| 【発明の名称】 |
インクジェット記録シートおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石山 健幸 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱製紙株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】インク受理性能を改良したインクジェット記録シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体上にインク受理層塗被組成物を塗布するインクジェット記録シートにおいて、紙面温度をあらかじめ40℃以上に昇温した支持体に、インク受理層塗被組成物を塗布する。該インク受理層塗被組成物が感温ゲル化ポリマーを含有する事が好ましい。更に、該インクジェット記録シートの製造方法においては、該感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理塗被組成物の温度が、10℃以上且つ該感温ゲル化ポリマーの転移温度よりも低い温度で塗布する事が好ましく、該インク受理層塗被組成物を前計量方式によって塗布する事がさらに好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上にインク受理層塗被組成物を塗布するインクジェット記録シートにおいて、該支持体のインク受理層塗被組成物を塗布する側の紙面温度を40℃以上に昇温し、インク受理層塗被組成物を塗布したことを特徴とするインクジェット記録シート。 【請求項2】 該インク受理層塗被組成物中に感温ゲル化ポリマーを含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シート。 【請求項3】 該感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理層塗被組成物の温度が、10℃以上且つ該感温ゲル化ポリマーの転移温度よりも低い温度で、支持体に塗布することを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録シートの製造方法。 【請求項4】 該インク受理層塗被組成物を前計量方式により塗布することを特徴とする請求項1から3いずれか記載のインクジェット記録シートの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターに適用されるインク受理性の良好なインクジェット記録シートの製造方法に関するものであり、特に均一なインク受理性と良好なインク吸収性を有するインクジェット記録シートおよびその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ紙等の記録シートに付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。該記録方式は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、種々の用途において急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色のない記録を得ることが可能であり、作成部数が少なくてすむ用途では写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されている。 【0003】更に、インクジェット方式を利用したプリンターは、市場からの更なる要求のために、高解像度化、色再現範囲の拡大、高速化が図られている。これに伴い、記録媒体であるインクジェット記録シートには、優れた画像品質を発現するための高いインク受理容量の確保や、発色性の良好な塗層の塗設が不可欠となっている。 【0004】インクジェット記録シートに高いインク受理容量を付与するため、支持体上に、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等の多孔性無機顔料、コロイダルシリカ、アルミナ水和物等の一次粒径が極めて小さい超微粒子の無機顔料及びバインダーを含むインク受理層を塗設する、等の提案がなされている。これらの提案によると確かに高いインク受理容量を確保することが可能となる。 【0005】しかし、上述のような無機顔料を用いる場合、多孔性であること、超微粒子であること、等から、上記無機顔料を水に分散する際多量の水が必要となり、その結果インク受理層塗被組成物の液濃度が低下してしまうことになる。液濃度の低下により、インク受理層塗被組成物を塗布した後、乾燥する工程において、インク受理塗被組成物が不動体化するまでの時間が長くなるためインク受理層塗被組成物に含まれる水溶性バインダーのマイグレーションが著しくなり、その結果、インク受理容量は高いものの、インクの受理性が不均一となる、即ち、インク受理ムラが激しくなり画像品位を著しく悪化させる場合がある。 【0006】このようなバインダーのマイグレーションを抑制するため、インク受理層塗被組成物に含まれるバインダー成分を少なくしてしまうと、インク受理層の強度が著しく低下してしまい、プリンターで印字する際、給紙ロールにはがれ落ちたインク受理層が付着して連続給紙性能を低下させる原因となる。