| 【発明の名称】 |
微細パターン描画材料及びそれを用いた微細加工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】桑原 正史
【氏名】富永 淳二
【氏名】阿刀田 伸史
【氏名】藤 寛
【氏名】菊川 隆
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| 【要約】 |
【課題】高価で大がかりな装置を使用する必要がなく、既存の低コストのレーザー光源を用い、回折限界をはるかに超えた加工寸法を実現する微細加工用材料及びそれを用いた微細加工方法を提供する。
【解決手段】基板上に、少なくとも1種の無機物質(A)の層と光照射により無機物質(A)と反応する少なくとも1種の無機物質(B)とからなる複合層で、かつ反応後の物質が無機物質(A)又は(B)と異なるエッチング速度をもつ微細パターン描画材料であって、これに絞ったビーム光を照射して無機物質(A)又は無機物質(B)と異なるエッチング速度をもつ物質を生成させたのち、そのエッチング速度の差を利用してエッチング加工して微細加工をする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に、少なくとも1種の無機物質(A)の層と光照射により無機物質(A)と反応する少なくとも1種の無機物質(B)とからなる複合層で、かつ反応後の物質が無機物質(A)又は(B)と異なるエッチング速度をもつことを特徴とする微細パターン描画材料。 【請求項2】 複合層が、照射された光を吸収し発熱する無機物質(A)の層と、加熱により無機物質(A)と反応する無機物質(B)からなり、かつ反応後の物質が無機物質(A)又は(B)と異なるエッチング速度をもつ請求項1記載の微細パターン描画材料。 【請求項3】 光の照射条件を変えることにより発熱領域を光の照射領域より小さくしうる請求項2記載の微細パターン描画材料。 【請求項4】 基板と複合層との間に保護層を有する請求項1記載の微細パターン描画材料。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の微細パターン描画材料に、絞ったビーム光を照射して無機物質(A)又は無機物質(B)と異なるエッチング速度をもつ物質を生成させたのち、そのエッチング速度の差を利用してエッチング加工することを特徴とする微細加工方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規な微細パターン描画材料、さらに詳しくいえば、光を吸収して発熱する物質とその物質と加熱反応して異なるエッチング速度をもつ反応生成物を生成しうる物質との間の加熱反応を利用して描画しうる微細パターン描画材料及びその描画材料を用いて微細加工する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、光記録技術においては、さらに高密度の記録が求められており、近い将来には1インチ角あたり100ギガビットの記録密度の実現が予想されている。それに伴って、光記録媒体や技術についても、100nm又はそれ以下の寸法の微細パターンの形成や、それを再生するための青色レーザー、近接場光の利用などの研究が行われている。 【0003】ところで、光記録技術の1つにROM(Read Only Memory)、すなわち光ディスク内にピットを作成した読み出し専用の光記録媒体があるが、このROMについても記録の高密度化とともに、さらにピットサイズの微小化が要求されることは当然である。そして、このROMは、スタンパーによる複製により大量生産されるが、スタンバーにはピットに相当する構造体が含まれ、通常この構造体はホトレジストを用いるリソグラフィー法によって作成されている。これまで、この構造体の微細化は、レーザーの短波長化や高開口化により対応してきたが、短波長化はそれを実現するのにレーザー光源の開発が必要であり、かつ短波長用の光学材料が必要となるため、コスト高になるのを免れない。また高開口化においても、それに用いるための光学系を開発しなければならないというネックがある。そのほか、電子線描画法を利用してビットを作成する方法も知られているが、これには真空設備や高電圧電源を必要とするためコスト高になる。 【0004】このような方法の欠点を克服するために、これまでレーザー光で発生させた熱を利用してカルコゲン化合物の結晶状態を変化させ、結晶状態の違いに基づくエッチングレートの差を利用して微細加工を行う方法(特願平8−249493号)や、レーザーにより直接描画しうるレジスト層を有する積層材にレーザースポットを照射して描画する方法(特願平11−35246号)が提案されている。 【0005】しかしながら、カルコゲン化合物の結晶状態の違いを利用する方法は、結晶状態の違いに基づくエッチングレートの差はそれほど大きくなく、またカルコゲン化合物の均一な膜を形成させることが難しいため、同じ結晶状態であっても部分的にエッチングレートに差異を生じ、特に粒界部分が速くエッチングされるため、所望の微細加工が行われないという欠点がある上に、カルコゲン化合物は単独では毒性を有するので安全面でも問題があった。 【0006】また、レーザー光の直接露光による描画方法における、その加工可能な寸法の限度は、回折限界により制限されるため、微細加工寸法に対応した波長をもつレーザー光が必要不可欠である。