トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 インクジェット記録用シート
【発明者】 【氏名】辰橋 史一
【住所又は居所】静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社巴川製紙所洋紙事業部内

【氏名】久保田 展弘
【住所又は居所】静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社巴川製紙所洋紙事業部内

【氏名】浅井 滋記
【住所又は居所】静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社巴川製紙所洋紙事業部内

【氏名】吉澤 泉一
【住所又は居所】静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社巴川製紙所洋紙事業部内

【氏名】片桐 和繁
【住所又は居所】静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社巴川製紙所洋紙事業部内

【氏名】土田 実
【住所又は居所】静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社巴川製紙所洋紙事業部内

【要約】 【課題】画像鮮明性、印字濃度等の記録特性と、画像の耐光性、耐オゾンガス性等の保存性とを共に向上し得る、優れたインクジェット記録用シートを提供する。

【解決手段】支持体の少なくとも片面に、インク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、該記録用シートに、オリゴ糖および2価の金属塩を含有させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体の少なくとも片面に、インク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、該記録用シートに、オリゴ糖および2価の金属塩を含有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
【請求項2】 前記オリゴ糖および2価の金属塩は、前記インク受容層に含有されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
【請求項3】 前記オリゴ糖は、グルコース重合度2〜10のマルトオリゴ糖が1種類以上含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
【請求項4】 前記オリゴ糖は、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースのいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
【請求項5】 前記オリゴ糖は、グルコース重合度2〜5のイソマルトオリゴ糖を1種類以上含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
【請求項6】 前記オリゴ糖は、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、トレハロース、グルコシルスクロースのいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
【請求項7】 前記2価の金属塩における金属は、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
【請求項8】 前記2価の金属塩は、塩化物、硫酸塩および酢酸塩の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
【請求項9】 前記インク受容層上に、光沢度調整層が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録用シートに係り、さらに詳しくは、印字濃度が高く鮮明で、インク吸収性に優れ、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性が良好で、併せてインク吸収速度が速く、将来の高速印字にも十分対応可能であるインクジェット記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタは記録の鮮明さ、音の静かさ、カラー化の容易さ等の特徴を有するため、近年その普及は益々増大している。インクジェットプリンタは、インクの乾燥によるジェットノズルの詰まりを防止するため、乾燥しにくいインクを使用する必要がある。この特徴を有するインクとして一般には、結着剤、染料、溶媒、添加剤等を水に溶解または分散した水溶性のインクが使用されている。しかしながら、水溶性インクを使用して記録用シート上に形成した文字、画像等は、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性という観点から見ると顔料系のインクによる印刷物や銀塩写真のそれには残念ながら劣っているのが現状である。