又、インク受理層塗被組成物にゼラチン等温度低下によりゲル化するゲル化剤を用い、高温の状態でインク受理層塗被組成物を塗布した後、降温させることによりインク受理層を不動態化させた後温度を上げずに乾燥させる方法が提案されているが、乾燥効率が著しく低く、操業性の低下をもたらす。このように、良好な操業性の下、高いインク受理容量を持ち、インク受理性の均一なインクジェット記録シートを製造することは困難であった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記の課題を解決するための本発明は、インク受理性能とインク吸収性を改良したインクジェット記録シートおよびその製造方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、以上のような問題点を解決するため鋭意研究の結果、本発明に至った。 【0009】即ち、支持体上にインク受理層塗被組成物を塗布するインクジェット記録シートおよびその製造方法であり、該支持体のインク受理層を塗布する側の紙面温度を40℃以上に昇温し、インク受理層塗被組成物を塗布することを特徴とするインクジェット記録シートである。 【0010】該インク受理層塗被組成物は感温ゲル化ポリマーを含有することが好ましい。また、その製造方法においては、該感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理層塗被組成物の温度が、10℃以上且つ該感温ゲル化ポリマーの転移温度よりも低い温度で、塗布することが好ましい。又、該インク受理層塗被組成物を前計量方式により塗布することが更に好ましい。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明する。 【0012】本発明のインクジェット記録シートの製造方法において、支持体の紙面温度を40℃以上に昇温した後、インク受理層塗被組成物が塗布される。支持体の紙面温度を40℃以上にすることにより、ゼラチンのような低温ゲル化剤を用いて低温でインク受理層塗被組成物の不動態化を促進させる様な方法によらず、インク受理層塗被組成物の不動態化を早め、均一なインク受理性を有するインクジェット記録シートを製造できる。紙面温度の上限は支持体の変質が起こらない範囲であれば特に制限はないが、紙の場合は200℃程度が限界である。好ましくは、エネルギー効率の観点から40℃以上100℃以下である。 【0013】該インク受理層塗被組成物の温度は、10℃以上60℃以下の範囲であることが好ましい。インク受理層塗被組成物の温度が10℃を下回ると、インク受理層塗被組成物自身の粘度が著しく上昇する場合があり、支持体への塗布が困難となる場合があり、好ましくない。又、インク受理塗被組成物の温度が60℃を上回る場合、塗布前にインク受理層塗被組成物の乾燥が起こり、その乾燥物が塗布欠点を生じる場合があり、好ましくない。 【0014】通常、インク受理層塗被組成物を塗布し、乾燥する工程において、乾燥に供される熱エネルギーはまずインク受理層塗被組成物の温度を高め、次いでインク受理層塗被組成物中の水分を蒸発させるために使用される。インク受理層塗被組成物の水分が失われるに従って粘度上昇が起こり、ついには流動性が失われる状態となる(この状態を不動態化と称する)。インクジェット記録シートのインク受理ムラを引き起こすバインダーマイグレーションはインク受理層塗被組成物が不動態化点(塗被組成物の流動性が失われる時点)に達するまでに引き起こされるため、インク受理ムラを抑えるには早く不動態化させる必要がある。該支持体の紙面温度が40℃に満たない場合、インク受理層塗被組成物の不動態化を早める効果がなく、インク受理ムラが発生する。 【0015】紙面温度を昇温する方法としては、熱加熱、蒸気加熱、熱風加熱等が挙げられる。具体的には、ガス赤外ドライヤー、電気赤外ドライヤー、ドラムドライヤー、エアーキャップドライヤー、エアーホイルドライヤー、エアーフロータードライヤー、エアーコンベアドライヤー等のドライヤー及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0016】本発明で使用される支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、等と従来公知の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、酸性領域、或いは中性領域において、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。又、これらの原紙や塗工紙の上にオレフィン樹脂等を溶融塗工したレジンコーテッド紙や、高分子樹脂フィルム、合成紙、金属箔、不織布等の布幕等も使用できる。これらの支持体に、そのまま本発明に係る塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。又、該支持体の坪量としては、通常40〜300g/m2であるが、特に制限されるものではない。 【0017】本発明で使用されるインク受理層塗被組成物は、顔料及びバインダーを含有する。顔料としては、以下の顔料或いは粒子を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、カチオン修飾したコロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。