| 【発明の名称】 |
出力トレイでのスタック挙動が改善された被覆媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】ボー−ジウン・ニウ
【氏名】ステファン・シュッテル
【氏名】メインラド・シェール
|
| 【要約】 |
【課題】本発明は疎水性裏面コーティング層を具現化しうる組成物及びコーティングされた基体に関し、インクジェットインクプリンタの出力トレイにおけるスタックされたシート間でのインク移り、表面損傷、スマッジ、及びくっつきを緩和するように使用される。
【解決手段】裏面コーティングは、親水性ポリマーバインダー成分と疎水性ポリマーバインダー成分を有するポリマーブレンド中に懸濁された疎水性ビーズを含みうる。代替的には、コーティングは天然ロウとブレンドされた疎水性バインダーからなるものでありうる。何れのコーティングも、媒体基体の裏側に対して直接に適用され、又は反り及び給紙挙動の改善のために通常用いられている既存の親水性層の表面に対して適用されうる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インクジェットインク印刷用の被覆基体であって、印刷用表面及び反対側の裏面を有し、前記印刷用表面がインクジェットインク組成物を受容すべく調製されたコーティングを含み、前記裏面が前記インクジェットインク組成物を反撥すべく調製されたコーティングを含む、被覆基体。 【請求項2】 前記印刷用表面が膨潤性コーティング又はポリマーコーティングを含む、請求項1に記載の被覆基体。 【請求項3】 前記裏面が実質的に疎水性のコーティングを含む、請求項1又は2に記載の被覆基体。 【請求項4】 前記実質的に疎水性のコーティングが親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーのポリマーブレンドを含み、さらに前記ポリマーブレンド中に分散された疎水性ビーズを含む、請求項3に記載の被覆基体。 【請求項5】 前記親水性ポリマーバインダー対前記疎水性ポリマーバインダーの重量比が1:5から1:1であり、前記ポリマーブレンド対前記疎水性ビーズの重量比が1:9から8:2である、請求項4に記載の被覆基体。 【請求項6】 前記親水性ポリマーバインダーが、ゼラチン、改質ゼラチン、ポリビニルアルコール、改質ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアセタール、改質ポリビニルアセタール、及びこれらの組み合わせから成る群から選択され、前記疎水性ポリマーバインダーが、スチレン/メタクリレートコポリマー、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択され、前記疎水性ビーズが、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ガラス、シリカ、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項4に記載の被覆基体。 【請求項7】 前記疎水性ビーズが0.01μmから100μmの粒径を有し、約80Sheffield単位を上回る平均表面粗さを有する、請求項4に記載の被覆基体。 【請求項8】 前記実質的に疎水性のコーティングが、天然ロウとブレンドされた疎水性ポリマーバインダーを含む、請求項3に記載の被覆基体。 【請求項9】 前記疎水性ポリマーバインダーが、スチレン/メタクリレートコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択され、前記天然ロウが、カルナウバロウ、モンタンロウ、パラフィン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項8に記載の被覆基体。 【請求項10】 前記実質的に疎水性のコーティングにおいて、前記疎水性バインダー対前記天然ロウの重量比が1:9から9:1であり、前記実質的に疎水性のコーティングが約80Sheffield単位を上回る平均表面粗さを有する、請求項7に記載の被覆基体。 【請求項11】 インクジェットインク印刷媒体であって、(a) 第一の側及び反対側の第二の側を有する基体と、(b) 前記基体の前記第一の側及び前記第二の側に被覆された親水性ポリマー材料と、及び(c) 前記基体の第二の側の親水性ポリマー材料に被覆された実質的に疎水性のポリマー複合材料を含んで成るインクジェットインク印刷媒体。 【請求項12】 親水性の被覆印刷媒体をオーバーコーティングするための複合コーティング材料であって、(a) 親水性ポリマーバインダー対疎水性ポリマーバインダーの重量比が1:5から1:1である、親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーのポリマーブレンドと、及び(b) 前記ポリマーブレンド対疎水性ビーズの重量比が1:9から8:2であるように、前記ポリマーブレンド中に分散された疎水性ビーズを含んで成る複合コーティング材料。 