トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 画像形成方法及び画像形成装置
【発明者】 【氏名】王 立山
【住所又は居所】茨城県水海道市坂手町5540−11 キヤノンアプテックス株式会社内

【要約】 【課題】熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に画像を形成後、平滑化処理する際に生ずる、記録媒体中に残留するインク溶媒のガス化に起因する印字物の膨れや、気泡や穴の発生を防止し、同時に装置の小型化、記録媒体の搬送速度を向上させることができる画像形成方法及び画像形成装置の提供。

【解決手段】熱可塑性樹脂を含む多孔質表層を持つ記録媒体に、インクを表層側から付与して画像を形成後、該記録媒体を搬送手段で搬送しながら、表層を平滑化する際に、平滑化手段の一部が搬送手段の一部を兼ね、搬送手段の部分で表層を予熱しながら平滑化する部分へと搬送し、溶媒の沸点以上で熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度で予熱し、熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上で平滑化する画像形成方法及び画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被膜形成材料として熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に、少なくとも溶剤と色材とを有するインクを上記表層側から付与して画像を形成した後、該画像が形成された記録媒体を搬送手段によって搬送しながら、該記録媒体の表層を平滑化する画像形成方法において、平滑化手段の一部が搬送手段の一部を兼ねており、該搬送手段の部分で記録媒体の表層を予熱しながら記録媒体の表層を平滑化する部分へと搬送し、インク中の溶媒の沸点以上で且つ上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度で予熱し、且つ、上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上で平滑化することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 前記平滑化手段を1対のローラで構成し、ローラが対向しているニップ領域を記録媒体の表層を平滑化する部分とし、画像が形成された平滑化するための記録媒体を、上記1対のローラのうちの1のローラの外周面に沿って搬送してニップ領域へと移動させ、該記録媒体がニップ領域に至る迄の搬送の間に記録媒体の表層を予熱し、然る後、上記ニップ領域で記録媒体の表層を加熱して平滑化する請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】 前記記録媒体の平滑化を、記録媒体の表層を加熱しながら加圧して行う請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】 前記記録媒体の表層の予熱を、記録媒体の表層側の面が、その外周面に沿って記録媒体が搬送されるローラの外周面と接するようにして行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項5】 前記画像の形成を、インクジェット記録方法で行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】 前記インクジェット記録方法が、電気熱変換体の発するエネルギーを用いて吐出口からインクを吐出する方法である請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】 被膜形成材料として熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に、少なくとも溶剤と色材とを有するインクを上記表層側から付与して画像を形成する画像形成手段と、上記記録媒体を搬送する搬送手段と、画像の形成された記録媒体の表層を加熱及び加圧して平滑化する平滑化手段とを少なくとも有する画像形成装置において、上記平滑化手段が、その一部が搬送手段としても機能し、該搬送手段として機能する部分で画像が形成された記録媒体の表層の予熱が行われ、且つ、予熱後の記録媒体の表層が加熱及び加圧されて表層の平滑化が行われるように構成され、且つ、上記の予熱温度及び加熱温度を制御するための温度制御手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】 前記平滑化手段が、1対のローラで構成され、1対のローラが対向しているニップ領域を記録媒体の表層を平滑化する部分とし、且つ、一方のローラの外周面に沿って画像が形成された記録媒体が搬送されて上記ニップ領域に至り、該搬送中に記録媒体の表層が予熱され、然る後、ニップ領域で記録媒体の表層の平滑化がなされる構成を有する請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】 前記温度制御手段が、予熱温度をインク中の溶媒の沸点以上で、前記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度とし、平滑化するための加熱温度を前記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上とする制御機構を有する請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】 