| 【発明の名称】 |
印刷用校正物の作成方法及び該作成方法で使用するプレコート液 |
| 【発明者】 |
【氏名】柴谷 正也 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
【氏名】大西 弘幸 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】カラー画像を簡易な操作で短時間で出力できるインクジェットプリンタの特長を生かした印刷用校正物(プルーフ)の作成方法であって、高画質、高品位、高画像堅牢性で且つ印刷校正を正確に行うことができるプルーフの作成方法及び該作成方法で使用するプレコート液を提供すること。
【解決手段】インクとして水性顔料インクを用い、記録媒体として本印刷で使用する本印刷用紙を用い、且つ水性顔料インクを凝集させる性質を有するプレコート液を用いる。そして、該プレコート液をインクジェットプリンタの記録ヘッドより吐出させて上記本印刷用紙に付着させた後、その付着部分に対して該記録ヘッドより上記水性顔料インクを吐出させる。上記プレコート液は、少なくとも、金属塩及び水を含有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録ヘッドよりインクを吐出して、記録媒体に画像を形成するインクジェットプリンタを用いた印刷用校正物の作成方法において、上記インクとして水性顔料インクを用い、上記記録媒体として本印刷で使用する本印刷用紙を用い、且つ該水性顔料インクを凝集させる性質を有するプレコート液を用い、上記プレコート液を上記記録ヘッドより吐出させて上記本印刷用紙に付着させた後、その付着部分に対して該記録ヘッドより上記水性顔料インクを吐出させることを特徴とする印刷用校正物の作成方法。 【請求項2】 上記水性顔料インクを吐出させた後に上記本印刷用紙を乾燥することを特徴とする請求項1記載の印刷用校正物の作成方法。 【請求項3】 上記プレコート液が、少なくとも、金属塩及び水を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の印刷用校正物の作成方法。 【請求項4】 上記金属塩が、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム及び酢酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3記載の印刷用校正物の作成方法。 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の印刷用校正物の作成方法で使用するプレコート液であって、少なくとも、金属塩及び水を含有することを特徴とするプレコート液。 【請求項6】 上記金属塩が、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム及び酢酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5記載のプレコート液。 【請求項7】 上記金属塩を0.01〜60°重量%含有することを特徴とする請求項5又は6記載のプレコート液。 【請求項8】 湿潤剤を1〜50重量%、浸透剤を1〜50重量%及び界面活性剤を0.01〜20重量%含有することを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載のプレコート液。 【請求項9】 pHが8〜10の範囲内にあることを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載のプレコート液。 【請求項10】 基材に、請求項5〜9の何れかに記載のプレコート液を塗布してなるプレコート印刷用紙。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプリンタを用いた印刷用校正物の作成方法及び該作成方法で使用するプレコート液に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般商業印刷分野では、通常、カラーオフセット印刷機等を稼働させて本印刷物(最終印刷物)を刷る前に、印刷用校正物(プルーフともいう)を作成し、その印刷画像の色調や精度等を判定して、本印刷物の仕上がり具合を事前に確認する作業、いわゆる(色)校正が行われる。現在、最も一般的な校正方法は、簡易色校正(プリプレスプルーフなどとも呼ばれる)である。この簡易色校正は、本印刷で用いる印刷機を稼働させて試し刷りを行う「刷り出し校正」と比べて経済的である、刷版に焼き付けるのに使用するフィルムを使用するため網点やスクリーン角度等を確認できる、等の利点を有している一方、版を作る必要があるため、コストが高くつく、入稿からプルーフ作成までに時間がかかる等の問題も抱えている。 【0003】上記問題点に鑑み、近年、プルーフ作成工程のデジタル化が進められており、版を作らずに、デジタル画像データから、直接カラープルーフを作成する方法が提案されている。このようなデジタル校正用の機器として、卓上カラープリンタからDDCP(Direct Digital Color Proofer)装置までいろいろな種類があるが、中でも、インクジェットプリンタは、高画質、高解像度のカラー画像を、簡易な操作で、短時間で出力できるため、注目されている。 