トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 インクジェット記録用シート
【発明者】 【氏名】富田 嘉彦
【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株式会社内

【氏名】楠本 征也
【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株式会社内

【氏名】石田 忠
【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株式会社内

【要約】 【課題】インク吸収性、発色濃度、耐水性、耐光性、耐黄変性に優れ、特に塗工の際、配合順序による制約を大幅に低減したインクジェット用記録シートを提供すること。

【解決手段】シート状支持体上にカチオン性有機粒子を含有する層を少なくとも1層以上有するインクジェット用記録シートであって、カチオン性有機粒子の重量平均粒子径を1〜1000nmとし、且つカチオン性有機粒子を両性界面活性剤を用いて重合したものを用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート状支持体上にカチオン性有機粒子を含有する層を少なくとも1層以上有するインクジェット用記録シートであって、該カチオン性有機粒子の重量平均粒子径が1〜1000nmであり、且つ該カチオン性有機粒子が両性界面活性剤を用いて重合されたことを特徴とするインクジェット用記録シート。
【請求項2】 前記カチオン性有機粒子が、(メタ)アクリレート系ポリマー(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体)、スチレンポリマー、スチレン−(メタ)アクリレート系ポリマー(スチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの共重合体)、MBR系ポリマー(メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体)、SBR系ポリマー(スチレン−ブタジエン共重合体)、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、EVA系ポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマー及びオレフィン系ポリマーの中から選択される1種又は2種以上の重合体又は共重合体の材料から選択される有機粒子であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録シート。
【請求項3】 前記カチオン性有機粒子が、アミジノ基を含有する開始剤により重合されて得られる重合体又は共重合体のカチオン性有機粒子であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
【請求項4】 前記カチオン性有機粒子が、少なくともスチレン、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むモノマーを重合して得られる重合体又は共重合体のカチオン性有機粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
【請求項5】 前記カチオン性有機粒子のガラス転移温度が、40℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
【請求項6】 前記カチオン性有機粒子の重量平均分子量が、10000以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに適用されるインクジェット用記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。該記録方式は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、種々の用途において急速に普及している。更に多色インクジェット方式により形成される画像は、解像度及び色再現範囲の拡大により、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色ない記録を得ることが可能であり、作成部数が少なくて済む用途では写真技術によるものよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】さらに、インクジェット方式を利用したプリンターやプロッターは、市場からの更なる画像の品質向上に対する要求のために、高解像度化、色再現範囲の拡大が図られており、これにはインクの吐出量を多くすることで対応している。従って、吐出量に見合ったインク受理容量の増大が該記録シートの重要な技術課題となっており、高インク受理容量の確保や発色性の良好な塗工層の塗工が不可欠となっている。加えて、光沢、剛直、色相等の外観も銀塩写真や印刷用紙に類似することが要望され、従来からある上質紙や塗工紙のインクジェット記録シートではこれらの要望に応えられなくなってきている。
【0004】インク吐出量の増大に伴い、インク吸収性がインクジェット記録シートに要求される重要な特性となり、該吸収を確保するために、空隙量の大きな塗工層を設ける必要がある。そこで該塗工層の塗工組成物として、多量の無機粒子とその無機粒子を結着させるために少量のバインダーを適用してきた。バインダーが少量であるために無機粒子間に空隙が形成され、インク吸収性が確保できるものである。
【0005】また、一般的に、インクジェット記録方法のインク液は、水を主成分とした溶媒の中にアニオン性の水溶性染料を溶解させているため、インク吸収性を重視した設計、例えば、無機粒子を多量に使用し空隙を増すことによって、インク吸収性を向上させた場合、染料が記録シート内部へ深く浸透し、発色濃度が低下するといった問題が生じる。発色濃度を向上させるためには、インク中の染料を可能な限り記録シート表層に固定化させる必要がある。また耐水性の向上、つまりは記録シートが水と接触したときに染料が脱離しないようにするためにも、染料を記録シート表層に固定化させる必要がある。この問題を解決するために、塗工層にカチオン性ポリマーを含有させ、アニオン性染料を固定化させる方法が提案されているが、カチオン性ポリマー量を増やすと、無機粒子含有量が減少するため、インク吸収性の確保が難しくなるという問題がある。
