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【発明の名称】 可逆性感熱記録材料
【発明者】 【氏名】佐野 秀和
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱製紙株式会社内

【氏名】伊藤 章
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱製紙株式会社内

【要約】 【課題】良好なコントラストで画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な感熱記録材料を提供する事である。より具体的には、消去性に優れ、地肌濃度が低く、また、光曝露による発色部の色相変化や消色不良、消色部の再発色、地肌の着色等が起こらない高い耐光性を有した可逆性感熱記録材料を提供する事である。

【解決手段】支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該記録材料中にN,N−ジ置換ヒドラジン構造を有する基を同一分子内に2個以上含有する化合物を少なくとも1種含有させる事により、明瞭なコントラストで画像の形成・消去が可能であり、耐光性に優れ、経時的に安定な画像を保持可能な可逆性感熱記録材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該記録材料中にN,N−ジ置換ヒドラジン構造を有する基を同一分子内に2個以上含有する化合物を少なくとも1種含有させる事を特徴とする可逆性感熱記録材料。
【請求項2】 支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該記録材料中に下記一般式(1)、(2)、または(3)で表される化合物を少なくとも1種含有させる事を特徴とする可逆性感熱記録材料。
【化1】

(式1中、R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、また、R1とR2は互いに連結して環を形成していてもよい。X1は酸素原子または硫黄原子を表す。nは2〜5の整数を表す。A1はn価の有機残基を表す。A1に結合するカッコで括られたn個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】

(式2中、R3及びR4は同じでも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、また、R3とR4は互いに連結して環を形成していてもよい。X2はヘテロ原子を含む2価の基を表すが、アミド基及びチオアミド基は除く。mは2〜5の整数を表す。2はm価の有機残基を表す。A2に結合するカッコで括られたm個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。)
【化3】

(式3中、R5及びR6は同じでも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、また、R5とR6は互いに連結して環を形成していてもよい。R7は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。X3は酸素原子または硫黄原子を表す。X4は単結合、酸素原子、または硫黄原子を表す。qは2または3を表す。リン原子に結合するカッコで括られたq個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項3】 前記一般式(1)〜(3)で表される化合物のR1、R2、R3、R4、R5、R6が炭素数1〜8の1価の炭化水素基である事を特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項4】 前記一般式(1)〜(3)で表される化合物のR1とR2、R3とR4、R5とR6で形成される環が、それぞれ置換基を有していてもよいピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環のいずれかである事を特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項5】 前記一般式(1)〜(2)で表される化合物のA1及びA2が置換基及び/またはヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜24の2価または3価の有機残基である事を特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項6】 前記一般式(1)で表される化合物のA1がビウレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、またはアロファネート結合を介してなる2価または3価の有機残基である事を特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項7】 前記可逆性顕色剤として下記一般式(4)で表される化合物の少なくとも1種を用いる事を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料。
【化4】

