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【発明の名称】 保護層熱転写シートおよび印画物
【発明者】 【氏名】臼杵 秀樹
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

【氏名】小保内 直博
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

【要約】 【課題】保護される画像の品質を低下させることなく、低温低湿度条件下において保護層の転写を行なっても、保護層が転写された被転写材の排紙性に優れる保護層熱転写シートを提供すること。

【解決手段】基材シートの一方の面の少なくとも一部に、針状結晶の導電性無機物質を含む導電性保護層を剥離可能に設けてなることを特徴とする保護層熱転写シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材シートの一方の面の少なくとも一部に、針状結晶の導電性無機物質を含む導電性保護層を剥離可能に設けてなることを特徴とする保護層熱転写シート。
【請求項2】 保護層が、非転写性の離型層を介して基材シート上に形成されている請求項1に記載の保護層熱転写シート。
【請求項3】 保護層の表面に接着剤層が形成され、少なくとも何れかの層が針状結晶の導電性無機物質を含有する請求項1に記載の保護層熱転写シート。
【請求項4】 保護層が基材シートの表面の一部に形成され、該基材シート上には保護層と面順次に1色以上の昇華型染料層または1色以上の熱溶融型色材層から選ばれる色材層を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の保護層熱転写シート。
【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載の保護層熱転写シートを用いて、画像面に保護層が転写されていることを特徴とする印画物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剥離可能に保護層が設けられた保護層熱転写シートに関し、さらに詳しくは帯電防止性に優れるとともに、保護層転写時において被転写材の排紙性に優れる保護層熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、簡便な印刷方法として熱転写記録方法が広く使用されている。熱転写記録方法は、各種画像を簡便に形成できるため、印刷枚数が比較的少なくてもよい印刷物、例えば、身分証明書などのIDカードの作成や営業写真、あるいはパーソナルコンピュータのプリンタや、ビデオプリンタなどにおいて利用されている。
【0003】そして、使用される熱転写シートとしては、顔写真などの如くフルカラーの階調画像が好ましい場合は、連続した基材シート上に、色材層として、例えば、イエロー、マゼンタ、およびシアン(さらに必要に応じてブラック)の各色材層を面順次に繰返し多数設けたものが使われている。
【0004】また、このような熱転写シートは大別すると、加熱によって色材層が溶融軟化して色材層自身が被転写体、すなわち受像シートに転写移行する、いわゆる熱溶融転写タイプの熱転写シートと、熱により色材層中の染料が昇華して染料が受像シートに移行する、いわゆる昇華タイプの熱転写シートとに分類される。
【0005】上記のような熱転写シートを使用して身分証明書などを作製した場合、熱溶融型の熱転写シートを使用すると、文字や数字などの如き単調な画像の形成は容易であるが、これらの画像は、耐久性、特に耐磨耗性に劣るという欠点がある。
【0006】一方、昇華型の熱転写シートを使用した場合には、顔写真などの階調性画像を精密に形成することができるが、形成された画像は、通常の印刷インキによるものとは異なり、ビヒクルがなく、染料のみによって形成されているので、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性などの耐久性に劣るという欠点がある。
【0007】上記の対応として、熱溶融性インキ層あるいは昇華性染料の熱転写によって得られた画像上に、転写性保護層を有する保護層熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロールなどを用いて転写性保護層を転写させ、画像上に保護層を形成する方法が知られている。このように保護層を設けることによって、画像の耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性などをある程度向上させることができ、さらに保護層中に紫外線吸収剤などを添加することにより、画像の耐光性を向上させることが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の保護層熱転写シートを用いて保護層を転写する場合、転写時に静電気が発生して、被転写材に帯電して被転写材の排紙性が劣るという問題があり、特に低温低湿度条件下において、この帯電による排紙性の問題が大きくなっている。
