| 【発明の名称】 |
インクジェット記録媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】半村 昌弘 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
【氏名】大西 弘幸 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】長期間に亘って記録画像の変退色を起こし難く、長期保存が可能な記録物を提供し得るインクジェット記録媒体を提供すること。
【解決手段】本発明のインクジェット記録媒体は、基材上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体において、前記インク受容層中に、フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物を含有することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体において、前記インク受容層中に、フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物を含有するインクジェット記録媒体。 【請求項2】 フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する前記化合物が、(A)フェノール性水酸基を有する化合物及び(B)弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物である請求項1記載のインクジェット記録媒体。 【請求項3】 前記(A)フェノール性水酸基を有する化合物が、一価フェノール又はその誘導体である請求項2記載のインクジェット記録媒体。 【請求項4】 前記(B)弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物が、カルボン酸のアルカリ金属塩である請求項2又は3記載のインクジェット記録媒体。 【請求項5】 前記(B)弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物が、カルボン酸のリチウム塩又はナトリウム塩である請求項2〜4の何れかに記載のインクジェット記録媒体。 【請求項6】 前記インク受容層が、無機顔料、バインダー樹脂及び染料定着剤を含有する請求項1〜5の何れかに記載のインクジェット記録媒体。 【請求項7】 前記無機顔料が非晶質シリカである請求項6記載のインクジェット記録媒体。 【請求項8】 前記染料定着剤がカチオン系ポリマーである請求項6又は7記載のインクジェット記録媒体。 【請求項9】 前記インク受容層の空隙率が30〜80%である請求項1〜8の何れかに記載のインクジェット記録媒体。 【請求項10】 前記基材がポリオレフィン樹脂被覆紙である請求項1〜9の何れかに記載のインクジェット記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基材上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体に関し、詳しくは、長期間に亘って記録画像の変退色を起こし難く、長期保存が可能な記録物を提供し得るインクジェット記録媒体に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】インクジェット記録方法は、微小なノズルから画像信号に応じてインクの液滴を吐出させ、記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法である。銀塩写真に匹敵する高画質のフルカラー画像の形成には、多量のインクが使用されるため、記録媒体には高いインク吸収能が求められる。近年、ハイライトの粒状感を低減させてより高画質の画像を形成するために、同じ色調で着色剤濃度の異なる複数の濃淡インクが用いられるようになっており、記録媒体に要求されるインク吸収性のレベルはますます高まっている。そこで、高インク吸収能を有し、銀塩写真に匹敵する高画質のフルカラー画像を形成し得るインクジェット記録用の記録媒体(インクジェット記録媒体)として、紙やフィルム等の基材上に、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ水和物、γ型酸化アルミニウム等の無機系超微粒子顔料を主成分とする、いわゆる空隙型インク受容層を設けた構成のインクジェット記録媒体が開発されている。 【0003】一方、インクジェット記録技術のデジタル写真サービスや商業印刷用途等への拡大に伴い、記録画像の堅牢性はますます重要視されてきており、長期間に亘って光やオゾンガス等の影響による変退色を起こし難く、長期保存が可能な記録物を提供し得るインクジェット記録技術の提供が望まれている。このようなインクジェット記録技術の一つとして、インク受容層中にフェノール系酸化防止剤を含有させて、記録物の耐光性や耐ガス性を向上させる技術が知られている(例えば、特開昭57−87989号公報、特開昭62−261477号公報、特開平1−18684号公報、特開2000−280612号公報、特開2001−150796号公報、特開2001−30620号公報等参照)。しかし、この種のフェノール系酸化防止剤を空隙型インク受容層中に含有させると、記録画像自体の耐光性や耐ガス性は向上するものの、該空隙型インク受容層自体が、光やオゾンガス等の影響により経時的に黄変し、結局、長期保存が可能な記録物を得ることは出来なかった。このようないわゆる素地黄変を起こさずに、空隙型インク受容層上に形成された画像の耐光性及び耐ガス性を向上させて、長期保存が可能な記録物を提供し得る技術は未だ提供されていない。 