これらの顔料或いは粒子の中で、特に多孔性合成非晶質シリカはインク吸収容量に優れ、好ましい。 【0018】本発明で使用されるバインダーとしては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体にカチオン基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行い、重合体表面に該粒子が分布しているもの等;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー等を挙げることができる。 【0019】該インク受理層塗被組成物用バインダーは、顔料100部に対して、3部〜70部、好ましくは、5部〜50部用いることができる。3部未満では、該インク受理層の塗層強度が不足するし、70部を超えるとインクの吸収性が低下し、インク受理層の乾燥中のバインダーマイグレーションによるインク吸収ムラが悪化するため好ましくない。 【0020】又、該インク受理塗被組成物には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、染料定着材等を適宜配合することもできる。 【0021】更に、紙面温度を40℃以上に昇温した支持体に、感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理層塗被組成物を塗布すると、インク受理層塗被組成物の不動態化が更に早まるため、好ましい。同時に、インク受理層塗被組成物のゲル化により、乾燥後のインク受理層がよりポーラスになり、インク吸収性高まるという効果も得られ、より好ましい。本発明のインク受理層塗被組成物の必須成分として感温ゲル化ポリマーを用いる例としては、特開平8−244334や特開平10−330691、特開2001−180105等が挙げられる。いずれの方法においても、感温ゲル化ポリマーの転移温度以下に調整した塗被組成物を支持体に塗布し、転移温度以上で乾燥してなるものであるが、これらの場合、バインダーのマイグレーションによるインク受理ムラを回避することが困難であった。バインダーマイグレーションによるインク受理ムラを回避するためには、紙面温度を40℃以上に昇温した支持体にインク受理層塗被組成物を塗布することが必須である。 【0022】本発明の感温ゲル化ポリマーとは、その水溶液、水懸濁液などが一定の温度(転移温度)以上で増粘し、かつ、温度−粘度の関係が可逆的である高分子であり、感熱性ゲル、感温性ゲル、熱応答性高分子等の呼称が用いられている。 【0023】該感温ゲル化ポリマーとしては、例えば、アルキルナフタレンホルマリン縮合物のアルキレンオキシド付加物;アルキレンオキシド変性ポリオルガノシロキサン;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系感温ゲル化ポリマー、ポリビニルメチルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル;N−イソプロピルアクリルアミド重合体、N−メトキシプロピルアクリルアミド重合体等のN−アルキル(メタ)アクリルアミドを必須単量体とする(共)重合体;N,N−ジエチルメタアクリルアミド共重合体、N−アクリロイルピロリジン重合体等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを必須単量体とする(共)重合体;モルホリノエチルメタアクリレート共重合体等の環状アミンのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸エステルを必須単量体とする(共)重合体;ジイソプロピルアミノエチルアクリレート重合体等の総炭素数5以上の非環状アミンのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸エステルを必須単量体とする(共)重合体;メトキシエトキシエチルメタアクリレート重合体等のアルコール又は水のアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸エステルを必須単量体とする(共)重合体;テトラエチレングリコールモノメチルモノ(ビニルフェニル)エーテル重合体等のアルコール又は水のアルキレンオキシド付加物の(ビニルフェニル)エーテルを必須単量体とする(共)重合体;酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、等が挙げられる。これらの中で、N−アルキル(メタ)アクリルアミドを必須単量体とする(共)重合対が画像の鮮明性が優れるという点で好ましい。 【0024】該感温ゲル化ポリマーの質量平均分子量は、1000〜1000000が好ましい。1000未満ではゲル化が不十分であり、1000000を越えると感温ゲル化ポリマー自身の粘度が著しく高くなりハンドリングが困難となる。 【0025】該感温ゲル化ポリマーの転移温度は、20〜80℃が好ましい。80℃を超えると、インク受理層塗被組成物の温度を転移温度まで昇温するのに時間がかかり、不動態化が遅くなってしまう。 【0026】該感温ゲル化ポリマーは、好ましくは顔料100部に対して0.1〜20部用いる。0.1部未満ではゲル化が不十分であり、20部を越えるとインク吸収性を低下させる。 