トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 熱転写記録媒体
【発明者】 【氏名】村山 隆
【住所又は居所】栃木県鹿沼市さつき町18番地 ソニーケミカル株式会社鹿沼工場内

【氏名】佐直 雄二
【住所又は居所】栃木県鹿沼市さつき町18番地 ソニーケミカル株式会社鹿沼工場内

【氏名】相良 猛
【住所又は居所】栃木県鹿沼市さつき町18番地 ソニーケミカル株式会社鹿沼工場内

【要約】 【課題】熱溶融性インク層を有する熱転写記録媒体を使用して、バーコードパターン等の情報を種々の性状のラベル紙やタグ紙に対して、任意の印字方向に、良好な転写性で、しかも面状剥離なく鮮明に記録できるようにし、また、転写した画像の耐擦過性を向上させる。

【解決手段】基材1上に、プライマー層2、熱溶融性インク層3及びオーバーコート層4を順次積層してなる熱転写記録媒体において、オーバーコート層の表面のJIS−Z8741に準拠するグロス値を60%以上とする。また、プライマー層2を、ワックスとそのワックスに非相溶な熱可塑性樹脂とから構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材上に、プライマー層、熱溶融性インク層及びオーバーコート層を順次積層してなる熱転写記録媒体において、該オーバーコート層の表面のJIS−Z8741に準拠するグロス値が60%以上であることを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項2】 オーバーコート層が、JIS−K2531に準拠する軟化点が80℃〜145℃のテルペン−フェノール樹脂を含有する請求項1記載の熱転写記録媒体。
【請求項3】 プライマー層が、ワックスとそのワックスに非相溶な熱可塑性樹脂とを含有する請求項1又は2記載の熱転写記録媒体。
【請求項4】 ワックスと熱可塑性樹脂との重量比が95:5〜80:20である請求項3記載の熱転写記録媒体。
【請求項5】 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である請求項3又は4記載の熱転写記録媒体。
【請求項6】 ワックスのJIS−K2235に準拠する針入度が10以下である請求項3〜5のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
【請求項7】 熱溶融性インク層が、ワックス、そのワックスに非相溶な熱溶融性樹脂、柔軟剤及び着色剤を含有してなり、熱溶融性樹脂がワックス中にドメインとして存在している請求項1〜6のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
【請求項8】 熱溶融性樹脂の100℃における溶融粘度が1000cps以上である請求項7記載の熱転写記録媒体。
【請求項9】 熱溶融性樹脂が、α−アルキルスチレン系樹脂である請求項8記載の熱転写記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バーコードパターン等の情報を、種々のラベル紙やタグ紙に対して、任意の印字方向に、良好な転写性で記録することができ、更に、面状剥離がなく、しかも耐擦過性に優れた記録画像を形成することのできる熱転写記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】熱転写記録方式を利用したプリンターは、装置をコンパクトにでき、保守も容易であり、低騒音であることなどの利点を有するため、近年、ラベルプリンター、ワードプロセッサー等において広く使用されるようになっている。このような熱転写記録方式においては、熱溶融性インク層を基材上に設けた熱溶融型の熱転写記録媒体が広く使用されている。このような熱転写記録媒体を使用して画像記録する場合、記録時にこの記録媒体の熱溶融性インク層を記録紙等の被転写体に重ね合わせ、熱転写記録媒体の基材側からサーマルヘッドなどの加熱手段により画像情報に応じて選択加熱して熱溶融性インク層を溶融させ、その溶融部分を被転写体に転写させている。
