| 【発明の名称】 |
インクジェット記録材料及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】徳永 幸雄 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱製紙株式会社内
【氏名】前川 巌 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱製紙株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】高い質感と光沢感を有し、かつ印字時にヘッド擦れのないシート状インクジェット用記録材料を提供する。
【解決手段】耐水性支持体上に少なくとも1層のインク受容層を有するシート状インクジェット記録材料において、インク受容層が平均一次粒径が30nm以下の無機微粒子及び親水性バインダーを含有し、且つ前記シート状インクジェット記録材料の長辺方向がインク受容層塗設時の流れ方向と直角になるように断裁されてなることを特徴とするシート状インクジェット記録材料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耐水性支持体上に少なくとも1層のインク受容層を有するシート状インクジェット記録材料において、インク受容層が平均一次粒径が30nm以下の無機微粒子及び親水性バインダーを含有し、且つ前記シート状インクジェット記録材料の長辺方向がインク受容層塗設時の流れ方向と直角になるように断裁されてなることを特徴とするシート状インクジェット記録材料。 【請求項2】 前記耐水性支持体がポリオレフィン樹脂被覆紙支持体である請求項1に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項3】 前記ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体が、固形分塗布量が10〜500mg/m2の下引き層を有する請求項2に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項4】 前記ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の含水率が6%以上である請求項2に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項5】 前記ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体は、原紙の両面をポリエチレン樹脂層で被覆されたものであり、インク受容層を有する側のポリエチレン樹脂層の全樹脂の90質量%以上が密度0.930g/m3以下の低密度ポリエチレン樹脂からなり、反対面のポリエチレン樹脂層の全樹脂の30質量%以上が密度0.950g/m3以上の高密度ポリエチレン樹脂からなる請求項2に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項6】 前記無機微粒子の平均二次粒子径が50〜300nmである請求項1に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項7】 前記無機微粒子が気相法シリカ及びアルミナ水和物の少なくとも1種である請求項1に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項8】 前記インク受容層が親水性バインダーの硬膜剤を含有する請求項1に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項9】 前記硬膜剤がホウ酸もしくはホウ酸塩である請求項8に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項10】 長辺方向長さが200mm以下のシート状インクジェット記録材料である請求項1に記載のシート状インクジェット記録材料。 【請求項11】 インク受容層を塗布する面が外側になるように長尺ロール状に巻き取られた耐水性支持体に、平均一次粒径が30nm以下の無機微粒子及び親水性バインダーを含有するインク受容層を塗布し乾燥した後、前記インク受容層が塗布された面が外側になるように巻き取って長尺ロール状のインクジェット記録材料を製造し、次に前記長尺ロール状のインクジェット記録材料をシート状に断裁する際に、シートの長辺方向がインク受容層塗設時の流れ方向と直角になるように断裁することを特徴とするシート状インクジェット記録材料の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録材料及びその製造方法に関し、特に写真並のフォトライクな光沢感と質感を有し、かつプリンターでプリントするときのヘッド擦れ(インクジェットヘッドと記録シートが接触する現象)の起こらないシート状インクジェット記録材料に関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録方式に使用される記録材料として、紙支持体上に親水性ポリマーからなるインク受容層、あるいは非晶質シリカ等の顔料と親水性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けた記録材料が知られている。 