【0027】該感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理層塗被組成物の温度が、10℃以上且つ該感温ゲル化ポリマーの転移温度よりも低い温度で支持体に塗布される。感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理層塗被組成物の温度が10℃未満である場合、該インク受理層塗被組成物自身の粘度が著しく上昇する場合があり、支持体への塗布が不可能となる場合があるため、好ましくない。感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理層塗被組成物の温度が該感温ゲル化ポリマーの転移温度を上回る場合、該インク受理層塗被組成物自身の粘度が著しく上昇する場合があり、好ましくない。 【0028】該インク受理層塗被組成物は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、スライドカーテンコーター、Eバー、キスコーター、ショートドウェルコーター、サイズプレス等の各種装置を用い、オンマシン或いはオフマシンであらかじめ紙面温度を40℃以上に昇温した支持体上に塗設される。 【0029】該インク受理層塗被組成物の塗布方式は、前計量方式であることが好ましい。過剰の塗被組成物を供給し目的とする塗布量まで掻き落とす後計量方式では、支持体とインク受理層塗被組成物との間で熱の授受が起こり、掻き落とされたインク受理層塗被組成物が増粘する事により、塗布量の変動が起こる場合がある。インク受理塗被組成物の増粘が著しい場合、塗工が不可能になる場合もある。前計量方式の中でも、カーテン、スライドカーテン、Eバー等の塗布方式であると、支持体にインク受理層塗被組成物を塗布する際、インク受理層塗被組成物が支持体に対して加圧されることがない、若しくは非常に少ない加圧力しかかからないため、インク受理層が更にポーラスとなり、インク吸収性がより高まるため、より好ましい。 【0030】該インク受理層塗被組成物の塗布量は、適用する顔料やバインダーの種類及び量、インクジェット記録装置の種類により異なるが、2g/m2以上40g/m2以下の範囲であることが好ましい。2g/m2未満の場合高いインク受理容量を確保することが困難となり、印字物の品質を低下させる場合がある。40g/m2を超えると、不動態化点に達するまでの時間が長くなるためバインダーマイグレーションによりインク受理性が不均一となってインク吸収ムラが発生し、画像品質の低下を招く場合がある。 【0031】 【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す部は、特に明示しない限り固形分の質量部を示す。 【0032】<支持体Aの作製>LBKP(濾水度400mlcfs)90部とNBKP(濾水度450mlcfs)10部からなる木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム10部、市販のアルキルケテンダイマー0.1部、市販のカチオン性ポリアクリルアミド0.05部、市販のカチオン化澱粉1.0部を調成後、長網抄紙機を用いて坪で市販の酸化澱粉を付着させ、坪量157g/m2の支持体Aを得た。 【0033】<支持体Bの作製>支持体Aの両面にオレフィン樹脂を溶融押し出し塗工し、レジンコーテッド紙である支持体Bを得た。 【0034】<感温ゲル化ポリマーの作製>N−イソプロピルアクリルアミド10部及び2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.01部をアンプルに加え、凍結脱気後密閉し、50℃で8時間重合させて、5%の感温ゲル化ポリマー水溶液を得た。該感温ゲル化ポリマーの転移温度は35℃であった。転移温度の測定は、該感温ゲル化ポリマー水溶液を試験管内に入れて徐々に加熱し、ゲル化した時点を転移温度とした。 【0035】実施例1エアーフローター方式の乾燥機にて紙面温度をあらかじめ50℃に昇温した支持体A上に、インク受理層塗被組成物をカーテンコーターで絶乾質量7g/m2となるように塗布した後、熱風温度を130℃に設定したエアーフローター方式の乾燥機にて乾燥し、実施例1のインクジェット記録シートを得た。該インク受理層塗被組成物は、顔料として市販の合成非晶質シリカ(ミズカシルP78D:水沢化学社製)を100部、バインダーとして市販のポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)40部を調合して得た。該インク受理層塗被組成物の固形分濃度は17%、温度は20℃であった。 【0036】実施例2エアーフローター方式の乾燥機にて紙面温度をあらかじめ50℃に昇温した支持体A上に、インク受理層塗被組成物をカーテンコーターで絶乾質量7g/m2となるように塗布した後、熱風温度を130℃に設定したエアーフローター方式の乾燥機にて乾燥し、実施例2のインクジェット記録シートを得た。該インク受理層塗被組成物は、顔料として市販の合成非晶質シリカ(ミズカシルP78D:水沢化学社製)を100部、バインダーとして市販のポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)を40部、感温ゲル化ポリマー5部を調合して得た。該インク受理層塗被組成物の固形分濃度は16%、温度は20℃であった。 