【0006】さらに、近年、インクジェット記録方式の技術進歩により、鮮明な画像と優れた印字品質を得ることが可能となり、写真に匹敵する様な画質を得ることが可能となってきた。ただし写真と比較して、耐光性、つまり長期に保存された場合での印刷画像の退色や、耐黄変性、つまり長期に保存された場合での記録シート表面の黄変、および光沢に問題がある。
【0007】一般的に無機粒子としてはシリカ、アルミナが好ましく使用されているが、該無機粒子の表面活性が高いために、耐光性や耐黄変性を著しく低下させるといった問題がある。また、光沢を付与する場合には塗層表面をより平滑にするためにより微細な無機粒子が選択されるようになってきている。しかし、微細になるほど表面積は劇的に増加し、該無機粒子の高表面活性のために、耐光性や耐黄変性をより低下させるといった問題がある。
【0008】この問題を解決する為には、無機粒子の一部、もしくは全部を有機粒子に置き換えることが有効な手段となる。更に有機粒子は、重合の際に官能基を変えることで様々な機能を持たせることが可能であり、また有機粒子のガラス転移点(Tg)をコントロールすることで、バインダーの使用量を下げることが可能となる。特に有機粒子がカチオン性の場合、染料定着能力に優れる為、優れた記録シートを得ることが出来る。ところで、通常カチオン性有機粒子を重合する際に用いられる界面活性剤はカチオン性、もしくはノニオン性、またはそれらの併用である。この条件で重合された有機粒子を記録シートに用いる場合、その塗工液の配合には十分な注意が必要となる。つまり、記録シートの作成に通常用いられるシリカはアニオン性を有していることから、シリカとカチオン性有機粒子が混合されると著しく増粘し、塗工が困難となる。更には凝集により、塗工層の見た目の透明性が低下し、十分な印字濃度が得られない場合がある。写真に匹敵する画像を有するためにはブラックのベタ印刷部分における印字濃度は2.2以上が必要とされるが、凝集が生じた場合、しばしば2.0以下、ひどい場合は1.7以下となる。1.7以下では印刷物として実用に耐え難い。この為、シリカを予めカチオン性ポリマーなどと混合してカチオン化した後、カチオン性有機粒子を混合するなどの注意が必要となる。
【0009】ここで、現行技術の例を挙げると、以下の様である。例えば、特開平11−11011号には、アルミナを主成分とするカチオン性コロイド粒子とカチオン性ラテックスからなる塗工組成物を、該ラテックスのガラス転移温度より高い温度でキャストコーティングされた、インクジェット記録シートが開示されている。アルミナを主成分とするカチオン性コロイド粒子とラテックスの配合量は、カチオン性コロイド粒子100重量部に対して、2〜70重量部が好ましく、最も好ましくは3〜30重量部である。該カチオン性ラテックスは無機粒子であるアルミナのバインダーとして作用しており、また、ラテックスの詳細なる規定は明確でないが、カチオン基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にてラテックス表面をカチオン化したものであり、実施例ではカチオン性界面活性剤で製造されたカチオン性ラテックスが評価されている。
【0010】特開平11−58943号には、支持体上に、非球状シリカと水分散性カチオン性ポリマーとを含有する塗布液を塗布、乾燥して得たインクジェット記録材、が開示されている。インク受容層における水分散性カチオン性ポリマーの含有量が1〜30重量%で、無機粒子の含有量が75〜95重量%であることが好ましいものである。
【0011】また、特公平7−53469号には、支持体上に顔料とバインダー樹脂からなる被覆層を有したインクジェット用記録シートで、該バインダーが(a)脂肪酸ビニルエステルを含む成分と、(b)0.05〜0.4モル%のエチレン性不飽和基と第3アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するカチオン性モノマーからなるカチオン性共重合体であるインクジェット用記録シートが開示されている。顔料としては微粒子シリカ等であり、被覆層中のカチオン性共重合体の含有量が5〜50重量%であることが好ましいものである。
【0012】このように、従来から無機微粒子と有機ポリマーのバインダーを用いた記録シートは開示されているが、本願発明のように特定の粒子径を有する有機微粒子を用いたものは知られていない。
【0013】特開平11−123867号には、白色顔料層にカチオン性アクリル樹脂エマルションが含まれているインクジェット記録シートが開示されている。白色顔料はクレー・炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機粒子、又はポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリレート等の有機粒子であり、白色顔料層内に混合されるカチオン性アクリル樹脂エマルションの比率は、白色顔料100重量部に対して乾燥重量固形分で100〜5重量部、最も好ましくは50〜30重量部である。このカチオン性アクリル樹脂エマルションは白色顔料のバインダーとして作用しているものである。また、有機粒子の好ましい粒子径についての記載はない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、インク吸収性、発色濃度、耐水性、耐光性、耐黄変性に優れ、特に塗工の際、配合順序による制約を大幅に低減したインクジェット用記録シートを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意検討した結果、シート状支持体上の少なくとも1層以上に、特定の界面活性剤を使用して重合された、特定の粒子径を有するカチオン性有機粒子を含有した層を設けたインクジェット用記録シートが、インク吸収性、発色濃度、耐水性、耐光性、耐黄変性に優れること、更には塗工の際、配合順序による制約を、大幅に低減できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明は、以下の[1]〜[6]に記載した態様を包含するものである。
