| 【発明の名称】 |
インクジェット記録用紙 |
| 【発明者】 |
【氏名】飯田 剛 【住所又は居所】東京都江東区東雲一丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内
【氏名】平木 紀子 【住所又は居所】東京都江東区東雲一丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内
【氏名】浅野 晋一 【住所又は居所】東京都江東区東雲一丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内
【氏名】幸形 康敬 【住所又は居所】東京都江東区東雲一丁目10番6号 王子製紙株式会社東雲研究センター内
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| 【要約】 |
【課題】インクジェット記録用紙に関し、特に印字濃度、印字耐水性およびインク吸収性等のインクジェット記録適性や光沢が優れ、かつ光沢が高いインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】基材と、その一面上に顔料、カチオン性化合物および接着剤を含有する下塗り層を設け、前記下塗り層上に、接着剤、顔料および離型剤を含有するキャスト層を設けたインクジェット記録用紙において、前記カチオン性化合物のうち、重量平均分子量が10万以上のものが50〜90質量%、かつ、重量平均分子量1万〜5万のものが10〜50質量%とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】基材と、その一面上に顔料、カチオン性化合物および接着剤を含有する下塗り層を設け、前記下塗り層上に、接着剤、顔料および離型剤を含有するキャスト層を設けたインクジェット記録用紙において、前記カチオン性化合物のうち、重量平均分子量が10万以上のものが50〜90質量%、かつ、重量平均分子量1万〜5万のものが10〜50質量%であることを特徴とするインクジェット記録用紙。 【請求項2】前記カチオン性化合物が、ジアリルジメチルアンモニウム塩重縮合体、アクリルアミド−ジアリルアミン重縮合体およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン重縮合体から成る群より選ばれた少なくとも一種のカチオン性化合物である請求項1に記載のインクジェット記録用紙。 【請求項3】前記キャスト層の顔料が、コロイダルシリカである請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。 【請求項4】前記キャスト層の接着剤が、スチレン・アクリル系共重合体エマルジョンである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。 【請求項5】75°表面光沢度(JIS−P−8142)が、50%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録用紙に関し、特に印字濃度、印字耐水性およびインク吸収性等のインクジェット記録適性が優れ、かつ、光沢の高いインクジェット記録用紙に関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェットプリンタによる記録は、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ多色化が容易なために多方面で利用されている。インクジェット記録用紙としては、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が適用されている。ところで、これらのインクジェット記録用紙は、全て表面光沢の低い、いわゆるマット調のインクジェット記録用紙が主体であり、表面光沢の高い、優れた外観を持つインクジェット記録用紙が要望されている。 【0003】特に、最近は、インクジェットプリンタの技術が進歩し、銀塩写真に匹敵する高画質記録が可能となり、それに対応する印画紙様の記録媒体の要望が高まってきている。 【0004】一般に、表面光沢の高い用紙としては、表面に板状顔料を塗工し、さらに必要に応じてスーパーキャレンダー処理を施した高光沢を有する塗工紙、あるいは湿潤塗工層を、鏡面を有する加熱ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を写し取ることによって得られる、いわゆるキャスト塗工紙が知られている。 【0005】前記キャスト塗工紙は、スーパーキャレンダー仕上げされた通常の塗工紙と比較して、高い表面光沢と、より優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られることから、高級印刷物等の用途に専ら利用されているが、インクジェット記録用紙に利用した場合、種々の難点を抱えている。 【0006】一般に、従来のキャスト塗工紙は、例えばUS5275846号に開示されているように、そのキャスト層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物質が、キャストコーターの鏡面ドラム表面を写し取ることにより高い光沢を得ている。しかし、この成膜性物質の存在により塗工層の多孔性が失われ、インクジェット記録時のインク吸収性を極端に低下させる等の問題も抱えている。