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【発明の名称】 熱転写受容シート
【発明者】 【氏名】篠原 英明
【住所又は居所】東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内

【氏名】大西 俊和
【住所又は居所】東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内

【要約】 【課題】印画時に、受容シートの受容層面とインクリボンとの融着を防止し、また受容シートの表裏を間違えてプリンターに装着して印画した際にも、受容シートの裏面層とインクリボンとの融着を防止して、プリンター内での走行性に優れるとともに、さらに、プリントした受容シートを重ね置きした場合に、受容層から上面の受容シートの裏面層への染料移行のない受容シートを提供する。

【解決手段】シート状支持体と、前記支持体の片面に染料染着性樹脂を主成分とする受容層と、前記支持体の他の面に裏面層とを有する熱転写受容シートにおいて、前記受容層及び/又は裏面層が、フロロ変性シリコーン樹脂を含有する熱転写受容シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート状支持体と、前記支持体の片面に染料染着性樹脂を主成分とする受容層と、前記支持体の他の面に裏面層とを有する熱転写受容シートにおいて、前記受容層及び/又は裏面層が、フロロ変性シリコーン樹脂を含有することを特徴とする熱転写受容シート。
【請求項2】 前記受容層及び/又は裏面層中に、前記フロロ変性シリコーン樹脂が架橋剤により架橋されてなるものを含む請求項1記載の熱転写受容シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、昇華性染料を熱により転写し、染着画像を形成するプリンターに使用する熱転写受容シート(以下、単に受容シートと略す)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、サーマルプリンター、特に鮮明なフルカラー画像がプリント可能な熱転写プリンターが注目されてきた。昇華熱転写プリンターは熱により昇華もしくは溶融拡散して移行する染料を含有する染料層を有する染料転写媒体(インクリボン)と、受容シートの受容層面とを重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、インクリボン染料層の所要箇所の染料を所定濃度だけ、受容シートの受容層上に転写して画像を形成するものである。従って階調性に優れ、写真類似のフルカラー画像が得られる。
【0003】このようなサーマルプリンターにより、高画質の画像を高速で受容シート上に形成するためには、シート状支持体の上に染料染着性樹脂を主成分とする受容層を設けた受容シートが使用される。更に、この受容シートの裏面(受容層を設けた面と反対側の面)には、一般に、走行性改善、帯電防止、受容シート同士の滑り性改善等の目的で裏面層が設けられている。
【0004】受容層の染料染着性樹脂として、例えば、ガラス点移転(Tg)の低い柔軟な熱可塑性樹脂、あるいは極性基を多く導入した樹脂を用いると、記録濃度や保存性が改良されるが、記録の際に加えられる熱により受容シートがインクリボンに貼り付いて融着し、転写異常が起こる問題があった。このような問題を防止するために、受容層に離型剤を含有させる方法は一般に公知であり、例えば、シリコーン系の離型剤を用いる方法(特開昭60−34898号公報、特開昭60−212394号公報)や、シリコーン又はフッ素化合物等の離型セグメントを有するグラフト共重合体あるいはブロック共重合体を用いる方法等が開示されている(特開昭62−222895号公報、特開平5−208564号公報、特開平6−127163号公報)。
【0005】上記の方法において、受容シートの受容層とインクリボンとの融着を防止する為に、受容層中のシリコーン量を単に増加させると、支持体と受容層との接着性が低下したり、シリコーンによる汚染が起こる等の問題が発生する傾向があった。そこで、離型剤としてシリコーン化合物を用いる場合、受容層用塗工液にシリコーンと架橋剤を併用して塗布後、シリコーンを架橋、硬化させる方法が行われている。しかし、塗布を行う前に、塗工液中で架橋剤と染着性樹脂或いは反応性のシリコーンが相互に反応を起こしうるために、塗工液が不安定で変質する場合等がある。
【0006】また、受容シートの表裏を間違えてプリンターに装着し、印画を行うと、受容シートの裏面層がインクリボンのバインダーと融着を起こして、受容シートの走行トラブルの原因となる。そのため、受容シートの裏面に光学的或いは磁気的に読み取り可能な検知マークを設け、受容シートの表裏が逆の場合には、プリンター内部のセンサーがマークを検知し、プリントしないで受容シートを排出することにより、融着を防止していた。しかしながら、受容シートは枚葉で使用されることが多く、マークの位置が大幅にずれるとセンサーでは検知できないため、マークの位置ずれの許容範囲は1〜2mmという精度が要求される。また、連続的に検知マークが設けられた帯状の受容シートを、マークが適正な位置になるように裁断するためには特別な裁断機が必要であった。
