| 【発明の名称】 |
ラミネートフィルムおよびそのラミネート方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 雅也 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内
【氏名】塚本 雅美 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内
【氏名】永田 徹 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内
【氏名】鈴木 謙二 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ラミネート処理後に優れた光学濃度や光沢度を有する画像が得られ、且つ、低エネルギーでプロセス可能な薄い基材を有するラミネートフィルム及びそれを用いたラミネート方法を提供することである。
【解決手段】画像面との接着が可能な接着層を少なくとも表面に有する画像保護層を基材上に積層したラミネートフィルムであって、前記基材の厚みが1.5μm以上6.0μm以下であり、該基材のJIS B0601で定められた算術平均粗さ(Ra)が50nm以下であり、かつ十点平均粗さ(Rz)が1200nm以上2000nm以下であることを特徴とするラミネートフィルム。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像面との接着が可能な接着層を少なくとも有する画像保護層を基材上に積層したラミネートフィルムであって、前記基材の厚みが1.5μm以上6.0μm以下であり、該基材のJIS B0601で定められた算術平均粗さ(Ra)が50nm以下であり、かつ十点平均粗さ(Rz)が1200nm以上2000nm以下であることを特徴とするラミネートフィルム。 【請求項2】 前記接着層が加熱によって該画像面と接着する接着層である請求項1に記載のラミネートフィルム。 【請求項3】 前記接着層の厚みが3μm以下である請求項1に記載のラミネートフィルム。 【請求項4】 前記基材のRaが30nm以下でである請求項1に記載のラミネートフィルム。 【請求項5】 前記画像保護層が紫外線吸収剤を含む請求項1に記載のラミネートフィルム。 【請求項6】 前記画像保護層が、ポリマーを含み、該ポリマーが紫外線吸収基を分子鎖中に有する請求項5に記載のラミネートフィルム。 【請求項7】 前記画像保護層として、前記基材と接する表面層を有し、且つ、該基材が該表面層に対し剥離可能に設計されている請求項1に記載のラミネートフィルム。 【請求項8】 印画物の画像面上に画像保護層をラミネートするためのラミネート方法において、i)請求項1に記載のラミネートフィルムを用意する工程、ii)該ラミネートフィルムの接着層と前記印画物の画像面を加熱下で接着する工程、およびiii)該工程ii)の後、前記基材を前記画像保護層から剥離する工程、を有することを特徴とするラミネート方法。 【請求項9】 前記加熱手段がサーマルヘッドである請求項8に記載のラミネート方法。 【請求項10】 前記印画物の画像面のRaが350nm以下である請求項8または9に記載のラミネート方法。 【請求項11】 前記印画物がインクジェット記録法により形成されたものである請求項8に記載のラミネート方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基材上に画像を保護するための画像保護層を積層したラミネート処理用のフィルム、すなわちラミネートフィルム及びそれを用いた印画物のラミネート方法に関する。特に、ラミネートフィルムの有する基材上に形成した画像保護層を、印画物の画像面に熱圧着した後、該画像保護層から基材を剥離して画像面上に画像保護層を形成する方法に好適に用いられるラミネートフィルムおよびこれを用いた印画物のラミネート方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真やインクジェットの出力印画に、平滑度や光沢性を向上させるために基材上に塗布された透明樹脂層を熱圧着し、基材を剥離もしくは剥離せずそのまま完成印画を得る方法はこれまで広く用いられており、例えば、特開平06-091767号公報、特開2001-121609号公報等に記載されている。 【0003】しかし、一般に透明樹脂層を熱圧着させる為の手段としては1対の加圧加熱ロールを用いることが多いため、ラミネート装置自体が大きくなってしまい、利便性に欠ける場合があった。 【0004】一方、従来、熱転写型画像等に優れた耐摩擦性等の耐久性を与えるために、昇華転写方式や熱転写方式で画像上に樹脂を転写させる技術があり、例えば特許登録2686657号公報に記載されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、ラミネートの利便性を向上させるために、加熱手段として、従来の加熱ローラに代わりサーマルヘッドを用いることで加熱部を小さくし、ラミネート装置の小型化を考えた。しかし、一般にサーマルヘッドの熱容量は、ハロゲンヒーター等を使用する加熱ローラーのそれに比し小さい。そのため、サーマルヘッドを用いてラミネートの接着層と画像面を効率よく接着させるためには従来よりも加熱部からの熱伝導性を向上させるためにラミネートフィルムには厚みの薄い基材を用いなければならなかった。 