【0004】インクジェットプリンタを用いてカラープルーフを作成する場合、その記録媒体として、本印刷で使用する本印刷用紙として一般的な上質紙、アート紙、コート紙等をそのまま使用すると、これらの用紙は油性インクでの印刷を前提として作られており、インクジェット適性を持たないため、インクが溢れ、滲み等を起こし、カラー画像を記録できない。 【0005】そこで、カラープルーフ作成用のインクジェット記録用紙として、紙等の基材上に、多孔性の顔料を主体とするインク受容層を設けたものが開発されているが、上質紙、アート紙、コート紙等の本印刷用紙と比べて、色調、明度、光沢感、質感、コシ、手触り感等が大きく異なり、印刷校正用紙として満足できるものではなかった。また、このようなプルーフ用インクジェット記録用紙と本印刷用紙との乖離をなくすべく、インク受容層や基材に関する改良技術が多数提案されている(特開2000−343815号公報、特開2000−326623号公報等参照)が、これらの技術は、本質的に本印刷用紙とは異なる材料を使用するため、本印刷用紙の色や質感等を忠実に再現することはできず、印刷校正用として適当なものではなかった。 【0006】従って、本発明の目的は、カラー画像を簡易な操作で短時間で出力できるインクジェットプリンタの特長を生かした印刷用校正物(プルーフ)の作成方法であって、高画質、高品位、高画像堅牢性で且つ印刷校正を正確に行うことができるプルーフの作成方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、記録ヘッドよりインクを吐出して、記録媒体上に画像を形成するインクジェットプリンタを用いた印刷用校正物(プルーフ)の作成について種々検討した結果、上記インクとして水性顔料インクを用い、上記記録媒体として本印刷で使用する本印刷用紙を用い、且つ、水性顔料インクの本印刷用紙への打ち込みに先立ち、水性顔料インク凝集能を有するプレコート液を、上記記録ヘッドより本印刷用紙に打ち込むことにより、インクジェット適性のない本印刷用紙に対して、インクの滲みや溢れを起こさずに高画質のカラー画像を形成することができ、本印刷物の印刷仕上がりを忠実に再現したプルーフを作成できることを知見した。また、基材に上記プレコート液を塗布してなるプレコート印刷用紙が、オフセット印刷に使用できることも知見した。 【0008】本発明は、上記知見に基づきなされたもので、記録ヘッドよりインクを吐出して、記録媒体に画像を形成するインクジェットプリンタを用いた印刷用校正物の作成方法において、上記インクとして水性顔料インクを用い、上記記録媒体として本印刷で使用する本印刷用紙を用い、且つ該水性顔料インクを凝集させる性質を有するプレコート液を用い、上記プレコート液を上記記録ヘッドより吐出させて上記本印刷用紙に付着させた後、その付着部分に対して該記録ヘッドより上記水性顔料インクを吐出させることを特徴とする印刷用校正物の作成方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。 【0009】また、本発明は、上記の印刷用校正物の作成方法で使用するプレコート液であって、少なくとも、金属塩及び水を含有することを特徴とするプレコート液、並びに基材に、該プレコート液を塗布してなるプレコート印刷用紙を提供するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の印刷用校正物(プルーフともいう)の作成方法について詳細に説明する。本発明のプルーフの作成方法は、インクジェットプリンタを用いる。インクジェットプリンタは、記録ヘッドのノズルから、イエロー、マゼンタ、シアンの減法混色の3原色のインク、あるいはこれにブラックその他の色のインクを加えた4色以上のインクを吐出して、記録媒体に画像を形成する方式のプリンタ(記録装置)である。インクジェットプリンタには、ノズルから一定時間間隔でインクを吐出し続け、吐出されたインク液滴を偏向させることにより画像を形成するコンティニュアス方式と、画像データに対応してインクを吐出させるオンデマンド方式とがあるが、インクの廃液量が少ない、高速で画像を形成できる等の点で、オンデマンド方式のインクジェットプリンタを用いることが好ましい。尚、インク吐出制御には、圧電素子を用いて電圧により制御する方式や、発熱抵抗素子を用いて熱エネルギーにより制御する方式があるが、何れの方式のものでも本発明で使用できる。 【0011】また、本発明のプルーフの作成方法は、インクとして、顔料系着色剤を含有する水性顔料インクを使用する。水性顔料インクを用いてプルーフを作成することにより、染料系着色剤を含有する水性染料インクに比して、プルーフ作成直後からの画像の色調変化を抑制でき、また、画像堅牢性、長期保存性の向上も期待できる。更に、本印刷(オフセット印刷)においては、顔料インク(油性)が一般的であるので、プルーフも顔料インクを用いて作成することで、本印刷物の印刷仕上がりを忠実に再現することができる。 【0012】上記水性顔料インクとしては、インクジェットプリンタ用のものが使用できる。インクジェットプリンタ用の水性顔料インクには、顔料系着色剤及び水の他に、通常、保湿や浸透調整等のため、各種有機溶剤、界面活性剤等が添加されている。