【0003】前者のタイプとして、例えば特開昭56−080489号、同59−174381号、同60−220750号、同61−32788号、同63−160875号、特開平3−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを紙支持体に塗設した記録材料が提案されている。 【0004】後者のタイプとして、例えば特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を親水性バインダーと共に紙支持体に塗設した記録材料が提案されている。 【0005】また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同平10−193776号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報等には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが開示されている。また、特開平2―276671号、同平3−67684号、同平3−251488号、同平4−67986号、同平4−263983号、同平5−16517号公報等には、アルミナ水和物を用いることが開示されている。気相法シリカやアルミナ水和物は、一次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、かつ二次粒子径も300nm以下に容易に調製することができるので、高い光沢感とインク吸収性が得られるという特徴がある。 【0006】近年、写真並のフォトライクの記録材料が要望される中、益々写真に近い質感・風合いや光沢感が重要視されてきており、写真と同じポリオレフィン樹脂被覆紙(原紙の両面にポリオレフィン樹脂を被覆したもの)等の耐水性支持体上にこれら微粒子を主体とするインク受容層の塗設された記録材料が提案されている。 【0007】一般にフォトライク対応のインクジェットプリンターでは、フォトライクな画像を形成するために低濃度インクを単独もしくは高濃度インクと併用しているが、このような低濃度インクを使用して画像を形成するためには、多量のインクを吐出することが必要となり、従って、記録材料にはより高いインク吸収性が要求される。ポリオレフィン樹脂被服紙のような耐水性支持体は、それ自体はインクを吸収しないために、インク受容層のみで多量のインクを吸収する必要があるため、顔料の塗布量を多くするような設計となっている。 【0008】しかしながら、多量の顔料を含有するインク受容層が塗設されたインクジェット記録材料では、インク受容層の乾燥収縮による印字面側へのカール(以下、プラスカールという)が大きくなる傾向がある。プラスカールが大きくなると、プリント時に記録材料とインクジェットヘッドが接触するという現象(以降、ヘッド擦れと称す)がしばしば生じた。ヘッド擦れを起こすとプリント画像が台無しになるだけでなくインクジェットヘッドを破損する場合がある。このヘッド擦れの問題は、比較的サイズの小さいシート状インクジェット記録材料に印字したときに発生しやすかった。例えば、長辺の寸法が300mm以下のシート状記録材料のときに発生しやすく、特に長辺が200mm以下のシート状記録材料のときにより発生しやすかった。 【0009】近年、インクジェットプリンターの高速化及び高画質化に伴って、インクの着弾精度を向上させるため、インクジェットヘッドと記録材料のクリアランスは小さくなる傾向にある。また、印画紙に焼き付けた写真に近づけるために、シート状記録材料の全域に印刷ができる、いわゆる縁なし印刷が可能なプリンターも発売されている。このようなプリンターではさらにヘッド擦れが起こりやすくなってきている。 【0010】一方、特開2000−263926号公報には、紙支持体を用いたインクジェット記録材料をシート状に断裁する際に、プリンター通紙方向が紙基材の抄造時の流れ方向と直角になるように断裁することが開示されている。この特許は、紙支持体を用いた記録材料の特有の課題である、コックリング(紙支持体が吸収したインクにより膨れて記録材料が波打つ現象)と、プリンターでプリントするときに複数枚の記録材料が一度に送り出されるという問題を解決するものである。また、紙支持体を用いた記録材料は、写真印画紙並のフォトライクな光沢感と質感(触感)を得るのは難しい。また更に、紙支持体を用いた記録材料は、コックリングによるヘッド擦れを発生しやすいという問題がある。 【0011】本発明のような耐水性支持体を用いたインクジェット記録材料には、上記したコックリングは生じない。 【0012】無機微粒子を主体かつ多量に含有するインク受容層は、該インク受容層を塗布し乾燥する過程において、あるいは最終製品の記録シートを低湿下に放置したときに、乾燥収縮する。一方、耐水性支持体は、水分の吸収がほとんどないために、伸縮の程度は極めて小さい。従って、伸縮が起こりにくい耐水性支持体上に、乾燥収縮するインク受容層を設けた記録材料は、インク受容層側(印字面側)にプラスカールを発生しやすくなり、その結果、ヘッド擦れを起こす。