| 【発明の名称】 |
反応加速バインダー及びこれを用いた画像記録用組成物並びに画像記録シート |
| 【発明者】 |
【氏名】久保田 幸雄 【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光学工業株式会社内
【氏名】鈴木 実 【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光学工業株式会社内
【氏名】新保 和幸 【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光学工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】構成成分に影響を与えず、かつ煩雑な操作を必要とせずに低温度領域においても短時間で鮮明な画像が得られる画像記録用組成物及び画像記録シートを提供する。
【解決手段】カルボキシル基を有する水溶性高分子をバインダーとして用いることにより、バインダーに反応加速剤に近い性質を持たせ発色反応を速やかに行うとともに、バインダー以外に反応加速剤を用いないことにより、pH調整の煩雑さ、他の構成成分への影響等の従来の反応加速剤を用いることにより発生する不利益を除去する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロイコ染料とフェノール系顕色剤との発色反応を加速する作用を有する反応加速バインダーであって、カルボキシル基を有する水溶性高分子からなることを特徴とする反応加速バインダー。 【請求項2】 請求項1に記載の反応加速バインダーにおいて、前記カルボキシル基を有する水溶性高分子がカルボン酸変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする反応加速バインダー。 【請求項3】 請求項2に記載の反応加速バインダーにおいて、前記カルボン酸変性ポリビニルアルコールが、ポリビニルアルコールとビニルカルボン酸化合物とのグラフト重合又はブロック重合により得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコールであることを特徴とする反応加速バインダー。 【請求項4】 請求項2に記載の反応加速バインダーにおいて、前記カルボン酸変性ポリビニルアルコールが、ビニルエステル化合物とビニルカルボン酸化合物とを共重合した後、けん化することにより得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコールであることを特徴とする反応加速バインダー。 【請求項5】 請求項2に記載の反応加速バインダーにおいて、前記カルボン酸変性ポリビニルアルコールが、ポリビニルアルコールと無水カルボン酸との反応により得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコールであることを特徴とする反応加速バインダー。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の反応加速バインダーにおいて、前記反応加速バインダーの[分子内のカルボキシル基数]/[カルボキシル基中の炭素を除く分子内の炭素原子数]の値が0.01〜2であることを特徴とする反応加速バインダー。 【請求項7】 ロイコ染料を封入したマイクロカプセルと、フェノール系顕色剤と、請求項1〜6のいずれかに記載の反応加速バインダーとを含有することを特徴とする画像記録用組成物。 【請求項8】 請求項7に記載の画像記録用組成物において、前記フェノール系顕色剤1重量部に対して、前記反応加速バインダーを0.01〜1重量部含有することを特徴とする画像記録用組成物。 【請求項9】 請求項7又は8に記載の画像記録用組成物において、さらに増感剤及び/又は感熱染料を含有することを特徴とする画像記録用組成物。 【請求項10】 支持体の上に請求項7〜9のいずれかに記載の画像記録用組成物を塗布することにより発色層を形成したことを特徴とする画像記録用シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は低温度領域においても発色反応を加速する作用を有する反応加速バインダー、及びこれを用いた画像記録用組成物並びに画像記録用シートに関する。 【0002】 【従来の技術】従来から高解像度の記録方式として、感圧感熱記録方式が提案されている。感圧感熱記録方式は、発色性物質(ロイコ染料)を封入したマイクロカプセル及びこれを熱的に発色させる顕色剤を表面に塗布した記録紙を、サーマルヘッドで加熱・加圧することにより、マイクロカプセルを破壊して記録紙に色材を定着させ画像を形成する方法である。 