| 【発明の名称】 |
インクジェット記録システムおよびインクジェット記録液ならびにインクジェット記録媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】本田 凡 【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内
【氏名】本多 真理 【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】医療、特に、X線画像を診断目的にプリントするに適したインクジェット記録システムおよびインクジェット記録液ならびにインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】インクジェット記録媒体4に対してインクジェット記録液をノズル120より噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有するものであり、前記インクジェット記録媒体4は、前記油溶性染料と反応して黒色を呈する錯体形成可能な金属イオンを含有する透明シートである、ことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有するものであり、前記インクジェット記録媒体は、前記油溶性染料と反応して黒色を呈する錯体形成可能な金属イオンを含有する透明シートである、ことを特徴とするインクジェット記録システム。 【請求項2】 インクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液として、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有する第1のインクジェット記録液と、染料と反応して黒色を呈する錯体形成可能な金属イオンを含有化合物を含有する第2のインクジェット記録液と、前記インクジェット記録液を前記ノズルから噴出させる制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記インクジェット記録媒体に対して前記第1のインクジェット記録液を噴出させた後に、前記インクジェット記録媒体の少なくとも画像形成領域に前記第2のインクジェット記録液を噴出させる、ことを特徴とするインクジェット記録システム。 【請求項3】 前記油溶性染料は、下記一般式(1)〜(6)で示される染料である、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のインクジェット記録システム。 【化1】
〔一般式(1)〜(5)の式中X1、X2は共役系を介して色素を形成する基を有し、少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭素環または複素環を形成する原子の集まりを表す。一般式(6)の式中R1,R2,R3は水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。〕 【請求項4】 前記金属イオンは、遷移金属イオン含有化合物である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録システム。 【請求項5】 前記インクジェット記録液は、10重量%より少ない水を含有する油溶性インクジェット記録液である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録システム。 【請求項6】 前記インクジェット記録媒体に前記インクジェット記録液を噴出せしめた後に、該インクジェット記録媒体を加熱する加熱手段を有する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録システム。 【請求項7】 前記インクジェット記録液を噴出する記録ヘッドおよび前記インクジェット記録液を供給する手段に対して、前記加熱手段から発生する熱エネルギーの伝達を阻止するための伝熱阻止手段を有する、ことを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録システム。 【請求項8】 透過画像最高濃度が2.80以上4.50以下のモノクロ画像を記録する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のインクジェット記録システム。 【請求項9】 使用するインクジェット記録液の油溶性染料の濃度の種類が、3種類以上6種類以下である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のインクジェット記録システム。 【請求項10】 X線画像の形成に用いられる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録システム。 【請求項11】 請求項1乃至請求項9に記載のインクジェット記録システムに使用されるインクジェット記録液であって、前記インクジェット記録液は、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有するものである、ことを特徴とするインクジェット記録液。 【請求項12】 前記油溶性染料は、下記一般式(1)〜(6)で示される染料である、ことを特徴とする請求項11記載のインクジェット記録液。 【化2】
〔一般式(1)(1)〜(5)の式中X1、X2は共役系を介して色素を形成する基を有し、少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭素環または複素環を形成する原子の集まりを表す。一般式(6)の式中R1,R2,R3は水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。〕 【請求項13】 前記インクジェット記録液は、10重量%より少ない水を含有する油溶性インクジェット記録液である、ことを特徴とする請求項11乃至請求項12のいずれかに記載のインクジェット記録液。 【請求項14】 請求項1乃至請求項9に記載のインクジェット記録システムに使用されるインクジェット記録媒体であって、前記インクジェット記録媒体は、透明な樹脂で構成された支持体を有し、前記支持体の非記録面には微粒子を分散させたバッキング層が形成され、前記支持体の記録面には空隙を有するインク受容層が形成されている、ことを特徴とするインクジェット記録媒体。 【請求項15】 前記インク受容層は、像を担持するための受像層と、インクジェット記録液の溶媒を吸収するための溶媒吸収層と、で構成される、ことを特徴とする請求項14記載のインクジェット記録媒体。 【請求項16】 前記インク受容層に、油溶性染料と反応して錯体形成可能な金属イオン含有化合物を含有する、ことを特徴とする請求項14または請求項15のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。 【請求項17】 角丸を4つの角にもち、75μm以上250μm以下の厚さを有する無色もしくは青く着色した樹脂よりなり、少なくとも1面に空隙型インク受容層を少なくとも1層有する、ことを特徴とする請求項14乃至請求項16のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、医療におけるX線画像診断の産業分野に関する。とくにX線画像を診断目的にプリントするインクジェット記録システムおよびインクジェット記録液ならびにインクジェット記録媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】X線発見以来この百年間、蛍光増感紙とX線フィルムとを組み合わせたスクリーン・フィルムシステム(SFシステム)がX線画像形成に用いられてきている。 【0003】すなわち、X線が蛍光増感紙に照射されると、青色もしくは緑色の可視光をX線強度に比例して発光し、その光でハロゲン化銀写真フィルムが感光し、現像処理後に銀画像としてX線画像を得るものである。しかしながらSFシステムの画質は極めて良好であるが、画像を得るためには水を用いた現像処理が必要であって、その現像液や定着液が廃液として生じる。これは環境上好ましいものではない。また、水を扱う現像処理は極めて煩雑で、厄介な仕事である。 