【0006】しかしながら一方では、ラミネートフィルムの基材を薄く設計すると、ラミネートフィルム製造時の製造装置中や、使用時のフイルム搬送系中の搬送部材へのフィルムの密着性が強くなり、搬送や巻き取りに動作不良を起こしやすくなる傾向にある。そのため、従来のラミネートフィルムや熱転写方式のカバーフィルム等はフイルム基材を薄くするほど、これらの問題を回避する目的で表面に粗い凹凸をつけていた。本願発明者らが検討した結果、この薄くて表面に凹凸のついた基材上に形成された保護層を用いて、電子写真やインクジェットの出力印画にラミネート処理を実施した場合、保護層により耐水性、耐ガス性、耐光性が上がるものの、保護層表面に基材の表面形状が転写されて保護層表面で光が乱反射し、画像全体が白っぽくなったり、光学濃度の著しい低下が観察されたりして高画像品位のラミネート物を得ることが困難であった。特に、原稿画像(ラミネート処理前の画像)の高濃度領域で光乱反射による画像劣化が顕著に観察される場合があり、写真のように濃度表現範囲の広い画像を得ようとする際には問題が大きかった。 【0007】本発明の課題の一つは、前記従来技術が有している問題を解決し、ラミネート処理後に優れた光学濃度や光沢度を有する画像が得られ、且つ、低エネルギーでプロセス可能な薄い基材を有するラミネートフィルム及びそれを用いたラミネート方法を提供することである。また、本発明の課題の一つは、インクジェット印画物や電子写真印画物、特にポーラスな表面を持つインクジェット印画物用のラミネートフィルム及びそれを用いたラミネート方法を提供することである。更に、高耐光性のラミネートフィルム及びそれを用いたラミネート方法を提供することも本発明の課題の一つとなっている。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を達成するために鋭意研究し本発明を完成するに到った。すなわち本願発明に係るラミネートフィルムは、画像面との接着が可能な接着層を少なくとも有する画像保護層を基材上に積層したラミネートフィルムであって、前記基材の厚みが1.5μm以上6.0μm以下であり、該基材のJIS B0601で定められた算術平均粗さ(Ra)が50nm以下であり、かつ十点平均粗さ(Rz)が1200nm以上2000nm以下であることを特徴とするものである。 【0009】また、本願発明に係るラミネート方法は、印画物の画像面上に画像保護層をラミネートするためのラミネート方法において、i) 上記ラミネートフィルムを用意する工程、ii) 該ラミネートフィルムの接着層と前記印画物の画像面を加熱下で接着する工程、およびiii) 前記工程ii)の後、前記基材を前記画像保護層から剥離する工程、を有することを特徴とするものである。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明に係わる、記録部材に保護層をラミネートする方法について説明する。 【0011】図1に、サーマルヘッドを加熱手段として本発明のラミネートフィルムを用いる記録部材に保護層をラミネートする方法の概略を図示する。 【0012】図1において、1は、保護層を外側にして巻かれたラミネートフィルム2のロールの巻出しリールであり、ラミネートフィルム2にバックテンション(図では反時計回り(以後CCWと表す)方向のトルクによる)を与えている。3はサーマルヘッドである。5は、ラミネートフィルム2をサーマルヘッドに押し付ける加圧ロールであり、その軸上に該ロールの回転量を検知するロータリエンコーダ4を持つ。この加圧ロールでの加圧条件としては、線圧0.5〜3N/cm、特に1.5〜3N/cmが好ましい。6は、サーマルヘッド3、加圧ロール5で熱圧着された保護層と印画物Pを冷却する冷却ファンであり、7a、7bは、後端剥離部の固定ガイドであって、軸中心に回動可能に構成されている。7cは、同じく後端剥離部の可動剥離軸であり、ラミネートフィルム2に保護層を介して熱圧着された印画物Pの後端を急速に押し出すことでラミネートフィルム2上の基材上から印画物Pの後端部を保護層が接着した状態で剥離する機能を有する。8は、先端剥離部のガイドでこの間をラミネートフィルム2に保護層を介して圧着された印画物Pが通過する事により、印画物先端がラミネートフィルム2との剛性の違いによりラミネートフィルムの基材に対して剥離する。10は、使用済みラミネートフィルム2の巻き取りリールであり、巻き取り方向テンション(図中CCW)を与えている。11は、印画物Pのガイド、12は、第1の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ、13は第2の紙通過センサを構成するフォトインタラプタである。 【0013】印画物Pがガイド11に挿入され、第1の紙通過センサ12が紙の「有り」信号を発生するとサーマルヘッド3に加圧ロール5が圧接する。ラミネートフィルム2の線速度は、10mm/secから150mm/sec程度の範囲から選択可能であるが、30mm/secから100mm/secの範囲が好ましい。印画物Pはサーマルヘッド3、加圧ロール5により保護層を介してラミネートフィルム2に対して熱圧着する。第2の紙通過センサ13が紙の「有り」から「無し」への変化を検知した時点の加圧ロール5の角度位置(加圧ロールのロール面の特定位置と基準点と、加圧ロールの中心とが形成する角度により特定される位置)に基づいて印画物後端が後端剥離部に位置する時点までの加圧ロール5の角度位置をロータリエンコーダ4が監視し、印画物後端が後端剥離部への到達を示す角度位置がロータリエンコーダ4により検知された時点で、後端剥離部の可動剥離軸7cにより後端剥離を行なう。