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【発明の名称】 インクジェット顔料画像及びインクジェット記録方法
【発明者】 【氏名】大屋 秀信
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】木田 修二
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】鈴木 眞一
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】加賀 誠
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】福田 輝幸
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【要約】 【課題】本発明の目的は、銀塩写真同等の光沢性を有し、ブロンジングがなく、耐水性、酸化ガス耐性に優れ、かつ商業用途、たとえばプリント出力サービスに対応できる高速、連続出力に対応できるインクジェット顔料画像とインクジェット記録方法を提供することである。

【解決手段】記録媒体に対して、顔料インクを噴射して顔料画像を形成する工程と、該顔料画像のC値を60以上に調整する調整工程とを有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録媒体に対して、顔料インクを噴射して顔料画像を形成する工程と、該顔料画像のC値を60以上に調整する調整工程とを有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】 前記調整工程が、前記顔料画像を加熱定着する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】 前記調整工程が、前記顔料画像を加圧する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】 前記調整工程が、更に、前記顔料画像を加圧する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】 前記記録媒体が、熱可塑性樹脂を含有する表層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】 前記表層が、更に無機顔料を含有することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
【請求項7】 前記記録媒体が支持体を有し、該支持体と前記表層との間に、少なくとも1層のインク吸収層を有することを特徴とする請求項5または6に記載のインクジェット記録方法。
【請求項8】 前記顔料インクに含有される顔料粒子の平均粒径が、30〜200nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項9】 少なくとも1対の同一色で、かつ顔料濃度の異なる顔料インクを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項10】 前記記録媒体が、少なくとも1層の空隙層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項11】 前記顔料インクが、アセチレン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項12】 前記調整工程が、前記顔料画像の60度光沢を70%以上に調整する工程であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項13】 前記調整工程が、前記顔料画像の中心線平均粗さRaを0.5μm以下に調整する工程であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項14】 記録媒体に対して、顔料インクを噴射して得られるインクジェット顔料画像において、C値が60以上であることを特徴とするインクジェット顔料画像。
【請求項15】 中心線平均粗さRaが、0.5μm以下であることを特徴とする請求項14に記載のインクジェット顔料画像。
【請求項16】 前記記録媒体が、少なくとも1層の空隙層を有することを特徴とする請求項14または15に記載のインクジェット顔料画像。
【請求項17】 60度光沢が、70%以上であることを特徴とする請求項14に記載のインクジェット顔料画像。
【請求項18】 前記顔料インクに含有される顔料粒子の平均粒径が、30〜200nmであることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載のインクジェット顔料画像。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なインクジェット顔料画像及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット技術の進歩は目覚ましく、プリンター技術、インク技術、専用記録媒体技術の向上と相まって写真画質と呼ばれる様になっている。画質の向上に伴い、インクジェット画像の保存性が従来の銀塩写真と比較されるようになり、多くの染料インクにおいて、インクジェット画像の耐水性、耐にじみ性の弱さといった色剤の移動を伴う劣化や、耐光性や耐酸化性ガス性への弱さといった色剤特有の化学反応を伴う劣化が指摘されている。
【0003】一方、染料インク画像の保存性を改良するため、顔料インクを用いることが多く提案されている。しかし、顔料インクの場合、銀塩写真のような光沢感が得られなかったり、ブロンジングと呼ばれる金属光沢が見られる場合があり好ましくない。また、単に顔料インクを用いるだけでは充分な画像保存性が得られず、特に、耐水性の弱さが顕著である。
【0004】特開2000−158803には、熱可塑性有機微粒子からなる層を有した記録媒体に顔料インクで記録後、加熱定着して耐水性、耐光性、光沢性を向上する方法が提案されている。しかしながら、その光沢レベルが、銀塩写真画質(グロス)に比べてまだ劣り十分ではなく、さらに、耐水性も不十分なレベルであった。加えて、ブロンジングの発生も見られ好ましくなく、酸化ガス耐性でも満足のいくレベルではなく、早急な改良が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その第1の目的は、銀塩写真同等の光沢性を有するインクジェット顔料画像及びその記録方法を提供することである。第2の目的は、ブロンジングのないインクジェット顔料画像及びその記録方法を提供することである。第3の目的は、耐水性の高いインクジェット顔料画像及びその記録方法を提供することである。第4の目的は、酸化ガス耐性の高いインクジェット顔料画像及びその記録方法を提供することである。そして、第5の目的は、商業用途、たとえばプリント出力サービスに対応できる高速、連続出力に対応できるインクジェット顔料画像の記録方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0007】1.記録媒体に対して、顔料インクを噴射して顔料画像を形成する工程と、該顔料画像のC値を60以上に調整する調整工程とを有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0008】2.前記調整工程が、前記顔料画像を加熱定着する工程を含むことを特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録方法。