【0004】近年X線画像撮影において、SFシステムに代わってコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)やフラットパネルX線ディテクタ(FPD)など、X線画像のデジタル電気信号を取り出すシステムが登場している。また、X線CTやMRIなどの新しいモダリティはデジタル画像として画像診断に供せられる(図5参照)。 【0005】これらのデジタル医用画像システムでは、画像の撮影のために従来のようなX線フィルムを用いないので、現像処理など煩雑はプロセスがなく、迅速に陰極線管(CRT)ディスプレイ上や液晶表示パネルなどのモニター上にX線画像を得ることができる。 【0006】しかしCRTディスプレイ上では描出できる画像濃度領域に限界があり、そしてCRTディスプレイの発光輝度が1年足らずで大きく低下するなどの不都合があるため、X線画像を精査したりカンファランスやインフォームドコンセント等に使用する場合には、X線画像のハードコピーを得る必要がある。また医用画像を表示するには大型液晶表示パネルを必要とするが、これは大変高価である。 【0007】そこで、このハードコピーを得る方法には従来のハロゲン化銀フィルム上に、CRやFPDから得たX線画像の電気信号をレーザ光強度に置き換えて焼き付け、現像処理を行って画像形成する方法がある。また、近年は有機酸銀塩を使用して、従来のウエット処理を必要としない銀塩ドライフィルムが使用されるようになっている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、これは従来のSFシステム同様に高価な銀を用い、製造工程が煩雑でかつ製造コストが高い。 【0009】一方、銀資源を必要とせずに染料で画像を形成する方法としては、感熱転写方式や昇華型プリンタがある。しかしながら、上記感熱転写の場合は、記録された画像のインクがインクリボンからフィルム最表面に転写されており、取り扱いによってはインクがはがれるなどの不具合がある。 【0010】また、昇華プリンタの場合は医用診断画像として十分な濃度がのらないという不具合があり、また、感熱転写同様に画像形成後にインクリボンなどの廃棄物が生ずるという問題もある。 【0011】そこで、以上の感熱転写や昇華型プリンタの欠点を解消するものとして、インクジェットプリンタの存在が挙げられる。インクジェットプリンタでは入力電気信号に従って、例えば結晶のピエゾ効果などを利用して、微量の液状インクを連続的に噴出し、インクジェット記録媒体に着弾することにより画像を形成するものである。従って感熱転写方式や昇華型プリンタのように、使用後のインクリボンの廃棄する必要はない。 【0012】さらに銀塩写真のような階調性のよい画像得るためには複数の濃度のインクを用い、さらに媒体のインク吸収量を増すためにインク吸収層をもつインクジェット記録媒体が使用される。とくに空隙型インク受容層をもつ媒体に記録するとき、画像は空隙型インク受容層内部のインク吸収層(受像層)で形成されるために、インクの転写などの不都合は起こらない。 【0013】このインクジェットプリンタでは高価な銀資源を使用しない。そして現像処理剤などを使用していないために、ランニングコストがかからない。また画像の使用目的に最適な画像を描くために、最適なインク及び記録媒体を使用し、またインク受容層をもつ適切な記録媒体を用いることによって、CRやFPDから得られるデジタル画像信号を用いて良好な画質のX線画像を描くことができる。 【0014】ここで、インクジェット画像は水や油溶性溶媒に染料を溶かした「インクジェット記録液」が用いられる。水を用いない非水溶媒のインクジェット記録液は、溶媒の臭いや材料コストが高いなどの欠点がある。そして、染料の溶解量が限定されて、画像濃度を十分に高くできない。 【0015】このインクジェット記録液は、インクジェットプリンタのインクヘッドから所定量の液滴としてインク受容層をもつ記録媒体に噴射して画像が描かれる。この画像形成後もインクジェット記録液の溶媒が存在し、このインクジェット画像を保存すると、いわゆる“インク滲み”が生じてしまう欠点がある。特に、インク量の多い高い濃度の画像において、このような現象が生じやすい。 【0016】一方、診断に用いられる医用画像は、広い画像濃度の階調が求められる。そして、少なくとも5年間の保存義務が法令で定められており、また症例によっては5年以上の長期保存が行なわれる。この保存期間にインク滲みによる画像劣化が生ずると、画像の鮮鋭性が劣化してボケた画像に変質してしまい、プリント直後に診断した画像を再度読影することができず、画像保存の目的を達することができない。 【0017】本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであって、医療、特に、X線画像を診断目的にプリントするに適したインクジェット記録システムおよびインクジェット記録液ならびにインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。 【0018】 【課題を解決するための手段】すなわち、以下の(1)〜(17)に述べるそれぞれの解決手段によって解決されるものである。 【0019】(1)請求項1記載の発明は、インクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有するものであり、前記インクジェット記録媒体は、前記油溶性染料と反応して黒色を呈する錯体形成可能な金属イオンを含有する透明シートである、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。 【0020】すなわち、本発明においては、金属錯体色素をインクジェット記録媒体中で形成させることによって画像が透明媒体に記録される。そして、ここで油溶性染料インクを用いると高濃度の画像が容易に得られ、かつ本発明の金属錯体色素は分子量が大きいので、従来の染料に比べて拡散が生じにくく、医用画像診断に供せられる透明記録シートに形成した黒色を呈する画像の保存性は極めて良好となる。 【0021】(2)請求項2記載の発明は、インクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液として、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有する第1のインクジェット記録液と、染料と反応して黒色を呈する錯体形成可能な金属イオンを含有化合物を含有する第2のインクジェット記録液と、前記インクジェット記録液を前記ノズルから噴出させる制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記インクジェット記録媒体に対して前記第1のインクジェット記録液を噴出させた後に、前記インクジェット記録媒体の少なくとも画像形成領域に前記第2のインクジェット記録液を噴出させる、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。 【0022】すなわち、本発明においては、第1のインクジェット記録液と第2のインクジェット記録液とによって金属錯体色素をインクジェット記録媒体上で形成させることによって画像が透明媒体に記録される。この金属錯体色素は分子量が大きいので、従来の染料に比べて拡散が生じにくく、医用画像診断に供せられる透明記録シートに形成した黒色を呈する画像の保存性は極めて良好となる。 【0023】(3)請求項3記載の発明は、前記油溶性染料は、上記の一般式(1)〜(6)で示される染料である、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のインクジェット記録システムである。 〔一般式(1)〜(5)の式中X1、X2は共役系を介して色素を形成する基を有し、少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭素環または複素環を形成する原子の集まりを表す。一般式(6)の式中R1,R2,R3は水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。〕 (4)請求項4記載の発明は、前記金属イオンは、遷移金属イオン含有化合物である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録システムである。 