【0003】ところで、近年、プリンターの印字速度が格段に向上し、そのため、このような熱溶融型の熱転写記録媒体に対し、高速化したプリンターにも対応できるようにし、しかも得られる画像の品質を更に向上させることが求められている。具体的には、熱転写記録媒体に対しては、プリンターの高速化に応じて比較的低い記録エネルギーで表面の平滑度が異なる種々の被転写体に優れた転写性で、即ち、ボイド(白抜け)を生ずることなく記録できるようにし、しかも、意図した画像情報に応じて正確に記録できるようにし、更に、記録画像が高い耐擦過性を有するようにすることが要請されている。
【0004】このような要請に基づき、基材上に、加熱されたときに熱溶融して低粘度液体となるワックスを主成分とする剥離層(プライマー層)、加熱されたときに低粘度液体とならずに粘着性を示す熱可塑性樹脂を含有するインク層(熱溶融性インク層)、及び加熱されたときに熱溶融せず粘着性を示す熱軟化性樹脂を主成分とする密着層(オーバーコート層)が順次積層された熱転写記録媒体が提案されている(特開昭63−296984号公報、特開平1−27992号公報)。これらの公報によれば、熱転写記録媒体においては、剥離層は比較的低い印字エネルギーで溶融して基材との界面で剥離するので、熱転写時の熱溶融性インク層に好ましい切れ性を付与しており、また、密着層は、低い平滑性の被転写体に対しても、また、高い平滑性の被転写体に対しても、優れた転写性で記録画像が得られるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の熱転写記録媒体を用いて、バーコードをラベルプリンターを用いて記録しようとする場合、熱転写記録媒体に対しては、上述したようにプリンターの高速化に応じて比較的低い印字エネルギーで表面の平滑度が異なる種々のラベル紙に優れた転写性で印字できるようにし、しかも、バーコードの黒バーを所定の幅と長さとに正確に記録できるようにし、更に、記録されたバーコードパターンの耐擦過性を高めることが要請されている。
【0006】しかしながら、上述の熱転写記録媒体の密着層は、通常のラベルプリンターのサーマルヘッドにより加えられる熱量では、軟化はするものの溶融するまでには至らない。そのため、被転写体がポリエステルなどからなるOHPシートやポリプロピレンからなる合成紙等のように表面が平滑な場合には、密着層の軟化によるある程度の粘着性によって転写が可能であるが、被転写体がバーコード印刷用に一般に使用されるグロス紙(塗工量50g/m)、コート紙(塗工量10〜25g/m)、軽量コート紙(塗工量5〜10g/m)等のように表面が平滑でない場合には、依然としてボイドの発生を十分に抑制することが困難であるという問題があった。
【0007】この問題とは別に、上述のように基材上にプライマー層、熱溶融性インク層及びオーバーコート層を設けた熱転写記録媒体においては、記録すべき本来の部分に加えて、それ以外の部分が箔状に熱転写性インク層から脱落して転写されるという面状剥離(所謂、尾引き)の問題があった。例えば、図3に示したように、コート紙31にバーコードを記録した場合、得られるバーコードの各バー32は、本来のバー32a以外に尾引き部32bも有するものとなる。
【0008】このような面状剥離は、一般に次のようにして生じる。即ち、図4に示したように、基材41、プライマー層42、熱溶融性インク層43、オーバーコート層44が順次積層された熱転写記録媒体45の当該オーバーコート層44をコート紙等の被転写体40に接するように重ね、基材41側からプリンターのサーマルヘッド46で加熱し、熱転写記録媒体45と被転写体40とをサーマルヘッド46に対して矢印の方向に移動させながらプライマー層の一部42aと熱溶融性インク層43の一部43aとオーバーコート層44の一部44aを転写する場合(図4(a))、サーマルヘッド46への発熱印加信号を切った後もそのサーマルヘッド46には相当の余熱が残存するため、熱転写記録媒体45の移動方向の後方に位置するそれらの層の本来転写すべきでない部分42b、43b及び44bにも熱が伝わり、特に、余分に加熱されたプライマー層部分42bは半溶融もしくは溶融状態になる(図4(b))。この半溶融もしくは溶融状態のプライマー層部分42bは、基材41に対する接着力が弱くなっている。そのため、熱転写記録媒体45が被転写体40から引き剥がされると、本来の転写すべきプライマー層部分42aに加えて転写すべきでないプライマー層部分42bも基材41から剥離し、更にその剥離に追随して熱溶融性インク層部分43bも剥離し被転写体40に転写する。その結果、転写すべき熱溶融性インク層43aからなる転写画像に加えてギザギザの面状剥離部(尾引き部)43bが形成される(図4(c))。