【0003】近年、インクジェットプリンタが安価になり、その鮮鋭性や色彩性が身近なものとなるに従い、インク吸収性や色再現性に対する要求は高くなり、さらなる印字濃度の向上やより鮮明な発色が望まれるようになった。また、耐光性、耐オゾンガス性等の保存性に関する要求も高く厳しくなる一方である。したがって、これらの諸特性を完全に確保することが今やインクジェット記録用シートの必須条件となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この現状を鑑み、インクジェット記録用シートの改良が検討されている。例えば、特開平08−295075号広報や特開平07−276791号広報に代表されるように、アミノ酸の添加により色再現性やインク吸収性を向上させる方法が報告されている。また、画像の耐光性向上にはポリフェノール等の添加剤が効果があるとの報告もなされている。しかしながら、これらのアミノ酸のみの添加では、画像鮮明性の低下や、耐光性、耐湿性の低下等の弊害が確認され、ポリフェノールの添加では、経時黄変等の弊害が生じる等、印字濃度や画像鮮明性と保存性の両者を向上させるものはなかった。したがって、本発明は、画像鮮明性、印字濃度等の記録特性と、画像の耐光性、耐オゾンガス性等の保存性とを共に向上し得る、優れたインクジェット記録用シートを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、インクジェット記録用シートについての種々の検討を重ねた結果、インクジェット記録用シートにオリゴ糖および2価の金属塩を含有させることによって、極めて効果的に、印字濃度、画像鮮明性等の記録特性と、画像の耐光性、耐オゾンガス性等の保存性とが格段に向上することを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明のインクジェット記録用シートは、支持体の少なくとも片面に、インク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、該記録用シートの支持体またはインク受容層に、少なくともオリゴ糖および2価の金属塩を含有することを特徴としている。また、本発明のインクジェット記録用シートにおいては、オリゴ糖および2価の金属塩がインク受容層に含有されていることが好適な形態である。以下、本発明のより好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用シートは、支持体の少なくとも片面にインク受容層を塗布法等の積層手段により少なくとも1層設けてなる層構成であり、そのインク受容層は、2層あるいは3層以上あっても良い。以下、支持体およびインク受容層を構成する材料を説明する。なお、本発明のインクジェット記録用シートにおいては、オリゴ糖および2価の金属塩がインク受容層に限らず、インクジェット記録用シートに含まれれば、優れた記録特性と保存性とを発揮することができるが、ここでは、インク受容層にオリゴ糖および2価の金属塩を含有させる形態について説明する。
【0007】(1)支持体本発明に用いられるインク受容層が塗設される支持体は、LBKP,NBKP等の化学パルプ、GP,PGW,RMP,TMP,CTMP,CMP,CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプや、ポリエチレン繊維等の合成繊維パルプを主成分として、顔料およびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤を1種類以上必要に応じて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で製造された原紙、さらに、澱粉、ポリビニルアルコール等をサイズプレスで設けた原紙、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。このような原紙および塗工紙にそのままインク受容層を設けても良いし、表面の平滑性をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置をインク受容層塗工の前段階で使用しても良い。
【0008】また、支持体としては、上記原紙上にポリオレフィン樹脂層を設けても良いし、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリウレタン等の合成樹脂やこれらの混合物のフィルム材や、該合成樹脂を繊維化して成型したシートも含まれる。
【0009】(2)インク受容層本発明のインクジェット記録用シートのインク受容層は、顔料とバインダー樹脂を主成分として、必要に応じてその他の各種添加剤を加えて形成されるものであるが、本発明においては、オリゴ糖を用いることに加えてインク受容層に2価の金属塩を含有させることが、良好な記録特性と共に、優れた耐光性および耐オゾンガス性が達成されることから好ましい。以下、インク受容層に用いられる材料について説明する。
【0010】(A)顔料本発明におけるインク受容層には、一般に使用されている水に不溶もしくは難溶性の顔料を1種類以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0011】上記の中でも、インク受容層に主成分として含有される白色顔料としては、インクジェットインクの乾燥性や吸収性に優れていることから、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔質炭酸マグネシウム、多孔質アルミナ等が挙げられる。これらの中で、本発明では記録品質と保存性の両方を満足する、比表面積200〜600m/g程度の沈降タイプおよびゲルタイプの多孔性非晶質シリカを使用することが好適である。
【0012】(B)バインダー樹脂本発明におけるインク受容層に含有されるバインダー樹脂には、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、無水マレイン酸樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体,メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂,尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性接着剤、ポリメチルメタクリレート,ポリウレタン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,ポリビニルブチラール,アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等が挙げられ、1種以上で使用される。本発明のインク受容層における顔料とバインダー樹脂の配合割合は、バインダー樹脂:顔料=1:1〜1:15が好ましく、特に1:2〜1:10が好適である。