【0024】(5)請求項5記載の発明は、前記インクジェット記録液は、10重量%より少ない水を含有するインクジェット記録液である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録システムである。 【0025】(6)請求項6記載の発明は、前記インクジェット記録媒体に前記インクジェット記録液を噴出せしめた後に、該インクジェット記録媒体を加熱する加熱手段を有する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録システムである。 【0026】(7)請求項7記載の発明は、前記インクジェット記録液を噴出する記録ヘッドおよび前記インクジェット記録液を供給する手段に対して、前記加熱手段から発生する熱エネルギーの伝達を阻止するための伝熱阻止手段を有する、ことを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録システムである。 【0027】(8)請求項8記載の発明は、透過画像最高濃度が2.80以上4.50以下のモノクロ画像を記録する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のインクジェット記録システムである。 【0028】(9)請求項9記載の発明は、使用するインクジェット記録液の油溶性染料の濃度の種類が、3種類以上6種類以下である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のインクジェット記録システムである。 【0029】(10)請求項10記載の発明は、X線画像の形成に用いられる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録システムである。 【0030】(11)請求項11記載の発明は、請求項1乃至請求項9に記載のインクジェット記録システムに使用されるインクジェット記録液であって、前記インクジェット記録液は、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有するものである、ことを特徴とするインクジェット記録液である。 【0031】(12)請求項12記載の発明は、前記油溶性染料は、上記一般式(1)〜(6)で示される染料である、ことを特徴とする請求項11記載のインクジェット記録液である。 〔一般式(1)〜(5)の式中X1、X2は共役系を介して色素を形成する基を有し、少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭素環または複素環を形成する原子の集まりを表す。一般式(6)の式中R1,R2,R3は水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。〕 (13)請求項13記載の発明は、前記インクジェット記録液は、10重量%より少ない水を含有する油溶性インクジェット記録液である、ことを特徴とする請求項11乃至請求項12のいずれかに記載のインクジェット記録液である。 【0032】(14)請求項14記載の発明は、請求項1乃至請求項9に記載のインクジェット記録システムに使用されるインクジェット記録媒体であって、前記インクジェット記録媒体は、透明な樹脂で構成された支持体を有し、前記支持体の非記録面には微粒子を分散させたバッキング層が形成され、前記支持体の記録面には空隙を有するインク受容層が形成されている、ことを特徴とするインクジェット記録媒体である。 【0033】(15)請求項15記載の発明は、前記インク受容層は、像を担持するための受像層と、インクジェット記録液の溶媒を吸収するための溶媒吸収層と、で構成される、ことを特徴とする請求項14記載のインクジェット記録媒体である。 【0034】(16)請求項16記載の発明は、前記インク受容層に、油溶性染料と反応して錯体形成可能な金属イオン含有化合物を含有する、ことを特徴とする請求項14または請求項15のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。 【0035】(17)請求項17記載の発明は、角丸を4つの角にもち、75μm以上250μm以下の厚さを有する無色もしくは青く着色した樹脂よりなり、少なくとも1面に空隙型インク受容層を少なくとも1層有する、ことを特徴とする請求項14乃至請求項16のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。 【0036】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、インクジェット記録システムおよびインクジェット記録液ならびにインクジェット記録媒体に関する本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、実施の形態に示した具体例に限定されるものではない。 【0037】〈インクジェット記録システム〉本発明の実施の形態例におけるインクジェット記録システムについて、図2にその基本構成を示す。すなわち、本実施の形態例の「インクジェット記録システム」は、「インクジェット記録液」、「インクジェット記録装置」そして「インクジェット記録媒体」の三者で構成される。 【0038】〈インクジェット記録装置〉図1は医用インクジェット記録装置の画像記録に関する機能ブロックを説明するブロック図である。このインクジェット記録装置は、入力画像信号を受けて、必要あれば画像処理を行なう。すなわち入力画像の画素サイズと出力画像の画素サイズがずれたときの画像補間や、画像を任意の大きさにプリントするための処理などである。画像処理後にそのデータ信号にもとづき、インク供給、記録ヘッドからのインクの吐出、そしてインクジェット記録媒体の搬送等のコントロールが行なわれる。 【0039】具体的には、この実施の形態例の医用インクジェット記録装置100は、インクの吐出により画像記録を行う記録手段として、記録ヘッドユニット120を有している。 【0040】制御手段101は本実施の形態例の医用インクジェット記録装置100の各部を制御する。また、制御手段101は、本実施の形態例の特徴である制御として、インクジェット記録媒体へのインク付着量の制御も行う。 【0041】110は外部の医用撮影装置やストレージ装置からの画像信号が入力され、必要な画像処理を実行する画像処理手段である。なお、外部からの画像信号の入力は、各種ネットワークを介したものであってもよい。この画像処理手段110で処理された画像信号が制御手段101に送られる。 【0042】記録ヘッドユニット120には、濃度の異なる複数種類(この図1では、一例として4種類)の黒インクK1〜K4の記録ヘッド120a〜120dが一列に設けられており、制御手段101がら画像信号に応じた記録ヘッド制御信号が供給されている。これらの記録ヘッド120a〜120dは、一体化されていてもよいし、個別に設けられていてもよい。このように、複数種類の異なる黒インクを用いて画像を形成することで、医療用診断を目的とする画像として、高画質、多階調の画像を得ることができる。インクジェット記録ヘッドのインク吐出機構はピエゾ効果を用いたものでも、瞬時にインクを加熱したとき生ずる気泡(バブル)形成の力を用いたインクジェット方式でもよい。なお、好ましいインクの種類については、後述する。 【0043】また、後述するように、インクジェット記録液として、金属イオンと2座以上で配位結合可能な油溶性染料を含有する第1のインクジェット記録液と、染料と反応して黒色を呈する錯体形成可能な金属イオンを含有化合物を含有する第2のインクジェット記録液と、を用いる場合には、この2種類のインクジェット記録液を噴出可能な記録ヘッドであるとする。 【0044】131はインクジェット記録媒体4を主走査方向に搬送する搬送ローラである。また132はインクジェット記録媒体4への熱伝導を遮るための伝熱阻止手段、133はインクジェット記録媒体4を加熱するための加熱ローラである。 【0045】140は、記録ヘッドを副走査方向に搬送する記録ヘッド搬送手段である。ここで、搬送ローラ131は、インクジェット記録媒体搬送信号に基づき、インクジェット記録媒体4を矢印A方向へ搬送する。また、このインクジェット記録媒体4の搬送方向に対して直行する方向Bに移動可能に、記録ヘッドユニット120を移動させる記録ヘッド搬送手段140が配置されている。 