これにより印画物は保護層と共に後端部がラミネートフィルム2の基材部分から剥離される。 【0014】その後、排紙完了に要する長さ分だけラミネートフィルムが送られる。この排紙完了操作は、第2の紙通過センサ13を通過した時点から排紙完了に要するラミネートフィルムの長さ分に相当する加圧ロール5の回転を監視することで行なわれる。その際、後端剥離部のガイド8に沿って通過する経路の急速に折り曲げられたパスにおいて、印画物Pは剛性が高いために折り曲げられずにガイド8を通過するが、ラミネートフィルム2の基材は折り曲げられたパスに沿って移動する。そして、このパスにおいて印画物の先端部がラミネートフィルム2の基材から保護層とともに剥離する。この印画物先端における剥離過程では、印画物と接着した保護層部分とラミネートフィルムに接着した保護層部分との境界領域が切断される。印画物の後端は既にラミネートフィルムの基材に対して剥離済みであるから、ラミネートフィルムに接着していた印画物周囲の保護層を切断できずに、印画物周囲に保護層が鰭状に繋がって剥離することがない。保護層が画像面にラミネートされた印画物は排紙トレイ14に排出される。 【0015】この印画物先端からの剥離操作と排紙操作の完了時においてサーマルヘッド3の位置から先端剥離部までの間に送り込まれた部分に位置する保護層はサーマルヘッド3、加圧ロール5にニップされていた部分についても加熱のみの処理がなされた状態にあり再利用できる。この未使用部分を再び加熱ロール位置に巻き戻す為に、その長さに該当した角度だけ加圧ロール5を時計周り方向に回転させた後、停止する。停止後、可動の加圧ロール5は再び非圧着位置に退避する。 【0016】本願発明においては、図1に示したように加熱手段としてサーマルヘッドを用いることで装置が小型化できるため好ましいが、加熱ロールを加熱手段として用いるラミネート装置であっても良い。 【0017】本願発明で用いられるラミネートフィルムについて説明する。 【0018】図2は本発明にかかるラミネートフィルムの断面図である。本発明のラミネートフィルム2の構成は、基材2a上に画像保護層2pが積層された構成を有する。画像保護層2pは、例えば、表面層2b、接着層2cが順次積層された構成を有する。このような構成のラミネートフィルムは次のように形成することができる。 【0019】(基材)基材としては、印画物の画像面に保護層をラミネートする際における熱圧着条件下で、さらに加熱加圧条件下で形状を安定して維持でき、かつ印画物の画像面上に保護層を形成した段階で、保護層から剥離が容易なものであればよい。このような特性を有する基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表すことがある)、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートコポリマー、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、アクリル樹脂、ポリエーテルスルフォンなどの材料からなるフィルムやシートなどを用いることができる。 【0020】厚みについては加熱手段がサーマルヘッド等の低熱容量の場合であっても効果的に接着が出来るために6μm以下であることが好ましく、またハンドリングや価格の面から1.5μm以上であることが好ましい。また、印画物の画像面に光沢性がある場合、具体的にはRaが350nm以下の高光沢な画像面に対するラミネート処理の場合には、印画物の画像面の凹凸を基材表面の平滑面のレプリカで補正する必要がないため基材に対する剛性に関する要件が緩和され、基材の厚みを1.5〜4.5μmの範囲から選択し良好な結果を得ることができる。 【0021】本発明の発明者らが鋭意検討した結果によれば、上記のような方法で写真画質の表現できる保護層を形成しようとすると、基材のJIS B0601で定められた表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さ(Ra)を50nm以下、且つ、十点平均粗さ(Rz)が2000nm以下とすることで、得られる画象のCIE-L*a*b*平面でのL*値の変化やOD変化率の低下を格段に抑制することが出来、ラミネートフィルム後において鮮明な画像が得られることが分かった。Raを50nm以下、Rzを2000nm以下とすることで、印字物表面の素材に関わらず、OD変化率を20%以下に維持することが出来た。さらに、Ra値を30nm以下にすることで、OD変化率を15%以下に維持でき、さらにRa値を18nm以下にすることで、OD変化率を10%以下に維持することが出来た。 【0022】さらに、本発明者の検討によれば、あまりにフラットなフイルムでは記録装置の中での搬送が安定しなくなるため、Rzとして1200nm以上、より望ましくは1600nm以上であることが必要であった。 【0023】画像の光沢性は第1義的には面の平均的な粗さであるRaにより支配され、多少高さが高くても発現頻度の少ない突起物はあまり画像に影響しないと思料される。一方、フイルムの機械装置内における搬送性は、ローラー等装置部材の接触具合に左右され、比較的発現頻度の低い突起物に影響されると考えられる。