| 【発明の名称】 |
インクジェット記録紙用填剤及びインクジェット記録紙 |
| 【発明者】 |
【氏名】出村 満 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町1丁目13番6号 水澤化学工業株式会社内
【氏名】小野 金一 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町1丁目13番6号 水澤化学工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】水性塗布液の調製に際して填剤を高濃度で含有させることができると共に、形成される塗布液の粘度も低く抑制できる非晶質シリカ系のインクジェット記録紙用填剤及びそれを用いたインクジェット記録紙を提供する。
【解決手段】コールターカウンター法で測定した体積基準平均粒径(D50)が2乃至15μm、BET比表面積が5乃至250m2 /g、BET法による細孔容積が0.05乃至0.5ml/g及び鉄シリンダー法による嵩密度が0.15乃至0.70の範囲にある水に対する濡れ性に優れた非晶質シリカからなるインクジェット記録紙用填剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コールターカウンター法で測定した体積基準平均粒径(D50)が2乃至15μm、BET比表面積が5乃至250m2 /g、BET法による細孔容積が0.05乃至0.5ml/g及び鉄シリンダー法による嵩密度が0.15乃至0.70の範囲にある水に対する濡れ性に優れた非晶質シリカからなることを特徴とするインクジェット記録紙用填剤。 【請求項2】 吸油量(JIS K5101)が150ml/100g以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録紙用填剤。 【請求項3】 濃度が25重量%の水性懸濁液としたときのB型粘度計による粘度が100cps以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録紙用填剤。 【請求項4】 非晶質シリカ4gを水に加え、全量沈降するまでの時間として測定した濡れ性が60秒以内であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のインクジェット記録紙用填剤。 【請求項5】 インクジェット記録紙の下塗り層に用いることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインクジェット記録紙用填剤。 【請求項6】 請求項1乃至4の何れかに記載のインクジェット記録紙用填剤を含む下塗り層と該下塗り層の上に上記填剤以外の填剤を含む上塗り層とを有することを特徴とするインクジェット記録紙。 【請求項7】 上塗り層の填剤が0.3ml/g以上の細孔容積を有する非晶質シリカおよび/またはアルミナ乃至水和アルミナであることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録紙。 【請求項8】 請求項1乃至4の何れかに記載のインクジェット記録紙用填剤(A)と上記填剤以外の填剤(B)との組成物からなる層を有することを特徴とするインクジェット記録紙。 【請求項9】 填剤(B)が0.3ml/g以上の細孔容積を有する非晶質シリカおよび/またはアルミナ乃至水和アルミナであることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録紙。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録紙用填剤に関するもので、より詳細には高濃度の水性塗布液として比較的粘度の低い状態で紙に塗布することができる非晶質シリカ系のインクジェット記録紙用填剤及びそれを用いたインクジェット記録紙に関する。本発明はまた、吸水性が大きく、インクジェット記録紙の下塗り層用填剤として有用な非晶質シリカ系のインクジェット記録紙用填剤に関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録は、騒音が少なく、高速記録が可能で、しかも多色化が容易である等の利点があり、各種プリンター、ファクシミリ等への応用が行われている。この用途に用いる記録紙としては、通常の上質紙やコート紙では性能の点で使用困難であり、紙面に付着したインク滴が速やかに紙内に吸収されること、紙面上でのインク滴の拡がりや滲みが抑制されること、濃度のある鮮明な画像が形成されること、及びこの画像が諸堅牢性に優れていること等の特性が要求される。 