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【発明の名称】 感熱記録材料
【発明者】 【氏名】松本 信一
【住所又は居所】大阪府高槻市上土室6丁目17番1号 内外カーボンインキ株式会社内

【氏名】鈴木 祥之
【住所又は居所】大阪府高槻市上土室6丁目17番1号 内外カーボンインキ株式会社内

【氏名】北田 信彦
【住所又は居所】大阪府高槻市上土室6丁目17番1号 内外カーボンインキ株式会社内

【氏名】高田 昌繁
【住所又は居所】大阪府高槻市上土室6丁目17番1号 内外カーボンインキ株式会社内

【要約】 【課題】従来使用されている感熱記録材料の使用前および感熱記録時の品質低下のみならず、サーマルヘッドの防汚や摩損をも同時に防止できる、新規な感熱記録材料の提供。

【解決手段】基材、該基材上に設けられた感熱発色層、および該感熱発色層上に配された少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料であって、基材に対する感熱発色層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.8A以上であり、感熱発色層に対する保護層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.10A以上であり、そして保護層全体の厚さが2μm以上でありかつ該保護層最表面におけるベック平滑度が300秒以上である感熱記録材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材、該基材上に設けられた感熱発色層、および該感熱発色層上に配された少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料であって、基材に対する感熱発色層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.8A以上であり、感熱発色層に対する保護層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.10A以上であり、そして保護層全体の厚さが2μm以上でありかつ該保護層最表面におけるベック平滑度が300秒以上である感熱記録材料。
【請求項2】 基材、該基材上に部分的に設けられた複数の感熱発色層、および該感熱発色層上に配された少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料であって、基材に対する感熱発色層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.8A以上であり、感熱発色層に対する保護層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.10A以上であり、そして保護層全体の厚さが2μm以上でありかつ該保護層最表面におけるベック平滑度が300秒以上である感熱記録材料。
【請求項3】 基材と感熱発色層の間にアンカーコート層を更に含んで成り、基材に対するアンカーコート層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.10A以上であり、アンカーコート層に対する感熱発色層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.10A以上である請求項1または2記載の感熱記録材料。
【請求項4】 感熱発色層がそれぞれ、赤色、青色および黒色から選択される異なる発色色相を有する請求項2記載の感熱記録材料。
【請求項5】 保護層表面における動摩擦係数が0.30以下である請求項1または2記載の感熱記録材料。
【請求項6】 保護層表面のJIS P−8146に基づく耐油度が3000秒以上である請求項1または2記載の感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来使用されている感熱記録材料の使用前および感熱記録時の品質低下を有効に抑制し、サーマルヘッドの防汚および摩損をも同時に防止できる、新規な感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】画像態様の熱印加によって発色画像が再現される感熱記録紙は、既に公知であり、広く使用されている。これは、消費者の多用なニーズに応答するために、材料や熱印加装置に関する技術の目覚ましい発展によって、青色や黒色などの単色の感熱記録から、多色での記録が可能な感熱記録材料へと展開してきている。例えば、基材上に色相の異なる低温発色層と高温発色層の2層を順に重ねて形成された感熱記録紙であって、所望の色を発現させるのに適した温度の熱を印加していずれかの発色層を発色させるものや、あるいは感熱記録紙を幾つかの部分に分割され、それぞれの部分に感熱発色層を設け、それらを同時に加熱することによって部分的に所望の発色記録が達成される感熱記録紙などが提案されている。