(式4中、X5及びX6は酸素原子、硫黄原子、または両末端に炭化水素基を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。R8は単結合または炭素数1〜12の二価の炭化水素基を表す。R9は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。R10は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表す。rは0〜4の整数を表し、rが2以上のとき繰り返されるR9およびX6は同一であっても異なっていてもよい。)
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを制御する事により画像形成及び消去が可能な可逆性感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】感熱記録材料は一般に、支持体上に電子供与性の無色ないし淡色の染料前駆体(以下、ロイコ染料ともいう)と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱する事により、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるもので、特公昭43−4160号公報、特公昭45−14039号公報等に開示されている。
【0003】一般にこのような感熱記録材料は、一度画像を形成するとその部分を消去して再び画像形成前の状態に戻す事は不可能であるため、更に情報を記録する場合には画像が未形成の部分に追記するしかなかった。このため感熱記録部分の面積が限られている場合には、記録可能な情報が制限され必要な情報を全て記録できないという問題が生じていた。
【0004】近年、このような問題に対処するため画像形成・画像消去が繰り返して可能な可逆性感熱記録材料が考案されており、例えば、特開昭54−119377号公報、特開昭63−39377号公報、特開昭63−41186号公報では、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子から構成された感熱記録材料が記載されている。しかし、この方法は熱エネルギーによって感熱記録材料の透明度を可逆的に変化させるものであるため、画像形成部と画像未形成部のコントラストが不十分である。
【0005】また、特開昭50−81157号公報、特開昭50−105555号公報に記載された方法においては、形成する画像は環境温度にしたがって変化するものであるため、画像形成状態と消去状態を保持する温度が異なっており、常温下ではこの2つの状態を任意の期間安定に保持する事が出来ない。
【0006】更に、特開昭59−120492号公報には、呈色成分のヒステリシス特性を利用し、記録材料をヒステリシス温度域に保つ事により画像形成状態・消去状態を維持する方法が記載されているが、この方法では画像形成及び消去に加熱源と冷却源が必要な上、画像の形成状態及び消去状態を保持できる温度領域がヒステリシス温度領域内に限られる欠点を有しており、日常生活の温度環境で使用するには未だ不十分である。
【0007】一方、特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報、国際公開番号WO90/11898号には、ロイコ染料と加熱によりロイコ染料を発色及び消色させる顕減色剤から構成される可逆性感熱記録媒体が記載されている。顕減色剤は、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物で、熱エネルギーの制御により酸性基による発色作用または塩基性基による消色作用の一方を優先的に発生させ、発色と消色を行うものである。しかし、この方法では熱エネルギーの制御のみで完全に発色反応と消色反応を切り換える事は不可能で、両反応がある割合で同時に起こるため、十分な発色濃度が得られず、また、消色が完全には行えない。そのために十分な画像のコントラストが得られない。また、塩基性基の消色作用は常温で発色部にも作用するため、経時的に発色部の濃度が低下する現象が避けられない。
【0008】また、特開平5−124360号公報には加熱によりロイコ染料を発色及び消色させる可逆性感熱記録媒体が記載されており、電子受容性化合物として有機ホスホン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アルキルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノール、没食子酸アルキルエステルなどの特定のフェノール化合物が例示されている。しかし、この記録媒体でもやはり発色濃度が低いか、または、消色が不完全という2つの問題を同時に解決する事は出来ず、また、その画像の経時的安定性においても実用上満足すべきものにない。更に、特開平5−294063号公報において、上記可逆性感熱記録媒体の消去性を改良する消色促進剤として脂肪酸類、ワックス、高級アルコール、燐酸/安息香酸/フタル酸またはオキシ酸の各種エステル類、シリコーンオイル、液晶性化合物、界面活性剤及び炭素数10以上の脂肪酸飽和炭化水素等が開示されているが、その効果は小さいため、未だ消去時の画像濃度が高く実用的とは云えない。
【0009】本出願人は、これまでに特開平6−210954号、特開平7−179043号公報等において、可逆性顕色剤として特定のフェノール化合物を用い、ロイコ染料と組み合わせる事によって、良好なコントラストでの画像の形成・消去を繰り返し行う事ができ、更に日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持する事が可能な実用性の高い可逆性感熱記録材料を提案した。しかし、このような可逆性感熱記録材料においては、光に対しては必ずしも安定とは言い難く、該記録材料に日光や蛍光灯等の光が長時間照射された場合、発色部の消色の際に濃度が地肌部と同じレベルまで下がらず、また、発色部の色調の変化、地肌部の着色などの耐光性に問題があった。
【0010】このような記録材料の耐光性の問題には、酸化防止剤を可逆性感熱記録層に含有させる手法が一般的であり、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物に代表される紫外線吸収剤、あるいは、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤に代表されるラジカル連鎖禁止剤等を可逆性感熱記録層に組み合わせて含有させる手法が特開平6−1066号公報で既に提案されている。しかし、これらの酸化防止剤を可逆性感熱記録層に含有させ耐光性の効果を得るためには、染料前駆体に対して極めて高い濃度で添加する必要がある。このような可逆性感熱記録材料を長時間保存した場合、該酸化防止剤が記録層中で結晶化、更に、可逆性感熱記録層表面へと移行(以下、ブリードアウトともいう)する結果、その効果が弱まるという問題があった。また、酸化防止剤と染料前駆体との相互作用による画像安定性や消去特性の低下という問題も併せ持っていた。
【0011】その後、特開平11−70731号公報にヘテロ原子を含む長鎖脂肪族炭化水素化合物について、発色消色制御剤なる特定の化合物を含有させ、耐光性も改良した可逆性感熱記録材料が提案されているが、この可逆性感熱記録材料は光照射による発色部の消去性は改良されるものの、消色部が着色して浮かび上がるという再発色の問題や地肌部の着色という問題が依然として残されていた。
【0012】一方、本出願人らも、これまでに特開平10−211767号公報において特定の置換基を有したフェノール化合物を酸化防止剤として含有させ、耐光性を改良した可逆性感熱記録材料を見出してはいるが、これも上述と同様の問題を有しており、更に改良の余地があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、良好なコントラストで画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な感熱記録材料を提供する事である。より具体的には、消去性に優れ、地肌濃度が低く、また、光曝露による発色部の色相変化や消色不良、消色部の再発色、地肌の着色等が起こらない高い耐光性を有した可逆性感熱記録材料を提供する事を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、第一に、支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該記録材料中に同一分子内にN,N−ジ置換ヒドラジン構造を有する基を2個以上含有する化合物を少なくとも1種を含有させる事を特徴とする可逆性感熱記録材料が提供される。
【0015】第二に、支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該記録材料中に下記一般式(1)、(2)、または(3)で表される化合物の少なくとも1種を含有させる事を特徴とする可逆性感熱記録材料が提供される。
【0016】
【化5】