【請求項13】 インクジェットインク印刷用の被覆基体であって、印刷用表面及び反対側の裏面を有し、前記印刷用表面がインクジェットインク組成物を受容すべく調製されたコーティングを含み、前記裏面が前記インクジェットインク組成物を反撥すべく調製されたバックコーティングを含み、前記バックコーティングが天然ロウとブレンドされた疎水性ポリマーバインダーを含む、被覆基体。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット画像形成(イメージング)の分野に関する。より詳細には、印刷された画像のスミア(擦り汚れ)や隣接する媒体の裏面に対するインク移りが実質的にない状態で、インクジェット印刷物を速く印刷し、プリンタの出力トレイにスタック(積み重ね)することのできる、インクジェットインク印刷用の媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、コンピュータ用プリンタの技術は、紙その他の各種媒体に、非常に解像度の高い画像を転写できるところまで発達した。印刷の一つの具体的な方式は、デジタル信号に応答して媒体表面上に液体インクの小滴を配置させることを包含している。通常、液体インクは媒体表面上へと、プリンタ装置と媒体表面の間に物理的な接触がない状態で、配置又は吐出される。この概念に属する技術の枠内において、印刷表面上へとインクジェットインクを堆積させる具体的な方法は、システムによって様々であるが、それには連続式インク堆積とドロップオンデマンド式インク堆積が含まれる。 【0003】連続式印刷システムに関して使用されるインクは通常、メチルエチルケトンやエタノールのような溶媒をベースとしている。本質的に連続式印刷システムは、インク液滴の流がプリンタノズルによって射出され方向付けられるなかで機能する。インク液滴はさらに、ノズルに近接する静電帯電装置の補助を受けて方向付けを行う。インクが所望とする印刷表面上で使われない場合、そのインクは後の使用のためにリサイクルされる。ドロップオンデマンド式印刷システムに関しては、インクジェットインクは通常、水とグリコールをベースとする。こうしたシステムでは本質的に、インク液滴は熱によって又は圧力波によってノズルから送り出され、射出されるインク液滴の全てが印刷画像の形成に使われる。 【0004】インクジェット印刷が、種々の媒体表面、特に紙に対する画像記録方法として普及した理由は幾つかある。そうした幾つかの理由には、プリンタの騒音が小さいこと、高速記録が可能であること、及び多色記録が可能であることが含まれる。加えてこうした利点は、消費者にとって比較的低い価格で実現できる。しかし、インクジェット印刷に大きな進歩があったとはいえ、この進歩に伴い、この分野の消費者の要望もまた増大してきた。例えば、より速い印刷速度、より高い解像度、フルカラーでの画像形成、安定性の増大といったことである。新たなインクジェットインクを開発する際、そのインクを印刷表面又は基体との関連で評価する場合に考慮すべき、幾つかの在来の特性がある。こうした特性には、表面上の画像のエッジ尖鋭度及び光学濃度、基体上でのインクの乾燥時間、基体への付着性、インク液滴の着弾の逸脱がないこと、全ドットが存在すること、乾燥後のインクの水及びその他の溶剤に対する耐性、長期保存安定性、腐食やノズル詰まりのない状態での長期信頼性などがある。ここに挙げた特性は、達成する価値のある目標を与えるものではあるが、これらの特性全てを満足させるには幾つかの困難が伴う。多くの場合、上記特性の一つを満足させるために一つのインク成分を含有させると、別の特性の充足が阻害される。従って、インクジェットプリンタに使用される殆どの市販インクは、上記諸特性の全てを満たすことを試みた上で、少なくとも何らかの適切な応答を得るための妥協の産物である。 【0005】一般に、インクジェットインクは、染料ベース又は顔料ベースの何れかである。何れも通常は、染料及び/又は顔料を含むインクビヒクル中に調製される。染料ベースのインクジェットインクは一般に、媒体を特定の色に変えるため、通常は水性の液体着色剤を用いる。逆に、顔料ベースのインクは、所望の色を達成するために、固体又は分散された着色剤を使用するのが通常である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】インクジェット印刷に使用される用紙は通常、高いインク吸収能を示すように設計された、高品質の即ち上質紙を包含する。こうした用紙は、インクジェットインクを容易に吸収でき急速に乾燥できるため、インクジェット印刷用として機能的に良好である。しかしこうした用紙は多くの場合、くっきりしたシャープな画像をもたらさない。従って、写真の場合のような、高い印刷品質と画像品質を得るために、水性インクと共に使用する特殊媒体が開発されてきた。例えば、種々のコーティングで被覆された紙(アート紙、コート紙、キャストコート紙など)は、紙製基体の上に親水性バインダーと無機顔料又は粒子を含む層をコーティングすることにより製造されてきた。