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【発明の名称】 インクジェット記録媒体、インクジェット記録方法及びインクジェット画像形成方法
【発明者】 【氏名】木田 修二
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】鈴木 眞一
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】大屋 秀信
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】加賀 誠
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】福田 輝幸
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【要約】 【課題】インク吸収性に優れ、光沢が良好であり、耐水性が良好であり、且つ、最高濃度が高いインクジェット記録媒体、インクジェット記録方法及びインクジェット画像形成方法を提供する。

【解決手段】支持体上に少なくともひとつのインク吸収層を有するインクジェット記録媒体において、該支持体が吸水性支持体であり、且つ、該インク吸収層の表層が無機顔料と熱可塑性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に少なくともひとつのインク吸収層を有するインクジェット記録媒体において、該支持体が吸水性支持体であり、且つ、該インク吸収層の表層が無機顔料と熱可塑性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【請求項2】 インク吸収層の表層と吸水性支持体との間に、該インク吸収層が無機顔料含有層を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項3】 吸水性支持体の厚さが200μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項4】 表層中の無機顔料の一次粒径が30nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項5】 無機顔料含有層中の無機顔料の一次粒径が30nm以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項6】 インク吸収層の表層中の無機顔料または、該インク吸収層の無機顔料含有層中の無機顔料がシリカであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体に顔料インクを用いてインクジェット記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項8】 請求項7に記載のインクジェット記録方法を用いてインクジェット記録媒体にインクジェット記録を行う工程の後、インクジェット記録が施された該インクジェット記録媒体に加熱定着処理を行うことを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録媒体、インクジェット記録方法及びインクジェット画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。この方式で従来から問題となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インクおよび装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野に急速に普及している。
【0003】このインクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ、周辺が滑らかでぼやけないこと等が一般的には要求されている。
【0004】インクジェット記録用紙(インクジェット記録媒体ともいう)としては、従来から種々の記録用紙が用いられている。例えば、普通紙、紙支持体上等に親水性バインダと無機顔料から成る層を塗設した各種の塗工紙(アート紙、コート紙、キャストコート紙等)、更には、これらの紙、透明または不透明の各種のプラスチックフィルム支持体あるいは紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した各種の支持体上に記録層としてインク吸収性層を塗設した記録用紙が用いられている。
【0005】上記インク吸収性層としては、近年、記録層中に空隙を有する空隙型のインク吸収層が好ましく用いられている。前記空隙型のインク吸収層を支持体上に有する記録用紙は、特に高い光沢性、高空隙率、高い最高濃度が得られる点で優れており、しかも比較的高い平面性の支持体を使用した場合に高い光沢面を持つ記録用紙が得られる。
【0006】最近、カラーインクジェット記録で得られる画質を写真に近づけようとする試みが近年数多く行われている。中でも、ドットに関する画質向上の最大のポイントはドットの一つ一つが肉眼で識別できないようにすることであり、そのためにインクを小液滴化すること、あるいは特にハイライト部でドットの反射濃度を低くしドットの識別を困難にするため、低染料濃度または低顔料濃度のインクを併用すること等がポイントとなる。
【0007】カラーインクジェット記録に用いられる業務用のフォトプリント材料は、高画質と高い画像保存性が要求されるが、染料インクを用いて形成された染料画像は、高画質である反面、画像保存性が劣るという問題点があり、また、顔料インクを用いて形成された顔料画像は、画像保存性は著しく良好であるが、反面、光沢が低い、記録用紙上のギラツキ(当該業者は、ブロンジングと呼ぶ)が発生しやすい、画像一様性が低い、色彩度が低い等という問題点があった。
【0008】更に、業務用途のフォトプリント材料をインクジェットで作製しようとする場合、メディアに高速印字適性を持たせるように調整することが非常に重要な課題となる。すなわち、高速印字を行ったときに、ビーディング(記録層のインク吸収性が不十分であると、インクが十分に吸収される前に次のドットが重なる時に発生する画像滲みのことである)が発生しないように記録層は十分なインク吸収速度とインク吸収容量を有していることが求められている。
【0009】しかし、そのため空隙型のインク吸収性層を単純に厚くすると、その皮膜の特性からクラックが発生しやすくなったり、乾燥能力が不十分なことから塗布スピードが低下したりして、製造コストが増大する等の課題も発生している。
【0010】更に、インクジェット記録用紙として、従来公知の普通紙、上質紙、あるいはコート紙やキャストコート紙等の吸水性支持体を用いると、前記吸水性支持体中にインクが浸透するため、インクの吸収容量としては満足するものもあるが、印字部分にインクの吸収・乾燥に起因するうねり(コックリング)が発生して印字品質が大きく低下したり、光沢が低下したり、染料や顔料の支持体への浸透で最高濃度が出にくく鮮明な画像が得にくいという問題点があった。
【0011】また、フォトプリントを目的として、特開昭62−271781号、特開平8−230308号、同10−315448号、同11−301108号等に記載のように、支持体として、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のような非吸水性支持体(非吸収性基材、非透水性基材、防水性支持体等ともいう)を用いたり、銀塩写真の分野で従来用いられているようなRC基材(レジンコーティング基材ともいう)を用いた場合には、支持体自体の耐水性はあるが、光沢を有するインク吸収層として一般に水溶性高分子が用いられていることからインク吸収層の耐水性が無く、その為、インク吸収層が水に溶けて流れ落ちやすくなる等の欠点があり、更には、支持体自体の耐熱性が十分ではないため、処理時の定着温度を低く設定しなければならず、画像の定着が不十分になりやすく、得られる画像の耐水性や光沢性が低いという問題点があった。