【0013】(C)オリゴ糖本発明のインクジェット記録用シートに含有させるオリゴ糖としては、マルトオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖が用いられる。以下、マルトオリゴ糖とイソマルトオリゴ糖について説明する。
【0014】本発明におけるマルトオリゴ糖とは、グルコースがα1→4結合したもので、グルコースを構成単位とした重合度2以上の糖質である。具体的には、グルコースが2分子結合したマルトース(グルコース重合度2)、重合度3のマルトトリオース、重合度4のマルトテトラオース、重合度5のマルトペンタオース、重合度6のマルトヘキサオース、重合度7のマルトヘプタオース等が挙げられる。本発明では、記録特性、耐光性および耐オゾンガス性等の効果が優れていることから、グルコース重合度2〜10のマルトオリゴ糖が好ましく、特に重合度2〜7のものが好ましく用いられる。構成単位のグルコース(重合度1に相当)を用いた場合では、画像鮮明性および耐オゾンガス性が劣っており、本発明の目的が達成されない。また、重合度が10を越えるマルトオリゴ糖を用いると、耐光性および画像鮮明性が損なわれてしまうおそれがある。
【0015】本発明におけるイソマルトオリゴ糖とは、グルコースを構成単位とし、α1→6結合で結合した糖質の他、α1→4結合以外の結合を持つ糖質も含まれる。具体的には、グルコースがα1→6結合したイソマルトオリゴ糖としては、グルコースが2分子結合したイソマルトース(グルコース重合度2)、重合度3のイソマルトトリオースやパノース等が挙げられ、α1→4結合以外の結合を持つイソマルトオリゴ糖としては、β1→6結合を持つゲントースなどのゲンチオオリゴ糖、α1→3結合を持つニゲロースなどのニゲロオリゴ糖、α1→1結合を持つトレハロース、グルコシルスクロース等が挙げられる。本発明では、記録特性、耐光性および耐オゾンガス性等の効果が優れていることから、グルコース重合度2〜5のイソマルトオリゴ糖が好ましく用いられる。構成単位のグルコース(重合度1に相当)を用いた場合では、画像鮮明性および耐オゾンガス性が劣っており、本発明の目的が達成されない。また、重合度が5を越えるイソマルトオリゴ糖を用いると、耐光性および画像鮮明性が損なわれてしまうおそれがある。
【0016】本発明に用いられるオリゴ糖は、澱粉を希酸中で加熱してグルコシド結合を加水分解し、または、澱粉またはアミロースをアミラーゼ等の澱粉分解酵素類で加水分解し、あるいは、糖転移酵素類を利用してオリゴ糖を得ることができる。なお、オリゴ糖の原料となる澱粉は、米,とうもろこし等の穀類澱粉、馬鈴薯,キャッサバ等の芋類澱粉等から任意に選択できる。このようにして得られたオリゴ糖には、種々の重合度のオリゴ糖が含まれるので、純粋な単一重合度のオリゴ糖を得るためには、分離精製操作が必要になる。しかしながら、重合度の大きいオリゴ糖は難結晶性であるため、純粋な単一重合度のオリゴ糖を得るには、ゲル濾過クロマトグラフィー等による分画や分取等の精製操作が必要である。
【0017】本発明に用いるオリゴ糖は、上記のようにして精製して得られた単一重合度のオリゴ糖を用いることができるが、例えば澱粉類をβ−アミラーゼと枝切り酵素で糖化反応を行うことによって得られるようなグルコース重合度が2以上のマルトオリゴ糖にグルコースが含まれたマルトオリゴ糖混合物をそのまま用いることも可能である。このように、重合度の異なるオリゴ糖を用いる場合、マルトオリゴ糖では、グルコース重合度が2〜10のマルトオリゴ糖を主成分としたものが好ましく、中でも、重合度2〜7のマルトオリゴ糖の含有割合が50重量%以上、特に70重量%以上である混合物が好ましい。また、イソマルトオリゴ糖では、グルコース重合度が2〜5のイソマルトオリゴ糖を主成分としたものが好ましい。
【0018】上記のオリゴ糖の含有量としては、インク受容層の総固形分に対して任意の割合で良く、好ましくは0.5〜30.0重量%であり、最も好適なのは5.0〜20.0重量%の範囲である。含有量が0.5重量%未満では、画像の耐オゾンガス特性等への効果が十分ではなく、また、30.0重量%を超える量を添加しても、耐オゾンガス性および耐光性は十分改善されるものの、それ以上は向上せず、耐水性やインク吸収性が低下したり、インク受容層の塗膜強度が損なわれるおそれがある。また、これらのオリゴ糖を支持体に含有する場合は、0.2〜15.0g/m程度サイズプレス等により塗工するか、あるいは、0.5〜30.0重量%程度内添して用いることも可能である。
【0019】(D)2価の金属塩本発明のインクジェット記録用シートにおいては、オリゴ糖と共に2価の金属塩を併用することにより、良好なインク吸収性を保持しつつ、オリゴ糖添加の効果をさらに発揮する相乗効果を得ることができる。この場合、2価の金属塩とは水などに溶解して電離した際、2価の陽金属イオンを生じるものをいう。2価の金属塩としては任意に選択可能であるが、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス等の典型金属元素のハロゲン化物、ヘキサフルオロシリル化物、硫酸塩、チオ硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、塩素酸類塩、硝酸類塩などが挙げられる。これらの中でも、金属として、亜鉛、マグネシウム、カルシウムが好ましく、また、塩としては、塩化物、硫酸塩、酢酸塩が好ましく、特にこれらの組み合わせからなる化合物が好ましく用いられる。具体的には、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウムが挙げられる。