【0009】3.前記調整工程が、前記顔料画像を加圧する工程を含むことを特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録方法。
【0010】4.前記調整工程が、更に、前記顔料画像を加圧する工程を含むことを特徴とする前記2項に記載のインクジェット記録方法。
【0011】5.前記記録媒体が、熱可塑性樹脂を含有する表層を有することを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0012】6.前記表層が、更に無機顔料を含有することを特徴とする前記5項に記載のインクジェット記録方法。
【0013】7.前記記録媒体が支持体を有し、該支持体と前記表層との間に、少なくとも1層のインク吸収層を有することを特徴とする前記5または6項に記載のインクジェット記録方法。
【0014】8.前記顔料インクに含有される顔料粒子の平均粒径が、30〜200nmであることを特徴とする前記1〜7項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0015】9.少なくとも1対の同一色で、かつ顔料濃度の異なる顔料インクを用いることを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0016】10.前記記録媒体が、少なくとも1層の空隙層を有することを特徴とする前記1〜9項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0017】11.前記顔料インクが、アセチレン系界面活性剤を含有することを特徴とする前記1〜10項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0018】12.前記調整工程が、前記顔料画像の60度光沢を70%以上に調整する工程であることを特徴とする前記1〜11項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0019】13.前記調整工程が、前記顔料画像の中心線平均粗さRaを0.5μm以下に調整する工程であることを特徴とする前記1〜12項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0020】14.記録媒体に対して、顔料インクを噴射して得られるインクジェット顔料画像において、C値が60以上であることを特徴とするインクジェット顔料画像。
【0021】15.中心線平均粗さRaが、0.5μm以下であることを特徴とする前記14項に記載のインクジェット顔料画像。
【0022】16.前記記録媒体が、少なくとも1層の空隙層を有することを特徴とする前記14または15項に記載のインクジェット顔料画像。
【0023】17.60度光沢が、70%以上であることを特徴とする前記14項に記載のインクジェット顔料画像。
【0024】18.前記顔料インクに含有される顔料粒子の平均粒径が、30〜200nmであることを特徴とする前記14〜17項のいずれか1項に記載のインクジェット顔料画像。
【0025】本発明では、インクジェット顔料画像のC値(像鮮明度)が60以上であることが特徴である。
【0026】本発明でいうC値とは、JIS−K−7105に規定されている像鮮明度のうち、光学くし2mmを用い反射法により測定した値をC値とした。なお、本発明においては、通常45度の角度にて試料に光を当てる方法を、60度の角度に変更して用いた。
【0027】C値の異なる様々なインクジェット顔料画像を検討したところ、C値の上昇に伴い、光沢感が得られ、銀塩写真に近似の画像を得ることができることを見い出した。さらに、驚くべきことに、C値の上昇に伴い、顔料インク特有のブロンジング現象が抑制されることが判明した。さらに、C値の上昇に伴い、耐水性や酸性ガス耐性といった画像保存性も向上することを見い出した。
【0028】C値が60以上ある顔料画像は、本発明の目的とする効果を得ることができるが、好ましくは70〜90、さらに好ましくは75〜90である。
【0029】本発明で規定するC値を60以上とする方法としては、特に制限はないが、例えば、インク顔料を記録媒体に印字した後、画像を加熱あるいは加圧、あるいは加熱、加圧を両方行う、あるいは、溶媒や可塑剤を付与し、さらに加熱する、あるいは、熱可塑性樹脂成分を画像に供給してから加熱するなどの方法を適宜選択、組み合わせたり、あるいはそれらの処理を複数回行うことにより達成することができる。
【0030】本発明では、インクジェット顔料画像の中心線平均粗さRaが、0.5μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。
【0031】本発明でいう中心線平均粗さRaは、JIS表面粗さのJIS−B−0601により定義される。すなわち、中心線平均粗さ(Ra)とは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さL(本発明では2.5mmであることが好ましい)の部分を抜き取り、カットオフ値0.8mmとして、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、下式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0032】
【数1】

【0033】中心線平均粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重なり合わない条件で24時間調湿したのち、上記環境下で測定して求めることができる。ここでいう重なり合わない条件とは、例えば、支持体のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や支持体と支持体の間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
【0034】C値が60以上でRaが0.5μm以下の時に、本発明の目的とする効果がより有効に発揮される。より好ましくは、C値が60〜90で、Raが0.01〜0.2μmの場合である。
【0035】更に、本発明では、インクジェット顔料画像が、C値が60以上で、かつ60度光沢が70%以上であること、あるいは、C値が60以上、Raが0.5μm以下で、かつ60度光沢が70%以上であることが好ましく、この時に本発明の効果が有効に発揮される。なお、本発明において、60度光沢は、JIS−K−8741にしたがって測定され、測定装置としては、日本電色工業社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いる。
【0036】最も好ましいのは、C値が70〜90、Raが0.01〜0.2μmで、かつ60度光沢が100%以上の時であり、この条件により、本発明の効果は最も有効に得られる。
【0037】次いで、本発明で用いられる記録媒体について説明する。記録媒体は顔料インクを受容し、画像形成することができれば特に制約はないが、強度の観点から支持体上にインク吸収層を有するものが好ましい。
【0038】支持体としては、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体を用いることができる。
【0039】支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明の記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録用紙であってもよい。また、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
