トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 複合記録材
【発明者】 【氏名】加野 智久
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】海江田 晃彰
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】神戸 浩樹
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】大西 弘幸
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】単色および単純な複数色の高速印刷と銀塩写真画質の印刷を両立し、なおかつ低コストで印刷できる複合記録材を提供する。

【解決手段】紙等のベースシート2を有し、露光または加熱により発色する感熱剤3が前記ベースシート2の一方の面に薄く塗工され、感熱紙のように一面に感熱発色層4を有している。前記感熱発色層4上に透明なインク吸収層5を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ベースシートを有し、露光または加熱により発色する感熱剤を前記ベースシートの一方の面に塗工した感熱発色層を有し、前記感熱発色層上に透明なインク吸収層を備える複合記録材。
【請求項2】更に前記感熱発色層と前記インク吸収層の間に、耐水層を形成した請求項1記載の複合記録材。
【請求項3】前記インク吸収層の空隙率が10%以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の複合記録材。
【請求項4】前記インク吸収層の透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の複合記録材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報機器の画像形成装置の印刷記録メディアに適用される。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を印刷方式別に見ると、その一方、感熱紙等の記録材に伝熱する熱量により記録材を発色させるダイレクトサーマル方式の印刷では、多色印刷をする際に、記録材に伝熱する熱量をサーマルヘッドにより調節し、熱量によって発色の異なる発色物質の発色度合いにより多色印刷を実現していた。また近年開発されつつある多色印刷に特化したダイレクトサーマル方式のプリンタにおいては、色の三原色を印刷するのに3回に分けて発熱し発色させ、内2回を紫外線に当てて定着させる複雑な工程で実現している。
【0003】他方、記録材に直接複数色のインクを塗布するインクジェット方式では、インクノズルを複数有し、該インクを該インクノズルより微量噴出させると同時に、該インクノズルの集合体であるインクヘッドを、該記録材に対して移動させることや、該記録材を該インクヘッドに対し移動させることにより、該記録材に該インクを塗布し、多色印刷を行っていた。
【0004】前記二方式の構造上、ダイレクトサーマル方式の主な優れた点は単色または単純な複数色による高速印刷であり、主な欠点は高速印刷によるインクジェット方式なみの銀塩写真画質での多色の高速印刷が困難であることである。この逆に、インクジェット方式の主な優れた点は銀塩写真画質での多色印刷が容易に可能なことであり、主な欠点は単色および単純な複数色による印刷において、ダイレクトサーマルと比較して印刷速度が遅いことである。
【0005】前記二印刷方式以外の昇華型熱転写方式の印刷については、銀塩写真画質の印刷は可能ではあるが、単色および単純な複数色による印刷においてはダイレクトサーマル方式より印刷速度も遅く、印刷にインクリボンを要すため、産業廃棄物を多く出す上、装置のコストと印刷ランニングコストも高価であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】多色印刷は、マゼンタ、イエロー、シアンの色の三原色の印刷が必須である。その一方、前記ダイレクトサーマル印刷方式では、色の三原色の印刷し、なおかつ該三原色の微細な階調表現をするのに、サーマルヘッドに複雑な発熱等の制御を要し、1インチ当たり1440ドット等の微細ドッドごとの制御は困難であった。そのため銀塩写真のように印刷できるインクジェット方式に比べ、該ダイレクトサーマルで印刷された画像は、画質等が劣っていた。しかしながら、一行に並んだサーマルヘッドで一行毎に印刷するため、単色および単純な複数色による印刷において印刷速度はインクジェット方式よりも極めて速い。また多色印刷に特化したダイレクトサーマル方式のプリンタにおいては、色の三原色を印刷するのに3回に分けて発熱し発色させ、内2回を紫外線に当てて定着させる複雑な工程のため、多色印刷だけでなく、単色および単純な複数色の印刷であっても、インクジェット方式に比べ印刷時間が著しく長くなっている。