また記録用紙は、紙又は他の支持体、例えば透明又は不透明なプラスチックフィルム支持体上に、インク吸収層をコーティングすることにより製造されてきた。上記特殊媒体の一例は、膨潤性のインク吸収層、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロースその他を用いる。膨潤性媒体は、特定の画像品質特性に関しては比較的良好な基体を提供するが、膨潤性媒体が他の種類の媒体より長い乾燥時間を要するという事実が一つの欠点である。デジタル画像形成がより普及し、インクジェット出力装置が写真品質の印刷速度を短縮し続けるにつれて、印刷画像のスミアや隣接する媒体シートへのくっつきなしに、インクジェット印刷物をプリンタ出力トレイにスタック可能であることが益々重要になってきた。換言すれば、高速印刷速度の副産物として、印刷媒体はしばしば、その印刷媒体がスミアや又はインク移りを防ぐのに十分なだけ乾燥するよりも前にスタックされねばならない。この問題は、膨潤性媒体の使用時に特に顕著であるが、インク、基体、及び使用目的に応じて選択された印刷速度如何では、他の殆ど全てのタイプの媒体についても、同様に問題となり得る。 【0007】 【課題を解決するための手段】プリンタの出力トレイにスタックされた時に、印刷された媒体シートの前面から次の媒体シートの裏面へのインク移りを最小限にするインクジェット印刷媒体を調製可能であることが見出された。また、こうしたインクジェット印刷媒体は、印刷及びスタック時に、印刷された画像の光沢損失及び/又は表面損傷の低減をもたらすことも見出された。 【0008】上記知見の下に、インクジェット印刷用の被覆基体は、印刷用表面及びこれに対向する反対側の裏面を包含でき、そこにおいて印刷用表面は水性インクジェットインク組成物を受容すべく調製されたコーティングを含み、裏面は水性インクジェットインク組成物を反撥すべく調製されたコーティングを含む。 【0009】またインクジェット印刷媒体は、第一の側及びこれに対向する反対側の第二の側を有する紙製基体と、この基体の第一の側及び第二の側に被覆された親水性ポリマー材料と、基体の第二の側の親水性ポリマー材料上に被覆された実質的に疎水性のポリマー複合材料を包含することができる。 【0010】次に、親水性の被覆印刷媒体をオーバーコーティングするための複合コーティング材料は、親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーのポリマーブレンドを含み、そこにおいて親水性ポリマーバインダー対疎水性ポリマーバインダーの重量比は1:5から1:1であり、またこのポリマーブレンド中に分散された疎水性ビーズを含み、そこにおいてポリマーブレンド対疎水性ビーズの重量比は1:9から8:2である。 【0011】次に、インクジェットインク印刷用の被覆基体は、印刷用表面及びこれに対向する反対側の裏面を包含でき、そこにおいて印刷用表面はインクジェットインク組成物を受容すべく調製されたコーティングを含み、裏面はインクジェットインク組成物を反撥すべく調製されたバックコーティングを含む。この実施態様では、バックコーティングは、例えば天然ロウ(ワックス)とブレンドされた疎水性ポリマーバインダーを含むことができる。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明を開示及び記述するに先立って理解されるべきは、本発明はここに開示される特定の処理ステップや材料に限定されないということである。何故ならそうした処理ステップ及び材料は、幾らか変更されうるからである。また、同様に理解されるべきは、ここに用いられる用語は、特定の実施態様を記述するためのみの目的で用いられているということである。そうした用語は限定的であることを意図してはいない。何故なら本発明の範囲は、請求項及びその均等物によってのみ限定されるものだからである。 【0013】この明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、記述の内容によって明らかにそうでないことが示されない限り、単数形は複数形を包含することに留意すべきである。 【0014】「親水性ポリマーバインダー」とは、水に対する親和性を有するか、又は水で容易に湿潤され若しくは水と容易に混合される任意のポリマー材料を包含する。 【0015】「疎水性ポリマーバインダー」とは、水に対する親和性を欠如し、又は水で容易に湿潤されず若しくは水と容易に混合されない任意のポリマー材料を包含する。 【0016】「ポリマーブレンド」とは、本発明による親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーのブレンドを参照する場合、少なくとも50%疎水性である任意のブレンドを包含する。好ましくはそのブレンドは連続的なブレンドであるが、それが必要という訳ではない。 【0017】「疎水性ビーズ」とは、ポリマーブレンド中に分散させることができる任意のポリマー粒子を包含する。