【0017】式1中、R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、また、R1とR2は互いに連結して環を形成していてもよい。X1は酸素原子または硫黄原子を表す。nは2〜5の整数を表す。A1はn価の有機残基を表す。A1に結合するカッコで括られたn個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
【化6】

【0019】式2中、R3及びR4は同じでも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、また、R3とR4は互いに連結して環を形成していてもよい。X2はヘテロ原子を含む2価の基を表す。mは2〜5の整数を表す。A2はm価の有機残基を表す。A2はm価の有機残基を表す。A2に結合するカッコで括られたm個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。
【0020】
【化7】

【0021】式3中、R5及びR6は同じでも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、また、R5とR6は互いに連結して環を形成していてもよい。R7は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。X3は酸素原子または硫黄原子を表す。X4は単結合、酸素原子、または硫黄原子を表す。qは2または3を表す。リン原子に結合するカッコで括られたq個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】一般式(1)で表される化合物中、R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、これらは脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。脂肪族炭化水素基は直鎖でも分枝していてもよく、また不飽和結合を有していてもよく、更に環を形成していてもよい。炭化水素基に結合する置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。好ましくはR1及びR2は炭素数1〜8の1価の炭化水素基であるが、例として、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ヘキシル基、アリル基、メタリル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トルイル基等が挙げられ、メチル基及びフェニル基が特に好ましい。
【0023】また、R1とR2が互いに連結して環を形成していてもよい。好ましくは置換基を有していてもよい5〜7員の複素環であるが、例として、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環等が挙げられ、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環が特に好ましい。
【0024】X1は酸素原子または硫黄原子を表すが、好ましくは酸素原子である。nは2〜5の整数を表すが、好ましくは2または3である。A1に結合するカッコで括られたn個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。
【0025】A1はn価の有機残基を表し、具体的には置換基及び/またはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。脂肪族炭化水素基は直鎖でも分岐していてもよく、また不飽和結合を有していてもよく、更に環を形成していてもよい。炭化水素基に結合する置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。好ましくはA1は置換基及び/またはヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜24の2価または3価の炭化水素基である。
【0026】また、A1はヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基であり、好ましくはビウレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、またはアロファネート結合を介してなる2価または3価の炭化水素基である。
【0027】以下に、一般式(1)で表される好ましい化合物の具体例を化8〜化11に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例示化合物中のPhはフェニル基を表す。
【0028】
【化8】

【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
【化11】

【0032】一般式(2)で表される化合物中、R3及びR4は一般式(1)のR1及びR2と同義である。X2ヘテロ原子を含む2価の基を表し、好ましくは酸素原子、硫黄原子、イミノ基(−NH−)、カルボルニル基(−CO−)、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO2−)のいずれかを少なくとも1個有する2価の基を表すが、アミド基(−CONH−)及びチオアミド基(−CSNH−)は除く。
【0033】mは2〜5の整数を表すが、好ましくは2または3である。A2に結合するカッコで括られたm個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。
【0034】A2はm価の有機残基を表し、具体的には置換基及び/またはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。脂肪族炭化水素基は直鎖でも分岐していてもよく、また不飽和結合を有していてもよく、更に環を形成していてもよい。炭化水素基に結合する置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。好ましくはA2は置換基及び/またはヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜24の2価または3価の炭化水素基である。
【0035】以下に、一般式(2)で表される好ましい化合物の具体例を化12〜化13に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例示化合物中のPhはフェニル基を表す。
【0036】
【化12】

