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【発明の名称】 光記録媒体
【発明者】 【氏名】三浦 裕司
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【氏名】針谷 眞人
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【氏名】譲原 肇
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【氏名】影山 喜之
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【氏名】鈴木 栄子
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【氏名】田代 浩子
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【氏名】水谷 未来
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【氏名】安部 美樹子
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【要約】 【課題】高速オーバーライト記録に対応でき、保存信頼性に優れ、繰り返し記録特性の良好な光記録媒体の提供。

【解決手段】光を照射することにより、記録層を結晶相から非晶相に相転移させて情報を記録する相変化記録媒体において、該記録層の組成式をGeαGaβMnγSbδTeε(α、β、γ、δ、εは原子%、α+β+γ+δ+ε=100)としたとき、次の条件を満足することを特徴とする光記録媒体。0<α≦7、0<β≦7、5≦γ≦10、60≦δ≦70、15≦ε≦25
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光を照射することにより、記録層を結晶相から非晶相に相転移させて情報を記録する相変化記録媒体において、該記録層の組成式をGeαGaβMnγSbδTeε(α、β、γ、δ、εは原子%、α+β+γ+δ+ε=100)としたとき、次の条件を満足することを特徴とする光記録媒体。
0<α≦70<β≦75≦γ≦1060≦δ≦7015≦ε≦25【請求項2】 記録層の結晶化温度が160℃以上200℃未満であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
【請求項3】 基板上に少なくとも第一薄膜層、記録層、第二薄膜層、反射層をこの順に有し、記録層の膜厚が14〜20nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
【請求項4】 反射層がAg又はAgを90原子%以上含む合金からなることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体。
【請求項5】 第二薄膜層がZnSとSiOとの混合物又はZnSとZrOとの混合物であることを特徴とする請求項3又は4記載の光記録媒体。
【請求項6】 第二薄膜層と反射層との間に、硫黄を含まない第三薄膜層を設けたことを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項7】 第三薄膜層がSi又はSiCを主成分とする層からなることを特徴とする請求項6記載の光記録媒体。
【請求項8】 第三薄膜層の膜厚が2〜20nmであることを特徴とする請求項6又は7記載の光記録媒体。
【請求項9】 記録層を形成する元素を含む所定組成の合金ターゲットを用いてスパッタ法により成膜された記録層を有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項10】 初期結晶化されたものであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項11】 初期結晶化がレーザービームによる溶融初期化方法、又は固相初期化により行われたものであることを特徴とする請求項10記載の光記録媒体。