【0040】そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPまたはLDPの比率は、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0041】上記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0042】原紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0043】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0044】原紙の坪量は、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0045】原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0046】原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できる高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤を使用できる。
【0047】原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0048】原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0049】特に、インク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0050】ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0051】原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、空隙層やバック層を設けた後、低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常、空隙層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0052】更に上記ポリエチレンで被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
【0053】1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kgであることが好ましい2.引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g、横方向が20〜200gが好ましい3.圧縮弾性率≧98.1MPa4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い5.表面粗さ:JIS−B−0601に規定された表面平均粗さが、基準長さ2.5mm当たり最大高さが10μm以下であることが好ましい6.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したとき、80%以上、特に85〜98%が好ましい7.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*がL*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい8.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢度が、10〜95%であることが好ましい9.クラーク剛直度:記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が、50〜300cm2/100である支持体が好ましい10.中紙の含水率:中紙に対して、通常、2〜100質量%、好ましくは2〜6質量%記録媒体のインク吸収層としては、大きく別けて、膨潤型と空隙型とがある。
【0054】膨潤型としては、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層としたものを用いることができる。
【0055】空隙型としては、微粒子及び親水性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
【0056】連続、あるいは高速プリントに適性を持たせるには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、空隙型を特に好ましく用いることができる。
【0057】以下、空隙型インク吸収層について更に詳細に説明する。空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが特に好ましい。
【0058】上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0059】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0060】固体微粒子としては、シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましく、シリカがより好ましい。
【0061】シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0062】微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
【0063】無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0064】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することが出来る。
【0065】親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0066】本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0067】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0068】カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0069】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0070】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0071】アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報、同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0072】また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0073】ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0074】色材受容層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり、通常、5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0075】また、色材受容層に用いられる無機微粒子と水溶性樹脂の比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0076】色材受容層は、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0077】空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0078】インク保持能を有する空隙層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0079】空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