【0003】これらの特性を紙基質の表面に与えるために、種々の無機固体物質を、必要により結着剤と共に紙表面に塗布し或いは内填することが提案されており、例えば合成シリカ及び/又はその塩を用いること(特開昭57−157786号公報)、二価金属、例えばマグネシウム或いは亜鉛等の弱酸塩や酸化物を被覆層として施こすこと(特開昭58−94491号公報)、天然ゼオライト、合成ゼオライト、ケイソウ土、合成雲母等を被覆層中に含有させること(特開昭59−68292号公報)、インク吸収層を形成する白色顔料としてクレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸性白土、活性白土等を使用すること(特開昭58−89391号公報及び特開昭59−95188号公報)等が既に知られている。 【0004】前記特性を満足するものとして、本発明者等は先に、特公平4−60434号公報及び特公平4−60435号公報において、コールターカウンター法で測定して2乃至15μmのメジアン径、180ml/100g以上の吸油量及び溶媒法で測定して1.450 以上の屈折率を有し、関係湿度90%及び温度25℃で200時間吸湿させた条件での吸湿量が35%以上の範囲内にある非晶質シリカ及びこの非晶質シリカの周期律表第II族金属化合物の被覆粒子をインクジェット記録紙用填料として用いることを提案した。 【0005】インクジェット記録用のインクとしては、色素として水溶性染料を用いるものと、顔料を用いるものとの2種類があるが、前者は耐光性、耐水性、耐候性等の保存性に問題があり、一方後者は保存性には優れているものの、画像の濃度や鮮明さに劣るという問題がある。 【0006】特開2000−127613号公報には、インク受容層が、顔料インク内の溶媒を吸収することのできる溶媒吸収層の上に、顔料を担持することのできる顔料定着層を有することを特徴とする顔料インク用インクジェット記録媒体が記載されており、溶媒吸収層としては、無機多孔質材料、例えばシリカ、アルミナ、チタンの少なくとも1種を主体とするものが使用されることも記載されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】非晶質シリカはインクジェット記録紙用填剤として優れたものではあるが、これを水性の塗布液とするとき、高濃度に分散させることが困難であり、更に分散液の粘度が高いため、コーティングの作業性が低くなるという欠点を有している。即ち、水性塗布液中の非晶質シリカの濃度を高くすることは、紙に対する塗布液の量を少なくするのに役立つばかりではなく、塗布後の紙の乾燥エネルギーコストを節約するのにも役立つので、塗布液中の濃度を高め、しかも塗布液の粘度をも低く抑制できる非晶質シリカの出現が大いに望まれている。 【0008】更に、無機填料のコート紙における重要な特性として、表面強度或いは粉落ちと呼ばれるものがある。これはコート紙のコート面を一定の荷重下に擦ったとき、コート面の填料が剥げ落ちる現象である。非晶質シリカ填剤のコート層は一般に表面強度が低く、その改善が望まれている。 【0009】従って、本発明の目的は、水性塗布液の調製に際して填剤を高濃度で含有させることができると共に、形成される塗布液の粘度も低く抑制できる非晶質シリカ系のインクジェット記録紙用填剤及びそれを用いたインクジェット記録紙を提供するにある。本発明の他の目的は、表面強度が顕著に向上した非晶質シリカ系のインクジェット記録紙用填剤を提供するにある。本発明の更に他の目的は、水に対する湿潤性に顕著に優れており、インクジェット記録紙の下塗り層用填剤として有用な非晶質シリカ填剤を提供するにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、コールターカウンター法で測定した体積基準平均粒径(D50)が2乃至15μm、BET比表面積が5乃至250m2 /g、BET法による細孔容積が0.05乃至0.5ml/g及び鉄シリンダー法による嵩密度が0.15乃至0.70の範囲にある水に対する濡れ性に優れた非晶質シリカからなることを特徴とするインクジェット記録紙用填剤が提供される。本発明のインクジェット記録紙用填剤においては、1.吸油量(JIS K5101)が150ml/100g以下であること、2.濃度が25重量%の水性懸濁液としたときのB型粘度計による粘度が100cps以下であること、3.非晶質シリカ4gを水に加え、全量沈降するまでの時間として測定した濡れ性が60秒以内であること、が好ましい。本発明の非晶質シリカ填剤は、インクジェット記録紙の下塗り層に用いることが好ましい。