【0004】従って、本発明の目的は、光やオゾンガス等に起因する記録画像の変退色及び素地黄変を長期間に亘って起こし難く、長期保存が可能な記録物を提供し得るインクジェット記録媒体を提供することにある。 【0005】本発明者らは、基材上に、いわゆる空隙型インク受容層を有するインクジェット記録媒体について種々検討した結果、該空隙型インク受容層中に、染料等の着色剤により形成された画像の酸化防止能を有するフェノール性水酸基と共に、インク受容層の膜面pH調整能を有する弱酸と強塩基とからなる塩を含有させることにより、該フェノール性水酸基に起因する素地黄変を抑制して、記録画像の耐光性及び耐ガス性を向上させ得ることを知見した。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記知見に基づきなされたもので、基材上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体において、前記インク受容層中に、フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物を含有するインクジェット記録媒体を提供することにより前記目的を達成したものである。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明のインクジェット記録媒体について、その好ましい実施形態に基づき説明する。本実施形態のインクジェット記録媒体は、基材の片面にインク受容層を設けてなる。該インク受容層は、無機顔料を主体とし、層中に無数の空隙を有する多孔質の層、いわゆる空隙型インク受容層であり、フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物を含有することを特徴とする。 【0008】本実施形態において、前記「フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物」としては、(A)フェノール性水酸基を有する化合物及び(B)弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物の2種類の化合物を用いてもよく、また、(C)分子内にフェノール性水酸基及び弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物を用いてもよい。 【0009】前記(A)化合物は、記録画像を形成する染料等の着色剤の酸化を防止する作用を有するものであればよく、この種の記録媒体あるいはプラスチックの添加剤として使用される公知のフェノール系酸化防止剤を用いることができる。特に、一価フェノール又はその誘導体は、酸化防止効果が高いので好ましい。前記(A)化合物として好ましく用いられるものとしては、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−ブチリデンビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等が挙げられる。 【0010】前記(A)化合物の含有量は、前記インク受容層の乾燥重量に対して、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%である。含有量が0.5重量%未満では、記録画像の耐光性及び耐ガス性の向上の効果に乏しく、10重量%超では、基材の黄変(素地黄変)の悪化、他成分含有量の低下によるインク吸収性及び塗膜強度の低下等のおそれがある。 【0011】前記(A)化合物と併用される前記(B)化合物としては、前記インク受容層中においてpH調整剤として機能し、該インク受容層の膜面pH[日本紙パルプ技術協会の定める紙及び板紙の表面pH試験方法のA法(塗布法)〔J.TAPPI No.6〕により測定されるpHを意味する]を若干上昇させる作用を有するものが用いられ、好ましくは、リン酸、炭酸、ホウ酸、亜硫酸等の無機酸又は酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フェノール酸等の有機酸のアルカリ金属塩を用いることができる。特に、カルボン酸のアルカリ金属塩、とりわけ、カルボン酸のリチウム塩又はナトリウム塩は、素地黄変の防止効果が高いので好ましい。前記(B)化合物として好ましく用いられるものとしては、クエン酸水素二カリウム、安息香酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。 【0012】前記(B)化合物の含有量は、前記(A)化合物100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、更に好ましくは1〜5重量部である。含有量が上記範囲の下限未満では、前記(A)化合物に起因する素地黄変の防止に有効でなく、上記範囲の上限超では、インク受容層の塗膜強度の低下、インク吸収性の低下等を招くおそれがある。 【0013】一方、前記(C)化合物としては、ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩又はその誘導体、ヒドロキシフェニル酢酸のアルカリ金属塩又はその誘導体等が挙げられる。 【0014】前記(C)化合物の含有量は、前記インク受容層の乾燥重量に対して、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%である。含有量が0.5重量%未満では、記録画像の耐光性及び耐ガス性の向上の効果に乏しく、10重量%超では、基材の黄変(素地黄変)の悪化、他成分含有量の低下によるインク吸収性及び塗膜強度の低下等のおそれがある。 