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水が好ましい。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止して長期保存を可能とする点で好ましい。 【0013】上記顔料系着色剤としては、無機顔料及び有機顔料を使用することができ、それぞれ単独また複数種混合して用いることができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄の他、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックが使用できる。また、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が使用できる。 【0014】具体的には、イエロー系の顔料系着色剤として、例えば、C.I.Pigment Yellow1,C.I.Pigment Yellow 2,C.I.Pigment Yellow 3,C.I.Pigment Yellow 12, C.I.Pigment Yellow 13,C.I.Pigment Yellow 14, C.I.Pigment Yellow 16,C.I.Pigment Yellow 17, C.I.Pigment Yellow 73,C.I.Pigment Yellow 74, C.I.Pigment Yellow 75,C.I.Pigment Yellow 83, C.I.Pigment Yellow 93,C.I.Pigment Yellow 95, C.I.Pigment Yellow 97,C.I.Pigment Yellow 98, C.I.Pigment Yellow 109, C.I.Pigment Yellow 110, C.I.Pigment Yellow 114, C.I.Pigment Yellow 128, C.I.Pigment Yellow 129, C.I.Pigment Yellow 138, C.I.Pigment Yellow 150, C.I.Pigment Yellow 151, C.I.Pigment Yellow 154, C.I.Pigment Yellow 155, C.I.Pigment Yellow 180, C.I.Pigment Yellow 185等が挙げられ、特に好ましいものとして、C.I.Pigment Yellow 74、110及び128等が挙げられる。 【0015】また、マゼンタ系の顔料系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Red 7, C.I.Pigment Red 12, C.I.Pigment Red 48(Ca), C.I.PigmentRed 48(Mn), C.I.Pigment Red 57(Ca), C.I.Pigment Red 57:1, C.I.Pigment Red 112, C.I.Pigment Red 122, C.I.Pigment Red 123, C.I.Pigment Red 168, C.I.Pigment Red 184, C.I.Pigment Red 202, C.I.Pigment Red 209等が挙げられ、特に好ましいものとして、C.I.Pigment Red 122等が挙げられる。 【0016】また、シアン系の顔料系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1, C.I.Pigment Blue 2, C.I.Pigment Blue 3, C.I.Pigment Blue 15:3, C.I.Pigment Blue 15:4, C.I.Pigment Blue 15:34, C.I.Pigment Blue 16, C.I.Pigment Blue22, C.I.Pigment Blue 60, C.I.Vat Blue 4, C.I.Vat Blue 60が挙げられ、特に好ましいものとして、C.I.Pigment Blue 15:3等が挙げられる。 【0017】また、ブラック系の顔料系着色剤(カーボンブラック)としては、例えば、三菱化学製のNo.2300, No.900, MCF88, No.33, No.40, No.52, MA7, MA8, MA100,No.2200B等、コロンビア社製の Raven5750, Raven5250, Raven5000, Raven3500,Raven1255, Raven700等、キャボット社製の Regal 400R, Regal 400R, Regal 1660R, Mogul 1, Monarch 700, Monarch 800, Monarch 880, Monarch 900, Monarch 1000, Monarch 1100, Monarch 1300, Monarch 1400 等、テグッサ社製の Color Black FW1, Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black FW18, ColorBlack FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex 35, Printex U, Printex V, Printex 140U, Special Black 6, Special Black 5, Special Black 4A, Special Black 4等が挙げられる。 