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、写真並のフォトライクな光沢感と質感(触感)を有し、プリント時にヘッド擦れの起こらないシート状インクジェット用記録材料及びその製造方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。 (1)耐水性支持体上に少なくとも1層のインク受容層を有するシート状インクジェット記録材料において、インク受容層が平均一次粒径が30nm以下の無機微粒子及び親水性バインダーを含有し、且つ前記シート状インクジェット記録材料の長辺方向がインク受容層塗設時の流れ方向と直角になるように断裁されてなることを特徴とするシート状インクジェット記録材料によって達成された。 (2)インク受容層を塗布する面が外側になるように長尺ロール状に巻き取られた耐水性支持体に、平均一次粒径が30nm以下の無機微粒子及び親水性バインダーを含有するインク受容層を塗布し乾燥した後、前記インク受容層が塗布された面が外側になるように巻き取って長尺ロール状のインクジェット記録材料を製造し、次に前記長尺ロール状のインクジェット記録材料をシート状に断裁する際に、シートの長辺方向がインク受容層塗設時の流れ方向と直角になるように断裁することを特徴とするシート状インクジェット記録材料の製造方法。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明のシート状インクジェット記録材料(以降、記録シートと称す)は、耐水性支持体を用いるために、インクが支持体に吸収されないのでコックリングの発生もなく、フォトライク(写真印画紙と同等な)な質感と光沢感が得られる。しかしながら、耐水性支持体を使用する場合、インクジェットヘッド(以降、ヘッドと称す)より吐出されたインクを全てインク受容層が吸収する必要があるため、インク受容層の塗設量を多くし、かつ空隙率を高くする必要がある。即ち、無機微粒子を主体にかつ多量に含有するインク受容層が必要となる。このようなインク受容層を耐水性支持体に塗設すると、前述したようにインク受容層が乾燥収縮し、その結果、プラスカールが発生する。 【0016】本発明者は、上記課題が、従来から極めて一般的に行われている断裁方法を変更することによって解決することを見出した。 【0017】インクジェット記録材料に限らず、紙及び紙に塗工液を塗布した加工紙は、その製造過程において、一旦、長尺のロールに巻き取られる。その後、仕上げ工程(断裁工程)で、長尺のロールは製品サイズのシートに断裁される。インクジェット記録材料の場合、矩形のシートに断裁される。 【0018】従来の一般的な断裁方法を図2に示す。ロール1は、巻き解かれて、断裁装置でシート2に断裁される。このとき、シート2の長辺方向(A)は、ロールの長尺方向(Y)と同一方向となるように断裁される。上記長尺方向(Y)は、インク受容層の塗設時の流れ方向に相当する。一方、本発明の断裁方法は、図1に示すように、シート2の長辺方向(A)がインク受容層の塗設時の流れ方向(Y)に対して直角方向となるように断裁される。 【0019】図3は、プリント時の平面図である。プリンター3は、給紙トレイ4、プリント部5、及び排紙トレイ6からなる。プリント部5の内部には、ヘッド7が横方向にスキャンするように取り付けられている。通常、枚葉プリンターの場合、記録シート2の搬送方向(X)は、長辺方向(A)である。本発明が対象とする、耐水性支持体上に無機微粒子を主体に含有するインク受容層を設けた記録材料を図2のような従来の断裁方法で断裁した場合、記録シート2は低湿条件下でインク受容層側にカール(プラスカール)する。図4は、記録シート2のカールの状態を示す。図4は、記録シート2が、長辺方向(A)に対して直交方向にプラスカールすることを示している。 【0020】図4のようにカールした記録シートをプリンターに通したときのヘッドと記録シートの関係を図5に示す。ヘッド7は、矢印の方向にスキャンしながらインクを記録シート2に向けて吐出する。このとき、カールして浮き上がった記録シートの両端とヘッドが接触して、ヘッド擦れを発生させる。 【0021】図1に示す本発明の断裁方法で断裁された記録シートは、上記したカールの発生がなく、その結果、ヘッド擦れが解消する。 【0022】本発明のインクジェット記録材料の製造方法の一実施態様について詳細に説明する。原紙の両面にポリオレフィン樹脂層を被覆した後、長尺のロール状に巻き取ったポリオレフィン樹脂被覆紙支持体を予め用意する。この支持体に、平均一次粒径が30nm以下の無機微粒子及び親水性バインダーを含有するインク受容層を塗布し乾燥した後、一旦ロール状に巻き取る。ここで、用意される長尺ロール状に巻き取られた支持体の長さは1000〜5000mで、幅は100〜300cmが一般的である。次に、インク受容層が塗布された長尺ロール(図1の符号1)は、仕上げ工程(断裁工程)で、最終の製品サイズに断裁される。最終製品の形態は、ロールとシートがあるが、本発明はシートに限定される。 【0023】記録シートの製品サイズとしては、L伴サイズ(短辺89mm×長辺127mm)、2L伴サイズ(127mm×178mm)、レターサイズ(216mm×279mm)、A4サイズ(210mm×297mm)、A3サイズ(297mm×420mm)、Bサイズ(279mm×432mm)A3伸びサイズ(329mm×483mm)等がある。 