【請求項12】 0<α+β<10であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ビームを照射することにより相変化材料からなる記録層に光学的な変化を生じさせて情報の記録・再生を行う、書き換え可能な光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザービームの照射により情報の記録・再生・消去が可能な光記録媒体には、熱を利用して磁化の反転を行い記録・再生・消去を行う光磁気記録方式と、結晶と非晶質の可逆的相変化を利用し記録・再生・消去を行う相変化記録方式がある。相変化記録方式は、単一ビームオーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系がより単純であることを特徴とし、コンピューター関連や映像音響に関する記録媒体として応用されている。記録材料としては、非晶質を形成し易く、また、繰り返し記録によっても組成偏析が起き難いことから、カルコゲンを中心とした各種化合物や共晶近傍付近の組成の合金が使用されており、実用化されているものとしてはGeTeとSbTeの混合物、及び、Sb−SbTe擬2元系共晶組成にAgやInを添加した系がある。特に後者は高感度でアモルファス部分の輪郭が明確であり、高密度記録に適した材料である。例えば特開平11−070738号公報(本出願人の先願)には、オーバーライト回数が高く保存信頼性にも優れたAgInSbTeからなる4元系材料の最適組成比、最適層構成が開示されている。また、Cr又はZrを添加することにより保存特性を更に向上させている。
【0003】近年、相変化記録媒体は高密度画像記録への用途が拡大すると共に、より一層の高速オーバーライト実現(DVD−ROMの再生線速の2〜5倍速である7〜17m/s)が要求されるようになってきたが、高速オーバーライト実現には、マーク消去時における記録層材料の結晶化の高速化が必要である。この要求に対して、記録層の組成式をXαSbβTeγ(但し、XはIn及び/又はGa、α、β、γは原子%である)とし、α、β、γを0.01≦α≦0.10.60≦β≦0.90γ=1−α−βとして記録層の結晶化速度を速めた上で、薄膜層や反射層の種類、それらの膜厚や作成方法を最適化することにより上記課題を解決できることが知られている(特願2001−79830号)。
【0004】しかし、本発明者らの知見によると、Gaはマーク消去時における記録層材料の結晶化速度を高める効果が非常に大きく、高速オーバーライト実現に適した材料であるが、その添加量の増加に伴い記録層の結晶化温度が上昇し初期結晶化が困難となるという問題を有しており、更に繰り返し記録特性の低下を生じるという問題も有している。そして、何れの問題についても、特にその添加量が5原子%を越えた辺りから顕著になる傾向がある。これらの問題はGaの添加量を少なくすることにより回避できるが、その場合には添加量を減らしたことによる結晶化速度の低下を補填するためにSbの割合を増加させなければならない。実際、本発明者らが得た知見によると、少なくともSbの割合を70原子%以上とする必要があるが、Sbの割合が70原子%を越えると保存信頼性が大きく低下する。その結果、Gaの添加量を減らしSbの割合を増やして結晶化速度を上げた記録層は、初期結晶化の容易性と高線速記録には対応できる可能性があるものの、実用上十分な保存信頼性を得ることは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解消し、高速オーバーライトに対応でき、保存信頼性に優れ、初期結晶化の容易な光記録媒体の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、次の1)〜12)の発明によって解決される。
1) 光を照射することにより、記録層を結晶相から非晶相に相転移させて情報を記録する相変化記録媒体において、該記録層の組成式をGeαGaβMnγSbδTeε(α、β、γ、δ、εは原子%、α+β+γ+δ+ε=100)としたとき、次の条件を満足することを特徴とする光記録媒体。
0<α≦70<β≦75≦γ≦1060≦δ≦7015≦ε≦252) 記録層の結晶化温度が160℃以上200℃未満であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 基板上に少なくとも第一薄膜層、記録層、第二薄膜層、反射層をこの順に有し、記録層の膜厚が14〜20nmであることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 反射層がAg又はAgを90原子%以上含む合金からなることを特徴とする3)記載の光記録媒体。
5) 第二薄膜層がZnSとSiOとの混合物又はZnSとZrOとの混合物であることを特徴とする3)又は4)記載の光記録媒体。
