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【発明の名称】 多孔質印字体へのインキ充填方法
【発明者】 【氏名】石川 宏敏
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区天塚町4丁目69番地 シヤチハタ株式会社内

【要約】 【課題】手指やホルダー等をインキで汚すことなく印判用のインキを多孔質印字体全体に迅速かつ均一に充填でき、容易に浸透印を得ることができるインキ充填方法を提供する。

【解決手段】連続気泡を有する多孔質印字体1にインキを充填する方法であって、インキを保持させた状態のインキタンク2及び多孔質印字体1より低融点のプラスチックフィルムをもって前記インキタンクと前記多孔質印字体1を隔離しつつ当接させると共に、前記プラスチックフィルムの少なくとも一部に電磁波吸収発熱材を接触させておき、直接又は間接的に高周波又はマイクロ波を照射して前記電磁波吸収発熱材を発熱させて前記プラスチックフィルムを溶融させ、前記インキタンク2のインキを前記多孔質印字体1に移行させることを特徴とするインキ充填方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連続気泡を有する多孔質印字体にインキを充填する方法であって、インキを保持させた状態のインキタンク及び多孔質印字体より低融点のプラスチックフィルムをもって前記インキタンクと前記多孔質印字体を隔離しつつ当接させると共に、前記プラスチックフィルムの少なくとも一部に電磁波吸収発熱材を接触させておき、直接又は間接的に高周波又はマイクロ波を照射して前記電磁波吸収発熱材を発熱させて前記プラスチックフィルムを溶融させ、前記インキタンクのインキを前記多孔質印字体に移行させることを特徴とするインキ充填方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続気泡を有する多孔質印字体にインキを充填する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、連続気泡を有する多孔質印字体にインキを充填するためには、インキ浴中に多孔質印字体を浸し、その後真空装置などを使用して、多孔質印字体の圧縮・開放を繰り返すことによって、インキを含浸させていた。しかし、この方法はインキ含浸機やインキ量調整装置などの機器が必要となる上、インキ含浸後の多孔質印字体を印判ホルダー等に組み入れるため、作業性が悪く、かつ、周囲をインキで汚してしまう欠点があった。そこで、多孔質印字体を印判ホルダー等に組み入れた後、インキを充填する方法が発明され、実開昭52−153427号、特開平6−191133号、特開平11−115294号などが知られている。実開昭52−153427号は、まず初めにインキ壷からインキ吸蔵体へインキを移動させなければならないので、印版に迅速にインキを供給することができない欠点があった。特開平6−191133号は、インキを含浸していない多孔質印字体とインキを含浸させたタンク部材を重ねて印判ホルダー等に組み入れ、タンク部材のインキを多孔質印字体に移行させる方法であるが、タンク部材にはあらかじめインキが含浸されているため、手指やホルダー等をインキで汚してしまう欠点があった。特開平11−115294号は、多孔質印字体の印面からインキを吸収させる方法であるが、通常の浸透印はインキ吸蔵体から印面に向かってインキを移行させるためにインキ吸蔵体から印面に向かって毛細管力が働くように徐々に気孔径・気孔率を小さく設定していくことが常識であるので、印面から吸収させたインキは多孔質印字体表層で止まってしまって内部まで浸透せず、連続押印可能なインキ内蔵型浸透印にはならない欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点を鑑み、手指やホルダー等をインキで汚すことなく印判用のインキを多孔質印字体全体に迅速かつ均一に充填でき、容易に浸透印を得ることができるインキ充填方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】連続気泡を有する多孔質印字体にインキを充填する方法であって、インキを保持させた状態のインキタンク及び多孔質印字体より低融点のプラスチックフィルムをもって前記インキタンクと前記多孔質印字体を隔離しつつ当接させると共に、前記プラスチックフィルムの少なくとも一部に電磁波吸収発熱材を接触させておき、直接又は間接的に高周波又はマイクロ波を照射して前記電磁波吸収発熱材を発熱させて前記プラスチックフィルムを溶融させ、前記インキタンクのインキを前記多孔質印字体に移行させることを特徴とするインキ充填方法である。