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【発明の名称】 顕在模様を施した素材紙
【発明者】 【氏名】牧野 正男
【住所又は居所】東京都港区虎ノ門3丁目4番13号 高千穂商事株式会社内

【要約】 【課題】着色インキを用いないで、無地用紙を形成している繊維の色相で当該無地用紙に顕在模様を表現させる顕在模様を施した素材紙の提供。

【解決手段】包装用紙、事務用紙等の所望の無地用紙に、透明油性インキを用いて模様を印刷し、かつ該透明油性インキを上記用紙の内深部に浸透させて、上記無地用紙を形成している繊維の色相で上記無地用紙に顕在模様を表現させてなる素材紙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 包装用紙、事務用紙等として用いられる無地用紙に、透明油性インキにより模様を印刷し、かつ該透明油性インキを上記素材紙の内深部に浸透させて、上記無地用紙を形成している繊維の色相で上記無地用紙に顕在模様を表現させてなることを特徴とする顕在模様を施した素材紙。
【請求項2】 透明油性インキが、食品衛生上無害であることを特徴とする請求項1に記載の顕在模様を施した素材紙。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば包装用紙、事務用紙等として用いられる無地用紙に顕在模様を表現させてなる素材紙であって、特に着色インキを用いないで無地用紙を形成している繊維の色相で、当該無地用紙面に顕在模様を表現させてなる素材紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製紙工程から製紙されてくる原紙としては、未晒紙、半晒紙、晒紙、クラフト紙、色上質紙などが有り、これら原紙は無色または無地色である無地用紙である。従ってこの無地用紙を素材として包装用袋、掛け紙、クラフト紙等の包装用紙や、または封筒、事務用箋等の事務用紙に加工する従来例は、無地用紙に所望色の着色インキや淡色インキを用いて線模様や文字模様あるいは柄模様等を着色印刷することで所望の包装用紙や事務用紙などを印刷加工し、また広告等の印刷物を印刷する場合も、前記無地用紙を使用して適宜文字、模様等を着色印刷しているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】つまり従来において印刷物を印刷加工するに用いる無地用紙は、製紙工場等から送られてきた未晒紙、半晒紙、晒紙、クラフト紙、色上質紙などの無地紙であることから、それら無地用紙をたとえば包装用紙や事務用紙として使用する場合には、その無地用紙を素材として包装用または事務用として適する印刷加工を施しているのが一般的である。
【0004】そこで従来において、包装用紙や事務用紙に印刷加工するには、上記の無地用紙を所定のサイズに裁断してなる裁断無地用紙に、一乃至複数色の着色インキを用いて線、文字等の模様を着色印刷して、所望の包装用紙や事務用紙に加工しているが、無地用紙に着色インキを用いて着色印刷を施してなる印刷物にあっては、その着色インキが無地用紙に印刷されたことにより、その着色印刷文字、模様等の印刷形態が鮮明に表現されるという印刷表示効果には優れたものがあるものの、それに反して、その無地用紙の印刷面がその着色インキ層により隠されてしまうことになって、無地用紙素材の特徴、たとえば和紙等において特徴としている繊維柄や、用紙素材の透明感あるいは光沢等の紙素材の特質および美観等が失なわれてしまうという不具合がある。
【0005】また、従来の着色インキを使用する印刷物では、この印刷物の印刷着色面に筆記した場合に、その筆記が着色層の色相に阻害されて鮮明かつ有効な筆記が困難となるなどの不具合が生じる。また無地用紙に施した着色印刷の印刷部は、その用紙の表面および/または裏面において、印刷層として形成されるために、たとえばその印刷層の一部またはその全部を故意に削り取るなどの改ざん(偽造)をし易いという問題点も生じる。
【0006】また、上記の着色印刷層を形成するために使用される着色インキに衛生的な配慮がなされていない場合には、その印刷紙を食品等の包装紙として取扱う場合に食品衛生上の問題点を引き起こすことも考えられる。
【0007】さらに、最近では資源の省力化が重視され、これに関連して印刷紙のリサイクル化が推進されているが、着色印刷が施されている印刷紙のリサイクル処理時においては、脱色工程およびその脱色工程時の薬品使用を避けることが不可欠であって、これが原因で印刷紙のリサイクル処理にあたり多大なる手間と費用がかかるという問題点もある。
