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【発明の名称】 インクジェット記録媒体
【発明者】 【氏名】永崎 伸一
【住所又は居所】東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内

【氏名】池沢 秀男
【住所又は居所】東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内

【氏名】近藤 博雅
【住所又は居所】東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内

【要約】 【課題】インクジェット記録適性とオフセット印刷適性とに優れたインクジェット記録媒体の提供。

【解決手段】支持体にカチオン樹脂及び結着剤を含有する塗料を塗布又は含浸して得られたインクジェット記録媒体において、前記塗料の塗布又は含浸により形成されたインク受理層と、その上に貼着された粘着テープとの180度剥離接着強さ(JIS K6854)を0.15kN/m以上とし、インクジェット記録媒体の20℃、浴比1:50における水抽出物の総固形分重量を1000mg/m2 以下にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体に、カチオン性樹脂及び結着剤を含有する塗料を塗布又は含浸して得られたインクジェット記録媒体において、前記塗料の塗布又は含浸により形成されたインク受理層の表面と、その上に貼着された粘着テープとの180度剥離強度(JIS K6854による)が0.15kN/m以上であり、このインクジェット記録媒体の、温度20℃及び浴比1:50における水抽出物の総固形分重量が1000mg/m2 以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【請求項2】 前記インクジェット記録媒体水抽出物の、1/400Nポリビニル硫酸カリウム水溶液によるコロイド滴定量が90ml/m2 以下である、請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録媒体に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、インクジェット記録適性に優れ、更にオフセット印刷適性も良好なインクジェット記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水性インクを用いるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少なく、カラー画像の記録が容易であること、高速記録が可能であること等の理由から、端末用プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、及び帳票印刷などへの応用が進められている。一般の印刷に使用される上質紙及び塗工紙は、インクの吸収性が不十分であるため、紙表面に印字されたインクが未乾燥状態のまま長時間存在し、装置及び連続して印字されたシートを汚染し、かつ画像を汚染するためインクジェット記録に対しては実用性に乏しい。このような問題を解決するために、サイズ度の低い記録紙を用いる(特開昭52−53012号公報)こと、尿素−ホルマリン樹脂を内添した原紙に水溶性高分子を含浸させて用いる(特開昭53−49113号公報)ことなどの提案が開示されている。更に、インクの発色性及び再現性を高める目的で、媒体の記録表面に無定形シリカをはじめとする種々の多孔質無機顔料類を塗布した記録用紙(特開昭55−51583号公報、特開昭56−148585号公報)が開示されている。また、にじみを抑えて高精細の画像を得る目的で、前記の多孔質顔料の物性を特定(特開昭58−110287号公報、特開昭59−185690号公報、特開昭61−141584号公報)して用いる等の改良が提案されている。さらに、記録体に水等が付着したとき、インクがにじむことがないように、インク中の染料と反応して不溶性レーキを形成するカチオン性高分子及び水溶性金属塩をインク記録画像に付与する方法(特開昭55−150396号公報)、ポリカチオン高分子電解質を記録表面に含有させておく方法(特開昭56−84992号公報)、及び樹脂型染料固着剤等を記録表面に塗布する方法(特開昭60−161188号公報)などが提案されてきた。
【0003】近年、インクジェット記録方式の進歩により、帳票印刷に代表される高速記録方式に対応することができる高い表面強度を有し、かつ優れた耐水性を有するインクジェット用紙が要求されている。帳票上の画像は地紋や罫線、発信者名等の共通データと、宛名、品名、個数、金額等の可変データから構成されている場合が多く、これらのうちの共通データは、オフセット方式で印刷され、可変データのみをインクジェット方式で印字することが実際上効率的である。そこで、インクジェット用紙にもオフセット印刷適性を有することが要求されることとなった。