このインク吸収性を改善するには、キャスト層がインクを容易に吸収するようにポーラスにすることが重要であり、そのためには成膜性を減ずることが必要となるが、成膜性物質の量を減らすことにより、結果として白紙光沢が低下する。以上の如く、キャスト塗工紙の表面光沢とインクジェット記録適性の両方を同時に満足させることが極めて困難であった。 【0007】上記問題を解決する方法として、顔料および接着剤を主成分とする記録層を設けた原紙上に、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる40℃以上のガラス転移点を有する共重合体組成物を主成分とする塗工液を塗工して、キャスト層を形成せしめ、前記キャスト層が、湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げることにより、優れた光沢とインク吸収性を兼ね備えるインクジェット記録用紙が得られることを本発明者等は見出し、特開平7−89220号公報として開示した。 【0008】ところで、近年インクジェット記録の高速化、フルカラー化といった用途が拡大し、記録画像の高精細化、強光沢かつ高画質、高記録濃度の品質が望まれてきており、例えば銀塩方式の写真用印画紙に匹敵する様な光沢、記録品質が求められている。このような要求を満たすためにフォトインクなどが採用され、インク量の増加に伴い、先に提案した技術を使用しても達成が困難である。特開昭59−33176号公報には、カチオン性化合物として水溶性ポリアミンスルフォンを記録層に含有せしめ、記録物の発色性と耐水性を向上させることが提案され、また、分子量1,000〜400,000のものが適当であると記載されている。特開平7−149038号公報には、カチオン性化合物としてジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン共重合体を用いることが開示されている。特開平10−86505号公報には、分子量300〜5,000のポリオール、分子量300未満のジオール、トリオール、ジアミン、トリアミンを、イソシアネートと反応せしめて得た、分子量2,000〜50,000のカチオン性ポリウレタン樹脂を記録層に配合せしめ、良好な記録色調と耐水性を得る方法が開示されている。しかし、高精細な写真に匹敵する画像の印字が可能なように、6色または7色のインクを搭載した、近年のインクジェットプリンタでは、従来のものと比較してインク量が増加する傾向にある。このようなプリンタで印字した場合、重量平均分子量が5万以下のカチオン性化合物は、印字後、水が付着すると印字部分が滲んでしまう(以下、印字耐水性と呼ぶ)という問題があり、特に、重量平均分子量が1万未満は、悪くなる傾向がある。インク量の多い印字部分は、カチオン性化合物が水により溶出し易く、印字耐水性が悪い。 【0009】特開平10−81065号公報では、紙基材に顔料および接着剤を含有する下塗り層を少なくとも1層設け、さらに前記下塗り層上に、重合体樹脂を含有するキャスト層を設けたインクジェット記録用紙において、前記紙基材が、その少なくとも下塗り層を設ける側に、カチオン性化合物を塗工あるいは含侵してなる紙基材を提案している。実施例においてカチオン性化合物を二種選択しているものもあるが、重量平均分子量と印字耐水性に関して記載しておらず、しかもカチオン性化合物の重量平均分子量を適当に選択しないと、高精細な写真に匹敵する画像の印字が可能なように、6色のインクを搭載したインクジェットプリンタで印字したインク量の多い部分(シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクによる混色黒等の印字部分)の印字耐水性は、不十分であった。 【0010】特開2000−238419号公報では、基材上に、少なくとも2層の塗工層を設けたインクジェット記録用紙であって、前記塗工層のうち少なくとも表層中に、平均粒子径が0.02〜0.15μmの重合体エマルジョンと、平均粒子径が0.01〜0.15μmのコロイダルシリカとを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙が提案されている。実施例においてカチオン性化合物を二種選択しているものもあるが、重量平均分子量と印字耐水性に関して記載しておらず、しかもカチオン性化合物の重量平均分子量を適当に選択しないと、高精細な写真に匹敵する画像の印字が可能なように、6色のインクを搭載したインクジェットプリンタで印字したインク量の多い部分(シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクによる混色黒等の印字部分)の印字耐水性は、不十分であった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、インクジェット記録用紙に関し、特に印字濃度、印字耐水性およびインク吸収性等のインクジェット記録適性が優れ、かつ、光沢の高いインクジェット記録用紙に関する。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題を解決するため、下記の構成を採用する。即ち、本発明は、[1]基材と、その一面上に顔料、カチオン性化合物および接着剤を含有する下塗り層を設け、前記下塗り層上に、接着剤、顔料および離型剤を含有するキャスト層を設けたインクジェット記録用紙において、前記カチオン性化合物のうち、重量平均分子量が10万以上のものが50〜90質量%、かつ、重量平均分子量1万〜5万のものが10〜50質量%であることを特徴とするインクジェット記録用紙。 