このように考察すると、発明者らの導出した結論すなわち、前記基材のJIS B0601で定められた表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さ(以下Raと表す)が50nm以下であり、かつ十点平均粗さ(以下Rzと表す)が 1200nm以上2000nm以下であること、は理論的に理解しうるところである。 【0024】ここで、RaやRzを測定する装置としては、JIS B0601で定めた測定が出来るものであれば、特に制限されるものではないが、本願発明者らの検討によると、一般的に表面粗さ測定に用いられている触針式によるものでは、測定箇所や、触針の際の針と画像表面の硬度の関係等によりばらつきが大きいことがわかった。上記したように画像濃度、光沢性と搬送性を両立させるために非常に微細な凹凸を問題にする本願発明に係るラミネートフィルムの表面粗さを測定する場合には、測定装置として、白色光やレーザー光による非接触式の3次元表面の構造解析ができる顕微鏡、非接触式3次元表面粗さ計を用いることで、基板の表面構造を3次元像として正確に評価出来、画像表面の表面粗さが正確に求められるようになり、本願発明がより効果的に達成されることを見出した。 【0025】(表面層)本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成する樹脂材料(ポリマー材料)としては、画像上にラミネートされた状態で画像保護層としての機能を有し、かつ画像の鑑賞に必要な光透過性などの特性を有する層が形成できるものが用いられる。このような材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の高分子物質を含有する樹脂材料を用いることができる。 【0026】アクリル系樹脂としては、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体あるいはこれと共重合可能な他の単量体との共重合体(以下、(メタ)アクリル酸エステル系重合体と表すことがある)が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」のような表現は、アクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルを表す。 【0027】前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に使用することのできる(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ))アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独で、あるいはこれらの単量体と共重合可能な他の単量体と組み合わせて前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に用いることができる。 【0028】前記(メタ)アクリル酸エステルと更に共重合可能な他の単量体の具体例としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルブチル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基を有する単量体;スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香環を有する単量体;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する単量体;N-アルコキシ基を有する単量体やN-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシアルキル基を有する単量体;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブチロール(メタ)アクリルアミド等の、N-アルキロール基を有する単量体;フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体、塩化アリル、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロメチルスチレン等のハロゲン原子が結合した基を有する単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン系単量体などを挙げることができる。 【0029】前記の反応性の官能基を有する単量体成分を含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、これらの官能基を利用して部分架橋して用いることも可能である。 【0030】本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成するのに使用することのできるスチレン系樹脂としては、日信化学工業(株)製ビニブラン2730等を挙げることができる。 【0031】本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成するのに使用することのできる塩化ビニル系樹脂としては、日信化学工業(株)製ビニブラン270等を挙げることができる。 