【0003】感圧感熱記録方式においては、マイクロカプセルが所定の温度以上で加熱されるとともに所定の破壊圧力以上で加圧された場合にのみ潰れるよう、マイクロカプセル壁膜の厚さや材質がコントロールされている。このため、シアン、マゼンタ、イエロー等複数の色に対応したマイクロカプセルを記録紙表面に塗工し、各色ごとに選択的に加圧と加熱とを制御することにより、高精度のフルカラー画像を形成することも可能である。 【0004】一般に、感圧感熱記録用画像記録シートは、保存性、信頼性確保のため通常の状態で発色しないように、作用温度120℃以上が望ましいとされており、低温のものでもせいぜい作用温度100℃付近のものしか存在しない。しかし、シアン、マゼンタ、イエロー等多色のマイクロカプセルを用いる場合、誤って他の色のマイクロカプセルが破壊されるのを防ぐため、例えば図1に示すように各色ごとのマイクロカプセルの破壊温度・圧力領域が重複しないよう設計する必要がある。このため、単色の画像記録シートでは要求されなかった低温領域においても作用温度を確保する必要がある。 【0005】しかし、従来の画像記録シートでは、マイクロカプセル自体が破壊されても、ロイコ染料の種類によってはフェノール系顕色剤との反応速度が非常に遅く、十分な発色を得るためには、数時間を要する場合もあった。特に黄色染料の発色濃度が極めて低いので、他の色とのバランスが悪いという問題があった。 【0006】このため反応加速剤を添加してロイコ染料とフェノール系顕色剤との発色反応を加速することが提案されている。しかしながら、従来の多価カルボン酸からなる反応加速剤を添加した場合には、反応加速剤が一般に強酸性であるため、塗布液のpH調整が必要となるのみならず、分散安定剤の添加が必要となるため、pH調整及び分散の操作が煩雑となり、さらに他の構成成分と凝集を生じる等の問題があった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的は、構成成分に影響を与えず、かつ煩雑な操作を必要とせずに低温度領域においても短時間で鮮明な画像が得られる画像記録用組成物及び画像記録シートを提供することである。 【0008】 【課題を解決する手段】上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、カルボキシル基を有する水溶性高分子をバインダーとして用いることにより、バインダーに反応加速剤に近い性質を持たせ発色反応を速やかに行うとともに、バインダー以外に反応加速剤を用いないことにより、pH調整の煩雑さ、他の構成成分への影響等の従来の反応加速剤を用いることにより発生する不利益を除去できることを発見し、本発明に想到した。 【0009】すなわち、ロイコ染料とフェノール系顕色剤との反応を加速する作用を有する本発明の反応加速バインダーは、カルボキシル基を有する水溶性高分子からなることを特徴とする。 【0010】前記カルボキシル基を有する水溶性高分子は、カルボン酸変性ポリビニルアルコールであるのが好ましい。カルボン酸変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとビニルカルボン酸化合物とのグラフト重合又はブロック重合により得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール、ビニルエステル化合物とビニルカルボン酸化合物とを共重合した後、けん化することにより得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコールと無水カルボン酸との反応により得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコールが好ましい。 【0011】前記反応加速バインダーの[分子内のカルボキシル基数]/[カルボキシル基中の炭素を除く分子内の炭素原子数]の値は0.01〜2であるのが好ましい。 【0012】本発明の画像記録用組成物は、ロイコ染料を封入したマイクロカプセルと、フェノール系顕色剤と、上記反応加速バインダーとを含有することを特徴とする。 【0013】画像記録用組成物は、フェノール系顕色剤1重量部に対して反応加速バインダーを0.01〜1重量部含有するのが好ましい。また画像記録用組成物は、さらに増感剤及び/又は感熱染料を含有していてもよい。 【0014】本発明の画像記録用シートは、支持体の上に上記画像記録用組成物を塗布することにより発色層を形成したことを特徴とする。 【0015】 【発明の実施の形態】[1] 反応加速バインダー本発明の反応加速バインダーは、カルボキシル基を有する水溶性高分子からなり、バインダーとしての機能と反応加速剤としての機能を併有する。