したがって、加工寸法を小さくするためには、レーザー光源そのものを開発することが必要であり、またその光に対応したレジストの開発も不可欠となり、高コストになるのを免れない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情のもとで、高価で大がかりな装置を使用する必要がなく、既存の低コストのレーザー光源を用い、回折限界をはるかに超えた加工寸法を実現する微細加工用材料及びそれを用いた微細加工方法を提供することを目的としてなされたものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な微細パターン描画材料を開発するために鋭意研究を重ねた結果、絞ったビーム光のスポット内に温度分布が生じることを利用し、かつ広い範囲の波長の光を吸収して発熱する物質からなる層と、その物質と反応して合金化しうる物質からなる層とを積層し、これに光照射して加熱し、合金化や複合化し、合金化又は複合化した部分と、未変化部分とのエッチング速度の差を利用して微細パターンを形成すれば、高価で大がかりな装置や特殊な材料を用いることなく、容易に微細加工できることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 【0009】すなわち、本発明は、基板上に、少なくとも1種の無機物質(A)の層と光照射により無機物質(A)と反応する少なくとも1種の無機物質(B)とからなる複合層で、かつ反応後の物質が無機物質(A)又は(B)と異なるエッチング速度をもつことを特徴とする微細パターン描画材料、及びこの微細パターン描画材料に、絞ったビーム光を照射して無機物質(A)又は無機物質(B)と異なるエッチング速度をもつ物質を生成させたのち、そのエッチング速度の差を利用してエッチング加工することを特徴とする微細加工方法を提供するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】次に添付図面に従って、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の原理を説明するための拡大断面図であって、この図において、透明基板1の上に、光照射により発熱する無機物質(A)の層3と加熱により無機物質(A)と反応して、例えば合金化する無機物質(B)の層4とからなる複合層が保護層2を介して積層され、微細パターン描画材料を構成している。なお、上記の条件を満たす限り、無機物質(B)も光照射により発熱するものであっても差し支えない。 【0011】この微細パターン描画材料に基板1の側からレーザー光6をレンズ7を通して照射すると、集光された光は無機物質(A)の層3に吸引され、熱に変換され、発熱する結果、無機物質(A)と無機物質(B)とが加熱反応して合金5を生成する。保護層2は、レーザー光の照射により発生した熱から基板1を保護するために設けられたものであるから、基板1が耐熱性を有するものであれば、保護層2は省略することもできる。また、この構造例においては、基板1として透明な材料を用いているので、レーザー光の照射を基板側から行っているが、不透明な基板材料を用いた場合には、無機物質(A)の層3と無機物質(B)の層4の配置を逆にして構成し、基板1と反対側からレーザー光を照射して行うことになる。この際、無機物質(B)として光吸収性物質を用いれば、特に逆にする必要はない。 【0012】次に図2は、無機物質(A)の層3上に集光された光のスポット内の光強度の分布を示すグラフであるが、これは典型的なガウス分布を構成しており、スポット中心の光強度は強く、中心から離れるに従って光強度が弱まる。そして、このビーム光スポットの強度分布がガウス分布を形成することを利用すれば、ある温度以上の熱発生領域を光スポットよりはるかに小さくして、回折限界以下の微細加工寸法を実現することができる。 【0013】そして、合金化は、所定以上の温度において進行するため、光の強度を調整してスポット中心部の狭い領域のみで起させることができるので、回折限界を遥かに越えた微細な領域で熱による反応を行わせ、微細パターンを描画したのち、エッチングにより微細加工することができる。 【0014】この場合、反応領域と未反応領域とのエッチング速度の関係は、前者が大、後者が小であってもよいし、また逆に前者が小、後者が大であってもよい。いずれにしても、このエッチング速度の差により、エッチングによりレーザー光の照射領域又は非照射領域のいずれか一方を除去し、他方を残留させることができる。 【0015】本発明の微細パターン描画材料における基板1としては、一般にリソグラフィー法により電子、電気部品を製造する際に、基板として通常用いられているものの中から任意に選んで用いることができる。このようなものとしては、例えば、ケイ素、タンタル、アルミニウム、ガリウム−ヒ素、ガラス板のような無機質基板やポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などのプラスチック基板などがある。そのほかアルミニウム、タンタル、酸化ケイ素などの無機質基板やガラス板上にアルミニウムやタンタルを蒸着したものや光硬化性樹脂層で被覆したものも用いることができる。 【0016】次に、光照射により発熱する無機物質(A)としての、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、スズ、鉛、亜鉛、インジウムなどの金属と組み合わせて用いる無機物質(B)は、基本的に熱で無機物質(A)と反応して、例えば合金化、化合物化、複合化しうるものであればどのようなものでもよい。これらの選択は、既知の状態図や化学量論的組成を参考にして行うことができる。このように、加熱により上記の無機物質(A)と反応して合金化する無機物質(B)の例としては、スズ、アンチモン、ビスマス、カドミウムなどの金属やケイ素、炭素などの非金属を挙げることができる。 【0017】金とケイ素やチタンと炭素とは容易に合金化するため、無機物質(A)として金又はチタンを、また無機物質(B)としてケイ素又は炭素を組み合わせて用いるのが好ましい。