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【発明の名称】 偽造防止策を施した用紙およびその製造方法
【発明者】 【氏名】北本 義博
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【要約】 【課題】透かしを施した用紙において、小ロット対応が可能で製造コストが嵩まず、かつカラーコピー等による複写物との真贋の判定が容易な偽造防止策を施した用紙及びその製造方法の提供にある。

【解決手段】上質紙でなる基材10の片面より、紋様状の含浸している透明樹脂層20が含浸され、該透明樹脂層20上にパール顔料層30が貼着している偽造防止策を施した用紙1としたもので、この紋様状の含浸している透明樹脂層20とその上のパール顔料層30の形成に、タック値で3〜6の範囲に調整された油性タイプのオフセット用パールインキを用い、ウエット状態で2〜6μmの範囲の印刷で得るその製造方法とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】基材となる用紙の片面より、所望の紋様状に透明樹脂成分が含浸され、該含浸されている紋様状の透明樹脂成分上にパール顔料が貼着していることを特徴とする偽造防止策を施した用紙。
【請求項2】基材となる用紙の片面に、パール顔料が分散している油性タイプのオフセット用パールインキを用い、所望の紋様状パターンを印刷にて形成することを特徴とする偽造防止策を施した用紙の製造方法。
【請求項3】前記基材となる用紙は、上質紙もしくはOCR用紙であることを特徴とする請求項2記載の偽造防止策を施した用紙の製造方法。
【請求項4】前記印刷時のオフセット用パールインキの粘度を、必要に応じてレジューサーで希釈して、JIS K 5701に準拠したタック値で3〜6の範囲に調整することを特徴とする請求項2または3記載の偽造防止策を施した用紙の製造方法。
【請求項5】前記オフセット用パールインキによる紋様状パターンの厚さは、ウエット状態で2〜6μmの範囲であることを特徴とする請求項2、3または4記載の偽造防止策を施した用紙の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切符、入場券、あるいは銀行券等の偽造、変造、改ざん、または再使用を防止する分野に用いる用紙に関するものであり、特に紙に透かし紋様を含む偽造防止策を施した用紙およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、乗車券、入場券、商品券等各種有価証券類、あるいは銀行券、証書類等の偽造、変造、改ざん、または再使用を防止するするために、その用紙そのものにそれら防止策が施されていて、その手段として、紙に透かし紋様を入れる透かし(透き入れともいう)が多く用いられていて、紙を光にかざして透かして見ると、紋様(ロゴや絵柄等)の部分が周囲より明るく透けて見える白透かしと、紋様の部分が暗く見える黒透かしがあり、さらにシャドーからハイライトまで全ての階調を再現する白黒透かしもある。
【0003】上記透き入れ方法として、例えばダンディロールのワイヤー(金網)に所望の模様の凹凸を付けて抄造する方法や、円網のすき網やプレス部に凹凸を付けて抄造する方法があり、これらの方法は、いずれも用紙抄造の段階で透かしを入れるものである。このように用紙抄造の段階で透かしを入れることは、上記装置の面の他、用紙の抄造ロットに適合した大ロットの数量と製造時間とを必要とし、小ロットの製造には製造コスト等の面から不向きな方法であるという問題点があった。
【0004】この問題点を解決する方法として、用紙に印刷方式で樹脂成分を含浸させて、含浸された部分が透けて見えて、疑似的な透かしとする印刷透かし入れ方法がある。