[1] シート状支持体上にカチオン性有機粒子を含有する層を少なくとも1層以上有するインクジェット用記録シートであって、該カチオン性有機粒子の重量平均粒子径が1〜1000nmであり、且つ該カチオン性有機粒子が両性界面活性剤を用いて重合されたことを特徴とするインクジェット用記録シート。
[2] 前記カチオン性有機粒子が、(メタ)アクリレート系ポリマー(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体)、スチレンポリマー、スチレン−(メタ)アクリレート系ポリマー(スチレンとアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの共重合体)、MBR系ポリマー(メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体)、SBR系ポリマー(スチレン−ブタジエン共重合体)、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、EVA系ポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマー及びオレフィン系ポリマーの中から選択される1種又は2種以上の重合体又は共重合体の材料から選択される有機粒子であることを特徴とする[1]に記載のインクジェット用記録シート。
[3] 前記カチオン性有機粒子が、アミジノ基を含有する開始剤により重合されて得られる重合体又は共重合体のカチオン性有機粒子であることを特徴とする[1]、[2]のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
[4] 前記カチオン性有機粒子が、少なくともスチレン、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むモノマーを重合して得られる重合体又は共重合体のカチオン性有機粒子であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
[5] 前記カチオン性有機粒子のガラス転移温度が、40℃以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
[6] 前記カチオン性有機粒子の重量平均分子量が、10000以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット用記録シートとは、シート状支持体上に特定の界面活性剤を用いて重合された、特定の粒子径を有するカチオン性有機粒子を含有する層を少なくとも1層以上有する記録シートである。
【0018】以下、詳細に説明する。
[粒子径]本発明における粒子径とは、電子顕微鏡による観察、あるいは光散乱法により測定することができる。例えば光散乱法では、レーザー粒径解析システム LPA−3000/3100(大塚電子株式会社)、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000A(島津製作所)等で測定することができる。
【0019】本発明におけるカチオン性有機粒子の重量平均粒子径は、1〜1000nmであり、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。重量平均粒子径が1nm未満では、粒子間空隙が不足してインク吸収性が不十分となり、乾燥性や画質が低下するという問題がある。また重量平均粒子径が大きくなると、カチオン性有機粒子を含有する層の透明性が低下して、層中あるいは層下における染料の視認性が低下し、発色濃度が低下するという問題があり、重量平均粒子径が1000nmを越える場合には実使用に耐えられない。
【0020】[カチオン性有機粒子]本発明におけるカチオン性有機粒子は、両性界面活性剤を用いて重合された、カチオン性を示すポリマー(重合体又は共重合体)の粒子であり、ポリマー製造時においてカチオン性官能基を有するモノマーを重合又は共重合させる方法、カチオン性官能基をポリマーに付与するような重合開始剤を用いて重合又は共重合させる方法、重合時にカチオン性の分散剤を共存させて重合又は共重合させ、混合によってポリマーをカチオン性にする方法などによって製造することができる。
【0021】カチオン性有機粒子の好ましい例としては、アミノ基及び/又はアミジノ基のようなカチオン性官能基を有する水不溶性のポリマー粒子であり、例えば(メタ)アクリレート系ポリマー(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体)、スチレンポリマー、スチレン−(メタ)アクリレート系ポリマー(スチレンと、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの共重合体)、MBR系ポリマー(メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体)、SBR系ポリマー(スチレン−ブタジエン共重合体)、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、EVA系ポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマー及びオレフィン系ポリマーの中から選択される重合体又は共重合体に上記のような方法で前記カチオン性官能基を付与したものを挙げることができる。これらの中では、(メタ)アクリレート系ポリマー、スチレンポリマー、及びスチレン−(メタ)アクリレート系ポリマーは、長期にわたる記録シートの耐黄変性に優れるという特徴から、とくに好ましい。