【0046】ここで、記録ヘッド搬送手段140は記録ヘッド搬送信号に基づき記録ヘッドユニット120を有を矢印B方向へ移動させ、各記録ヘッド120a〜120dは記録ヘッド制御信号に基づきインクジェット記録媒体4上に画像を形成する。制御手段101には、画像処理手段110から画像信号が送られ、この画像処理手段110には、外部の撮影装置やストレージ装置からの画像信号が入力される。なお、画像処理の入力はネットワークを介したものであってもよい。 【0047】〈インクジェット記録液(インク)の説明〉本実施の形態例で使用するインクジェット記録液中に含有される染料として、特定の構造をもった、金属2座以上で配位結合可能な染料を用いる。このような染料としては、上記化学式などで示した、前記一般式(1)〜(6)で表される染料が好ましい。 【0048】一般式(1)〜(5)においてX1,X2は共役系を介して色素を形成する基を表し、少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭素環または複素環を形成する原子の集まりを表す。 【0049】一般式(6)においてX3は共役系を介して結合することができる原子の集まりを表し、Z1、Z2はそれぞれ少なくとも一つの窒素原子を含む含窒素複素環を形成する原子の集まりを表し、該複素環は互いに異なっても同じでもよい。 【0050】一般式(1)〜(3)、一般式(6)において、R1,R2,R3は水素原子、ハロゲン原子または1価の置換基を表し、nは0,1または2を表す。X1としてとくに好ましくは、以下の一般式(7)で表され、X2としてはとくに好ましくは以下の一般式(8)で表される。 【0051】 【化3】
【0052】式中、Z、Z′は少なくとも1つのキレート化可能な窒素原子を含む基で置換された芳香族性の含窒素複素環を形成する原子の集まりを表す。Yは芳香族炭素環又は複素環を形成する原子の集まりを表し、該環上には更に置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該環の具体例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ナフタレン環、3H−ピロール環、オキサゾール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、インドレニン環、バルビツール環、チオバルビツール環、ローダニン環、ヒダントイン環、ピラゾリジンジオン環、ピリジンジオン環などが挙げられる。これらの環は更に他の炭素環(例えばベンゼン環)や複素環(例えばピリジン環)と縮合環を形成していてもよい。縮合環上の置換原子、置換基としてはアルキル基、アリール基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子などがあり、それらの基は更に置換されていても良い。 【0053】一般式(6)の式中X3は共役鎖を介して結合して色素を形成することができる原子の集まりを表すが、具体的には5員、6員の炭素環、複素環を形成する原子群又は以下の一般式(9)で表されるものが好ましい。 【0054】 【化4】
【0055】式中X4、X5はそれぞれ、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等を表し、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。X3が5員、6員の炭素環又は複素環を形成する場合、該環は単環でも縮合環でもよく、具体的にはピロール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、ピラゾロイミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンズチアゾール環、イソキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環、ピラゾロトリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、ピラゾロテトラゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾロトリアゾール環、ローダニン環、ヒダントイン環、チオヒダントイン環、バルビツール環、チオバルビツール環、オキサゾリン環、オキサゾリジンジオン環、ピリジンジオン環、オキシインドール環、ピラゾリジンジオン環、キノリン環、イソキノリン環、5−ピラゾロン環、オキサゾロン環、イソオキサゾロン環、インダンジオン環、ヒドロキシピリドン環、ピラゾロピリドン環、ピラゾロピロール環、ピラゾロピラゾール環等が挙げられる。 【0056】上記炭素環又はヘテロ環は無置換でも置換されていてもよく、置換原子、置換基としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えばピリジンオキシド基)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えばベンゼンジスルフィド基、ベンゾチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられる。Z1、Z2は少なくとも一つは窒素原子を含む含窒素複素環を形成する原子の集まりを表し、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、具体的にはピロール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、ピラゾロイミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンズチアゾール環、イソキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環、ピラゾロトリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、ピラゾロテトラゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾロトリアゾール環、ピリジンジオン環、オキシインドール環、ピラゾリジンジオン環、キノリン環、イソキノリン環、5−ピラゾロン環、オキサゾロン環、インダンジオン環、イソオキサゾロン環、インダンジオン環、ヒドロキシピリドン環、ピラゾロピリドン環、ピラゾロピロール環、ピラゾロピラゾール環等が挙げられるが、前記一般式(6)中下記一般式(10)〜(15)で表されるものが特に好ましい。 【0057】 【化5】
【0058】一般式(10)〜(15)においてR4、R5、R6、R8、R9は水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)又は一価の置換基(例えばアルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基)を表し、R7は水素原子又は一価の置換基(例えばアルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基)を表す。R1、R2は下記のR1、R2と同義である。 【0059】一般式(1)〜(3)、一般式(6)においてR1、R2、R3は水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)又は1価の置換基を表すが、1価の置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルアミノ基等が挙げられる。nは0、1又は2を表す。 【0060】以下に本実施の形態例の染料の具体的化合物例を示すが、本実施の形態例はこれらに限定されない。 【0061】 【化6】
【0062】 【化7】
【0063】 【化8】