【0009】本発明は以上のような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、基材上に、プライマー層、熱溶融性インク層及びオーバーコート層を順次積層してなる熱転写記録媒体を使用して、バーコードパターン等の情報をOHPシート等の平滑性の良好な被転写体に対してだけでなく、バーコード用のラベル紙やタグ紙などの平滑性に低い被転写体に対しても優れた転写性で記録できるようにすることを第1の目的とする。また、本発明は、更に、バーコードの黒バーを所定の幅と長さとに正確に記録できるように、記録画像の面状剥離を防止し、記録画像に高い耐擦過性を付与することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基材上にプライマー層、熱溶融性インク層及びオーバーコート層が順次積層してなる熱転写記録媒体において、オーバーコート層のグロス値を特定の値以上に設定することにより第1の目的が達成できること、更に、プライマー層を、ワックスと当該ワックスに非相溶な熱可塑性樹脂とから構成することにより第2の目的も達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】即ち、第1の目的を達成する本発明は、基材上に、プライマー層、熱溶融性インク層及びオーバーコート層を順次積層してなる熱転写記録媒体において、該オーバーコート層の表面のJIS−Z8741に準拠するグロス値が60%以上であることを特徴とする熱転写記録媒体を提供する。
【0012】また、本発明は、上述の熱転写記録媒体におけるプライマー層を、ワックスとそのワックスに非相溶な熱可塑性樹脂とから構成することにより第2の目的を達成する熱転写記録媒体を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱転写記録媒体を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中同一符号は同一又は同等の要素を表している。
【0014】図1は、本発明の好ましい態様の熱転写記録媒体10の断面図である。この熱転写記録媒体10は、基材1上に、プライマー層2、熱溶融性インク層3、オーバーコート層4が順次積層され、更にプライマー層2と反対側の基材1の面には耐熱滑性層5が設けられている。
【0015】本発明においてオーバーコート層4としては、その表面のJIS−Z8741に準拠するグロス値が60%以上、好ましくは75%以上のものを使用する。これにより、平滑性が十分ではないグロス紙、コート紙、軽量コート紙などに対しする密着性を向上させることができ、ボイドの発生のない優れた転写性で画像を形成することが可能となる。
【0016】オーバーコート層4のグロス値を60%以上とする方法としては、公知の手段を採用することができる。例えば、イソプロパノールなどの溶媒に溶解したオーバーコート層形成用組成物を熱溶融性インク層3上に塗工した場合には、層厚や濃度などにより異なるが、乾燥炉の温度や乾燥風量をコントロールすることによりグロス値をコントロールすることができる。溶媒としてイソプロパノールを使用する場合には、一般に80〜100℃程度の温度で乾燥(炉長5m)すると目的のグロス値を実現することができる。この場合、乾燥温度が高い方が高いグロス値を実現することができる。
【0017】オーバーコート層4を構成する材料としては、凝集力の点からJIS−K2531に準拠する軟化点が80℃〜145℃のテルペン−フェノール樹脂を使用することが好ましい。この場合、軟化点が80℃を下回るとブロッキングが発生しやすく、145℃を超えると転写性が低下しボイドが発生しやすくなる。また、テルペン−フェノール樹脂は、他の樹脂と併用すると耐擦過性が低下する傾向があるので、単独で使用することが好ましい。
【0018】なお、この範囲の軟化点のテルペン−フェノール樹脂は、通常のプリンターの記録エネルギーで十分溶融するので、従って、オーバーコート層4の転写性も良好となる。