【0022】カチオン性有機粒子のさらに好適な例としては、アミジノ基を含有する開始剤により、少なくともスチレン、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むモノマーを重合して得られるカチオン性有機粒子を挙げることができる。アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの具体的な例としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、その他アルキル基が炭素原子数1乃至12であるアルキルアクリレート等の非置換のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、その他アルキル基が炭素原子数1乃至12であるアルキルメタクリレート等の非置換のメタクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基含有アクリレート又はメタクリレート類、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートのようなその他極性基で置換の(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
【0023】また、染料に対して強い相互作用を及ぼす官能基、例えば水素結合能を有する官能基を有するモノマーが、耐光性に優れるため好ましく用いられ、例えば、不飽和カルボン酸類、水酸基含有ビニル化合物類、芳香族ビニル類、不飽和アミド類等が挙げられる。さらに、耐黄変性に優れるものとして、不飽和カルボン酸類、水酸基含有ビニル化合物類がより好ましい。
【0024】アミジノ基を含有した開始剤としては具体的には、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−フェニルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−クロロフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。より好ましくは、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。またアミジノ基を含有した開始剤を使用して重合する場合、重合体又は共重合体を構成する全モノマー量を基準として0.01〜20重量%、より好ましくは0.3〜10重量%である。
【0025】[カチオン性有機粒子の分子量]本発明のカチオン性有機粒子の重量平均分子量としては、10000以上が好ましい。重量平均分子量が10000未満では、カチオン性有機粒子の変形が起こりやすく粒子間空隙が減少し、インク吸収性が低下する場合がある。
【0026】[カチオン性有機粒子のガラス転移温度(Tg)]本発明のカチオン性有機粒子は、ガラス転移温度が40℃以上のものが好ましく、より好ましくは60〜200℃、一層好ましくは70〜130℃である。ガラス転移温度が40℃未満では、カチオン性有機粒子の変形が大きくなり微細な粒子間空隙が減少し、インク吸収性が低下する場合がある。また、ガラス転移温度の低いカチオン性有機粒子を含有する塗工層を乾燥させる場合には、粒子間空隙を形成させるために乾燥温度を下げなくてはならず、生産効率が低下する場合がある。なお、上記ガラス転移温度は、JIS K 7121に基づきDSC曲線から求めることができる。
【0027】[カチオン性有機粒子の製造方法]本発明において使用するカチオン性有機粒子は、従来より公知の乳化重合法、あるいは機械乳化法に基づき製造することができる。例えば乳化重合法では、分散剤と開始剤の存在下で、各種モノマーを一括で仕込み重合する方法、モノマーを連続的に供給しながら重合する方法がある。その際の重合温度としては通常30〜90℃で行われ、一般的にエマルションと呼ばれる実質的に有機粒子の水分散体が得られる。
【0028】ここで使用される分散剤としては、両性界面活性剤であり、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性水溶性ポリマー、ノニオン性水溶性ポリマーなどを併用することが出来る。以下、これらについて詳しく説明する。
【0029】両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイドなどのアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。また、併用できる分散剤の具体例を、以下に示す。カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
【0030】ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、tert−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
【0031】カチオン系水溶性ポリマーとしては、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化デンプン、カチオン化ポリアクリルアミド、カチオン化ポリメタクリルアミド、ポリアミドポリウレア、ポリエチレンイミン、アリルアミン又はその塩の共重合体、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合体、ジアリルアルキルアミン又はその塩の重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体、ジアリルアミン又はその塩と二酸化イオウ共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩−二酸化イオウ共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とジアリルアミン又はその塩もしくは誘導体との共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、アミン−カルボン酸共重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はその4級塩の重合体、モノアルキル又はジアルキル置換の(メタ)アクリルアミド又はその4級塩の重合体が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