【0064】本実施の形態例の油溶性インクジェット記録液は、水が10重量%より少ないものを言う。この溶媒に常温で1重量%以上溶解する染料を、本実施の形態例では「油溶性染料」とする。 【0065】本実施の形態例におけるインクジェット記録液に用いる有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。 【0066】本実施の形態例で使用する油系のインクジェット記録液の油系溶媒の例としては、上記インクジェット記録液において有機溶媒として例示したものに加えて、アルコール類(例えば、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニルアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸−3−ヘキセニル等)、エーテル類(例えば、ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えば、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド等)が挙げられる。 【0067】上記のような油系のインクジェット記録液において、染料はそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。 【0068】このような油系のインクジェット記録液の具体的調製法については、特開平3−231975号公報、特表平5−508883号公報等に記載の方法を参照することができる。 【0069】インクには必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。インクに好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。 【0070】インクにはこの他に防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤等を必要に応じて添加することも可能である。本実施の形態例における、上述の化合物と錯体形成可能な金属を含有する化合物の実施態様を記述する。本化合物は以下の一般式(16)で表すことができる。 【0071】 【数1】
【0072】この一般式(16)においてはMは金属、Xはアニオンの配位子、Yは中性の配位子、Zは対イオンを表し、lは1〜5の自然数、mは1〜6の自然数、nはー2〜2(n≠0)、o,p,qは0〜6の整数を表す。 【0073】以下、一般式(16)の化合物について詳述する。Ml+で表される金属イオンとしては、例えば銀(I)、アルミニウム(III)、金(III)、セリウム(III,IV)、コバルト(II,III)、クロム(III)、銅(I,II)、ユウロピウム(III)、鉄(II,III)、ガリウム(III)、ゲルマニウム(IV)、インジウム(III)、ランタン(III)、マンガン(II)、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II,IV)、ロジウム(II,III)、ルテニウム(II,III,IV)、スカンジウム(III)、珪素(IV)、サマリウム(III)、チタン(IV)、ウラン(IV)、亜鉛(II)、ジルコニウム(IV)などが挙げられ、これらの中で2座配位の染料の場合は、4座あるいは6座で配位結合可能な遷移金属イオンが好ましく、また3座配位の染料の場合は、6座で配位結合可能な遷移金属イオンが好ましい。 【0074】特により好ましい遷移金属イオンとしては亜鉛(II)、ニッケル(II)、コバルト(II,III)、銅(II)、ロジウム(II,III)、ルテニウム(II,III)、パラジウム(II)、白金(II,IV)がより好ましい。 【0075】また、Xm-で示されるアニオンの配位子としては、ハライドイオン、ヒドロキシイオン、硝酸イオン、カルボキシレート、シアノイオン、ペルオキソイオン、アセチルアセトナトイオンおよびその誘導体、サリチルアルデヒドのフェノラートイオンおよびその誘導体、グリシナトイオン、チオシアナートイオン、アジドイオン、炭酸イオン、オキザレートイオン、硫酸イオン、オキサラトイオンなどが挙げられる。Yで表される中性の配位子は、アンモニア、水、トリフェニルホスフィン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2′−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、グリシンアミド、ジエチレントリアミン、2,2′,2″−ターピリジル、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。 【0076】さらに、Znで表される対イオンは、電荷を中性にするために、必要に応じてアニオンまたはカチオンとなる。このようなアニオンとしては、ハライドイオン(フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド等の各イオン)、亜硫酸イオン、硫酸イオン、アルキル又はアリールスルホン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、過塩素酸イオン、カルボキシレート(アセテート、トリフルアセテート、ステアリレートなど)、サクシネート、ベンゾエート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート等が挙げられ、また、カチオンとしては、リチウム(I)、ナトリウム(I)、カリウム(I)、アンモニウム、ホスフォニウム等も各カチオンが挙げられる。 【0077】上述のような、染料が反応して錯体形成可能な金属イオン含有化合物の具体的なものとしては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ジアクアニッケル(II)、ビス(ジメチルグリオキシマト)ニッケル(II)、ビス(3−メトキシカルボニ−2,4−テトデカンジオナト)ニッケル(II)、トリス(グリシンアミド)ニッケル(II)テトラフェニルホウ酸塩、塩化コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)、ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物、トリス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物、cis−ジクロロテトラアンミンコバルト(III)塩化物、テトラニトロジアミンコバルト(III)酸アンモニウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、ビス(エチレンジアミン)銅(II)硫酸塩、塩化ロジウム(II)、硫酸ロジウム(II)、四酢酸二ロジウム(II)、ヘキサアンミンロジウム(III)塩化物、ヘキサシアノロジウム酸(III)カリウム、臭化ルテニウム(III)、ヘキサアンミンルテニウム(III)臭化物、ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウム、硫酸パラジウム(II)、テトラクロロパラジウム(II)酸アンモニウム、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物、テトラアンミン白金(II)塩化物、ビスエチレンジアミン白金(II)塩化物、ヘキサアンミン白金(IV)塩化物、トリス(エチレンジアミン)白金(IV)塩化物、などが挙げられる。 【0078】上述の一般式(16)で表せられる化合物を含有するインクジェット記録液は、その含有量は0.1〜60重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%の範囲である。このインクジェット記録液は、上述の有機溶剤、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤等を必要に応じて添加することも可能である。 【0079】本実施の形態例のインクジェット記録液の飛翔時の粘度は40cps以下が好ましく、30cps以下であることがより好ましい。また飛翔時の表面張力としては20dyn/cm以上が好ましく、25〜80dyn/cmであることがより好ましい。 【0080】本実施の形態例において、上述したようなインクジェット記録液を得るには、全インクジェット記録液中に10重量%より少ない水を含有することができる。 〈インクジェット記録媒体〉なお、上述した一般式(16)は記録用シートのインク受容層中に分散することができる。以下、記録シートについて、図3を参照して記述する。 