そのほか、金属と合金の組合せは、比較的に低融点で合金化するのでレーザーパワーが少なくて済み有利である。この無機物質(A)の層3と無機物質(B)の層4は、合金化したときに安定的な組成比となるような層厚比、又は低活性化エネルギーで合金化する組成比となるような層厚比、或いは化学量論的組成になるような層厚比で用いるのが好ましい。 【0018】次に、保護層2としては、例えばZnS・SiO2のような無機化合物やポリイミドのような有機化合物が用いられる。この保護層の厚さとしては、通常50〜500nmの範囲内で選ばれるが、この厚さは使用する光の波長及び保護層の材質に依存するため、場合によっては、この範囲外になることもある。 【0019】本発明の微細パターン描画材料を用いて微細加工するには、ビーム光を照射して、所望の領域に合金部分を生成させ、合金部分と非合金部分との間のエッチング速度の差を利用して、一方を除去し、他方を残すことにより、微細構造を形成させる。 【0020】図3は、本発明による微細加工を説明するための断面説明図である。すなわち、図2の方法により合金化部分を形成させた微細パターン描画材料をエッチングガス8に暴露し、エッチングする。この際、無機物質(B)の層4のエッチング速度が大きいエッチングガスを用いれば、左の経路をたどって、合金化部分が残るし、逆に合金化部分のエッチング速度が大きいエッチングガスを用いれば、右の経路をたどって合金化部分が除かれる。このように、エッチングガスの種類を選ぶことにより、合金部分のエッチング、非合金部分のエッチングを任意に選択して行うことができる。なお、ガスによるエッチングの代りに溶液中でのエッチングを用いることもできる。図3では、無機物質(B)の層4だけをエッチングした例を示したが、無機物質(A)の層3もエッチング可能であるし、反応後の物質5を全てエッチングすることも可能である。 【0021】本発明の微細パターン描画方法における光源としては、一般の微細パターン描画の際に使用されている各種活性光の中から必要に応じ適宜選んで用いることができる。このような活性光としては、可視光、深紫外光、電子線、i線、g線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーなどがある。 【0022】また、本発明の微細パターン描画材料は、図4に示すように、ヒーター9により全体を加温しながら描画することもできる。このようにすると、レーザー光の出力を低下させることができるので、急激な温度上昇やレーザー光により発生する熱による材料の急激な膨張その他の変形を防止することができる。この加温は、ヒーターを用いる代りに、さらに別のレーザー光の照射によって行うこともできる。 【0023】 【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。 【0024】実施例ポリカーボネート製ディスク基板(直径120mm、厚さ0.6mm)上に、スパッタリング法によりZnS・SiO2を厚さ200nmで積層し保護層としたのち、スパッタリング法により金14nm及びその上にケイ素6nmを積層し、微細パターン描画材料を製造した。次に、この微細パターン描画材料を光ディスクドライブテスターに装着し、線速6m/sで回転させながら、6MHz、デューティー50%のパルスレーザー光を照射して、500nmのサイズの金−ケイ素合金領域を形成させた。次いで、最上層のケイ素層をエッチングガスとして四フッ化炭素を用いてエッチングしたところ、ケイ素部分は除かれ、合金部分が残留して微細パターンが形成された。この実験系における開口数=0.6、レーザー光波長630nmなので、回折限界は530nmとなる。従って、それより小さい構造物が形成されたことが分る。このようにして得た試料の表面を原子間力顕微鏡で観察した結果を図5に示す。 【0025】 【発明の効果】本発明の微細パターン描画材料及び微細パターン描画方法は、全く新しい原理に基づくものであり、これによれば、大規模な装置を用いる必要がなく、しかも回折限界よりもはるかに小さい微細加工を行うことができる。また、本発明によれば、使用する光の回折限界より遥かに小さいサイズまで加工可能な上に、無機物質からなる材料を用いているため、吸収させる光の波長範囲を赤外域から紫外域にわたる広い範囲で選ぶことができるという利点がある。すなわち、このような広い領域での光が用いられると、既存のレンズや鏡のような光学系器材を使用できるので、低コストである。さらに、集中光により発生させた熱を利用し、微小領域に合金を形成させる材料であるため、合金形成可能な物質同士の組合せを広い範囲で選択しうるため、目的に応じた材料を作成しうるという利点がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所 【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社 【識別番号】000003067 【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071825 【弁理士】 【氏名又は名称】阿形 明
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| 【公開番号】 |
特開2003−145941(P2003−145941A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−352070(P2001−352070) |
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