更に、表層が平滑化された記録媒体を収納するための収納部を有し、該収納部の装置内における空間位置が、一連の画像形成手段の上流側に配置されている請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】 前記画像形成手段が、吐出口からインクを吐出するインクジェット記録ヘッドである請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】 前記記録ヘッドは、電気熱変換体の発するエネルギーを用いて吐出口からインクを吐出する請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】 被膜形成材料として熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に、少なくとも溶剤と色材とを有するインクを上記表層側から付与して画像を形成した後、該画像が形成された記録媒体を搬送手段によって搬送しながら、該記録媒体の表層を平滑化する画像形成装置において、搬送手段の一部に平滑化手段を兼ね、前記搬送手段の所望の部分で前記記録媒体の表層を予熱しながら記録媒体の表層を平滑化する部分へと搬送する手段と、前記搬送手段の温度をインク中の溶媒の沸点以上で且つ上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度に設定し上記熱可塑性樹脂の記録媒体を搬送し、且つ、上記記録媒体の上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上に設定し平滑化することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】 前記記録媒体の平滑化を、記録媒体の表層を加熱しながら加圧して行う請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】 前記記録媒体の表層の予熱を、記録媒体の表層側の面が、その外周面に沿って記録媒体が搬送されるローラの外周面と接するようにして行う請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】 前記画像の形成を、インクジェット記録方法で行う請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項17】 前記記録媒体の表層の予熱を、記録媒体の表層側裏側が、前記搬送手段の表面に接するようにして行う請求項13に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体に画像形成後、該記録媒体の表層に存在する熱可塑性樹脂を溶融して平滑化処理を施す画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液体インクを使って用紙等の記録媒体に記録する方法として、インク滴を飛翔させて記録媒体に記録するインクジェット記録方法が知られている。インクジェット記録方法は、高速印字が可能で、低騒音、カラー画像形成の容易さ、定着処理が不要であること、更には、低いランニングコストを実現しながら、少部数に対応可能であること等の長所から、各種用途の記録手段として急速に普及してきている。
【0003】一方、インクは、一般に溶剤タイプと水性タイプに分類されるが、インクジェット記録への適用性、価格、安全性、取り扱いの容易性等から、水性インクがより多用されている。しかし、水性インクを用いて画像を形成した場合には、通常、水性インクでは染料が色材として用いられており、染料の性質から、形成された画像が、耐水性や耐候性に劣るという傾向がある。具体的には、画像が水に濡れた場合のインクの滲み出し、又、ポスター等の記録物が屋外で使われる場合に、太陽光や大気中のガス(オゾン、NOx、SOx等)に曝されることにより、画像が著しく褪色することがある。
【0004】従来、これらの問題を解決するため、種々の試みがなされてきた。例えば、特開平4−21446号公報には、インクジェット記録方法を用いて記録を行った後、一定の加熱及び/又は加圧の条件で記録面に透明平滑なフィルムを貼り合わせて保存性を高めるラミネート方法が開示されており、又、特開2000−71608公報、特開2000−247023公報、特開2000−127609公報や特開2000−168229公報には、予めインク受容層表面に熱可塑性樹脂からなる多孔質の層を設けておき、インクジェット記録後に該樹脂を溶融し、表面を平滑化して表層を形成することによって、耐水性を始めとする耐候性全般、光沢性の向上を図る方法等が開示されている。これらの中でも、後者が比較的簡単な構成で、主流になりつつある。
【0005】しかし、上記の方法はいずれも何らかの欠点がある。例えば、印字後記録媒体表面にフィルムを貼り合わせる方法では、透明な平滑化層が安定に得られるという利点がある反面、フィルムと接着層との積層からなるラミネートシートをロール状にしたものを装置内に設置するスペースが必要となることや、更に、記録媒体にフィルムを貼り合わせた後、記録媒体の大きさに合わせて裁断工程が必要なことから、装置の大型化を招くだけでなく、裁断によって切り落とされた不要な部分が生じ、その処理が繁雑であること等の課題がある。