本発明によればまた、上記インクジェット記録紙用填剤(A)を含む下塗り層と該下塗り層の上に上記填剤以外の填剤(B)を含む上塗り層とを有することを特徴とするインクジェット記録紙が提供される。本発明によれば更に、上記インクジェット記録紙用填剤(A)と上記填剤以外の填剤(B)との組成物からなる層を有することを特徴とするインクジェット記録紙が提供される。上記填剤(B)としては、0.3ml/g以上の細孔容積を有する多孔性非晶質シリカおよび/またはアルミナ乃至水和アルミナであることが好ましい。 【0011】 【発明の実施形態】[作用]本発明の非晶質シリカ系インクジェット記録紙用填剤は、先ずコールターカウンター法で測定した体積基準平均粒径(D50)が2乃至15μm、BET比表面積が5乃至250m2 /g、BET法による細孔容積が0.05乃至0.5ml/g及び鉄シリンダー法による嵩密度が0.15乃至0.70の範囲にある非晶質シリカからなり、水に対する濡れ性に優れていることが顕著な特徴である。 【0012】従来、インクジェット記録紙用填剤に使用されている非晶質シリカは、湿式法非晶質シリカの中でもゲル法シリカと呼ばれるものであり、250m2 /g以上のBET比表面積および1.60ml/g以上の細孔容積を有するものであり、インク中の色素に対して大きな吸着性を示すものである。 【0013】これに対して、本発明のインクジェット記録紙用填剤に用いる非晶質シリカは、後で詳しく述べるとおり、沈降法に属する製法で得られるものであり、上記ゲル法シリカに比べてはるかに小さな比表面積および細孔容積を有するものである。本発明の非晶質シリカ系填剤は、インク中の色素に対する保持性は小さいが、水に対する濡れ性が大きいので、粒子表面や粒子間に速やかに水を保持して、インキの滲みやドットの広がりを防止し、この填剤を用いることにより、高濃度でしかも鮮明な画像を形成することができる。特に、インクジェット記録紙の下塗り層に本発明の非晶質シリカ系填剤を用いることで、上塗り層の溶媒の水を速やかに吸収することができるので、インキの滲みやドットの広がりを防止し、鮮明な画像を形成することができる。 【0014】本発明に用いるインクジェット記録紙用填剤の水に対する濡れ性は、水を張った容器中に非晶質シリカ4gを投入し、全量が沈降するまでの時間を計測することにより評価することができる。通常の非晶質シリカの場合、全量が沈降するまでに100秒程度以上の時間が必要であるが、本発明に用いる非晶質シリカでは、この時間は60秒以下であり、この非晶質シリカ系填剤は水に対する濡れ性に優れていることが分かる。 【0015】本発明に用いる非晶質シリカは、コールターカウンター法で測定した体積基準平均粒径(D50)が2乃至15μm、特に3乃至10μmの範囲にあることが重要である。この平均粒径が上記範囲を上回ると、塗工面のざらつきが目立つようになり、平滑性が損なわれるので好ましくない。一方、この平均粒径が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、紙の表面強度が低下するので好ましくない。 【0016】また、この非晶質シリカは、BET比表面積が5乃至250m2 /g、特に10乃至150m2 /g、およびBET法による細孔容積が0.05乃至0.5ml/g、特に0.05乃至0.2ml/gの範囲にあることも重要である。非晶質シリカの比表面積および細孔容積が上記範囲を上回ると、上記範囲内にある場合に比して、水に対する濡れ性が低下し、また色素に対する中途半端な吸着性もでるので、濃度や鮮明さが低下するので好ましくない。更に、比表面積や細孔容積が上記範囲を上回ると、水性分散液の粘度が増大したり、コート紙の表面強度も低下するのでやはり好ましくない。非晶質シリカの比表面積および細孔容積の下限は、実際に得られる非晶質シリカの下限の粉体物性を規定したものである。 【0017】本発明に用いる非晶質シリカは、鉄シリンダー法による嵩密度(JIS K6220)が0.15乃至0.70、特に0.20乃至0.50の範囲にあることも重要である。この非晶質シリカの嵩密度は、従来のインクジェット記録紙用填剤に比べればかなり大きいものであり、記録層の表面強度やコーティング液の分散安定性に大きな影響をもたらす。すなわち、嵩密度が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、紙の表面強度が低下する傾向があり、嵩密度が上記範囲を上回るとコーティング液の分散安定性が損なわれる傾向がある。 