【0009】このような問題は、転写性保護層に界面活性剤や第4級アンモニウム基を有する帯電防止剤を包含させることによって、ある程度解決されるが、この場合には帯電防止剤が経時的に保護層の表面にブリードアウトしてベトついたり、被転写材に対する保護層の接着性を阻害したり、転写後には保護層の表面にブリードアウトして埃などが付着して、被覆されている画像の品質を低下させるなどの問題がある。
【0010】また、帯電防止剤としてカーボンブラックや有機または無機の導電性微粒子を保護層に包含させることも考えられるが、保護層は本質的に無色透明であることが望ましいが、上記の如き帯電防止剤は、保護層を着色したり、保護層の透明性を低下させるために使用することができない。
【0011】従って、本発明の目的は、保護される画像の品質を低下させることなく、低温低湿度条件下において保護層の転写を行なっても、保護層が転写された被転写材の排紙性に優れる保護層熱転写シートを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、基材シートの一方の面の少なくとも一部に、針状結晶の導電性無機物質を含む導電性保護層を剥離可能に設けてなることを特徴とする保護層熱転写シートを提供する。
【0013】また、本発明は、好適実施形態として、保護層が、非転写性の離型層を介して基材シート上に形成されている上記の保護層熱転写シート;保護層の表面に接着剤層が形成され、少なくとも何れかの層が針状結晶の導電性無機物質を含有する上記の保護層熱転写シート;保護層が基材シートの表面の一部に形成され、該基材シート上には保護層と面順次に1色以上の昇華型染料層または1色以上の熱溶融型色材層から選ばれる色材層を有する上記の保護層熱転写シート;および以上の保護層熱転写シートを用いて、画像面に保護層が転写されていることを特徴とする印画物を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明の保護層熱転写シート10の基本形態を示す模式的拡大断面図であり、基材シート1の一方の面に、必要に応じて離型層2を介して転写性保護層3が設けられている。この際、基材シート1と転写性保護層との離型性が良好である場合には上記離型層2の形成は必須ではない。また、基材シート1の他方の面には耐熱滑性層4が設けられている。なお、好ましい実施の形態では、上記保護層3の表面に感熱接着剤層5が設けられている。
【0015】図2は、本発明の保護層熱転写シート10の他の実施の形態を示す模式的断面図であり、基材シート1の一方の面に、上記と同様に必要に応じて設けた離型層2と転写性保護層3とからなる保護層領域に加えて、該保護層と面順次に昇華性染料層Y、M、CまたはBk、またはY、M、CまたはBkの熱溶融性インキ層6から選ばれる少なくとも1層の色材層が面順次に設けられている。耐熱滑性層4および感熱接着剤層5は図1の場合と同様である。この実施形態の保護層熱転写シートを用いることにより、1種の保護層熱転写シートと1個の感熱プリンタにより、被転写材に所望の画像を形成するとともに、所望の画像領域に保護層を転写することができる。
【0016】図3は、本発明の保護層熱転写シートにより、画像表面に保護層が転写された印画物の断面図を示す。図3において、受像シートの基材7に設けられた染料受容層8を有する基材シート7に形成された染料画像9の表面にのみ保護層3が接着剤層5を介して転写されているが、該保護層3は他の画像(例えば、熱溶融性インキ層の転写による文字などの画像)を含む全体に転写されていてもよい。さらに保護される画像は、昇華転写方式による染料画像に限定されず、表面耐久性などが低いインクジェット画像や電子写真画像など、特に限定されるものではない。
【0017】以下に本発明の保護層熱転写シートを構成する各層の説明を行う。
(基材シート)本発明の保護層熱転写シートに用いられている基材シートとしては、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基材シートをそのまま用いることができるとともに、シートの表面に易接着処理がしてあるものや、その他のものも使用することができ、特に制限はされない。
【0018】好ましい基材シートの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマーなどのプラスチックフィルム、およびグラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類、セロファンなどがあり、また、これらの2種以上を積層した複合フィルムなども使用できる。これらの基材シートの厚さは、その強度および耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更するが、通常は2.5〜100μm程度が好ましい。