【0032】ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はその4級塩の重合体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、N,N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−モノメチルアミノエチルアクリレート、N,N−モノメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルアクリレート又はアミノアルキルメタクリレート類、ハロゲン化メチル、ハロゲン化エチル、ハロゲン化ベンジル等のハロゲン化炭化水素によるこれらの4級塩などから選ばれるモノマーの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。
【0033】またモノアルキル又はジアルキル置換の(メタ)アクリルアミド又はその4級塩の重合体としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド等のN−アミノアルキルアクリルアミド又はN−アミノアルキルメタクリルアミド類、ハロゲン化メチル、ハロゲン化エチル、ハロゲン化ベンジル等のハロゲン化炭化水素によるこれらの4級塩などから選ばれるモノマーの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。
【0034】ノニオン系水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール又はその誘導体;酸化デンプン、エーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン等のデンプン誘導体;ポリビニルピロリドン又は酢酸ビニルを共重合させたポリビニルピロリドン等のポリビニルピロリドン誘導体;その誘導体カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリルアミド又はその誘導体;ポリメタクリルアミド又はその誘導体;ゼラチン、カゼイン等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
【0035】分散剤の使用量は特に制限されないが、通常、重合又は共重合させるモノマーの全重量を基準として0.02〜20重量%、より好ましくは0.02〜10重量%、最も好ましくは0.02〜5重量%である。
【0036】重合に使用される開始剤としては、アミジノ基を含有する前述の開始剤のほか、通常のラジカル開始剤を使用することができる。具体例としては、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−フェニルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−クロロフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−〔2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、等のアゾ化合物;あるいはこれらと鉄イオン等の金属イオン及びナトリウムスルホキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。一般的な開始剤の使用量は、共重合させるモノマーの全重量を基準として0.01〜20重量%である。
【0037】また、必要に応じてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、アリルスルフォン酸、メタアリルスルフォン酸及びこれ等のソーダ塩等のアリル化合物などを分子量調節剤として使用することも可能である。
【0038】さらに、必要に応じてpH調整剤として、硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等を使用することも可能である。特に、水中でカチオン性を有する金属塩やアミン類を使用することが、記録シートの耐水性、耐光性を向上させるという点で好ましく使用される。
【0039】[カチオン性有機粒子の含有量]本発明のインクジェット記録用シートにおけるカチオン性有機粒子を含有する層における、カチオン性有機粒子の含有量は、10〜100重量%が好ましい。10重量%未満では、インク染料の固定化が不足して、発色濃度や耐水性が低下する場合がある。
【0040】無機粒子の場合には、インクジェット記録シートの表面強度を維持するために粒子同士を結着させるバインダーが必須であるが、バインダーは粒子間空隙を埋めて空隙率を低下させ、インク吸収性を悪化させることになる。これに対し、本発明の有機粒子は無機粒子と異なり、粒子同士がわずかに一部融着して粒子間空隙と表面強度を両立することができるため、有機粒子のみ、つまりはカチオン性有機粒子を含有する層におけるカチオン性有機粒子の含有量が100重量%であっても、優れたインク吸収性と表面強度を維持でき、さらに表面強度を向上させる場合においても低バインダー量で効果が発現するなど、無機粒子と大きく異なる特徴を有する。また、本発明における有機粒子を使用して、光沢を付与した記録シートを得る場合には、表面に存在する有機粒子が一部変形して表面の平滑性が向上するため、従来から一般に行われているインク吸収層上に光沢付与層を塗工するような多層構造を形成させずとも、単層あるいは現状より少ない層構造でインク吸収性と光沢を両立することもできるため、生産性向上という点においても優れた特徴を有している。
【0041】[その他添加剤]さらに、表面強度や光沢を向上させる目的で、本発明のカチオン性有機粒子を含有する層に、バインダー機能を有するポリマーを含有させてもよい。バインダー機能を有するポリマーとしては、例えば、水溶性ポリマーや、水不溶性ポリマーの水分散体などが挙げられる。以下に詳しく述べる。