【0020】これら金属塩の含有量としては、インク受容層の総固形分に対して任意の割合でよいが、好ましくは1.0〜40.0重量%であり、より好ましくは5.0〜20.0重量%の範囲である。含有量が1.0重量%未満では、記録特性、画像の耐光性および耐オゾンガス性の効果が確認されるも十分でなく、また40.0重量%を越える量を添加しても耐光性および耐オゾンガス性は十分改良されるものの、それ以上は向上せず、耐水性および耐湿性が低下したり、インク受容層の塗膜強度が損なわれるおそれがある。さらに、インクジェット記録の記録品質が損なわれるおそれがある。また、金属塩の好適な含有量範囲は、鮮明な印字画像を達成するためには、顔料に対して5.0〜40.0重量%が好ましく、さらには10.0〜20.0重量%が好適である。
【0021】(E)他の添加剤さらに、インク受容層には、その他の添加剤として、カチオン性染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、硬膜剤等を必要に応じて適宜配合することもできる。
【0022】この中で、特にカチオン性染料定着剤は、耐光性や耐オゾンガス性向上に効果を有するオリゴ糖との相乗効果が得られることから、添加されていることが好ましい。カチオン性染料定着剤としては、各種のカチオン性ポリマーが使用され、例えばポリエチレンイミン塩、ポリビニルアミン塩、アクリルアミド系共重合体塩、2級アミンとエピハロヒドリンの縮合体塩等が挙げられる。本発明においては、耐オゾンガス性や耐光性と耐水性を両立させ、その有効性を向上させるために、カチオン性染料定着剤量:オリゴ糖量のインク受容層中の固形分比率が、2:1〜1:4であることが好ましく、最も好適なのは3:2〜1:2である。
【0023】以上の材料からなる本発明のインク受容層の組成は特に限定されるものではないが、耐光性、耐オゾンガス性をはじめとする諸特性を満足し、支持体への密着性、裁断加工時の粉落ち等の生産上の問題を解決するインク受容層中の各材料の固形分比率は、顔料30.0〜60.0重量%、バインダー樹脂20.0〜40.0重量%、オリゴ糖5.0〜20.0重量%、2価の金属塩5.0〜20.0重量%を基準として構成することが最も好適である。
【0024】インク受容層の形成は、層を形成するための材料を水または適当な溶媒中に溶解あるいは分散させて調製した塗工液を、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、サイズプレス等の各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで適宜使用して、支持体上に塗布して形成する。インク受容層の塗布量としては、例えば、1層タイプでは5.0〜30.0g/mが好ましく、特に、5.0〜20.0g/mが好適である。また、支持体上に第1インク受容層を積層し、この第1インク受容層の上に第2インク受容層を積層して2層タイプとする場合には、第1インク受容層の塗布量は5.0〜30.0g/mが好ましく、特に、5.0〜20.0g/mがより好ましい。また、第2インク受容層の塗布量は5.0〜15.0g/mが好ましく、特に、5.0〜10.0g/mがより好ましい。このような範囲より塗布量が少ないと、インク吸収性や定着性が十分得られない場合があり、多いと粉落ち等の問題の発生、生産性の低下やコスト上昇を招く。特に第2インク受容層の塗布量が15.0g/mを超えて多いと、第2インク受容層中をインクが通過することが困難になり、滲みを生じて画像の鮮明性が損なわれる場合がある。したがって、本発明においては、上記のように積層するインク受容層の数により各インク受容層の塗布量をコントロールすることが好ましい。
【0025】また、2層以上のインク受容層を積層する場合、オリゴ糖はいずれか1つのインク受容層に添加しても良いし、複数のインク受容層に添加しても良い。ここで複数のインク受容層にオリゴ糖を添加する場合、層間の濃度勾配をより少なくするために、オリゴ糖の含有量は同一とすることがより好ましい。また、2価の金属塩もいずれか1つのインク受容層に添加しても良いし、複数のインク受容層に添加しても良い。インク受容層の塗工後には、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0026】本発明のインクジェット記録用シートは以上のような構成からなり、インク受容層のみを積層した構造でも十分特性を有するものであるが、インク受容層の表面に、例えば一般的な鏡面ドラム式のキャストコーター等を用いて、光沢度調整層を積層して付加価値を高めることも可能である。この光沢度調整層は、JISZ8741に規定される60度鏡面光沢度試験方法によって光沢度が10以上の特性を有することが好ましい。光沢度調整層の材料としては、上記インク受容層に使用されるバインダー樹脂および顔料の混合材料を塗工液として使用することができる。
【0027】光沢度調整層におけるバインダー樹脂および顔料の配合比は、光沢性を維持する点で、顔料に対してバインダー樹脂が5.0〜50.0重量%であることが好ましく、5.0〜30.0重量%であることがより好ましい。なお、光沢度調整層がインク受容層の機能を損なうことなく良好な光沢性を発揮する塗布量としては、3.0〜25.0g/mが好ましく、5.0〜15.0g/mであればより好適である。
【0028】また、本発明における光沢度調整層は、顔料成分としてコロイダルシリカを含有していることが特に好ましく、コロイダルシリカの粒径の異なるものを適宜混合して使用することにより、任意の光沢度に調整することが可能である。また、この光沢度調整層は、その組成を適宜選択することにより、印字部の光沢度を非印字部の光沢度よりも高くしたり、逆に低くしたりすることができる。
【0029】
【実施例】次に、本発明に基づく実施例および比較例を示し、本発明の効果をより明らかにする。