【0007】更に、受容シートをプリント後に重ね置きした際に、重なり合った受容シートの受容層表面と裏面層表面が軽度の融着を起こし、受容層面上の染料が裏面層に移行するいわゆる裏移りが発生して、そのためにプリント画像の濃度が低下する場合等があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の受容シートが有する前述の問題点を解消し、プリント時において、受容シートの受容層面とインクリボンとの融着、或いは受容シートの裏面層とインクリボンとの融着を防止し、プリンター内での走行性に優れるとともに、さらに、プリントした受容シートを重ね置きした場合に、受容層から上面の受容シートの裏面層への染料移行(いわゆる裏移り)のない受容シートを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の熱転写受容シートは、シート状支持体と、前記支持体の片面に染料染着性樹脂を主成分とする受容層と、前記支持体の他の面に裏面層とを有する熱転写受容シートにおいて、前記受容層及び/又は裏面層が、フロロ変性シリコーン樹脂を含有することを特徴とするものである。さらに、本発明の熱転写受容シートは、前記受容層及び/又は裏面層中に、前記フロロ変性シリコーン樹脂が架橋剤により架橋されてなるものを含むことが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、受容シートの受容層及び/又は裏面層にフロロ変性シリコーン樹脂を含有させるものである。例えば、受容層にフロロ変性シリコーン樹脂を含有させることにより、印画記録時に受容シートの受容層面とインクリボンが融着することが無くなる。本発明の受容層は、染料染着性樹脂を主成分とし、フロロ変性シリコーン樹脂、及び好ましくは架橋剤を含有する。本発明のフロロ変性シリコーン樹脂は、シリコーン樹脂部分とフッ素含有アルキル基部分とを有する珪酸ポリマーであり、優れた離型効果を示し、インクリボンとの融着を防止し、しかも鮮明な記録画像が得られ、かつ画像の汚染などを生じる事もない。
【0011】従来、一般に使用されている反応性シリコーン化合物は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋可能な反応基を有しており、通常は架橋剤で架橋、硬化させて使用される。本発明のフロロ変性シリコーン樹脂は、好ましくは水酸基を有しており、イソシアネート化合物、及びエポキシ化合物等の架橋剤に対して、適度な反応性を有する。フロロ変性シリコーン樹脂を架橋することにより、プリント適性において、さらに優れた効果の得られる理由としては、未反応シリコーンが残ることが無く、受容層の表面付近に強固な3次元構造を有するシリコーン層が形成されること等も考えられる。本発明で使用されるフロロ変性シリコーン樹脂の具体例としては、トリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸レジン(商標:XS66−B8226、GE東芝シリコーン社製)が挙げられ、水酸基を有している。
【0012】本発明の受容層において、フロロ変性シリコーン樹脂の使用量は、受容層全固形分中の配合比率として、一般的には0.2〜8質量%であり、好ましくは0.3〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。配合比率が、0.2質量%未満では十分な熱融着防止効果が得られず、一方、8質量%を超えると、フロロ変性シリコーン樹脂と、染料染着性樹脂または架橋剤との相溶性が低下し、離型性能が高くなり過ぎることに起因して受容層塗膜と支持体との接着性が悪化し、塗膜形成能も低下してしまう場合もある。
【0013】本発明の受容層においては、染料染着性樹脂として、染料との親和性が良好で染着性の高い樹脂が使用される。このような樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は使用する架橋剤に対して反応性を有する官能基、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有していることが好ましい。
【0014】本発明の受容層では、好ましくは架橋剤が用いられる。架橋剤としては化学反応で硬化あるいは重合するタイプの化学反応型の架橋剤が好ましい。これらの化学反応型架橋剤としては、エポキシ、レゾール等の熱硬化型、2−シアノアクリル酸エステル、アルキルチタネート等の湿気硬化型、ウレア等の縮合反応型、エポキシ、イソシアネート等の付加反応型の架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、付加反応型の架橋剤として、例えばイソシアネート化合物、及びエポキシ化合物等が好ましく用いられる。架橋剤の配合量は、受容層全固形分に対する配合比率で1〜30質量%程度が好ましい。架橋剤の含有比率が少なすぎると、受容層成分が十分に架橋せず、画像記録時に受容層とインクリボンが熱融着を生じる場合があり、また多過ぎると画像濃度が低下する場合がある。