【0012】また、特開昭59−222381号には、非吸水性支持体上に2層以上の異なる顔料層からなるインク受理層を設けたインクジェット用記録媒体であって、該インク受理層の表層が実質的に熱可塑性有機高分子微粒子から成り、該表層に隣接する第2層がインク吸収容量の大なる無機顔料含有層よりなることを特徴とするインクジェット用記録媒体が開示されている。
【0013】しかしながら、上記記載の技術では、記録媒体に印字後、加熱処理等の処理を施して熱可塑性樹脂を溶融成膜することで、染料画像の耐水性を改善することが出来るが、実質的に熱可塑性有機高分子微粒子を含む層において、前記樹脂粒子が層中に最密充填に近い状態で存在するため、インクの吸収性が十分ではないという問題点があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、インク吸収性に優れ、光沢が良好であり、耐水性が良好であり、且つ、最高濃度が高いインクジェット記録媒体、インクジェット記録方法及びインクジェット画像形成方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下記の構成1〜8により達成された。
【0016】1.支持体上に少なくともひとつのインク吸収層を有するインクジェット記録媒体において、該支持体が吸水性支持体であり、且つ、該インク吸収層の表層が無機顔料と熱可塑性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0017】2.インク吸収層の表層と吸水性支持体との間に、該インク吸収層が無機顔料含有層を有することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録媒体。
【0018】3.吸水性支持体の厚さが200μm以上であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録媒体。
【0019】4.表層中の無機顔料の一次粒径が30nm以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0020】5.無機顔料含有層中の無機顔料の一次粒径が30nm以下であることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0021】6.インク吸収層の表層中の無機顔料または、該インク吸収層の無機顔料含有層中の無機顔料がシリカであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0022】7.前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体に顔料インクを用いてインクジェット記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0023】8.前記7に記載のインクジェット記録方法を用いてインクジェット記録媒体にインクジェット記録を行う工程の後、インクジェット記録が施された該インクジェット記録媒体に加熱定着処理を行うことを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【0024】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者等は上記記載の問題点を種々検討した結果、支持体上に少なくともひとつのインク吸収層を有するインクジェット記録媒体において、該支持体として吸水性支持体を用い、且つ、該インク吸収層の表層に、無機顔料と熱可塑性樹脂とを含有させることにより、インク吸収性に優れ、光沢が良好であり、コックリングが抑制され、且つ、画像の滲みがないインクジェット記録媒体を提供できることを見出した。
【0025】《吸水性支持体》本発明に係る吸水性支持体について説明する。
【0026】本発明に係る吸水性支持体としては、具体的には、多孔質基材が好ましく用いられる。ここで、多孔質基材とは、インク吸収性を有する支持体が好ましく、主に木材パルプと填料からなる紙基材、コート紙、アート紙等を用いることが出来るが、木材パルプと填料からなる紙基材が好ましく用いられる。
【0027】以下に、本発明に好ましく用いられる紙基材について説明する。紙基材としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することが出来る。
【0028】紙基材中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。サイズ剤としては高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等が、顔料としては炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等が、紙力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】本発明に用いられる紙基材としては、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙後にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理をしたり、各種コート処理をしたり、カレンダー処理したりすることも出来る。
【0030】本発明に係る吸水性支持体の厚さとしては、フォトプリントにおける写真の風合いを好ましく得るという観点から、200μm以上が好ましく、更に好ましくは200μm〜300μmであり、特に好ましくは200μm〜250μmである。また、取り扱いの点からも、厚さは、300μm以下が好ましい。
【0031】《インク吸収層》本発明に係るインク吸収層について説明する。
【0032】本発明に係るインク吸収層は、インク吸収性の向上、高濃度画像の形成、且つ、良好な光沢度を示す画像を得るために、前記インク吸収層の表層が無機顔料と熱可塑性樹脂を含有することが必須であるが、インク吸収速度をより向上させる観点から、表層と吸水性支持体との間に更にインク吸収性を有する無機顔料含有層を有することが好ましい。
【0033】《インク吸収層の表層》本発明に係るインク吸収層の表層は、少なくとも無機顔料と熱可塑性樹脂を含有している。表層の膜厚としては、1μm〜50μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、5μm〜20μmである。
【0034】(無機顔料)インク吸収層の表層に用いられる無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料等が挙げられる。特に、インク吸収容量を確保する点からは多孔質の微粒子が好ましいが、中でも、インク吸収性の向上の観点からは、コロイダルシリカが好ましい。また、前記コロイダルシリカにおいては、下記に示す形状のコロイダルシリカが更に好ましく用いられる。
【0035】より好ましいコロイダルシリカとは、球状のコロイダルシリカが数珠状に連結(複数の球状コロイダルシリカが連鎖状につながった形状)した長鎖の構造を有するもの、および連結したシリカが分岐したものおよび/または屈曲したものであり、表面にうねり構造を有するものを得ることができる。上記コロイダルシリカは球状シリカの1次粒子を2価以上の金属イオンを介在させ粒子ー粒子間を連結させたもので、少なくとも3個以上、好ましくは5個以上、更に好ましくは7個以上連結したものをいい、更には数珠状に連結した粒子が分岐したものおよび/または屈曲したものも包含する。また、コロイダルシリカと他の無機粒子、例えばアルミナ、セリア、チタニアなどとの複合あるいは混合粒子であっても良く、これらを介在させて連結したものでも良い。介在させる金属イオンとしては2価以上の金属イオンが好ましく、例えばCa2+、Zn2+,Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などである。特にCa2+とした場合には、数珠状に連結および分岐したコロイダルシリカを作製するのに好適である。