【0042】水溶性ポリマーとしては、例えば、カチオン系水溶性ポリマーである、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化デンプン、カチオン化ポリアクリルアミド、カチオン化ポリメタクリルアミド、ポリアミドポリウレア、ポリエチレンイミン、アリルアミン又はその塩の共重合体、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合体、ジアリルアルキルアミン又はその塩の重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体、ジアリルアミン又はその塩と二酸化イオウ共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩−二酸化イオウ共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とジアリルアミン又はその塩もしくは誘導体との共重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩の重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、アミン−カルボン酸共重合体等が挙げられる。
【0043】また、ノニオン系水溶性ポリマーである、ポリビニルアルコール又はその誘導体;酸化デンプン、エーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン等のデンプン誘導体;ポリビニルピロリドン又は酢酸ビニルを共重合させたポリビニルピロリドン等のポリビニルピロリドン誘導体;その誘導体カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリルアミド又はその誘導体;ポリメタクリルアミド又はその誘導体;ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
【0044】さらに水不溶性ポリマーの水分散体としては、例えば、カチオン性及び/又はノニオン性の(メタ)アクリレート系ポリマー(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体)、スチレン−(メタ)アクリレート系ポリマー(スチレンと、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの共重合体)、MBR系ポリマー(メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体)、SBR系ポリマー(スチレン−ブタジエン共重合体)、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、EVA系ポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体)の水分散体等が挙げられる。尚、ここに記載の水分散体は、本発明のカチオン性有機粒子のように空隙を形成させるためではなく、バインダー機能を与える目的で添加されるため、そのガラス転移温度は30℃以下が好ましい。
【0045】特に耐黄変性に優れるという特徴から、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、(メタ)アクリレート系ポリマー(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体)の水分散体が好ましい。
【0046】これらのバインダー機能を有するポリマーの使用量は、カチオン性有機粒子と以下に述べる無機粒子の総重量に対して0〜20重量部が好ましい。バインダー量が多い場合には粒子間空隙をバインダーが埋めて、インク吸収性が低下する場合がある。
【0047】本発明のカチオン性有機粒子が含有される層は、実質的に無機粒子を含有していなくてもインク吸収性に優れるため、必ずしも無機粒子を含有させる必要はないが、無機粒子を含有させることも可能である。その場合、無機粒子としては、具体的には、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトボン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等が挙げられる。高い空隙率を得てインク吸収性を向上させるためには、シリカやアルミナが好ましい。
【0048】本発明のカチオン性有機粒子が含有される層に、これらの無機粒子を含有させる場合には、カチオン性有機粒子100重量部に対して、無機粒子1〜1000重量部が好ましい。無機粒子の含有量が多くなると、退色性、耐黄変性が低下する場合がある。
【0049】さらに、その他に、本発明のカチオン性有機粒子を含有する層には、帯電防止剤、酸化防止剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、耐水化剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、浸透剤、発泡剤、離型剤、抑泡剤、消泡剤、流動性改良剤、増粘剤、顔料分散剤、カチオン性定着剤等を含んでいてもよい。
【0050】[記録シートの構成]本発明における記録シートの好ましい構成例としては、カチオン性有機粒子の含有される層が、インクの受理に関わる層に使用されていることである。例えば、支持体上に本発明であるカチオン性有機粒子を含有する層のみを設けた単層構造や、支持体上にインク受理層を設け、その上層に本発明であるカチオン性有機粒子を含有する層を設けたり、本発明のカチオン性有機粒子を含有する層を設けた後に、その上層に別の層を設けることによって構成される、多層構造等が挙げられる。本発明のカチオン性有機粒子を含有する層の量は、通常、シート状支持体上に、坪量として通常1〜300g/m2であるが、特に制限されるものではない。