【0013】本発明は以下の態様を含む。 [2]前記カチオン性化合物が、ジアリルジメチルアンモニウム塩重縮合体、アクリルアミド・ジアリルアミン重縮合体およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン重縮合体から成る群より選ばれた少なくとも一種のカチオン性化合物である[1]に記載のインクジェット記録用紙。 [3]前記カチオン性化合物が、ジアリルジメチルアンモニウム塩重縮合体である[2]に記載のインクジェット記録用紙。 [4]前記キャスト層の顔料が、コロイダルシリカである[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。 [5]前記キャスト層の接着剤が、スチレン・アクリル系共重合体エマルジョンである[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。 [6]75°表面光沢度(JIS−P−8142)が、50%以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。 [7]75°表面光沢度(JIS−P−8142)が、65%以上であることを特徴とする[6]に記載のインクジェット記録用紙。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明者等は、基材と、その一面上に顔料、カチオン性化合物および接着剤を含有する下塗り層を設け、前記下塗り層上に、キャスト層を設けたインクジェット記録用紙において、前記カチオン性化合物のうち、重量平均分子量が10万以上のものが50〜90質量%、かつ重量平均分子量1万〜5万のものが10〜50質量%とすることにより、特に印字濃度、印字耐水性およびインク吸収性等のインクジェット記録適性に優れ、かつ、光沢の高いインクジェット記録用紙が得られることを見出した。すなわち、インクジェット記録されるインクの記録濃度、印字耐水性およびインク吸収性を向上させるためには、下塗り層中に、カチオン性化合物を配合するのが効果的であり、特にカチオン性化合物の重量平均分子量を規定することにより、印字耐水性を改善する効果が非常に大きい。 【0015】(基材)本発明で用いる基材としては、特に限定されるものではなく、一般の塗工紙に使用される酸性紙、あるいは中性紙等の紙基材、または透気性を有する樹脂フィルムシート類を用いることができる。 【0016】紙基材は、木材パルプと必要に応じ顔料を主成分として構成される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度である。またいわゆるECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、顔料は、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。この場合、配合量は1〜20質量%程度が好ましく、20質量%より多いと紙力が低下するおそれがある。助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール、カチオン性化合物等を塗布・含浸させ、表面強度、ステキヒトサイズ度等を調整できる。特に、高い光沢度を得るためには、カチオン性化合物をサイズプレスすることが好ましい。ステキヒトサイズ度は、1〜200秒程度が好ましい。ステキヒトサイズ度が1秒より低いと、塗工時に皺が発生する等の操業上問題となる場合があり、200秒より高いと、インク吸収性が低下したり、インクの裏抜けが発生したり印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m2程度である。 【0017】(下塗り層)本発明においては、基材上に、顔料、カチオン性化合物および接着剤を含有する下塗り層を設ける。下塗り層に含まれるカチオン性化合物は、重量平均分子量が一般的に数万程度以下の場合は、水に溶出され易く、混色黒等のインク量の多い印字部分の印字耐水性が劣る。また、重量平均分子量が一般的に10万以上のカチオン性化合物は、水に溶出され難く、例えばポリビニルアルコール等と同様にインクの浸透を阻害するため、インク吸収性が低下するおそれがある。カチオン性化合物の重量平均分子量が10万以上では、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラーの印字濃度が高くなり、重量平均分子量5万以下では、ブラックの印字濃度が高くなる傾向がある。 【0018】また、低分子量のカチオン性化合物は、キャスト層用塗料が下塗り層と接触した時に、キャスト層用塗料に過剰に溶出して、キャスト塗料がショックを起こし、ゲル化する場合がある。一方、高分子量のカチオン性化合物では、下塗り層に接触したキャスト層用塗料の凝集を起こしにくく、光沢が発現するまでに時間がかかるため、操業が安定するまでに時間を要し、塗工の際の歩留まりが悪化したり、光沢が不十分となる場合がある。ただし、高分子量のカチオン性化合物を使用すると、低分子量のカチオン性化合物を使用した場合に比べ、印字濃度が高く、さらに、水に溶出されにくいため印字耐水性が向上する。