【0036】インク吸収性の観点から、本発明に係る無機顔料粒子の1次粒子の粒径は30nm以下が好ましく、更に好ましくは、5nm〜30nmである。
【0037】更に、上記のうねり構造はシリカ粒子が数珠状に連結および分岐している場合に発現するものであり、連結したシリカの1次粒子数が多いほど好ましいが通常は3個以上100個未満、好ましくは5個以上50個未満、更に好ましくは7個以上30個未満であるのが望ましい。2個以下ではうねりの発現が不十分であり、100個以上の場合には数珠状に連結および/又は分岐したシリカ粒子が増粘しやすく水分散性が悪くなる傾向にある。
【0038】また、上記記載の無機顔料粒子の一次粒子から形成された二次粒子の粒径としては、1000nm以下が好ましく、更に好ましくは、60nm以下である。
【0039】ここで、無機顔料粒子の一次粒子の粒径とは、未凝集の単独粒子の粒径であり、二次粒子の粒径は、粒子同士の凝集や合体後の粒径を表し、各々、市販の電子顕微鏡を用いての画像観察、画像データをコンピュータ解析することにより求められる。
【0040】本発明に係るインク吸収層の表層のインク吸収性を更に向上させるためには上記の無機顔料粒子と後述する自己架橋型樹脂またはコロイダルシリカ複合体エマルジョンとを併用することが好ましい。
【0041】ここで、無機顔料粒子と自己架橋型樹脂との配合比(無機顔料粒子/自己架橋型樹脂)としては、質量比で1/1〜8/1が好ましく、更に好ましくは、1/1〜3/1である。また、無機顔料粒子とコロイダルシリカ複合体エマルジョンとの配合比(無機顔料粒子/コロイダルシリカ複合体エマルジョン)としては、質量比で1/4〜7/2が好ましい。
【0042】また、インク吸収層の表層のインク吸収性を更に向上させるためには、後述する自己架橋性エマルジョン/上記記載の無機顔料粒子の平均粒子径比は2/1〜1000/1が好ましく、更に好ましくは5/1〜500/1であり、特に好ましくは10/1〜200/1である。
【0043】(自己架橋型樹脂)自己架橋型樹脂とは架橋反応基を有する単量体(モノマー)から形成された樹脂であり、線形構造のみならず、3次元架橋構造を有する樹脂として定義される。具体的には、自己架橋型の合成高分子ラテックスが好ましく、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル重合体ラテックス、或いはこれら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合ラテックスであり、例えばアミノ基とエポキシ基、アルコキシシリル基、イソシアネートとアミノ基、イソシアネートと水酸基、ウレタン結合とアミノ基、ビニル基とアミノ基を有するもので水揮発後に耐水性を有する膜を形成するエマルジョンが挙げられる。
【0044】(自己架橋型エマルジョン)自己架橋型エマルジョンの具体例として、例えば、クラリアントポリマー社製のアクリル共重合エマルジョンであるモビニール747、モビニール760H、モビニール4700、モビニール761H、モビニール718、モビニール2000、モビニール3410、酢酸ビニル共重合エマルジョンであるモビニール771H、モビニール78H、酢酸ビニル・アクリル共重合エマルジョンであるアプレタン2200等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0045】(コロイダルシリカ複合体エマルジョン)コロイダルシリカ複合体エマルジョンの含有量としては、表層1m2当たり、5g〜20gが好ましい。
【0046】本発明に用いられるコロイダルシリカ複合体エマルジョンとは、粒子の中心部が上記重合体或いは共重合体等を主成分としてなり、特開昭59−71316号、同60−127371号にて公開されたコロイダルシリカの存在下でエチレン性不飽和結合を有するモノマーを従来公知の乳化重合法で重合して得られる。該複合体エマルジョンに適用されるコロイダルシリカの粒子径としては40nm未満のものが好ましい。
【0047】この複合体エマルジョンの調製に用いられるコロイダルシリカとしては、通常2μm〜100μmの一次粒子が挙げられる。エチレン性モノマーとしては、例えば炭素数が1〜18個のアルキル基、アリール基、或いはアリル基を有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン、ブタジエン等のラテックス業界で公知の材料が挙げられ、必要に応じて更にコロイダルシリカとの相溶性をより良くするためにビニルトリメトオキシシラン、ビニルトリエトオキシシラン、γ−メタクリロオキシプロピルトリメトオキシシラン等の如きビニルシランが、また、エマルジョンの分散安定にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のアニオン性モノマーが助剤的に使われる。なお、エチレン性モノマーは必要に応じて2種類以上を併用することができる。
【0048】また、乳化重合におけるエチレン性モノマー/コロイダルシリカの比率は固形分比率で100/1〜200である。
【0049】コロイダルシリカ複合体エマルジョンの中でより好ましいものとしては、ガラス転移点が−30℃〜30℃の範囲のものが挙げられる。また、組成的に好ましいものとしては、アクリル酸エステル、或いはメタクリル酸エステルをエチレン性モノマーとして選択したものが挙げられ、特に好ましいものとしては、アクリル酸エステル(メタクリル酸エステル)とスチレンの共重合体、アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル)とアクリル酸アラルキルエステル(メタクリル酸アラルキルエステル)の共重合体、アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル)とアクリル酸アリールエステル(メタクリル酸アリールエステル)共重合体が挙げられる。
【0050】乳化重合で使われる乳化剤としては、例えばアルキルアリルポリエーテルスルホン酸ソーダ塩、ラウリルスルホン酸ソーダ塩、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硝酸ソーダ塩、アルキルアリルスルホサクシネートソーダ塩、スルホプロピルマレイン酸モノアルキルエステルソーダ塩等が挙げられる。
【0051】また、インク吸収層の表層中には、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料を併用してもよい。
【0052】《表層中の熱可塑性樹脂》本発明のインクジェット記録媒体においては、画像形成後、良好な光沢度を有する画像を得るためには、インク吸収層の表層に熱可塑性樹脂を用いることが必須である。ここで、インク透過性向上の観点から、本発明に係る熱可塑性樹脂は微粒子状であることが好ましい。
【0053】熱可塑性樹脂あるいは微粒子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもスチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。熱可塑性樹脂あるいは微粒子は、モノマー組成及び、粒径、重合度が違う複数の重合体を混合して用いても良い。
【0054】熱可塑性樹脂あるいは微粒子を選択するに際し、インク受容性、加熱及び加圧による定着後の画像の光沢性、画像堅牢性及び離型性向上、定着後の被膜強度を適切に調整する観点から、熱可塑性樹脂の粒径としては、0.05μm〜10μmが好ましく、更に好ましくは0.1μm〜5μmであり、特に好ましくは、0.1μm〜1μmである。
【0055】また、熱可塑性樹脂あるいは微粒子の選択の基準としてはガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tgが塗布乾燥温度より低い場合は、例えば、記録材料製造時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するための熱可塑性微粒子による空隙が消失してしまう。
