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【発明の名称】 空隙型インクジェット受像層、インクジェット記録材料及びその製造方法
【発明者】 【氏名】吉沢 友海
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】松本 和正
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【要約】 【課題】短時間に、低コストで高濃度の塗布液を調製することが可能で、インク吸収量が大きい高空隙型インクジェット受像層を提供することであり、それにより優れたインクジェット記録材料を提供する。

【解決手段】一次粒子径が5〜20nmである気相法シリカからなる粒子と湿式沈降法シリカからなる粒子を含有し、光散乱法により測定された粒子径が50〜1000nmである粒子を含有する塗布液を用いて形成されたことを特徴とする空隙型インクジェット受像層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一次粒子径が5〜20nmである気相法シリカからなる粒子と湿式沈降法シリカからなる粒子を含有し、光散乱法により測定された粒子径が50〜1000nmである粒子を含有する塗布液を用いて形成されたことを特徴とする空隙型インクジェット受像層。
【請求項2】 湿式沈降法シリカの平均粒子径が50〜1000nmであることを特徴とする請求項1記載の空隙型インクジェット受像層。
【請求項3】 表面を電子顕微鏡で観察したときの粒径が20〜100nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の空隙型インクジェット受像層。
【請求項4】 気相法シリカ質量/湿式沈降法シリカ質量の比が0.1〜1.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層。
【請求項5】 気相法シリカがDSC(示差熱分析)測定において、200〜400℃にピークを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層。
【請求項6】 気相法シリカの赤外分光吸収スペクトルにおける、3200cm-1と1600cm-1との吸収比率(A3200/A1600)が2.0〜6.0であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層。
【請求項7】 請求項1〜6の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層を支持体上に有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【請求項8】 請求項7記載のインクジェット記録材料を製造する方法において、気相法シリカ及び湿式沈降法シリカを含有し、固形分濃度が12〜40質量%の塗布液を塗布乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【請求項9】 塗布液の粘度が30〜300mPa・s(5000〜10000/sの剪断速度において)であることを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録材料に関し、特に空隙型インクジェット受像層を有するインクジェット記録材料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】空隙型インクジェット受像層を有するインクジェット記録材料は高速のインクジェットプリントに適し、ドットの形状が真円に近く、高画質が得られることが知られている。
【0003】このような空隙型インクジェット受像層は、通常気相法により形成された非常に微粒子のシリカを用いて形成される。気相法によるシリカは、コロイダルシリカや液相法によるシリカに比べて非常にコストが高いという問題があり、いかに少ない量で高いインク吸収性を得ることができるかという技術課題があった。また、気相法シリカは非常に微粒子であること及び表面が活性なことから、凝集性が強く、塗布液の濃度を上げると凝集してしまい、送液ができなかったり、塗布ムラが生じてしまうと言う問題が発生し、塗布液の濃度を高くすることができなかった。同じインク吸収量を得るため、大量の水を含有する塗布液を、wet膜厚を厚く塗布しなければならず、同じ乾燥能力の工程では、塗布速度を上げることができず、又蒸発速度を上げようとすると細かなひび割れが発生すると言う問題があった。
【0004】このような問題を解決する方法として、特開2001−105720には、気相法シリカとコロイダルシリカを用い、混合して水に分散させた後、5日以上経過させた後、水溶性ポリマーを加えて得られた塗布液を支持体上に塗布する方法が記載されている。確かに上記方法により、初期の粘度の上昇も収まり、安定した、塗布可能な粘度となり、それにより形成された空隙型インクジェット受像層は十分な空隙を有するものであった。
【0005】しかしながら、5日間も放置しておかなければならないと言う点では、分散物を5日間停滞させるための製造スペースが必要となり、連続生産しようとする場合は特に大きな問題であり、また、塗布液の濃度を高濃度に調製することは難しく、製造工程としては負荷が大きく、コストアップの要因となるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明の目的は、短時間に、低コストで高濃度の塗布液を調製することが可能で、インク吸収量が大きい高空隙型インクジェット受像層を提供することであり、それにより優れたインクジェット記録材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記の構成により解決することができた。
【0008】(1)一次粒子径が5〜20nmである気相法シリカからなる粒子と湿式沈降法シリカからなる粒子を含有し、光散乱法により測定された粒子径が50〜1000nmである粒子を含有する塗布液を用いて形成されたことを特徴とする空隙型インクジェット受像層。
【0009】(2)湿式沈降法シリカの平均粒子径が50〜1000nmであることを特徴とする(1)記載の空隙型インクジェット受像層。