【0015】前記「フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物」として特に好ましいのは、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸ナトリウム、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸カリウム、2−ヒドロキシフェニル酢酸ナトリウム及び4−ヒドロキシフェニル酢酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種である。 【0016】前記インク受容層に含有される前記無機顔料としては、例えば、沈殿法、ゲル法、気相法等により合成された非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ(気相法アルミナ、γアルミナ等)、アルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、スメクタイト粘土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、カオリン、白土、タルク、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。また、無機顔料と樹脂との複合体(ヘキスト合成(株)製の”モビニール8050”等)を用いることもできる。これらのうち、特に非晶質シリカを用いることが、純度の高さ、価格、入手し易さ等の点で好ましい。 【0017】前記無機顔料は、BETによる比表面積が100〜500m2/g、特に200〜400m2/gであることが、記録画像の画質と保存性とのバランスの観点から好ましい。また、同様の観点から、前記無機顔料の平均粒径は、好ましくは0.05〜15μm、更に好ましくは0.1〜10μmである。また、同様の観点から、前記無機顔料の平均1次粒径は、好ましくは3〜50nm、更に好ましくは3〜20nmであり、また、平均2次粒径は、好ましくは0.05〜15nm、更に好ましくは0.1〜10nmである。 【0018】前記無機顔料の含有量は、前記インク受容層の乾燥重量に対して、好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%である。含有量が40重量%未満では、十分なインク吸収性を確保できないおそれがあり、90重量%超では、インク受容層の塗膜強度が低下するおそれがある。 【0019】前記インク受容層には、前記無機顔料を基材上に固着させるためのバインダー樹脂が含有される。該バインダー樹脂としては、この種の塗工紙に通常使用されるものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、澱粉、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、スチレン−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体等のアクリル系共重合体ラテックス等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。 【0020】前記バインダー樹脂の含有量は、前記無機顔料100重量部に対して、好ましくは5〜60重量部、更に好ましくは10〜50重量部である。含有量が上記範囲の下限未満では、インク受容層の塗膜強度の低下を招き、上記範囲の上限超では、インク吸収性や染料の吸着性が低下するおそれがある。 【0021】また、前記インク受容層には、高い画像濃度を得るために、染料と結合して不溶化し得る染料定着剤を含有させることが好ましい。該染料定着剤としては、カチオン系ポリマー;Al3+、Ca2+、Mg2+等の多価金属イオン;塩化ベンザルコニウム等のカチオン性界面活性剤等を用いることができ、特にカチオン系ポリマーが、耐水性、発色性等の点で好ましい。該カチオン系ポリマーとしては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー、エピハロヒドリン−2級アミンコポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミドコポリマー、ジアリルメチルアンモニウム塩ポリマー、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化硫黄コポリマー、ジメチルメチルアミン塩酸塩コポリマー、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩化合物、(メタ)アクリルアミドアルキルアンモニウム塩ポリマー、4級アンモニウム塩基を含むアイオネン、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。特に、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマーを用いることが好ましい。 【0022】前記染料定着剤の含有量は、前記無機顔料100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。含有量が上記範囲の下限未満では、記録画像の発色性及び耐水性の向上の効果に乏しく、上記範囲の上限超では、インク吸収性の低下や着色剤の析出による高光沢化(ブロンジング)を招くおそれがある。 