反応加速バインダーは、ロイコ染料とフェノール系顕色剤との反応スピードを速め、低温領域においてもロイコ染料の種類によらず速やかで良好な発色を得ることができる。 【0016】カルボキシル基を有する水溶性高分子は、分子内にカルボン酸を高密度に集積した水溶性高分子であり、水溶性高分子にカルボキシル基を導入するのが好ましい。水溶性高分子としては、ポリヌクレオチド、ポリペプチド(ゼラチン、カゼイン等)、多糖類(デンプン、ペクチン等)等の天然高分子、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビスコース等の半合成高分子、又はポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル、水溶性ナイロン等の合成高分子を広く使用することができる。ここで水溶性ポリエステルは、ポリエステルをポリエチレンオキシド、トリメリット酸無水物等により変性した樹脂であり、水溶性ナイロンは、ポリアルキレングリコールをシアノエチル化した後、水素付加してジアミンを作り、このジアミンとアジピン酸とのいわゆるナイロン塩にカプロラクタムを反応させることによって得られる樹脂である。 【0017】カルボキシル基を有する水溶性高分子としては、■ポリビニルアルコールにカルボキシル基を導入したカルボン酸変性ポリビニルアルコール[例えばクラレポバールKL-318(商品名、(株)クラレ製)、ゴーセナールT-350(商品名、日本合成化学工業(株)製)、テイサンレジンPV-D(商品名、帝国化学産業(株)製)等]、■分子内にカルボキシル基を導入した水溶性ポリエステル[例えばガブセン(商品名、帝国化学産業(株)製)等]、■エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等との共重合物にNa、Zn等の金属カチオンを作用させたアイオノマー[例えばサーリン(商品名、デュポン社製)等]等が挙げられる。これらの中でクラレポバールKL-318(以下「KL-318」と記す)、ゴーセナールT-350(以下「T-350」と記す)、テイサンレジンPV-D(以下「PV-D」と記す)等のカルボン酸変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。 【0018】カルボン酸変性ポリビニルアルコールは、分子内にカルボキシル基を高密度に有するものであればよいが、特に(a) ポリビニルアルコールとビニルカルボン酸化合物とのグラフト重合又はブロック重合により得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール、(b) ビニルエステル化合物とビニルカルボン酸化合物を共重合した後、けん化することにより得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコール、(C) ポリビニルアルコールと無水カルボン酸との反応により得られるカルボキシル基含有ポリビニルアルコールが好ましい。 【0019】ポリビニルアルコールは、通常酢酸ビニルのラジカル重合により得られるポリ酢酸ビニルを加水分解(けん化)することにより製造される。ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で他のオレフィン性不飽和化合物と共重合していてもよい。具体的なオレフィン性不飽和化合物としては、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、クロトン酸、エチレン、マレイン酸、メチルメタクリレート、塩化ビニル等が挙げられる。 【0020】(a) グラフト重合物又はブロック重合物ポリビニルアルコールとビニルカルボン酸化合物とのグラフト重合又はブロック重合により、分子内にカルボキシル基を高密度に導入することができる。グラフト重合又はブロック重合に用いることができる好ましいビニルカルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸等のカルボキシル基又はその無水物含有化合物を挙げることができる。これらのビニルカルボン酸化合物は単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。またハロゲン、官能基(ヒドロキシル基、メトキシ基等)等を有していてもよい。 【0021】グラフト重合又はブロック重合の方法は特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば特開平6-016738号等に記載の、チオール基を末端又は分子内に有するポリビニルアルコールに上記ビニルカルボン酸化合物をラジカル重合させる方法等を用いることができる。