【0056】また、Tgが、支持体の熱による変性を起こす温度以上の場合は、顔料インクによるインクジェット記録後溶融成膜するために高温での定着操作が必要となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑性微粒子の好ましいTgは50℃〜150℃である。また、最低造膜温度(MFT)としては、50℃〜150℃のものが好ましい。
【0057】熱可塑性樹脂の微粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。この際、ノニオン系分散剤を乳化剤として用いて乳化重合したタイプは好ましく用いることができる形態である。
【0058】また、用いる熱可塑性樹脂の微粒子は臭気および安全性の観点から残存するモノマー成分が少ない方が好ましく、重合体の固形分質量に対して3質量%以下が好ましく、更に1質量%以下が好ましく、特には0.1質量%以下が好ましい。
【0059】この場合、表層の熱可塑性微粒子と無機顔料の固形分質量比としては、熱可塑性樹脂の微粒子および無機顔料および他の添加剤などにより個々に決めるのが好ましく、特に制約はないが、熱可塑性樹脂の微粒子/無機顔料の質量比が2/8から8/2の範囲が好ましく、より好ましくは、3/7〜7/3であり、4/6〜6/4が更に好ましい。
【0060】《インク吸収層を構成する無機顔料含有層》無機顔料含有層に用いられる無機顔料は、上記記載のインク吸収層の表層中に用いられる無機顔料と同義である。無機顔料含有層の膜厚としては、10μm〜50μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、20μm〜40μmである。
【0061】無機顔料含有層中での無機顔料粒子の含有率は、3質量部〜80質量部が好ましく、更に好ましくは、10質量部〜70質量部である。
【0062】《本発明のインクジェット記録方法》本発明のインクジェット記録方法について説明する。
【0063】インクジェット記録方法においては、従来公知の各種の方式を用いることができ、その詳細はたとえば、インクジェット記録技術の動向(中村孝一編,平成7年3月31日,日本科学情報株式会社発行)に記載されている。
【0064】インクジェット記録に用いる記録ヘッドは、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式のいずれでもよいが、顔料インクでの安定性の観点からピエゾ方式が好ましい。
【0065】本発明のインクジェット記録方法においては、画像の堅牢性(画像保存性ともいう)の観点から、後述する顔料インクが好ましく用いられる。
【0066】《インク形成用の着色剤》次に、本発明に用いられる着色剤について説明する。
【0067】本発明に使用可能な着色剤としては、従来公知のものを特に制限無く使用でき、水溶性染料、水分散性染料、水分散性顔料、溶剤溶解性染料、溶剤分散性染料、溶剤分散性顔料など何れも使用可能であるが、中でも本発明において好ましく用いられるのは、溶剤分散性顔料である。
【0068】これらは単独あるいは複数種類を併用しても良い。これらの中で特に好ましい着色剤は、分散性染料又は分散性顔料の分散粒子である。
【0069】以下に代表的着色剤を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
《水溶性染料》
(直接染料)C.I.ダイレクトイエロー1、4、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、100、110、120、132、142、144;C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、47、48、51、62、63、75、79、80、81、83、89、90、94、95、99、220、224、227、243;C.I.ダイレクトブルー1、2、6、8、15、22、25、71、76、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、163、165、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、236、237;C.I.ダイレクトブラック2、3、7、17、19、22、32、38、51、56、62、71、74、75、77、105、108、112、117、154(酸性染料)C.I.アシッドイエロー2、3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、99;C.I.アシッドオレンジ56、64;C.I.アシッドレッド1、8、14、18、26、32、37、42、52、57、72、74、80、87、115、119、131、133、134、143、154、186、249、254、256;C.I.アシッドバイオレット11、34、75;C.I.アシッドブルー1、7、9、29、87、126、138、171、175、183、234、236、249;C.I.アシッドグリーン9、12、19、27、41;C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、48、52、58、60、94、107、109、110、119、131、155(反応性染料)C.I.リアクティブイエロー1、2、3、13、14、15、17、37、42、76、95、168、175;C.I.リアクティブレッド2、6、11、21、22、23、24、33、45、111、112、114、180、218、226、228、235;C.I.リアクティブブルー7、14、15、18、19、21、25、38、49、72、77、176、203、220、230、235;C.I.リアクティブオレンジ5、12、13、35、95;C.I.リアクティブブラウン7、11、33、37、46;C.I.リアクティブグリーン8、19;C.I.リアクティブバイオレット2、4、6、8、21、22、25;C.I.リアクティブブラック5、8、31、39(塩基性染料)C.I.ベーシックイエロー11、14、21、32;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13;C.I.ベーシックバイオレット3、7、14;C.I.ベーシックブルー3、9、24、25本発明に用いられるインク用の染料としては、この他にキレート染料及びいわゆる銀色素漂白法感光材料(例えばチバガイギー製チバクローム)に用いられるアゾ染料を挙げることが出来る。
【0070】キレート染料に関しては例えば英国特許1,077,484号の記載を参考にすることが出来る。
【0071】銀色素漂白法感光材料アゾ染料に関しては、例えば英国特許第1,039,458号、同1,004,957号、同1,077,628号、米国特許第2,612,448号の記載を参考にすることが出来る。
【0072】本発明に係るインクに用いる水溶性染料の含有量は、インク全質量に対して、1質量%〜15質量%であるのが好ましい。
【0073】《分散染料》本発明に好ましく用いられる分散染料としては、例えばC.I.Disperse Yellow3、4、5、7、9、13、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224;C.I.Disperse Orange1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142;C.I.Disperse Red1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328;C.I.Disperse Violet1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77;C.I.Disperse Green9;C.I.Disperse Brown1、2、4、9、13、19;C.I.Disperse Blue3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333;C.I.Disperse Black1、3、10、24;等が挙げられる。