以上から、下塗り層に添加するカチオン性化合物の重量平均分子量を制御することにより、特に印字濃度、印字耐水性およびインク吸収性等のインクジェット記録適性や光沢に優れ、かつ、キャスト塗工時において鏡面ドラムの曇りがないため光沢が高く、製造時の歩留まりが良好という優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0019】本発明で使用する下塗り層のカチオン性化合物としては、例えば1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミン基、第3級アミン基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン重縮合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重縮合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−S02重縮合体、8)ジアリルアミン塩−S02重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウム塩重縮合体、10)ジアリルジメチルアンモニウム−アクリルアミド重縮合体、11)アリルアミン塩の重縮合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重縮合体、13)アクリルアミド−ジアリルアミン重縮合体等のカチオン性化合物等が挙げられ、単独あるいは併用することが出来る。 【0020】前記カチオン性化合物の中でも、ジアリルジメチルアンモニウム塩重縮合体、アクリルアミド−ジアリルアミン重縮合体およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン重縮合体は、印字濃度、印字耐水性およびインク吸収性等のインクジェット記録適性や光沢に優れ、好ましく用いられる。ジアリルジメチルアンモニウム塩重縮合体は、特に高印字濃度が得られるので、特に好ましく用いられる。 【0021】前記カチオン性化合物の分子量は、光沢とインクジェット記録用紙の操業性に大きな影響を与える。重量平均分子量10万以上のカチオン性化合物は、下塗り層に接触したキャスト層用塗料の凝集を起こしにくいため、カチオン性化合物中の割合が90質量%を超えると、光沢が発現するまでに時間がかかるために、製造の際の歩留まりが悪化したり、光沢ムラやピンホールを生じ易く、光沢が不十分になるため、カチオン性化合物中の割合は、90質量%以下が好ましい。また、重量平均分子量5万以下のカチオン性化合物は、キャスト層用塗料に過剰に溶出して、前記キャスト層用塗料がショックを起こし、前記キャスト層用塗料のゲル化が発生し易いため、カチオン性化合物中の割合は、50質量%以下が好ましい。すなわち、重量平均分子量の小さいカチオン性化合物はキャスト層用塗料へ溶出しやすいため、光沢発現性とキャスト塗料の安定性を両立させるには、下塗り層に添加するカチオン性化合物の添加量を特定範囲に調節することが好ましい。カチオン性化合物は、重量平均分子量が10万以上のものが50〜90質量%、かつ、重量平均分子量1万〜5万のものが10〜50質量%が好ましい。 【0022】下塗り層中のカチオン性化合物は、顔料100質量部に対し、1〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部の範囲で使用することができる。配合量が1質量部少ないと、印字濃度および印字耐水性向上の効果が得られにくく、100質量部多いと逆に印字濃度が低下したり、画像のニジミが発生するおそれがある。 【0023】下塗り層中の顔料は、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料が単独、あるいは併用することが出来る。これらの中でも、インク吸収性の高い非晶質シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分として使用するのが好ましい。 【0024】下塗り層の接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等、一般に塗工紙用として用いられている従来公知の接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。その中でも、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類は下塗り層の表面強度を向上させるため、好ましく用いられる。 【0025】前記下塗り層中の顔料と接着剤の配合割合は、その種類にもよるが、一般に顔料100質量部に対し、接着剤1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で調節される。 【0026】その他、下塗り層中には一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、着色剤等の各種助剤が適宜添加される。 【0027】上記材料をもって構成される下塗り層用塗料は、一般に、固形分濃度を5〜50質量%程度に調整し、紙基材上に乾燥質量で2〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2程度、更に好ましくは5〜20g/m2程度になるように塗工する。塗工量が2g/m2より少ない場合は、インク吸収性が劣り、記録画像のニジミや、キャスト層塗工後の光沢が低下したりする場合がある。また、紙基材の場合、前記紙基材に吸収されるインクが多くなるために、記録後の用紙が波打ったり(コックリング)、プリンターの拍車(記録後の用紙抑えロールや歯車)による押さえ跡(拍車跡)が目立つことがある。塗工量が100g/m2より多い場合は、インクが浸透し易くなり、キャスト層側ばかりでなく基材側にも分布するようになるために、印字濃度が低下する場合がある。