【0019】(離型層)基材シート上には、その上に形成する転写性保護層の転写性を適当にする離型層を設けることが好ましい。離型層を形成する樹脂としては、従来公知の離型性に優れた樹脂が何れも使用でき、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂および熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂などが挙げられる。これらの離型性樹脂は単独でも混合物としても使用できる。
【0020】以上の如き離型性樹脂から離型層を形成するには、上記の如き樹脂を架橋剤または触媒とともに、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコールなどの汎用溶剤に、例えば、固形分約5〜50重量%になるように溶解して塗布液を調製し、該塗布液を基材シートの転写性保護層を形成する領域に、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコートなどの方法で厚み(乾燥基準)0.5〜5μm程度になるように塗布および乾燥して形成する。
【0021】上記離型層は、熱転写時に被転写体に移行するもの、あるいは基材シート側に残るもの、あるいは凝集破壊するものなどを、適宜選択することができるが、離型層が非転写性であり、熱転写により離型層が基材シート側に残存し、離型層と転写性保護層との界面が、熱転写された後の保護層表面になるようにすることが、表面光沢性、保護層の転写安定性などの点で優れている。また、転写後に艶消しの保護層が望ましい場合には、離型層中に各種の粒子を包含させるか、あるいは離型層の保護層側の表面をマット処理することにより、表面をマット状にすることもできる。
【0022】(転写性保護層)本発明の特徴は、上記離型層面に形成する転写性保護層が針状結晶の導電性無機物質を含有する点である。転写性保護層を形成するための樹脂としては、従来公知の各種耐久性および透明性に優れた樹脂は何れも使用可能である。例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。なお、後述するように保護層の表面に接着剤層を形成する場合には、保護層および接着剤層の両方に上記導電性無機物質を添加してもよいし、何れか一方に添加してもよい。保護層のみに導電性無機物質を添加する場合には、十分な帯電防止性を得るためには比較的多量の導電性無機物質を要するので、接着剤層には常に導電性無機物質を添加することが好ましい。
【0023】以上の如き樹脂から転写性保護層を形成するには、上記の如き樹脂と針状結晶の導電性無機物質とを後述する如き適当な比率で、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコールなどの汎用溶剤に、例えば、固形分約5〜50重量%になるように溶解分散して塗布液を調製し、該塗布液を離型層の表面に、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコートなどの方法で厚み(乾燥基準)0.5〜5μm程度になるように塗布および乾燥して形成する。
【0024】上記で使用する針状結晶の導電性無機物質としては、チタン酸カリウム、酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素などの針状結晶を、SnO2/Sb系、InO3/Sb系、ZnO/Al系などの導電剤で処理したものであり、従来公知の針状結晶の導電性無機物質は何れも本発明で使用できる。上記導電性無機物質は、本発明では本来無色透明であるべき保護層に添加することから、保護層を着色したり、保護すべき下地画像を隠蔽させないために、白色系である酸化チタンの針状結晶を白色系であるSnO2/Sb系の導電剤で処理したものが好ましい。
【0025】上記の針状結晶の導電性無機物質は、その繊維径および長さにおいて種々のものがあるが、本発明においては繊維径が0.1〜1.0μm、長さが1〜20μmで、アスペクト比が10〜50のものが、塗布液中での分散安定性、コーティング適性などの観点から好ましい。また、該導電性無機物質の使用量は保護層形成用樹脂100重量部当たり10〜40重量部の範囲が好ましい。導電性無機物質の使用量が少なすぎると保護層の導電性が不十分であり、一方、多すぎると保護層が白濁若しくは乳白色になり、保護層としては不適当になる。
【0026】(感熱接着剤層)本発明では、転写性保護層の表面に導電性無機物質を含んでもよい感熱接着剤層を形成し、転写性保護層の転写と、転写後の保護層の画像面に対する密着性を向上させることが好ましい。この感熱接着剤層は、従来公知の感熱接着剤がいずれも使用できるが、ガラス転移温度が50〜80℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂などの如く熱時接着性の良好な樹脂から、適当なガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。