【0080】上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0081】本発明においては、インク吸収層の表層に熱可塑性樹脂を含む層を設けることは、本発明の目的を達成する上で好ましい。
【0082】熱可塑性樹脂を含む層は、熱可塑性樹脂のみからなる層であっても、必要に応じて水溶性バインダー等を添加したものであってもよい。熱可塑性樹脂は、インク透過性の観点から微粒子状が好ましい。
【0083】熱可塑性樹脂あるいは微粒子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもスチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。熱可塑性樹脂あるいは微粒子は、モノマー組成及び、粒径、重合度が違う複数の重合体を混合して用いても良い。
【0084】熱可塑性樹脂あるいは微粒子を選択するに際し、インク受容性、加熱及び加圧による定着後の画像の光沢性、画像堅牢性及び離型性を考慮すべきである。
【0085】インク受容性については、熱可塑性微粒子の粒径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の低下を招くことになる。また10μmを越えると、支持体上に塗設する際にインク受容層に隣接する溶媒吸収層との接着性や、塗設乾燥後のインクジェット記録媒体の被膜強度の点から好ましくない。このために好ましい熱可塑性樹微粒子径としては好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。さらに好ましくは、0.1〜1μmである。
【0086】また、熱可塑性樹脂あるいは微粒子の選択の基準としてはガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tgが塗布乾燥温度より低い場合は、例えば、記録媒体製造時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するための熱可塑性微粒子による空隙が消失してしまう。
【0087】また、Tgが、支持体の熱による変性を起こす温度以上の場合は、顔料インクによるインクジェット記録後溶融成膜するために高温での定着操作が必要となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑性微粒子の好ましいTgは50〜150℃である。また、最低造膜温度(MFT)としては、50〜150℃のものが好ましい。
【0088】熱可塑性微粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。この際、ノニオン系分散剤を乳化剤として用いて乳化重合したタイプは好ましく用いることができる形態である。
【0089】また、用いる熱可塑性微粒子は臭気および安全性の観点から残存するモノマー成分が少ない方が好ましく、重合体の固形分質量に対して3%以下が好ましく、更に1%以下が好ましく、特には0.1%以下が好ましい。
【0090】水溶性バインダーとしては、熱可塑性微粒子の1〜10%の範囲でポリビニルアルコールや、ポリビニルピロリドンを用いることができる。
【0091】本発明では、記録媒体が、支持体上にインク吸収層を有し、表層が少なくとも無機顔料と熱可塑性微粒子とを含むことが好ましく、本発明における記録媒体の形態として最も好ましい。特に、好ましい理由として以下の点をあげることができる。
【0092】1)インク吸収速度が大きく、ビーディング、カラーブリード等の画質劣化がおこりにくく、高速印字適性を有している2)画像表面強度が強い3)画像保存時の重ねでの融着がおこりにくい4)インク吸収層の塗布生産性に優れている5)筆記性を有しているこの場合、表層の熱可塑性微粒子と無機顔料の固形分質量比としては、熱可塑性微粒子および無機顔料および他の添加剤などにより個々に決めるのが好ましく、特に制約はないが、熱可塑性微粒子/無機顔料が2/8から8/2の範囲で選ぶのが好ましく、より好ましくは3/7〜7/3であり、4/6〜6/4が更に好ましい。
【0093】画像形成に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を特に好ましく用いることができる。
【0094】着色剤としては、本発明においては、画像保存性の観点から顔料用いることが特徴である。顔料インク中の顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラックを好ましく用いることができる。
【0095】不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0096】好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0097】オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0098】グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0099】これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
【0100】顔料の分散方法としては、その方法に特に制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0101】本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
【0102】顔料インク中の顔料の平均粒径は、インク中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考慮して選択するが、加えて本発明のインクジェット顔料画像の記録方法では、光沢向上、質感向上の観点からも粒径を選択するのが好ましい。本発明において、光沢向上、質感向上する理由は定かでは無いが、画像において顔料は熱可塑性微粒子が溶融した皮膜中に分散された状態にあることと関連していると推測している。高速処理を目的とすると、短時間で熱可塑性微粒子を溶融皮膜化し、更に顔料を充分に皮膜中に分散しなければならない。このとき顔料の表面積は大きく影響し、それゆえ平均粒径に最適領域が存在すると推測している。
【0103】本発明に用いる顔料インクに含まれる顔料粒子の平均粒径は、300nm以下が好ましく、更に好ましくは30〜200nmであり、特に好ましくは30〜150nmである。
【0104】顔料インクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0105】水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
【0106】水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