【0024】仕上げ工程では、図1に示すように、記録シート2の長辺方向(A)が、インク受容層の塗布時の流れ方向(長尺方向)(Y)に対して直角方向となるように断裁される。図1では、説明の便宜上、記録シート2は1枚のみしか図示していないが、実際は、ロール1の流れ方向及び幅方向に余すことなくシートに断裁加工される。 【0025】本発明の好ましい態様を説明する。長尺ロール状の支持体の巻き方向は、インク受容層を塗布する面が外側になるように巻かれているのが好ましい。そして、更に、インク受容層を塗布し乾燥した後の巻き取り方向は、インク受容層が塗布された面が外側になるように巻き取るのが好ましい。図1において、上面8がインク受容層が塗布された面である。これによって、ヘッド擦れが一段と改良される。 【0026】また、枚葉プリンターにおけるヘッド擦れは、長辺方向の長さが300mm以下、特に200mm以下の記録シートを用いたときに発生しやすい。従って、本発明は、製品サイズの中でも、比較的小さいサイズに適用したときに大きな効果を発現する。 【0027】次に、本発明のインク受容層について詳細に説明する。本発明に用いられる無機微粒子は、平均一次粒径が30nm以下である。好ましくは20nm以下であり、下限は3nm程度である。更に、一次粒子が二次凝集した二次粒子の平均二次粒子径としては、50〜300nmの範囲が好ましい。このような超微粒子は、フォトライクな高光沢と高いインク吸収性を付与することができる。 【0028】しかしながら、このような無機微粒子と親水性バインダーを含有するインク受容層は、支持体に塗布した後の乾燥過程において乾燥収縮する。この乾燥収縮は、無機微粒子と親水性バインダーとの水素結合、あるいは無機微粒子同士の結合(例えば、シリカ微粒子の場合のシラノール基の脱水縮合)によって起こると考えられる。特に、上記乾燥収縮は、無機微粒子の一次粒子径及び二次粒子径が小さいほど起こりやすく、更に、無機微粒子(P)に対する親水性バインダー量(B)の質量比(B/P)が大きいほど起こりやすい。 【0029】本発明に用いられる無機微粒子としては、気相法シリカ及びアルミナ水和物が好ましい。本発明に好ましく用いられる気相法シリカは、乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。通常、気相法シリカは凝集して適度な空隙を有する二次粒子となっている。この二次粒子の平均粒子径が、50〜300nm程度になる迄超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕、分散させたものがインク吸収性と光沢性が良好であり好ましい。 【0030】本発明に好ましく用いられるアルミナ水和物としては、Al2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。例えば特開平2―276671号、同平3−67684号、同平3−251488号、同平4−67986号、同平4−263983号、同平5−16517号公報等に記載のアルミナ水和物を適宜使用できる。 【0031】本発明の無機微粒子の平均一次粒径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めることができる。本発明において平均二次粒子径は、レーザー光照射による動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、大塚電子株式会社製の「動的光散乱法を用いたレーザー粒径測定システム;PAR-III)を用いて測定することができる。 【0032】本発明のインク受容層は、インク吸収性を高めるために、無機微粒子は8g/m2以上含有するのが好ましく、10〜30g/m2の範囲がより好ましく、更に15〜30g/m2の範囲が好ましい。本発明のインク受容層は、無機微粒子とともに親水性バインダーを含有する。無機微粒子(P)に対する親水性バインダー(B)の質量比(B/P)は、0.4以下にするのが好ましく、0.35以下がより好ましく、特に0.3以下が好ましい。(B/P)の下限は0.05程度である。これによって、インク受容層の空隙率が高くなり、その結果インク吸収性が向上する。また、インク受容層の乾燥収縮が抑制されるので、プラスカールを小さくすることができる。 【0033】本発明のインク受容層において、無機微粒子はインク受容層中に主たる割合で含有する。すなわち、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上含有することが好ましい。 【0034】本発明において、無機微粒子とともに用いられる親水性バインダーとしては、公知の各種バインダーを用いることができるが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。 【0035】ポリビニルアルコールの中でも、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したもので、平均重合度200〜5000のものが好ましい。特に平均重合度2500〜5000のポリビニルアルコールが好ましく、更に平均重合度3000〜5000のポリビニルアルコールがより好ましい。 