【0023】前記インク受容層には、必要に応じ、蛍光増白剤、防かび剤、防腐剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、硬膜剤、着色染料、着色顔料、顔料の分散剤、レベリング剤、紫外線吸収剤の各種添加剤の1種又は2種以上を含有させることができる。 【0024】前記インク受容層は、フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物及び無機顔料、必要に応じバインダー樹脂、染料定着剤及びその他各種添加剤を水に分散させて調製した塗被組成物を、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレス法等の公知の塗工方法により基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。前記インク受容層の乾燥後の厚みは、特に制限されないが、発色性と粉落ち防止の観点から、好ましくは10〜40μm、更に好ましくは20〜30μmである。塗布量としては、乾燥重量で好ましくは10〜40g/m2、更に好ましくは20〜30g/m2である。 【0025】また、前記インク受容層に対し、キャスト法により表面光沢仕上げをしてもよい。この表面光沢仕上げは、基材上に塗被組成物を塗布し、該塗被組成物が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラム又はPETフィルム等に圧接し、乾燥させた後、ドラム又はフィルムを剥離して鏡面を該塗被組成物の表面に転写させる方法である。この場合、塗被組成物の塗布量は、乾燥重量で好ましくは0.2〜30g/m2、更に好ましくは3〜10g/m2である。キャスト法には、ウエット法、リウエット法等があり、何れの方法でもよいが、特にウエット法は優れた記録性が得られるので好ましい。 【0026】前記インク受容層は、J.TAPPI No.48−85に従い測定される空隙率が30〜80%であることが好ましく、40〜70%であることが更に好ましい。空隙率が30%未満ではインクの速乾性、吸収速度、吸収容量等が十分でなく、80%超では無機顔料の脱落による紙送りロールにおけるスリップやヘッドの目詰まりが発生するおそれがある。インク受容層の空隙率は、前記無機顔料と前記バインダー樹脂との比率の調整、カレンダー処理、乾燥条件の調整(塗膜収縮の調整)等により行うことができる。 【0027】前記インク受容層が設けられる基材としては、特に制限されず、上質紙、再生紙、サイズ処理紙等の紙;アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙、樹脂含浸紙等の加工紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムやシート状プラスチック基材;不織布、布、織物、金属フィルム、金属板;これらを貼り合わせた複合基材等、この種の塗工紙において基材として通常用いられるシート状物を用いることができる。特にポリオレフィン樹脂被覆紙を用いることが好ましい。 【0028】本発明で基材として用いられる樹脂被覆紙について説明する。樹脂被覆紙は、原紙の片面又は両面に樹脂被覆層を設けたものである。 【0029】樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。この原紙には、一般に抄紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。 【0030】前記原紙を被覆する樹脂(ポリオレフィン樹脂)としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンのホモポリマー;エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィンの2つ以上からなる共重合体;これらの混合物が挙げられ、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独あるいは混合して使用できる。また、上記樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料;ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;イルガノックス1010,イルガノックス1076等の酸化防止剤;コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料;コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫等のマゼンタの顔料や染料;蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。 【0031】樹脂被覆紙は、走行する原紙上に、ポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造できる。原紙を樹脂で被覆する前に、該原紙にコロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すことが好ましい。また、本発明では、少なくとも、原紙の表面(インク受容層が設けられる面)が樹脂で被覆されているものであればよいが、カール防止の点から、原紙の両面が樹脂で被覆されているものが好ましい。原紙裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理等の活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては、特に制限はないが、原紙の片面あるいは両面とも、5〜50μm程度が好ましい。