【0006】これに対して、記録媒体と同じ大きさのフィルムを予め用意しておいて、印字後の記録媒体にラミネートを施す方法がある。この方法によれば、スペースの節約、裁断不要等の利点があるが、その一方で、使用できる記録媒体の大きさが限定されてしまうことや、記録媒体とラミネートフィルムとの貼り合わせの精度要求が高まることによって制御が複雑になるといった点がある。更に、記録面に透明平滑なフィルムを貼り合わせる方法の場合には、インクジェット記録方法で記録媒体に画像記録した直後にフィルムを貼り合せ、加熱、加圧による平滑化処理を行うと、フィルムとインク受容層との間にインク溶媒が残留し、画像濃度が低下したり、フィルムが変形し、膜剥がれや膨れが生じ、得られる画像の画質が劣ったものとなる場合がある。この問題に対しては、記録媒体に画像を形成後、乾燥手段を設けたり、平滑化処理までの搬送長さを伸ばすこと等の手段によって、インク溶媒が残留することを減らして問題の解決を図ることも可能であるが、装置の複雑化、コスト高を生じる。
【0007】一方、記録媒体の表面に熱可塑性樹脂を有する多孔質層を設け、その表面へとインク滴を付与し、インクを記録面へ透過させた後、加熱及び/又は加圧処理し、表面の熱可塑性樹脂を溶融することで記録面を平滑化して表層を形成させる方法は、上記した記録面に平滑なフィルムを貼り合わせる方法に比べて装置の簡略化が可能であるという利点がある。しかし、上記の場合と同様に、画像を記録した直後に記録面の平滑化処理を行うと、熱可塑性樹脂を溶融して被膜化する際に、気化したインク溶媒が通液性のなくなった表層に妨げられ、結果として、表層に気泡が生じたり、穴があいたりして、画質が劣ったものとなるだけではなく、画像の耐水性や耐候性の向上も達成できなくなる場合が生じる。
【0008】上記のような課題に対する解決方法としては、画像形成後、平滑化処理温度(熱可塑性樹脂の溶融温度)以下の温度で予備乾燥する手段を設けることで、平滑化処理前にインク溶媒の乾燥を促すことが考えられるが、工程数が増加し、設置面積を減少させることができるという利点が損なわれることになる。
【0009】又、特開平11−291611号公報には、記録面に平滑層を形成するための、より簡便な方法が開示されている。図3は、その方法を示す概略図である。先ず、搬送装置1によって搬送されながら連続記録媒体3には、図中の記録手段2によって画像が形成される。次に、画像が形成された記録媒体3は、平滑化手段へと送られる。該平滑化手段は、例えば、図に示したように、加熱及び/又は加圧ローラ対4、5からなる。この平滑化手段で表面が平滑化された記録媒体は、その後、巻取り装置6によって巻取られる。平滑化手段の熱源である不図示のヒーターは、ローラ4及び/又は5に内蔵されている。ローラ4、5は、適当な弾性を有し、所定の圧力が加わることで相互に圧接することで、これらのローラ間には一定幅のニップが形成される。
【0010】上記した装置においては、画像を形成後、記録媒体の表面を加熱及び/又は加圧されるニップ領域において、平滑化処理の加熱温度よりも低い沸点を有するインク溶媒が、加熱開始から沸点に達するまでの時間をt1とし、記録媒体の表層の熱可塑性樹脂が加熱開始から融点に達するまでの時間をt2とした場合、t1≦t2となる搬送速度であれば、インク溶媒が蒸発、乾燥した後、平滑層が形成されることとなるため、水蒸気(インク溶媒が水の場合)等が、平滑化処理によって形成される通液性のなくなった表層によって閉じ込められることに起因する膨れや、穴の発生がなくなり、良好な保護層が形成できる。しかしながら、この場合、装置の構成は簡単になるものの、溶媒蒸発にかける所要時間を稼ぐために、記録媒体の搬送速度を抑えなければならず、印字速度が遅くなるという欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に画像を形成後、平滑化処理する場合において必ず生ずる、記録媒体中に残留するインク溶媒のガス化に起因する印字物の膨れや、気泡や穴の発生という問題を解決すると同時に、装置をより小型にし、記録媒体の搬送速度を一層向上させることができる画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、被膜形成材料として熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に、少なくとも溶剤と色材とを有するインクを上記表層側から付与して画像を形成した後、該画像が形成された記録媒体を搬送手段によって搬送しながら、該記録媒体の表層を平滑化する画像形成方法において、平滑化手段の一部が搬送手段の一部を兼ねており、該搬送手段の部分で記録媒体の表層を予熱しながら記録媒体の表層を平滑化する部分へと搬送し、インク中の溶媒の沸点以上で且つ上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度で予熱し、且つ、上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上で平滑化することを特徴とする画像形成方法である。
【0013】好ましい形態としては、上記において、平滑化手段を1対のローラで構成し、ローラが対向しているニップ領域を記録媒体の表層を平滑化する部分とし、画像が形成された平滑化するための記録媒体を、上記1対のローラのうちの1のローラの外周面に沿って搬送してニップ領域へと移動させ、該記録媒体がニップ領域に至る迄の搬送の間に記録媒体の表層を予熱し、然る後、上記ニップ領域で記録媒体の表層を加熱して平滑化する画像形成方法、又、上記において、記録媒体の平滑化を、記録媒体の表層を加熱しながら加圧して行う画像形成方法、又、上記において、記録媒体の表層の予熱を、記録媒体の表層側の面が、その外周面に沿って記録媒体が搬送されるローラの外周面と接するようにして行う画像形成方法、又、上記において、画像の形成を、インクジェット記録方法で行う画像形成方法、又、インクジェット記録方法が、電気熱変換体の発するエネルギーを用いて吐出口からインクを吐出する方法である画像形成方法が挙げられる。