【0037】
【化13】

【0038】一般式(3)で表される化合物中、R6及びR6は一般式(1)のR1及びR2と同義である。R7は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。脂肪族炭化水素基は直鎖でも分岐していてもよく、また不飽和結合を有していてもよく、更に環を形成していてもよい。炭化水素基に結合する置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。好ましくはR7は置換基を有していてもよい炭素数1〜24の1価の炭化水素基である。
【0039】X3は酸素原子または硫黄原子を表すが、好ましくは酸素原子である。X4は単結合、酸素原子、または硫黄原子を表す。qは2または3を表す。リン原子に結合するカッコで括られたq個の部分構造は、同一であっても異なっていてもよい。
【0040】以下に、一般式(3)で表される好ましい化合物の具体例を化14に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例示化合物中のPhはフェニル基を表す。
【0041】
【化14】

【0042】一般式(1)〜(3)で表される化合物の好ましい添加量は、染料前駆体に対し0.5〜200質量%であり、より好ましくは2〜100質量%である。添加量が少なすぎると十分な消去促進効果や耐光性向上効果に乏しく、また、添加量が多すぎると発色濃度の低下や、保存時における画像安定性が悪化する。また、一般式(1)〜(3)で表される化合物は、単独でも2種以上を併用し混合して用いる事ができる。
【0043】本発明に用いられる可逆性顕色剤としては、画像のコントラスト、画像安定性、繰り返しの耐久性等から一般式(4)で表されるフェノール化合物が使用される。
【0044】
【化15】

【0045】式4中、X5及びX6は酸素原子、硫黄原子、または両末端に炭化水素基を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。R8は単結合または炭素数1〜12の二価の炭化水素基を表す。R9は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。R10は炭素数1から26の一価の炭化水素基を表す。rは0〜4の整数を表し、rが2以上のとき繰り返されるR9およびX6は同一であっても異なっていてもよい。
【0046】一般式(4)で表される化合物中、R10は炭素数1から26の一価の炭化水素基を表すが、好ましくは炭素数6から22の一価の炭化水素基である。R8は単結合または炭素数1から20の二価の炭化水素基を表す。R9は炭素数1から20の二価の炭化水素基を表すが、好ましくは炭素数1から12の二価の炭化水素基である。R8、R9及びR10は脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。脂肪族炭化水素基は直鎖でも分岐していてもよく、また不飽和結合を有していてもよく、更に環を形成していてもよい。
【0047】一方、X5及びX6は酸素原子、硫黄原子、または両末端に炭化水素基を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表すが、その具体例としては、アミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジト゛(−CONHNHCO−)、シュウ酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、3−アシルカルバジン酸エステル(−CONHNHCOO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CONH−)、カルボヒドラゾン(−CONHN=CH−、−CH=NNHCO−)等の基が挙げられる。
【0048】一般式(4)で表される化合物の具体例としては、以下の化16及び化17に表す化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0049】
【化16】