【0004】インクジェット記録媒体の記録表面に優れたインク吸収性を付与するには、キセロゲル系顔料等の多孔質顔料ができるだけ少量の結着剤で結着されている塗工記録層を基材表面上に設けることが好ましい。また、顔料を主体とする塗工記録層を厚く塗工していない上質紙タイプの用紙を用いる場合は、灰分、内添サイズ、及びサイズプレスを調節することにより、フェザリングを少なくし、かつインク吸収性を高めることができる。しかし、インクジェット記録適性のみに注目して、結着剤及びサイズプレス剤の付着量を減らしすぎた場合、及び灰分を増やしすぎた場合には、記録媒体の表面強度が不十分になり、オフセット印刷時に「紙ムケ」や「ブランケットパイリング」等の問題が発生しやすくなる。インクジェット記録用紙に共通データ及び可変データが印刷される場合、オフセット印刷によって共通データが印刷され、さらにインクジェット記録印刷によって可変データが印字される。上記オフセット印刷時、印刷用ブランケットは、その画線部にはインクが存在し、非画線部には湿し水が存在する状態で紙面と接触する。このとき紙面は、第1色目の印刷によりブランケットから紙面に供給された湿し水を速やかに吸収した後に第2色目のブランケットと接触するが、紙面の表面強度が不十分であると紙表面の一部がブランケットにはぎ取られる。これが「紙ムケ」であり、この剥離片が少しずつブランケット上に蓄積されて、やがて印刷の継続が不可能になる現象を「ブランケットパイリング」と称する。
【0005】一般のオフセット印刷用紙には、十分な表面強度を持たせることが容易なため、このような現象が起こることはまれである。しかし従来のインクジェット記録用紙は、前述のように、インク吸収容量の確保のみに注目し、オフセット印刷適性に対する考慮なしにインク受理層中のバインダー含有量を減らしていたので、これをオフセット印刷に供すると、「紙ムケ」や「ブランケットパイリング」などの事故が発生しやすいという問題点を存する。また、インク受理層の結着剤としては、インク受理層のインク吸収性を向上させるためには水溶性結着剤を用いることが好ましい。また、インクジェット画像の耐水性向上のために用いられる、カチオン性高分子としては、一般に分子量の小さいものが効果は大きいという傾向がある。この理由は未だ十分に明らかにされていないが、分子量が小さい方が、インクの溶媒に溶解しやすく、従って、染料との反応が進みやすいことによると考えられている。しかし、インク受理層用結着剤として多量の水溶性樹脂を使用したり、インクジェット印刷による画像の高い耐水性を得るために、カチオン樹脂の分子量を下げすぎると、オフセット印刷の湿し水によって水溶性樹脂やカチオン樹脂が溶出し、それが印刷版やブランケット、湿し水供給装置のロール等を汚染し、「地汚れ」や「水回り汚れ」等を発生させ、それによって印刷に大きな障害をもたらす。上述のように、インクジェット記録媒体に対し、オフセット印刷適性とインクジェット画像の優れた耐水性とを両立させることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れたインクジェット印刷適性を有し、さらに優れたオフセット印刷適性も具備しているインクジェット記録媒体を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、オフセット印刷適性とインクジェット記録適性の関係につき鋭意研究の結果、下記手段により上記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明のインクジェット記録媒体は、支持体に、カチオン性樹脂及び結着剤を含む塗料を塗布又は含浸して得られたインクジェット記録媒体であって、前記塗料の塗布又は含浸により形成されたインク受理層の表面と、その上に貼着された粘着テープとの180度剥離強度(JIS K6854による)が0.15kN/m以上であり、このインクジェット記録媒体の、温度20℃及び浴比1:50における水抽出物の総固形分重量が1000mg/m2 以下であることを特徴とするものである。また、本発明のインクジェット記録媒体において、前記インクジェット記録媒体水抽出物の、1/400Nポリビニル硫酸カリウム水溶液によるコロイド滴定量が、90ml/m2 以下であることが好ましい。