【0010】(3)表面を電子顕微鏡で観察したときの粒径が20〜100nmであることを特徴とする(1)又は(2)記載の空隙型インクジェット受像層。
【0011】(4)気相法シリカ質量/湿式沈降法シリカ質量の比が0.1〜1.0の範囲であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層。
【0012】(5)気相法シリカがDSC(示差熱分析)測定において、200〜400℃にピークを有することを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層。
【0013】(6)気相法シリカの赤外分光吸収スペクトルにおける、3200cm-1と1600cm-1との吸収比率(A3200/A1600)が2.0〜6.0であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層。
【0014】(7)前記(1)〜(6)の何れか1項記載の空隙型インクジェット受像層を支持体上に有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【0015】(8)前記(7)記載のインクジェット記録材料を製造する方法において、気相法シリカ及び湿式沈降法シリカを含有し、固形分濃度が12〜40質量%の塗布液を塗布乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【0016】(9)塗布液の粘度が30〜300mPa・s(5000〜10000/sの剪断速度において)であることを特徴とする(8)記載のインクジェット記録材料の製造方法。
【0017】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明に用いられる気相法シリカ、湿式沈降法シリカについて説明する。気相法シリカとは、二酸化ケイ素を主体とする合成ケイ素化合物である合成シリカの中で、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作るいわゆる乾式法または気相法により合成される超微粒子シリカである。気相法シリカの1次粒子径は5〜20nmである。このような気相法シリカとしては、日本アエロジル社のAEROSILシリーズやトクヤマ社のレオロシールシリーズなどがある。
【0018】本発明に用いられる気相法シリカはDSC(示差熱分析)測定において、200〜400℃にピークを有することが好ましい。この範囲にピークを有すると言うことは、活性なシラノール基を有することを表し、水に分散する際、粒子表面の活性なOH基が互いに水素結合を形成して、大きな2次粒子を形成することができる。このようにして形成された2次粒子中には空隙が形成され、空隙型インクジェット受像層として機能するものである。しかしながら、この2次粒子を形成する過程で分散液が高粘度化したりゲル化したりするが、ある時間経過すると粘度の変化も少なくなり安定状態(安定な結合状態)となるという特性を示す。
【0019】本発明においては、気相法シリカを用いて、空隙を効率的につくると共に、如何に安定化するまでの時間を短縮し、且つ高濃度化し得るかを検討したものである。
【0020】また、気相法シリカの赤外分光吸収スペクトルにおける、3200cm-1と1600cm-1との吸収比率(A3200/A1600)が2.0〜6.0であることが好ましい。このような吸収比率を有するものとは、安定なSiOSi結合に対し活性なSiOH(シラノール)の存在比率が高いことを表すもので、表面に活性なシラノール基を有するものは水素結合を形成しやすく、凝集を起こし易いものである。
【0021】従来は、表面の活性なOH基は水分散系を形成するためには、非常に扱い難いものであったが、本発明においては、この活性なOH基を利用して、凝集し易い気相法シリカを少量使い、次に示す湿式沈殿法シリカを比較的多く用いることにより、適度な凝集性を有し、分散液の安定化迄の時間が短く、且つ高濃度に調製し、塗布乾燥負荷の少ない、インクジェット記録材料の製造方法を提供するものである。
【0022】次に湿式沈降法シリカについて説明する。湿式沈降法シリカとは、可溶性ケイ酸塩の水溶液を酸で処理して形成したものである。
【0023】このような湿式沈降法シリカとしては、日本シリカ工業社製 Nipsil、トクヤマ社製 Finesil、富士シリシア化学社製 Sylycia、水沢化学工業社製 Mizukasil、シオノギ製薬社製 Carplex等が挙げられ、市販品として入手することができる。
【0024】前記気相法シリカとこれらの湿式沈降法シリカとを水媒体中で、活性剤、バインダ等と分散して塗布液を形成する。形成された塗布液中のシリカの2次粒子径としては、光散乱法による粒子径は50〜1000nmであることが好ましい。光散乱法による粒子径の測定方法としては、堀場製作所製動的光散乱方式の粒度分布計LB−500等で測定することが可能である。
【0025】本発明のインクジェット記録材料の空隙型インクジェット受像層には、記録後の耐水性、滲み耐性を向上させるためにカチオン性ポリマーを含有することをが好ましい。カチオン性ポリマーとしては公知のカチオン性ポリマーの中から任意に選択して使用することが出来る。
【0026】本発明で用いるカチオン性ポリマーは、好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、さらに好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。特に好ましいくは、重量平均分子量が2000〜10万のものである。第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては、例えば、以下の例を挙げることができる。
【0027】
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】また、第4級アンモニウム塩基を有するモノマーと共重合し得るモノマーとしてはエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられ、例えば、以下の具体例を挙げることができる。
【0030】
【化3】