【0015】架橋剤として使用されるイソシアネート化合物としては、分子中にイソシアネート基を2個以上、好ましくは3又は4個含有する多官能ポリイソシアネート化合物が好ましい。多官能ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−TDI、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水素化MDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化XDI、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニレンジイソシアネート(TODI)等の芳香族イソシアネートやイソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、等の脂肪族系イソシアネート等、これらのイソシアネート化合物同士の反応物であるアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体、或いはこれらのポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等の多価アルコール類との付加物などが好ましく使用される。
【0016】本発明の受容層中には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、一般に公知の滑剤、離型剤、有色顔料、有色染料、蛍光増白剤、可塑剤、酸化防止剤、無機顔料、および紫外線吸収剤等も添加可能である。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、フェニルサリシレート系及びシアノアクリレート系化合物が用いられる。これらの各種の受容層添加成分は架橋剤を介して架橋反応を起こしてもよい。これらの添加剤は受容層の主成分と混合して塗工されてもよいし、また別の塗工層として受容層の上及び/又は下に塗工されていてもよい。
【0017】受容層の固形分塗工量は1〜12g/m、好ましくは3〜10g/mの範囲で調節される。因みに受容層の塗工量が1g/m未満では、受容層が支持体表面を完全に覆うことができず、画質の低下を招いたり、サーマルヘッドの加熱により、受容層とインクシートとの接着による融着トラブルが発生することがある。一方、塗工量が12g/mを超えると、効果が飽和し不経済であるばかりでなく、受容層の強度が不足したり、受容層の厚みが増し、支持体の断熱効果が十分に発揮されず画像濃度が低下することがある。
【0018】本発明においては、受容シートの裏面層に、受容層と同様なフロロ変性シリコーン樹脂を含有せしめてもよい。裏面層にフロロ変性シリコーン樹脂を含有させることにより、誤って受容シートの表裏を逆にしてプリンターに装着して、印画した場合でも、インクリボンと裏面層の融着が防止される。更に、受容層及び裏面層にフロロ変性シリコーン樹脂を含有させることにより、プリントした受容シートを重ね置きした場合に、重なり合った受容シートの受容層と裏面層との融着が無くなるため、受容層の染料の裏面層への移行(いわゆる裏移り)が無くなる。
【0019】裏面層は、裏面層形成用樹脂を主成分とし、好ましくは前述の受容層と同様な架橋剤を含む。裏面層全固形分中における、フロロ変性シリコーン樹脂の配合比率は、通常0.2〜8質量%程度であり、好ましくは0.3〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。配合比率が0.2質量%未満では十分な熱融着防止効果が得られず、8質量%を超えると裏面層樹脂と導電剤との相溶性が低下し、離型性能が高くなりすぎることに起因して裏面層塗膜と支持体との接着性が悪化し、塗膜形成能が低下する場合がある。
【0020】また、本発明の裏面層には、裏面層形成用樹脂が用いられ、裏面層と支持体との接着強度向上、受容シートのプリント搬送性、受容層面の傷付き防止、染料の移行防止等の為にも有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等、及びこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。
【0021】本発明の裏面層には、プリント搬送性の向上や静電気防止のために、好ましくは導電性高分子や導電性無機顔料等の導電剤が添加される。導電性高分子としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系等の導電性高分子化合物があり、一般にはカチオン系ポリマーが用いられる。カチオン系ポリマーとしては、例えばポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合体、及びカチオン化澱粉等が挙げられる。帯電防止剤の配合比率は一般に裏面層の全固形分に対して7〜50質量%程度が好ましい。
【0022】また導電性無機顔料としては、例えば特開平10−67180号公報に示されており、酸化物や硫化物など化合物半導体顔料及び化合物半導体を被覆した無機顔料等が挙げられる。化合物半導体としては酸化銅(I)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭化珪素などが例示される。また化合物半導体を被覆した無機顔料としては、半導体酸化錫を被覆した酸化チタン及びチタン酸カリウム等があり、形状として針状、球状の導電性無機顔料が市販されている。
【0023】本発明の裏面層には、シート状支持体との接着性を向上させるために、好ましくは、前述のポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を裏面層塗工液中へ配合して用いる。配合比率としては一般に裏面層全固形分に対して1〜30質量%程度が好ましい。