【0009】本発明のインクジェット媒体において、前記カチオン性樹脂が、アクリルアミド−ジアリルアミン塩酸塩共重合体、ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、及びジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物より選ばれる1種を含むことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録媒体において、前記結着剤が水溶性樹脂であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録媒体に用いられる支持体には、格別の限定はないが、一般に紙、不織布、およびフィルムシートが用いられる。紙としては、フェザリング性、インク吸収性を考慮してパルプ配合、灰分、内添サイズ剤、サイズプレス剤の種類、量などが適宜に調節される。一般に、パルプの組成として、広葉樹パルプの配合率が高く、灰分が高い方がフェザリング防止性が高くなる。抄紙用パルプには、必要に応じてカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム等の填料を添加し、酸性あるいは中性抄紙で通常行われている方法により厚紙を調製することができる。不織布としては、従来公知の不織布を用いることができる。例えば、パルプ、レーヨン、コットン等の天然繊維、あるいはポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド等の合成繊維を単独あるいは複数組み合わせて、従来公知の湿式法、カード法、エアーレイ法等によりウェブ化した後、サーマルボンド法、レジンボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法等従来公知の方法により繊維間を結合あるいは交絡し、不織布としたシートを用いることができる。また、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ボリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂をスパンボンド法、あるいはメルトブロー法、フラッシュ紡糸法等により成形した不織布を用いることができる。さらに、これら従来公知の方法で製造した不織布を単独で使用するばかりでなく、複数積層した不織布を使用することもでき、ポリオレフィン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリエステル系フィルム等のフィルムをラミネートした不織布を使用することもできる。フィルムシートとしては、熱可塑性樹脂シートが例示できる。熱可塑性樹脂としてポリオレフィン樹脂、例えばエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体から成るもの、またはこれらを主成分とするものが使用できる。他の熱可塑性樹脂としてポリスチレン、アクリル酸エステル共重合体等を混合することができる。また、この熱可塑性樹脂中に無機質微細粉末を混合してフィルムに形成し、これを2軸延伸処理すると紙に近似した風合いのシート、いわゆる合成紙などを用いることができる。
【0011】本発明において、紙支持体に塗布又は含浸される塗料には耐水性付与を目的としたカチオン性樹脂及び結着剤を含むことが必須であり、これにインク吸収性付与を目的とした多孔質顔料を添加でき、またその他の適性付与のための助剤等が含まれていてもよい。本発明において、紙支持体に塗布又は含浸された塗料によりインク受容層が形成される。本発明において、多孔質顔料としては、たとえば、水酸化アルミニウム、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ホワイトカーボン等が挙げられる。また、スチレン系、アクリル系、尿素樹脂系、メラミン樹脂系、ベンゾグアナミン樹脂系の有機顔料類を併用することもできる。中でもシリカ系顔料は、比較的屈折率が小さいこと、多孔性構造のコントロールが容易なこと等の特性により、インク受容性に優れ、高い記録濃度が得られるため、本発明のインクジェット記録媒体に好ましく使用される。本発明のインク受理層において多孔質顔料の含有率は、インク受理層重量に対し80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましい。
【0012】本発明においてインク受理層に含まれる結着剤(樹脂)としては、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク等の天然または半合成高分子類、ポリビニルアルコール及びシリル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール等の誘導体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル・ブタジエン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体樹脂の水溶液または水分散体、あるいは上記の樹脂類にアニオン性またはカチオン性残基を導入した変性重合体等の公知の材料を適宜用いることができる。ポリビニルアルコール類は重合度が比較的高いものが好ましく、またケン化度95%以上のものが好ましい。