6) 第二薄膜層と反射層との間に、硫黄を含まない第三薄膜層を設けたことを特徴とする3)〜5)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 第三薄膜層がSi又はSiCを主成分とする層からなることを特徴とする6)記載の光記録媒体。
8) 第三薄膜層の膜厚が2〜20nmであることを特徴とする6)又は7)記載の光記録媒体。
9) 記録層を形成する元素を含む所定組成の合金ターゲットを用いてスパッタ法により成膜された記録層を有することを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の光記録媒体。
10) 初期結晶化されたものであることを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の光記録媒体。
11) 初期結晶化がレーザービームによる溶融初期化方法、又は固相初期化により行われたものであることを特徴とする10)記載の光記録媒体。
12) 0<α+β<10であることを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
【0007】以下、上記本発明について詳しく説明する。本発明の記録層は、SbとTeを主成分とするものであるが、SbとTeのみからなる記録層材料は、結晶化温度が120℃前後のため、長期的に見ると記録マークの結晶化が進み、マークが消失し保存特性に問題を有する。また、高線速記録対応、例えば、15m/s以上の線速に応じてオーバーライト可能な高速結晶化が困難であるという問題点を有する。従来の技術ではこうした問題点を解決するために、添加元素としてGa、Geを用いてきたが、前述のように種々の問題があったため、本発明ではGa、Geの他に、更にMnを添加元素として加えたものである。ここで、Mnは、実際の媒体特性の評価などから本発明者らが得た知見によると、添加に伴う記録層の結晶温度の変化が殆んどなく、繰り返し記録特性を損なわず、かつ記録層の結晶化速度を高める効果を有している。こうした点でSbの割合を増加させた場合と類似の添加効果を有するものである。しかもSbの場合にはその割合を増加させると保存特性が低下するという問題があったが、Mnの場合には保存特性の低下は生じない。
【0008】このように、本発明の記録層は、光記録媒体として特性の観点からは、Sbの一部をMnで置換したものと考えることができ、Sbの割合を増やさずに記録材料の結晶化速度を高めることができるため、Sbの割合を70原子%未満とした組成範囲であっても、高速オーバーライトを実現することが可能となる。その結果、Sbの割合が70原子%を越えた場合に生じる保存信頼性の低下の問題を伴うことがないという優れた効果を奏する。また、Mnを添加することにより、Sb量を増やした場合と同程度に結晶化速度を高めることができるので、結晶化速度を向上させるために必要であったGaの添加量を少なくすることが可能となり、Gaの割合を少なくしても高速オーバーライト対応が可能となる。即ち、結晶化速度を向上させるために添加するGaの量が前記した組成範囲内であっても高速オーバーライト対応が可能となる。その結果、Ga添加に伴う結晶化温度の上昇を抑えることができ、初期結晶化を容易に行うことができる。
【0009】次に、記録層の各構成元素の割合について説明すると、Mnの添加量は5原子%以上10原子%以下とすることが望ましい。5原子%よりも少ないと高速オーバーライト対応、保存特性、初期結晶化容易性の全てを満足することはできない。即ち、Sb量を70原子%以下とし保存特性を確保した上で高速オーバーライト対応を実現しようとすると、Gaの添加量を増やす必要があるため、結晶化温度が高くなり初期結晶化が困難となる。また、Gaの添加量を減らして初期結晶化容易性を確保した上で高速オーバーライト対応を実現しようとすると、Sbの割合を70原子%よりも大きくする必要が生じ、実用上十分な保存特性を確保することができない。10原子%を越えるとオーバーライト特性の低下を招くので好ましくない。Ge、Gaの添加量は、それぞれ7原子%以下とすることが望ましい。Geの量がこれより多いとオーバーライト特性の低下を招き、Gaの量がこれより多いと、オーバーライト特性の低下を招くと共に、初期結晶化が非常に困難となる。一方、添加量が少なくなるにつれ添加効果が明確でなくなるため、1原子%以上添加することが望ましい。