またグラフト重合又はブロック重合は、ビニルカルボン酸化合物と他のオレフィン性不飽和化合物との共重合であってもよい。他のオレフィン性不飽和化合物としては、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、エチレン、スチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。 【0022】(b) 共重合物ビニルエステル化合物とビニルカルボン酸化合物とを共重合した後けん化することにより、カルボキシル基を高密度に有するカルボン酸変性ポリビニルアルコールを得ることができる。例えば特開昭49-36797号、特開昭53-91995号等に記載の方法を好ましく用いることができる。共重合反応に用いることができる好ましいビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビバリン酸ビニル等が挙げられる。これらの中で酢酸ビニルが特に好ましい。また好ましいビニルカルボン酸化合物としては、(a)に例示した化合物等のエチレン性不飽和カルボン酸、炭素数1〜18のそれらのアルキルエステル(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシル等)等が挙げられる。 【0023】(c) ポリビニルアルコールのカルボキシル化ポリビニルアルコールにカルボキシル化剤を反応させて分子内にカルボキシル基を導入することができる。例えば、ポリビニルアルコールとカルボン酸無水物とを反応させて得られるカルボン酸変性ポリビニルアルコールは、分子内にカルボキシル基を高密度に有するため本発明の反応加速バインダーとして好ましい。カルボキシル化の方法は、特開平7-173219号、特開平4-283749号、特開昭54-28389号等に記載の方法を好ましく用いることができる。カルボキシル化に用いる好ましいカルボン酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水グルタル酸、水添フタル酸無水物、ナフタリンジカルボン酸無水物等が挙げられる。 【0024】カルボン酸変性ポリビニルアルコール等カルボキシル基を有する水溶性高分子は、数平均重合度が好ましくは50〜3000であり、より好ましくは300〜2000である。数平均重合度が50より低くなるとポリマーの機械的強度が著しく低下し、数平均重合度が3000より高くなると水溶性が低下する。またカルボン酸変性ポリビニルアルコールのけん化度は、好ましくは60〜99モル%である。けん化度が60モル%より低くなると水溶性が大幅に低下する。 【0025】カルボキシル基を有する水溶性高分子からなる反応加速バインダーは、バインダー分子内のカルボキシル基が高密度に集積している方が、ロイコ染料と顕色剤との反応を加速する効果が高く好ましい。しかし、カルボキシル基の密度が高過ぎると常温で発色するのみならず、バインダーとして粘度が高くなり過ぎ、印加時にカプセルが壊れなくなるという不都合を生じる。このためバインダー分子内のカルボキシル基の集積度を表す[分子内のカルボキシル基数]/[カルボキシル基中の炭素を除く分子内の炭素原子数]の値が0.01〜2の範囲にあるのが好ましく、0.01〜1の範囲にあるのがより好ましい。0.01未満では反応加速剤としての効果が十分でなく、2を超えるものはカルボキシル基の密度が高過ぎるため事実上使用できない。 【0026】本発明の反応加速バインダーは、メリット酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸等の低分子の反応加速剤と比較して同程度の反応加速作用を有する。また水溶性であるため塗布液中での分散性がよく、強酸性でないためpH調整の必要がなく、また凝集等他の構成成分への影響がないという利点を有する。さらにバインダーと反応加速剤の両方の機能を有するため、別にバインダー又は反応加速剤の構成材料を必要とせずコストを低減することができるという利点を有する。 【0027】[2] 画像記録用組成物本発明の画像記録用組成物は、ロイコ染料を封入したマイクロカプセル、フェノール系顕色剤、及び上記反応加速バインダーを含有する。画像記録用組成物は、必要に応じてさらに増感剤及び/又は感熱染料を含有してもよい。 【0028】(1) 反応加速バインダーマイクロカプセルにロイコ染料を封入して多色発色する場合は、マイクロカプセルの破壊温度・圧力領域が重複しないように低温度領域においても作用温度を確保する必要がある。