【0031】特に、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、用いるカチオン性モノマーの比率は10モル%以上あることが好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一で用いても2種類以上を併用してもよい。以下に本発明のカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化4】

【0033】
【化5】

【0034】
【化6】

【0035】
【化7】

【0036】上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基を有するために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないものもある。しかし、これらのポリマーであっても、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解し得るものであれば本発明に使用することができる。また、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤を加水分解して、重縮合させたものも使用することもできる。
【0037】ここで水混和性有機溶媒とは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類などで、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0038】本発明で用いるカチオン性ポリマーは数平均分子量(Mn)が10万以下であることが好ましい。ここで数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0039】数平均分子量が10万を越える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性である無機微粒子を含有する分散液に添加した際に、凝集物の発生が激しく、また、その後分散処理を施しても均一な分散液になりにくく、粗大粒子が多数存在して均一な分散液になりにくい。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。カチオン性ポリマーの数平均分子量は、染料をカチオン性ポリマーに吸着させてにじみや水による染料の流出を防ぐという点からすると通常2000以上とすることが好ましい。
【0040】カチオン性ポリマー溶液中に、湿式沈降法シリカを徐々に添加することで、液全体が常にカチオン性を維持されるため安定した分散液が得られ好ましい。この際、湿式沈降法シリカを添加する過程では十分な攪拌を行うことが好ましく、場合によっては、添加中または添加後に分散機を併用するなどするのが生産効率上好ましい。
【0041】分散処理方法としては、例えば、高速回転分散機、媒体攪拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、本発明では形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行うという点から超音波分散機または高圧分散機が好ましく用いられる。
【0042】超音波分散機は通常は20〜25kHzの超音波を照射し、固液界面にエネルギーを集中させることで分散するものであり非常に効率的に分散されるが、大量の分散液を調製する必要がある場合にはあまり適当ではない。一方、高圧分散機は3個または5個のピストンを持った高圧ポンプの出口に、ねじまたは油圧によってその間隙を調整できるようになっている均質バルブを1個または2個備えられたものであり、高圧ポンプにより送液された液媒体が均質バルブによりその流れが絞られて圧力がかかり、この均質バルブを通過される瞬間に微小なダマ物質が粉砕される。
【0043】この分散処理方法は連続的に多量の液を分散できるために、多量の液を製造する場合特に好ましい方法である。均質バルブに加えられる圧力は通常5〜100MPaであり、分散は1回のパスで済ますことも多数回繰り返して行うことも出来る。
【0044】このようにして形成された塗布液中の気相法シリカ質量/湿式沈降法シリカ質量の比が0.1〜1.0の範囲であることが好ましい。このような範囲とすることにより、コストの高い気相法シリカを少量使い、効率的に空隙を形成し、且つ短時間に安定な塗布液を形成することが可能となる。
【0045】このようにして形成された塗布液の固形分濃度は、12〜40質量%であることが好ましい。比較的高濃度に形成することができ、製造工程の負荷を軽減し、生産性の向上を図ることが可能である。
【0046】塗布液の粘度としては、30〜300mPa・s(5000〜10000/sの剪断速度において)であることが好ましく、本発明の方法により比較的高濃度であっても低粘度で塗布し易い塗布液とすることが可能である。
【0047】上記の塗布液を調製する際には、各種の添加剤を添加して調製することが出来る。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することができる。
【0048】また、本発明のインクジェット記録材料においては、インク吸収層の架橋による造膜性を上げるためにインク吸収層中にホウ酸および/またはホウ酸塩を含有するのが好ましい。ホウ酸もしくはその塩としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを示し、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、八ホウ酸及びそれらの塩が含まれる。これらのホウ酸またはその塩は、記録材料1m2当たり0.05〜2g、好ましくは0.1〜1gの範囲で用いられる。
【0049】本発明のインクジェット記録材料に用いられる支持体としては非吸水性支持体が好ましく、透明支持体であっても不透明支持体であってもよい。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられる。
【0050】本発明の記録材料がOHPとして使用された時には、輻射熱に耐える性質を有する支持体が好ましく、ポリエステル系樹脂、特に、コストの点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。このような透明な支持体においては、厚さとしては、約10〜200μmが好ましい。