【0003】このような公知の感熱記録紙には幾つかの問題点がある。第1には、使用前の搬送および貯蔵時、または取り扱い中に生じる印字発色面の発色汚染や、引っ掻き傷等によって、材料品質が低下することが挙げられる。第2に、感熱記録のための熱印加時に溶融した発色剤がサーマルヘッドにカスとして付着したり、場合によっては材料がサーマルヘッドと瞬間的に接着してしまう、いわゆるスティッキングの発生がある。とりわけ、前述の部分的に感熱発色層が設けられたタイプの感熱記録紙の場合、一方では単色または多色のいずれの感熱記録にも適用できるという特徴を有するが、他方では感熱発色層が部分的に印刷されていることから、基材表面に段差を生じさせて平滑性が低下するため、印字の際に感熱発色層が部分的に剥離して、サーマルヘッドへカスが付着し易いという欠点を有する。その結果、印字鮮明性の低下のみならず、高い発色濃度の記録が得られ難くなって発色濃度が不均一化すること、などの問題も生じることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、公知の感熱記録材料に係る上記問題点を克服できる、新規な感熱記録材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材、該基材上に設けられた感熱発色層、および該感熱発色層上に配された少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料であって、基材に対する感熱発色層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.8A以上であり、感熱発色層に対する保護層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.10A以上であり、そして保護層全体の厚さが2μm以上でありかつ該保護層最表面におけるベック平滑度が300秒以上である感熱記録材料に関する。また、本発明は、基材、該基材上に部分的に設けられた複数の感熱発色層、および該感熱発色層上に配された少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料であって、基材に対する感熱発色層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.8A以上であり、感熱発色層に対する保護層の密着強度がデニソンワックス強度としてNo.10A以上であり、そして保護層全体の厚さが2μm以上でありかつ該保護層最表面におけるベック平滑度が300秒以上である感熱記録材料にも関する。
【0006】本発明の感熱記録材料は、使用前の圧力汚染や引っ掻き傷の防止およびスティッキング防止のために基材−感熱発色層間および感熱発色層−保護層間の高い密着強度を規定しており、さらには感熱記録材料の最表面である保護層表面の平滑度を規定することによって材料表面の平滑性が高いことを特徴とする。さらに、本発明は、任意に基材と感熱発色層の間にアンカーコート層を更に含んで成る感熱記録材料にも関する。本発明によれば、必要時に適当な密着強度を付与できるアンカーコート層を設けることによって印字鮮明性の向上も達成される。すなわち、本発明の感熱記録材料は、組成や要素および構成は公知であるが、各要素または要素間での物理特性をそれぞれ特定の標準試験法に従って具体的に規定することによって特徴付けられるものである。このような物理特性を満たすことで、本発明の感熱記録材料は、従来使用されている材料では改善されなかった種々の問題点を克服できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。本発明の感熱記録材料10は、例えば、基材1、感熱発色層2および保護層3、そして任意にアンカーコート層4の各要素を図1に示す順に積層して構成される。ただし、図1に示す構成は、本発明の感熱記録材料10の一態様を単に示すものである。
【0008】本発明において、基材1は、通常使用される材料がいずれも使用でき、例えば原紙、上質紙、コンデンサーペーパ、セロファン、ポリエチレンフィルムまたはポリエステルフィルム等であってよい。
【0009】また、基材として、所望により、粘着層とそれを被覆する剥離紙から成るタック紙を使用してもよい。この場合、基材としてのタック紙は、感熱発色層を有する面とは反対の面に粘着層および剥離紙を有する。