【0010】Sbは、60〜70原子%とすることが好ましい。60原子%未満では高速オーバーライト対応が困難であり、70原子%を越えると実用上十分な保存信頼性の確保が困難となる。Teは、15〜25原子%とすることが好ましい。15原子%未満では非晶質化が困難となり、25原子%を越えると高速オーバーライト対応が困難である。なお、記録層の結晶化温度は160℃以上200℃未満であることが望ましい。160℃未満では実用上十分な保存信頼性を確保することが難かしく、200℃以上では初期結晶化が困難となる。記録層の結晶化温度を200℃未満とするには、記録層の結晶化速度を向上させる作用を有する添加元素であるGa及びGeの組成範囲を前記の範囲とすることに加えて、GaとGeの添加量の総和を10%未満にすることが好ましい。
【0011】次に、本発明の光記録媒体の構成を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の光記録媒体の層構成の一例を示すものであり、基板1上に第一薄膜層2、記録層3、第二薄膜層4、反射層(放熱層)5が設けられている。第一、第二薄膜層の材料としては、SiOx、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO、Ta等の酸化物;Si、AlN、TiN、BN、ZrN等の窒化物;ZnS、TaS等の硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物が挙げられる。これらの材料は、単体で保護層として用いることができ、また混合物として用いることもできる。混合物の具体例としては、ZnSとSiOx、TaとSiOxが挙げられる。これらの材料の物性としては、熱伝導率、比熱、融点、熱膨張係数、屈折率及び基板材料又は記録層材料との密着性等が挙げられるが、融点が高く、熱膨張係数が小さく、密着性が良いといった物性が要求される。
【0012】ここで、第二薄膜層は、記録時にレーザー光照射により記録層に加わった熱を篭らせて蓄熱する一方で、反射層に伝熱して熱を逃がす役割を担うものであり、繰り返しオーバーライト特性を左右する。本発明者らの知見によると、第二薄膜層の材料としてはZnSとSiOとの混合物、又はZnSとZrOとの混合物を用いることが好ましく、特に熱安定性などの観点からZnSとZrOとの混合物が好ましい。なお、ZrOを用いる場合には、ZrOを安定化させる(高温での構造変化をなくす)ために、ZrOに対してY、CaO、MgO又は希土類酸化物を2〜10モル%添加したものを用いることが好ましい。
【0013】第一薄膜層の膜厚は50〜250nm、好ましくは75〜200nmとする。50nmより薄くなると、耐環境保護機能の低下、耐熱性低下、蓄熱効果の低下を生じるので好ましくない。また、250nmより厚くなると、スパッタ法等による製膜過程において、膜温度の上昇により膜剥離やクラックを生じたり、記録時の感度の低下をもたらすので好ましくない。第二薄膜層の膜厚は、10〜100nm、好ましくは15〜50nmとする。10nmより薄いと、本質的に耐熱性が低下するため好ましくない。また100nmを越えると、記録感度の低下、温度上昇による膜剥離、変形、放熱性の低下により繰り返しオーバーライト特性が悪くなるので好ましくない。記録層の膜厚は、10〜30nmとすることが好ましく、14〜20nmとすることが更に好ましい。この範囲を外れると記録感度の低下や繰り返しオーバーライト特性の低下を招く。
【0014】反射層は光を反射する役割を果たす一方で、記録時にレーザー光照射により記録層に篭った熱を逃がす放熱層としての役割も担っている。非晶質マークの形成は、放熱による冷却速度により大きく左右されるため、反射層の選択は高線速対応媒体では特に重要である。従って、本発明の反射層材料としては、Au、Ag、Al、又はこれらの元素を主成分とする合金を用いることが好ましいが、中でも熱伝導率の非常に大きいAg又はAgを主成分とする(好ましくはAgを90原子%以上含有する)合金を用いると、冷却速度が大きくなり良好な非晶質形成を実現することができる。反射層の膜厚は100〜300nmが好ましい。反射層の放熱能力は基本的に膜厚に比例し、100nm未満では冷却速度が低下するため好ましくない。一方、300nmを越えると材料コストの増大を招く。なお、反射層を、上記Ag又はAgを主成分とする合金を用いて第二薄膜層に接して設ける場合であって、第二薄膜層がSを含む材料からなる場合には、Agの硫化によるピンホール発生を避けるために、両層の間にSi、SiC、SiN、GeN、ZrOなどの硫黄を含まない第三薄膜層をバリア層として設けることが好ましい。中でもSiはAgとの密着性が良く、繰り返し特性が良好であるため特に好ましい。第三薄膜層の膜厚は、2〜20nm、好ましくは4〜10nmとする。2nm未満ではバリア層として機能せず、20nmを越えると記録感度の低下を招く。