【0050】
【化17】

【0051】一般式(4)で表される可逆性顕色剤は、それぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、無色ないし淡色の染料前駆体に対する本発明による可逆性顕色剤の使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
【0052】本発明に用いられる無色ないし淡色の染料前駆体としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられる公知な化合物に代表されるが、特に制限されるものではない。具体的な例としては、下記に挙げる化合物などがあるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】(1)トリアリールメタン系化合物3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,7−ジアザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等。
【0054】(2)ジフェニルメタン系化合物4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等。
【0055】(3)キサンテン系化合物ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン等。
【0056】3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トルイジノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フロロアニリノ)フルオラン、3−ジベンジルアミノ−7−(o−フロロアニリノ)フルオラン等。
【0057】(4)チアジン系化合物ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等。
【0058】(5)スピロ系化合物3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等。
【0059】前記無色ないし淡色の染料前駆体は単独でも、または2種以上を混合して使用してもよい。
【0060】本発明の可逆性感熱記録材料の製造方法の具体例としては、染料前駆体と可逆性顕色剤を主成分とし、これに本発明による化合物を添加し、支持体上に塗布して可逆性感熱記録層を形成する方法が挙げられる。
【0061】染料前駆体と可逆性顕色剤及び本発明による化合物を可逆性感熱記録層に均質に含有させるための塗液作製方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もしくは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し均一化した後冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。分散時には必要なら分散剤を用いてもよい。水を分散媒として使う場合の分散剤としてはポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種の界面活性剤が利用できる。水系の分散の際は、エタノール等の水溶性有機溶媒を混合してもよい。この他に炭化水素類に代表される有機溶媒が分散媒の場合は、レシチンや燐酸エステル類等を分散剤に用いてもよい。
【0062】また、可逆性感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを可逆性感熱記録層中に添加する事も可能である。バインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス類が挙げられる。これらのバインダーの役割は、組成物の各素材が印字、消去の熱印加によって片寄る事なく均一に分散した状態を保つ事にある。従って、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いる事が好ましい。最近になって、プリペイドカード、ストアドカードといった付加価値の高い可逆性感熱記録材料が用いられる事が多くなり、それに伴い、耐熱性、耐水性、更には接着性といった高耐久品が要求されるようになってきている。このような要求に対しては、硬化性樹脂は特に好ましい。
【0063】硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等の水酸基、カルボキシル基が架橋剤と反応し、硬化するものが挙げられる。この際の架橋剤としては、例えば、イソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ類等が挙げられる。
【0064】電子線及び硬化線樹脂に用いられるモノマーとしては、アクリル系に代表される単官能性モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられるが、特に紫外線架橋の際には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。
【0065】また、可逆性感熱記録層の発色感度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記録層中に含有させる事もできる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用する事もできる。これらの化合物としては、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどのワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等があげられ、2種以上併用して添加する事もできる。
【0066】本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂をラミネートした紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いる事ができるが、これらに限定されるものではなく、これらは不透明、半透明或いは透明のいずれであってもよい。地肌を白色その他の特定の色に見せるために、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中又は表面に含有させてもよい。特にフィルム類等水性塗布を行なう場合で支持体の親水性が小さく可逆性感熱記録層の塗布困難な場合は、コロナ放電等による表面の親水化処理やバインダーに用いるのと同様の水溶性高分子類を、支持体表面に塗布するなどの易接着処理してもよい。
【0067】本発明の可逆性感熱記録材料の層構成は、可逆性感熱記録層のみであってもよい。必要に応じて、可逆性感熱記録層上に保護層を設ける事も又、可逆性感熱記録層と支持体の間に水溶性高分子や白色ないし有色染顔料や中空粒子のいずれか一つ以上を含む中間層を設ける事もできる。この場合、保護層及び/または中間層は2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていてもよい。可逆性感熱記録層も各成分を一層ずつに含有させたり層別に配合比率を変化させたりして2層以上の多層にしてもよい。更に、可逆性感熱記録層中及び/または他の層及び/または可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面に、電気的、光学的、磁気的に情報が記録可能な材料を含んでもよい。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にブロッキング防止、カール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設ける事もできる。
【0068】なお、本発明における各層を支持体上に積層し、本発明の可逆性感熱記録材料を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成する事ができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いる事が出来る。更に通常の乾燥工程の他、UV照射・EB照射により各層を保持させる事が出来る。これらの方法により。1層ずつ、あるいは多層同時に塗布、印刷する事ができる。
【0069】可逆性感熱記録層は、各成分を微粉砕して得られる各々の分散液を混合し、支持体上に塗布乾燥する方法、各成分を溶媒に溶解して得られる各々の溶液を混合し、支持体上に塗布乾燥する方法などにより得る事ができる。乾燥条件は水等の分散媒ないし溶媒によっても異なる。この他に各成分を混合し加熱して可融分を溶融し熱時塗布する方法もある。
【0070】また、可逆性感熱記録層及び/または保護層及び/または中間層には、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等の顔料、その他に、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、更に界面活性剤、蛍光染料、紫外線吸収剤などを含有させる事もできる。