【0010】感熱発色層前記基材1上に形成される感熱発色層2は、発色剤と顕色剤を含有し、更に必要に応じてバインダー、無機顔料、増感剤などの各種添加剤を適宜含有する。ここで、感熱発色層は、図1に例示するように基材1上部分的に複数形成されても、あるいは基材1上に連続した層として形成されてもよい。感熱発色層中に含有される各成分は、発色色相が異なるのみであって、特に組成そのものに変更はないため、以降、まとめて説明する。
【0011】使用される発色剤は、トリアリールメタン、ジフェニルメタン、キサンテン、チアジン、およびスピロピラン系化合物、ラクタム系染料およびフルオラン系染料等のロイコ染料が挙げられる。これらは、顕色剤との接触によってそれぞれ黒、赤、赤紫、オレンジ、青、緑、黄色などの固有の発色色相を与えることから、単独で使用するか、あるいは2種以上の異なる色相のものを混合して使用することにより、赤色、青色および黒色から選択される所望の発色色相が得られる。
【0012】前記発色剤と組み合わせて感熱発色層中に含有される顕色剤は、例えば、活性白土、酸性白土、アタパルジヤイト、ベントナイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質;そしてフェノール、トリフェニルメタン、硫黄含有フェノール、カルボン酸、尿素またはチオ尿素系の化合物、および芳香族カルボン酸の多価金属塩、芳香族カルボン酸と多価アルコールの縮合反応生成物、ジフェニルスルホン系化合物などが適宜使用される。
【0013】さらに、感熱発色層には、バインダーとして、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が、増感剤として、脂肪酸アミド類、芳香族カルボン酸エステル類、脂肪酸エステル類、芳香族エーテル類等が、そして無機顔料として、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粒子状無水シリカ等が必要に応じて含有されてよい。
【0014】感熱発色層用塗布溶液は、先ず、発色剤と顕色剤をそれぞれ別個に、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の分散保護ポリマーを含有する水溶液中に、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いて数μm以下の微細な粒子に磨細分散する。次いで、両者を混合した後、前記添加剤を必要に応じて適宜添加することにより感熱発色層用塗布溶液が調製される。
【0015】本発明において、感熱発色層用塗布溶液に使用される各組成およびそれらの配合量は、各感熱発色層に要求される色相、熱エネルギー感度、および記録適性によって決定されるが、通常、発色剤1部に対して、顕色剤3〜12部、増感剤0〜12部、無機顔料1〜20部、およびバインダーは10〜25部(固形分)である。
【0016】調製後、感熱発色層用塗布溶液を前記基材上に塗布する。感熱発色層用塗布溶液は、基材表面に連続した層を形成するように、あるいは例えば図1に例示されるように、基材上に部分的に複数の感熱発色層2を形成するように塗布されてよい。特に後者の場合は、異なる色相の感熱発色層用塗布溶液を用いて塗布することで、少なくとも2種の異なる色相の感熱発色層が形成され得る。各感熱発色層用塗布溶液の塗布は、グラビア、フレキソ、シルクスクリーン、インキジェット等の塗布方法によって、通常、2〜12g/m、好ましくは3〜7g/mの塗布量で行われてよく、好ましくは厚さ2〜10μmの感熱発色層を形成する。ここで、塗布量は、各発色層の望ましい発色濃度、すなわち「色調」や、感度等によって適宜決定されてよい。
【0017】保護層本発明では、基材上の感熱発色層を覆うように保護層を少なくとも1層設ける。この保護層の存在は、感熱記録材料の耐薬品性、すなわち耐水性および耐溶剤性を共に向上し得る。また、保護層は、印刷時に溶融された昇華性染料のサーマルヘッドへの付着やスティッキングにより、サーマルヘッドが摩損するのを防止できる。このような機能を有する保護層は、1層のみであっても、あるいはそれぞれが異なる機能を付与する2層以上を重ねて形成されてもよい。
【0018】保護層の組成は、上記機能を発揮し、そして以降で詳しく説明する表面平滑度を発現できるものであれば特に限定されない。例えば、特公昭63-63397号公報に記載のアルミナゾルおよび/またはコロイダルシリカを含有する保護層、特公平3-67517号公報または同2-54797号公報に記載の水溶性高分子とフッ素アクリル系高分子またはシリコーンゴムとを含有する保護層、および特開昭63-145079号公報に記載のスチレンマレイン酸共重合アミド化物アルカリ塩を含有する保護層などが例示される。本発明における最も好ましく使用される保護層の組成は、光エネルギーにより乾燥硬化する紫外線硬化性樹脂を含む塗工インキであり、該インキは光付加重合性のモノマー、プレポリマー、ポリマー、光重合開始剤、増感剤、体質顔料等から構成されるインキである。