【0018】本発明では、ハイライトの画像領域の粒状感を低減させて、より高画質のカラー画像の出力を可能とする観点から、通常のインクよりも着色剤濃度の低い淡インク(ライトインク、フォトインクなどとも呼ばれる)を用いることもできる。例えば、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク等を用いることができる。 【0019】上記顔料系着色剤の上記水性顔料インク中における含有量は、インク全重量に対して0.1〜15重量%が好ましい。 【0020】上記水性顔料インクには、吐出安定性を確保するため、湿潤剤を含有させることが好ましい。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール等の多価アルコール類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。上記湿潤剤の上記水性顔料インク中における含有量は、インク全重量に対して1〜30重量%が好ましい。 【0021】また、上記水性顔料インクには、インクの記録媒体への浸透性を高めて乾燥時間を短くするため、浸透剤を含有させることが好ましい。浸透剤としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール等の低級アルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。上記浸透剤の上記水性顔料インク中における含有量は、インク全重量に対して1〜30重量%が好ましい。 【0022】また、上記水性顔料インクには、浸透性の向上、分散安定性等のため、界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。界面活性剤の上記水性顔料インク中における含有量は、インク全重量に対して0.01〜10重量%が好ましい。 【0023】上記水性顔料インクには、更に必要に応じて、粘度調整剤、防腐剤、防カビ剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、消泡剤、表面張力調整剤、誘電率調整剤等の各種添加剤を含有させることができる。 【0024】また、本発明のプルーフの作成方法は、記録媒体として、本印刷で使用する本印刷用紙を使用する。本印刷物の印刷仕上がりを忠実に再現したプルーフを作成するためには、本印刷用紙を使用するのがベストであることは言う迄もないことである。本発明によれば、本印刷用紙が、上質紙、アート紙、コート紙等のようなインクジェット適性を持たない(インクジェットインクを吸収、包埋する塗工層を持たない)ものであっても、後述するプレコート液の作用により、インクの滲みや溢れのない高画質のカラー画像を形成することができる。 【0025】本発明のプルーフの作成方法は、上述したように、インクジェットプリンタを用いて、水性顔料インクにより、上質紙、アート紙、コート紙等の本印刷用紙に画像を形成するものであるが、このような印刷を可能にするのが、水性顔料インクを凝集させる性質を有するプレコート液であり、本発明は、このプレコート液を使用することを主たる特徴とするものである。 【0026】上記プレコート液は、少なくとも、金属塩及び水を含有する。上記金属塩は、金属イオンと陰イオンとから構成されるもので、該金属塩としては、水に可溶で、水性顔料インクと接触した際に、着色剤等のインク成分の分散又は溶解状態を破壊し、これらを凝集させ得る性質を有するものが用いられる。上記金属イオンとしては、例えば、K+、Na+、Li+;Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+、Fe2+、Zr2+;Al3+、Fe3+、Cr3+、Zr3+;Zr4+等が挙げられる。また、上記陰イオンとしては、Cl−、NO3−、I−、Br−、ClO3−、CH3COO−、F−、SO42−、SO32−等が挙げられる。 【0027】上記カルボン酸イオン(陰イオン)としては、炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸及び炭素数6〜10の炭素環式モノカルボン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上のカルボン酸から誘導されるものが好ましい。炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸の好ましい例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ビバル酸、ヘキサン酸等が挙げられる。特に蟻酸、酢酸が好ましい。該炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸の飽和脂肪族炭化水素基上の水素原子は水酸基で置換されていてもよく、そのようなカルボン酸の好ましい例としては、乳酸が挙げられる。