【0081】本実施の形態例で使用するインクジェット記録媒体は、インクジェット記録液を用いて実質的に黒色画像を描くことを特徴とする、角丸を4つの角にもち、75μm以上250μm以下の厚さを有する無色もしくは青く着色した樹脂(透明支持体401)よりなる、少なくとも1面に空隙型インク受容層402を少なくとも1層有するインクジェット記録媒体である(図3(a)参照)。 【0082】本実施の形態例に用いられるインクジェット記録媒体は15cm×10cm以上の面積をもつシート状であり、シートの角がとがっていると安全性に若干の問題を有する可能性があるので、角丸を4つの角に持たせている。また厚さが75μmより薄いとシートが垂れ曲がり取り扱いが難しく、逆に250μmより厚くなると、重ねて持ち歩く時など、かなりの重量となってしまう。 【0083】従来用いられているX線フィルムは無色透明もしくは青色着色フィルムであるので、使用者が違和感をもたないように無色もしくは青く着色した樹脂よりなるものが好ましい。 【0084】またこのインクジェット記録媒体には少なくとも1面に空隙型インク受容層を少なくとも1層有し、そしてインク受容層を塗布していない面は、プリンタでの機械搬送性や重ねて置いたときにフィルム同士が互いにくっつかないようにするために、マット加工を施す面としてのバッキング層403をもつことは好ましい態様である。 【0085】本実施の形態例で用いるインクジェット記録媒体は、インク受容層402の空隙率をできるだけ大きくし、また表面をマット加工などして凹凸を生じせしめることにより達成できる。また酸化チタンや酸化鉛のような白色の金属酸化物をインク受容層内あるいはその下部の層に添加することができる。またインク受容層のない裏側に層を設け、そこに酸化チタンや酸化鉛のような金属酸化物を分散させること、またインク受容層402を支持体401の両面に設けることもできる。 【0086】このインクジェット記録媒体の支持体401の材質はポリエチレンフタレート等のポリエステル類、ニトロセルロース、セルロースアセテート等のセルロースエステル類、さらにポリスルホン、ポリイミド、ポリカーボネイド等を用いることができる。 【0087】また、このシート状インクジェット記録媒体は青色に着色されていることが好ましい。この青い着色は、画像を透過光で観察するときに画像のない部分からの過剰な透過光で目を眩惑させないようにするためや、黒い画像をより好ましくみえる効果も得られる。そしてこのシート状インクジェット記録媒体の少なくとも1面にインク受容層402を設ける必要がある。このために、インクジェット記録媒体の支持体401はコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理などを施して、インク受容層402の接着性を向上させることができる。 【0088】インク受容層402は空隙率40〜90%を有する三次元網目構造の層である。その三次元網目構造が、平均粒径が20nm以下のシリカ微粒子あるいは有機物微粒子と水溶性樹脂とから形成されており、且つシリカ微粒子あるいは有機物微粒子と水溶性樹脂との重量比が1.2:1〜12:1の範囲であることがこのましい。 【0089】三次元網目構造の空隙を形成する細孔が5〜40nmの平均直径であり、空隙を形成する細孔が0.3〜1ml/gの細孔容量を有する。シリカ微粒子が無機珪酸であり、その表面1nm2あたり2〜3個のシラロール基を有し、三次元網目構造がシリカ微粒子が凝集した10〜100nmの粒径を有する二次粒子の連結により形成される鎖からなることが好ましい。 【0090】ここでの微粒子は例えばコロイダルシリカ、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム等をあげることができる。 【0091】水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。好ましい水溶性樹脂の例としては、ゼラチンほか特開平7-276789号公報などに開示されている。インク受容層が50〜500m2/gの比表面積を有することがこのましい。インク吸収量は20cc/m2〜50cc/m2が好ましい。 【0092】また、シートを重ねた時にシートどうしがくっつかないようにするために、平均粒径が5〜100μmのマット粒子を表面に分散することができる。そして帯電防止のために界面活性剤を添加することもできる。 【0093】インク受容層402のない面においては、カールを防止するためにゼラチンほか水溶性樹脂を塗布することができる。この層には帯電防止加工、くっつきを防止するマット加工、青色に着色すること、また酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子など酸化金属粒子を添加することができる。 【0094】本実施の形態例のインクジェット記録用フィルムの空隙層中には、耐滲み性を改良する目的で、カチオン性ポリマーを含有させることが好ましい。本実施の形態例に用いられるカチオン性ポリマーとしては、例えば1級〜3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを用いることが出来るが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の定着性が高いこと等から、4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。 【0095】さらに必要に応じて、特開昭57−36692号公報の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−15744号、特開昭61−58788号、同62−174184号等各公報記載のポリアリルアミン、特開昭61−47290号公報記載のアルカリ金属弱酸塩等を併用することができる。本実施の形態例に好ましく用いられるカチオン性ポリマーは、以下のような4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体として得られる。次に好ましく用いられる4級アンモニウム塩基を有するモノマーの具体例を挙げる【0096】 【化9】
【0097】 【化10】
【0098】次に上記モノマーと共重合しうるモノマーの具体例を挙げるが、本実施の形態例はこれらに限定されるものではない。 【0099】 【化11】
【0100】 【化12】
【0101】以下に好ましく用いられる4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、本実施の形態例はこれらに限定されるものではない。数字はモノマーのモル百分率を示す。 【0102】 【化13】
【0103】 【化14】
【0104】 【化15】
【0105】カチオン性ポリマーは水溶性でも乳化重合によるラテックス粒子でもよい。また、カチオン性ポリマーの中でも、平均分子量が5万以下であるカチオン性ポリマーが、無機微粒子との凝集が少なく、光沢性が劣化しにくいため好ましい。より好ましくは平均分子量が3万以下である。平均分子量の下限は特に制約はないが、耐水性、耐湿性からおおよそ2000以上である。ここでの平均分子量とは、数平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求めたポリスチレン換算値をいう。上記カチオンポリマーは記録層中に使用するバインダーに対し質量比で0.5倍以上であることが十分な耐水性、耐湿性を得ることができる点で好ましい。また、空隙層の造膜性等のために、2倍以下が好ましい。使用量の上限は特に限定されないが、インクの吸収性や、記録用フィルムのカール等の点から3g/m2以下が好ましい。 【0106】透過X線画像を読影するとき、短時間に多数のフィルムを扱うことが多い。この時、画像の表裏が一目でわかれば、煩雑さから開放される。このためには例えばシート上右肩にノッチをいれて、表裏を簡単に識別することができる。 【0107】本実施の形態例におけるインクジェット記録媒体のインク受容層は、図3(b)に示す如く、受像層402aと、溶媒吸収層402bとで構成することは好ましい態様であり、さらにこの受像層402aの上にインク滲み防止層402cを形成することは更に好ましい態様である。 