【0024】本発明の裏面層には、有機又は無機フィラー等の摩擦係数調整剤を必要に応じて配合することができる。有機フィラーとしては、ナイロンフィラー、セルロースフィラー、尿素樹脂フィラー、スチレン樹脂フィラー、アクリル樹脂フィラー等を使用することができる。無機フィラーとしては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を用いることができる。好ましくは有機フィラーが使用され、例えばナイロンフィラーの場合、平均粒子径は1〜30μm程度が好ましく、その配合量は粒子径にもよるが、裏面層全固形分に対して2〜30質量%程度が好ましい。
【0025】裏面層には本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、従来公知の滑剤、離型剤等を併用することも可能である。例えば、併用可能な滑剤、離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーンブロック共重合体及びシリコーンゴム等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物、フッ素化合物等が挙げられる。また従来公知の消泡剤、分散剤、有色顔料、蛍光染料、蛍光顔料、紫外線吸収剤等を適宜選択して使用してもよい。
【0026】裏面層の固形分塗工量は0.3〜10g/mの範囲内が好ましく、さらに1〜8g/mの範囲内がより好ましい。裏面層の塗工量が0.3g/m未満であると、受容シートが擦れた時の傷付き防止性が十分に発揮されず、また塗工欠陥が発生して表面電気抵抗値が上がる場合がある。一方塗工量が10g/mを超えると、効果が飽和し不経済である。
【0027】本発明の受容シートには、更に必要に応じて、受容層の帯電防止やクッション効果を付与するためにシート状支持体と受容層の間に中間層を設けることも可能である。また本発明の受容シートは熱転写方式による印画を行った後、熱転写画像上に画像保護層を形成してもよい。画像保護層形成は、インクリボンに転写用画像保護層を設け、加熱により熱転写画像上に画像保護層を転写するいわゆる転写方式や、実質的に透明なシートを熱転写画像上に貼着積層する貼着方式等がある。
【0028】本発明の受容シートの支持体としては、上質紙、コート紙、アート紙等の紙類、合成紙類、プラスチックフィルム類、或いはこれらを適宜積層した公知の支持体が使用可能である。積層支持体の表層基材(受容層を形成する側の基材)は、特に限定されるものではないが、印画された画質の均一性、階調性の点から、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂を主成分とした延伸フィルムが使用できる。また上記の熱可塑性樹脂に無機顔料を添加し、延伸して空隙を発生させた合成紙、あるいは2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を延伸して空隙を発生させた単層あるいは多層構造の発泡延伸フィルムも好ましく用いられる。
【0029】また、積層支持体の芯材層としては、熱収縮性の小さいシートが好ましく、セルロースパルプを主成分とする紙、コート紙、アート紙、キャスト塗被紙、少なくとも一方に熱可塑性樹脂層を設けたラミネート紙、又は合成樹脂を主成分とするポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のフィルム又はシートが用いられる。積層支持体の裏面基材(受容層を形成する面とは反対側の基材)としては、カール防止等の点で、好ましくは表層基材と同様の材質のフィルムが使用される。
【0030】支持体形成の際の積層方法としては、特に限定されるものではないが、ウェットラミネート、エキストルージョンラミネート、ドライラミネート、ワックスラミネート等の公知の技術が用いられて良く、一般にドライラミネート法が用いられる。ドライラミネート用接着剤としてはポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の接着剤を用いることができる。
【0031】本発明のシート状支持体としては、受容層が形成される第1の基材層、粘着剤層、剥離剤層、および第2の基材層を順次積層した構成でもよく、いわゆるステッカー、シールタイプの構造を有する支持体も勿論使用可能である。第2の基材層の裏面側にさらに本発明のフロロ変性シリコーン樹脂等の離型剤を含む裏面層を設けてもよい。
【0032】本発明で使用される支持体は100〜300μmの厚さを有することが好ましい。因みに、厚さが100μm未満であると、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得られる受容シートの剛度及び変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生じる受容シートのカールを十分に防止できない場合がある。また厚みが300μmを超えると、得られる受容シートの厚みが過大となるため、プリンターにおける受容シートの収容枚数の低下を招いたり、或いは逆にプリンターの容積増大を招き、プリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生ずる場合がある。