【0032】本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成するのに使用することのできる酢酸ビニル系樹脂としては、日信化学工業(株)製ビニブラン1122等を挙げることができる。 【0033】本発明のラミネートフィルムの表面層2bの形成には、たとえば、乳化重合によって製造した前記高分子物質のエマルジョン、前記高分子物質を予め合成しこれを懸濁もしくは乳化して水もしくは水性媒体中に分散した水性分散体(エマルジョンもこの範疇に含まれる)等を用いて調製した樹脂材料の水性分散体を塗工液として用いることができる。また、溶媒に上記樹脂材料を溶解した系の塗工液であっても表面保護の機能を満たせば実用に供することができる。これらのなかでは、前記高分子物質のエマルジョンを用いて調製した樹脂材料の水性分散体を塗工液として用いるのが好ましい。 【0034】本発明のラミネートフィルム表面層2bの形成に使用することのできる、前記エマルジョンを用いて調製した樹脂材料の水性分散体は一般的に良く知られた公知の技術により製造することができる。勿論市販の材料を使うことも可能である。 【0035】本発明のラミネートフィルム表面層2bの形成は、前記塗工液を、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、スロットダイコーティング法などにより基材の上に塗工し、乾燥させることにより行なうことができる。 【0036】以上のように形成された表面層2bの上に更に接着層2cを形成することにより、表面層2bおよび接着層2cを有する、本発明のラミネートフィルムの保護層2pを形成することができる。表面層2bの厚みについては、それ自身の内部応力によりクラックが入るのを防止できる膜厚が必要である一方、厚すぎる場合に印画周囲に沿った剥離の性能が阻害されることを考慮して0.5〜8μm、より好ましくは1.0〜5μmの範囲から選択することができる。 【0037】(接着層)本発明のラミネートフィルムの接着層2cも高分子物質のエマルジョンを含有する塗工液を塗布乾燥する事によって形成することができるが、熱圧着時に十分軟化し、あるいは流動性を有し、印画物表面になじむ、熱可塑性樹脂などが好ましい。 【0038】本発明のラミネートフィルムの接着層2cを構成する接着性樹脂材料として使用することのできる高分子物質としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の高分子物質を挙げることができる。 【0039】たとえば、アクリル系樹脂の製造に使用することのできるアクリル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、ノニルアクリレートなどのアルキルエステルモノマー、また2-エトキシエチルアクリレート、3-エトキシプロピルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレートなどを挙げることができる。 【0040】前記アクリル系樹脂等の高分子物質を含有する接着性樹脂材料のエマルジョンは一般的に良く知られた公知の技術により製造することができる。 【0041】本発明のラミネートフィルム接着層2cの凝集力を調整する上で、メタクリレート系単量体、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドを共重合成分として適宜用いることができる。接着層2cの凝集力を調整する別の手段としては2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸のようなカルボキシル基含有単量体を重合体中に導入しこの活性水素を利用してイソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシ等と部分架橋させる方法がある。 【0042】本発明のラミネートフィルムの接着層2cは、印画物の画像面、例えばインクジェット用の記録媒体における画像が形成されたインク受容層に充分に密着し、かつ接着層2cと画像面との界面に気泡が存在しないように接着するのに必要な層厚を持つのが好ましい。接着層2cの層厚としては1〜8μmが好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。さらにRaが350nm以下の光沢面からなる画像面に対するラミネート処理では、接着層2cの層厚は1.0〜3.0μmの範囲から選択することができる。層厚の上限は保護層2pを透過して観察される画像等のシャープさやコストを勘案して定めることができる。 【0043】接着層2cは、ラミネート処理後の画像濃度を上げるための上記のポリマー材料を主材料として、例えば、接着層全体に対して BYK-CHEMIE GmbH製BYK-333を5質量%の配合量比で用いて構成することができ、場合によってはカルナバワックスやパラフィンワックス等を配合してもよい。 【0044】更に、高耐光性のラミネートフィルムを得るためには、本件発明のラミネートフィルムの表面層2b、接着層2cの少なくとも一つの層に対し、適当量の紫外線吸収剤を含ませることによって解決することができる。 【0045】本発明に使用することのできる紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系化合物、2-ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、2,4-ジフェニル-6-[2-ヒドロキシフェニル]-s-トリアジン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物を用いることができる。