尚、押出コーティング法は、ポリオレフィン樹脂を押出機で加熱溶融し、原紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して行う。その際、クーリングロールの表面形状を適宜変更することにより、樹脂被覆層の表面を鏡面や微粗面にしたり、あるいは該表面に、絹目状やマット状等のパターン化された模様を型付けしたりすることができる。 【0032】本実施形態のインクジェット記録媒体は、ペン等の筆記具による記録方法等、各種の記録方法にも使用できるが、特に、微小なノズルから画像信号に応じてインクの液滴を吐出させ、記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法に最適である。即ち、本実施形態のインクジェット記録媒体は、前記「フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物」の作用により、従来のフェノール系酸化防止剤の欠点であった素地黄変を抑制しつつ、染料等の着色剤によりインク受容層上に形成された画像の耐光性及び耐ガス性を向上させることができるので、前記染料定着剤を含有する空隙型インク受容層の特長である優れたインク吸収性及び発色性と相俟って、銀塩写真に匹敵する高画質で、長期保存が可能な記録物を提供することができる。 【0033】本発明は、前記実施形態に制限されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記インク受容層は、基材の片面のみならず、両面に設けてもよい。 【0034】 【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を挙げると共に試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に何等制限されるものではない。 【0035】〔実施例1〕木材パルプを主成分とする坪量80g/m2の紙の表面に、別途調製した下記組成の塗被組成物1を、乾燥重量が20g/m2となるようにロールコーターを用いて塗布し、乾燥させてインク受容層を形成し、インクジェット記録媒体を製造した。このインクジェット記録媒体を実施例1のサンプルとした。 【0036】 塗被組成物1・シリカ 60重量部(商品名”ファインシールX37B”株式会社トクヤマ製) ・ポリビニルアルコール 300重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオン系ポリマー 20重量部(商品名”PAL−2”センカ(株)製、20%水溶液) ・p−メトキシフェノール(関東化学(株)製) 3重量部・クエン酸水素二カリウム(関東化学(株)製) 3重量部・水 200重量部【0037】〔実施例2〕実施例1において、塗被組成物1に代えて、下記組成の塗被組成物2を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを実施例2のサンプルとした。 【0038】 塗被組成物2・気相法シリカ 100重量部(商品名”アエロジル380”日本アエロジル(株)製) ・ポリビニルアルコール 20重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオン系ポリマー 8重量部(商品名”ユニセンスC−104”センカ(株)製、44%水溶液) ・2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール 3重量部(関東化学(株)製) ・安息香酸ナトリウム(関東化学(株)製) 3重量部・ホウ酸 6重量部・界面活性剤 0.3重量部・変性エタノール 20重量部・水 400重量部【0039】〔実施例3〕実施例1において、塗被組成物1に代えて、下記組成の塗被組成物3を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを実施例3のサンプルとした。 【0040】 塗被組成物3・シリカ 60重量部(商品名”ファインシールX37B”株式会社トクヤマ製) ・ポリビニルアルコール 300重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオン系ポリマー 20重量部(商品名”PAL−2”センカ(株)製、20%水溶液) ・アデカスタブLX−141 5重量部(商品名、旭電化工業(株)製、有効成分50%) ・(+)−酒石酸ナトリウム二水和物(関東化学(株)製) 3重量部・水 200重量部【0041】〔実施例4〕実施例1において、更に、キャスト法による表面光沢仕上げを行った以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを実施例4のサンプルとした。このキャスト法による表面光沢仕上げは、実施例1のサンプルのインク受容層上に、下記組成のキャスト用塗被液に水を加えて固形分濃度30%としたものを、ロールコーターを用いて塗布した後、直ちに表面温度85℃の鏡面ドラムに圧接させ、乾燥後、離型して行った。 【0042】 キャスト用塗被液・コロイダルシリカ及びスチレン−2−メチルヘキシルアクリレート共重合体の複合体 100重量部(商品名”モビニール8050”ヘキスト合成(株)製) ・ステアリン酸カルシウム 1重量部・カルボキシメチルセルロース 1重量部・p−メトキシフェノール(関東化学(株)製) 5重量部・クエン酸水素二カリウム(関東化学(株)製) 5重量部【0043】〔実施例5〕実施例1において、塗被組成物1に代えて、下記組成の塗被組成物4を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを実施例5のサンプルとした。 