【0033】本発明における各塗工層は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ダイコーターなど公知のコーターを用いて塗工、乾燥して形成することができる。
【0034】
【実施例】下記実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」はすべて「質量%」、及び「質量部」を示す。
【0035】実施例1「支持体の形成」厚さ50μmの2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを芯材として、その表裏面にポリオレフィンを主成分とし、無機顔料として約30%の炭酸カルシウム等を含む2軸延伸された空隙を有する厚さ60μmの多層構造フィルム(商標:ユポFPG60、ユポ・コーポレーション社製)を、ウレタン系接着剤を使用して、ドライラミネート方式で積層貼合して、シート状支持体を作成した。
【0036】「受容層及び裏面層の形成」上記のシート状支持体の表面上に下記組成の受容層用塗工液−1を固形分塗工量が6g/mになるように塗工、乾燥して受容層を形成した。次に上記シート状支持体の受容層塗工面の反対面に下記組成の裏面層用塗工液−2を固形分塗工量が3g/mになるように塗工、乾燥して裏面層を形成した。その後50℃で48時間キュアーして受容シートを得た。
【0037】
受容層用塗工液−1ポリエステル樹脂(商標:バイロン200、東洋紡社製) 100部トリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマー (商標:XS66−B8226、GE東芝シリコーン社製) 2部ポリイソシアネート(商標:タケネートD−110N、武田薬品工業社製)
5部トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 300部【0038】
裏面層用塗工液−2ポリビニルブチラール(商標:BL−S、積水化学工業社製) 100部針状導電性無機顔料(商標:FT3000、石原産業社製) 15部分散剤(商標:テンロ70、サンノプコ社製) 0.2部ナイロンフィラー(商標:2000EDX、エロファトケムジャパン社製)
5部トリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマー (商標:XS66−B8226、GE東芝シリコーン社製) 2部ポリイソシアネート(商標:タケネートD−110N、武田薬品工業社製)
5部トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)混合液 500部【0039】実施例2実施例1において、受容層用塗工液−1のトリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーの配合量を5部とし、更に裏面層用塗工液−2のトリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーの配合量を0.7部とした以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成した。
【0040】実施例3実施例1において、受容層用塗工液−1のトリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーの配合量を0.6部とし、更に裏面層用塗工液−2のトリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーの配合量を5部とした以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成した。
【0041】実施例4実施例1の裏面層用塗工液−2において、トリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーの代わりに、カルボキシル変性シリコーンオイル(商標:X−22−3715、信越化学工業社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成した。
【0042】比較例1実施例1の受容層用塗工液−1及び裏面層用塗工液−2において、トリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーを除いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成した。
【0043】比較例2実施例1の受容層用塗工液−1及び裏面層用塗工液−2において、トリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーの代わりに、ジメチルシリコーンオイル(商標:SH200、東レダウコーニング社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成した。
【0044】比較例3実施例1の受容層用塗工液−1及び裏面層用塗工液−2において、トリフロロプロピルジメチルシロキシトリメチルシロキシ珪酸ポリマーの代わりに、フッ素系界面活性剤(商標:フロラードFC431、3M社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして受容シートを作成した。