こうした疎水性ビーズは、本発明の実施態様によればバインダーとしては作用せず、スタック挙動を改善する表面粗さをもたらすことができる。 【0018】「天然ロウ(ワックス)」とは、動物、植物、鉱物、及び/又は石油中に自然に存在する任意の脂質炭化水素物質を包含する。例えばこうしたロウには、カルナウバロウ、モンタンロウ、及びパラフィンなどが含まれる。 【0019】「基体」とは、フィルムベースの基体、ポリマー基体、在来の紙製基体等、本発明の実施態様に従って被覆し得る任意の基体を包含する。さらに、ポリマー被覆基体又は膨潤性媒体のような事前被覆(プレコート)された基体も、本発明の実施態様に同様に使用可能である。 【0020】「親水性ポリマー材料」とは、紙その他の基体のための、主として親水性であるコーティングを包含する。こうした親水性ポリマー材料は基体の両面に被覆されることができ、それによってインクジェットインクの用途に適した良好な印刷用表面を提供し、或いは基体の裏面に対して釣り合いをとって、紙製基体に生じうる基体の反りを防止する。親水性ポリマー材料が基体上に被覆された場合、これを「親水性被覆印刷媒体」と呼ぶ。 【0021】本発明によれば、疎水性裏面コーティング層が開発され、これは、インクジェットインクプリンタの出力トレイにスタックされたシート相互間における滲み汚れやくっつきを極度に低減させる。かかるコーティングは、親水性ポリマーバインダー成分と疎水性ポリマーバインダー成分を有するポリマーブレンド中に懸濁された疎水性ビーズからなることができる。かかるコーティングは、媒体基体の裏側に対して直接に適用され、又は反り及び給紙挙動の改善のために通常用いられている既存の親水性層の表面に対して適用されうる。代替的には、疎水性バインダーと天然ロウのブレンドを含んでいる疎水性コーティングを用いてもよい。 【0022】本発明の実施態様では、インクジェットインク印刷用の被覆基体は、印刷用表面及び反対側の裏面を包含でき、そこにおいて印刷用表面はインクジェットインク組成物を受容すべく調製されたコーティングを含み、裏面はインクジェットインク組成物を反撥すべく調製されたコーティングを含む。 【0023】印刷用表面は、膨潤性コーティングを含むか、又は親水性材料含有コーティングのような、写真印刷用に形成されたその他のコーティングを含むことができる。また裏面は、実質的に疎水性のコーティングを含むことができる。一つの実施態様では、疎水性コーティングは親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーのポリマーブレンドであってよく、またそのブレンド中に分散された疎水性ビーズを含んでいてもよい。この実施態様では、親水性ポリマーバインダー対疎水性ポリマーバインダーの重量比は1:5から1:1であることができ、より好ましくは重量比で1:4から2:3の範囲であり、さらにより好ましくは重量比で約1:2の範囲を含む。ポリマーブレンド対疎水性ビーズの比率の範囲は、重量比で1:9から8:2を、より好ましくは重量比で1:3から3:2を、さらにより好ましくは重量比で約5:4を含んでいてよい。第二の実施態様においては、疎水性コーティングは疎水性バインダーと天然ロウのブレンドであってよく、好ましくはバインダー対ロウの重量比は1:9から9:1である。 【0024】親水性ポリマーバインダーが、実質的に疎水性のコーティングの一部である前者の実施態様では、使用される親水性ポリマーバインダーは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせから成る群から選択することができる。加えて、実質的に疎水性のコーティングにおいて、疎水性ポリマーバインダーは、スチレン/メタクリレートコポリマー、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択することができる。さらに前述のように、実質的に疎水性のコーティングの一部として、疎水性ビーズをポリマーブレンド中に、即ち親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーの内部に分散させることができる。こうしたビーズは疎水性ポリマービーズであってよく、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、並びにガラス及びシリカから成る群から選択されたものを含む。かかるビーズが存在する場合、0.01μmから100μmの範囲の粒径が好ましい。 【0025】代替的に、裏面のコーティングは、バックコーティングとして天然ロウとブレンドされた疎水性ポリマーバインダーを含んでいてもよい。この場合にも、疎水性ポリマーバインダーは、スチレン/メタクリレートコポリマー、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択することができる。この実施態様では、疎水性コーティングにおいて、疎水性バインダー対天然ロウの重量比は1:9から9:1であってよい。