【0051】また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(所謂RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレート(PET)に硫酸バリウム、酸化チタン等の白色顔料を添加してなる所謂ホワイトPETが好ましい。支持体に色材受像層を設ける場合、支持体と色材受像層との接着強度を大きくする等の目的で、色材受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録材料は、必ずしも無色である必要はなく、着色されていてもよい。
【0052】本発明のインクジェット記録材料において、支持体として原紙の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いことは、記録画像が写真画質に近く、しかも、低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
【0053】以下、上記のポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を加えて抄紙することによって得られる。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0054】原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0055】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長は、JIS P 8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分質量%との和で示した場合、30〜70%であることが好ましい。なお、24メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0056】原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P 8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で0.2〜2Nが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0057】原紙表面及び/または裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度ポリエチレン(LDPE)及び/または高密度ポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、インク受容層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して概ね3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0058】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融、押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って、通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成しても用いることができる。原紙の表裏に設けるポリエチレンの使用量は、インク受容層やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、概ねインク受容層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0059】更に、ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS P 8113で規定される強度で縦方向が20〜300N、横方向が10〜200N2)引き裂き強度:JIS P 8116による規定方法で縦方向が0.1〜2N,横方向が0.2〜2N3)弾性:圧縮弾性率≧10MPa4)面ベック平滑度:JIS P 8119に規定される条件で20秒以上(光沢面)、型付け品ではこれ以下も可5)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下(特に15%以下)。
【0060】本発明のインクジェット記録材料において、受像層に褪色防止剤として水溶性還元剤、含硫黄化合物または疎水性酸化防止剤の乳化分散物を添加することもできる。上記水溶性還元剤は、特開平8−300807号公報、同8−150773号公報、同8−108617号公報、同9−267544号公報等に記載されており、例えば、亜硫酸塩、亜硝酸塩、亜燐酸塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸またはその塩、ヒドロキシルアミン誘導体(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩、N−ヒドロキシフタルイミド、N,N−ジカルボキシエチルヒドロキシルアミン・ナトリウム塩等)、グルコース等が挙げられる。
【0061】上記含硫黄化合物は、特開昭61−177279号公報、同61−163886号公報、同64−36479号公報、特開平7−314883号公報、同7−314882号公報、同1−115677号公報等に記載されており、例えば、チオシアン酸塩、チオ尿素、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−トリアゾール、2,4,6−トリメルカプトシアヌル酸、チオサリチル酸、チオウラシル、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン等が挙げられる。疎水性酸化防止剤としては、例えば、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、特開平1−115667号公報、同3−13376号公報等に記載されているような公知の酸化防止剤が使用できる。特に好ましい酸化防止剤は、水酸基のオルト位の少なくとも一方が3級アルキル基で置換されている所謂ヒンダードフェノール系酸化防止剤、窒素原子に連結する二つの炭素原子がアルキル基で共に置換されているピペリジン系酸化防止剤(所謂ヒンダードアミン類)、フェノール類またはポリヒドロキシベンゼン類の少なくとも一つの水酸基がアルキル基によりエーテル化されている酸化防止剤である。