【0014】又、本発明は、被膜形成材料として熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に、少なくとも溶剤と色材とを有するインクを上記表層側から付与して画像を形成する画像形成手段と、上記記録媒体を搬送する搬送手段と、画像の形成された記録媒体の表層を加熱及び加圧して平滑化する平滑化手段とを少なくとも有する画像形成装置において、上記平滑化手段が、その一部が搬送手段としても機能し、該搬送手段として機能する部分で画像が形成された記録媒体の表層の予熱が行われ、且つ、予熱後の記録媒体の表層が加熱及び加圧されて表層の平滑化が行われるように構成され、且つ、上記の予熱温度及び加熱温度を制御するための温度制御手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置である。
【0015】好ましい形態としては、上記において、平滑化手段が、1対のローラで構成され、1対のローラが対向しているニップ領域を記録媒体の表層を平滑化する部分とし、且つ、一方のローラの外周面に沿って画像が形成された記録媒体が搬送されて上記ニップ領域に至り、該搬送中に記録媒体の表層が予熱され、然る後、ニップ領域で記録媒体の表層の平滑化がなされる構成を有する画像形成装置、又、上記において、温度制御手段が、予熱温度をインク中の溶媒の沸点以上で、前記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度とし、平滑化するための加熱温度を前記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上とする制御機構を有する画像形成装置、又、上記において、更に、表層が平滑化された記録媒体を収納するための収納部を有し、該収納部の装置内における空間位置が、一連の画像形成手段の上流側に配置されている画像形成装置、又、上記において、画像形成手段が、吐出口からインクを吐出するインクジェット記録ヘッドである画像形成装置、又、上記において、記録ヘッドは、電気熱変換体の発するエネルギーを用いて吐出口からインクを吐出する画像形成装置が挙げられる。
【0016】又、本発明の他の実施態様は、被膜形成材料として熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体に、少なくとも溶剤と色材とを有するインクを上記表層側から付与して画像を形成した後、該画像が形成された記録媒体を搬送手段によって搬送しながら、該記録媒体の表層を平滑化する画像形成装置において、搬送手段の一部に平滑化手段を兼ね、前記搬送手段の所望の部分で前記記録媒体の表層を予熱しながら記録媒体の表層を平滑化する部分へと搬送する手段と、前記搬送手段の温度をインク中の溶媒の沸点以上で且つ上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度に設定し上記熱可塑性樹脂の記録媒体を搬送し、且つ、上記記録媒体の上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上に設定し平滑化することを特徴とする画像形成装置である。好ましい形態としては、上記において、前記記録媒体の平滑化を、記録媒体の表層を加熱しながら加圧して行うもの、又、前記記録媒体の表層の予熱を、記録媒体の表層側の面が、その外周面に沿って記録媒体が搬送されるローラの外周面と接するようにして行うもの、又、前記画像の形成を、インクジェット記録方法で行うもの、又、前記記録媒体の表層の予熱を、記録媒体の表層側裏側が、前記搬送手段の表面に接するようにして行う画像形成装置が挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明の画像形成方法の特徴は、熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体の表層側からインクジェット記録方法等の画像形成装置でインクを付与した後、上記の表層を平滑化手段で平滑化する際に、予め、記録媒体の表層を予熱することで残留しているインク溶媒を揮散させ、然る後、平滑化するように構成し、その際に、平滑化手段の一部を上記予熱手段として利用することを特徴とする。この結果、平滑化する際にインク溶媒が残留していることによって生じる弊害を有効に防止でき、しかも装置の小型化、簡易化が達成される。
【0018】先ず、本発明で使用する記録媒体について説明する。本発明では、インクを付与した後、記録面を加熱して平滑化するので、少なくとも熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を有する記録媒体を使用する。特に、表層の下にインク受容層を有する多層構造を有する記録媒体が好ましい。例えば、紙やポリエステル(PET等)フィルム或いはシート等の基材にインク受容層を設け、更にその上に熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層を形成した多層構造を有するものや、基材上に熱可塑性樹脂と無機顔料とを含む塗工液によって多孔質層を形成し、インク受容層としても機能する表層を設けたもの等を使用することができる。記録媒体の基材が、通気性のないPET等のフィルムである場合には、特に、記録媒体の表層を予熱する場合に、基材とは反対の表層側から加熱することが好ましい。