【0007】他方、インクジェット方式においては、1インチ当たり1440ドット等の微細ドッドごとの制御は容易であるが、インクノズルの集合体であるインクヘッドが記録材に対し相対的に移動させて、複数色のインクを記録材の塗布するため、色の三原色に微妙な階調を持たせて印刷する多色印刷においては、ダイレクトサーマル方式に比べ、速く印刷ができるが、単色および単純な複数色による印刷においては、一行を同時に印刷できるダイレクトサーマル印刷方式に比べ、印刷に時間を要していた。
【0008】前記二方式の優れた点である高速印刷、写真画質、そして低い印刷コストを得るために、単純に感熱紙等の記録材にインクジェット方式で印刷しようとすると、インクが記録材の表面に瞬時に定着せず、乾燥し安定するまで数分以上かかり、実使用に耐えない状況であった。
【0009】また単純に感熱紙等の記録材にインクジェットの吸収層として空隙を構成しても、空隙により感熱発色層にまでサーマルヘッドの熱が伝わらず、発色が困難であり印刷が困難であった。
【0010】よって、この前記二方式の良い所、すなわち低コストで単色および単純な複数色の高速印刷と銀塩写真画質の印刷を両立することは非常に困難であった。
【0011】本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、単色および単純な複数色の高速印刷と銀塩写真画質の印刷を両立し、低いコストで印刷できる記録材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ベースシートを有し、露光または加熱により発色する感熱剤を前記ベースシートの一方の面に塗工した感熱発色層を有し、前記感熱発色層上に透明なインク吸収層を有することを特徴とする。
【0013】請求項1記載の発明において、例えば発熱したサーマルヘッド等の加熱体が感熱発色層に接することにより、感熱発色層に備えられた常温では固体であるロイコ染料等の無色染料とフェノール系酸性物質等の顕色剤が溶融し、この両者が接触して発色画像を得る。該発色は一列に並べられたサーマルヘッドによって熱せられ発色するため極めて高速で該発色画像が得られるため、単色および単純な複数色の文字印刷、ならびにバーコード等の単純な形状やコントラストの要求される画像の印刷に用いられる。これに対し、インクジェットのノズルより噴出されるインクは、インク吸収層に1インチ当たり1440ドットかつ4ピコリットルと極めて微細に噴きつけられ、イエロー、マゼンタ、シアンの色の三原色と黒色の組み合わせにより、多色画像を得ることができる。該感熱発色層には、例としてロイコ染料等の無色染料とフェノール系酸性物質等の顕色剤を挙げたが、これに限らず、いわゆる感熱紙に使われている感熱発色作用のある物質であれば、いずれも使用することができる。該感熱発色層上に透明性の高いインク吸収層を形成する。
【0014】請求項2記載の発明によれば、感熱発色層とインク吸収層インク吸収層との間に、液体を浸透させ難い層(耐水層)を形成することにより、インク吸収層から感熱発色層にインクが浸透し、インクに含まれる水分、アルコール等の有機溶剤により感熱発色層が不用意に発色するのを防ぐのに効果的である。
【0015】請求項3記載の発明によれば、インク吸収層の空隙率を10%以下に押えることにより、サーマルヘッド等の発熱体の熱を損失少なく感熱発色層に伝熱し、感熱発色層に高い発色効率を待たせるのに効果的である。
【0016】請求項4記載の発明によれば、透過率を50%以上にインク吸収層を形成することにより、感熱発色層の発色画像を透過させることにより、高いコントラストで鮮明な感熱印刷画像を得るのに効果的である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る複合記録材の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1〜図2は、本発明の複合記録材の一実施例を示すもので、図1は本発明の複合記録材の断面図、図2は本発明の複合記録材にダイレクトサーマル方式で印刷する模式図である。