【0015】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0016】実施例1直径12cm、厚さ0.6mm、トラックピッチ0.74μmのグルーブ付きポリカーボネートディスク基板を高温で脱水処理した後、この基板上にスパッタにより第一薄膜層、記録層、第二薄膜層、反射放熱層を順次成膜した。第一薄膜層にはZnS・SiOターゲットを用い、膜厚180nmとした。記録層には、組成比がGaGeMnSb68Te18である合金ターゲットを用い、アルゴンガス圧3×10−3torr、RFパワー300mWでスパッタし、膜厚20nmとした。第二薄膜層には、第一薄膜層と同じ、ZnS・SiOターゲット用い、厚さ20nmとした。反射放熱層には、Al・Ti合金ターゲットを用い、厚さ120nmとした。次に、反射放熱層上に、アクリル系紫外線硬化樹脂からなる厚さ5〜10μmの有機保護膜をスピナー塗布した後、紫外線硬化させ、更にその上に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネートディスクを接着シートにより貼り合わせ、大口径LDビーム照射により記録層を初期結晶化して光記録媒体とした。記録・再生には、波長656nm、NA0.65のピックアップを用いた。記録にはパルス変調法を用い、記録データは、EFM+変調方式により記録層に応じた最適記録線速、最適記録パワーで記録した。記録ストラテジもジッターが最小となるように各々最適化して使用した。再生は全てパワー0.7mW、線速3.5m/sで行い、data to clock(データ・トゥー・クロック)ジッター及び反射率を測定した。その結果、記録密度0.267μm/bitで記録線速17.5m/sまで良好な記録が可能であることが分り、初回記録、及び、繰り返し記録1000回後のジッターσ/Twは共に10%未満という値が得られた。更に、この記録媒体(ディスク)について、70℃85%RH環境下で1000時間の保存試験を行ったところ、初回記録、及び、繰り返し記録1000回後共に劣化は見られなかった。
【0017】実施例2〜3記録層の組成をGaGeMnSb69Te18(実施例2)、GaGeMnSb65Te19(実施例3)に変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作成し評価した。その結果、実施例1と同様に、記録密度0.267μm/bitで記録線速17.5m/sまで良好な記録が可能であることが分り、初回記録、及び、繰り返し記録1000回後のジッターσ/Twは共に10%未満という値が得られた。更に、この光記録媒体(光ディスク)について、70℃85%RH環境下で1000時間の保存試験を行ったところ、初回記録、及び、繰り返し記録1000回後共に劣化は見られなかった。
【0018】比較例1記録層の組成をGaGeSb76Te16に変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作成し評価した。その結果、実施例1と同様に、記録密度0.267μm/bitで記録線速17.5m/sまで良好な記録が可能であり、初回記録、及び繰り返し記録1000回後のジッターσ/Twは共に10%未満という値が得られた。しかしながら、70℃85%RH環境下で1000時間保存したところ、初回記録部でも12%まで上昇しており、実用上十分な保存信頼性が得られないことが分った。これはSbの割合が70原子%を越えているために保存信頼性が低下したものと考えられる。
【0019】比較例2〜4記録層の組成をGaGeMn4.5Sb69.5Te18(比較例2)、GaGeMn4.5Sb71Te16.5(比較例3)、GaGeMn4.5Sb69.5Te16(比較例4)に変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作成し評価した。その結果、比較例2の媒体は、実施例1と同様に、記録密度0.267μm/bitで記録線速15m/sまで良好な記録が可能であり、70℃85%RH環境下で1000時間の保存試験を行ったところ、初回記録、及び、繰り返し記録1000回共に劣化は見られなかったが、記録線速17.5m/sでは初回記録、及び繰り返し記録1000回後のジッターσ/Twが共に15%となり、良好な記録を行うことができなかった。また、比較例3の媒体は、実施例1と同様に、記録密度0.267μm/bitで記録線速15m/sまで良好な記録が可能であったが、70℃85%RH環境下で1000時間保存したところ、初回記録部でも12%まで上昇しており、実用上十分な保存信頼性が得られないことが分った。また、比較例3の媒体は、初期結晶化することができなかった。これらの結果から、Mnの添加量が5原子%未満であると、高速記録対応、保存信頼性、初期化容易性の全てを満足させることが困難であることが分る。