【0071】次に、本発明の可逆性感熱記録材料の発色及び消色方法について述べる。発色画像を形成するためには、加熱に引き続き急速な冷却が起こればよい。例えば、可逆性感熱記録材料を適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロック等を押し当てるなどを行い急速に冷却する事により、発色画像を形成できる。また、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却が起こるため、発色画像の保持が可能である。一方、発色画像を消去するためには、加熱後にゆっくり冷却すればよい。例えば、発色画像が形成された可逆性感熱記録材料をサーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、熱風、電熱ヒーター及びタングステンランプやハロゲンランプ等の光源などからの輻射熱、熱風等で比較的長い時間で加熱すると、可逆性感熱記録層だけでなく支持体等も加熱されるために、熱源を取り除いても冷却する速度が遅くなり発色画像は消去する。従って、同じ加熱温度及び/または同じ熱源を用いても、冷却速度を制御する事により、発色画像の形成及び消去を任意に行う事ができる。
【0072】
【作用】本発明において用いられる一般式(1)〜(3)で表される化合物の耐光性向上の理由は明確ではない。しかし、ヒドラジン及びヒドラジン誘導体は強い還元作用がある事から、一般式(1)〜(3)で表される化合物についても同様の還元作用、いわゆる抗酸化剤としての効果があると推定される。また、一般式(1)〜(3)で表される化合物は、可逆性顕色剤と同様に分子内にアミド結合等の水素結合能力を持つ基を併せ持つため、可逆性顕色剤及び発色混融体の中に取り込まれ易くする働きがあり、少量の添加でも耐光性が向上すると同時に、可逆性感熱記録層表面へのブリードアウトも起こらないと推定される。
【0073】次に、本発明における化合物の具体的合成方法について、その一部を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】合成例1例示化合物(5−11)の合成。
撹拌機、冷却器及び塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、1,1−ジメチルヒドラジン5.3g及びテトラヒドロフラン(以下、THF)200mlを仕込み、室温下で攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート6.7gをゆっくり滴下した。滴下終了後、還流下で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。アセトニトリルより再結晶を行い、目的物8.5gを得た。融点144℃。
【0075】合成例2例示化合物(5−17)の合成。
撹拌機、冷却器及び塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、N−アミノモルホリン6.7g及びTHF200mlを仕込み、室温下で攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート5.1gをゆっくり滴下した。滴下終了後、還流下で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。エタノールより再結晶を行い、目的物7.4gを得た。融点195℃。
【0076】
【実施例】以下の実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
【0077】実施例1(A)可逆性感熱塗液の作製染料前駆体として3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド40部、可逆性顕色剤として例示化合物(8−4)160部、添加剤として例示化合物(5−1)20部、バインダー樹脂として塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製、商品名VYHH)16部及びTHF1600部と共にペイントコンディショナーで24時間粉砕して可逆性感熱塗液を作製した。
【0078】(B)可逆性感熱記録層の塗工(A)で作製した可逆性感熱塗液をポリエチレンテレフタレート(以下、PET)シートに、固形分塗抹量5.0g/m2となる様に塗工し、60℃で24時間乾燥後、スーパーカレンダーで処理して可逆性感熱記録材料を得た。
【0079】実施例2実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−5)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0080】実施例3実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−11)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0081】実施例4実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−17)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0082】実施例5実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−19)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0083】実施例6実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−1)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0084】実施例7実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0085】実施例8実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−5)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0086】実施例9実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−11)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0087】実施例10実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(7−1)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0088】実施例11実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−4)から例示化合物(8−8)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0089】実施例12実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−4)から例示化合物(8−8)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−11)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0090】実施例12実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−4)から例示化合物(8−9)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−17)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0091】実施例13実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−4)から例示化合物(8−10)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−21)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0092】実施例14実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−4)から例示化合物(8−11)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−6)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0093】実施例15実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−4)から例示化合物(8−14)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(7−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0094】比較例に使用した化合物を化18に示す。
【0095】
【化18】