【0074】《顔料》本発明に用いられる着色剤としては、良好な光沢度を得る観点から顔料を用いることが好ましい。また、例えば、顔料インク中に用いられる顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラック等を好ましく用いることができる。
【0075】不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0076】好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0077】オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0078】グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0079】その他にも、例えば、カーボンブラック顔料(C.I.Pigment Black7);C.I.Pigment Yellow12、13、14、16、17、73、74、75、83、108、109、110、180、182;C.I.Pigment Red5、7、12、112、123、168、184、202;C.I.Pigment Blue1、2、3、15:3、16、22、60;C.I.Vat Blue4、60;等が挙げられる。
【0080】以上の他にレッド、グリーン、ブルー、中間色が必要とされる場合には以下の顔料を単独或いは併用して用いることが好ましく、例えばC.I.Pigment Red209、224、177、194;C.I.Pigment Orange43;C.I.Vat Violet3;C.I.Pigment Violet19、23、37;C.I.Pigment Green36、7;C.I.Pigment Blue15:6;等が用いられる。
【0081】本発明で用いられる顔料及び分散染料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。
【0082】分散剤として界面活性剤が用いられる。本発明に用いられる界面活性剤としては陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることができる。陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。非イオン活性剤としては、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
【0083】また、例えば、上記の着色剤をインクジェット用インクとして用いる場合には、インク吐出後のインク液滴のメディア中への浸透を加速するために界面活性剤を使用することが好ましく、そのような界面活性剤としては、インクに対して保存安定性等の悪影響を及ぼさないものであれば限られるものではなく、上記の分散剤として使用する界面活性剤と同様のものが用いられる。
【0084】本発明においては電気伝導度調節剤を用いることもでき、電気伝導度調節剤としては、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミンなどの水溶性アミンがある。
【0085】本発明に用いられるインクにおいては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、さらに粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防錆剤、防腐剤等を添加することもできる。
【0086】本発明に用いられるインクは水と水溶性有機溶媒を主な液媒体成分とする。水溶性有機溶媒としては、炭素数1〜4のアルキルアルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ケトンあるいはケトアルコール類(例えばアセトン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ポリアルキレングリコール類(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等)、グリセリン、多価アルコールの低級アルキルエーテル類(エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等)等が挙げられる。
【0087】これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルは好ましいものである。
【0088】インク中の上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般にはインク全質量に対して質量%で10〜70%、好ましくは30〜65%、特に40〜60%が好ましい。
【0089】本発明に用いられるインクジェット用インクは、被転写媒体との接着及び被転写媒体上での画像強度を高める目的で、熱可塑性樹脂粒子を添加することが好ましい。また着色剤の分散粒子を樹脂コートする事が特に好ましい。着色剤との組み合わせとしては、熱可塑性樹脂粒子は、溶解染料系、分散染料系、分散顔料系に何れも好適に使用でき、樹脂コートは、分散染料系、分散顔料系に特に好適に使用できる。熱可塑性樹脂粒子としては、常温での液物性安定のために融点が30℃以上が好ましく、より好ましくは40℃以上である。熱可塑性樹脂としては、後述する転写層に用いるものを挙げることができる。樹脂コートに用いられる粒子のコート剤としては、融点が40℃以上の従来公知の熱可塑性樹脂が特に制限無く使用でき、より好ましくは、融点50℃以上であり、熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、スチレン系、スチレン−アクリル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリブタジエン、酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体オレフィン系及びアミノ基、アミド基、カルボキシル基、水酸基等の親水性官能基を有するモノマー等の単独重合または共重合樹脂エマルジョン、マイクロエマルジョン、内部3次元架橋した有機微粒子、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス等の天然・合成ワックスエマルジョン、ラテックス、コロイド溶液、懸濁液等を挙げることができる。
【0090】画像形成に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を特に好ましく用いることができる。
【0091】これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
【0092】顔料の分散方法としては、その方法に特に制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0093】本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
【0094】顔料インク中の顔料の平均粒径は、インク中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考慮して選択するが、加えて本発明のインクジェット顔料画像の形成方法では、光沢向上、質感向上の観点からも粒径を選択するのが好ましい。本発明において、光沢向上、質感向上する理由は定かでは無いが、画像において顔料は熱可塑性微粒子が溶融した皮膜中に分散された状態にあることと関連していると推測している。高速処理を目的とすると、短時間で熱可塑性微粒子を溶融皮膜化し、更に顔料を充分に皮膜中に分散しなければならない。このとき顔料の表面積は大きく影響し、それゆえ平均粒径に最適領域が存在すると推測している。