【0051】[シート支持体種]本発明において、支持体としては、従来からインクジェット用記録シートに用いられる支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙、樹脂含浸紙、非塗工紙、塗工紙等の紙支持体、両面又は片面をポリエチレン及び/又はチタン等の白色顔料を練り込んだポリエチレン等のポリオレフィンで被覆した紙支持体、プラスチック支持体、不織布、布、織物、金属フィルム、金属板、及びこれらを貼り合わせた複合支持体を用いることができる。
【0052】プラスチック支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネート、セロファン、ポリナイロン等のプラスチックシート、フィルム等が好ましく使用される。これらのプラスチック支持体は透明なもの、半透明なもの、及び不透明なものを用途に応じて適宜使い分けることができる。
【0053】また支持体には白色のプラスチックフィルムを用いることも好ましい。白色のプラスチック支持体としては、少量の硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料をプラスチックに含有させたものや、微細な空隙を多数設けて不透明性を付与した発泡プラスチック支持体、及び白色顔料(酸化チタン、硫酸バリウム)を有する層を設けた支持体を用いることができる。本発明においては支持体の形状は限定されないが、通常用いられるフィルム状、シート状、板状等の他に、飲料缶のような円柱状、CDやCD−R等の円盤状、その他複雑な形状を有するものも支持体として使用できる。
【0054】[記録シートの製造方法]本発明の記録シートは、シート状支持体の片面または両面に、カチオン性有機粒子を含んだ塗工組成物を塗布し、これを乾燥させて層を形成することによって製造することができる。この際、本発明におけるカチオン性有機粒子を塗工液に添加する手順は特に制約を受けず、アニオン性を有しているシリカ塗工液に直接添加しても良いし、また、シリカとカチオン性ポリマーを混合した後、カチオン性を有している塗工液に添加しても良い。また、塗工液の塗布方法に限定はなく、例えば、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、フローティングナイフコーター、コンマコーター、ダイコーター等の従来既知の塗布方法を用いることができ、続けて乾燥される。
【0055】また光沢を付与する場合には、その処理方法についても特に限定はなく、例えば一般的なカレンダー処理法、つまりはスーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間を通過させて塗層表面を平滑化する従来既知の方法を用いることができる。
【0056】また、一般的に印刷用キャストコート紙の製造で行われている、直接法、凝固法、リウエット法(再湿潤法)、プレキャスト法などのキャストコーティング法も好ましく用いることができる。
【0057】
【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す部及び%は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
【0058】[実施例1]
<カチオン性有機粒子の作製>脱イオン水195.9部とラウリルジメチルアミンオキサイド1.0部を反応容器に仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加した。これとは別に、スチレン81.5部、n−ブチルアクリレート13.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.0部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートのメチルクロライド4級塩2.0部を脱イオン水40部中にステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.3部を使って乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を4時間で反応容器に滴下して、その後、更に同温度で4時間保持した。続けて2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.1部を添加し、さらに同温度で3時間保持して重合を完結させた。その結果、カチオン性有機粒子が水に分散したエマルション組成物が得られ、不揮発分30%、pH5、光散乱測定による重量平均粒子径48nm、及びJIS K 7121に基づきDSC曲線より求めたガラス転移温度は75℃であった。
【0059】<記録シートの作製>[実施例1-A]上記カチオン性有機粒子100部、シリカ(ファインシールX−37B;(株)トクヤマ製)50部を混合し、固形分20%に調整した。その後、カチオン性ポリマー(シャロールDM283P;第一工業製薬(株)製)5部、ポリビニルアルコール(PVA117;(株)クラレ製)15部とを固形分が20%となるように混合し、できた塗工液を坪量105g/m2の上質紙に、バーコーターを用いて絶乾状態で20g/m2の塗工量になるように塗工し、50℃で100秒乾燥させた。その後、カレンダー処理法として表面温度が75℃に保たれた鏡面ロールに、線圧100kg/cmで圧接しながら通紙させた。その結果、実施例1の記録シートが得られ、光沢は82であった。
【0060】[実施例1-B]実施例1で得られたカチオン性有機粒子100部と、ポリビニルアルコール(PVA117;(株)クラレ製)15部とを固形分が20%となるように混合し、更にシリカ(ファインシールX−37B;(株)トクヤマ製)50部、カチオン性ポリマー(シャロールDM283P;第一工業製薬(株)製)5部を混合し、固形分を20%に調整した。できた塗工液を坪量105g/m2の上質紙に、バーコーターを用いて絶乾状態で20g/m2の塗工量になるように塗工し、50℃で100秒乾燥させた。その後、カレンダー処理法として表面温度が75℃に保たれた鏡面ロールに、線圧100kg/cmで圧接しながら通紙させた。その結果、実施例2の記録シートが得られ、光沢は82であった。
【0061】[比較例1]