また、炭素数6〜10の炭素環式モノカルボン酸の好ましい例としては、安息香酸、ナフトエ酸等が挙げられ、より好ましくは安息香酸である。 【0028】上記金属塩は、プレコート液に十分なインク成分凝集能を付与する観点から、プレコート液の主溶媒である水に対する溶解性が高いものが好ましい。具体的には、水に対する溶解度〔20℃の水100gに溶解する溶質の量(グラム数)〕が、10g以上のものが好ましく、20g以上のものが更に好ましい。 【0029】上記金属塩として特に好ましいものとしては、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム及び酢酸マグネシウムが挙げられ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上を好ましく用いることができる。 【0030】上記プレコート液における上記金属塩の含有量は、プレコート液の全重量に対して好ましくは0.01〜60重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。含有量が0.01重量%未満では、記録媒体として用いる本印刷用紙に実用上十分なインクジェット適性を付与することができず、60重量%超では、粘度上昇やノズルの目詰まり等を起こし易く、吐出安定性に劣るおそれがある。 【0031】上記プレコート液の溶媒として使用する水は、上記水性顔料インクの溶媒として使用する水と同様のものを用いることができる。また、上記プレコート液には、保湿や浸透調整等のため、上述した、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、各種添加剤の1種又は2種以上を添加することができる。これらは、上記水性顔料インクに添加できるものと同様のものを用いることができる。湿潤剤の添加量は、プレコート液の全重量に対して1〜50重量%が好ましい。また、浸透剤の添加量は、プレコート液の全重量に対して1〜50重量%が好ましい。また、界面活性剤の添加量は、プレコート液の全重量に対して0.01〜20重量%が好ましい。 【0032】上記プレコート液は、上記金属塩及び水の他、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤等が適宜添加されて調製されるが、必要に応じ、更にカチオン系ポリマーを添加することができる。カチオン系ポリマーを添加することにより、インク成分凝集能の向上、上記金属塩に起因するプレコート液付着部分の黄変防止等の効果が奏される。 【0033】上記カチオン系ポリマーは、プレコート液の吐出安定性を考慮すると、増粘効果の少ないものが好ましい。具体的には、25℃のプレコート液に該プレコート液の全重量に対してカチオン系ポリマーを5重量%添加し、溶解又は分散させて調製した液のB型粘度計による粘度が10mPa・s以下になるようなカチオン系ポリマーが好ましい。 【0034】上記カチオン系ポリマーとしては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー、エピハロヒドリン−2級アミンコポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミドコポリマー、ジアリルメチルアンモニウム塩ポリマー、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化硫黄コポリマー、ジメチルメチルアミン塩酸塩コポリマー、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩化合物、(メタ)アクリルアミドアルキルアンモニウム塩ポリマー、4級アンモニウム塩基を含むアイオネン、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。特に、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマーを用いることが好ましい。上記カチオン系ポリマーの含有量は、上記プレコート液中、上記金属塩100重量部に対して、好ましくは1〜1000重量部、更に好ましくは10〜200重量部である。 【0035】また、上記プレコート液は、記録ヘッドの内部の金属メッキ部分の溶解や腐食の防止、吐出安定性の向上等の観点から、pHが8〜10の範囲内にあることが好ましい。プレコート液のpHの調整は、インクのpH調整と同様、公知のpH調整剤を用いて行うことができる。 【0036】次に、インクジェットプリンタを用いて、上記水性顔料インクと上記プレコート液とにより、記録媒体(本印刷用紙)に画像を形成して印刷用校正物(プルーフ)を作成する手順を、図面を参照しながら説明する。 【0037】図1は、本実施形態のプルーフ作成方法に使用するインクジェットプリンタの要部の斜視図である。図1に示すプリンタ1は、紙送りモータ11で駆動されるプラテンローラ12により記録媒体M(本印刷用紙)を矢印A方向に搬送し、キャリッジ13上に搭載された記録ヘッド20が、インクタンク30から供給されたプレコート液及び各色水性顔料インクをそれぞれ吐出して、記録媒体Mに画像を形成した後、これを搬出するようになしてある。