このコーティングは、約80Sheffield単位より大きい、より好ましくは180Sheffield単位より大きい平均表面粗さを与えることが好ましい。 【0026】本発明の別の実施態様では、インクジェットインク印刷媒体は、第一の側及び反対側の第二の側を有する紙製基体と、この基体の第一の側及び第二の側に被覆された親水性ポリマー材料と、基体の第二の側の親水性ポリマー材料に被覆された実質的に疎水性のポリマー複合材料とを包含することができる。基体上に被覆されている親水性ポリマー材料は、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料であってよい。加えて、実質的に疎水性の複合材料は、疎水性ポリマーバインダーを少なくとも50重量%含む、親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーのポリマーブレンドからなることができる。さらに、この実質的に疎水性のポリマー複合材料は、ポリマーブレンド中に分散された疎水性ビーズをさらに含んでいてもよい。 【0027】実質的に疎水性のポリマー複合材料中に存在する親水性ポリマーバインダーは、基体に被覆された親水性ポリマー材料と同じか又は類似の材料であってよい。混乱を避けるため、この実施態様において親水性ポリマー材料と称する場合、その意味するものは、印刷が行われる側に良好な印刷表面をもたらし、非印刷側に釣り合いを取るためのコーティングをもたらすべく、基体の両面に適用されるコーティング材料である。印刷は普通、単一の表面に対して実施されるが、こうした両面コーティングが多くの場合に望ましいとされる理由は、紙の反りを防ぐことにある。一般に、一面のみが被覆された紙が、乾燥及び/又は低温条件にさらされる時、紙はカール(反り)を生ずる傾向がある。従って本実施態様に関しては、親水性ポリマー材料を両面に被覆する。この場合に裏側では、親水性ポリマーバインダーを有する実質的に疎水性のポリマー複合材料のコーティングが、オーバーコーティングとして存在してよい。親水性ポリマーバインダーの存在は、部分的に、実質的に疎水性のポリマーコーティング材料を親水性ポリマーコーティング材料に結合させるのに役立つよう作用する。従って、実質的に疎水性のポリマー材料という用語が意味するものは、その材料がポリマーブレンドの一部として、50%を上回る疎水性ポリマーバインダーを含むということである。しかして親水性ポリマーバインダーは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるものを含む、任意の機能性親水性バインダーであってよい。好ましくは、親水性ポリマーバインダーはポリビニルアルコールである。さらに疎水性ポリマーバインダーは、スチレン/メタクリレートコポリマー、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるものを含む、任意の機能性疎水性ポリマーバインダーであってよい。好ましくは、疎水性バインダーはスチレン/メタクリレートコポリマーである。 【0028】本発明のさらに詳細な側面において、実質的に疎水性のポリマー複合材料はさらに、ポリマーブレンド中に分散された疎水性ビーズを含むことが好ましい。こうした疎水性ビーズは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ガラス、シリカ、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されたものを含む、所要の機能性を有する何れかであってよい。好ましくは、疎水性ビーズはポリエチレンからなる。 【0029】前述のように、本実施態様のインクジェット印刷媒体は、上述したような実質的に疎水性のポリマー複合材料で被覆することができる。親水性被覆印刷媒体をオーバーコーティングするための、かかる複合コーティング材料は、親水性ポリマーバインダーと疎水性ポリマーバインダーのポリマーブレンドを含むことができ、このポリマーブレンドは親水性ポリマーバインダー対疎水性ポリマーバインダーの重量比が1:5から1:1であり、疎水性ビーズがポリマーブレンド中に分散され、ポリマーブレンド対疎水性ビーズの重量比は1:9から8:2である。これらの実施態様のより詳細な側面では、親水性ポリマーバインダー対疎水性ポリマーバインダーの重量比は1:4から2:3、好ましくは重量比で約1:2であってよい。またポリマーブレンド対疎水性ビーズの重量比は1:3から3:2、より好ましくは約5:4であってよい。この場合にも、そうしたビーズが存在するならば、0.01μmから100μmの範囲の粒径が好ましい。 【0030】本発明の代替的な側面では、インクジェットインク印刷用の被覆基体は、印刷用表面及びその反対側の裏面を有する被覆基体からなることができる。印刷用表面は、インクジェットインク組成物を受容すべく調製されたコーティングを含むことができる。