【0108】受像層402aとは画像形成をする染料が多く染着される層(インク吸収層、あるいは、染料吸収層とも言う)であり、溶媒吸収層402bとは着弾したインクの溶媒が選択的に吸蔵される層であって、この二つの層が隣接して存在することによって、プリント記録直後にインクジェット記録媒体内で染料とその溶媒を分離するものである。この二つの層の構成は、使用する微粒子の種類やその粒径、そしてカチオンポリマーなどの媒染剤などの含有料をそれぞれ変えることにより実現することができる。 【0109】インク受容層402において一般式(16)で表す化合物を含有せしめることができる。この含有量はついては、コロイダルシリカなどの微粒子の重量に対してその5%〜100%を添加することができる。この添加料が多すぎると金属イオンの色が顕在化し不都合を生ずる。一般式(16)で示される化合物の種類と該インクジェット記録システムの使用目的によって、その添加料は最適化されるが、コロイダルシリカなど微粒子の重量に対して、20%から60%がより好ましい範囲である。 【0110】本実施の形態例においてインク受容層402に添加する一般式(16)で表す化合物については、1種類の単独使用でもよいし、また画像色調を考慮して、複数の化合物を混合して用いることができる。 【0111】本実施の形態例で用いられるインクジェット記録液の染料は、数種類の組み合わせもしくは単独種で黒色に発色するインクジェット記録液を調合することができる。 【0112】本実施の形態例での黒色とは、従来の銀塩写真のX線写真で通常見られる銀塩画像の黒色もしくは、それに近い黒色である。すなわち、青色がかった冷黒調色から、やや黄色がかった温黒調色などをふくみ、かならずしも色味のない黒色である必要はない。少なくとも濃度変化に対して、色調が変化しない黒色を呈する単色画像が本実施の形態例で好ましい態様である。 【0113】本実施の形態例で使用するインクジェット記録液の染料濃度の種類は、滑らかな画像の階調を得るために、3種類以上6種以下であることが好ましい。3種類より少ないと、充分になめらかな濃度階調を得ることが難しい。6種類を越えると、濃度階調の滑らかの向上は少なくて却って装置が肥大化するなどの不具合が生じる。ここで画像部分で滑らかな階調を持たすために、たとえばこの部分で4種濃度のインクを用いるとき、最低濃度の染料濃度で得られる画像濃度を1とすると1:2:4:8あるいは1:1.5:3:9などの比率の画像濃度が得られる染料濃度のインクジェット記録液を用いることが好ましい。これらのインクを用いて画像階調部では誤差拡散などの方法により、より滑らかな画像の階調を得ることができる。 【0114】本実施の形態例におけるインクジェット記録システムで得られる画像最高濃度は2.80以上で4.50以下である。これは通常の拡散濃度計で測定することができる。医用診断画像で充分に広い階調を得るには、画像の最高濃度は2.80を必要とする。診断すべき対象が1mm以下の小さいものを識別するには、より広い階調が必要となる。しかしながら、画像最高濃度を4.50より高くしても、いかに強い光の透過光で観察しても、その識別能には限界があり、インクジェット記録システムに不必要な負荷を与えるのみである。 【0115】本実施の形態例におけるインクジェット記録方式としてはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わないが、オンデマンド方式のインクジェット記録方法をより好ましく用いることができる。 【0116】インクの吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、気泡形成(バブル)の力を用いたインクジェット方式、等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。ノズル数は64個以上512個程度が医療用インクジェットとして適切である。インク滴速度は2m/sより大きく、20m/s程度までが好ましい。射出1滴のインク量は1ピコリットル〜50ピコリットルが適切である。 【0117】本実施の形態例で用いられるインクジェット記録システムにおいては、金属イオンと2座位以上で配位結合可能な油溶性染料と金属イオンを含む化合物によって、黒色を呈する画像が形成される。このとき上記染料と金属イオンが反応して、金属錯体色素が生ずる。この化学反応は、常温でも瞬時に進行する。しかしながら、画像濃度が非常に高い部分であるとか、またインクジェット記録液の噴出には若干のムラがある。また金属イオンを含む化合物がインクジェット記録媒体に分散されているとき、そのムラはないとは言えない。したがって、金属錯体反応の進行を促進するために、画像形成後に画像部分を加熱または加温することは好ましい態様である(図4参照)。 【0118】この加熱または加温する方法は、一般に熱エネルギーの伝導型、放射型そして対流型がある。伝導型とは、例えば熱せられたドラム(加熱ローラ133など)に接触させることにより物質を加熱するものである。放射型とは例えば、赤外ヒータ134などから遠赤外光を照射することによって物質を加熱することである。対流型とは物質に、空気ノズル135などから熱風などを当てることによる加熱方式である。 【0119】本実施の形態例においては上記3種のどの方式を用いても構わない。あるいは組み合わせることはより好ましいことである。対流型では加熱された空気を放出する必要がある。また伝導型は記録装置自体の温度が上昇しやすい。放射型は部分的に過熱するには上記2種の方法より容易であって、本実施の形態例では最も好ましい加熱方法である。 【0120】一方、インクヘッドは常にインクで満たされている状態であって、このインクが乾いてしまうとインクヘッドの微細なノズルがふさがれてしまう不都合が生ずる。したがって、この加熱機能のインクヘッドへの影響を極力小さくせしめる必要がある。本実施の形態例のインクジェット記録システムでは加熱機能で発する温風や赤外光など、インクヘッドを乾燥せしめる要因を軽減する機能を有することは好ましい態様である。これは具体的には加熱機能とインクヘッドとの間に伝熱阻止手段としての伝熱阻止ローラ132などを設けること、あるいは板などの壁を設けること、またエアーカーテンを設けることなどによって実現される。 【0121】さらにこうした乾燥を軽減するにはプリンタ全体の温度上昇を防ぐ必要がある。そのために、本実施の形態例ではプリント及び加熱の終了後に、制御手段101などの制御により、設定した時間を経過すると乾燥機能が自動的に停止することを特徴とする。即ち上記の放射型では遠赤外発光を停止することにより実現できる。伝導型では例えば加熱ローラ133のヒータの電源を切ることで実現できる。対流型では送風ファンの電源を切ることにより実現することができる。これら機能停止については手動で行うことができるが、また一定時間経過後に機能を停止するように記録装置内に設定し、自動的に作動させることができる。記録装置の取り巻く温度が低い場合、記録装置に内蔵した温度センサで外温を検知して、例えば加熱ローラの加温のみ継続して、遠赤外ヒータ電源のみ切断するなど、加熱能力を最大限に引き出すことは好ましい態様である。 【0122】本実施の形態例におけるX線画像とは、通常医療施設の放射線科でX線管を用いて撮影される胸部、腹部、四肢骨などの、いわゆる単純撮影画像、そして拡大撮影、造影撮影、さらには立体撮影などである。これらのX線画像は一旦スクリーン・フィルムシステムで撮影した画像を、いわゆるフィルムデジタイザでデジタル画像信号として取りだし、本実施の形態例のインクジェット記録システムで画像を記録しなおすことができる。またコンピューテッドラジオグラフィやフラットパネルX線ディテクターからの画像信号を記録することで、得ることができる。またインターネットなどを利用して、離れた場所からデジタルX線画像信号を受けて、その画像を得ることもできる。さらに、本システムで、X線を用いない、マグネティック・レゾナンス・イメージング(MRI)画像もX線画像と並べてプリントすることができる。これら、プリントされた医用画像は、画像診断、コンファランス、教育、そしてインフォームドコンセント等に使用される。 【0123】 【実施例】以下、上述した実施の形態例についての具体的な実施例について説明する。 〈1.インクジェット記録媒体の作成〉可視光濃度0.18の青色に着色した厚さ175μmのポリエステルベースを透明支持体401として、その両面にコロナ放電処理をおこなった。まず、カーリング防止及び帯電防止のために、ゼラチン膜に界面活性剤を含有するバッキング層403を塗設した。