【0008】本発明は,上記諸々の問題点に着目してなされたもので、本発明の第1の目的は、着色インキの使用に変え、無色透明の油性インキを使用して、模様等を施すべき所望の無地用紙に所定模様を印刷し、この透明油性インキの無地用紙内への浸透作用で、その無地用紙を形成している繊維の色相で上記模様を無地用紙面へ顕在表示せしめる素材紙の提供ある。
【0009】また本発明では、食品等の包装時、さらにはリサイクル処理時において使用した印刷インキによる有害を引き起こすことのない顕在模様紙施し素材紙の提供を第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために、本発明の請求項1では、包装用紙、事務用紙等として用いられる無地用紙に、透明油性インキにより模様を印刷し、かつ該透明油性インキを上記素材紙の内深部に浸透させて、上記素材紙を形成している繊維の色相で上記素材紙に顕在模様を表現させてなる顕在模様を施した素材紙であることを特徴としている。
【0011】また本発明の請求項2では、第2の目的を達成するために、請求項1に加え、使用する透明油性インキとして、食品衛生上無害である液体を用いて顕在模様を施してなる素材紙であることを特徴としている。
【0012】
【作用】請求項1に記載の顕在模様紙では、無地用紙に、透明油性インキを用いて模様を印刷し、その透明油性インキの用紙内浸透作用により、用紙を形成している繊維の色相で、用紙面に顕在模様を表現させている。したがってこの顕在模様は、透明油性インキの紙質内への浸透作用により生じる紙繊維の色相による表示であるから,この模様は従来の着色インキを用いて施す着色模様に比較して淡色となり、ファッション性、リサイクル性に有効である素材紙が提供できる。
【0013】また無地用紙の紙質である繊維の色相で表示された顕在模様は淡色模様であることから、この顕在模様の上に通常の着色印刷を重ね刷りすることも支障なく行うことができ、したがってこの顕在模様を施した用紙を、たとえば包装用紙、事務用紙などを印刷加工するための素材紙としても有効使用できる。
【0014】さらに、この顕在模様紙は、着色インキを用いない印刷であるので用紙面において着色層がなく、このためにこの顕在模様紙のリサイクル処理時において、脱色工程および薬品使用を省くことが可能となり、用紙のリサイクル化が経済的であり、かつ容易である。さらに本発明では、着色層を施さないので従来のように着色層を削り取る等の改ざんをすることが不可能となり、印刷用紙の不正使用が有効に防止できる。
【0015】請求項2に記載の顕在模様紙では、用紙に顕在模様を施すに用いる透明油性インキとして、食品衛生上無害であるインキを用いているので、この顕在模様紙を食品等の包装用紙として使用する場合に有利である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に示す実施の形態に基いて詳細に説明する。先ずは本発明を実施するに用いる無地用紙1について具体的に述べる。無地用紙1としては、たとえば製紙工場から送られてくる原紙を所定の大きさに裁断してえられた無地の未晒紙、半晒紙、晒紙の用紙、または脱色した後に改めて染色をしてなる色上質紙、さらには一般的に知られている上質紙、中質紙、下級紙、グラビヤ用紙、証券用紙等の印刷用紙や、筆記図画用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙等の殆どの用紙を用いることが可能である。
【0017】またその無地用紙1の紙質は、パルプ繊維で形成された紙であれば良く、上記の如き未晒紙、半晒紙、晒紙のいずれでも良いが、特に未晒紙、半晒紙、色上質紙であればパルプ繊維の色相が強いために顕在模様の表現が有効である。 また上記の無地用紙1として、予め淡い色で染色されているクラフト紙等の色紙を用いれば、その色紙の色相で顕在模様11を一層鮮明に表現させることができる。
【0018】上記の無地用紙1において顕在模様11を表現せるに使用するインキは、透明なる油性液であり、しかも食品衛生上無害である油性液をインキとして使用する。さらにこの透明油性インキの粘度は、一般に使用されているたとえばオフセット印刷手段にて用紙1の内深部へ、上記の透明油性インキを浸透させることができるものであることが望ましい。
【0019】次ぎに、上記透明油性インキを用いる無地用紙1に対しての印刷手段について説明すると、この印刷手段は、無地用紙1に付与した透明油性インキの滲みや部分的な付与不足を生じないようにして、上記の透明油性インキを用紙1の内芯部へ浸透させる為に、図1および図2で示す実施例の印刷機を用いる。
【0020】図1で示す実施例の印刷機は、平板状の版材2を使用する印刷機であって、3はメタルベース、4はこのメタルベース3の上に敷設されたクッションシートであり、このクッションシート4の上面には上記の版材2を載置固定している。