1.マルトオリゴ糖の調製馬鈴薯澱粉(和光純薬社製)に、α−アミラーゼおよびβ−アミラーゼを作用させて、マルトオリゴ糖混合物を得た。次いで、このマルトオリゴ糖混合物をゲル濾過クロマトグラフィーにより分離することによって、重合度1〜10のマルトオリゴ糖を各重合度ごとに分離し、さらに重合度11以上の高分子分画を分離した。このようにして、各重合度のマルトオリゴ糖と、これらのマルトオリゴ糖を任意に混合させた、表1に示すマルトオリゴ糖混合物とを調製した。
【0030】
【表1】

【0031】2.インクジェット記録用シートの作製上記のようにして得られたマルトオリゴ糖と、市販品のイソマルトオリゴ糖とを用いて、各実施例および各比較例を作製した。なお、各実施例および比較例に含有するオリゴ糖および金属塩については、下記表2にまとめて記載した。また、実施例中に挙げたものは、乾燥固形分重量の比率である。
【0032】<実施例1>支持体として坪量90g/mの上質紙を用い、下記組成の材料を水に溶解・分散し、この塗液を支持体の片面に塗布量10g/mで塗布・乾燥することによって、インク受容層および光沢度調整層を順次設け、本発明の実施例1のインクジェット記録用シートを作製した。
【0033】
[インク受容層]
・バインダー樹脂 PVA(商品名:PVA117、クラレ社製) 25.0重量%・白色顔料 シリカ(商品名:ファインシール X37B、トクヤマ社製、比表面積:300m/g) 54.0重量%・カチオン性染料定着剤 (商品名:スミレーズレジン1001、住友化学社製) 10.0重量%・マルトオリゴ糖:マルトース(重合度2) 1.0重量%・2価の金属塩 塩化マグネシウム(試薬特級) 10.0重量%【0034】
[光沢度調整層]
・バインダー樹脂 PVA(商品名:PVA117、クラレ社製) 40.0重量%・コロイダルシリカ (商品名:スノーテック30、日産化学社製) 60.0重量%【0035】<実施例2>実施例1のインク受容層と同比率のバインダー樹脂、白色顔料、カチオン性染料定着剤に対して、インク受容層中の総固形分の30.0重量%がマルトースになり、10.0重量%が2価の金属塩となるよう調製した塗液を用いて、実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録用シートを作製した。
【0036】<実施例3>実施例1のインク受容層と同比率のバインダー樹脂、白色顔料、カチオン性染料定着剤に対して、インク受容層中の総固形分の15.0重量%がマルトースになり、10.0重量%が2価の金属塩となるよう調製した塗液を用いて、実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録用シートを作製した。
【0037】<実施例4>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてマルトヘキサオース(重合度6)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録用シートを作製した。
【0038】<実施例5>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてマルトデカオース(重合度10)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録用シートを作製した。
【0039】<実施例6>実施例3のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて塩化亜鉛(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録用シートを作製した。
【0040】<実施例7>実施例3のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて塩化カルシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例7のインクジェット記録用シートを作製した。
【0041】<実施例8>実施例3のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて硫酸マグネシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例8のインクジェット記録用シートを作製した。
【0042】<実施例9>実施例3のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて酢酸マグネシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例9のインクジェット記録用シートを作製した。
【0043】<実施例10>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えて上記表1のマルトオリゴ糖混合物1を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例10のインクジェット記録用シートを作製した。
【0044】<実施例11>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えて上記表1のマルトオリゴ糖混合物2を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例11のインクジェット記録用シートを作製した。
【0045】<実施例12>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えて上記表1のマルトオリゴ糖混合物3を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例12のインクジェット記録用シートを作製した。