【0019】本発明において、感熱発色層上に形成される保護層全体の厚さは、2μm以上、好ましくは4μm以上と成るように形成される。保護層の厚さが2μm未満であると、耐薬品性の付与やサーマルヘッドへのカスの付着防止などが十分に達成されない。
【0020】アンカーコート層本発明では、必要に応じて、発色層用塗布溶液を塗布する前に、基材上に予めアンカーコート層を形成してよい。アンカーコート層は、特開昭56-27394号公報および特開昭56-86792号公報などから公知であり、例えば、粉末状の有機または無機顔料や水溶性、あるいは有機溶剤可溶性の樹脂、あるいは水性ラテックス類を用いて形成される。最も好ましくは、ポリビニールアルコール、SBRラテックス、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、クレーを用いて、アンカーコート層を形成する。
【0021】アンカーコート層は、前記発色層用塗布溶液の基材中への浸透を防止でき、また基材の感熱発色層を形成する面の平滑性を高めるのにも役立ち、結果として感熱発色層の発色濃度の高濃度化および均一化が達成される。さらにアンカーコート層は、その組成により、発色層用塗布溶液中の発色剤成分を吸着でき、これによって印刷時の溶融した昇華性染料のサーマルヘッドへの付着によるヘッドの摩損防止も可能である。
【0022】上記各要素から構成される本発明の感熱記録材料は、以下の特性を有することを特徴とする。
(1)密着強度本発明の感熱記録材料中の各要素間の密着強度は、JIS P8129「紙及び板紙の表面強さ試験方法」に従い、デニソンワックスNo.2A〜32Aを用いて測定される。本発明において、基材に対する感熱発色層の密着強度は、デニソンワックス強度としてNo.8A以上、好ましくはNo.10A以上であり、感熱発色層に対する保護層の密着強度はデニソンワックス強度としてNo.10A以上、好ましくはNo.12A以上である。また、場合により基材と感熱発色層の間にアンカーコート層を更に含んで成る場合、基材に対するアンカーコート層の密着強度はデニソンワックス強度として10A以上、好ましくはNo.12A以上であり、アンカーコート層に対する感熱発色層の密着強度はデニソンワックス強度として10A以上、好ましくはNo.12A以上である。
【0023】本発明の感熱記録材料では、各要素が上記の密着強度を満たすことで、耐薬品性を向上でき、サーマルヘッドへのカスの付着やスティッキングなどに起因するサーマルヘッドの摩損を防止できる。
【0024】(2)表面平滑度本発明において、保護層表面におけるベック平滑度は、JIS P8119「紙及び板紙のベック試験器による平滑度試験方法」によって測定され、特に300秒以上、より好ましくは450秒以上である。本発明では、感熱記録材料の最表面におけるベック平滑度を300秒以上とすることで、3インチ/秒以上の高速印字下における用紙走行性および印字時におけるサーマルヘッドへの塗工物の付着防止が達成される。
【0025】(3)動摩擦係数動摩擦係数は、JIS P8147「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」に基づいて測定される値である。本発明では、保護層最表面における動摩擦係数は、0.30以下、好ましくは0.25以下である。動摩擦係数が0.30を超えると、3インチ/秒以上の高速印字下において用紙走行障害の原因となる。
【0026】(4)耐油度本発明において、保護層最表面の耐油度は、JIS P8146「紙の耐油土試験方法」に従って測定され、3000秒以上、好ましくは3600秒以上である。保護層最表面の耐油度が上記条件を満たすことにより、食品ラベルに使用された時、食用油等に24時間以上接触しても発色印字が消色することなく運用可能となる。
【0027】
【発明の効果】本発明の感熱記録材料は、基材−感熱発色層間および感熱発色層−保護層間の高い密着強度により、使用前の圧力汚染や引っ掻き傷およびスティッキングが防止でき、さらに感熱記録材料の最表面である保護層表面の高い平滑度により、用紙走行性、発色印字耐性において全く問題なく運用できる。さらに基材と感熱発色層間へのアンカーコート層の適用によって、印字鮮明性の向上も達成される。
【出願人】 【識別番号】000225267
【氏名又は名称】内外カーボンインキ株式会社
【住所又は居所】大阪府高槻市上土室6丁目17番1号
【出願日】 平成14年1月21日(2002.1.21)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開2003−211842(P2003−211842A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−11179(P2002−11179)