【0019】更に、本発明で使用する記録媒体は、上記に限定されず、インク中の溶媒をより効果的に記録媒体から除去し、しかも、搬送速度を更に上げる方法として、例えば、記録媒体の基材として、多孔質材料や、蒸気透過性の高い繊維質の材質からなるものを用いたり、或いは、積極的に溶媒を透過させる構造を備えた基材を用いたものを使用することが好ましい。このようにすれば、多孔質である表層側からだけでなく、裏面の基材側からも溶媒を蒸発させる手段を講じることが可能となる。上記のような構成の記録媒体は、多孔質基材の厚みに加えて、多孔質基材の空孔率や空径分布等を適宜に選択できるので、より溶媒透過に適した構成の基材を選択、或いはそのようなものが得られるように制御することが可能であり、より良好に本発明の所期の目的を達成できる。
【0020】上記したような基材表面に形成する熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層は、下記に挙げるような熱可塑性樹脂からなる粒子を使用して、該粒子を含む被覆層を形成することによって容易に得られる。その際に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリスチレン等のオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−アクリレート系共重合樹脂、メタクリレート系樹脂等が挙げられる。又、粒子状の樹脂を得る方法としては、例えば、水、その他の溶媒中で熱可塑性樹脂を構成するモノマーを分散重合、懸濁重合或いは乳化重合等の方法で(共)重合させる方法等が挙げられる。熱可塑性樹脂粒子を含む多孔質の表層を有する記録媒体は、例えば、上記に挙げた熱可塑性樹脂粒子の分散液やラテックス等に、必要により多孔質無機顔料等を加えて調製した塗工液を、ブレードコーター、エアナイフコーター、グラビア印刷、ダイコーター等の公知の塗工手段によって、基材上に所定の乾燥厚さとなるように塗工及び乾燥することで製造できる。
【0021】本発明においては、上記のような記録媒体に、少なくとも溶剤と色材とを有するインクを、記録媒体の表層側から付与して画像を形成するが、その際の画像形成手段としては、吐出口からインクを吐出して記録媒体に付与するインクジェット記録方法を用いることが好ましい。インクを吐出させる方法としては、特に限定されず、例えば、電気エネルギーの印加によるピエゾ素子の変形を利用する電気機械変換方法、電気エネルギーの印加で発熱するヒーター等の電気熱変換体を液路内に設置し、電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用してインクに膜沸騰の状態変化を引き起こし、インクを吐出させる方法等、いずれの方法であってもよい。
【0022】上記のようなインクジェット記録方法に使用されるインクとしては、従来公知のものをいずれも使用できる。例えば、溶媒として水、或いは水と水溶性有機溶媒との混合溶媒に、色材として、染料や顔料等を溶解又は分散させ、必要に応じて粘度調整剤、pH調整剤、分散剤、防黴剤等の添加剤を添加してなるインクが使用できる。水溶性溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルキレングリコール類、グリセリン類、(ジ又はトリ)エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類、n−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等が挙げられる。
【0023】本発明においては、上記のようにしてインクが付与されて画像が形成された記録媒体を搬送手段によって搬送しながら、記録媒体の表層を平滑化手段によって平滑化するが、その際に、平滑化手段の一部が搬送手段の一部を兼ねており、該搬送手段を兼ねる平滑化手段の部分で記録媒体の表層を予熱しながら表層を平滑化する部分へと搬送し、インク中の溶媒の沸点以上で且つ上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度で予熱し、上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上で平滑化することを特徴とする。
【0024】このようにすれば、予熱段階で、記録媒体に残留していたインク中の溶媒を充分に蒸発させた後、表層の平滑化をすることができるので、画像表面に穴が開いたり、気泡ができたりすることがなく、耐水性及び耐候性に優れる、高品位な画像の形成が可能となる。
【0025】上記のような画像形成を可能とする簡易な装置の例について、図1を参照しながら説明する。図1に示したように、平滑化手段を1対のローラ4及び5で構成し、1対のローラが対向しているニップ領域Nを記録媒体3の表層を平滑化する部分とし、且つ、一方のローラ4の外周面に沿って画像が形成された記録媒体3が搬送されて上記ニップ領域Nに至り、該ニップ領域Nで記録媒体3の表層の平滑化がなされる構造とする。この結果、ローラ4の外周面に沿って記録媒体3が搬送される間に記録媒体の表層を予熱し、然る後、ニップ領域Nで記録媒体の表層の平滑化をすることが可能となる。