本発明のインク受理層において、結着剤の含有率はインク受理層の重量に対して、10〜70重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0013】本発明のインク受理層において耐水性付与を目的として含有されるカチオン性樹脂としては、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリジアリルアミン系樹脂、ジシアンジアミド縮合物等のカチオン系高分子化合物の1種又は2種類の混合物を使用することが出来る。これらのカチオン性樹脂は1万〜50万の分子量を有することが好ましく、1万〜20万の分子量を有することが更に好ましい。またカチオン性樹脂の含有量は特に限定しないが、インク受理層の重量に対して5〜65重量%であることが好ましく、10〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0014】本発明のインク受理層は更に必要に応じ、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、離型剤、浸透剤、湿潤剤、熱ゲル化剤、滑剤、その他当該技術分野で公知の各種助剤を含むことができる。
【0015】本発明のインクジェット記録媒体において、支持体上にインク受理層を塗設する手段としてはサイズプレス、ゲートロール、ロールコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、及びブレードコーターなど通常使用されている塗工又は含浸手段から適宜選択することができる。乾燥塗工量は特に限定しないが、カチオン性樹脂と結着剤を主体として塗工又は含浸させた上質紙タイプの場合、0.5〜7g/m2 程度である。多孔性顔料、カチオン性樹脂、結着剤を主体とする塗工層を設けた塗工紙タイプの態様では2〜30g/m2 程度である。尚、インク受理層とは、カチオン性樹脂含有液を塗工又は含浸させたものであり、例えば支持体の一部が表面に現れていてもよい。
【0016】本発明において、インクジェット記録媒体のインク受理層(記録する面)の表面強度は、インク受理層表面と、その上に貼着された粘着テープとの180度剥離接着強さにより表わすことができ、この180度剥離接着強さは、JIS K6854に記載の方法で測定することができる。本発明において、上記方法により測定されたインク受理層表面/粘着テープ180度剥離接着強さは0.15kN/m以上でなければならず、好ましくは0.20kN/m以上である。この値に上限は特にないが例えば、0.5kN/m程度まで十分に得られる。この値が0.15kN/m未満の場合、このインクジェット記録媒体にオフセット印刷を施すと、紙ムケや、長時間にわたる印刷時のブランケットパイリングを起こしやすい。上記180度剥離接着強さを0.15kN/m以上にするための一般的な方法としては、塗工紙タイプの態様ではインク受理層に含まれる水溶性バインダーを顔料100重量部に対して20重量部以上の添加量で使用することが好ましく、より好ましい添加量は25〜100重量部である。また、上質紙タイプの態様では、紙力剤を添加したり、カチオン澱粉増、及び内添ピグメントを少なくする等により剥離強度を改良する。
【0017】本発明のインクジェット記録媒体に、温度20℃、浴比1:50で水抽出を施したとき、記録媒体の面積1m2 当りの水抽出物の総固形分重量は1000mg/m2 以下であり、より好ましくは800mg/m2 以下である。水抽出物の量が1000mg/m2 を超える場合、得られるインク受理層は、地汚れや水回り汚れを起こしやすくなる。水抽出物中のカチオン性樹脂の含有量が多いと、地汚れの危険性が増す。特にカチオン化度が高く、水に溶けやすい樹脂ほど、この傾向は大きい。したがって、本発明に用いられるカチオン性樹脂の種類、使用量は、水抽出物の総固形分量が1000mg/m2 以下になるように選択、決定される。また、水抽出物中のカチオン量をコロイド滴定により測定することにより、地汚れの傾向を把握することができる。本発明者等の研究の結果によれば、水抽出物に、1/400Nポリビニル硫酸カリウム水溶液によりコロイド滴定を行ったとき、この滴定値が90ml/m2 以下であることが好ましく、より好ましくは70ml/m2 以下である。インク受理層からの結着剤及びカチオン樹脂の溶出量を低くするために、ラテックス等のバインダーを併用することも可能である。しかし、これを過剰に用いると、インクジェット画像の耐水性を悪化させる場合がある。水溶性のバインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)を用いる場合、高重合度、高鹸化度のもの程、溶出量は低い傾向にある。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。なお実施例に於て示す「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0019】実施例中の諸物性の測定方法を以下に示す。