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いる多孔質印字体は、原材料として熱可塑性樹脂やゴムを使用し、これを充填材・気泡形成材・添加剤などと共に混練し、従来公知の技術を用いて連続気泡化すると共に彫刻加工・レーザ加工・プレス加工などで印面を加工して作成される。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリブチレン・ポリウレタン・ポリスチレン・ポリ塩化ビニル・ポリエチレン系熱可塑性エラストマー・ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー・ポリブチレン系熱可塑性エラストマー・ポリウレタン系熱可塑性エラストマー・ポリスチレン系熱可塑性エラストマー・ポリジエン系熱可塑性エラストマー・ポリ塩化物系熱可塑性エラストマーなどを用いることができ、ゴムとしては、天然ゴム・スチレン−ブタジエンゴム・アクリロニトリル−ブタジエンゴム・クロロプレンゴム・EPDM・シリコーンゴム・フッ素系ゴムなどを用いることができる。
【0006】本発明に用いるインキタンクは、インキ保持材にインキを含浸させたものや、後述するプラスチックフィルムにインキを直接包含させたものなどを用いることができる。インキ保持材としては、前記多孔質印字体と同様の多孔質熱可塑性樹脂や多孔質ゴム、その他にフェルトなどを使用することができ、これらにインキを含浸させてインキタンクとする。熱可塑性樹脂としてはポリエチレン・ポリプロピレン・ポリブチレン・ポリウレタン・ポリスチレン・ポリ塩化ビニル・ポリエチレン系熱可塑性エラストマー・ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー・ポリブチレン系熱可塑性エラストマー・ポリウレタン系熱可塑性エラストマー・ポリスチレン系熱可塑性エラストマー・ポリジエン系熱可塑性エラストマー・ポリ塩化物系熱可塑性エラストマーなどを用いることができ、ゴムとしては天然ゴム・スチレン−ブタジエンゴム・アクリロニトリル−ブタジエンゴム・クロロプレンゴム・EPDM・シリコーンゴム・フッ素系ゴムなどを用いることができ、フェルトとしては綿・羊毛・化学繊維などを用いることができる。また、プラスチックフィルム製容器にインキを注入してもインキタンクにすることができる。
【0007】次に、本発明で用いることができるインキについて説明する。本発明で用いることができるインキは、通常浸透印に用いられるインキであれば、特に問題なく使用することができる。溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの極性溶剤や、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素や、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのグリコール系溶剤や、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸や、ひまし油、アルキレンオキサイドによりひまし油を変性したひまし油脂肪酸多価アルコールエーテルや、アルコールによりひまし油を変性したひまし油脂肪酸アルキルエステルなどのひまし油脂肪酸誘導体や、流動パラフィン、マシン油、グリセリンなどの非極性溶剤を使用することができる。本発明では、前記極性溶剤や前記非極性溶剤を単独又は混合して用いることができる。
【0008】着色剤としては、前記溶剤に溶解又は分散するものであれば公知のすべての着色剤を選択することができ、酸性染料、塩基性染料、直接染料、含金染料、蛍光染料、蛍光増白剤、蓄光剤、夜光剤、示温染料などの染料や、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ・チオインジゴ系、ベリノン・ベリレン系、イソインドレノン系、アゾメチレンアゾ系、蛍光顔料などの有機顔料、カーボンブラック、マイカ、チタン白、パール顔料、酸化鉄・アルミニウム粉・真鍮等金属顔料、ラメなどの無機顔料を用いることができる。また顔料は前記樹脂に練り込んで加工顔料としておくと、溶剤と混合する際に容易に分散するので便利である。また、既に樹脂に顔料を練り込んである市販の加工顔料を用いてもよく、キャリアレジンとしてエチルセルロースを用いたマイクロリス Yellow 4G−A・マイクロリス Scarlet R−A・マイクロリス Blue 4G−A・マイクロリス Black C−A、キャリアレジンとして塩ビ・酢ビコポリマーを用いたマイクロリス Yellow 3G−KP・マイクロリス DDP Red B−k・マイクロリス Blue 4G−k・マイクロリス Black C−KP、キャリアレジンとしてロジンエステルを用いたマイクロリス Yellow 2G−T・マイクロリス RedBR−T・マイクロリス Green G−T・マイクロリス Black C−A(以上、チバガイギー社製加工顔料)なども用いることができる。