このため、本発明の画像記録用組成物は、バインダーとして反応加速剤としての機能を併有する上記カルボキシル基を有する水溶性高分子を用いる。これによりロイコ染料とフェノール系顕色剤の発色反応を加速し、低温度領域においてもロイコ染料の種類によらず速やかに良好な発色を得ることができる。また反応加速バインダーは、画像記録用組成物に通常バインダーとして用いるメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルアルコール等と同様に結着剤としての機能を有する。 【0029】反応加速バインダーの濃度が高い方が反応加速効果が大きいが、大量に使用すると顕色剤として働き常温で発色が起こるため好ましくない。反応加速剤としての反応加速バインダーの上限濃度は、下地発色濃度、すなわち、非印画領域で不慮の加圧でカプセルから流出した非加熱のロイコ染料が発色する濃度を目安とする。反応加速バインダーの種類にもよっても異なるが、一般にフェノール系顕色剤1重量部に対し、反応加速バインダーが好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。 【0030】反応加速バインダーは結着剤としての機能を果たすため、画像記録用組成物を含む塗工液全体に対して好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%含有する。0.5重量%より少ないと形成した発色層が脆くなり、支持体の上に十分に保持することができない。一方、5重量%よりも多くなるとマイクロカプセルが壊れにくくなる。 【0031】(2) フェノール系顕色剤本発明において、フェノール系顕色剤はマイクロカプセルから放出されたロイコ染料と接触してロイコ染料を発色させる機能を有する。 【0032】実用に供せられるほぼ無臭のフェノール系顕色剤はその構造上融点が高いため(百数十℃〜300℃)、本発明が目標とする低温領域で発色反応を起こりやすくすべく、後述の増感剤を用いて融点を低下させることが好ましい。 【0033】本発明に用いるフェノール系顕色剤として、例えば、p-オクチルフェノール、p-第三ブチルフェノール、p-フェニルフェノール、p-ヒドロキシアセトフェノン、α-ナフトール、β-ナフトール、p-第三オクチルカテコール、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、1,1−ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニルチオ)エトキシ〕メタン、4-(4-イソプロポキシベンゼンスルホニル)フェノール、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3,5-ジ第三ブチルサリチル酸、2,4-ジヒドロキシベンズアニリド、2,4-ジヒドロキシ-2’-メトキシベンズアニリド、2,4-ジヒドロキシ-2’,4’-ジメチルベンズアニリド、2,4,-ジヒドロキシ-2’-メトキシ-5’-メチルベンズアニリド、ビス(4-(2,4-ジヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)-3-メトキシフェニル)メタン、4-メチルベンゼンスルホン酸-2-ヒドロキシアニリドなどのフェノール類の他、フェノール基を有するオリゴマー又はポリマーを用いることができる。 【0034】本発明に特に好ましく用いることのできるフェノール系顕色剤としては、平均分子量(Mn)600〜50,000のフェノール系顕色剤が挙げられる。また、分子内にフェノール基を4個以上有するものが好ましい。このようなフェノール系顕色剤は、フェノール基を有するモノマーを重合したり、ポリマーにフェノール基を導入することにより得られる。当該顕色剤は、モノフェノール類、ビスフェノール類等の顕色剤と比較して、体内に吸収されにくいので環境ホルモンの危険性が低く、保存安定性にも優れている。 【0035】分子内にフェノール基を4個以上有する平均分子量(Mn)600〜50,000のフェノール系顕色剤の具体例として、例えば、ポリパラヒドロキシスチレン(分子量2,000〜22,000)等、市販品では、「ADK ARKLS K-5」(分子量2,000〜4,000、旭電化工業(株):以下「K-5」と記す)、ビス-[3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert−ブチルフェニル)ブタン酸]-グリコールエステル「ホスタノックス O3」(分子量794、(株)クラリアントジャパン)等を挙げることができる。 