【0005】上記用紙抄造時に施す透かし入れおよび印刷透かし入れの用紙の特性として、紙に光をかざす等の行為によって、透かし紋様を確認することによって真贋を判定するもので、この場合透かし紋様(光透過性が高い部分)が透けて白く(明るく)見える。これに対し、用紙を目視する面と同一面側からの光で見る場合では、用紙の下の色によって透かし効果に変化があり、例えば黒い紙の上にこの透かし用紙を置いて、その上面から目視すると、透かし紋様(光透過性が高い部分)は、用紙の下の黒色で光が吸収され、透かし紋様が黒く(暗く)見える。また、用紙の下の色が白色の場合は、透かし紋様が光透過性が高くても用紙上面の光は、下の白色で反射されて透かし紋様は確認困難となるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の印刷透かし入れの技術においては、小ロットに対応可能で製造コストが嵩まない方法ではあるが、上記のような透かし用紙の特性から、例えばカラーコピー等によって意図的に偽造しようとする者が、この用紙の裏面に黒い紙を置いてコピーすると、透かし紋様(光透過性が高い部分)が黒くなって本物と複写物の判別が容易であるが、用紙の裏面に白い紙を置いてコピーすると、透かし紋様は複写されず、よって本物と複写物との判別が少なくとも透かし紋様では困難であるという問題点があった。
【0007】本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、偽造防止のための透かし紋様(光透過性が高い部分)を施した用紙において、小ロット対応が可能で製造コストが嵩まず、かつカラーコピー等による複写物とその被複写物である本物とが、少なくとも透かし紋様で容易に判別可能な偽造防止策を施した用紙およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、基材となる用紙の片面より、所望の紋様状に透明樹脂成分が含浸され、該含浸されている紋様状の透明樹脂成分上にパール顔料が貼着していることを特徴とする偽造防止策を施した用紙としたものである。
【0009】上記請求項1の発明によれば、基材となる用紙の片面より、所望の紋様状の透明樹脂成分が含浸されているので、この紋様状の部分が透かし(透き入れ)紋様(光透過性が高い部分)となり、光にかざして透かしてみると、透けて明るく見える透かし効果を有し、またこの透明樹脂成分が含浸されている紋様状の部分の上にパール顔料が貼着しているので、表面から目視するとメタリック調光沢やシルク調光沢等パール光沢を有する紋様状パターンとして認識され、カラーコピー機で複写するとこのパール顔料が貼着している部分は、紋様像とはならず、よってこの複写物とメタリック調等パール光沢のでる本物とを容易に判別することができる偽造防止策を施した用紙を提供できる。
【0010】また、請求項2の発明では、基材となる用紙の片面に、パール顔料が分散している油性タイプのオフセット用パールインキを用い、所望の紋様状パターンを印刷にて形成することを特徴とする偽造防止策を施した用紙の製造方法としたものである。
【0011】上記請求項2の発明によれば、用紙の片面に、パール顔料が分散している油性タイプのオフセット用パールインキで、所望の紋様状パターンを印刷によって形成すると、このインキの樹脂成分が用紙に浸透し、分散しているパール顔料は用紙に浸透せず表面に浮いてきて貼着され、その結果所望の紋様状の透かし効果と紋様状のパール光沢を有する偽造防止策を施した用紙とするもので、このように透かし効果とカラーコピー機による複写をも防止する用紙を印刷によって形成するので、製造コストが嵩まず、小ロット製造の対応が可能な偽造防止策を施した用紙の製造方法とすることができる。
【0012】また、請求項3の発明では、前記基材となる用紙は、上質紙もしくはOCR用紙であることを特徴とする請求項2記載の偽造防止策を施した用紙の製造方法としたものである。
【0013】上記請求項3の発明によれば、基材となる用紙を、上質紙もしくはOCR用紙とすることによって、油性タイプのオフセット用パールインキの樹脂成分が浸透し易くなり、かつその浸透によって疑似的乾燥をも速めるもので、よってより優れた透かし効果(光透過性の高い)を有し、かつ製造効率に優位な偽造防止策を施した用紙の製造方法とすることができる。
【0014】また、請求項4の発明では、前記印刷時のオフセット用パールインキの粘度を、必要に応じてレジューサーで希釈して、JIS K 5701に準拠したタック値で3〜6の範囲に調整することを特徴とする請求項2または3記載の偽造防止策を施した用紙の製造方法としたものである。
【0015】上記請求項4の発明によれば、印刷時のオフセット用パールインキの粘度を、必要に応じてレジューサー(希釈液)で希釈して、タック値3〜6、好ましくは4〜5の範囲に調整することによって、用紙への透明樹脂成分の浸透を速く深く、かつ容易にし、このタック値が6を越えると十分な深さの浸透とその速度が得られず、逆にタック値が3に満たないと印刷での画像再現性(シャープ性等)に劣ったり、乾燥に時間を要したりすることになるので好ましくない。