また上記化合物の基本骨格のベンゼン環水素はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基等の置換基によって置換されていても良い。 【0046】また、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を前記紫外線吸収剤に代えて、もしくはこれらと組み合わせて用いることができる。紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質は、揮発やブリードによる性能劣化が起こりにくく好ましい。 【0047】紫外線吸収基を高分子物質の分子鎖中に導入するには、上記紫外線吸収剤の基本骨格中のベンゼン核に反応性の基を導入した化合物を単量体として用いるのが好ましい。反応性の基の代表的なものとしては、下記式(1)で表される基を挙げることができる。 【0048】 ―X―OOCC(-H又は-CH3)=CH2 :(1)式(1)中のXは炭素数1〜12のアルキレン基、オキシアルキレン基、又は-CH2CH(OH)CH2-等の2価の基を示す。 【0049】(1)式で示されるような反応性の基を導入した化合物を単独で重合しまたはこれと共重合可能な他の単量体とを組み合わせて共重合することにより、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を得ることができる。 【0050】このような紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質については、特開平06-073368号公報(一方社油脂工業)、特開平07-126536号公報(一方社油脂工業)、特開平09-118720号公報(アイオーラブコーポレーション)、特開平11-348199号公報(日本触媒)、特開2000-044901号公報(大塚化学)等に開示されている。 【0051】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。 【0052】 【実施例】[1]ラミネートフィルム(実施例1)塗工液1:JSR(株)製アクリルエマルジョンT371(商品名;Tg=85℃、固形分含有率 40質量%)を塗工液とした。 【0053】塗工液2:日信化学工業(株)製アクリルエマルジョン 2706(商品名;Tg=21℃、固形分含有率 50質量%)を蒸留水に溶解し固形分含有率を 40%に調整し塗工液とした。 【0054】基材1:PETフィルム(厚さ4.5μm)を試作し耐熱基材とした。米Zygo Corporation製三次元表面構造解析顕微鏡NewView 5000(商品名)を用いて、0.35mm×0.26mmの観察視野で表面粗さを測定した結果を表1にまとめた。なお、以下の各実施例及び比較例で用いた基材の表面粗さも同様の方法で計測した。 【0055】耐熱基材1に塗工液1を乾燥膜厚1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成した後、塗工液2を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルム1を得た。 【0056】(比較例1)基材を東洋紡績(株)製PETフィルム 5.7RM11(商品名;厚さ 5.7μm)にしたこと以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルム6を得た。 【0057】(実施例2)塗工液3:大塚化学(株)製高分子紫外線吸収材PUVA 30M(商品名;Tg=90℃)をトルエンに溶解し固形分含有率を25%に調整し塗工液とした。 【0058】前記耐熱基材1にまず塗工液3を乾燥膜厚1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成した後、塗工液2を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルム2を得た。 【0059】(比較例2)基材を東洋紡績(株)製PETフィルム 7.4RM19(商品名;厚さ 7.1μm)にしたこと以外は実施例2と同様にしてラミネートフィルム7を得た。 【0060】(実施例3)塗工液4:一方社油脂工業(株)製高分子紫外線吸収材ULS-1383MA(商品名;Tg=30℃)を固形分含有率を30%のままで塗工液とした。 【0061】前記耐熱基材1にまず塗工液1を乾燥膜厚1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成した後、塗工液4を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルム3を得た。 【0062】(比較例3)基材を三菱化学ポリエステルフィルム(株)製PETフィルムK230-6E(商品名;厚さ 5.9μm)にしたこと以外は実施例3と同様にしてラミネートフィルム8を得た。 【0063】(実施例4)基材2: PETフィルム(帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名;厚さ 16μm))を厚み 3.0μmにキャスティング/圧延した試作品を準備した。