【0009】前記インキには必要に応じて、ガムロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、セラック、キシレン樹脂、クマロン樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロースなどの樹脂や、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンナトリウム塩、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンアルキルアミン塩などの防腐防かび剤や、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの消泡剤、紫外線吸収剤等の添加剤などを使用できる。印判用インキとしては、特開平9−316378号や特開2000−239592号などが知られており、これらのインキを使用することもできる。
【0010】次に、インキタンクと多孔質印字体を隔離するプラスチックフィルムについて説明する。本発明に用いるプラスチックフィルムは、インキを保持させた状態のインキタンクよりも低融点であって、かつ、多孔質印字体よりも低融点である必要がある。プラスチックフィルムよりも先にインキタンクや多孔質印字体が溶融すると印判が得られないからである。よって、この条件を満たすものであればプラスチック素材の種類は特に問わない。具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、塩化ビニルフィルム、塩化ビニリデンフィルム、熱可塑性エラストマーフィルムなどを例示することができる。
【0011】次に、前記プラスチックフィルムの少なくとも一部に接触させておく電磁波吸収発熱材について説明する。本発明に用いる電磁波吸収発熱材は、高周波又はマイクロ波を吸収して発熱するものであって、その発熱によって前記プラスチックフィルムを溶融するものである。例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの極性溶剤を染み込ませた綿布や極微細繊維布、極薄シート化したカーボングラファイト、カーボングラファイトと粘土の混合物、カーボンナノチューブなどを用いることができる。当該電磁波吸収発熱材は、プラスチックフィルムを溶融し、溶融部分からインキタンクのインキを多孔質印字体に移行させる必要があるので、前記プラスチックフィルムの少なくとも一部に接触させておく。
【0012】本発明では前記電磁波吸収発熱材を発熱するために高周波発生装置やマイクロ波発生装置を用いる。具体的には、産業用高周波オーブン、業務用マイクロウエーブオーブン、家庭用電子レンジなどとして市販されている各装置を用いることができる。高周波としては1MHz〜300MHzの周波数を用いることができ、マイクロ波としては300MHz〜300GHzの周波数を用いることができる。
【0013】次に、多孔質印字体にインキを充填する方法について説明する。まず、プラスチックフィルムをもって極性溶剤を含有するインキを含浸させたインキタンクと多孔質印字体を隔離しつつ当接させる。これは例えば、インキタンクと多孔質印字体の間にプラスチックフィルムを挟んで両者を隔離しつつ当接させた後に極性溶剤を含有するインキをインキタンクへ含浸させる方法や、極性溶剤を含有するインキを保持させたインキタンクをプラスチックフィルムで覆った後に当該インキタンクと多孔質印字体を接触させる方法や、プラスチックフィルム製容器に直接インキを保持させる方法などがある。この際、電磁波吸収発熱材をプラスチックフィルムの少なくとも一部に接触させておく。例えば、プラスチックフィルムと多孔質印字体の間に電磁波吸収発熱材を位置させても良いし、プラスチックフィルムとインクタンクの間に電磁波吸収発熱材を位置させても良い。次に、直接又は間接的に高周波又はマイクロ波を照射し、前記電磁波吸収発熱材を発熱させる。そうするとプラスチックフィルムが溶融し、その溶融部分からインキが多孔質印字体に向かって移行し始める。