【0107】本発明に用いる顔料インクは、アセチレン系界面活性剤を含有することが好ましい。該アセチレン系界面活性剤としては、以下に示すアセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物が好ましい。
【0108】
【化1】

【0109】式中、m及びnは整数を表す。また、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物としては、Air Products社製サーフィノール82、サーフィノール104、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485等を好ましく用いられる。
【0110】インク組成物は、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加することもできる。
【0111】特に、熱可塑性微粒子を添加することは、本発明の効果を得るうえで好ましい。熱可塑性微粒子については、上記の記録媒体表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、より好ましくは、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2倍の範囲で選択すると安定性の観点で好ましい。添加する熱可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
【0112】インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
【0113】インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、30〜45mN/mであることが、より好ましい。
【0114】インク中の顔料固形分濃度は、0.1〜10%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、色再現性上好ましい。
【0115】本発明のインクジェット顔料画像を形成するには、市販されているプリンターのように記録媒体収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録媒体収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであると、インクジェット写真を商用利用する場合に有用である。
【0116】記録ヘッドは、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式のいずれでもよいが、顔料インクでの安定性の観点からピエゾ方式が好ましい。
【0117】印字後に何らかの処理により、本発明の効果が得られるまでC値を向上することは好ましい形態である。処理は、画像を加熱あるいは加圧、あるいは加熱、加圧を両方行う、あるいは、溶媒や可塑剤を付与し、さらに加熱する、あるいは、熱可塑性樹脂成分を画像に供給してから加熱するなどがあり、さらにこれらの処理を組み合わせたり、複数回行っても良い。
【0118】本発明では、顔料インクを印字した後、記録媒体を加熱定着処理することが好ましい。
【0119】上記方法において、特には、顔料と熱可塑性樹脂とが混在、もしくは近傍に存在する顔料画像を加熱定着処理することが特に好ましく、この場合、熱可塑性樹脂を部分的、もしくは完全に溶融し、さらに皮膜化することが特に好ましい。
【0120】顔料画像に熱可塑性樹脂を共存させる方法としては、1)熱可塑性樹脂、好ましくは熱可塑性微粒子を含有する記録媒体を用いる、2)印字前もしくは印字後に記録媒体に熱可塑性樹脂を供給する、3)顔料インク中に熱可塑性樹脂を共存させたインクを用いる方法が挙げられる。ただし、熱可塑性樹脂をシート状にして準備し、画像と重ね合わせて加熱定着処理を行う、いわゆるラミネート処理は装置が複雑になったり、ずれによるしわが発生したり、処理速度が遅くなるなど不利な点があり好ましくない。また、ラミネート処理した画像は、表面樹脂層の不自然な光沢感があり写真画像としても好ましくない。
【0121】加熱定着処理には、本発明の効果が十分発揮されるだけのエネルギーを画像に与えれば良いが、必要以上に高いエネルギーを与えると支持体の変型などが発生し、むしろ光沢感が悪化するため好ましくない。加熱する温度は、顔料画像を平滑化しうる温度であればよく、60〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜160℃の範囲である。
【0122】加熱は、プリンター内蔵の加熱機で行っても、別に設けた加熱機で行っても良い。加熱手段としては、加熱ローラーを用いることが、ムラの発生をなくし、小スペースで、連続処理をするのに適しているため好ましい。また、これらの装置は、電子写真の加熱定着機を転用することができ、コスト的にも有利である。
【0123】例えば、発熱体を内蔵した加熱ローラーと圧着ローラーとの間に記録媒体を通すことによって、加熱、加圧処理を施したり、2つの加熱ローラーで記録媒体を挟んで加熱してもよい。加熱ローラーは、中空状のローラーからなり、駆動手段により回転する。ローラー内には熱源として、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等からなる発熱体が内蔵されている。ローラーは、熱伝導性の高い材料が好ましく、特には金属ローラーが好ましい。ローラー表面は、汚染を防ぐためにフッ素樹脂コートされてることが好ましい。その他、耐熱シリコンを被覆したシリコンゴムローラーを用いることができる。
【0124】加熱ローラーを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、1〜15mm/秒の範囲が好ましい。これは、高速処理性の観点以外に、画質の観点からも好ましい。
【0125】より高い質感、光沢を得るために、加熱と同時、あるいはその直後に加圧することが好ましい。加圧する圧力としては、9.8×104〜4.9×106Paの範囲が好ましい。これは加圧により皮膜化が促進されるためである。
【0126】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】はじめに、下記に記載の方法に従って、水系顔料インクを調製した。
《水系顔料インクの調製》
〔顔料分散液の調製〕
(イエロー顔料分散体1の調製)
C.I.ピグメントイエロー74 20質量% スチレン−アクリル酸共重合体(分子量10,000、酸価120)
12質量% ジエチレングリコール 15質量% イオン交換水 53質量%上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散体1を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は112nmであった。
【0128】
(マゼンタ顔料分散体1の調製)
C.I.ピグメントレッド122 25質量% ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分で18質量% ジエチレングリコール 15質量% イオン交換水 42質量%上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散体1を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は105nmであった。
【0129】
(シアン顔料分散体1の調製)