1)180度剥離接着強さ(180度剥離強度)
インクジェット記録媒体の表面とスコッチクリアテープ(商品名:CH−24住友スリーエム製)とを接着し、その180度接着剥離強さをJIS K 6854に記載の方法により、下記のようにして測定した。図1において試料片(1)をプラスチック板(2)を取り付けることが出来るクロスヘッドを有し、固定のつかみ装置に、他のプラスチック板(3)を垂直に固定でき、かつ自動記録装置を有する定速引張試験機を利用した。試料片(1)は、巾25mm×長さ160mmを有するものである。この試料片(1)の裏面を、巾25mm×長さ180mmのプラスチック板(2)に、上記と同じ巾の両面テープ(4)により貼り合わせた。このとき、貼着面に気泡が入らないように注意した。次に、試料片の評価表面(インク受理層面)側に、24mm巾の一定品質の上記粘着テープ(商品名:スコッチクリアテープCH−24、住友スリーエム製)(5)を貼り合わせた。この貼合は、25mm巾に対して自重5kgのローラーを一方向に、2回転がすことによって行われた(線圧2kg/cm)。図1において、プラスチック板(3)を固定し、それに平行にプラスチック板2を、JIS K6854の試験操作方法に従って移動させ、粘着テープ(5)を試料片(1)から剥離させ、そのときの荷重を測定した。
【0020】2)水抽出物の総固形量試料(約1g)を精秤し、20℃の蒸留水50g中に入れ、100rpm のマグネティックスターラーで15秒間攪拌した。この得られた水抽出液を5A濾紙で濾過し約10mlを分取し、精秤し、これを105℃で12時間固化乾燥し、その重量を測定した。この測定値を試料面積1m2 あたりの重量に換算して水抽出物の総固形量を算出した。
【0021】3)水抽出物のコロイド滴定量試料(約1g)を精秤し、これを20℃の蒸留水50g中に入れ、100rpmのマグネティックスターラーで15秒間攪拌し、得られた水抽出液を、5A濾紙で濾過した。この濾過液の5mlを分取し、1/400Nポリビニル硫酸カリウム(PVSK)水溶液を用いてコロイド滴定を行った。指示薬としてはトルイジンブルーを使用した。得られた滴定値を、試料の面積1m2 あたりに換算して水抽出物のコロイド滴定量を算出した。
【0022】4)インクジェットプリンタ記録適性供試インクジェット記録媒体に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターMJ700V2Cを用い、720dpiの記録密度において、インクジェット印刷を施し、得られた画像の色濃度を測定した。その結果、優れた画像色濃度を示したものをA、やや薄いが実用上問題のないレベルのものをB、薄すぎて実用に耐えないものをCにランク付けした。また、画像の耐水性を評価するため、印字後30分経過した印刷物を、20℃の蒸留水中に30秒間浸漬し、水中にインクの流出が認められなかったものを○、インクの流出が認められたものを×にとランク付けした。
【0023】5)オフセット印刷適性供試インクジェット記録媒体に、下記オフセット印刷機及びインクを用いて印刷試験を行い、ブランケットパイリング、地汚れ、水廻り汚れを観察した。長さ4000mの印刷後、印刷機や印刷物に汚れの見られなかったものを○、若干汚れるが実用上問題のないレベルのものを△、汚れがひどくて実用に耐えないものを×にランク付けした。
オフセット印刷機:宮腰ビジネスフォーム印刷機 使用インク :第1色目… T&K TOKA BEST CURE WRO 藍 第2色目… T&K TOKA BEST CURE WRO 紅 湿し水 :富士フィルム製 IF201 2% / IF202 1% 【0024】実施例1シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバールR−1130(重合度1800、鹸化度98%以上)、(株)クラレ製)の10%水溶液250部中に、無定形シリカ顔料(商品名:カープレックスBS−304N、塩野義製薬(株)製)20部、及び無定形シリカ顔料(商品名:ファインシールX−45、(株)トクヤマ製)80部を、攪拌しながら加えて分散し、次にカチオン性樹脂(商品名:スミレーズレジン#1001(アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合体)、住友化学(株)製)10部を添加して、濃度18%のインク受理層用塗液を調製した。LBKP100部、軽質炭酸カルシウム8部及びアルケニル無水コハク酸0.08部を含む混合物から抄紙され、坪量70g/m2 、ステキヒトサイズ度7秒を有する上質紙の片面上に、乾燥後の塗布量が10g/m2になるようにマイヤ・バーを用いて塗布し、乾燥してインク受理層を形成した後、その表面にスーパーカレンダー処理(線圧50kg/cm、通紙速度5m/分)を施してインクジェット記録媒体を得た。