【0037】実施例3インク受理層塗被組成物の塗布方式をエアーアイフコーターとした以外は実施例2と同様にして、実施例3のインクジェット記録シートを得た。このとき、経時で該インク受理層塗被組成物の粘度が上昇し、塗布量が増した。 【0038】実施例4エアーフローター方式の乾燥機にて紙面温度をあらかじめ50℃に昇温した支持体B上に、インク受理塗被組成物をカーテンコーターで絶乾重量が15g/m2 となるように塗布した後、熱風温度を65℃に設定したエアーフローター方式の乾燥機にて乾燥し、実施例4のインクジェット記録シートを得た。 【0039】実施例5支持体の表面温度を100℃とした以外は実施例1と同様にし、実施例5のインクジェット記録シートを得た。 【0040】比較例1支持体の表面温度を昇温しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録シートを得た。このとき支持体の表面温度は20℃であった。 【0041】比較例2支持体の表面温度を昇温しなかった以外は実施例2と同様にして比較例2のインクジェット記録シートを得た。このとき支持体の表面温度は20℃であった。 【0042】比較例3実施例2と同様にしてインク受理層塗被組成物を得た後、該インク受理層塗被組成物の温度を5℃まで低下させた。このとき、該インク受理層塗被組成物の粘度が著しく上昇し、塗布が不可能であった。 【0043】比較例4実施例1と同様にしてインク受理層塗被組成物を得た後、該インク受理層塗被組成物の温度を70℃迄上昇させた。該インク受理層塗被組成物を、エアーフローター方式の乾燥機にて紙面温度をあらかじめ50℃に昇温した支持体A上に、カーテンコーターで絶乾重量が7g/m2 となるように塗布しようとしたところ、該インク受理層塗被組成物の乾燥物がカーテンコーターのリップ部に目詰まりし塗布不可能であった。 【0044】実施例及び比較例の構成要素及び評価結果を表にまとめた。なお、表に示す評価は以下の方法により行った。 【0045】<インク吸収ムラ>市販のインクジェットプリンター(PM−800C、エプソン社)を用いて、シアンインクとマゼンタインクからなる混色ベタパターン、マゼンタインクとイエローインクからなる混色ベタパターン及びシアンインクとイエローインクからなる混色ベタパターンを作成し、インク吸収性に起因する印字ムラを以下の基準で目視判定した。評価Cは実使用上問題となるレベルである。 A:印字ムラが全く見られず、均一な画像である。 B:僅かに印字ムラが見られる。 C:著しい印字ムラが発生し、不均一な画像である。 【0046】<インク吸収性>市販のインクジェットプリンター(PM−800C、エプソン社)を用いて、シアンインクとマゼンタインクからなる混色ベタパターン中に白線(非印字部)の格子パターンを作成し、格子へのインクの滲み出しを以下の基準で目視判定した。評価Cは実使用上問題となるレベルである。 A:格子がクリアである。 B:格子が狭くなり、僅かにインクの滲み出しが見られる。 C:インクの滲み出しにより、格子が一部で欠如している。 【0047】 【表1】
【0048】実施例1と比較例1、2より、あらかじめ支持体の紙面温度を40℃以上に昇温する事により、均一なインク受理性が発現することがわかる。実施例1、2より、インク受理層塗被組成物に感温ゲル化ポリマーを含有させることにより効果がより高まることがわかる。比較例3、4よりインク受理層塗被組成物は本発明の範囲内の温度で塗布しなければならないことがわかる。実施例2、3より、塗布方式を前計量方式とする事により、本発明はより効果を示す。 【0049】 【発明の効果】本発明は、あらかじめ紙面温度を40℃以上に昇温した支持対象にインク受理層塗被組成物を塗布することにより、インク吸収ムラのないインク受理性能に優れたインクジェット記録シートを提供できる。該インク受理層塗被組成物中に感温ゲル化ポリマーを含有させる好ましい。また、製造方法として、該感温ゲル化ポリマーを含有するインク受理層塗被組成物の温度が、10℃以上且つ該感温ゲル化ポリマーの転移温度よりも低い温度で、さらに好ましくは前計量方式により該インク受理層塗被組成物を塗布することにより、インク受理性能に優れ、インク吸収性に優れたインクジェット記録シートの製造方法を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005980 【氏名又は名称】三菱製紙株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号
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| 【出願日】 |
平成13年9月27日(2001.9.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−103904(P2003−103904A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月9日(2003.4.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−297140(P2001−297140) |
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