【0095】顔料インクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0096】水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
【0097】水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
【0098】インク組成物は、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加することもできる。
【0099】特に、熱可塑性微粒子を添加することは、本発明の効果を得るうえで好ましい。熱可塑性微粒子については、上記の記録材料表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、より好ましくは、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2倍の範囲で選択すると安定性の観点で好ましい。添加する熱可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
【0100】インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
【0101】インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、30〜45mN/mであることが、より好ましい。
【0102】インク中の顔料固形分濃度は、0.1質量%〜10質量%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、色再現性上好ましい。
【0103】《インクジェット画像形成方法》本発明のインクジェット画像形成方法について説明する。
【0104】本発明のインクジェットが像形成方法は、画像の定着処理時に本発明に係る加熱定着装置を用いることが特徴であり、本発明においては、例えば、インクジェット顔料画像を形成する場合には、市販されているプリンターのように記録材料収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録材料収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであると、インクジェット写真を商用利用する場合に有用である。
【0105】(加熱定着装置)本発明に用いられる加熱定着装置について説明する。
【0106】本発明に記載の効果、即ち、定着後において良好な光沢度を示す画像を得るために、本発明に係る加熱定着装置は、本発明に係る定着ベルトまたは本発明に係る定着ローラを少なくとも一つその構成成分として有することが特徴である。
【0107】また、加熱定着処理には、本発明の効果が十分発揮されるだけのエネルギーを画像に与えれば良いが、加熱する温度としては、特に顔料画像の場合、画像を平滑化しうる温度であればよく、60℃〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜160℃の範囲である。
【0108】加熱は、プリンター内蔵の加熱機で行っても、別に設けた加熱機で行っても良い。加熱手段としては、定着ローラの場合も、定着ベルトの場合も加熱ローラを用いることが、ムラの発生をなくし、小スペースで、連続処理が出来るので好ましい。また、これらの装置は、電子写真の加熱定着機を転用することができ、コスト的にも有利である。
【0109】加熱ローラとしては、中空状のローラを構成成分として有し、駆動手段により回転するが、その中空部分に熱源として、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等からなる発熱体が内蔵されることが好ましい。
【0110】また、ローラは、熱伝導性の高い材料が好ましく、特には金属ローラが好ましいが中でもニッケルが好ましく用いられる。
【0111】定着ベルトまたは定着ローラを用いる場合の記録材料の搬送速度は、1mm/秒〜100mm/秒の範囲が好ましく、更に好ましくは、10mm/秒〜50mm/秒の範囲が好ましい。これは、高速処理性の観点以外に、画質の観点からも好ましい。
【0112】より高い質感、光沢を得るために、加熱と同時、あるいはその直後に加圧することが好ましい。加圧する圧力としては、皮膜化が促進されるため9.8×104Pa〜4.9×106Paの範囲が好ましい。
【0113】本発明に用いられる加熱定着処理装置について、図1、図2を用いて各々、説明する。
【0114】図1は、本発明で用いられるインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図である。図1において、搬送ローラ対21から送り出された記録材料1は記録ヘッド3によりインクジェット記録が行われ、カッタ61により適宜切断され、第1のローラ対〜第2のローラ対まで、たわみを有する状態で搬送され、次いで、加熱定着手段4に送られ、内部に発熱体43を有する加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過することにより、加熱定着処理が行われる。
【0115】図2は、本発明で用いられるインクジェット記録装置の他の一例を示す概略構成図である。図2において、搬送ローラ対21から送り出された記録材料1は記録ヘッド3によりインクジェット記録が行われ、カッタ61により適宜切断され、第1のローラ対〜第2のローラ対まで、たわみを有する状態で搬送され、次いで、加熱定着手段4に送られ、内部に発熱体43を有する加熱ローラ41と加圧ローラ42との間に定着ベルト44と共に通過することにより、加熱定着処理が行われる。
【0116】上記記載の定着ベルトの前記記録材料1と接する面には、図示していないが、離型層が設けられており、前記離型層中には本発明に係るシリコーン樹脂が含有されている。
【0117】インクジェット記録後のインクジェット記録媒体に上記のような加熱定着処理を施すことにより、後述するC値を向上させることが出来る。また、画像を加熱あるいは加圧、あるいは加熱、加圧を両方行う、あるいは、溶媒や可塑剤を付与し、さらに加熱する、あるいは、熱可塑性樹脂成分を画像に供給してから加熱する等の処理を組み合わせたり、複数回行っても良い。
【0118】(C値:写像性の尺度)本発明においては、C値と呼ばれる像鮮明度が60以上であることが好ましい。ここで、C値とは、JIS K7105に規定されている像鮮明度のうち、光学くし2mmを用い反射法により測定した値をC値とし、写像性の尺度として定義される。
【0119】本発明でいう写像性とは、皮膜表面に対面する物体の像を移す皮膜表面の性能を表し、入射画像が画像表面において、どれだけ正確に反射、あるいは投影されるかを示す値である。入射画像に対して正確な反射画像を与えるほど、写像性は高くなり、結果としてC値は大きくなる。このC値は、鏡面光沢度と表面の平滑性を併せた効果を示すものであり、反射度が高くなるほど、また平滑性が高くなるほど、C値は大きくなる。
【0120】C値の異なる様々なインクジェット顔料画像を検討したところ、C値の上昇に伴い、光沢感が得られ、銀塩写真に近似の画像を得ることができることを見い出した。さらに、驚くべきことに、C値の上昇に伴い、顔料インク特有のブロンジング現象が抑制されることが判明した。さらに、C値の上昇に伴い、耐水性や酸性ガス耐性といった画像保存性も向上することを見い出した。
【0121】C値が60以上ある顔料画像は、本発明の目的とする効果を得ることができるが、好ましくは70〜90、さらに好ましくは75〜90である。
【0122】本発明で規定するC値を60以上とする方法としては、特に制限はないが、例えば、インク顔料を記録材料に印字した後、画像を加熱あるいは加圧、あるいは加熱、加圧を両方行う、あるいは、溶媒や可塑剤を付与し、さらに加熱する、あるいは、熱可塑性樹脂成分を画像に供給してから加熱するなどの方法を適宜選択、組み合わせたり、あるいはそれらの処理を複数回行うことにより達成することができる。