C.I.ピグメントブルー15:3 25質量% ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分として15質量% グリセリン 10質量% イオン交換水 50質量%上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料分散体1を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87nmであった。
【0130】
(ブラック顔料分散体1の調製)
カーボンブラック 20質量% スチレン−アクリル酸共重合体(分子量7,000、酸価150)
10質量% グリセリン 10質量% イオン交換水 60質量%上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔料分散体1を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は75nmであった。
【0131】(各色分散体2の調製)上記の各色分散体1の調製において、各分散時間を短縮した以外は同様にして、以下の平均粒径の顔料を有する各色分散体2を調製したイエロー顔料分散体2:平均粒径 170nmマゼンタ顔料分散体2:平均粒径 190nmシアン顔料分散体2:平均粒径 180nmブラック顔料分散体2:平均粒径 160nm(各色分散体3の調製)上記の各色分散体1の調製において、各分散体の分散条件を変更し、更に得られた分散体を遠心分離により大粒径成分を除去した以外は同様にして、以下の平均粒径の顔料を有する各色分散体3を調製した。
【0132】
イエロー顔料分散体3:平均粒径 41nmマゼンタ顔料分散体3:平均粒径 42nmシアン顔料分散体3:平均粒径 40nmブラック顔料分散体3:平均粒径 35nm(各色分散体4の調製)上記の各色分散体2の調製において、各分散体の分散時間を更に短縮した以外は同様にして、以下の平均粒径の顔料を有する各色分散体4を調製した。
【0133】
イエロー顔料分散体4:平均粒径 230nmマゼンタ顔料分散体4:平均粒径 220nmシアン顔料分散体4:平均粒径 215nmブラック顔料分散体4:平均粒径 230nm 〔顔料インクの調製〕
(インクセット1の調製)
〈イエロー濃インク1の調製〉 イエロー顔料分散体1 15質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 54.9質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0134】
〈イエロー淡インク1の調製〉 イエロー顔料分散体1 3質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 61.9質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は118nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0135】
〈マゼンタ濃インク1の調製〉 マゼンタ顔料分散体1 15質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 54.9質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0136】
〈マゼンタ淡インク1の調製〉 マゼンタ顔料分散体1 3質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 61.9質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は110nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0137】
〈シアン濃インク1の調製〉 シアン顔料分散体1 10質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 59.9質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0138】
〈シアン淡インク1の調製〉 シアン顔料分散体1 2質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.2質量% イオン交換水 62.8質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は92nmであり、表面張力γは33mN/mであった。
【0139】
〈ブラック濃インク1の調製〉 ブラック顔料分散体1 10質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 59.9質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0140】
〈ブラック淡インク1の調製〉 ブラック顔料分散体1 2質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 62.9質量%以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は89nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0141】以上の8種類のインクをインクセット1とした。
(インクセット2の調製)上記インクセット1である8種のインク調製において、熱可塑性樹脂ヨドゾールGD86B(スチレン−アクリル系エマルジョン 平均粒径90nm、Tg60℃、日本エヌエスシー社製)を各々3%添加した以外は同様にして、イエロー淡インク2、イエロー濃インク2、マゼンタ淡インク2、マゼンタ濃インク2、シアン淡インク2、シアン濃インク2、ブラック淡インク2、ブラック濃インク2を調製し、これをインクセット2とした。
【0142】(インクセット3の調製)上記インクセット1である8種のインク調製において、熱可塑性樹脂マイクロジェルE−1002(Tg約60℃ 平均粒径100nm 日本ペイント社製)を各々8%添加し、イエロー淡インク3、イエロー濃インク3、マゼンタ淡インク3、マゼンタ濃インク3、シアン淡インク3、シアン濃インク3、ブラック淡インク3、ブラック濃インク3を調製し、これをインクセット3とした。
【0143】(インクセット4の調製)上記インクセット1である8種のインク調製において、各色のインク分散体1に代えて、各色のインク分散体3を用いた以外は同様にして、インクを調製した。この様にして、イエロー淡インク4(平均粒径46nm)、イエロー濃インク4(平均粒径46nm)、マゼンタ淡インク4(平均粒径47nm)、マゼンタ濃インク4(平均粒径47nm)、シアン淡インク4(平均粒径45nm)、シアン濃インク4(平均粒径45nm)、ブラック淡インク4(平均粒径40nm)、ブラック濃インク4(平均粒径40nm)を調製し、これをインクセット4とした。
【0144】(インクセット5の調製)上記インクセット1である8種のインク調製において、各色のインク分散体1に代えて、各色のインク分散体2を用いた以外は同様にして、インクを調製した。この様にして、イエロー淡インク5(平均粒径178nm)、イエロー濃インク5(平均粒径178nm)、マゼンタ淡インク5(平均粒径198nm)、マゼンタ濃インク5(平均粒径198nm)、シアン淡インク5(平均粒径188nm)、シアン濃インク5(平均粒径188nm)、ブラック淡インク5(平均粒径168nm)、ブラック濃インク5(平均粒径168nm)を調製し、これをインクセット5とした。