【0036】また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。 【0037】本発明は、上記親水性バインダーと共に硬膜剤を用いることで、プラスカールが小さくなりヘッド擦れが発生しにくくなるために好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸またはほう酸塩が好ましい。ほう酸またはほう酸塩の含有量は、親水性バインダーに対して1〜40質量%の範囲が好ましく、特に5〜30質量%の範囲が好ましい。 【0038】本発明のインク受容層は、印字画像の耐水性を改良する目的等でカチオン性化合物を含有するのが好ましい。カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー、水溶性金属化合物が挙げられる。 【0039】本発明に用いられるカチオン性化合物としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000〜10万程度が好ましい。 【0040】これらのカチオン性ポリマーの使用量は前記無機微粒子に対して1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%である。 【0041】本発明に用いられる水溶性金属化合物として、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。 【0042】また、カチオン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式A、B又はCで示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。 【0043】 [Al2(OH)nCl(6-n)]m ・・式A[Al(OH)3]nAlCl3 ・・式BAln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式C【0044】これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。 【0045】本発明において、上記水溶性の金属化合物のインク受容層中の含有量は、0.1g/m2〜10.0g/m2、好ましくは0.2g/m2〜5.0g/m2である。 【0046】上記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性金属化合物を併用してもよい。 【0047】本発明におけるインク受容層は、皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することが好ましいが、そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴としては好ましくは親水性バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。 【0048】本発明において、インク受容層には、更に、界面活性剤、硬膜剤の他に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。 【0049】本発明において、インク受容層の塗設方法は、公知の塗設方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式等がある。 【0050】本発明において、インク受容層は単一層であっても2層以上であってもよい。インク受容層が2層以上の場合は、同時重層塗布が可能なスライドビード方式やカーテン塗布方式が好ましい。同時重層塗布は、各層に要求される特性が効率よく得られ、生産効率の点からも好ましい。即ち、各層を湿潤状態で積層することで各層に含有される成分が他の層へ浸透しにくいので乾燥後も各層の成分構成が設計通りに保たれる。 【0051】本発明に用いられる耐水性支持体は、、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチック樹脂フィルム、及び原紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙が挙げられる。本発明は、特にポリオレフィン樹脂被覆紙を用いた記録シートに好適である。 【0052】本発明に用いられる支持体の厚みは、50〜300μm程度のものが使用されるが、質感を高めるために180μm以上が好ましい。 【0053】本発明に好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙について詳細に説明する。ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。 【0054】さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。 【0055】また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。 【0056】ポリオレフィン樹脂層に用いられるポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。 