【0123】(バック層の形成)本発明のインクジェット記録媒体のインク吸収性層を有する側と支持体に対して反対側には、カール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けてもよい。
【0124】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0125】実施例1《インクジェット記録媒体の作製》下記の処方で各々の分散液を調製した後、それら分散液を用いてインクジェット記録媒体を作製した。
【0126】〈熱可塑性微粒子塗布液の調製〉ポリビニルアルコールをノニオン系乳化剤として用いて乳化重合したスチレン−アクリル系ラテックスポリマー(Tg78℃、平均粒径250nm、固形分濃度40%)を、6%硝酸水溶液でpH4.7に調整し、スチレン−アクリル系の熱可塑性微粒子塗布液を調製した。
【0127】《インクジェット記録媒体101の作製》厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したRC基材(レジンコーティング基材:ポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中に8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックスポリマーをバック層0.2g/m2として有する))に、ポリエチレンコート紙側から熱可塑性微粒子塗布液を、湿潤膜厚が120μmに成るように塗布し、約7℃に一度冷却した後、20℃〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、インク吸収層の表層(この場合、インク吸収層は1層構成なので、インク吸収層そのものが表層となる)には、無機顔料としてシリカ、熱可塑性樹脂としてスチレン−アクリル系の熱可塑性微粒子を含む、インクジェット記録媒体101を作製した。
【0128】《インクジェット記録媒体102の作製》インクジェット記録媒体101の作製において、支持体として厚さ170g/m2の原紙の片側に熱可塑性微粒子塗布液を塗布した以外は同様にして、インクジェット記録媒体102を作製した。
【0129】《インクジェット記録媒体103、104の作製》インクジェット記録媒体101の作製において、表1に記載のようにインク吸収層の表層の構成を変え、無機顔料として、下記に記載のシリカ塗布液を用いて無機顔料含有層を構成し、次いで、複合微粒子塗布液を用いてインク吸収層の表層を作製した以外は同様にして、インクジェット記録媒体103、104を各々作製した。
【0130】《シリカ塗布液の調製方法》
〈シリカ分散液−1の調製〉1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げてシリカ分散液−1を調製した。
【0131】〈シリカ分散液−2の調製〉カチオンポリマー(P−1)を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、シリカ分散液−1の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。
【0132】この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
【0133】
【化1】

【0134】〈シリカ塗布液の調製〉ついで上記のようにして得られたシリカ分散液−2を使用して、下記のようにしてシリカ塗布液を調製した。
【0135】シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
(1)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液:6ml(2)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の7%水溶液:185ml(3)純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0136】《複合微粒子塗布液の調製》インクジェット記録媒体101の調製に用いた熱可塑性微粒子塗布液と上記記載のシリカ塗布液とを固形分質量比率が2/1になるようにして複合微粒子塗布液を調製した。
【0137】得られたインクジェット記録媒体101〜104の各々のインク吸収性を下記に記載のようにして評価した。
【0138】《インク吸収性の評価》熊谷理機工業株式会社製のBristow試験機II型(加圧式)を使用し、接触時間0.04秒間におけるインク転移量(ml/m2)をインク吸収性の尺度として測定した。なお、測定に際しては、下記のマゼンタインクの調製に用いたアシッドレッド249(酸性染料)を1質量%、ジエチレングリコールを15質量%、グリセリンを15質量%含有する水性インクを使用した。
【0139】インクジェット記録に用いる染料インクを下記のように調製した。
《染料インクの調製:イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック》以下に示す構成でインク組成物を調製し、十分に攪拌後、0.8μmのフィルター(DISMIC−25CS:Toyo Roshi Kaisha LTD)で濾過して用いた。
【0140】
(イエローインクの調製)
アシッドイエロー42(酸性染料) 5質量% プロキセルGXL(D) (ゼネカ社製:20%水溶液) 0.2質量% エチレングリコール 12質量% ジエチレングリコール 13質量% イオン交換水 全質量が100質量%になるように残分調整 (マゼンタインクの調製)
アシッドレッド249(酸性染料) 3質量% プロキセルGXL(D) (ゼネカ社製:20%水溶液) 0.2質量% エチレングリコール 12質量% ジエチレングリコール 13質量% イオン交換水 全質量が100質量%になるように残分調整 (シアンインクの調製)
アシッドブルー249(酸性染料) 3.8質量% プロキセルGXL(D) (ゼネカ社製:20%水溶液) 0.2質量% エチレングリコール 12質量% ジエチレングリコール 13質量% イオン交換水 全質量が100質量%になるように残分調整 (ブラックインクの調製)
BASF Acid Black34(酸性染料) 19質量% プロキセルGXL(D) (ゼネカ社製:20%水溶液) 0.2質量% エチレングリコール 12質量% ジエチレングリコール 13質量% イオン交換水 全質量が100質量%になるように残分調整(画像試料101〜104の作製)図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンタ及び、インクジェット用インクを用いてインクジェット記録媒体101〜104の各々に黒ベタ画像の印字を行った後、装置内の定着装置により加熱定着処理を行い、画像試料101〜104を各々得た。
【0141】尚、定着ローラに熱を付与する加熱ローラの温度は、RC基材を支持体に用いたインクジェット記録媒体101、103については120℃、原紙を支持体に用いたインクジェット記録媒体102、104については180℃に各々設定した。得られた画像試料101〜104の耐水性を下記のように評価した。
【0142】《耐水性の評価》耐水性の評価は、画像試料101〜104の各試料を、25℃の純水に1分間浸漬させたのち取り出し、乾燥させて、未処理サンプルに対する残存率を、下式により求め、下記に記載のようにランク評価した。
【0143】耐水性(%)=(浸漬試料の主反射濃度/未処理試料の主反射濃度)×100ここで、主反射濃度の測定は、光学濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて濃度測定を行った。
【0144】5:耐水性(%)が95%以上4:耐水性(%)が85以上95%未満3:耐水性(%)が70以上85%未満2:耐水性(%)が50以上70%未満1:耐水性(%)が50%未満得られた評価結果を表1に示す。