【0019】ここで、テルペン−フェノール樹脂としては、α又はβ−ピネン、テレピン油などの不飽和テルペン類とフェノール類とをフリーデルクラフト型触媒を用いて重合して得られるものを使用することができる。この場合、樹脂中のフェノール類モノマーユニットの含有量などに特に制限はない。
【0020】オーバーコート層4には、更に必要に応じて種々の添加剤を添加することができる。例えば、画像の光学濃度や隠蔽性を向上させるためにカーボンブラック、黒鉛、マイカ、シリカなどの充填剤を添加することができる。
【0021】本発明においてプライマー層2は、比較的低い記録エネルギーにより溶融して基材1から剥離し、それにより後述する熱溶融性インク層3の基材1からの切れ性を向上させる層である。これにより、例えば、バーコードの黒バーを所定の幅と長さとに正確に記録できるようになる。また、プライマー層2は、記録画像の表面上に位置することになる。従って、バーコードの黒バーなどの記録画像の耐擦過性も向上させることができる。
【0022】この場合、プライマー層2をワックスのみから構成すると、記録時のサーマルヘッドの余熱などにより必要以外の部分も基材1から剥離する傾向があり、熱溶融性インク層3はその余分に剥離したプライマー層2の形状に応じて余分に転写される傾向がある。このため、本発明においては、プライマー層2をワックスとそのワックスに非相溶な熱可塑性樹脂とから構成することが好ましく、この場合、ミクロ的には、分散媒(マトリックス)としてのワックスに熱可塑性樹脂の分散質(ドメイン)が分散している構造とすることが好ましい。
【0023】ここで、プライマー層2を構成するワックスは、記録時の加熱により溶融して基材1からプライマー層2を剥離させやすくするために、従来より利用されているものを使用することができる。例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ロウ、蜜ロウ等の天然ワックス、パラフィンワックス、ペトロラタム、セレシン等の石油ワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸、酸アミド等の合成ワックスを単独又は二種以上を配合して使用することができる。この場合、過度に軟質のワックスを使用すると、記録時にプライマー層2と熱溶融性インク層3とが熱混合して画像の鮮明性が低下し、しかも画像の耐擦過性が損なわれるので、プライマー層2を構成するワックスとしては、JIS−K2235に準拠した針入度が好ましくは10以下、より好ましくは2以下の硬質のワックス、例えばカルナバワックス、キャンデリラワックス、ポリエチレンワックスなどを使用することが好ましい。
【0024】また、プライマー層2を構成する熱可塑性樹脂は、プライマー層2の面状剥離を防止するために、記録時の余熱によるプライマー層2の基材1からの剥離を防止して、プライマー層2の基材1への接着力を高めるために用いられている。即ち、図2(a)及びその部分拡大部図2(b)に示すように、記録時にプライマー層2(マトリックス:ワックスW、ドメイン:熱可塑性樹脂D)の本来転写すべき部分以外の部分2bがサーマルヘッド6により加熱されても、ワックスに非相溶な熱可塑性樹脂のドメインが基材1への接着力を確保するので、余分に加熱された部分2bが剥離しないようになる。よって、熱溶融性インク層3も面状剥離することなく被記録体に転写させることが可能となる。
【0025】従って、本発明のプライマー層2を構成する熱可塑性樹脂としては、サーマルヘッドの余熱で溶融せず接着力を確保できるような凝集力の良好なものを使用する必要があり、即ち、ワックスに非相溶な熱可塑性樹脂、特にワックスよりも高い溶融粘度を有するものを使用する。このような熱可塑性樹脂としては、ワックスに非相溶なものの中から適宜選択して使用することができるが、特にポリエステル樹脂を使用することが基材との接着力を向上させる点で好ましい。このようなポリエステル樹脂としては、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸やイソフタル酸、フタル酸などの芳香族二塩基酸と、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジアルコールとの重縮合物を例示することができる。ただし、ポリエステル樹脂が芳香族二塩基酸残基を含有する場合、ポリエステル樹脂中にその含有量が40重量%以下となるようにするのが、トルエンなどの溶媒に対する溶解性の点で好ましい。