【0096】比較例1実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0097】比較例2実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−1)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0098】比較例3実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0099】比較例4実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0100】比較例5実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−4)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0101】比較例6実施例1の(A)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−5)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0102】実施例16(C)可逆性感熱塗液の作製染料前駆体として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)160部、添加剤として例示化合物(5−1)20部、バインダー樹脂として塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製、商品名VYHH)16部及びTHF1600部と共にペイントコンディショナーで24時間粉砕して可逆性感熱塗液を作製した。
【0103】(D)可逆性感熱記録層の塗工(A)で作製した可逆性感熱塗液をポリエチレンテレフタレート(以下、PET)シートに、固形分塗抹量5.0g/m2となる様に塗工し、60℃で24時間乾燥後、スーパーカレンダーで処理して可逆性感熱記録材料を得た。
【0104】実施例17実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−4)に変更し、添加剤として例示化物(5−1)から例示化合物(5−6)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0105】実施例18実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−5)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−9)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0106】実施例19実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−6)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−11)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0107】実施例20実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−8)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−15)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0108】実施例21実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−9)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(5−20)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0109】実施例22実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−10)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−1)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0110】実施例23実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−11)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−2)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0111】実施例24実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−14)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−6)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0112】実施例25実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物(8−3)から例示化合物(8−16)に変更し、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(6−12)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0113】比較例7実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)を使用しなかった以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0114】比較例8実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−1)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0115】比較例9実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−2)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0116】比較例10実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−3)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0117】比較例11実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−4)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0118】比較例12実施例16の(C)可逆性感熱塗液の作製において、添加剤として例示化合物(5−1)から例示化合物(9−5)に変更した以外は、実施例16と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0119】試験1(画像部の耐光性)
実施例1〜15及び比較例1〜6、実施例16〜25及び比較例7〜12で得た可逆性感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、得られた発色画像の光学濃度を濃度計マクベスRD918を用いて各々測定した。次に、得られた発色画像を10000ルクスの蛍光灯で100時間光照射を行い、発色画像の光学濃度を濃度計マクベスRD918を用いて各々測定した。続いて、光照射後の発色画像を熱スタンプを用いて140℃で1秒間加熱し消去した。消去部の光学濃度を濃度計マクベスRD918を用いて各々測定した。
【0120】試験2(消去部・地肌部の耐光性)
実施例1〜15及び比較例1〜6、実施例16〜25及び比較例7〜12で得た可逆性感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字した。得られた発色画像を熱スタンプを用いて140℃で1秒間加熱し消去し、消去サンプルを得た。消去サンプルの消去部と地肌部の光学濃度を濃度計マクベスRD918を用いて各々測定した。次に、得られた消去サンプルを10000ルクスの蛍光灯で100時間光照射を行い、消去サンプルの消去部と地肌部の光学濃度を濃度計マクベスRD918を用いて各々測定した。
【0121】試験3(発色濃度の経時変化=画像安定性)
実施例1〜15及び比較例1〜6、実施例16〜25及び比較例7〜12で得た可逆性感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて、印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、温度40℃、相対湿度20%の雰囲気下に24時間保存した後、濃度計マクベスRD918を用いて、試験前後の発色部と地肌部の光学濃度を各々測定し、下記数1により画像残存率を計算した。
【0122】
【数1】A=(C/B)×100A:画像残存率(%)
B:試験前の発色濃度−試験前の地肌濃度C:試験後の発色濃度−試験後の地肌濃度【0123】試験4(添加剤のブリードアウト)
実施例1〜15及び比較例1〜6、実施例16〜25及び比較例7〜12で得た可逆性感熱記録材料を、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下に1週間保存した後、可逆性感熱記録材料の表面状態を目視により添加剤のブリードアウトを観察した。なお、ブリードアウトが認められない場合は○、僅かにブリードアウトが認められる場合は△、添加剤が表面に吹き出している場合は×とした。
【0124】実施例1〜15及び比較例1〜6の試験1〜2の結果を表1に、試験3〜4の結果を表2に各々表した。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】実施例16〜25及び比較例7〜12の試験1〜2の結果を表3に、試験3〜4の結果を表4に各々表した。
【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】表1〜4より、可逆性感熱記録材料中に本発明の化合物を添加剤として用いた場合、染料前駆体の種類を問わずに耐光性が向上した事がわかる。具体的には、発色画像の濃度低下が少なく、光照射後における発色画像の消去性が悪化せず、また、消去部の再発色や地肌部の着色も少なかった。更に、消去性や高温条件下での画像安定性にも影響せず、添加剤のブリードアウトも認められなかった。
【0131】
【発明の効果】以上の結果から、支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該記録材料中にN,N−ジ置換ヒドラジン構造を有する基を同一分子内に2個以上含有する化合物を少なくとも1種含有させる事により、明瞭なコントラストで画像の形成・消去が可能であり、耐光性に優れ、経時的に安定な画像を保持可能な可逆性感熱記録材料を得る事が出来た。
【出願人】 【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号
【出願日】 平成14年1月17日(2002.1.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−211840(P2003−211840A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−8125(P2002−8125)