キャリッジ13は、キャリッジベルト14を介してキャリッジモータ15に連結されており、ガイドレール16上を摺動して、矢印B方向(記録媒体Mの搬送方向と直交する方向)に往復走査するようになっている。 【0038】図2は、記録ヘッド20のノズル面20aの拡大図である。図2中、21及び26はプレコート液の吐出ノズル列であり、ノズル列22,23,24,25からは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色水性顔料インクが吐出される。 【0039】記録ヘッド20は、記録媒体M(本印刷用紙)に対し、プレコート液を吐出して付着させた後、その付着部分に対して、入力された画像データに対応して各色水性顔料インクを吐出するようになしてある。即ち、記録ヘッド20が図2の記録方向P1に移動する場合においては、その移動中に、先ず、ノズル列21よりプレコート液が吐出されて、記録媒体Mにプレコート液付着領域が形成され、続いて、該プレコート液付着領域に対して、ノズル列22,23,24,25より、画像データに基づき各色水性顔料インクが順次吐出される(このとき、ノズル列26は使用しない)。一方、記録ヘッド20が図2の記録方向P2に移動する場合においては、ノズル列26よりプレコート液が吐出されて、記録媒体Mにプレコート液付着領域が形成され、続いて、該プレコート液付着領域に対して、ノズル列25,24,23,22より、画像データに基づき各色水性顔料インクが順次吐出される(このとき、ノズル列21は使用しない)。このような記録ヘッドの吐出制御は、プリンタ1を制御するプリンタドライバを適宜プログラミングすることにより行うことができる。 【0040】このような記録ヘッド20の記録方向P1及び記録方向P2の各走査と、各走査終了時の記録媒体Mの搬送とが繰り返されることにより、記録媒体Mに画像が形成されて、目的とする印刷用校正物(プルーフ)が作成される。 【0041】尚、プレコート液は、記録媒体(本印刷用紙)の被記録面全体に均一に付着させてもよく、インクを打ち込む場所にのみ選択的に付着させてもよい。また、プレコート液の記録媒体への付着量は、該記録媒体に十分なインクジェット適性を付与し得るように、単位面積当たりの総インク吐出量(重量)に応じて適宜調整すればよい。 【0042】本発明の印刷用校正物(プルーフ)の作成方法は、上述したように、プレコート液を、記録ヘッドより吐出させて記録媒体(本印刷用紙)に付着させた後、その付着部分に対して該記録ヘッドより水性顔料インクを吐出させて、印刷用校正物(プルーフ)を作成するものであるが、更に、水性顔料インクを吐出させた後に、プレコート液及び水性顔料インクが付着した本印刷用紙を乾燥させることが、プルーフのべたつきやプルーフ同士のスタッキング等を防止するため望ましい。 【0043】上記乾燥は、インクジェットプリンタとは別体の乾燥器を用いて行ってもよく、また、インクジェットプリンタの内部、例えば、プラテンローラの内部や排紙口付近等に乾燥装置を取り付けて、1パスで乾燥まで行えるようにしてもよい。乾燥装置としては、赤外線式加熱装置、熱風加熱装置、高周波数蒸発装置、自己放熱型セラミックヒーター、正温度係数サーミスタ製ヒーター(PCTヒーター)、シリコンラバーヒーター等を用いることができる。 【0044】本発明の印刷用校正物(プルーフ)の作成方法は、記録ヘッドよりインクを吐出して、記録媒体に画像を形成するインクジェットプリンタを用いた印刷用校正物の作成方法において、上記インクとして水性顔料インクを用い、上記記録媒体として本印刷で使用する本印刷用紙を用い、且つ該水性顔料インクを凝集させる性質を有するプレコート液を用い、上記プレコート液を上記記録ヘッドより吐出させて上記本印刷用紙に付着させた後、その付着部分に対して該記録ヘッドより上記水性顔料インクを吐出させればよく、前記実施形態に何等制限されるものではない。例えば、使用する水性顔料インクの数やインクジェットプリンタの具体的構成(例えば、記録ヘッドの形状、そのノズル面におけるノズルの配置パターン、記録ヘッドの走査パターン等)等は、前記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。 【0045】また、本発明のプレコート液は、インクジェットプリンタを用いた印刷用校正物の作成方法で使用されることを前提としたものであるが、オフセット印刷のような、印刷用紙と記録ヘッドが接触する接触型の印刷方式で使用する印刷用紙の塗工層組成物として使用することもできる。即ち、上質紙、アート紙、コート紙等の基材に、上記プレコート液を塗布してなるプレコート印刷用紙は、通常のオフセット印刷用紙に比して、発色性、表面強度等に遜色がなく、オフセット印刷用のコート紙として使用できる。この場合、プレコート液の塗布量は、乾燥重量で好ましくは0.01〜10g/m2、更に好ましくは0.05〜5g/m2である。プレコート液の基材への塗布は、エアナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、サイズプレス装置等の塗工装置を用いて常法通り塗布する方法の他、インクジェットプリンタを用いて記録ヘッドのノズルから吐出させる方法により行うこともできる。 【0046】 【実施例】以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。 