【0026】また、プライマー層2中におけるワックスとそのワックスに非相溶な熱可塑性樹脂との配合割合は、面状剥離を効果的に防止する点から好ましくは95:5〜80:20とする。
【0027】なお、プライマー層2において、熱可塑性樹脂をワックス中にドメインとして存在させる方法は、特に制限はなく、常法によることができる。
【0028】本発明において熱溶融性インク層3は、従来より熱転写記録媒体において使用されているものと同様な構成とすることができるが、面状剥離の発生を有効に抑制するために、そのミクロ構造をプライマー層2と同様にすることが好ましい。即ち、熱溶融性インク層3を、ワックス、そのワックスに非相溶な熱溶融性樹脂、柔軟剤及び着色剤から構成し、熱溶融性樹脂をワッスク中にドメインとして存在させた構造とすることが好ましい。
【0029】熱溶融性インク層3におけるワックスとしては、プライマー層2で説明したものと同様のワックスを使用することができるが、特に、融点が80℃以下のものを使用することが好ましい。ワックスの融点が80℃以下であれば、印字エネルギーが14mJ/mm程度の通常のプリンターで良好に転写させることができる。
【0030】このように、ワックスと共に熱溶融性インク層3を構成する熱溶融性樹脂としては、好ましくは100℃における溶融粘度が1000cps以上のものを使用することができる。このような溶融粘度のものを使用することにより、オーバーコート層4との熱混合を抑制し、鮮明な記録画像を形成することができる。このような100℃における溶融粘度が1000cps以上の熱溶融性樹脂としては、α−アルキルスチレン系樹脂を好ましく例示することができる。
【0031】このようなα−アルキルスチレン系樹脂としては、α−メチルスチレン等のα−低級アルキルスチレンの単独重合体や、α−低級アルキルスチレンと他のモノマーとの共重合体を使用することができ、例えば、α−メチルスチレンとビニルトルエンとの共重合体を好適に使用することができる。この場合、α−アルキルスチレン系樹脂として、単独又は二種以上の樹脂を配合して使用することができる。
【0032】また、α−アルキルスチレン系樹脂としては、その重合度を適宜選択することにより軟化点が環球法(JIS−K2531)で90℃以上、特に100〜140℃のものを使用することが好ましい。α−アルキルスチレン系樹脂の使用量は、熱溶融性インク層3全体に対して5〜45重量%含有されるようにすることが好ましい。α−アルキルスチレン系樹脂が熱溶融性インク層に過剰に含有されると転写性が低下し、一方、少なすぎると転写時に面状剥離が発生し、転写画像の耐擦過性も低下したものとなる。
【0033】α−アルキルスチレン系樹脂からなる熱溶融性樹脂を、熱溶融性インク層3中でワックスを媒体としてドメインとして存在させる方法には特に制限はなく、常法によることができる。
【0034】熱溶融性インク層3に含有させる柔軟剤としては、DOP、アマニ油、オレイン酸等のオイル状のものや、EVA、EEA(エチレン−エチルアクリレート)、SBR等のゴム状のものを使用することができが、特に、ワックスと相溶性の良好なEVA、EEA等を使用することが好ましい。
【0035】着色剤は、従来より熱転写記録媒体の熱溶融性インク層の着色材として一般に使用されているものを使用することができ、カーボンブラックその他の無機顔料、有機顔料、染料等の種々の着色剤を使用することができる。また、必要に応じて、シリカ、マイカ等の充填剤を併用してもよい。
【0036】本発明において基材1としては、熱転写記録媒体の基材として一般に使用されているものを使用することができ、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等のフィルムシートあるいはコンデンサーペーパー等のペーパー類を使用することができる。
【0037】本発明において、耐熱滑性層5は、基材1のスティッキングを防止し、熱転写記録媒体の走行性を向上させるために必要に応じて設けられる。この耐熱滑性層5は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、ニトロセルロース樹脂等の耐熱性に優れた樹脂、あるいはこれらの樹脂にシリコーンオイル、フッ素パウダー等の滑剤を添加したものから形成することができる。