【0046】<実施例13>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えて上記表1のマルトオリゴ糖混合物4を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例13のインクジェット記録用シートを作製した。
【0047】<実施例14>実施例1のインク受容層において、マルトースに代えてイソマルトース(重合度2)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例14のインクジェット記録用シートを作製した。
【0048】<実施例15>実施例2のインク受容層において、マルトースに代えてイソマルトース(重合度2)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例15のインクジェット記録用シートを作製した。
【0049】<実施例16>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてイソマルトース(重合度2)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例16のインクジェット記録用シートを作製した。
【0050】<実施例17>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてイソマルトトリオース(重合度3)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例17のインクジェット記録用シートを作製した。
【0051】<実施例18>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてパノース(重合度3)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例18のインクジェット記録用シートを作製した。
【0052】<実施例19>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてゲントース(重合度2)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例19のインクジェット記録用シートを作製した。
【0053】<実施例20>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてニゲロース(重合度2)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例20のインクジェット記録用シートを作製した。
【0054】<実施例21>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてトレハロース(重合度2)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例21のインクジェット記録用シートを作製した。
【0055】<実施例22>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてグルコシルスクロース(重合度3)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例22のインクジェット記録用シートを作製した。
【0056】<実施例23>実施例16のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて塩化亜鉛(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例23のインクジェット記録用シートを作製した。
【0057】<実施例24>実施例16のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて塩化カルシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例24のインクジェット記録用シートを作製した。
【0058】<実施例25>実施例16のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて硫酸マグネシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例25のインクジェット記録用シートを作製した。
【0059】<実施例26>実施例16のインク受容層において、塩化マグネシウムに代えて酢酸マグネシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例26のインクジェット記録用シートを作製した。
【0060】<実施例27>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてイソマルトオリゴ糖(重合度4:市販品を精製したもの)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例27のインクジェット記録用シートを作製した。
【0061】<実施例28>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてイソマルトオリゴ糖(重合度5:市販品を精製したもの)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例28のインクジェット記録用シートを作製した。
【0062】<実施例29>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてイソマルトオリゴ糖(重合度6以上:市販品を精製したもの)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例29のインクジェット記録用シートを作製した。