【0016】さらにまた、請求項5の発明では、前記オフセット用パールインキによる紋様状パターンの厚さは、ウエット状態で2〜6μmの範囲であることを特徴とする請求項2、3または4記載の偽造防止策を施した用紙の製造方法としたものである。
【0017】上記請求項5の発明によれば、オフセット用パールインキによる紋様状パターンの厚さを、ウエット状態で2〜6μmの範囲とすることによって、用紙へ浸透する透明樹脂成分の厚さを調整し、2μmに満たないと浸透している透明樹脂成分の厚さが足りず、透かしとしての光透過性に欠け、また6μmを越えると透明樹脂成分が浸透しきれず表面に多く残り、乾燥(酸化重合による疑似的乾燥)が遅くなり製造効率を妨げるので好ましくない。
【0018】上記請求項1および請求項2でいうパール顔料とは、規則的多重反射性と光の干渉性の光学的特性を持ったもので、透明で、薄板状で、屈折率が大きくかつ表面が平らな粒子でなり、例えば屈折率2.0で粒径5〜30μmの塩基性炭酸鉛、屈折率2.15で粒径5〜40μmの酸塩化ビスマス、あるいは屈折率が高く粒径も5〜150μmまで広い範囲の金属酸化物被覆雲母等の無機化合物やパール顔料中唯一の有機化合物であり、屈折率1.85とやや小さく、粒径は30μm以下でソフトでなめらかなパール光沢が得られる天然パールエッセンス等が挙げられる。これらパール顔料をインキ用ビヒクルに分散させたものがパールインキで、メタリック調やシルク調等パール光沢を得るためのものである。
【0019】また、請求項3でいうOCR用紙とは、印刷や手書き文字、図形等を光学的に読み取り、コンピューターにインプットする光学式文字読取装置に搭載する用紙で、セルロースパルプに炭酸カルシウム、クレー、タルク等填料、ロジン等サイズ剤あるいは酸化デンプン等水性樹脂、および必要に応じて紙力増強剤等の添加薬品を配合せしめて抄紙された紙で、上質紙と同様にオフセット印刷等の油性インキに対する印刷適性(浸透乾燥性等)に優れ、かつ水性インキや油性インキに対して優れた筆記適性を有する用紙としたものである。
【0020】また、上記請求項4でいうインキの粘度は、JIS K 5701(平版インキ及びとっぱんインキの試験方法)に準拠したタック値を適用したもので、このタックはインキの分裂する際の抵抗(粘着性)で、この測定はインコメーターで行い、平・凸版インキの管理に使用されるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明の偽造防止策を施した用紙は、図1の側断面積層図に示すように、例えば上質紙を基材(10)とし、この基材(10)の表面から裏面にかけて、オフセットインキの透明樹脂成分がロゴ等紋様状に浸透していて含浸している透明樹脂層(20)を形成し、この透明樹脂層(20)上にパール顔料が貼着されてパール顔料層(30)を形成している偽造防止策を施した用紙(1)である。
【0022】上記のような構成の偽造防止策を施した用紙(1)を、図2の側断面積層図に示すように、例えば反射率の高い白色紙(40)の上に置いた場合、パール顔料層(30)の下に含浸している透明樹脂層(20)は、その下にある反射率の高い白色紙(40)により白色を呈し、その上にあるパール顔料層(30)が表面からの光(O)によりメタリック調等のパール光沢を有する偽造防止策を施した用紙(1)となる。
【0023】また、上記のような構成の偽造防止策を施した用紙(1)を、図3の側断面積層図に示すように、例えば裏面から光(O)をかざして表面から見ると、含浸している透明樹脂成分(20)の部分がロゴ等紋様状に透けて見える透かし効果のある偽造防止策を施した用紙(1)となる。なおこの時のパール顔料層(30)は、光沢は発しない層となる。
【0024】さらにまた、上記のような構成の偽造防止策を施した用紙(1)を、図4の側断面図に示すように、例えばカラー複写機(100)の上に、表面のパール顔料層(30)を下にして、裏面には反射率の高い白色紙(40)を載せ(但しコピー機には反射率の高い白色プレート等が原稿カバーとして設けられているので実質的にはこの必要はない)、複写すると、その複写物にはパール顔料層(30)は再現されず、よって上記図2に示したように、表面から見てメタリック調等のパール光沢を有する本物とこのパール光沢が再現されないカラー複写物とを容易に判別することができるようになるものである。