【0020】実施例4〜5反射放熱層としてAl・Ti合金ターゲットの代りにAgを用い、第二薄膜層とAg反射放熱層との間に第三薄膜層として膜厚5nmのSi膜を設けた点以外は、実施例1及び2と同様にして光記録媒体を作成し(実施例1→実施例4、実施例2→実施例5)、実施例1と同様にして評価した。実施例4の光記録媒体を実施例1と、実施例5の光記録媒体を実施例2と比較したところ、初回記録、及び、繰り返し記録1000回後のジッターσ/Twに関して特性が向上していることが分った。更に、これらの光記録媒体(ディスク)について、70℃85%RH環境下で1000時間の保存試験を行ったところ、初回記録、及び、繰り返し記録1000回後共に劣化は見られず、Agの硫化による欠陥の発生も見られなかった。
【0021】実施例6第二薄膜層としてZnS−SiOの代りにZnS−ZrOを用いた点以外は実施例3と同様にして光記録媒体を作成し、実施例3の光記録媒体と比較したところ、繰り返し記録1000回後のジッターσ/Twに関して特性が向上していることが分った。
【0022】比較例5記録層の初期結晶化をランプアニールで行った点以外は実施例1と同様にして光記録媒体を作成し評価した。その結果、反射率は均一であったが、記録ストラテジやパワーの調整によっても評価に値するような記録はできなかった。そこで、記録層のみをガラス基板にスパッタで成膜し、LDビームとランプアニールによりそれぞれ結晶化させた薄膜について、粉末X線回折法で結晶構造を調べたところ、LDビームで結晶化した膜は単一のNaCl構造に近い結晶相によると考えられる回折スペクトルが得られたのに対し、ランプアニールで結晶化した膜は、単一の結晶相ではなく、InSbの析出に伴うと推定される六方晶やSbTeの析出に伴うと推定される三方晶の出現が見られた。従って、この結晶構造の違いのために記録ができない状態になっているものと考えられる。
【0023】比較例6実施例1の記録層形成工程において、GaGeMnSb68Te18の合金ターゲットに代えて、所定組成のSb−Te合金ターゲット上に、Sb、Ga、Mn及びGeのチップを載せてスパッタを行ったが、所望組成の記録層を得ることは困難であり、安定して同一組成の記録層を形成することはできなかった。
【0024】
【発明の効果】本発明1によれば、Ga添加量及びSbの割合を抑えた記録層組成で高速オーバーライト対応を実現でき、かつ保存信頼性に優れ、初期結晶化の容易な光記録媒体を提供できる。本発明2によれば、高速オーバーライトに対応でき、かつ保存信頼性に優れ、初期結晶化の容易な光記録媒体を提供できる。本発明3〜5によれば、記録感度及び高速オーバーライト特性を一層向上させることができる。本発明6〜7によれば、反射層の硫化を防ぐことができ、保存信頼性の低下を防ぐことができる。また、本発明7のSiを主成分とする場合には、反射層との密着性が良いために、より信頼性に優れた光記録媒体を安定に提供できる。本発明8によれば、記録感度を損なうことなく反射層の硫化を確実に防ぐことができ、信頼性に優れた光記録媒体を提供できる。本発明9によれば、製膜ごとの記録層の組成が安定するため、一定の品質の光記録媒体を安定して提供できる。本発明10〜11によれば、高密度記録が可能で、繰り返し記録特性に優れた光記録媒体を、良好な記録が可能な状態で提供できる。本発明12によれば、更に初期結晶化特性の優れた光記録媒体を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
【出願日】 平成14年1月25日(2002.1.25)
【代理人】 【識別番号】100094466
【弁理士】
【氏名又は名称】友松 英爾
【公開番号】 特開2003−211849(P2003−211849A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−16903(P2002−16903)