【0044】 塗被組成物4・アルミナ 100重量部(商品名”アルミナゾル−520”日産化学工業(株)製、20%水溶液) ・ポリビニルアルコール 80重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール 1重量部(関東化学(株)製) ・安息香酸ナトリウム(関東化学(株)製) 2重量部【0045】〔実施例6〕 〈ポリエチレン樹脂被覆紙の作成〉広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物を、カナディアンスタンダートフリーネスで300mlになるまで叩解してパルプスラリーを調製し、これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5重量%、紙力増強剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1重量%、カチオン化澱粉を対パルプ2重量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5重量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙用の原紙を得た。また、別途、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100重量%の樹脂に対して、10重量%のアナターゼ型チタンを均一に分散させてなる樹脂組成物と、密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70重量部及び密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30重量部のブレンド樹脂組成物とを調製した。そして、上記原紙の表面(インク受容層が設けられる面)に、320℃で加熱溶融させた上記樹脂組成物を、200m/分で乾燥後の厚みが30μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆すると共に、上記原紙の裏面に、320℃で加熱溶融させた上記ブレンド樹脂組成物を乾燥後の厚みが30μmになるように押出被覆して、ポリエチレン樹脂被覆紙を得た。 【0046】このようにして得られたポリエチレン樹脂被覆紙に、下記組成の塗被組成物5を、乾燥重量が30g/m2となるようにスライド塗布装置を用いて塗布し、乾燥させてインク受容層を形成し、インクジェット記録媒体を製造した。このインクジェット記録媒体を実施例6のサンプルとした。 【0047】 塗被組成物5・気相法シリカ 100重量部(商品名“アエロジル300”日本アエロジル(株)製) ・ポリビニルアルコール 200重量部(商品名“ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオンポリマー 4重量部(商品名“シャロールDC902P”第一工業製薬(株)製) ・塩基性ポリ水酸化アルミニウム 4重量部(商品名“ピュラケムWT”(株)理研グリーン製、10%水溶液) ・o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(関東化学(株)製) 2重量部・ホウ酸(関東化学(株)製) 3重量部・界面活性剤 0.3重量部・水 700重量部【0048】〔比較例1〕実施例1において、塗被組成物1に代えて、下記組成の塗被組成物6を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを比較例1のサンプルとした。 【0049】 塗被組成物6・シリカ 60重量部(商品名”ファインシールX37B”株式会社トクヤマ製) ・ポリビニルアルコール 300重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオン系ポリマー 20重量部(商品名”PAL−2”センカ(株)製、20%水溶液) ・p−メトキシフェノール(関東化学(株)製) 3重量部・水 200重量部【0050】〔比較例2〕実施例1において、塗被組成物1に代えて、下記組成の塗被組成物7を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを比較例2のサンプルとした。 【0051】 塗被組成物7・気相法シリカ 100重量部(商品名”アエロジル380”日本アエロジル(株)製) ・ポリビニルアルコール 20重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオン系ポリマー 8重量部(商品名”ユニセンスC−104”センカ(株)製、44%水溶液) ・2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール 3重量部(関東化学(株)製) ・ホウ酸 6重量部・界面活性剤 0.3重量部・変性エタノール 20重量部・水 400重量部【0052】〔比較例3〕実施例1において、塗被組成物1に代えて、下記組成の塗被組成物8を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを比較例3のサンプルとした。 【0053】 塗被組成物8・シリカ 60重量部(商品名”ファインシールX37B”株式会社トクヤマ製) ・ポリビニルアルコール 300重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオン系ポリマー 20重量部(商品名”PAL−2”センカ(株)製、20%水溶液) ・クエン酸水素二カリウム(関東化学(株)製) 3重量部・水 200重量部【0054】〔比較例4〕実施例1において、塗被組成物1に代えて、下記組成の塗被組成物9を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを比較例4のサンプルとした。 