【0025】以下に本発明の偽造防止策を施した用紙の製造に係わる材料等について説明する。まず、本発明の偽造防止策を施した用紙の基材(10)としては、厚さ60〜150μmの範囲、好ましくは80〜100μmの範囲の上質紙、もしくは印刷や手書き文字、図形等を光学的に読み取り、コンピューターにインプットする光学式文字読取装置に搭載するOCR用紙で、前述したように、セルロースパルプに炭酸カルシウム、クレー、タルク等填料、ロジン等サイズ剤あるいは酸化デンプン等水性樹脂、および必要に応じて紙力増強剤等の添加薬品を配合せしめて抄紙された紙で、上質紙と同様にオフセット印刷等の油性インキに対する印刷適性(浸透乾燥性等)に優れ、かつ水性インキや油性インキに対して優れた筆記適性を有するOCR用紙が好適に用いられる。これは油性タイプのオフセット用インキを構成する樹脂成分が浸透し易い種類の用紙であって、その厚さが150μmを越えると図1に示す含浸している透明樹脂層(20)の厚さ(W)に対し、その下層となる含浸していない層の厚さ(N)が大きくなり、含浸している透明樹脂層(20)の光透過性を低下させることになり、逆に60μmに満たないと、含浸している透明樹脂層(20)が基材(10)の厚さを越えて印刷中の裏移り現象を引き起こしたり、基材(10)が薄すぎるため、印刷機械適性(紙送り等)に欠ける等の問題があるので好ましくない。
【0026】また、本発明の偽造防止策を施した用紙の製造に用いる油性タイプのオフセット用パールインキとしては、上記課題を解決するための手段の項で述べた塩基性炭酸鉛、酸塩化ビスマス、あるいは金属酸化物被覆雲母等の無機化合物や天然パールエッセンス等の有機化合物でなるパール顔料をインキ用ビヒクルに分散させたもので、さらに具体的には、例えば10〜25重量%の上記パール顔料と、透明樹脂成分として20〜30重量%のロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂等、植物油として10〜20重量%の大豆油、亜麻仁油、桐油等、溶剤として25〜35重量%の鉱物油、ナフテン、パラフィン等でなるビヒクルに、添加剤として5〜10重量%のナフテン酸コバルト等でなるドライヤー、酸化抑制剤、裏移り防止剤などで構成される油性タイプのインキが挙げられ、また、この油性タイプのオフセット用パールインキの粘度調整(タック値の低下)に用いるレジュウサーとしては、上記インキ中の溶剤(鉱物油、ナフテン、パラフィン等を主成分とした)が使用される。
【0027】この油性タイプのオフセット用パールインキによる印刷方式としては、通常の平版オフセット印刷で1〜3度刷りし、基材(10)の厚さを勘案しながらインキ塗布量(厚さ)を2〜7μm(ウエット)とするが、1度刷りで比較的インキ塗布量(厚さ)を多くできる樹脂凸版によるオフセット印刷(ドライオフセット印刷ともいう)やダイレクト凸版印刷、あるいはインキ供給をアニロックスローラーを介して転移するフレキソ印刷方式として製造効率を向上させることもできる。
【0028】
【実施例】次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉図4に示すように、基材(10)としては、厚さ100μm(70Kg/四六)の上質紙の片面に、パール顔料が分散しているオフセット用パールインキ:DIKフラッシュパールイエロー(大日本インキ化学工業社製)をレジューサー:00ニス(東洋インキ製造社製)で希釈してタック4に調整し、この調整されたインキを用いて樹脂凸版によるオフセット印刷により、紋様状のパターンとして「T」の文字をインキ塗布量(厚さ)で4μm(ウエット)になるように形成し、偽造防止策を施した用紙とした。
【0029】上記で得られた偽造防止策を施した用紙の「T」文字が形成された面に、この「T」文字の周囲を除いて絵柄等をオフセット印刷にて絵柄印刷部(50)を形成し、試験用の証券印刷物(2)を得た。
【0030】〈比較例1〉パール顔料が含んでいないオフセット用インキとした以外は、実施例1と同様にして試験用の証券印刷物を得た。