また、下塗り層の強度が低下し、粉落ちや表面に傷が付き易くなる場合がある。 【0028】下塗り層用塗料は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の各種公知公用の塗工装置により塗工、乾燥される。さらに、必要に応じて記録層の乾燥後にスーパーキャレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。 【0029】(キャスト層)本発明のキャスト層は、接着剤、顔料および離型剤からなる。キャスト層中の接着剤は、例えば、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、スチレン・ブタジエン共重合体エマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン、アクリル系共重合体エマルジョン、スチレン・アクリル系共重合体エマルジョン、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂および水性ポリエステル樹脂等、その他一般に塗工紙分野で従来公知の各種接着剤が単独、あるいは併用して使用できる。 【0030】前記エマルジョンの中でも特に、記録画像の鮮明性と光沢感の点から、スチレン・アクリル系共重合体エマルジョンが好ましい。 【0031】前記キャスト層に接着剤として用いる共重合体の重量平均分子量は、1000〜1000万が好ましく、より好ましくは、5000〜500万である。分子量が1000より低いと、塗工膜の強度が不十分となりやすく、分子量が1000万より、高いとエマルジョンの安定性が不十分となりやすい。 【0032】前記エマルジョンの平均粒子径は、0.02〜0.15μmの範囲が好ましい。エマルジョンの平均粒子径が、0.02μm未満であると、インクの吸収性が低下し、一方0.15μmを超えると、表面光沢および記録画像の発色の鮮明性が低下する。 【0033】前記共重合体のガラス転移温度が、50〜150℃の範囲にある共重合体が好ましい。前記共重合体のガラス転移点が50℃より低いと、乾燥の際にキャスト層の成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下するために、インクの吸収速度が低下する場合がある。逆に前記共重合体のガラス転移点が150℃より高いと、乾燥の際に成膜が不十分となり、光沢が不足する場合がある。 【0034】前記キャスト層中の顔料は、例えば、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料が単独、あるいは併用して使用できる。 【0035】これらの中でも、インク吸収性の高い非晶質シリカ、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライトを主成分として使用するのが好ましい。より好ましくは、コロイダルシリカであり、さらに好ましくは、アニオン性コロイダルシリカである。 【0036】前記アニオン性コロイダルシリカの平均粒子径は、0.01〜0.15μmであり、好ましくは、0.015〜0.12μmであり、さらに好ましくは、0.02〜0.10μmである。平均粒子径が、0.01μm未満の場合は、インクの吸収性が低下し、また、0.15μmを超える場合は、光沢および記録画像の発色の鮮明性が低下する。 【0037】キャスト層の接着剤と顔料との組成比(固形分質量比)は、好ましくは、60/40〜3/97の範囲であり、より好ましくは、50/50〜5/95の範囲であり、さらに好ましくは、40/60〜7/93の範囲である。接着剤の比率が60質量%を超えると、記録画像の発色の鮮明性が低下する傾向にあり、3質量%未満では光沢が低下する傾向にある。 【0038】前記キャスト層に用いる離型剤としては、通常の印刷用塗工紙や印刷用キャスト紙製造の際に用いられる離型剤が使用できる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸類、レシチン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。 【0039】前記キャスト層用塗料には、白色度、粘度、流動性等を調節するために、一般の印刷用塗工紙やインクジェット記録用紙に使用されている顔料、消泡剤、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤、分散剤、増粘剤等の各種助剤が適宜添加される。また、カチオン性化合物を配合し、インク染料定着性を付与させることも可能である。 【0040】本発明では、キャスト層を設ける方法として、キャスト法を用いる。塗工層を、平滑性を有する鏡面ドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、ガラス等のドラム)、鏡面仕上げした金属板、プラスチックシートやフィルム、ガラス板等の上で乾燥し、平滑面を塗工層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗工層表面を得る方式である。キャスト法により塗工層を設ける方法としては、上記の塗工層用塗工液を基材上または下塗り層上に塗工して、前記塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、あるいは一旦乾燥後、再湿潤した後加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)等が例示できる。