【0055】 塗被組成物9・シリカ 60重量部(商品名”ファインシールX37B”株式会社トクヤマ製) ・ポリビニルアルコール 300重量部(商品名”ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオン系ポリマー 20重量部(商品名”PAL−2”センカ(株)製、20%水溶液) ・水 200重量部【0056】〔比較例5〕実施例6において、塗被組成物6に代えて、下記組成の塗被組成物10を用いた以外は実施例6と同様にして、インクジェット記録媒体を製造し、これを比較例5のサンプルとした。 【0057】 塗被組成物10・気相シリカ 100重量部(商品名“アエロジル300”日本アエロジル(株)製) ・ポリビニルアルコール 200重量部(商品名“ゴーセナールT−330”日本合成化学(株)製、10%水溶液) ・カチオンポリマー 4重量部(商品名“シャロールDC902P”第一工業製薬(株)製) ・塩基性ポリ水酸化アルミニウム 4重量部(商品名“ピュラケムWT”(株)理研グリーン製、10%水溶液) ・ホウ酸(関東化学(株)製) 3重量部・界面活性剤 0.3重量部・水 700重量部【0058】〔試験例〕このようにして得られた各インクジェット記録媒体におけるインク受容層の膜面pH及び空隙率をそれぞれ測定した。膜面pHは、日本紙パルプ技術協会の定める紙及び板紙の表面pH試験方法のA法(塗布法)〔J.TAPPI No.6〕に従い測定し、空隙率は、J.TAPPI No.48−85に従い測定した。また、各インクジェット記録媒体の耐熱性を下記方法により評価した。また、各インクジェット記録媒体に対して、セイコーエプソン製のインクジェットプリンタPM−800Cを用いて、マゼンタ濃度1.0(OD値)のベタパターン及びブラック濃度1.0(OD値)のベタパターンを印刷し、記録物を得、これらの記録物の耐光性、耐ガス性、耐オゾン性を、それぞれ下記方法により評価した。以上の評価結果を下記表1に示す。 【0059】(耐熱性の評価方法)前記インクジェット記録媒体を、80℃、60%RHの環境下に200時間放置した。放置前後の該インクジェット記録媒体の素地(白地)部分の色差dE*abを求めた(JIS Z8730に準拠)。この数値が小さいほど耐熱性に優れることを示す。 【0060】(耐光性の評価方法)前記記録物に対し、キセノンウェザオメーターCi35A(アトラスエレクトリックデバイス社製)を用いて、波長340nm、放射エネルギー0.25W/m2、ブラックパネル温度63℃、50%RHの条件で、45kJ/m2の光暴露処理を行った。グレタグ濃度計(グレタグ社製)を用いて、光暴露処理前後の該記録物の光反射濃度を求め、次式により光学濃度残存率を求めた。この数値が大きいほど耐光性に優れることを示す。 光学濃度残存率(%)={(光暴露処理後の光反射濃度)/(光暴露処理前の光反射濃度)}×100【0061】(耐ガス性の評価方法)前記記録物を、オフィスの壁に貼って1ヶ月間放置した。放置後の画像の色度と印字直後の画像の色度との差dE*abを求めた(JIS Z8730に準拠)。この数値が小さいほど耐ガス性に優れることを示す。 【0062】(耐オゾン性の評価方法)前記記録物を、オゾン濃度10ppmで保たれる遮光された槽内に投入して120分間放置し、投入前後の該記録物の色差dE*abを求めた(JIS Z8730に準拠)。この数値が小さいほど耐オゾン性に優れることを示す。 【0063】 【表1】
【0064】表1に示す結果から明らかなように、前記「フェノール性水酸基、弱酸と強塩基とからなる塩を有する化合物」を含有する実施例1〜6のインクジェット記録媒体は、比較例1〜5に比して、耐熱性に優れ素地黄変を起こし難く、且つ記録画像の耐光性、耐ガス性、耐オゾン性にも優れ、長期保存が可能な記録物を提供することができる。比較例1及び2のように、フェノール性水酸基を有する化合物(フェノール系酸化防止剤)のみの使用では、記録画像の耐光性、耐ガス性、耐オゾン性の向上には有効であるものの、素地黄変の指標となる耐熱性が悪化する。また、比較例3のように、弱酸と強塩基とからなる塩のみの使用では、記録画像の保存性の向上に効果がない。また、比較例4及び5は、フェノール系酸化防止剤及び弱酸と強塩基とからなる塩の何れも使用しておらず、フェノール系酸化防止剤に起因する素地黄変は観られないが、記録画像の保存性に劣る。 【0065】 【発明の効果】本発明によれば、長期間に亘って記録画像の変退色を起こし難く、長期保存が可能な記録物の提供が可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
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| 【出願日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095728 【弁理士】 【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−145920(P2003−145920A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−352175(P2001−352175) |
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