【0031】上記実施例1および比較例1で得られた試験用の証券印刷物を、光をかざして透かして見ると、両者ともに「T」の文字が透けて明るく見える透かし効果を有するものであった。しかし、この両者を表面から反射光で目視すると、前者実施例1の試験用の証券印刷物(2)では、図4に示すように、「T」の文字でなるパール顔料層(30)が金色系のパール光沢を有するものであったのに対し、比較例1の試験用の証券印刷物では、「T」の文字は目視されなかった。また、この両者をカラー複写機で複写すると、両者とも「T」の文字は複写されなかった。よって実施例1の試験用の証券印刷物(2)とカラー複写物とは容易に真贋の判定ができるが、比較例1では、少なくとも反射で目視する限りでは真贋の判定は困難なものであった。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。即ち、上記請求項1に係わる発明においては、基材となる用紙の片面より、所望の紋様状に透明樹脂成分が含浸され、該含浸されている紋様状の透明樹脂成分上にパール顔料が貼着している偽造防止策を施した用紙としたもので、このように紋様状の透明樹脂成分が用紙に含浸されているので、この紋様状の部分が透かし(透き入れ)紋様(光透過性が高い部分)となり、光にかざして透かしてみると、透けて明るく見える透かし効果を有し、またこの透明樹脂成分が含浸されている紋様状の部分の上にパール顔料が貼着しているので、表面から目視するとメタリック調光沢やシルク調光沢等パール光沢を有する紋様状パターンとして認識され、カラーコピー機で複写するとこのパール顔料が貼着している部分は、紋様像とはならず、よってこの複写物とメタリック調等パール光沢のでる本物とを容易に判別することができる偽造防止策を施した用紙を提供できる。
【0033】また、上記請求項2に係わる発明においては、基材となる用紙の片面に、パール顔料が分散している油性タイプのオフセット用パールインキで、所望の紋様状パターンを印刷によって形成することによって、このインキの樹脂成分が用紙に浸透し、分散しているパール顔料は用紙に浸透せず表面に浮いてきて貼着され、その結果所望の紋様状の透かし効果と紋様状のパール光沢を有する偽造防止策を施した用紙とするもので、このように透かし効果とカラー複写機による複写をも防止する用紙を印刷によって形成するので、製造コストが嵩まず、小ロット製造の対応が可能な偽造防止策を施した用紙の製造方法とすることができる。
【0034】また、上記請求項3に係わる発明においては、基材となる用紙を、上質紙もしくはOCR用紙とすることによって、油性タイプのオフセット用パールインキの樹脂成分が浸透し易くなり、かつその浸透によって疑似的乾燥をも速めるもので、よってより優れた透かし効果(光透過性の高い)を有し、かつ製造効率に優位な偽造防止策を施した用紙の製造方法とすることができる。
【0035】また、上記請求項4に係わる発明においては、印刷時のオフセット用パールインキの粘度を、必要に応じてレジューサー(希釈液)で希釈して、JIS K5701に準拠したタック値3〜6、好ましくは4〜5の範囲に調整することによって、用紙への透明樹脂成分の浸透を速く深く、かつ容易にし、このタック値が6を越えると十分な深さの浸透とその速度が得られず、逆にタック値が3に満たないと印刷での画像再現性(シャープ性等)に劣ったり、乾燥に時間を要したりすることになるので好ましくない。
【0036】さらにまた、上記請求項5に係わる発明においては、オフセット用パールインキによる紋様状パターンのインキ塗布量(厚さ)を、ウエット状態で2〜6μmの範囲とすることによって、用紙へ浸透する透明樹脂成分の厚さを調整し、2μmに満たないと浸透している透明樹脂成分の厚さが足りず、透かしとしての光透過性に欠け、また6μmを越えると透明樹脂成分が浸透しきれず表面に多く残り、乾燥(酸化重合による疑似的乾燥)が遅くなり製造効率を妨げるのを防ぐ効果を有する製造方法とすることができる。
【0037】従って本発明は、切符、入場券、あるいは銀行券等の偽造、変造、改ざん、または再使用を防止する分野に用いる用紙において、特に紙に透かし紋様を含む偽造防止策を施した用紙およびその製造方法として、優れた実用上の効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号
【出願日】 平成14年1月24日(2002.1.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−211817(P2003−211817A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−15227(P2002−15227)