【0018】図1に示すように、本実施の形態の複合記録材1は、紙等のベースシート2を有し、露光または加熱により発色する感熱剤3が前記ベースシート2の一方の面に薄く塗工され、感熱紙のように一面に感熱発色層4を有している。前記感熱発色層4上に透明なインク吸収層5を形成する。
【0019】ベースシート2は、紙、布、そしてポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂の薄いシートでも良く、色は白系統の色で日本工業規格の白色度80%前後が基本ではあるが、デザイン的な理由等で色の着いているベースシートを用いることもできる。厚みは、汎用の感熱紙と同様の60μmから90μmが入手性から見て望ましいが、要求機能が得られれば特に限定されない。これらの基材には、感熱層の接着強度を向上させる目的で、コロナ放電処理やアンダーコートを行うこともできる。
【0020】感熱剤3は、前述のロイコ染料等の無色染料とフェノール系酸性物質等の顕色剤以外にも、要求機能が得られれば、特に限定されず市販の感熱紙に使われているもののほとんどを使用することが可能である。
【0021】インク吸収層5は透明性を有するもの、直線透過率で50%以上のものが好ましく、また、熱による発色効率を考慮すると、インク吸収層は空隙率をなるべく小さくした方がよい。具体的には、「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 紙―水銀圧入法による細孔量分布試験方法」で定める空隙率Rで、10%以下であることが好ましい。これらを受けて、インク吸収層としては例えば、特開昭62-146674・特開平9-039372等で開示されているような空隙率が少なくまた透明なインク吸収層を採用できる。
【0022】インク吸収層として単層・複層でもよい。インク吸収層としての膜厚は、感熱層の発色効率を考えると2-20μm、好ましくは3-10μmが良い。2μ未満であると、インクが感熱層側に溢れてしまうおそれが高まるため、インク吸収層の膜厚を大きくしインクの受容量を高めることが好ましいが、膜厚が0μm以上になると感熱層の発色効率が徐々に低下し、20μm以上では、発色が困難になるため、両者のバランスを考慮して最適な膜厚を定めることが肝要である。
【0023】また、感熱発色層とインク吸収層インク吸収層との間に、液体を浸透させ難い層(耐水層)を形成することが好ましい。インク吸収層の膜厚が比較的、大きい場合は、インクが感熱発色層まで浸透することがないため必ずしも形成する必要はないが、インク吸収層の膜厚が比較的、小さい場合は、インク吸収層から感熱発色層にインクが浸透し、インクに含まれる水分、アルコール等の有機溶剤により感熱発色層が不用意に発色するため、耐水層を設けることが好ましい。耐水層としては、一般的に感熱紙のオーバーコートとして用いられている材料と同じものを採用することができる。例えば、オーバーコート層として耐水性のある材料を含有させた材料を用いるようにした構成のものが、特開昭61-69489 号、特開昭61-139482 号、特開昭62-32081 号、特開昭62-42882 号等に開示されているがこれらに開示されたものを本発明の複合記録材の耐水層として用いることが可能である。
【0024】インク吸収層中のポリマーは、皮膜時に透明性があり、インクを吸収する機能を有するものであればよい。例えば、ポリマーコンプレックス(特公S51-37017)、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオンでんぷん、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、SBRラテックス、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、水性ポリエステル等を1種または2種以上併用してもよい。
【0025】また、インクジェット方式で記録した画像濃度・耐水性・耐滲み性を向上させるために、インク吸収層において色素を定着する機能を有するカチオン性を有する化合物を添加してもよい。
【0026】更に、本発明の目的達成を損わない範囲でフィラー、その他の添加剤を併用できる。フィラーとしてはシリカ・アルミナなどの無機微粒子、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリレートなどの有機微粒子が上げられる。添加剤として、各種界面活性剤、耐水化剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、架橋剤、退色防止剤、pH調整剤等が上げられる。