【0057】また、ポリオレフィン樹脂層中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。 【0058】ポリオレフィン樹脂被覆紙は、一般的には加熱溶融したポリオレフィン樹脂を押出機で原紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、クーリングロールで圧着及び冷却して製造される。ポリオレフィン樹脂層を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。ポリオレフィン樹脂層の厚みとしては、5〜50μmであることが好ましい。 【0059】本発明において、好ましいポリオレフィン樹脂被覆紙は、原紙の坪量が100〜250g/m2の範囲であり、ポリオレフィン樹脂層の厚みがそれぞれ20〜40μmの範囲である。より好ましくは、原紙の坪量が150〜220g/m2でポリオレフィン樹脂層の厚みがそれぞれ25〜35μmである。 【0060】ポリオレフィン樹脂層のポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。特に、インク受容層を設ける側のポリエチレン樹脂層には、密度が0.930g/m3以下の低密度ポリエチレン樹脂を全樹脂の90質量%以上、更には100質量%用いるのが好ましい。そして、インク受容層とは反対側のポリエチレン樹脂層には、密度が0.950g/m3以上の高密度ポリエチレン樹脂を全樹脂の30質量%以上、更には50質量%以上用いるのが好ましく、上限は95質量%程度である。このようなポリエチレン樹脂被覆紙支持体を用いることによって、更にプラスカールを抑制することができる。 【0061】本発明に用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率は6%以上が好ましい。上限は9%程度である。より好ましくは6.5%〜9.0%の範囲である。ポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率を調整する方法は、原紙を抄造するとき、ドライヤーによる乾燥を調整したり、乾燥終了後に調湿ゾーンを設けて調整する方法が一般的である。 【0062】含水率が6%以上のポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上にインク受容層を設けるに際し、インク受容層に重合度が2500以上、更には3000以上のポリビニルアルコールと、ほう酸またはほう酸塩を組み合わせて含有させることによって、更にプラスカールを抑制することができる。 【0063】本発明に用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙は、インク受容層が塗設される面に下引き層(プライマー層ともいう)を設けるのが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予めポリオレフィン樹脂層表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。更に下引き層には、界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。 【0064】下引き層は、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体とインク受容層との接着を強化するのに重要である。しかしながら、下引き層の塗布量は、無機微粒子を主体に含有するインク受容層の塗布乾燥時のひび割れ、及び前述したプラスカールを考慮して設計される。即ち、本発明において、下引き層の塗布量(固形分で)は、500mg/m2以下が好ましく、下限は10mg/m2程度である。より好ましく、20〜300mg/m2の範囲である。このような下引き層を設けることによって、インク受容層のひび割れが防止され、かつプラスカールが大きくなるのを抑制することができる。ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体に下引き層を塗布する前には、コロナ放電することが好ましい。 【0065】本発明において、上記した支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、水溶性ポリマー、ポリマーラテックス、硬化剤、コロイダルシリカ等の顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。バックコート層の塗布量は固形分で、2g/m2以下が好ましく、1.5g/m2以下がより好ましい。 【0066】ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体にインク受容層を塗設する場合、塗設に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等を実施するのが好ましい。 【0067】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部は質量部を示す。 【0068】<インクジェット記録材料Aの作製><ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>先ず、原紙を以下のようにして作成した。