【0018】本発明の填剤は、上記の粉体特性と濡れ性とを有することにより、水性塗布液の調製に際して填剤を高濃度で含有させることができると共に、形成される塗布液の粘度も低く抑制でき、インクジェット記録紙の製造の際の作業性及び生産性を高めることができると共に、コーティング層の乾燥のためのエネルギーコストをも節約することが可能となる。 【0019】実際に、インクジェット記録紙用填剤として広く使用されている従来の非晶質シリカ填剤(商品名ミズカシルP−78D:水澤化学製)では、スラリー濃度22重量%でB型粘度計で245cpsの粘度を示すのに対して、本発明による非晶質シリカ系填剤では、スラリー濃度を25重量%に濃くした場合にも、尚100cps以下の低い粘度を示すのであって、本発明による利点が明らかである。 【0020】本発明の非晶質シリカ系填剤により上記利点が奏される理由は、未だ十分明らかではないが、この填剤では水に対する濡れ性が良好であることの他に、平均粒径があまり微細でも粗大でもなく、適切な範囲にあること、比表面積及び細孔容積が小さい範囲に抑えられていること、及び嵩密度が比較的大きい範囲にあることが上記利点に結びついていると考えられる。 【0021】本発明の非晶質シリカ填剤から形成されるコーティング層は、表面強度が大きいという利点を有している。インクジェット記録紙における表面強度が小さく、粉落ちを発生する場合には、プリンター内での汚れの原因となるばかりではなく、印刷像の擦れ、剥離、汚染等による画質低下、耐久性低下を生じる。実際に、インクジェット記録紙用填剤として広く使用されている従来の非晶質シリカ填剤(商品名ミズカシルP−78D)は、表面強度(粉落ち)の評価は、後述する実施例に示すとおり、かなりの粉落ちがあるのに対して、本発明の非晶質シリカでは、粉落ちが無い。 【0022】本発明に用いる非晶質シリカ填剤は、前述した範囲の嵩密度を有することに関連して、JIS K5101の方法で測定して、150ml/100g以下、特に50乃至130ml/100gの吸油量を有している。 【0023】本発明に用いる非晶質シリカは、当然のことながらX線回折学的に非晶質であり、また湿式法非晶質シリカの属性として、一般に1乃至10重量%の灼熱減量(1000℃×2時間)を有している。また、この非晶質シリカは塩類の溶液中で製造されるため、この塩類の微量を挟雑として含有している。 【0024】[非晶質シリカの製法]本発明の非晶質シリカ系填剤は、金属塩溶液中でケイ酸アルカリ水溶液と酸とを、以下に述べる特定の条件下で反応させることにより製造される。この反応では、金属塩溶液中でケイ酸アルカリ水溶液と酸との中和反応を行わせることにより、塩類の強力な凝固、析出作用により、直接に、すなわちシリカのゾル粒子を経由することなく、シリカの微粒子ゲルを生成させることができる。 【0025】従来、インクジェット記録紙用填剤として広く使用されている非晶質シリカの製造法では、一旦シリカのゾル粒子が生成し、このゾル粒子が凝集して非晶質シリカとなるものであり、そのためこの非晶質シリカは粒径10乃至20nmのゾル粒子の凝集体であるのに対して、本発明の非晶質シリカ系填剤では、前述した製法に関連して、一次粒径が30nm以上、特に40乃至100nmの一次粒子からなるという特徴を有するものであり、また従来の非晶質シリカに比して著しく小さい比表面積を有するものである。 【0026】金属塩の濃度は、種類によっても相違するが、一般的にいって、中和反応開始時点において、1重量%以上、特に5乃至15重量%の濃度を有するのがよい。すなわち、塩類濃度が上記範囲よりも低い場合には、BET比表面積および細孔容積が本発明で規定した範囲よりも大きくなり、また嵩密度が小さくなる傾向があるので好ましくない。また、塩類濃度があまり高くても格別の利点はなく、かえって経済的には不利となる。 【0027】金属塩としては、無機酸或いは有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、例えば塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、メタンスルホン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の単独あるいは2種以上の組合せが使用される。これらの内でも、一塩基性の酸の塩、特にアルカリ金属塩は、前述した特性を有する非晶質シリカを製造するための塩濃度の許容範囲が広いという利点を有している。 【0028】ケイ酸アルカリとしては、任意のケイ酸アルカリ、例えばM2O・nSiO2式中、Mはアルカリ金属であり、nは1乃至3.8の数である、のケイ酸アルカリの水溶液を用いる。