【0027】(耐熱滑性層)本発明の保護層熱転写シートは、基材シートの裏面、すなわち、転写性保護層の設けてある面と反対面に、サーマルヘッドの熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けることが好ましい。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0028】また、耐熱滑性層の耐熱性や塗膜強度および基材シートとの密着性を向上させるために、樹脂中に反応基を有する熱可塑性樹脂とポリイソシアネートとの反応硬化物や、不飽和結合を有するモノマー、オリゴマーとの反応生成物を用いることができ、硬化方法は加熱したり、電離放射線を照射したり、その硬化手段は特に限定されない。
【0029】これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加、あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサンなどのシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物および燐酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
【0030】耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、さらに充填剤を、適当な溶剤により、溶解または分散させて、耐熱滑性層形成用インキを調製し、これを、上記の基材シートの裏面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法などの形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。その耐熱滑性層の厚さは、固形分で0.1〜2μm程度である。
【0031】本発明の保護層熱転写シートは、上記に記載した転写性保護層を基材シート上に単独で設けてもよいし、図2に示すように、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)またはBk(ブラック)各色の染料層や、Y、M、CまたはBkの熱溶融性インキ層とともに、面順次に設ける構成としてもよい。上記染料層は公知の方法で適当な昇華性染料を適当なバインダー樹脂から形成され、上記熱溶融性インキ層は公知の方法で適当な顔料と適当なワックスなどの熱溶融性物質から形成される。
【0032】上記の如き保護層熱転写シートを使用して、保護層が転写され、かつ画像が形成される被転写体である受像シートは、特に限定されない。例えば、基材として普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルムなど、いずれのシートでもよく、また、形状的には、カード、葉書、パスポート、便箋、レポート用紙、ノート、カタログなどのいずれのものでもよく、その基材上に染料の受容性を有する受容層を設けたものが適用可能である。その受容層の設け方は、コーティング法でも、あるいはサーマルヘッドや熱ロールなどによる熱転写でもよい。なお、基材自体が染料の受容性を有していれば、受容層を設ける必要がない。
【0033】また、本発明の保護層熱転写シートを用いて、IDカード、身分証明書、免許証などのカード類の作成を行うこともできる。これらのカードは写真などの画像情報の他に、文字情報を含むものである。この場合、例えば、文字情報形成は熱溶融転写方式により行い、写真などの画像形成は昇華転写方式で行うこともできる。さらにカードには、エンボス、サイン、ICメモリー、磁気層、ホログラム、その他の印刷などを設けることもでき、保護層転写後にエンボス、サイン、磁気層などを設けることもできる。
【0034】転写に際しては熱転写プリンタは、昇華転写用、熱溶融転写用、保護層転写用というように別々に転写条件を設定してもよいし、また、共通のプリンタでそれぞれ印字エネルギーを適切に調整して行ってもよい。なお、本発明の保護層熱転写シートでは、加熱手段として熱転写プリンタに限定されず、その他、熱板、ホットスタンパー、熱ロール、ラインヒーター、アイロンなどでも転写できる。また、保護層は、形成された画像の全面に転写してもよいし、特定の部分のみに転写してもよい。
【0035】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中、「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
実施例1〜12および比較例1〜8背面に耐熱滑性層が形成されているポリエチレンテレフタレートフィルムの片方の面に下記の離型層用塗布液を塗布および乾燥して離型層を形成し、さらに表1〜4に記載の保護層用塗布液および接着剤層用塗布液を、表5に記載の組み合わせで順に塗布および乾燥して実施例1〜12および比較例1〜8の保護層熱転写シートを得た。
【0036】<離型層用塗布液>・アクリル−スチレン系樹脂(セルトップ226、ダイセル化学社製) 16部・アルミ触媒(セルトップCAT−A、ダイセル化学社製) 3部・メチルエチルケトン 8部・トルエン 8部なお、各層の塗布量は固形分基準で下記の通りとした。
離型層:0.5〜3.0g/m2保護層:0.5〜5.0g/m2接着剤層:0.5〜5.0g/m2【0037】