広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿して原紙を作製した。 【0069】次に、上記のようにして抄造した原紙に、先ず、インク受容層を塗布する側にポリエチレン樹脂層を被覆した。密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100質量%の樹脂に対して10質量%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。次に、反対面に、密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70質量部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30質量部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。このポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の含水率は8%であった。 【0070】上記のようにして製造したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体のインク受像層を塗設する側のポリエチレン樹脂層に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗設乾燥し、インク受容層を塗布する側が外側になるように巻き取った長尺ロール状の支持体を作製した。 【0071】 <下引き層>石灰処理ゼラチン 100部スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部クロム明ばん 10部【0072】上記の長尺ロール状の支持体に下記組成のインク受容層塗設液をスライドビード塗設装置で塗設し乾燥し、インク受像層塗設面が外側になるように巻き取ってインクジェット記録材料Aを作製した。尚、無機微粒子である気相法シリカは20質量%の固形分濃度になるように高圧ホモジナイザーで分散した後使用した。また、乾燥塗膜厚さは40μm(気相法シリカの塗布量19g/m2)となるように塗設し、乾燥条件として5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃10%RHで乾燥し、次いで35℃、10%RHで乾燥した。本塗設液の無機微粒子に対する親水性バインダーの質量比(B/P)は0.25である。 【0073】 <インク受容層塗設液A>気相法シリカ 100部 (平均一次粒径7nm、平均二次粒子径150nm) ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部ほう酸 4部ポリビニルアルコール 25部 (ケン化度88%、平均重合度3500) 界面活性剤 0.3部【0074】<インクジェット記録材料Bの作製>インクジェット記録材料Aのインク受容層塗設液を下記組成に変更した以外は同様にして作製した。本塗設液の無機微粒子に対する親水性バインダーの質量比(B/P)は0.20である。アルミナ水和物の塗布量は26g/m2である。 【0075】 <インク受容層塗設液B>アルミナ水和物 100部 (平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状、平均二次粒子径150nm) ほう酸 4部ポリビニルアルコール 20部 (ケン化度88%、平均重合度3500) 界面活性剤 0.3部【0076】<インクジェット記録材料Cの作製>インクジェット記録材料Aのインク受容層塗設液を下記組成に変更した以外は同様にして作製した。本塗設液の無機微粒子に対する親水性バインダーの質量比(B/P)は0.42である。気相法シリカの塗布量は17g/m2である。 【0077】 <インク受容層塗設液C>気相法シリカ 100部 (平均一次粒径7nm、平均二次粒子径150nm) ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部ほう酸 4部ポリビニルアルコール 42部 (ケン化度88%、平均重合度3500) 界面活性剤 0.3部【0078】<インクジェット記録材料Dの作製>インクジェット記録材料Aのインク受容層塗設液において、硬膜剤であるホウ酸を使用しなかった以外は同様にして作製した。 【0079】<インクジェット記録材料Eの作製>インクジェット記録材料Aと同様にして作成した。但し、支持体の巻き方向及びインクジェット記録材料の巻き方向を逆にした。即ち、インク受容層を塗布する側を内側に巻き取った支持体に、インク受容層を塗布乾燥した後、インク受容層塗設面を内側にして巻き取った。 【0080】<インクジェット記録材料Fの作製>インクジェット記録材料Aと同様にして作成した。但し、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体のインク受容層塗設面とは反対面のポリエチレン樹脂層の高密度ポリエチレン樹脂の比率を20質量%に変更した。 