【0145】(インクセット6の調製)上記インクセット1である8種のインク調製において、各色のインク分散体1に代えて、各色のインク分散体4を用いた以外は同様にして、インクを調製した。この様にして、イエロー淡インク6(平均粒径236nm)、イエロー濃インク6(平均粒径236nm)、マゼンタ淡インク6(平均粒径226nm)、マゼンタ濃インク6(平均粒径226nm)、シアン淡インク6(平均粒径221nm)、シアン濃インク6(平均粒径221nm)、ブラック淡インク6(平均粒径236nm)、ブラック濃インク6(平均粒径236nm)を調製し、これをインクセット6とした。
【0146】《インクジェット顔料画像の作成》以下の方法で、インクジェット顔料画像を作成し、C値、Ra及び60度光沢を調整した。なお、各インクジェット顔料画像のC値、Ra及び60度光沢については、下記の方法に従って測定した。
【0147】(C値の測定)下記の方法で作成した各画像について、スガ試験機社製の写像性測定機(ICM−1DP)を用いて黒ベタ部のC値の測定を行った。
【0148】(Raの測定)下記の方法で作成した各画像について、WYKO社製のRSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システムを用いて、黒ベタ部の中心線平均粗さRaの測定を行った。
【0149】(60度光沢の測定)下記の方法で作成した各画像について、各画像形成面をJIS−Z−8741に従って60度鏡面光沢度を測定した。測定には日本電色工業社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いた。
【0150】(比較画像1、画像1、画像2の作成)
〈記録媒体1の作製〉コニカ(株)製インクジェットペーパー フォトライクQPに、ビニブラン602(日信化学工業(株)製)を固形分が5g/m2になるようにワイヤーバーにて塗布、乾燥して記録媒体1を作製した。
【0151】図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンターにインクセット1の8色インクをセットし、上記記録媒体1をシート供給し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのウエッジ画像、縦及び横に1cm幅でY、M、C、B、G、R、Bkの帯を各々描いた格子状テストチャート及び人物ポートレート像をプリントした。その後、装置内の定着機にて、定着機の表面温度を70、90、110℃にて加熱定着を行い、比較画像1、画像1、画像2を得た。
【0152】(画像3の作成)上記画像1の作成において、定着処理を行わない以外は同様にして画像3を作成した。なお、画像3には、画像形成後、酢酸エチルをスプレーし、加圧処理を行った。
【0153】(画像4の作成)上記画像1の作成において、記録媒体としてコニカ(株)製インクジェットペーパー フォトライクQPを用い、定着処理を行わない以外は同様にして画像を作成した。ついで、この画像にビニブラン602(日信化学工業社製)を固形分が2g/m2になるようにワイヤーバーにて塗布し、乾燥した後、図1に記載の加熱定着機にて定着処理を行って、画像4を作成した。なお、定着機の表面温度は110℃で行った。
【0154】(画像5〜7の作成)コニカ(株)製インクジェットペーパー フォトライクQPを用いて、図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンターにインクセット2の8色インクをセットし、記録を行い、その後、装置内の定着機にて加熱定着を行った。定着機の表面温度は110℃であった。得られた画像を画像5とした。
【0155】次いで、画像5の作成において、定着機の表面温度を130℃にした以外は同様にして、画像6を作成した。
【0156】次いで、画像5の作成において、インクセット2に代えて、インクセット3を用いた以外は同様にして画像7を作成した。
【0157】(比較画像2及び画像8〜11の作成)
〈記録媒体2の作製〉[シリカ分散液の調製]一次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げた。
【0158】次に、カチオンポリマーP−1(187B)を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、上記シリカ分散液の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液を調製した。
【0159】
【化2】

【0160】[塗布液1の調製]上記シリカ分散液600mlを40℃で攪拌しながら、以下の各添加剤を順次混合して塗布液1を調製した。
【0161】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液 6ml ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の7%水溶液 185ml 純水 全量を1000mlに仕上げた[塗布液2の調製]塗布液1を40℃で撹拌し、そこへ熱可塑性樹脂(スチレン−アクリル系ラテックス Tg73℃、平均粒径0.2μm、固形分40%)をシリカ/熱可塑性微粒子の固形分比が6/4になるように加えて、さらに40℃、粘度が45mPa・sとなるように適宜純水を加えて、塗布液2を調製した。
【0162】[記録媒体2の作製]両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタン含有)に、上記塗布液1を支持体側から順に第1層、第2層、第3層とし、上記塗布液2を第4層として全層同時にスライドホッパーにて塗布、乾燥して記録媒体2を作製した。なお、塗布液は40℃に加温して塗布し、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒冷却した後、25℃の風(相対湿度15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60℃の雰囲気下で2分間調湿して試料を巻き取った。第1層〜4層の湿潤膜厚は、各々60μmであった。この記録媒体をロール幅127mm、長さ100mのロール状に加工した。
【0163】〈記録媒体3の作製〉[塗布液3の調製]上記塗布液2の調製において、シリカ/熱可塑性微粒子の固形分比を5/5に変更した以外は同様にして塗布液3を調製した。
【0164】[記録媒体3の作製]上記記録媒体2の作製において、第4層塗布液を塗布液3に変更した以外は同様にして記録媒体3を作製した。
【0165】〈記録媒体4の作製〉[塗布液4の調製]上記塗布液2の調製において、熱可塑性微粒子をスチレン−アクリル系ラテックス(Tg73℃、平均粒径0.8μm、固形分40%)に変更し、シリカ/熱可塑性微粒子の固形分比を3/7になるように変更した以外は同様にして塗布液4を調製した。
【0166】[記録媒体4の作製]上記記録媒体2の作製において、第4層塗布液を塗布液4に変更した以外は同様にして、記録媒体4を作製した。
【0167】〈比較画像2、画像8、画像9の作成〉上記作製した記録媒体2を用いて、図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンターにインクセット1の8色インクをセットし、画像1と同様の画像記録を行った後、装置内の定着機にて、定着機の表面温度を70、90、110℃にて加熱定着を行い、比較画像2、画像8、画像9を作成した。
【0168】〈画像10、画像11の作成〉上記作製した記録媒体3及び4を用いて、図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンターにインクセット1の8色インクをセットし、画像1と同様の方法で画層記録を行い、その後装置内の定着機にて加熱定着を行い、画像10、11を各々作成した。なお、加熱定着機の表面温度は110℃で行った。