【0145】
【表1】

【0146】表1から、比較の試料に比べて、本発明の試料は、耐水性が良好であり、且つ、インク吸収性に優れていることが判る。特に画像試料104は、表層が無機顔料と熱可塑性樹脂を含有することから、良好なインク吸収性を示すと同時に、支持体に原紙を用いたことにより、180℃と高温定着処理が可能となり、均一な成膜処理が施されることから耐水性も良好であることが判る。
【0147】実施例2《インクジェット記録媒体201〜204の作製》実施例1のインクジェット記録媒体104の作製において、表2に示すように、支持体として用いる原紙の厚みを変え、且つ、シリカ塗布液を用いてインク吸収層の下層を塗設し、次いで、複合微粒子塗布液を用いて表層を塗設した以外は同様にして、インクジェット記録媒体201〜204を各々作製した。
【0148】得られたインクジェット記録媒体201〜204の各々のインク吸収性は、実施例1に記載の方法を用いて同様に評価した。
【0149】結果は表2に示す。インクジェット記録に用いる顔料インクを下記のように調製した。
【0150】《インクジェット用インクの調製:顔料インク》以下の様にしてインク組成物を調製した。
【0151】
(イエロー顔料分散液)
C.I.ピグメントイエロー74 95g デモールC(花王(株)製) 65g エチレングリコール 100g イオン交換水 120gを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、イエロー顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は122nmであった。尚、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000により行った。
【0152】
(マゼンタ顔料分散液)
C.I.ピグメントレッド122 105g ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)60g グリセリン 100g イオン交換水 130gを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、マゼンタ顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は85nmであった。
【0153】
(シアン顔料分散液)
C.I.ピグメントブルー15:3 100g デモールC 68g ジエチレングリコール 100g イオン交換水 125gを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は105nmであった。
【0154】
〈イエローインクの調製〉 イエロー顔料分散液 113g エチレングリコール 100g グリセリン 72g ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2gこれをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させイエローインクを調製した。pHは8.2であった。
【0155】
〈シアンインクの調製〉 シアン顔料分散液 113g エチレングリコール 100g グリセリン 72g ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2gこれをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させシアンインクを調製した。pHは8.3であった。
【0156】
〈マゼンタインクの調製〉 マゼンタ顔料分散液 113g エチレングリコール 100g 1,2−ヘキサンジオール 100g ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2gこれをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させマゼンタインクを調製した。pHは8.5であった。
【0157】
〈ブラックインクの調製〉 Hostfine Black T 167g (クラリアント(株)製、平均粒子径50nm)
1,2−ヘキサンジオール 150g エチレングリコール 220g ジエチレングリコール 90g レベノールWX(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2gこれをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させブラックインクを調製した。pHは8.6であった。
【0158】《画像試料201〜204の作製》図2に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンタを用いて、インクジェット用インクを用いてインクジェット記録媒体201〜204の各々に黒ベタ画像の印字を行った後、装置内の定着装置により加熱定着処理を行い、画像試料201〜204を各々得た。ここで、定着ベルトに熱を付与する加熱ローラの温度は、120℃に設定した。
【0159】以下に、画像試料201〜204の光沢性を下記のように評価した。
《光沢性の評価》画像試料201〜204の各々のサンプルの黒ベタチャート部の画像を写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機械社製)で反射60度、光学くし2mmでの写像性(光沢値C値%)を測定した。評価は、以下の基準によって行った。
【0160】4:C値%が61以上3:C値%が60〜512:C値%が50〜411:C値%が40以下上記評価ランクにおいて、4、3が実用上好ましいランクと判断した。
【0161】得られた結果を表2に示す。
【0162】
【表2】

【0163】表2から、吸水性支持体の膜厚を200μm以上に調整し、且つ、インク吸収層の下層に無機顔料含有層を塗設した画像試料203、204は、そうではない画像試料201、202と比べてインク吸収性、光沢性共に優れていることが判る。
【0164】実施例3《インクジェット記録媒体301〜305の作製》インクジェット記録媒体104の作製において、表3に記載のようにインク吸収層の表層の無機顔料の粒径を変更し、無機顔料含有層を塗設し、前記無機顔料含有の無機顔料の粒径を表3に記載のように変化させた以外は同様にして、インクジェット記録媒体301〜305を各々作製した。
【0165】《画像試料301〜305の作製》実施例1に記載の画像試料104の作製において、黒ベタ画像の作製をウェッジ画像の作製に変更した以外は同様にして、画像試料301〜305を各々作製した。
【0166】得られた画像試料301〜305の各々の最高反射濃度を測定した。
《最高反射濃度の評価》得られた各出力画像について、光学濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて濃度測定を行い、最高反射濃度値(Dmax)を測定した。
【0167】得られた結果を表3に示す。
【0168】
【表3】

【0169】表3から、インク吸収層の下層、表層の無機顔料の一次粒径が30nm以下である画像試料304、305はそうではない試料と比べて、最高反射濃度が高いことが判る。
【0170】
【発明の効果】本発明により、インク吸収性に優れ、光沢が良好であり、耐水性が良好であり、且つ、最高濃度が高いインクジェット記録媒体、インクジェット記録方法及びインクジェット画像形成方法を提供することが出来た。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
【出願日】 平成14年1月28日(2002.1.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−211836(P2003−211836A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−18320(P2002−18320)