裏面は、インクジェットインク組成物を反撥すべく調製されたバックコーティングを含むことができ、これは天然ロウとブレンドされた疎水性ポリマーバインダーからなるバックコーティングによって機能性とされうる。疎水性ポリマーバインダーは、スチレン/メタクリレートコポリマー、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択することができ、またロウとの関係では、疎水性バインダー対天然ロウの重量比で1:9から9:1で存在してよい。実質的に疎水性のコーティングは、好ましくは、約80Sheffield単位より大きい平均表面粗さを有するが、より大きい値は改良された結果をもたらす。 【0031】本発明の実施態様によれば、種々のコーティング技術を所望に従って適用することができる。コーティング組成物の適用のための任意の適当な技術を用いて、コーティング溶液を調製し、基体に塗布することができる。例えば基体は、噴霧コーティング、浸漬コーティング、カスケードコーティング、渦式コーティング、押出ホッパーコーティング、カーテンコーティング、エアナイフコーティング、キャストコーティングによって、及び/又はその他の既知のコーティング技術を用いてコーティングすることができる。被覆層の各々に合わせて選択される厚みは、当業者が適宜判別することのできる、特定の条件や用途に応じて定まる。さらに、種々のコーティング溶液の粘度を考慮して、多層コーティングを実施してもよい。 【0032】 【実施例】以下の実施例は、本発明のインクジェットインク媒体用の基体に適したコーティングを調製するための、種々の配合を例示している。以下の実施例は、本発明に対する限定として考えられるべきものではなく、単に現在の実験データに基づいて、コーティング及び被覆基体をどのように作るかを教示するものと理解されねばならない。 例1− 親水性/疎水性バインダーを含むバックコーティングされた紙の調製スチレン/アクリル酸コポリマーのバインダー(商品名Glascol C44)をポリビニルアルコールのバインダー(商品名Celvol 523)と重量比7:3でブレンドした。このコーティングを、Felix Schoeller社の樹脂被覆写真用紙の裏面に6g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、6Sheffield単位であった。 例2− 疎水性ビーズが分散されている親水性/疎水性バインダーを含む、バックコーティングされた紙の調製スチレン/アクリル酸コポリマーのバインダー(商品名Glascol C44)をポリビニルアルコールのバインダー(商品名Celvol 523)と重量比7:3でブレンドした。 このバインダーブレンドに、約0.1μmから100μmの平均粒径を有するポリエチレンビーズ(商品名HA 3545)を分散させた。全バインダー対ビーズの重量比は5:2であった。このコーティングを、Felix Schoeller社の樹脂被覆写真用紙の裏面に6g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、180Sheffield単位であった。 例3− 疎水性ビーズが分散されている親水性バインダーを含むバックコーティングされた紙の調製約0.1μmから100μmの平均粒径を有するポリエチレンビーズ(商品名HA 3545)をポリビニルアルコールバインダー(商品名Celvol 523)に分散させた。全バインダー対ビーズの重量比は5:2であった。このコーティングを、Felix Schoeller社の樹脂被覆写真用紙の裏面に6g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、180Sheffield単位であった。 例4− 例1から3の紙のスタック挙動の比較例1から3のコーティングされた紙の各々を、最小許容乾燥時間、即ち約90秒においての、印刷された画像の表面損傷及び当該用紙の印刷された側から隣接する用紙の裏側へのインク移りに関する性能をランク付けすることにより、スタック挙動についてテストした。テスト用の画像は、HP Colorfast(商品名)紙の表面上に印刷した。結果を以下の表1に示す。 【0033】 【表1】
【0034】*スタック挙動値、即ち表面損傷及びインク転写は、1から5という段階評価に基づいており、5が最高である。インク移りに関する5の評価は、スタックされた紙の裏面へのインク移りがないことを示す。表面損傷に関する5の評価は、画像の光沢損失又はその他の表面損傷がないことを示す。 【0035】表1から分かるように、疎水性ビーズが内部に分散されている親水性/疎水性バインダーが、最高のスタック表面挙動結果を示した。 例5− 疎水性バインダー/天然ロウブレンドを含むバックコーティングされた紙の調製スチレン/アクリル酸コポリマー(商品名Glascol C44)を天然ロウ(商品名Carnauba ML 156)と重量比1:9でブレンドした。このコーティングを、FelixSchoeller社の樹脂被覆写真用紙の裏面に3g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、6Sheffield単位であった。 