【0081】<インクジェット記録材料Gの作製>支持体として、上記したポリオレフィン樹脂被覆紙の製造の際に用意したポリエチレン樹脂層を被覆する前の原紙を用いた。この支持体に下記組成のインク受容層塗設液を、塗布量(固形分で)12g/m2となるようにエアーナイフコーターにて塗設・乾燥した。次にインク受容層上に下記光沢発現層塗設液をエアーナイフコーターで塗布量(固形分で)5g/m2となるように塗設し、表面温度が100℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後離型してインクジェット記録材料Gを作製した。本塗設液の無機微粒子に対する親水性バインダーの質量比(B/P)は0.30である。 【0082】 <インク受容層塗設液D>湿式合成シリカ 100部 (平均一次粒径15nm、平均二次粒子径4μm) ポリビニルアルコール 30部 (ケン化度98%、平均重合度1700) アクリルアミドカチオンポリマー 15部【0083】 <光沢発現層塗設液>コロイダルシリカ 100部 (平均一次粒径40nm) ポリビニルアルコール 10部 (ケン化度98%、平均重合度1700) アクリルアミドカチオンポリマー 15部アクリル−スチレン共重合体 30部離型剤 2部【0084】<インクジェット記録材料Hの作製>インクジェット記録材料Aと同様にして作成した。但し、支持体は、ポリオレフィン樹脂被覆紙の製造の際に用意したポリエチレン樹脂層を被覆する前の原紙に代えた。 【0085】上記のようにして作製した8種類の長尺ロール状のインクジェット記録材料を、仕上げ工程でL判サイズ(89mm×127mm)の記録シートに断裁加工した。この断裁加工に際し、図1に示す本発明の断裁方法と図2に示す従来の断裁方法を用いて断裁した。このようにして製造した16種類の記録シートについて、ヘッド擦れ、及びフォトライク性について、以下のようにして評価した。評価結果を表1に示す。 【0086】<フォトライク性>記録シートをセイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM−900Cで自然画像を印字し、同様の自然画像の写真(写真印画紙)と比較して光沢と質感(触感)を、以下の基準で感応評価した。 ○:写真と比較して遜色ない質感・光沢感を有する。 △:写真と比較してやや質感・光沢感が劣る。 ×:写真と比較して質感・光沢感が明らかに劣る。 【0087】<ヘッド擦れ>記録材料を13℃、35%RHの環境下で8時間調湿した。その後、同環境下において、インクジェットプリンター(EPSON社製、PM−780C)で20枚を5セット、合計100枚連続で縁無しで黒ベタ印刷を行ってヘッド擦れの状況を目視確認し、下記の基準で評価した。 ◎:100枚全てヘッド擦れがなかった。 ○:100枚中の一部に、印字部に影響を与えない程度の軽微なヘッド擦れがあった。 △:100枚中の10枚以下に、印字部が汚れる程のヘッド擦れが発生した。 ×:100枚中の10枚より多く、印字部が汚れる程のヘッド擦れが発生し、ヘッド擦れが強いときは、ヘッドのスキャンが止まることもあった。 【0088】 【表1】 ──────────────────────────────────── インクシ゛ェット記録材料 断裁方法 フォトライク性 ヘッド擦れ 備考──────────────────────────────────── A 図1 ◎ ◎ 本発明 A 図2 ◎ △ 比較例 B 図1 ◎ ◎ 本発明 B 図2 ◎ △ 比較例 C 図1 ◎ ○ 本発明 C 図2 ◎ × 比較例 D 図1 ◎ ○ 本発明 D 図2 ◎ × 比較例 E 図1 ◎ ○ 本発明 E 図2 ◎ × 比較例 F 図1 ◎ ○ 本発明 F 図2 ◎ × 比較例 G 図1 △ × 比較例 G 図2 △ × 比較例 H 図1 × × 比較例 H 図2 × × 比較例────────────────────────────────────【0089】表1から明らかなように、インクジェット記録材料A〜Fを図1に示す断裁方法で断裁した本発明の記録シートは、ヘッド汚れの発生がなく、かつフォトライク性に優れている。しかし、インクジェット記録材料A〜Fを図2で示す従来の断裁方法で断裁した記録シートは、ヘッド擦れが発生する。インクジェット記録材料G及びHは、支持体として紙を用いているので、印字後にコックリングが発生してフォトライク性が明らかに劣り、更にコックリングの影響でヘッド擦れが多発した。 【0090】 【発明の効果】本発明によれば、写真並の高い質感(触感)と光沢感を有し、かつプリント時にヘッド擦れの起こらない記録シートが得られる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005980 【氏名又は名称】三菱製紙株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号
|
| 【出願日】 |
平成14年7月9日(2002.7.9) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2003−145922(P2003−145922A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2002−200323(P2002−200323) |
|