【0021】このクッションシート4は、発泡性シート等のクッション性の高いシート物であることが望ましく、その厚さは例えば0.1〜1mm程度のものが良い。5は版材2の上面に置かれた無地用紙1をその版材2に押圧せしめるための押圧ロールである。
【0022】次ぎに、その印刷機の作用について述べると、メタルベース3は、クッションシート4および版材2とともに矢方向へ移動するものであって、そのメタルベース3の移動により版材2の表面には、不図示である印刷板等による転移手段で転移された所定の線模様、文字模様等の模様が上記の透明油性インキで塗布されている。
【0023】そこでメタルベース3を、透明油性インキによる模様が塗布されている版材2とともに進行させながらその版材2の表面に無地用紙1を重ね合わせ、さらにこの無地用紙1をメタルベース3とともに押圧ロール5方向へ進行させ、この押圧ロール5にて版材2上の無地用紙1を該版材2へ押圧する。この押圧作用により、版材2上面に塗布されていた透明油性インキが無地用紙1へ転移印刷される。
【0024】かくして透明油性インキが無地用紙1へ転移印刷されるとき、版材2の裏面に位置されているクッションシート4による版材2への押圧力と、押圧ロール5による押圧力とが相俟って、版材2の表面塗布されていた透明油性インキの全てが、無地用紙1の表面からその内芯に浸透され、その結果透明油性インキによる模様が無地用紙1の表面およびその内芯部に印刷される。
【0025】図2に示す実施例は、円筒形の版材2を用いた印刷手段であって、この実施例ではドラム形状の版胴6の外周面に、上記実施例と同様のクッションシート4を介して円筒形の版材2を保持せしめたものであって、その印刷作用は図1で示す実施例と同様である。
【0026】この様に上記の各実施例においては、オフセット印刷手段を用いて透明油性インキによる模様を無地用紙1に印刷するのであるが、上記の実施例の印刷機を用いる印刷手段では、メタルベースまたは版胴と版材との間にクッションシ−トを介装せしめているので、このクッションシ−トの作用で版材の表面に塗布されている透明油性インキの全てが有効に無地用紙1側へ転移される。
【0027】さらに、かくして無地用紙1に転移された透明油性インキは、無地用紙1の内芯部に浸透され、その結果該透明油性インキが無地用紙1における繊維相互の気層内に侵入されるので、その気層内侵入の透明油性インキにより該透明油性インキが浸透された用紙部分において、光の反射が抑制されることとなり、このために上記無地用紙を形成している繊維の色相で、上記無地用紙の面に顕在模様11を表現させることができる。
【0028】
【発明の効果】 以上述べたように本発明の請求項1では、包装用紙、事務用紙等の所望の無地用紙に、透明油性インキを用いて模様を印刷し、該透明油性インキを上記用紙の内深部に浸透させて、上記用紙を形成する繊維の色相で上記用紙に顕在模様を表現させてなる顕在模様紙であることから、この顕在模様紙によれば、無地用紙に印刷した透明油性インキの用紙内浸透作用により、無地用紙を形成している繊維の色相で、用紙面に顕在模様を表現させることができ、そしてこの顕在模様は、透明油性インキによる表示であるから,この模様は従来の着色インキを用いて施す着色模様に比較して淡色となり、たとえば、用紙にファッション性を持たせる地模様等を印刷手段を用いて施すのに極めて有利である。
【0029】また、この顕在模様紙では、着色インキを用いていないので用紙面において着色層がなく、このためにこの顕在模様紙のリサイクル処理時において、脱色工程および脱色の為の薬品使用を省くことが可能となり、用紙のリサイクル化が経済的、かつ容易である。
【0030】さらに本発明では、着色層を施さない顕在模様紙であるので従来のように着色層を削り取る等の改ざんが不可能となることから、印刷用紙の不正使用が有効に防止できる。
【0031】また本発明の請求項2に記載の顕在模様紙によれば、無地用紙に顕在模様を施すに用いる透明油性インキとして、食品衛生上無害であるインキを用いているので、この顕在模様紙を食品等の包装紙として使用する場合に有利である。
【出願人】 【識別番号】501070768
【氏名又は名称】高千穂商事株式会社
【住所又は居所】東京都港区虎ノ門3丁目4番13号
【出願日】 平成13年11月19日(2001.11.19)
【代理人】 【識別番号】100067530
【弁理士】
【氏名又は名称】新部 興治 (外1名)
【公開番号】 特開2003−145910(P2003−145910A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−352680(P2001−352680)