【0062】疎水性酸化防止剤は、好ましくは疎水性高沸点有機溶媒(ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−i−デシルフェタレート、トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート等)と共に親水性バインダー中に乳化分散された状態で添加される。この疎水性酸化防止剤をアセトンやメタノール等の有機溶媒に溶解して添加したり、あるいは湿式粉砕法で添加した場合には、褪色防止の持続効果が小さい。
【0063】疎水性酸化防止剤と高沸点有機溶媒の比率は、質量比で概ね1:5〜10:1である。また、印字後のにじみを防止する目的で水溶性多価金属イオンを含有してもよい。
【0064】用いることができる水溶性多価金属イオンとしては、2〜4価の多価金属イオンが挙げられ、具体的には、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Fe3+、Ni2+、Co2+、Al3+等が挙げられるが、特に、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Al3+が好ましい。多価金属イオンの添加量は、記録材料1m2当たり概ね0.1〜10ミリモルである。0.1ミリモル未満の場合は効果が少なく、また、10ミリモルを超えると染料の凝集が促進され、表面でのブロンジング現象を起こし易くなる。特に好ましいのは0.2〜2ミリモルである。本発明のインクジェット記録材料に設けられる受像層及び必要に応じて設けられるその他の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加することができる。
【0065】これら添加剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子;カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤;特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている褪色防止剤;特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤;硫酸、燐酸、枸櫞酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤;消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤が挙げられる。多孔質の受像層は2層以上から構成されてもよく、この場合、これら2層以上の層の構成はお互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0066】本発明のインクジェット記録材料の受像層及び下引層、その他、必要に応じて適宜設けられる各種の親水性層の支持体上への塗布には、公知の塗布方法を適宜選択して用いることができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設、乾燥する方法である。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に、全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0067】塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法または米国特許2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0068】このようにして得られたインクジェット記録材料の受像層表面の気相法シリカ及び湿式沈降法シリカからなるシリカ粒子の電子顕微鏡で観察したときの粒径が20〜100nmであることが好ましい。
【0069】電子顕微鏡による粒径の測定方法としては、電子顕微鏡写真を用い、少なくとも100個のサンプリングを行い、その粒径の平均値から求めることができる。
【0070】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0071】〈湿式沈降法シリカの水分散液Aの調製〉平均粒径9μmのNipsil LP(日本シリカ工業社製、1次粒子径:16nm)(湿式沈降法シリカ)を用い、水を加えてサンドグラインダーにより分散した後、超音波をかけ、平均粒子径が500nmになるまでサンドグラインダーと超音波の分散操作を繰り返し、35質量%の水分散液Aを調製した。
【0072】(実施例1:混合シリカ分散液B1の調製)上記で得られた水分散液A571g中に、AEROSIL300(1次粒子径7nm)(日本アエロジル社製)(気相法シリカ)50gを高速回転式コロイドミル(エム・テクニック(株)製、クレアミックス)にて10000rpmで20分間分散した後、35質量%の固形分濃度に純水で仕上げ、混合シリカ分散液B1を調製した。
【0073】(実施例2、3及び比較例1の各混合シリカ分散液B2、B3、B5の調製)実施例1の混合シリカ分散液B1の調製に用いた水分散液Aの量及びAEROSIL300(気相法シリカ)の量を表1記載となるようにした以外は実施例1と同様にして実施例2、3及び比較例1の各混合シリカ分散液B2、B3、B5を調製した。
【0074】(実施例4:混合シリカ分散液B4の調製)実施例1の混合シリカ分散液B1の調製に用いたAEROSIL300(気相法シリカ)に代えてAEROSIL200(気相法シリカ、日本アエロジル社製、一次粒子径12nm)を用いた以外は混合シリカ分散液B1と同様にして混合シリカ分散液B4を調製した。
【0075】(比較例2:シリカ分散液B6の調製)360mlの純水にAEROSIL300(気相法シリカ)200gを高速回転式コロイドミル(エム・テクニック(株)製、クレアミックス)にて10000rpmで20分間分散した後、35質量%の固形分濃度に純水で仕上げ、気相法シリカからなる分散液B6を調製した。