【0026】このため、ローラ4及び5には、それぞれ温度制御(不図示)が可能な加熱装置401及び501が内蔵されたものを用い、これらのローラ4及び5が対向する部分で互いのローラが接触するように配置し、ニップ領域Nを形成する。このようにすることで、画像が形成された記録媒体3は、ローラ4の外周面に沿ってニップ領域Nへと搬送されるが、その搬送の間に、加熱装置401を有するローラ4によってその表層が予熱される。本発明においては、その際に、予熱温度を、インク中の溶媒の沸点以上で且つ上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度よりも低い温度とし、且つ、平滑化する部分であるニップ領域Nの温度を、上記熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上とする。
【0027】この結果、記録媒体のインク中の溶媒は、ローラ4の外周面に沿って搬送される間に予熱されてガス化し、該ガスは、上記した予熱温度では熱可塑性樹脂が被膜化することがないので、記録媒体の表層の多孔部分から容易に揮散し、この結果、記録媒体中にはインク中の溶媒が残留しなくなる。本発明では、その後に記録媒体3の表層に含まれる熱可塑性樹脂を、上記した被膜形成可能な温度で加熱溶融して平滑化するので、平滑化する際に、インク中のガス化した溶媒が記録媒体の表面に形成された被膜によって通気性が失われて、ガスの逃げ道を失うことで生じていた記録面の膨れや、気泡や穴の発生がなくなり、この結果、耐水性及び耐候性に優れた高画質の形成が可能になる。又、図1に示したような構造とすることによって、平滑化部の一部で予熱工程を行えるので、別に予熱手段を設けた場合と比べて装置の小型化が可能である。しかも、図3に示した構造の従来の装置の場合には、インク中の溶媒を揮散させるために搬送速度を遅くして対処する必要があったが、本発明によれば、搬送速度を遅くすることなく、上記した効果を得ることが可能できる。
【0028】上記において、ローラ4及び5が接触するニップ領域Nを通過させて表層を平滑化する場合には、ローラ4及び5によって加熱及び加圧することが好ましい。ニップ領域におけるローラ4及び5の接触幅は、いずれでもよいが、例えば、4〜6mm程度とする。又、ローラ4の外周面に沿ってニップ領域Nへと記録媒体3を搬送する際には、先に述べたように、特に、記録媒体の基材材料が通気性に乏しいものである場合には、記録媒体3の表層がローラ4の外周面に接する状態で搬送されるように構成することが好ましい。
【0029】本発明で使用する、平滑化部の一部が搬送装置の一部を兼ねるように構成された対となるローラ対4及び5としては、以下のようなものが使用できる。ローラ対は、装置を小型化する観点からは、空間位置で上下に対をなすように形成することが好ましい。図1は、記録媒体に残留しているインクの溶媒を揮散させるための予熱を、下段のローラ4で行う装置の概略図であり、図2は、記録媒体に残留しているインクの溶媒を揮散させるための予熱を、上段のローラ4で行う装置の概略図である。図2に示した予熱を上段のローラ4で行う装置の場合は、図1の装置のように、記録媒体の表層側ではなく、記録媒体の基材側がローラ4の外周面と接触するようになる点が異なる。本発明で使用するローラ対の構成は、上記に限定されず、例えば、任意の傾斜角を有する線上にローラ対4及び5が配置されたものでもよい。
【0030】各ローラの具体的な構成としては、例えば、電熱ヒーター等の加熱手段とサーミスタ等の温度検知装置を内蔵した金属製芯材の表面を、シリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性の弾性材料で、適宜な厚さに被覆したものが好適に使用できる。記録媒体の多孔質の表層と接触するローラの耐熱性被覆材には、特に、溶融した熱可塑性樹脂がローラ表面に粘着させずに、しかも記録媒体の移動を滑らかにするものを選択することが望ましい。
【0031】又、記録媒体の表層を平滑化する前に、充分に予熱を行ってインクの溶媒の残留を防ぐためには、上記のローラ4の径を大きくすることが好ましいが、使用する溶媒によって、適宜に設計すればよい。例えば、ローラ4の外径を150〜200mm程度とする。更に、各ローラの表面硬度は、記録媒体が安定して搬送されるために、JIS A硬度(JIS K6253)が55〜70の範囲であることが好ましく、記録媒体の加圧を効果的に行うためには、ロール対に6〜8ポイントの硬度差を設けることが好ましい。
【0032】上記のようにして、記録媒体の多孔質の表層が平滑化されることで形成された記録物は、平滑化部から更に搬送されて記録媒体の態様(連続紙、枚葉紙等の)に応じて巻き取られ、或いはトレイに排出されるが、搬送方向は、装置の小型化から、図1及び2に示したように、記録媒体が平滑化部に搬送される側と同じ側が好ましい。具体的には、表層が平滑化された記録媒体を収納するための収納部6の装置内における空間位置が、一連の画像形成装置の上流側に配置されるようにすることが好ましい。
【0033】
【実施例】以下に、記録媒体の製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(記録媒体の製造例)以下に本発明の実施例で使用する記録媒体の製造方法の一例を簡単に説明するが、本発明で使用する記録媒体はこの例に限定されるものではない。米国特許明細書第4,242,271号に記載された方法に従って、アルミニウムオクタキシドを合成し、これを加水分解してアルミナ水和物のコロイダルゾルを合成した。上記アルミナ水和物のコロイダルゾルを濃縮して15質量%の溶液を得た。一方、ポリビニルアルコール(クラレ社製 商品名:PVA117)をイオン交換水に溶解して10質量%の溶液を得た。この2種の溶液を、アルミナ水和物の固形分とポリビニルアルコールの固形分が重量比で10:1になるように混合し、攪拌して分散液を得た。