【0036】他の顕色剤を用いる必要はないが、発色感度を増大させる必要がある場合は、カルボン酸系顕色剤あるいは金属塩系顕色剤などの周知の顕色剤を併用することができる。また、これらの他の顕色剤を併用することによってフェノール系顕色剤の使用量を低減することもできる。 【0037】(3) マイクロカプセル本発明の画像記録シートに用いるマイクロカプセルは、ロイコ染料を適当な溶剤に分散した芯物質を非熱可塑性合成樹脂からなるマイクロカプセル壁膜で封入したものである。 【0038】ロイコ染料は、通常は無色または淡色の化合物であり酸化により発色体を形成する化合物である。ロイコ染料としては、pH指示薬フェノールフタレインの構造改変によって、酸触媒で発色するもの(フルオラン系色素等)を好ましく使用できる。本発明に用いるロイコ染料の具体例として、【0039】 【化1】
【0040】 【化2】
【0041】 【化3】
【0042】等を挙げることができる。これらロイコ染料は2種類以上を併用してもよい。 【0043】ロイコ染料の量は、一般にマイクロカプセルの内包物を100重量%として、0.1〜40重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。0.1重量%より少なくなると発色が不充分となり、鮮明な画像が得られなくなるので好ましくない。また、40重量%より多くなるとカプセル化が困難になるので好ましくない。 【0044】ロイコ染料は、例えば透明オイルに混入してマイクロカプセルに封入する。透明オイルとしては、2,7-ジイソプロピルナフタリンオイルが好ましい。 【0045】本発明に用いるマイクロカプセルは、公知のコアセルベーション法、界面重合法、in situ法などにより製造できる。 【0046】例えばin situ法マイクロカプセルの代表的なものとして、多価イソシアネートを用いたポリウレタンカプセルと、メラミン−ホルマリン樹脂カプセルがある。 【0047】ポリウレタンからなるカプセルを作製する場合、多価イソシアネートとポリヒドロキシ化合物の両者を同時に油相中に溶解しておき、これを保護コロイド水溶液中に乳化分散し、さらに昇温して反応を起こさせカプセル壁を形成させる。 【0048】メラミン−ホルマリン樹脂からなるカプセルを作成する場合、水に可溶性のメラミン−ホルマリンプレポリマーを用いる。色材を溶解したオイルを保護コロイド水溶液中に乳化分散したO/Wエマルジョンに、このプレポリマー水溶液を加えて弱酸性領域(pH3〜6)で加熱攪拌するとO/W界面に高分子が沈着してマイクロカプセルが得られる。保護コロイドとしては、メラミン−ホルマリン樹脂の重縮合反応を促進する酸触媒としての機能を有するもの(例えば、スチレンスルホン酸系ポリマー、スチレンと無水マレイン酸の共重合体、エチレンと無水マレイン酸の共重合体、アラビアゴム、ポリアクリル酸等)を用いることができる。 【0049】これらのマイクロカプセル以外にも、使用前の保管もしくは輸送中に生じる加圧あるいは加熱においては破壊せず、内容物を十分に保持できるが、所定条件での加熱・加圧に付すると破壊され、内部に包含しているロイコ染料を放出し得るものであれば、特に限定されることはなく公知のカプセルを用いることができる。 【0050】画像記録用組成物に添加する際は、得られたマイクロカプセルの懸濁液の水分量を調節して、1〜25重量%として用いることが好ましい。 【0051】(4) 増感剤増感剤は、ロイコ染料又はフェノール系顕色剤の融点を目標作用温度(発色温度)まで低下させ、低温度領域での発色を可能にする。好ましい増感剤としてアセト酢酸アニリド、アセト酢酸2,5-ジメトキシアニリド、アセト酢酸σ-アニシダイド、アセト酢酸m-キシリダイド、アセト酢酸σ-クロロアニリド、アセト酢酸2,5-ジメトキシ-4-クロロアニリド、アセト酢酸σ-トルイダイド、アセト酢酸p-トルイダイド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ウラリン酸アミド等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸2,5-ジメトキシアニリド、ラウリン酸アミド又はステアリン酸アミドである。上記増感剤の中から適切な化合物を選択するとともに、その使用量を調整することにより融点を目標作用温度まで低下させ、かつ常温で発色しないようにすることができる。増感剤の使用量は、フェノール系顕色剤1重量部に対し1/10〜1重量部であり、好ましくは1/5〜1/3重量部である。 【0052】(5) 感熱染料画像記録用組成物は、染料としてマイクロカプセルに封入したロイコ染料以外に感熱染料を含有してもよい。感熱染料はロイコ染料、ジアゾ染料等を適宜使用可能であるが、ロイコ染料が特に好ましい。