【0076】尚、用いられた気相法シリカAEROSIL300及び200は、DSC(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200、25〜500℃、10℃/min)を測定した結果、何れも200〜400℃にピークを有するものであった。
【0077】得られた各混合シリカ分散液中の気相法シリカと湿式沈降法シリカの固形分量を表1に示した。
【0078】
【表1】

【0079】(混合シリカ分散液D1〜D6の調製)上記各シリカ分散液B1〜B6の400mlを、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C1(pH=2.5、サンノブコ社製の消泡剤SN381を2g含有)の110mlに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、ホウ酸とほう砂の1:1質量比の混合水溶液E1(各々3%の濃度)の54mlを攪拌しながら徐々に添加した。
【0080】次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで、3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630mlに仕上げ、ほぼ透明なシリカ分散液D1〜D6を得た。
【0081】上記各シリカ分散液D1〜D6を、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
【0082】
〔塗布液の調製〕
シリカ分散液D1〜D6 600ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA235)6.5%水溶液 270ml ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 22ml エタノール 8ml純水で表2記載の固形分濃度になるよう仕上げた。
【0083】尚、比較例2は固形分濃度を15%とした場合は、高粘度で塗布が不能であった。
【0084】上記の様にして調製した塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。得られた各塗布液の光散乱法による平均粒子径及び塗布液の粘度を表2に示す。
【0085】尚、光散乱法による粒子径の測定は、堀場製作所製動的光散乱方式の粒度分布計LB−500で測定した。
【0086】
【表2】

【0087】〔記録媒体の塗布〕両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚み220μm:受像層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、上記塗布液を湿潤膜厚で110μmになるように塗布し、インクジェット記録材料を得た。塗布は塗布液を40℃に加温し、カーテンコータにより、230m/分の塗布スピードで塗布を行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風で60秒間、45℃の風で60秒間、50℃の風で60秒間順次乾燥して行なった後、ロール状に巻き取って各インクジェット記録材料を得た。
【0088】なお、上記紙支持体は、幅が約1.5m、長さが約4000mのロール状に巻かれた下記の支持体を用いた。
【0089】使用した紙支持体は、含水率が8%で、坪量が170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)を記録媒体1m2当たり0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電加工した後、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
【0090】得られた各試料について、下記の評価方法により、ひび割れ、塗布性、表面光沢性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0091】〈ひび割れの評価〉各記録材料1m2当たりのひび割れ発生個数を計測し、その数値から3段階評価した。
【0092】
○:10個未満△:10〜100個未満×:100個以上〈塗布性(膜面ムラ)の評価〉セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM770Cを用い、反射濃度が約1.0のニュートラルグレー色を全面ベタ印字して、下記に示す基準に則り、ムラの有無を目視で5段階評価した。
【0093】
◎:ムラが全くなし○:ムラが僅かに認められるがベタ印字しても実技上は問題ないレベル△:ムラがベタ印字ではっきりわかる程度であるが、実際のプリントでは殆ど問題ないレベル×:グレーの色ムラが認められ、実技上許容され得ないレベル××:全く許容され得ないレベル上記の評価ランクにおいて、実用上、×及び××は、商品価値が無い。
【0094】〈光沢性の評価〉評価サンプルの黒ベタチャート部の画像を写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機械社製)で反射60度、光学くし2mmでの写像性(光沢値C値%)を測定した。評価は、以下の基準によって行った。
【0095】
◎:C値%が61以上○:C値%が60〜51△:C値%が50〜41×:C値%が40以下上記評価ランクにおいて、◎、○が実用上好ましいランクと判断した。
【0096】
【表3】

【0097】本発明の試料は、ひび割れが少なく、塗布性も良好で、光沢性も高く、優れたインクジェット記録材料が得られることが分かる。
【0098】
【発明の効果】本発明の方法により、短時間に調製した塗布液を用いて形成されたインクジェット受像層であっても、ひび割れは少なく、塗布性は良好であり、光沢性も高く、優れたインクジェット記録材料を得ることができた。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
【出願日】 平成14年1月17日(2002.1.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−211824(P2003−211824A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−8562(P2002−8562)