また加熱された鏡面ドラムに直接塗工液を塗工した後、基材上または下塗り層を設けた基材の下塗り層面に圧接、乾燥して仕上げる方法(プレキャスト法)も採用することができる。 【0041】加熱された鏡面ドラムの温度の好ましい範囲は,50〜150℃、より好ましくは70〜120℃である。 【0042】キャスト層用塗工液を塗工する場合、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビアコーター等の各種公知の塗工装置が使用できる。またキャスト層用塗工液を塗工後、前述したようにキャスト層が湿潤状態にある間に(ウェットキャスト法)、あるいは一旦乾燥し再湿潤後(リウェットキャスト法)、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥してキャスト層を設ける。 【0043】キャスト層の塗工量は、好ましくは乾燥質量で1〜30g/m2、より好ましくは2〜20g/m2、さらに好ましくは、3〜15g/m2である。ここで、1g/m2未満では印字濃度や光沢が十分に出ない場合があり、30g/m2を越えて多いと、品質向上効果は飽和し、乾燥に負担がかかり操業性が低下するおそれがある。 【0044】前記キャスト層を設けた後、必要に応じてさらにスーパーキャレンダー等により平滑化処理を行うこともできる。 【0045】インクジェット記録用紙の記録する面の75°表面光沢度(JIS−Z−8741)は、優れた画質および写真調の高品位の記録を得るために、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上である。 【0046】 【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、もちろんこれらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を示す。 【0047】[紙基材A]木材パルプ(LBKP;ろ水度500mlCSF)100部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)10部、市販サイズ剤0.05部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量120g/m2の紙基材Aを製造した。この紙基材Aのステキヒトサイズ度は10秒であった。 【0048】[紙基材B]さらに、紙基材Aに、カチオン性化合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスE−117、ジシアンジアミド系樹脂)5%液を40mL/m2サイズプレスした後に乾燥し、紙基材Bを得た。 【0049】実施例1紙基材A上に、下記下塗り層用塗工液を、乾燥質量で12g/m2になるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥した。次に、下記キャスト層用塗工液を、上記の下塗り層上に、ロールコーターを用いて塗工した後、直ちに、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させ、インクジェット記録用紙を得た。このときのキャスト層の塗工量は、乾燥質量で7g/m2であった。 【0050】[下塗り層用塗工液](固形分濃度17%) 合成非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、平均二次粒子径6.0μm、一次粒子径15nm)80部、ゼオライト(トーソー社製、商品名:トヨビルダー、平均粒子径1.5μm)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩重縮合体(センカ社製、商品名:ユニセンスCP−104、重量平均分子量20万)15部、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩重縮合体(センカ社製、商品名:ユニセンスCP−101、重量平均分子量2万)5部、蛍光染料(住友化学社製、Whitex BPSH)2部。 【0051】[キャスト層用塗工液](固形分濃度30%) アニオン性コロイダルシリカ80部とスチレン・アクリル共重合体エマルジョン20部(ライオン社製、商品名:エルサード740)、離型剤としてレシチン2部。 【0052】実施例2実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−104 15部を、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩重縮合体(センカ社製、商品名:ユニセンスCP−105、重量平均分子量50万)15部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0053】実施例3実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−104 15部を、ジシアンジアミド−ジエチレンアミン重縮合体(日東紡社製、商品名:PAS−J−41、重量平均分子量15万)15部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0054】実施例4実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−104 