感熱染料とマイクロカプセルに封入したロイコ染料は、それぞれの発色温度領域が重複しない組み合わせを選択するのが好ましく、このように選択することによりロイコ染料と感熱染料それぞれの発色温度の違いから色分離のよい多色発色を得ることができる。 【0053】(6) 添加剤本発明の画像記録シートの発色層には、填料や他の添加剤を添加してもよい。填料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用することができる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。 【0054】また公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、保存安定剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等各種添加剤を使用することができる。 【0055】[3] 画像記録シートの製造方法本発明の画像記録シートは、支持体上にロイコ染料を封入したマイクロカプセル、フェノール系顕色剤、反応加速バインダー、必要に応じて用いる増感剤、感熱染料、各種添加剤等を含有する画像記録用組成物を塗布して少なくとも一層以上の発色層を形成することにより製造する。 【0056】フェノール系顕色剤、増感剤等は、常温では固形物なので、通常、ボールミル、アトライザー、サンドグラインダーなどの磨砕機あるいは適当な乳化装置により微粒化された後、画像記録用組成物に添加する。 【0057】画像記録用組成物を塗布に適した濃度に調製した後、周知のアプリケータ法、バーコーター法、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ダイコーティング法、リップコーティング法、エアナイフコーティング法等を用いて、支持体上に塗布する。塗布量は、固形物の乾燥重量で0.5〜20g/m2とする。 【0058】支持体としては、通常の感熱紙に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用することができる。支持体のカールバランスを補正するため或いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。 【0059】支持体の上に複数の発色層を積層することにより多層構造の画像記録シートを形成してもよい。例えば、ロイコ染料を封入したマイクロカプセルを含む層の上下に感熱染料を含む層を設けたり、異なる破壊温度、破壊圧力を有するマイクロカプセルをそれぞれ別の発色層に含有させたりすることもできる。このような多層構造を形成することにより選択性の高い多色発色を得ることができる。 【0060】得られた画像記録シートはファクシミリ用紙、プリンター用紙、値札、切符などの各種の用途に用いることができる。 【0061】 【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。 【0062】実施例1(1) 画像記録シートの作製(a) マイクロカプセル■色材溶液94重量%の2,7-ジイソプロピルナフタリンオイル(KMC113オイル、呉羽化学工業(株)製)に4重量%の3-N-エチル-N-イソペンチルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン(Red-500)と、2重量%の3-ジメチルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン(Red-3)を溶解してカラーホーマー溶液を作製した。(A液) 【0063】■保護コロイド水溶液保護コロイド及び酸触媒として機能する5gのポリビニルベンゼンスルホン酸の一部ナトリウム塩を95gの精製水で溶解し、保護コロイド水溶液を作製した。(B液) 【0064】■乳化分散上記A液とB液とを混合し、ホモジナイザーを用いて液滴を平均粒径5μm程度となるように乳化分散させ、O/Wエマルジョンとした。(C液) 【0065】■メラミン−ホルマリンプレポリマー水溶液14gのメラミンと2重量%NaOH水溶液でpH9に調整した36gのホルマリン(37重量%ホルムアルデヒド水溶液)を混合し、70℃で反応させた。メラミンが溶解したら直ちに50gの精製水を加えて攪拌し、メラミン−ホルマリンプレポリマー水溶液を作製した。(D液) 【0066】■pH調整上記C液とD液を混合し、ゆっくり攪拌しながら温度を30℃に保持し、20重量%酢酸を使用して、pH3〜6に調整した。 【0067】■カプセル化(in situ重合) その状態のまま温度を65℃まで上昇させ、約1時間攪拌しながら縮重合反応を進行させ、平均粒径5μmのマイクロカプセルを作製した。 