【0169】〈画像12の作成〉セイコーエプソン(株)製のMC写真用紙に熱可塑性樹脂(スチレン−アクリル系ラテックス Tg73℃、平均粒径0.2μm、固形分40%)を固形分が5g/m2になるようにワイヤーバーで塗布、乾燥して記録媒体5を作製した。
【0170】次いで、記録媒体5に、図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンターにインクセット1の8色インクをセットし、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのウエッジ画像および、縦及び横に1cm幅でY、M、C、B、G、R、Bkの帯を各々描いた格子状テストチャート及び人物ポートレート像をプリントした。その後、装置内の定着機にて加熱定着を行った。なお、加熱定着機の表面温度を110℃に設定し、作成した画像を画像12とした。
【0171】〈画像13の作成〉上記作製した記録媒体2を用いて、図2に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンターにインクセット1の8色インクをセットし、画像1と同様の画像記録を行った後、装置内のベルト式定着機にて、定着ベルトの表面温度を105℃にて加熱定着を行い、画像13を作成した。
【0172】〈画像14の作成〉コニカ(株)製インクジェットペーパー フォトライクQPを用いて、インクジェットプリンターにインクセット4の8色インクをセットし、加熱定着を行わなかった以外は、前記画像1と同様にして、画像記録を行い、画像14を作成した。
【0173】〈画像15の作成〉図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンターにインクセット5の8色インクをセットし、前記記録媒体1をシート供給して画像記録を行った後、装置内の定着機にて、定着機の表面温度を110℃で加熱定着を行い、画像15を作成した。
【0174】〈画像16の作成〉上記画像15の作成において、インクセット5に代えて、インクセット6の8色インクを用いた以外は同様にして、画像16を作成した。
【0175】以上により作成した各画像の詳細及び測定された各画像のC値、Ra及び60度光沢を表1に示す。
【0176】
【表1】

【0177】《形成画像の評価》以上により作成した画像1〜16、比較画像1、2について、以下に記載の各評価を行った。
【0178】(目視による光沢評価)銀塩写真同等の光沢が得られたか否かを判定するため、評価対象サンプルを同じ画像のハロゲン化銀塩写真(光沢タイプ)と比較評価した。評価は20人の一般評価者による目視評価を行い、以下に記載の基準に則り判定した。
【0179】
評価3:写真同等と評価した人が15人以上評価2:写真同等と評価した人が5〜15人未満評価1:写真同等と評価した人が5人未満(ブロンジングの評価)顔料特有の現象であり、画質低下の要因となるブロンジングについて、以下の方法で評価を行った。ブロンジングの評価は、画像を蛍光灯下で種々の角度(真上を90°とし、真横を0°とした時、80°、60°、45°、30°)から観察した。いずれかの角度でも金属光沢があるものを、ブロンジングあり、どの角度でもほぼみられないものをブロンジングなしと判定した。
【0180】(耐水性の評価)各形成画像を20℃の水に1時間浸せきした後、2日間放置し、自然乾燥させ膜剥がれの発生を観察した。この操作を順次繰り返して、下記に記載の基準に則り判定した。
【0181】評価3:5回目迄の繰り返し浸せきで、画像の膜はがれの発生がない評価2:2〜5回の繰り返し浸せきで、画像の膜はがれが発生評価1:1回目の浸せき中に、画像の膜はがれが発生(耐酸化ガスの評価)酸化ガス耐性の評価は、各形成画像を、オフィス(室温25℃)の壁に外部直射日光が画像に直接当たらないように張り付け、外気を強制的、かつ連続的に流入し暴露する環境下で4か月間保存した後、光学濃度変化を測定した。
【0182】なお、測定に際しては、シアン画像の濃度低下がもっとも大きいので、シアン画像(反射濃度1付近)の濃度低下を評価対象とし、以下に記載の基準に則り評価を行った。
【0183】
評価3:4か月間保存した後の濃度低下率が5%未満評価2:4か月間保存した後の濃度低下率が5%以上、10%未満評価1:4か月間保存した後の濃度低下率が10%以上以上により得られた各測定及び評価結果を表2に示す。
【0184】
【表2】

【0185】表2に記載の結果より、以下の事項を確認することができた。すなわち、C値が60以上の画像は、C値が60未満の画像に比べ、目視による光沢、ブロンジング減少による画質、耐水性及び耐酸化ガス性に優れていることが判る。さらに、C値が70以上になると上記特性がさらに向上することが判り、ほぼ銀塩同等の光沢感、画質が得られ、耐水性、耐酸化ガス性が大幅に向上することが判った。また、C値60以上の画像を得るのに、熱可塑性微粒子を含有する記録媒体を用いること、印字後に加熱定着を行うこと及び両者を併用することが極めて有効であることが判明した。
【0186】更に、追加実験の結果、画像1、2、3、12は、縦及び横に1cm幅でY、M、C、B、G、R、Bkの帯を各々描いた格子状テストチャートの重なり部分(特にRとGの交点)でカラーブリードが発生していた。これは、記録媒体のインク吸収速度が不足しているためと考えられる。これに対し、カラーブリードは、画像8〜11、13では認められず、インク吸収速度において、より優れた特性を合わせ持つことが判った。この特性は、高画質画像を得る上で望ましい。
【0187】また、以上の各画像に付いてL版サイズで連続500枚の印字を行った。画像3においては、酢酸エチルの蒸気が室内に充満し、環境適性においてやや問題が見られた。また、数枚の試料において裏面の汚れ(おそらく酢酸エチルが裏面に付着したため)が見らた。また、画像3、4において、樹脂溶液の塗布、乾燥や、酢酸エチル付与が律速になり、高速処理適性としてやや問題があった。
【0188】また、画像5〜7の形成において、部分的にヘッドの詰まりが発生し、筋ムラが観測された。これは、インクへの樹脂添加が要因と推測される。
【0189】これに対し、画像1、2、8〜13の形成においては、上記記載の諸問題の発生もなく、高速で銀塩写真に近いインクジェット顔料画像を得ることができた。
【0190】また、画像8〜11、13においては、以下に挙げる他の優れた特性を見い出すことができた。
【0191】1)画像表面強度が強く、画像の取り扱い時に傷がつきにくい2)プリントを多数重ねて長時間保存したり、アルバムに長期間保存してもプリント同士あるいは、アルバムシートに対するくっつきが起こらない3)定着後の画像はボールペン、サインペン、マジック、万年筆等での筆記性に優れていた【0192】
【発明の効果】本発明により、銀塩写真に匹敵する高い光沢を有する高画質のインクジェット顔料画像を得ることができ、かつブロンジングの抑制、耐水性、耐酸化ガス耐性に優れた、更に高速で銀塩写真に近いインクジェット顔料画像とその記録方法を実現できた。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
【出願日】 平成14年7月2日(2002.7.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−103898(P2003−103898A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2002−193274(P2002−193274)