例6− 疎水性バインダー/天然ロウブレンドを含むバックコーティングされた紙の調製スチレン/アクリル酸コポリマー(商品名Glascol C44)を天然ロウ(商品名Fishcher-Tropsch ME98040M1)と重量比1:9でブレンドした。このコーティングを、Felix Schoeller社の樹脂被覆写真用紙に直接付けられたゼラチン支持層の裏面に6g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、37Sheffield単位であった。 例7− 疎水性バインダー/天然ロウブレンドを含むバックコーティングされた紙の調製スチレン/アクリル酸コポリマー(商品名Glascol C44)を天然ロウ(商品名Fishcher-Tropsch ME98040M1)と重量比1:9でブレンドした。このコーティングを、Felix Schoeller社の樹脂被覆写真用紙の裏面に6g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、86Sheffield単位であった。 例8− 疎水性バインダー/天然ロウブレンドを含むバックコーティングされた紙の調製スチレン/アクリル酸コポリマー(商品名Glascol C44)を天然ロウ(商品名Fishcher-Tropsch ME98040M1)と重量比1:9でブレンドした。このコーティングを、Felix Schoeller社の樹脂被覆写真用紙の裏面に15g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、113Sheffield単位であった。 例9− 疎水性バインダー/天然ロウブレンドを含むバックコーティングされた紙の調製スチレン/アクリル酸コポリマー(商品名Glascol C44)を天然ロウ(商品名Montan ME50228M)と重量比1:9でブレンドした。このコーティングを、FelixSchoeller社の樹脂被覆写真用紙の裏面に3g/m2の被覆重量で適用した。裏面の平均表面粗さは、Hagerty Technologies社から市販されているPaper Smoothness Tester,Model 538を使って測定したところ、7Sheffield単位であった。 例10− 例5から9のスタック挙動の比較例5から9に従って調製されたコーティングされた媒体によって示されたスタック挙動を以下の表2に示す。 【0036】 【表2】
【0037】*スタック挙動値、即ち表面損傷及びインク転写は、1から5という段階評価に基づいており、5が最高である。インク移りに関する5の評価は、スタックされた紙の裏面へのインク移りがないことを示す。表面損傷に関する5の評価は、画像の光沢損失又はその他の表面損傷がないことを示す。 【0038】表2から分かるように、より大きな表面粗さを有する疎水性バインダー/天然ロウの疎水性コーティングは、表面損傷及びインク移りの両者に関して、表面粗さがそれより小さなものに比べてより良好に機能する。 【0039】特定の好ましい実施態様を参照して本発明を説明してきたが、当業者には、本発明の思想から逸脱することなしに、様々な修正、変更、省略、及び置換を行いうることが明らかであろう。それ故、本発明は請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。 【0040】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、疎水性裏面コーティング層を具現化しうる組成物及びコーティングされた基体が提供される。かかる裏面コーティングを有する紙または印刷媒体は、インクジェットインクプリンタの出力トレイにおけるスタックされたシート間でのインク移り、表面損傷、スマッジ、及びくっつきを緩和する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】398038580 【氏名又は名称】ヒューレット・パッカード・カンパニー 【氏名又は名称原語表記】HEWLETT−PACKARD COMPANY
|
| 【出願日】 |
平成15年1月27日(2003.1.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087642 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 聡 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−211838(P2003−211838A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月30日(2003.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2003−17177(P2003−17177) |
|