経済的見地からは、nの数が3.0乃至3.4の範囲にある所謂3号ケイ酸ソーダを用いることが好ましい。反応に用いるケイ酸アルカリの濃度は特に制限はないが、一般に5乃至20%の濃度で用いるのがよい。 【0029】酸としては、種々の無機酸や有機酸を用いることができるが、経済的な見地からは、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の鉱酸を用いるのがよい。均質な反応を行うためには、これらの酸は、希釈水溶液の形で用いるのが良く、一般に5乃至20%の濃度で用いるのがよい。 【0030】好適な原料の組合せとして、アルカリ金属塩溶液として食塩、ケイ酸分原料及び酸成分として食塩を生成する組合せを選ぶことにより、原料コストを低廉にできると共に、金属塩溶液としてリサイクル使用が容易である。 【0031】中和反応は、塩溶液中にケイ酸アルカリを注加した後に酸溶液を注加する一方注加法で行うのが好ましい。 【0032】中和反応の温度は、室温でも加温下でもよいが、一般には0乃至95℃、好ましくは40乃至95℃の温度下に両者の反応を急速に行わせるのが好ましい。ケイ酸アルカリと酸とを濃厚塩類溶液中に注加して反応させる際、一様に混合されることが重要であり、このため急速攪拌乃至は剪断攪拌下に注加を行う。塩溶液中にケイ酸アルカリを注加した後に直ぐに酸溶液を注加する場合は、酸溶液を注加前に約30分乃至10時間にわたって熟成を行うことが望ましい。 【0033】非晶質シリカの製造に際しては、反応終了時におけるスラリー中のSiO2濃度が1乃至10%となるように中和反応を行わせるのがよい。すなわち、この濃度が上記範囲よりも低いときには、操作や装置のスケールの点で不利であり、一方この濃度が上記範囲よりも高いときには、2次粒子が粗大なものとなる傾向がある。微粒子非晶質シリカの析出は、珪酸注加混合によりきわめて短時間の内に完了するが、析出後約30分乃至10時間にわたって熟成を行うことが望ましい場合もある。 【0034】反応後のスラリーは、濾過等の固液分離により、非晶質シリカを母液から分離し、必要により水洗、乾燥して製品とする。一方、分離した母液は、必要により異種塩類の分離、濃縮乃至希釈による濃度調整等の操作を行った後、反応系に循環し、再び使用する。 【0035】[インクジェット記録用紙]本発明によれば、上述した非晶質シリカ系填剤を、紙等の基体の表面に設けるか、或いは紙中に内填してインクジェット記録紙とする。 【0036】紙等の基体表面に非晶質シリカ系填剤のコート層を設けるには、前記填剤を5乃至40重量%、特に10乃至25重量%、及び必要により結着剤を1乃至15重量%、特に2乃至10重量%含む水性スラリーを製造し、填剤が3乃至20g/m2、特に5乃至15g/m2となるような塗工量で塗布し、乾燥する。 【0037】結着剤としては、水性系結着剤が有利であり、例えばカルボキシメチルセルローズ、エチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、澱粉、カルボキシメチル澱粉、シアノエチル化澱粉、カゼイン、アラビアゴム、トラガントゴム、デキストリン、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル/マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂等の水溶性結着剤;自己乳化型アクリル樹脂等の自己乳化型結着剤;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス等の水性ラテックス系結着剤等が使用される。 【0038】また、前記填剤を紙中に内填するには、抄紙用スラリーに前記填剤を配合して、紙繊維中に繊維重量当り1乃至20重量%、特に2乃至10重量%の填剤が抄き込まれるようにすればよい。 【0039】本発明の非晶質シリカ系インクジェット記録紙用填剤は、紙基体に対する下塗り層として或いは紙中に内填した状態で用いるのが好ましい。この場合、下塗り層あるいは填剤内填紙の上に設ける記録層としては、本発明の填剤以外の填剤(B)、例えば通常の非晶質シリカ系填剤、アルミナ乃至水和アルミナ、天然或いは合成のケイ酸塩、天然ゼオライト、合成ゼオライト、天然或いは合成のモンモリロナイト、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等が単独あるいは2種以上の組合せで含むものが使用される。