米ZygoCorporation製三次元表面構造解析顕微鏡NewView 5000(商品名)を用いて、0.35mm×0.26mmの観察視野で表面粗さを測定した。 【0064】前記耐熱基材2にまず塗工液1を乾燥膜厚 1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成した後、塗工液4を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルム4を得た。 【0065】(実施例5)基材3: PETフィルム(帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名;厚さ 16μm))を厚み 4.5μmにキャスティング/圧延した試作品を準備した。米ZygoCorporation製三次元表面構造解析顕微鏡NewView 5000(商品名)を用いて、0.35mm×0.26mmの観察視野で表面粗さを測定した。 【0066】前記耐熱基材3にまず塗工液1を乾燥膜厚 1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成した後、塗工液4を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルム5を得た。 【0067】実施例1〜5及び比較例1〜比較例3で用いた基材の厚さとRa、Rzの値を表1にまとめた。 【0068】 【表1】
【0069】[2]インクジェット受像紙と印画物の作成コニカ製インクジェットペーパーPhotolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタ(商品名:BJ-F870)で印字した。画像はRGBデータとして、(R,G,B)=(0,0,0)を与え、打ち込み可能な最大濃度であるO.D.=2.2のブラックの画像を形成する。また耐光性評価用にO.D.=2.0のイエロー、マゼンタ、シアンの単色パッチを形成した。 【0070】[3]記録部材のラミネート処理[2]で得られたインクジェットプリント物(印画物)に対し、[1]の各ラミネートフィルム1-8を用いてラミネート処理を行なった。より具体的には、図1に図示した装置を用い、サーマルヘッドでラミネートフィルムの基材側から加熱、印画物側の直径 12mmの加圧ゴムロールは非加熱とした。サーマルヘッドの印加条件は25V、印加周期3msec、デューティ80%、ヘッドの幅方向に2分割して交互に印加した。ニップ加重は40N(200mm幅;2N/cm)、送り速度は50mm/secで加熱圧着し保護層が画像面にラミネートされた印字物を得た。 【0071】<評価>[4]20度光沢性[3]で得られたラミネート物の画像保護層表面の20度光沢度を日本電色社製Glossmeter VG2000(商品名)を用いて測定した。 ○:20度光沢度が40以上であり、光沢性が優れている。 ×:20度光沢度が40未満であり、光沢性が優れていない。 【0072】 【表2】
【0073】また、実施例1〜5のラミネートフィルムを用いて得られたラミネートされた印字物の各ブラック画像部のODはいずれも2.0以上であった。 【0074】実施例2と3に関する耐光性評価としてはアトラスフェードメータ(キセノンアーク)を用い100時間暴露後の残存濃度を測定したところ、すべての単色パッチのインク色で70%以上保持されており耐光性が保持されていた。 【0075】本実施例では東洋紡績(株)製基材、帝人DuPontフィルム(株)製基材および三菱化学ポリエステルフィルム(株)製基材を例として説明したがこれに限定されるものではない。 【0076】また、上記の発明および実施例の記載においては、サーマルヘッドを用いた転写型の保護層形成を基本に説明したが、本発明は加熱ローラー等の他の過熱加圧手段を用いたプロセス方法においても有効に実施される。特にサーマルヘッドの場合は薄い基材を用いることが極めて有効となる。 【0077】本願発明においては、加熱後に基材を剥離してラミネート物を完成しているが、剥離動作を行なわず、基材ごと接着するラミネート方法においても、基材表面が最終成果物表面を形成するため、写真画質のラミネート方法として本発明はきわめて有効である。 【0078】 【発明の効果】ラミネート処理後に優れた光学濃度や光沢度を有する画像が得られ、且つ、低エネルギーでラミネート処理が可能な薄い基材を有するラミネートフィルム及びそれを用いたラミネート方法を提供することである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
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| 【出願日】 |
平成14年8月30日(2002.8.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088328 【弁理士】 【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−145913(P2003−145913A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2002−253931(P2002−253931) |
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