【0025】比較例1実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。但し、前記カチオン性樹脂(商品名:スミレーズレジン#1001)代りに、カチオン樹脂(商品名:ネオフィックスE−117(ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物)、日華化学(株)製)10部を用いた。
【0026】比較例2実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を作製した。但し、前記シリル変性ポリビニルアルコールの代りに、部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール405(重合度500、鹸化度81.5%)、(株)クラレ製)100部を用いた。
【0027】実施例2LBKP100部、軽質炭酸カルシウム8部及びアルケニル無水コハク酸0.06部を含む、パルプスラリーから抄紙され、坪量70g/m2 、ステキヒトサイズ度4秒の上質紙の表面上に、カチオン性樹脂(商品名:HP−36K(ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、分子量15000)、センカ(株)製)50部及び、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ(株)製)50部を水で希釈して調製した塗工液を、乾燥後の塗布量が1.0g/m2 になるようにゲートロールコーターを用いて塗布し乾燥してインク受理層を形成し、インクジェット記録用媒体を得た。
【0028】実施例3実施例2と同様にしてインクジェット記録用媒体を作製した。但し、前記カチオン性樹脂(商品名:HP−36K)の代りに、カチオン性樹脂(商品名:HP−30K(ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、分子量28000)、センカ(株)製)を用いた。
【0029】実施例4実施例2と同様にしてインクジェット記録用媒体を作製した。但し、前記カチオン性樹脂(商品名:HP−36K)の代りに、カチオン性樹脂(商品名:HP−31K(ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、分子量30000)、センカ(株)製)を用いた。
【0030】比較例3実施例2と同様にしてインクジェット記録用媒体を作製した。但し前記カチオン性樹脂(商品名:HP−36K、センカ(株)製)50部の代りに、部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール405、(株)クラレ製)50部を用いた。
【0031】実施例5実施例2と同様にしてインクジェット記録用媒体を作製した。但し、前記カチオン性樹脂(商品名:HP−36K)の代りに、カチオン性樹脂(商品名:PAS−J−81(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合物、分子量200000)、日東紡績(株)製)を用いた。
【0032】比較例4実施例2において用いられたものと同じLBKP100部、軽質炭酸カルシウム8部及びアルケニル無水コハク酸0.06部を含むパルプスラリーから抄紙され、坪量70g/m2 、ステキヒトサイズ度4秒を有する上質紙をインクジェット記録用媒体として用いた。
【0033】前9種類の記録媒体について、前記方法により(1)180度剥離接着強さ、(2)水抽出物の総固形量、(3)水抽出物のコロイド滴定量、(4)インクジェットプリンタ記録適性、(5)オフセット印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】表1から明らかなように本発明の実施例において、比較例に比べ、インクジェットプリンタ記録適性、オフセット印刷適性が共に優れたインクジェット記録媒体が得られた。
【0036】
【発明の効果】本発明によって、インクジェット記録適性およびオフセット印刷適性の両方に優れたインクジェット記録媒体を得ることが可能になった。
【出願人】 【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子製紙株式会社
【住所又は居所】東京都中央区銀座4丁目7番5号
【出願日】 平成9年11月5日(1997.11.5)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2003−145924(P2003−145924A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2002−247356(P2002−247356)