これらの内でも、インク色素に対する吸着保持性に特に優れたものとして、多孔性非晶質シリカ系填剤、例えば特公平4−60434号公報に記載されている1.20ml/g以上の大きな細孔容積を有する多孔質非晶質シリカ系填剤や、もしくは、アルミナ乃至水和アルミナ系填剤、特にBET法で350m2/g以上の高い比表面積、1.0ml/g以上の細孔容積、鉄シリンダー法で測定して0.02g/ml以上で0.15g/ml未満の範囲の嵩密度及び0.5〜20μmの平均粒径を有するアルミナ乃至水和アルミナ系填剤が好適に用いられる。 【0040】これらの上塗り層も、前記填剤(B)を5乃至20重量%、特に10乃至15重量%、及び必要により前記結着剤を2乃至8重量%、特に4乃至6重量%含む水性スラリーを製造し、填剤が5乃至15g/m2、特に8乃至10g/m2となるような塗工量で塗布し、乾燥することにより形成できる。 【0041】本発明では、水に対する濡れ性の良好な填剤(A)と上記填剤(B)とを組成物の形で用いることもできる。この場合、填剤(A)と填剤(B)との量比は広い割合で変化させることができるが、一般に(A):(B)=10:90乃至90:10、特に 20:80乃至80:20の重量比で用いることが好ましい。両填剤を上記の比率で用いることにより、水分の吸収性とインク色素に対する吸着保持性とをバランス良く達成することができる。 【0042】本発明のインクジェット記録紙は、それ自体公知の任意のインクジェット記録用インクに適用することができる。例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素などの水溶性染料を含有するインクや、有機及び無機顔料、例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの手法により製造されたカーボンブラック等の無機顔料を含有するインクに広く適用することができる。特に、本発明の非晶質シリカ系填剤を含有する記録紙を用いると、ピグメント型のインクを用いて鮮明な記録画像を形成することができる。 【0043】 【実施例】本発明を以下の実施例により詳細に説明する。なお、実施例で行った試験方法は以下の通りである。 【0044】(1)平均粒径コールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製TA−II型)法により、アパーチャーチューブ50μmを用いて測定した。 【0045】(2)BET比表面積及び細孔容積マイクロメリティックス社製ASAP2010を使用し、窒素吸着等温線を測定した。比表面積は比圧0.2以下、細孔分布は、BJH法脱離側で細孔径17Å〜3000Åまでのトータル細孔容積を積算して求めた。 【0046】(3)嵩密度JIS.K.6220.6.8.(鉄シリンダー法)に準拠して測定した。 【0047】(4)吸油量JIS.K.5101に準拠して測定した。 【0048】(5)粘度試料濃度が25重量%の水性懸濁液を、20℃にてB型粘度計(東京計器製造所製)を用いて測定した。 【0049】(6)濡れ性試験試料4gを水に加え、全量が水に沈降するまでの時間を測定し、その時間を濡れ性として測定した。 【0050】(実施例1)85℃に加熱した濃度7%の塩化ナトリウム溶液と濃度10%の硫酸ナトリウム溶液を混合した溶液中に、3号珪酸ソーダ溶液(Na2O 7%、SiO222%)を60分で注加した後、60分間熟成させた。その後、14%硫酸を反応液のpHが2〜3になるように60分で注加し沈殿物を得た。その生成沈殿物を濾過により分離、洗浄し、得られたケーキを130℃の乾燥機にて乾燥した後、サンプルミルで粉砕し、沈降法非晶質シリカ(S−1とする)を得た。物性試験を行い、結果を表1に示す。 【0051】(実施例2)実施例1において塩化ナトリウム溶液の濃度を8%に変えた以外は、実施例1と同様にして行い、非晶質シリカ(S−2とする)を得た。物性試験を行い、結果を表1に示す。 【0052】(実施例3)実施例1において塩化ナトリウム溶液の濃度を10%に変えた以外は、実施例1と同様にして行い、生成沈殿物を濾過、洗浄して得たケーキをポットミルにて湿式粉砕を行った。粉砕後、スプレー乾燥を行い、非晶質シリカ(S−3とする)を得た。物性試験を行い、結果を表1に示す。 【0053】(実施例4)実施例3において、得られたケーキの湿式粉砕品にコロイダルシリカを、湿式粉砕品:コロイダルシリカ=80:20の重量割合で添加した後、スプレー乾燥を行い、非晶質シリカ(S−4とする)を得た。物性試験を行い、結果を表1に示す。 【0054】(比較例1)水澤化学製ゲル法非晶質シリカである、ミズカシルP−78D(H−1とする)を用いた。試験を行い、結果を表1に示す。 【0055】(比較例2)85℃に加熱した濃度15%の塩化ナトリウム溶液と濃度10%の硫酸ナトリウム溶液を混合した溶液中に、3号珪酸ソーダ溶液(Na2O 7%、SiO222%)と、14%の硫酸を反応液のpHが6〜7になるように60分で同時注加し沈殿物を得た。その生成沈殿物を濾過により分離、洗浄し、得られたケーキを130℃の乾燥機にて乾燥した後、サンプルミルで粉砕し、非晶質シリカ(H−2とする)を得た。試験を行い、結果を表1に示す。 【0056】(比較例3)各物性が表1に示したアルミナ(H−3とする)を用いた。 【0057】 【表1】