15部を10部に、ユニセンスCP−101 5部を10部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0055】実施例5実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−101 5部をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩重縮合体(センカ社製、商品名:ユニセンスCP−102、重量平均分子量5万)5部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0056】実施例6実施例1において、紙基材Aを紙基材Bに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0057】比較例1実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−104 15部およびユニセンスCP−101 5部を、ユニセンスCP−104 20部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0058】比較例2実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−104 15部およびユニセンスCP−101 5部を、ユニセンスCP−101 20部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0059】比較例3実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−104 15部およびユニセンスCP−101 5部を、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩重縮合体(センカ社製、商品名:ユニセンスCP−102、重量平均分子量5万)20部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0060】比較例4実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−101 5部をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩重縮合体(センカ社製、商品名:ユニセンスCP−103、重量平均分子量10万)5部に代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0061】比較例5実施例1の下塗り層用塗工液において、ユニセンスCP−104 15部およびユニセンスCP−101 5部を除いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。 【0062】上記で得られた11種類のインクジェット記録用紙の印字濃度、印字耐水性、インク吸収性、75度表面光沢度およびドラム汚染性について評価した。その結果を表1に示す。なお、上記の評価については下記の如き方法で評価を行った。 【0063】[インクジェット記録]インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名:BJ F850)を用いて黒、マゼンタ、イエローおよび混色黒(黒80%)の印字および高精細カラーディジタル標準画像データ ISO/JIS−SCIDサンプル N3(画像の名称 果物かご:日本規格協会製)の印字を行なった。 【0064】[印字濃度]黒、マゼンタおよびイエローのベタ印字部分の印字濃度をRD−914(マクベス社製)で測定した。 【0065】[印字耐水性]印字した高精細カラーディジタル標準画像データ ISO/JIS−SCIDサンプル N3(画像の名称 果物かご:日本規格協会製)の一面を水で濡らし自然乾燥した後、画像のニジミを目視で評価した。 ◎:まったくニジミがない。 ○:若干ニジミがあるものの実用上問題なし。 ×:ニジミがひどく、実用上問題あり。 【0066】[インク吸収性]混色黒(黒80%)の印字部分の境界から、インク吸収性を目視で評価した。 ○:境界が明瞭で、ニジミがない。 ×:境界が明瞭でなく、ニジミがある。 【0067】[75度表面光沢度]JIS−P−8142に準じて白紙部の75度光沢を測定した。 【0068】 【表1】
【0069】 【発明の効果】表1から明らかなように、本発明により得られたインクジェット記録用紙は、特に印字濃度、印字耐水性およびインク吸収性等のインクジェット記録適性や光沢に優れたインクジェット記録用紙であり、きわめて実用性の高いものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000122298 【氏名又は名称】王子製紙株式会社 【住所又は居所】東京都中央区銀座4丁目7番5号
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| 【出願日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−145916(P2003−145916A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−344025(P2001−344025) |
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