【0047】〔実施例1〕7色プリンタ(商品名「PM900C」セイコーエプソン製)に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色の水性顔料インク(何れも、セイコーエプソン製のインクジェットプリンタ「MC2000」用のインク)及び下記組成のプレコート液をセットした。 【0048】 プレコート液の組成・金属塩;塩酸マグネシウムMgCl2 30重量%・湿潤剤;グリセリン 20重量%・浸透剤;トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量%・pH調整剤:アンモニア水 0.2重量%・防腐剤;「プロキセルXL2」AVECIA社製) 0.3重量%・水 残 重 計100重量%【0049】インク及びプレコート液をセットした上記プリンタに、記録媒体(商品名「トップコートN」、王子製紙製、A2グロス)をセットし、プリンタを作動させて、該記録媒体上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の7色のカラーパッチ(ISO/TC130国内委員会によるJapan Color2000に準拠)と、高精細カラーデジタル標準画像[(ISO/JIS-SCID)、画像名称「ポートレート」(サンプル番号1、画像の評価認識番号N1)]とを、プリンタドライバや画像処理ソフトによる色補正は一切行わずに、それぞれ印刷した。これらは、プレコート液の付着領域に重ねて印字した。プレコート液の吐出量は13.7mg/inch2であった。このようにして得られた印刷物を、乾燥器に入れて70℃で1分間乾燥し、実施例1のサンプルとした。 【0050】〔比較例1〕実施例1において、6色の水性顔料インクに代えて、6色の水性染料インク(何れも、セイコーエプソン製のインクジェットプリンタ「PM800C」用のインク)を用いた以外は実施例1と同様にして印刷物を作成し、比較例1のサンプルとした。 【0051】〔比較例2〕実施例1において、プレコート液を使用しない以外は実施例1と同様にして印刷物を作成し、比較例2のサンプルとした。 【0052】〔比較例3〕実施例1において、プレコート液を使用せず、記録媒体として市販の印刷校正用インクジェット記録用紙(商品名「SG127」三菱製紙製)を用いた以外は実施例1と同様にして印刷物を作成し、比較例3のサンプルとした。 【0053】〔試験例1〕実施例1及び比較例1〜3の各サンプルについて、インク吸収性、発色性、乾燥性、耐擦性、色再現性、プルーフ適性、色安定性をそれぞれ下記方法で評価した。それらの結果を下記表1に示す。 【0054】(インク吸収性の評価)各サンプルの印刷面の上記画像「ポートレート」を目視にて観察し、下記評価基準により評価した。 評価基準A:インクの滲みや溢れがなく、問題なく使用できる。 B:インクの滲みが多少あるが、実用上問題なし。 C:インクの滲みや溢れがひどく、使用できない。 【0055】(発色性の評価)各サンプルのCMYBkの各カラーパッチについて、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2°、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、下記評価基準により評価した。 評価基準A:CMYBkの4色のOD値の合計が7.5を超える(一般のコート紙を用いたカラーオフセット印刷と同レベルの発色性)。 B:4色のOD値の合計が7.5〜6.0。 C:4色のOD値の合計が6.0未満(平均でOD値1.5未満)。 【0056】(乾燥性の評価)各サンプルのCMYBkの各カラーパッチを往復5回指で触り、下記評価基準により評価した。 評価基準A:指に1色のインクも付着せず、使用に支障がない。 B:いくらか指に付着するインク色があるが、多少べたつく程度で大きな裏写りもない。 C:何れかのインク色がべたつき指に付着して残り、更に印字物が裏写りする。使用不可。 【0057】(耐擦性の評価)各サンプルの印刷面上に、消しゴム(幅20mm)を傾斜度60°で固定し、該消しゴムの上から1kgの荷重をかけた状態で、該印刷面上を該消しゴムで10往復擦った後の該印刷面の状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。 評価基準A:印刷面にキズ、ハガレがない。耐擦性良好。 B:印刷面にキズが入る。実用上問題なし。 C:印刷面ハガレが発生する。実用に堪えない。 【0058】(色再現性の評価)カラーオフセット印刷機を用いて、記録媒体(商品名「トップコートN」、王子製紙製、A2グロス)上に、上記各サンプルと同様に、CMYBkRGBの7色のカラーパッチを、ISO/TC130国内委員会によるJapan Color2000に基づき、且つプリンタドライバや画像処理ソフトによる色補正は一切行わずに印刷し、本印刷物を作成した。この本印刷物の7色の各カラーパッチについて、グレタグマクベス社製のx-rite938を用い、視野角2°、光源D50、Black Backingの条件で測色し、それぞれのL*a*b*値を求めた。また、上記各サンプルについても、各カラーパッチについて同様にL*a*b*値を求めた。