【0034】この分散液を基材のポリエチレンテレフタレートフィルムの上にダイコートして、記録層(インク受容層)となるアルミナ水和物を含む多孔質層を形成した。その乾燥厚みは約40μmであった。この記録層となる多孔質層の上に、更に、固形分15%の塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル酸系共重合体ラテックス(平均粒子径0.6μm、0.12μm以下の粒子の割合7.5質量%、共重合体のガラス転移温度65℃、最低造膜温度127℃)をバーコーターにて塗布し、65℃で乾燥して、約5μmの厚さの上記共重合体粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含む多孔質の表層を形成し、本発明で用いる記録媒体を得た。
【0035】(実施例1)図1に、本発明の画像形成方法を適用した本実施例の画像形成装置の概略図を示す。図中の1は、搬送ベルトとプーリーからなる記録媒体の搬送装置であり、高精度な搬送を実現できる。図中の2は画像形成装置であり、本実施例では、ブラック記録ヘッド2b、シアン記録ヘッド2c、マゼンタ記録ヘッド2m及びイエロー記録ヘッド2yを有するインクジェット記録方法の画像形成装置を用いた。これらの記録ヘッドでは、それぞれ、不図示の吐出口から、各色インクが記録媒体に向けて吐出されて画像形成が行われる。
【0036】本実施例では、インクジェット記録方法に、電気エネルギーの印加によって発熱するヒーター等(電気熱変換体)を液路内に配置し、該電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用してインクに膜沸騰の状態変化を引き起こし、インクを吐出する方法を採用している。この方法の記録ヘッドは、エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロセスを経て、基板上に成膜された電気熱変換体、電極、液路壁、天板等を形成することにより、高密度の液路配置を有するものを容易に製造することができるので、装置の一層のコンパクト化を図ることができる。又、本実施例では、ラインヘッドを使用しており、印字可能幅(本実施例では例えば、4インチ)内でヘッドを動かすことなく印字可能なため、高速印字が実現される。尚、本発明で使用することのできるインクジェット記録方法は、上記に限定されず、電気エネルギーの印加によるピエゾ素子の変形を利用する電気機械変換式のものでもよい。
【0037】図1の装置においては、不図示の給紙装置から、連続の記録媒体3が搬送装置1に送られて、搬送装置1のタイミングに合わせて、該記録媒体3上に、上記の画像形成装置2によってインクが付与されて画像形成がされた後、この記録媒体の表層を加熱及び加圧して平滑化する平滑化部へと導かれる。図1に示したように、本実施例の画像形成装置においては、平滑化部は、加熱・加圧ローラ対4及び5によって構成される。
【0038】この加熱・加圧ローラ対4及び5は、下記に述べるように、その一部が記録媒体3の搬送装置としても機能し、且つ、該搬送装置として機能する部分において、記録媒体3の表層が予熱されるように構成されている。この搬送されながら行われる予熱によって、画像形成の際に記録媒体3に付与されたインク中の溶媒は気化し、気化した溶媒は、搬送される間に、記録媒体3の表面にある多孔から速やかに外部へと抜けて揮散する。そして、その後に、加熱・加圧ローラ対4及び5が対向しているニップ領域Nへと記録媒体3を移動し、該ニップ領域Nで、記録媒体3の表層が加温及び加圧されて平滑化され、画像形成が完了する。この結果、従来生じていた、記録媒体の画像を形成したインク受容層に気泡が生じたり、画像の記録面に穴が開く、といった問題が解決され、高画質の、耐水性及び耐候性に優れた記録物が得られる。
【0039】本実施例では、加熱・加圧ローラ対4、5として、いずれもSUS製の円筒管を芯材として用い、該円筒管表面をシリコンゴムで被覆したものを使用した。円筒管の大きさは、ローラ4は、φ=160mm、ローラ5は、φ=60mmであり、これらの表面に層厚4mmのゴム層を形成したものを使用した。又、これらの円筒管内には、いずれも加熱源のヒーターが内蔵されており、各ローラの表面を任意の温度に加温できるように構成されている。
【0040】図1に示したように、本実施例では、ローラ対の一方(下段)のローラ4が、予熱ローラとしても機能するように構成する。その目的は、先に述べたように、画像形成手段によって記録媒体のインク受容層に吸収されたインク中の溶媒を、予熱している間に速やかに気化(蒸発)させ、且つ記録媒体の表面から円滑に揮散させることにあり、この結果、その後に、ローラ4と5とのニップ領域で行う平滑化処理での、安定な平滑層の形成が可能となる。従って、インク中の溶媒の蒸発を促すため、例えば、水を主たる溶媒とする水性インクを画像形成に使用した場合には、予熱ローラとして用いるローラ4の温度が、溶媒の大部分を占める水の沸点以上であって、且つ、溶媒が気化した後の逃げ道が確保されるようにするために、記録媒体の表層の形成材料である熱可塑性樹脂の最低造膜温度未満の温度となるように制御する。