【0038】以上説明したような各層を有する熱転写記録媒体10は、常法に従って製造できる。例えば、基材1の片面に耐熱滑性層用の組成物をワイヤーバー等を用いて塗布乾燥して耐熱滑性層5を形成し、基材1の他方の面にワイヤーバー等を用いてプライマー層形成用組成物を塗布乾燥してプライマー層2を形成し、更にその上に熱溶融性インク層形成用組成物をグラビアコーターを用いて塗布乾燥して熱溶融性インク層3を形成し、更に、オーバーコート層形成用組成物を塗布乾燥してオーバーコート層4を形成する。これにより本発明の熱転写記録媒体が得られる。
【0039】本発明の熱転写記録媒体においては、オーバーコート層の表面のJIS−Z8741に準拠するグロス値を60%以上とする。従って、平面性の劣ったラベル紙に対しても良好な転写性で画像記録することが可能となる。また、プライマー層を、ワックスとそのワックスに非相溶な熱可塑性樹脂とから構成するので、面状剥離の発生を抑制することが可能となる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0041】実施例1〜15及び比較例1〜9片面にシリコン系耐熱滑性処理されている厚さ5μのポリエステルフィルム(帝人(株)製)の他面に、表3に示す配合(重量部)のワックス(カルナバ2号、野田ワックス(株)製)とポリエステル樹脂とからなるプライマー層形成用組成物のトルエン溶液(固形分15重量%)を乾燥厚が1μmとなるように塗布し乾燥してプライマー層を形成した。
【0042】次に、このプライマー層上に、以下の表1又は表2に示す熱溶融性インク層形成用組成物A又はBのトルエン溶液(固形分50重量%)を乾燥厚が1.5μmとなるように塗布し乾燥して熱溶融性インク層を形成した。
【0043】なお、この熱溶融性インク層形成用組成物Aの溶融粘度(100℃)は1000〜1500cps(B型粘度計)であった。また、熱溶融性インク層形成用組成物Bの溶融粘度(100℃)は1500〜2000cps(B型粘度計)であった。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】更に、この熱溶融性インク層上に、表3に示す配合(重量部)のテルペン−フェノール樹脂とカーボンブラック(MHI−217、御国色素(株)製)とからなるオーバーコート層形成用組成物のイソプロパノール溶液(固形分7重量%)を乾燥厚が0.3μmとなるように塗布し、乾燥温度及び乾燥風量を調整して所望のグロス値のオーバーコート層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0047】なお、得られた熱転写記録媒体のオーバーコート層のJIS−Z8741に準拠するグロス値(%)をデジタル変角光沢計(UGV−5D、スガ試験機株式会社製)を使用して入射角75°で測定した。その結果を表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】表3中の注*1 ポリエステル樹脂(UE−3220、ユニチカ(株)製)
(芳香族モノマーユニット含量35%)
*2 ポリエステル樹脂(UE−3230、ユニチカ(株)製)
(芳香族モノマーユニット含量30%)
*3 エチレン−酢酸ビニル共重合体(HE−10、住友化学(株)製)
*4 テルペン−フェノール共重合体(軟化点80℃)
(YSポリスターT80、安原ケミカル(株)製)
*5 テルペン−フェノール共重合体(軟化点115℃)
(YSポリスターT115、安原ケミカル(株)製)
*6 テルペン−フェノール共重合体(軟化点145℃)
(YSポリスターT145、安原ケミカル(株)製)
*7 テルペン−フェノール共重合体(軟化点70℃)
(YSポリスターT70、安原ケミカル(株)製)。
【0050】評価実施例および比較例で得た熱転写記録媒体を使用して、サーマルヘッドを有するプリンター(B−30、TEC(株)製)を用い、2種の被転写体(プラスチックペーパー及びコート紙)にそれぞれドット密度7.6dot/mm、印字速度50.4mm/秒という条件で、図5に示したようにバーコードパターンの一種であるCode39パターンの3:9dotパターン(narrow bar:wide bar=3:9)をシリアル方向に印字した。なお、印字エネルギーは、Code39の3:9dotパターンをパラレル方向に印字した場合に指定寸法通りにバーコードの幅が印字できるエネルギーとした。