【0027】感熱層上にインク吸収層を形成する方法としては、上記の材料を適当な溶剤に溶解又は分散させて塗工液を調整し、例えばロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーターなどの公知の方法により、感熱層上に塗工し、その後速やかに乾燥させる方法が好ましい。
【0028】図2に示すように、発熱したサーマルヘッド等の加熱体11が感熱発色層4に接することにより、感熱発色層4に備えられた常温では固体であるロイコ染料等の無色染料12とフェノール系酸性物質等の顕色剤13が溶融し、この無色染料12と顕色剤13が接触して発色部分14を得る。発色部分14の組み合わせにより、発色画像を得る。
【0029】(実施例)以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
基材および感熱発色層:市販の感熱紙 (TF50KS−E 日本製紙社製)を使用した。該感熱紙の感熱層の感熱剤にはロイコ染料等の無色染料とフェノール系酸性物質等の顕色剤が備えられている。
【0030】〈実施例1〉前記感熱紙上に下記塗工液を塗工しインク吸収層を得た。
ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA-117)10部水90部を含有する塗工液をエアナイフコータによって塗工し乾燥後、膜厚2μmの層を得た。この層に下記塗工液を塗工した。
ポリビニルピロリドン(GAF製、PVPK-90)10%水溶液70部イソブチレン無水マレイン酸共重合体(クラレイソプレン製、イソパン10)10%DMF溶液 30部を含有する塗工液をエアナイフコータによって塗工し乾燥後、膜厚6μmの層を得た。この層に更に下記塗工液を塗工した。
カチオン変性PVA(クラレ製、PVA-C-418A)13部微分シリカ2部水85部を含有する塗工液をエアナイフコータによって塗工し乾燥後、膜厚1μmの層を得た。
【0031】〈実施例2〉感熱層上に下記塗工液を塗工しインク吸収層を得た。
ポリビニルアルコール(PVA-217)8部カチオン変性PVA(クラレ製、PVA-C-418A)2部水90部を含有する塗工液をエアナイフコータによって塗工し乾燥後、膜厚9μmの層を得た。
【0032】〈比較例1〉感熱紙のみ。
【0033】
【発明の効果】本発明により、従来困難であった感熱紙へのインクジェット方式による印刷が容易に可能となる。
【0034】すなわち、記録材の同一面での、単色および単純な複数色印刷の高速印刷に加え銀塩写真画像レベルの画質の印刷が容易に実現できるようになった。
【0035】実例を、販売店舗でのレシート発行に鑑みて説明する。その一方、ダイレクトサーマル方式による印刷の方でレシート発行をすることにより短時間に印刷できるため、販売店舗等において会計時に、顧客を待たせる時間を短くすることが可能となる。また、バーコード、2Dシンボル等の精度や正確性を要求される印刷も高速かつ容易に印刷することができる。バーコードや2Dシンボルは、返品処理とかに有効である。
【0036】他方、インクジェット方式での印刷を行なうことにより、写真画質での印刷が可能となり広告の媒体や顧客への情報サービスの記録材を用いることができ、販売促進手段とすることができる。
【0037】インクジェット方式については、様々な用途において可能であるが、一例として、特殊インクの塗布も可能である。特殊インクの塗布は、従来の感熱紙には予め印刷しておく方法しか可能ではなかったが、本発明によれば、特定波長照射発光インク、つまり可視光線による照射光では発光しないため目に見えず、紫外線等の特定な波長の照射光で発光するインクによる印刷や、香水等のような特定の香りのする印刷も可能となる。前者は返品返金等の不正利用防止等、後者は、販売促進等に効果的である。これにより発行者の印刷の自由度が広げられる。コスト面については、本発明では、装置には現在多く利用されているダイレクトサーマル方式とインクジェット方式を装置に採用すれば、本発明の機能的な目的を実現できるため、装置コストを抑えることができ、印刷コストを低く抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成14年1月25日(2002.1.25)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
【公開番号】 特開2003−211834(P2003−211834A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−17658(P2002−17658)