【0038】

表中の針状導電性無機物質FSS−10Mは酸化スズ(アンチモンドープ)の針状導電性材料であり、径0.01〜0.02μm、長さ0.2〜2.0μm、アスペクト比20〜30である。
【0039】

【0040】

表中の4級アンモニウム塩はスタチサイド(A.C.L社製)である。
【0041】<評価項目>・塗布適性:表5に記載の各保護層熱転写シートを製造する際の各塗布液の塗布適性をテーブル評価にて、はじき、むらなどを確認した。
○:良好。
△:はじきあり。
×:はじきがあり、くもりが発生。
【0042】・透明性:YMC3色の昇華型熱転写シートを用いて市販の専用受像紙に黒ベタ画像を印画した印画物に、表5に記載の各保護層熱転写シートを用いて転写保護層を転写した場合と、導電性無機物質の添加を行なわない以外は同じ転写保護層を転写した場合との印画物濃度(O.D.値2.0付近をRD−918で測定した。)の差を確認した。
○:ほとんど濃度低下がなく、低下率5%未満。
△:若干の濃度低下があり、低下率5%以上10%未満。
【0043】・転写物表面電気低抗:上記の保護層を転写した印画物について、三菱油化社製Hiresta IP MCP-HT250を用いて測定した。
【0044】・転写物表面帯電減衰((1/2)sec):上記の保護層を転写した印画物について、シシド静電気株式会社製スタッチ・オネストメーター(TYPEH-0110)を用いて測定した。
【0045】・転写物さばき性:上記の保護層を転写した印画物について、2枚の印画物を重ねてこすり合わせた後、片方の印画物を指で挟んで持ち、もう片方の印画物との静電気での貼りつき度合いを確認した。
○:貼りつかず、容易に手でさばける。
×:貼りつき、手でさばくことが困難。
【0046】・排紙不良改善:表5に記載の各保護層熱転写シートを用いて、ノーリツ社製プリンタDCP648で、静電気の発生しやすい低温低湿度(15℃、20%RH)下で連続転写を行ない、静電気により排紙口付近で転写物のつまりが発生しないかどうかを確認した。
○:良好に排紙。
×:つまりが発生。
【0047】・耐可塑剤性:上記の保護層を転写した印画物について、可塑剤入り軟質塩ビシート(三菱化学社製アルトロン、#480、厚み400μm)と転写物を重ねあわせ、さらに荷重を単位平方センチメートルあたり40gかけ、50℃環境下に60時間保存し、可塑剤による印画物のダメージを目視評価した。
○:ダメージなし。
△:軟質塩ビシートに染料移行が少ない。
×:軟質塩ビシートに染料移行が多い。
【0048】・箔切れ性:表5に記載の各保護層熱転写シートを用いてプリンタによる転写時に、保護層の転写最終部に樹脂膜の尾引きが発生しないかどうかを確認した。
○:尾引きがなく問題なし。
△:5mm未満の尾引きあり。
×:5mm以上の尾引きあり。
【0049】・耐擦過性:上記の保護層を転写した印画物について、ROTARY ABRASION TESTER(東洋精機社製)を用い、磨耗輪CS−10、荷重500gで500回転し、目視にて耐久性を判断した。
○:良好で画像破壊なし。
×:画像破壊が発生。
【0050】

【0051】

【0052】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、保護される画像の品質を低下させることなく、低温低湿度条件下において保護層の転写を行なっても、保護層が転写された被転写材の排紙性に優れる保護層熱転写シートを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号
【出願日】 平成13年11月19日(2001.11.19)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外1名)
【公開番号】 特開2003−145946(P2003−145946A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−352522(P2001−352522)