【0041】本実施例では、画像形成にインクの溶媒の主成分が水である水性インクを使用し、且つ、前述の記録媒体の製造例で説明したように、最低造膜温度が127℃である共重合体からなる熱可塑性樹脂を被膜形成材料として含む多孔質の表層が形成された記録媒体を使用したため、ローラ4の表面温度が115℃となるように設定した。ローラ4に内蔵したハロゲンヒーター401を熱源とし、不図示のサーミスタを用いた温度検知装置で、ローラ4表面の温度検知を行い、±5℃の範囲で上記設定温度が保持されるように、ハロゲンヒーターの電源のON/OFF制御を行った。又、先に述べたように、ローラ4は、画像が形成された記録媒体を、その表層を平滑化するニップ部へ移動させる際の搬送装置(路)としても機能するものであるため、搬送速度の安定性を確保する観点から、ローラ4は、一定の硬さを持つものを使用することが好ましい。
【0042】図1に示したように、本実施例において、搬送装置1と画像形成装置2とによって画像形成された記録媒体3は、先ず、下段の予熱ローラとしても機能するローラ4の外周に巻付くように導かれ(搬送され)ながら、ローラ対4、5が対向しているニップ領域Nへと搬送される。この過程において、記録媒体3が先ずローラ4によって予熱され、画像形成装置2によって記録媒体3の主にインク受容層に吸収された溶媒が、インク中の溶媒である水の沸点以上の温度である115±5℃に加熱されて気化し、記録媒体3の多孔質の表層から速やかに揮散する。これにより、画像を形成しているインク中の溶媒が蒸発、乾燥され、その後に、ニップ領域Nで、被膜形成材料としての熱可塑性樹脂を含む、多孔質の記録媒体3の表層を加熱及び加圧して平滑化処理が施される。
【0043】記録媒体3の表層の平滑化は、ローラ対4及び5が対向しているニップ領域Nで、記録媒体3の表層を構成している被膜形成材料である熱可塑性樹脂を、最低造膜温度以上の温度で加熱し、更に加圧することで該樹脂を溶融し、平滑且つ緻密な通液性を有さない表面層を形成することによって行った。先に説明したローラ4と共に、上記の平滑化処理を行うローラ5の表面も、ローラ4と同様に弾性体からなっているが、より少ない加圧力で、安定したニップ領域Nを形成するためには、ローラ5は、ローラ4よりも柔らかい材質で形成することが好ましい。本実施例では、ニップ幅(ローラ対4と5との接触幅)が5mm程度になるように、不図示のばね等で適切な圧力がローラ対に加えてある。
【0044】本実施例では、ローラ5の表面温度が、本実施例で使用した記録媒体の表層を構成している熱可塑性樹脂の最低造膜温度が127℃であることから、165℃になるように設定した。ローラ5への加熱は、内蔵されているハロゲンヒーター501によって行った。温度制御は、前述のローラ4の場合と同様にして、±5℃の範囲で上記設定温度が保持されるようにした。記録媒体3は、ロール対4、5のニップに入る前に、既にローラ4によって予熱され、溶媒が蒸発、乾燥しただけでなく、加熱により最低造膜温度との差も縮まっているので、搬送速度を落とさずに平滑化することが可能である一方、ローラ5の温度降下も僅かであり、エネルギー効率にも優れる。
【0045】以上の平滑化工程を経ることによって得られた、画像が形成された記録媒体(印字物)は、連続印字においても安定した平滑な表面層を有し、画質が優れるばかりでなく、耐水性、耐光性、耐オゾン性等の耐候性も大幅に向上していることが確認された。
【0046】又、本実施例の画像形成装置では、平滑化処理後の画像が形成された記録媒体は、図3に示す従来例のように、ほぼ一直線で下流側の巻取り装置6(印字物の収納部)へ送られるのではなく、図1に示したように、巻取り装置6の装置内における空間位置は、一連の画像形成装置の上流側(記録媒体が平滑化部へと搬送されたと同じ側)に配置されている。以上の構成により、本実施例の装置は、予熱装置を別に有する従来の装置と比較して、ほぼ半分近い設置面積の減少を実現することができた。
【0047】(実施例2)図2に、本発明の第2の実施例の装置の概略図を示した。基本構成は、実施例1の装置と同様であるが、実施例1の装置では、記録媒体の表層が、ローラ4の外周面に接するように構成されていたが、本実施例の装置は、これと反対の基材面(裏面)がローラ4の外周面に接して、その外周に巻付くように導かれる状態で搬送され、この状態で予熱が行われる点以外は実施例1と同様である。本実施例の装置を使用して画像形成を行った場合にも、実施例1の装置の場合と同等な効果が得られることが確認できた。尚、以上の実施例では共に、熱エネルギーによるインクジェット記録方法で説明したが、本発明はインクの吐出方法に依存しないことは明らかである。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、被膜形成材料として熱可塑性樹脂を含む多孔質の表層に設けられた記録媒体に画像を形成し、その直後にインクの溶媒を効果的に除去できる状態で予熱をしながら搬送し、その後に平滑化処理を行うことから、インク中の溶媒が気化することに起因する文字の膨らみや、記録面の穴や気泡等のない、高画質で耐水性及び耐候性に優れた画像の形成が可能な画像形成方法、及び画像形成装置が提供される。又、本発明によれば、従来の予熱機構を有する画像形成装置と比較して、装置の小型化と印刷速度の向上も実現できる画像形成装置が提供される。
【出願人】 【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテック株式会社
【住所又は居所】茨城県水海道市坂手町5540−11
【出願日】 平成14年1月17日(2002.1.17)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外1名)
【公開番号】 特開2003−211818(P2003−211818A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−8381(P2002−8381)