そして以下に示す組成の液を用いて、もう一方の支持体の面にインク受容層402を形成した。 【0124】ここで、インク受容層の塗布液組成と、その塗布液により得られるインクジェット記録媒体の試料(媒体試料)を以下に示す。 〈1.1媒体試料■〉・乾式シリカ微粒子(平均粒径:7nm、シラロール基2〜3/nm2:エアロジルA300)を1kg、・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235、クラレ製)を0.5kg、用意する。上記組成を水15kg中に添加して分散したあと、pHを4.0に調整して塗布液を得た。 【0125】そして上記フィルムに塗布して媒体試料■得た。 〈1.2媒体試料■〉上記塗布組成液に塩化ニッケル0.5kgを添加してインク受容層を形成した媒体試料■を得た。 【0126】〈1.3媒体試料■〉また次の組成の塗布液を調製し、上記の青色透明ベースを用いて、媒体試料■を得た。 ・塩化ニッケルを0.5kg、・アルミナ微粒子(平均粒径:13nm, Aluminum Oxide C)を1kg、・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235 クラレ製)を0.5kg、用意する。 【0127】上記組成を水14kg中に添加し、分散したあとpHを4.0に調整して塗布液を得た。 〈1.4媒体試料■〉・乾式シリカ微粒子(平均粒径:7nm、シラロール基2〜3/nm2:エアロジルA300)を1kg、・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235 クラレ製)を0.5kg、用意する。上記の組成を水15kg中に添加して分散したあと、pHを4.0に調整して塗布液Aを得た。 ・乾式シリカ微粒子(平均粒径:7nm、シラロール基2〜3/nm2:エアロジルA300)を1kg、・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235 クラレ製)を0.5kg、・Mor-1(東京化成製)を0.2kg、用意する。上記組成を水15kg中に添加して分散したあと、pHを4.0に調整して塗布液Bを得た。 【0128】塗布液Aをバッキング層塗布済みの青色ベース支持体に湿潤膜厚200μm で塗布・乾燥を行い、さらにその上に塗布液Bを湿潤膜圧150μm で塗布し乾燥させ、インク受容層と溶媒吸収層の2層構造の媒体試料■を得た。 【0129】上記のインクジェット記録媒体の吸水量は35g/m2であった。これはバッキング層を剥ぎ取ったインク受容層のみの媒体を約15℃の水に浸漬し、1分後に引き上げ、その浸漬前後の重さから、吸水量を求めた。 【0130】〈2.インクの作製〉〈2.1インク■〉C.I.フードブラック2を40g、グリセリンを250g、エマルゲン911(花王株式会社製)を3g、をイオン交換水で1000g仕上げ、上記インク組成の染料を添加しない液で希釈して5%の濃度の黒色インクを濃度比1の基準とした。この濃度を基準として各種濃度のインクを作製し、インク■を得た。 【0131】〈2.2インク■〉塩化ニッケルを50g、トリエチレングリコールを150g、イソプロパノールを100g、をイオン交換水で1000g仕上げ、上記インク組成のインク■を得た。 【0132】〈2.3インク■〉染料[D-1]を8g、染料[D-8]を8g、染料[D-13]を8g、染料[D-5]を6g、トリエチレングリコールを200g、イソプロパノールを200g、トリエタノールアミンを1g、ペンタノールを100g、オクタノールを100g、イオン交換水を50g、上記インク組成の染料を添加しない液で希釈して5%の濃度の黒色インクを濃度比1の基準とした。この濃度を基準として各種濃度のインクを作製し、インク■を得た。 【0133】〈3.インクジェット記録装置(プリンタ)〉ノズル孔径が24μmで256個ノズルヘッドを用い、駆動周波数12kHzでインク射出速度6m/sec、7ピコリットル液滴、記録密度360ドット/25.4mmのオンデマンド型インクジェットプリンタ■を使用した。また、このプリンタに、プリント後に表面温度が最高温度50℃に2秒間なるように赤外ヒータを設置したプリンタ■も用いた。このインクヘッドは画像濃度部インク用に使用した。画像階調部分については誤差拡散法を用いた。 【0134】〈4.テスト画像の撮影〉回転アノードがタングステンである株式会社東芝製X線管球DRX-29031HDを用いて、焦点サイズ2mm、X管電圧125kV設定で、京都科学製胸部ファントムを用いて撮影を行った。コニカ株式会社製Regius150を用いて撮影後に、読取サイズ175μmで画像信号を読み取った。画像に適した階調補正をおこなった後、この12ビット階調の画像信号を得た。 【0135】〈5.医用画像のプリント〉上記プリンタ■と■、インク■〜■、そしてインクジェット記録媒体■〜■を用いて、上記画像信号をプリンタに入力してテスト画像No.1〜16の胸部モノクロ画像を得た。肺野部の画像濃度は1.5であり、非画像部での最高濃度は2.6あるいは3.4が得られた。 【0136】〈6.テスト画像プリント試料の画像保存性の評価〉上記プリント画像2組を作製した。そして、プリント直後にコニカ株式会社製PDA6濃度計を用いて、プリント画像の最高濃度(可視光の拡散濃度)を測定した。その後、一組は21±2℃で30±5%RHの環境で保存した。この環境は2、3ヶ月では一般に画像に滲みが殆ど発生しない条件である。 【0137】もう一組については、80±2℃で70±5%RHで7日間保存し、画像の滲み発生をテストした。通常では、こうした画像保存条件は殆どない。この条件が実際の時間経過との対応は科学的に明確にはなってないが、滲み発生の加速テストとして用いられる条件である。 【0138】7日間の上記2つの条件下で保存した試料の左肺野上部の模擬血管像を中心に画像滲みに起因する画像のボケを観察した。その結果を以下の表1に示す。21±2℃保存のものを基準として80±2℃保存の画像の比較で、画像のボケ(画像の滲み)が全くなく2者同等のものを◎、ややボケが生じている感じではあるが、すぐには気付かないものを〇、少しボケが始まるが、画像の劣化とは感じさせないものを△、画像の劣化のボケが明瞭なものを×とした。観察は8000lxの明るさを有するライトボックス上で行なわれた。 【0139】 【表1】
【0140】この表1に示したように、比較例に比べて、本発明の実施例により良好な結果を得ることができた。すなわち、以上の実施の形態例および実施例においては、金属錯体色素をインクジェット記録媒体中で形成させることによって画像が透明媒体に記録される。そして、ここで油溶性染料インクを用いると高濃度の画像が容易に得られ、かつ本実施の形態例および本実施例の金属錯体色素は分子量が大きいので、従来の染料に比べて拡散が生じにくく、医用画像診断に供せられる透明記録シートに形成した黒色を呈する画像の保存性は極めて良好となる。 【0141】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、医療、特に、X線画像を診断目的にプリントするに適したインクジェット記録システムおよびインクジェット記録液ならびにインクジェット記録媒体を実現できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001270 【氏名又は名称】コニカ株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
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| 【出願日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085187 【弁理士】 【氏名又は名称】井島 藤治 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−145915(P2003−145915A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−344790(P2001−344790) |
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