状態となる(ここでは、約0.1mm程度)。
【0024】次いで、図3(b)に示すように、本体11の凹部12の領域以外をマスクした版を有するスクリーン印刷用板31を用い、スキージ32により第2インクをスクリーン印刷して、凹部12の第1インク層15a上に第2インク33を載せる。第2インクとしては、例えば、エピライトインク90重量%及びエピライトインク用溶剤10重量%を含有するものを用いる。また、スクリーン印刷の際には、凹部12以外の領域にインクが付着しないように、凹部12以外の領域にさらに厚さ約0.04mmの養生テープを貼り付け、印刷後に剥す。
【0025】次いで、図4に示すように、装身具本体を一面のみ開口した乾燥ボックス21に設置し、開口側から温風(図中矢印)を吹き込んで第2インク33を温風乾燥する。乾燥ボックス21内の温度は約50℃から65℃、装身具本体部での温度が約65℃から90℃であり、乾燥時間は約5時間程度に設定する点は前記同様である。その後、空気中で約12時間程度放置して第2インク33を常温乾燥する点も前記同様である。このように常温乾燥すると、図5(a)に示すように、第2インク層33aが形成される。このとき、第2インク層33aは、溶剤が除去された分、本体11の表面から凹んだ状態となる(ここでは、約0.05mm)。
【0026】さらに、必要に応じて、図5(b)に示すように、本体11の凹部12の領域以外をマスクした版を有するスクリーン印刷用板31を用い、スキージ32により第3インクをスクリーン印刷して、凹部12の第2インク層33a上に第3インク51を載せる。第3インクは、前記第2インク33に比しスクリーン印刷用インクの含有比率が高いもので、例えば、エピライトインク95重量%及びスクリーン印刷用インク用溶剤5重量%を含有するものを用いる。また、第3インクをスクリーン印刷する際には、前記同様に厚さ約0.04mmの養生テープを使用する。
【0027】くわえて、図6に示すように、本体11を一面のみ開口した乾燥ボックス21に設置し、開口側から温風(図中矢印)を吹き込んで第3インク51を温風乾燥する。ここで、乾燥温度や乾燥時間は前記同様であるが、当該温風乾燥後は、空気中に約72時間程度放置して第3インク51を常温乾燥することが望ましい。かかる長時間の常温乾燥により、図7に示すように、第3インク51が硬化されて第3インク層51aが形成される。これにより、装身具が完成する。
【0028】この場合、インク層の構成は、第1インク層15a(ホログラムインク+エピライトインク):ホログラムインク16:第2及び第3インク層33a,51a=約60重量%:約5重量%:約35重量%程度である。
【0029】なお、本実施の形態では、エピライトインクを、濃度を変えて2回塗布した場合についてのみ説明しているが、凹部12の深さに応じて適宜その回数を変更しても良い。このように複数回スクリーン印刷用インクを塗布することにより、溶剤が蒸発して凹むインク層の深さを浅くしてさらに平坦な表面を得ることが可能となり、また、エピライトインクに含まれる溶剤の比率が少なくなるのでより硬い表面を得ることも可能となるからである。
【0030】なお、本体11の全体的形状としては、指輪、ブローチ、ペンダントヘッド、イアリング、ピアス、ネックレス、ブレスレット、カフスなどがあり、それぞれ高い装飾性の付与された装身具として長期の使用に耐えることができる。
【0031】また、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変形して実施することができる。例えば、上記実施の形態における微細凹凸部の形成方法や第1インクの充填方法などに特に限定はない。また、上記実施の形態における養生テープの厚さや、各インクの成分、乾燥温度・乾燥時間には、一形態を示したものであり、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【0032】
【発明の効果】上記した本発明によれば、装飾性が高く、メタリックな色調により、貴金属素材と違和感がないホログラムインクに悪影響を及ぼすことなく、装飾性の高い印刷層を装身具本体の表面に付与することができる。また、かかる印刷層は平坦に形成されかつ耐久性にも優れるので、装身具として長期間の使用に耐えることができる。
【出願人】 【識別番号】502173981
【氏名又は名称】有限会社アイエスピー
【識別番号】502173545
【氏名又は名称】秋山 善治
【出願日】 平成14年5月15日(2002.5.15)
【代理人】 【識別番号】100106194
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘朗
【公開番号】 特開2003−326822(P2003−326822A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−139888(P2002−139888)