そして、本印刷物と上記各サンプルとで、各色毎にL*a*b*値の差ΔEC値を求め、下記評価基準により評価した。 評価基準A:CMYBkRGBの7色のΔEC値の合計が20以下であり、且つ7色それぞれのΔEC値が何れも3を超えない。プルーフとして十分に使用できる。 B:7色のΔEC値の合計が20以下であるが、7色それぞれのΔEC値のうちの何れかが3を超える。プリンタドライバや画像処理ソフトで調整用プロファイルを作成して使用すれば、プルーフとして使用できる。 C:上記A又はBの何れにも当てはまらない。プルーフとして使用するには、高度な色合わせ技術を必要とするか、あるいは使用不可。 【0059】(プルーフ適性の評価)カラーオフセット印刷機を用いて、記録媒体(商品名「トップコートN」、王子製紙製、A2グロス)上に、上記画像「ポートレート」を印刷し、本印刷物を作成した。そして、この本印刷物と、各サンプルの上記画像「ポートレート」が印刷された部分とを比較観察し、違いがほとんど感じられないものをA、違いがやや感じられるものをB、違いが極めて強く感じられるものをCとした。 【0060】(色安定性の評価)上記各サンプルの7色の上記各カラーパッチについて、印刷直後と、印刷後8時間経過した後とでの色差Δc8をそれぞれ測定し、下記基準により評価した。 評価基準A:7色それぞれのΔc8値の合計が20以下であり、且つ7色それぞれのΔc8値が何れも3を超えない。色安定性良好。 B:7色それぞれのΔc8値の合計が20以下であるが、7色のうちの何れかのΔc8値が3を超える。 C:上記A又はBの何れにも当てはまらない。プルーフとして使用するには、予め測定した色変化の方向データに基づき補正する処理を必要とするか、あるいは使用不可。 【0061】 【表1】
【0062】〔試験例2〕インクジェットプリンタ(商品名「PM900C」、セイコーエプソン製)を用いて、基材(商品名「トップコートN」、王子製紙製、A2グロス)の被記録面の全面に、上記実施例1で用いたプレコート液を吐出量13.7mg/inch2で均一塗布することにより、プレコート印刷用紙を作成した。そして、このプレコート印刷用紙のオフセット印刷適性(発色性、表面強度)を下記方法で評価した。 【0063】(オフセット印刷での発色性の評価)RI印刷適性試験機(石川島播磨産業機械製)を用いて、C,M,Yの3色のインク(TKハイエコーSOY、東洋インキ製)により、印刷胴8000m/h、インク盛り量0.5cc/1回の印刷条件で、上記プレコート印刷用紙及び上記基材(プレコートなし)に各色のベタ印刷を行った。そして各印刷部分について、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2°、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定した。その結果を下記表2に示す。表2から、プレコート液の有無により、発色性に差がないことが判る。 【0064】 【表2】
【0065】(表面強度の評価)上記RI印刷適性試験機を用いて、上記C,M,Yインクにより、印刷胴8000m/h、インク盛り量0.5cc/1回の印刷条件で、上記プレコート印刷用紙及び上記基材(プレコートなし)に対し、それぞれ紙剥け試験を行った。試験終了後、印字面の紙剥け程度、及び上記試験機の版胴の表面に紙粉が付着しているか否かを、目視で観察したところ、何れの試験においても紙剥け、紙粉の付着は観られず、オフセット印刷に必要な表面強度を有していることが判った。 【0066】以上のオフセット印刷適性の評価結果から、上記プレコート印刷用紙は、通常のオフセット印刷用紙(トップコートN)に比して、発色性及び表面強度に遜色が無く、オフセット印刷用紙として使用できるものであることが判る。即ち、オフセット印刷用紙に上記プレコート液を塗布しても、オフセット適性は低下しないことが明らかである。 【0067】 【発明の効果】本発明によれば、カラー画像を簡易な操作で短時間で出力できるインクジェットプリンタの特長を生かして、高画質、高品位、高画像堅牢性の印刷物を提供することができる。そして、この印刷物は、本印刷で使用する本印刷用紙をベースに作成されており、また、画像が印字直後から短時間で変色することもないので、カラー印刷の校正に最適である。また、本発明のプレコート液は、オフセット印刷等のインクジェット方式以外の印刷にも使用することができ、上質紙、アート紙、コート紙等のオフセット印刷用紙に塗布しても、これらのオフセット適性を低下させることがない。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
|
| 【出願日】 |
平成14年1月21日(2002.1.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095728 【弁理士】 【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−211819(P2003−211819A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月30日(2003.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−12075(P2002−12075) |
|