【0068】(b) 顕色剤平均粒径3μm、分子量2,000〜4,000のフェノールオリゴマー(K-5、旭電化工業(株)製)を16重量%の濃度で含有する水溶液を使用した。 【0069】(c) 増感剤平均粒径0.5μmのラウリン酸アミド(ダイヤミッド-Y、日本化成(株)製)を16重量%の濃度で含有する水溶液を使用した。 【0070】(d) 反応加速バインダーポリビニルアルコールにビニルカルボン酸をグラフト重合したカルボン酸変性ポリビニルアルコール(PV-D、帝国化学産業(株)製)を15重量%の濃度で含有する水溶液を使用した。 【0071】(2) 画像記録シートの作製濃度25重量%のマイクロカプセル含有水に対して、濃度16重量%のK-5水溶液、濃度16重量%のダイヤミッド-Y及び濃度15重量%のPV-Dを、重量比が1:1:0.5:0.5となるように混合・撹拌して、塗工液を調製した。表1に塗工液に含まれる成分、平均粒径、各成分水溶液の重量比、塗工液中の固形分濃度、及び固形分重量比を示す。 【0072】 【表1】
注:(1) 塗工液を構成する各成分水溶液の混合比率(2) 塗工液中の固形分濃度(重量%) 【0073】この塗工液をバーコーティングにより低感度黒感熱紙に塗布(固形物の乾燥重量で約4g/m2)した後、自然乾燥して画像記録シートを作製した。画像記録シートは支持体(低感度黒感熱紙)と、その上に形成された発色層とからなる。 【0074】(3) 印字試験得られた画像記録シートに対し、発熱抵抗2800Ω、解像度300dpi、荷重1kg/30mm、印加時間2msecの感圧感熱記録用プリンターで印字を行なったところ、8V(約85℃)〜11V(約120℃)で赤色に発色し、14V(約210℃)以上では黒色に発色した。発色スピードは迅速であり、特にカプセルに封入した染料の発色(赤発色)において印字直後から高濃度の発色が得られ、良好な発色状態であった。 【0075】実施例2反応加速バインダーをKL-318(有効成分5%及び重合度1700、(株)クラレ製)に変更した以外は実施例1と同様にして画像記録シートを作製し、印字試験を行なった。その結果実施例1と同様の良好な結果を得た。 【0076】実施例3反応加速バインダーをT-350(有効成分10%、日本合成化学工業(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にして画像記録シートを作製し、印字試験を行なった。その結果実施例1と同様の良好な結果を得た。 【0077】比較例1反応加速バインダーの代わりに通常のポリビニルアルコールPVA205(重合度500、(株)クラレ製)をバインダーとして使用した以外は実施例1と同様にして画像記録シートを作製し、印字試験を行なった。その結果発色のスピードが遅く、十分な発色を得るためには3時間以上を要した。表2に塗工液に含まれる成分、平均粒径、各成分水溶液の重量比、塗工液中の固形分濃度、及び固形分重量比を示す。 【0078】 【表2】
注:(1) 塗工液を構成する各成分水溶液の混合比率(2) 塗工液中の固形分濃度(重量%) 【0079】 【発明の効果】上記の通り、本発明の反応加速バインダーは、カルボキシル基を有する水溶性高分子からなるので従来の反応加速剤と同様に発色反応を加速する。そのため、この反応加速バインダーを用いた画像記録用組成物及び画像記録シートは、短時間で鮮明な画像を得ることができるとともに、pH調整の煩雑さ、他の構成成分への影響等の不利益を除去することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000527 【氏名又は名称】ペンタックス株式会社 【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号
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| 【出願日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080012 【弁理士】 【氏名又は名称】高石 橘馬
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| 【公開番号】 |
特開2003−145945(P2003−145945A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−352375(P2001−352375) |
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