【0045】評価上記の各実施例及び各比較例で得られた受容シートを用いて、プリント適性、受容層と支持体との接着性、裏プリント適性、裏面層と支持体との接着性、及び裏移り性の各項目について下記に述べる方法で評価し、その結果を表1にまとめた。
【0046】「プリント適性」昇華カラービデオプリンター(商標:UP5500、ソニー社製)を使用して、受容シートの受容層面に黒べた画像を連続的に200枚印画した。その際の受容シートの走行性、プリント適性を下記の評価基準で判定した。
◎:給紙及び排紙エラーが全く無く、全シートが問題なくプリント可能。
○:給紙及び排紙エラーが1〜2枚発生するが、実用レベルにある。
△:給紙及び排紙エラーが3〜5枚発生し、実用上問題レベル。
×:受容シートの受容層面とインクリボンとの融着が多発し、プリンター内部でジャミング、或いはリボン切れのトラブルが発生し、実用不可。
【0047】「受容層と支持体との接着性」受容シートの受容層面に粘着テープ(商標:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を手で貼り付けた後に、引き剥がして、受容層の剥がれ具合を目視により下記基準で評価した。
○:受容層の剥離が無く、接着性良好。
△:受容層が粘着テープの一部に付着して剥がれ、実用上問題となる。
×:受容層が粘着テープ全面に付着して剥がれ、接着性不良。
【0048】「裏プリント適性」昇華カラービデオプリンター(商標:UP5500、ソニー社製)を使用して、受容シートの裏面層にプリントされるように、即ち受容シートの表裏を通常とは逆にして受容シートを装着し、黒べたパターンをプリントした。その際、インクリボンと裏面層の融着の状態、及び受容シートの搬送性、走行性を下記の評価基準で判定した。
◎:インクリボンと裏面層の融着が全く無く、プリント搬送性及び走行性共に優れている。
○:インクリボンと裏面層が僅かに融着を起こすが、プリント搬送性及び走行性共に良好で、問題なく排紙される。
×:インクリボンと裏面層が融着し、プリンター内でジャミング及びリボン切れのトラブルが発生し、実用上問題ある。
【0049】「裏面層と支持体との接着性」受容シートの裏面層面に粘着テープ(商標:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を手で貼り付けた後に、引き剥がして、裏面層の剥がれ具合を目視により下記基準で評価した。
○:裏面層の剥離が無く、接着性良好。
△:裏面層が粘着テープの一部に付着して剥がれ、実用上問題となる。
×:裏面層が粘着テープ全面に付着して剥がれ、実用不可レベル。
【0050】「裏移り性」昇華カラービデオプリンター(商標:UP5500、ソニー社製)を使用し、受容シートの受容層面にプリントされるように受容シートを装着し、受容層面に黒べた画像をプリントした。プリントサンプルを重ねることにより、印画された受容層面と印画されていない裏面層とを接触させ、200g/cmの圧力をかけた状態で60℃、24時間加熱した。加熱後、印画された受容層と接触していた裏面層の(黒)の光学濃度を、マクベス濃度計(商標:RD−914)を用いて測定した。なお裏移り試験前裏面層の(黒)の光学濃度は0.05であった。
<評価基準>◎:裏面層の(黒)の光学濃度が0.10未満で、裏移りは殆ど認められない。
○:裏面層の(黒)の光学濃度が0.10〜0.14で、若干裏移りするが実用範囲。
×:裏面層の(黒)の光学濃度が0.15以上で、裏移りが著しい。
【0051】
【表1】

【0052】表1の結果から明らかなように、実施例1〜3において、受容層及び裏面層にフロロ変性シリコーン樹脂を一定量添加することにより得られた受容シートは、受容層及び裏面層のプリント適性や支持体との接着性、及び裏移り性等において、優れた性能を有することが判る。また、実施例4より、受容層のみにフロロ変性シリコーン樹脂を用い、適宜裏面層に従来のシリコーンオイル等を使用することも可能である。一方、受容層及び裏面層にフロロ変性シリコーン樹脂を含まない場合(比較例1)には、受容層や裏面層のプリント適性が劣り、ジメチルシリコーンオイルを使用した場合(比較例2)には、受容層及び裏面層の支持体に対する接着性や裏移り性が劣り、受容層のプリント適性が不十分である。また、フッ素系界面活性剤を使用した場合(比較例3)には、受容層面のプリント適性が不十分であり、裏移り性が劣る。
【0053】
【発明の効果】印画時に、受容シートの受容層面とインクリボンとの融着を防止し、また受容シートの表裏を間違えてプリンターに装着して印画した際にも、受容シートの裏面層とインクリボンとの融着を防止して、プリント適性、走行性の優れた受容シートを提供すると共に、プリントした受容シートを重ね置きした場合に、受容層から上面の受容シートの裏面層への染料移行のない受容シートを得ることが可能となり、産業界に寄与するところが大である。
【出願人】 【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子製紙株式会社
【住所又は居所】東京都中央区銀座4丁目7番5号
【出願日】 平成14年1月21日(2002.1.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−211857(P2003−211857A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−11569(P2002−11569)