【0051】得られたバーコードパターンについて、(i)転写性、(ii)面状剥離、(iii)耐擦過性を次のように評価し、さらに(iv)総合評価を次のように行い、これらの結果を表4に示した。
【0052】(i)転写性バーコードパターンの転写状態を目視にて観察した。そして、転写状態が非常に良好な場合を◎、良好な場合を○、好ましくない場合を△、非常に好ましくない場合を×で示した。
【0053】(ii)面状剥離印字したCode39をバーコード検証機を用いて、黒バー幅及びスペース幅(白バー幅)のそれぞれの規格幅からの偏差を測定し、得られた値を平均することによりバーコードパターン全体の規格値から偏差とした。この数値はバーコードパターンの指定寸法からのずれを示すもので、面状剥離が大きく生じているほど大きな値となる。
【0054】次にバーコードパターンの上から粘着テープ(セロテープ、ニチバン(株)製)を貼付け、面状剥離の部分だけをはぎ取るように転写紙から粘着テープを剥離し、再度、黒バー幅とスペース幅のそれぞれの規格値からの偏差をバーコード検証機を用いて測定した。そして、得られた値から次式にしたがって面状剥離値を求めた。
【0055】
【数1】(面状剥離値)=(印字後のバー幅の規格値からの偏差値)−(粘着テープ剥離後のバー幅の規格値からの偏差値)
【0056】このようにして得られる面状剥離値は、Code39の3:9dotパターンの場合、許容可能な規格値からの偏差値は、次式により±136μmと算出でき、これよりも偏差値が大きくなるとバーコードの読取誤差が生じるか、読取が不可能になる。
【0057】
【数2】(許容誤差)=±[{4(N−2/3)}/27]・X(式中、N=(wide bar)/(narrow bar)、Xは設定したnarrow bar幅を表す)
【0057】実施例および比較例について得られた面状剥離値を、その大きさによって次の評価基準により4段階に評価した。その評価結果を表4に示した。
【0058】

【0059】(iii)耐擦過性染色堅ろう度用摩擦試験機(JIS−L0823)を用いて、200gの荷重をかけて綿布と印刷物とを面接触させ、荷重部分を100回往復させて綿布の汚染度を観察した。そして、綿布の汚染度が低く非常に良好な場合を◎、良好な場合を○、好ましくない場合を△、非常に好ましくない場合を×で示した。
【0060】(iv)総合評価バーコードの誤読や読取不能が生じる可能性がなく、鮮明にしかも転写性、印字物の耐擦過性が良好な場合を○、そうでない場合を×で示した。なお、(i)〜(iii)の評価項目中1つでも×がある場合には、その総合評価は×となる。
【0061】
【表4】

【0062】表4に示した結果から、実施例で得られた本発明の熱転写記録媒体は、平滑性の良好なプラスチックペーパーに対しても、平滑性が低いコート紙に対しても優れた転写性を示した。また、面状剥離と耐擦過性についても優れた結果を示した。一方、比較例の熱転写記録媒体は、転写性に問題があった。
【0063】
【発明の効果】本発明の熱転写記録媒体によれば、平滑性にの良好な被転写体と平滑性が低い被転写体との双方に対して、良好な転写性で画像記録を行うことができる。また、面状剥離がなく、しかも高い耐擦過性を有する記録画像を与えることができる。従って、読取り誤差を生じないバーコードパターンを平滑性の異なる種々のラベル材料に記録することができる。
【出願人】 【識別番号】000108410
【氏名又は名称】ソニーケミカル株式会社
【住所又は居所】東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー8階
【出願日】 平成6年5月21日(1994.5.21)
【代理人】 【識別番号】100095588
【弁理士】
【氏名又は名称】田治米 登 (外1名)
【公開番号】 特開2003−182254(P2003−182254A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2002−382928(P2002−382928)