【0058】(染料系インクジェット画像濃度測定)試料粉末10gに結着剤としてポリビニルアルコール15%水溶液25gを加え、充分水に撹拌後、坪量45g/m2原紙(PPC紙)に塗被量が約10g/m2になるよう塗布し試験紙を得た。インクジェットプリンター(EPSON PM-900C)で試験紙に印刷された印字をマクベス濃度計RD−19にて画像濃度を測定した。また、印字後の用紙の表面を指で数回擦り、インクの粉落ちの状態(表面強度)を以下のように評価した。 ○:粉落ちが無い△:少し粉落ちがある×:かなりの粉落ちがある【0059】(実施例5〜8、比較例4)表2に示した各試料を上記の測定方法に従って、評価を行った。結果を表2に示す。表2より、試料H−2は、黒色、赤色、黄色、橙色の印字濃度が低いことが分かる。 【0060】 【表2】
【0061】(顔料系インクジェット画像濃度測定)試料粉末10gに結着剤としてポリビニルアルコール15%水溶液25gを加え、充分水に撹拌後、坪量45g/m2原紙(PPC紙)に塗被量が約10g/m2になるよう塗布し試験紙を得た。インクジェットプリンター(EPSON MC-2000)で試験紙に印刷された印字をマクベス濃度計RD−19にて画像濃度を測定した。また、印字後のインクの粉落ちの状態(表面強度)を前記染料系インクジェット画像濃度測定に記載したように評価した。 【0062】(実施例9〜12、比較例5)試料S−1に、試料H−1乃至H−3を割合を変えて添加して、顔料系インクでの性能評価を行った。結果を表3に示す。 【0063】 【表3】
【0064】(実施例13〜17)実施例2で得られた試料S−2に、カチオン剤(Sumirez Resin 1001:住友化学工業製)を割合を変えて添加して、顔料系インクでの性能評価を行った。結果を表4に示す。 【0065】 【表4】
【0066】(実施例18〜20、比較例6)アンダーコート層に、表5に示した試料を含む塗液を塗布し、乾燥後その上にトップコート層として、コロイダルシリカ(細孔容積0.5ml/g)100部とポリビニールアルコール10部を含み、シリカ濃度が12wt%になるように塗液を調製し、用紙に塗布し、顔料系インクの性能評価を行った。比較として、前記トップコート層の塗液だけを塗布した用紙の評価を行った。結果を表5に示す。 【0067】 【表5】
【0068】 【発明の効果】本発明は、非晶質シリカ系のインクジェット記録紙用填剤及びそれを用いたインクジェット記録紙に関して、本発明で用いたシリカは、濃度が25重量%の水性懸濁液としたときのB型粘度計による粘度が100cps以下であり、水性塗布液の調製に際して高濃度で含有させることができた。また、紙に塗布した場合の表面強度が、従来用いていた非晶質シリカ系のインクジェット記録紙用填剤に比べて顕著に向上した。さらに、水に対する濡れ性に優れているためにインクジェット記録紙の下塗り層用填剤として有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000193601 【氏名又は名称】水澤化学工業株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町一丁目13番6号
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| 【出願日】 |
平成13年11月14日(2001.11.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075177 【弁理士】 【氏名又は名称】小野 尚純 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−145917(P2003−145917A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−348334(P2001−348334) |
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