<カチオン性有機粒子の作製>脱イオン水195.9部とステアリルトリメチルアンモニウムクロライド1.0部を反応容器に仕込み、窒素気流下で70℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加した。これとは別に、スチレン85.0部、n−ブチルアクリレート10.0部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート5部を脱イオン水40部中にステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.3部を使って乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を4時間で反応容器に滴下して、その後、更に同温度で4時間保持した。その結果、カチオン性有機粒子が水に分散したエマルション組成物が得られ、不揮発分30%、pH5、光散乱測定による重量平均粒子径58nm、及びJIS K 7121に基づきDSC曲線より求めたガラス転移温度は79℃であった。
【0062】<記録シートの作製>[比較例1-A]上記カチオン性有機粒子100部、シリカ(ファインシールX−37B;(株)トクヤマ製)50部とを、固形分が20%となるように混合したところ、著しく凝集した。これに、更にカチオン性ポリマー(シャロールDM283P;第一工業製薬(株)製)5部、ポリビニルアルコール(PVA117;(株)クラレ製)15部とを固形分が20%となるように混合し、できた塗工液を塗工液を、坪量105g/m2の上質紙に、バーコーターを用いて絶乾状態で20g/m2の塗工量になるように塗工し、50℃で100秒乾燥させた。更に続けて、カレンダー処理法として表面温度が75℃に保たれた鏡面ロールに、線圧100kg/cmで圧接しながら通紙させた。その結果、比較例1の記録シートが得られ、光沢は87であった。
【0063】[比較例1-B]比較例1において塗工液の配合順序を、予めカチオン性ポリマー、シリカ、及びポリビニルアルコールを混合した後、カチオン性有機粒子を混合する手順に変更した以外は、比較例1を同様に塗工し、比較例2の記録シートを得た。
【0064】[評価方法]記録シートの品質評価結果を表1[表1]に示す。評価は以下の方法により行った。
<粒子径の測定方法>レーザー粒径解析システム LPA−3000/3100(大塚電子株式会社製)で重量平均粒子径を測定した。
【0065】<発色濃度の測定方法>市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM2000C)を用いて、ブラックインクのベタ印刷を行い、ベタ部の光学反射濃度をマクベス濃度計(RD−918)で測定した。
【0066】<インク吸収性の測定方法>市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM2000C)を用いて、イエローインク、マゼンダインク、シアンインク、ブラックインクを縦方向にベタ印刷し、プリンターから排出された直後に、上部にPPC用紙を押しつけて、インクがPPC用紙へ転写される度合いを目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○:インクの転写がなく、インク吸収性に優れる。
△:インクの転写がわずかにあるが、インク吸収性が実用レベルである。
×:インクの転写が多く、インク吸収性が実用レベル以下である。
【0067】<耐水性の測定方法>市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM2000C)を用いて、ブラックインクで文字印刷を行い、これを30℃の市水に2分間浸漬して評価した。にじみ等の浸漬後の印字状態を目視で判定した。評価基準は以下の通りである。
○:にじみや発色濃度の変化がほとんどない。
△:にじみや発色濃度の低下がわずかにあるが、実用レベルである。
×:にじみや発色濃度の低下があり、実用レベル以下である。
【0068】<耐光性の測定方法>市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM2000C)を用いて、マゼンタインクのベタ印刷を行った。キセノンフェードメーターを用いて、印刷した記録シートに100時間光照射し、光照射前に対する光照射後の光学反射濃度の残存率を耐光性とした。光学反射濃度はマクベス濃度計(RD−918)で測定した。
【0069】<耐黄変性の測定方法>カーボンアークフェードメーターを用いて、印刷していない記録シートに7時間光照射し、光照射した前後の色差を測定した。色差(ΔE)はL***(CIEに準拠した表示方法)に従って、光照射前後の色測定した結果を基に、ΔE={(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2で算出した。色差が大きいほど色劣化が生じていることを示す。
【0070】<光沢の測定方法>光沢の測定は、JIS Z8741に基づき、変角光沢計 GM−3D型(村上色彩技術研究所社製)を使用して、記録シート表面の75°での光沢度を測定した。
【0071】<画像の評価方法>高精細カラーディジタル標準画像データ(ISO/JIS−SCID)のカフェテリアのパターンを印刷し、印刷画像の画質を目視で評価した。評価基準は、以下の通りである。
○:サンプル見本と同等の画像レベルを有する。
×:サンプル見本と画像レベルが大いに異なり、実用に耐えない。
【表1】

【0072】
【発明の効果】本発明によれば、インク吸収性、発色濃度、耐水性、耐光性、耐黄変性に優れ、特に塗工の際、配合順序による制約を大幅に低減したインクジェット用記録シートを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区霞が関三丁目2番5号
【出願日】 平成14年1月24日(2002.1.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−211831(P2003−211831A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−15232(P2002−15232)