【0063】<比較例1>実施例1のインク受容層と同様の比率のバインダー樹脂、白色顔料、カチオン性インク定着剤からなる組成を有する塗液を用いて、実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録用シートを作製した。したがって、比較例1にはオリゴ糖および金属塩は含まれていない。
【0064】<比較例2>比較例1のインク受容層と同様の比率のバインダー樹脂、白色顔料、カチオン性インク定着剤に対して塩化マグネシウムのみをインク受容層中の総固形分の10.0重量%となるように調製した塗液を用いて、実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録用シートを作製した。したがって、比較例2にはオリゴ糖は含まれていない。
【0065】<比較例3>実施例3のインク受容層において、マルトースに代えてグルコース(重合度1、オリゴ糖の構成単位)を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録用シートを作製した。したがって、比較例3にはオリゴ糖は含まれていない。
【0066】<比較例4>実施例1のインク受容層と同様の比率のバインダー樹脂、白色顔料、カチオン性インク定着剤に対して、インク受容層中の総固形分の15.0重量%がマルトースになるように調製した塗液(2価の金属塩は含まない)を用いて、実施例1と同様にして比較例4のインクジェット記録用シートを作製した。
【0067】<比較例5>実施例16のインク受容層と同様の比率のバインダー樹脂、白色顔料、カチオン性インク定着剤に対して、インク受容層中の総固形分の15.0重量%がイソマルトースになるように調製した塗液(2価の金属塩は含まない)を用いて、実施例1と同様にして比較例5のインクジェット記録用シートを作製した。
【0068】
【表2】

【0069】次に、上記実施例1〜29および比較例1〜5のインクジェット記録用シートに、市販のインクジェットプリンタ(商品名:PM−800C、セイコーエプソン社製)を使用してカラーパッチ等の評価対象画像を記録した。かかる画像を用いて、下記に示すような方法で耐光性、耐オゾンガス性、印字濃度および画像鮮明性の評価を行い、その結果を表3に示した。
【0070】評価方法1.耐光性各実施例および比較例のインクジェット記録用シートに対して、キセノンウエザオメーター(商品名:Ci−5000、ATLAS社製)を使用し、ブラックパネル温度40℃、相対湿度60%、340nm紫外線強度0.18W/mで60KJ/mの曝露実験を行った。次いで、分光光度計(商品名:GRETAG SPM50、グレタグマクベス社製)を用いて、暴露後の各実施例および比較例のインクジェット記録用シートにおけるマゼンタのカラーパッチ部分の反射濃度を測定することにより耐光性を評価した。
濃度残存率 A:曝露後の濃度が曝露前濃度の90%以上 B:80%以上〜90%未満 C:80%未満【0071】2.耐オゾンガス性各実施例および比較例のインクジェット記録用シートに対して、簡易式オゾンガス発生器を使用し、オゾンガス濃度10ppm、10時間の曝露実験を行った。次いで、分光光度計(商品名:GRETAG SPM50、グレタグマクベス社製)を用いて、暴露後の各実施例および比較例のインクジェット記録用シートにおけるシアンのカラーパッチ部分の反射濃度を測定することにより耐オゾンガス性を評価した。
濃度残存率 A:曝露後の濃度が曝露前濃度の85%以上 B:70%以上〜85%未満 C:70%未満【0072】3.印字濃度Y、M、C、R、G、B、Bkのカラーパッチを印字した各実施例および比較例のインクジェット記録用シートを分光光度計(商品名:GRETAG SPM50、グレタグマクベス社製)を用いて各色の反射濃度を測定した。
印字濃度 A:各色濃度の最低値が1.70以上のもの B:各色濃度の最低値が1.60〜1.69のもの C:各色濃度の最低値が1.59以下のもの【0073】4.画像鮮明性各実施例および比較例のインクジェット記録用シートに対して、高精細カラーデジタル標準画像データであるISO/JIS−SCID(JIS X9201−1995に準拠)のN1ポートレート画像を印字し、これを用いて画像鮮明性を目視により評価した。
画像鮮明性 A:画像が鮮明で鮮やかであり、優れている B:問題がない C:画像がくすんだり、鮮やかさが足りない【0074】
【表3】

【0075】以上の結果から、実施例1〜29ではインクジェット記録用シートの必須条件である印字濃度や画像鮮明性が非常に高くかつ、耐光性や耐オゾンガス性が良好な従来にないインクジェット記録用シートが得られた。これに対し、インク受容層にオリゴ糖および2価の金属塩が含まれていない比較例1〜5では耐光性や耐オゾンガス性について改良効果が認められず、また、画像鮮明性や印字濃度も劣っていた。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、インクジェット記録用シートにオリゴ糖と2価の金属塩を含有させることにより、印字濃度が高く鮮明で、耐オゾンガス性に優れ、耐光性等の諸特性が良好な従来にないインクジェット記録用シートが得られる。
【出願人】 【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川製紙所
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目5番15号
【出願日】 平成13年11月29日(2001.11.29)
【代理人】 【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
【公開番号】 特開2003−145921(P2003−145921A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−365303(P2001−365303)