一旦移行を開始したインキは毛細管力による相乗効果と相俟って移行するので、多孔質印字体内部の途中で停止することはなく、印面に到達するまで移行を停止しない。よって、多孔質印字体全体にインキが迅速、かつ、均一に充填することが可能となる。本発明ではインキタンクと多孔質印字体を印判ホルダー等に組み付ける前に高周波又はマイクロ波を照射できるばかりでなく、印判ホルダー等にインキタンクと多孔質印字体を組み付けた後に高周波又はマイクロ波を照射しても良好な結果が得られる。また、インキタンクにインキを導入するには、インキタンクに直接インキを注入する方法や、インキを含んだフェルト等にインキタンクを接触させる方法などがとられる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
(実施例1)原料としてシリコーンゴムを用い、公知の溶出法によって連続気泡化した厚さ3mmのシリコーンゴム製多孔質シートを作成し、これを所要のサイズに切断してインキタンクを得る。当該インキタンクは、後述の多孔質印字体より気孔径・気孔率が共に大きく毛細管現象により多孔質印字体へインキを移行することができるように設定しておく。次に、インキタンクの下面にローデンポリエチレンフィルムを配し、ホルダーに保持させる。次に、補充口からエチレングリコールとヒマシ油を主溶剤とするインキを滴下し、インキタンクにインキを含浸させる。次に、原料としてシリコーンゴムを用い、公知の溶出法によって連続気泡化した厚さ2mmの多孔質シートを作成し、これをレーザ加工機を用いて活字の高さが1mmとなるように印面を彫刻した後、所要のサイズに切断して本実施例に用いる多孔質印字体を得る。次に、カーボングラファイトと粘土の混合物である鉛筆芯粉を円形極薄シート化して電磁波吸収発熱材とし、多孔質印字体の上部に複数個乗せて図1のようにホルダーに保持させると共に、インキタンクと多孔質印字体の間にローデンポリエチレンフィルムを挟んで両者を隔離しつつ当接させるようにする。次に、これをマイクロウエーブオーブンに入れ、出力500Wでマイクロ波を照射する。そうすると電磁波吸収発熱材が発熱し、ローデンポリエチレンフィルムを溶融させる。当該フィルムが溶融すると溶融部分からインキタンク内のインキが移行を開始する。一旦移行を開始したインキは、毛細管力による相乗効果と相俟って移行するので、多孔質印字体内部の途中で停止することなく、多孔質印字体の印面まで到達し、インキの充填が完了する。
【0015】(実施例2)原料としてアクリロニトリル−ブタジエンゴムを用い、公知の溶出法によって連続気泡化した厚さ3mmの多孔質シートを作成する。これをレーザ加工機を用いて活字の高さが1mmとなるように印面を彫刻した後、所要のサイズに切断して本実施例に用いる多孔質印字体を得る。当該多孔質印字体は、印面に向かうほど気孔径・気孔率が小さくなっていき毛細管現象により多孔質印字体内部から印面へインキが移行できるように設定しておく。次に、連続気泡化した厚さ5mmのポリアセタール多孔質シートを作成し、これを所要のサイズに切断してインキタンクを得る。当該インキタンクは、前記多孔質印字体より気孔径・気孔率が共に大きく毛細管現象により多孔質印字体へインキを移行することができるように設定しておく。次に、エタノールとヒマシ油をエタノール:ヒマシ油=100:20の重量比となるようにした混合溶剤を前記インキタンクに含浸させる。次に、前記インキタンクの下面に水を染み込ませた綿布小片を複数個配置させつつ塩化ビニルフィルムで覆う。次に、前記多孔質印字体と前記インキタンクを前記綿布が挟み込まれるようにしながら重ね合わせた後、図1のようにホルダーに保持させる。次に、これを高周波オーブンに入れ、出力500Wで高周波を照射する。そうすると水が発熱し、塩化ビニルフィルムを溶融させる。当該フィルムが溶融すると溶融部分からインキタンク内のインキが移行を開始する。一旦移行を開始したインキは、毛細管力による相乗効果と相俟って移行するので、多孔質印字体内部の途中で停止することなく、多孔質印字体の印面まで到達し、インキの充填が完了する。
【0016】(実施例3)原料としてポリエチレンを用い、公知の溶出法によって連続気泡化した厚さ2mmの多孔質シートを作成する。これをレーザ加工機を用いて活字以外の部分を溶融し、非溶融部分を印面となるように彫刻した後、所要のサイズに切断して本実施例に用いる多孔質印字体を得る。次に、ローデンポリエチレンフィルム製容器を準備し、水とグリセリンとジエチレングリコールモノブチルエーテルと染料とからなるインキを当該容器に注入し、本実施例に用いるインキタンクを得る。次に、前記多孔質印字体と前記インキタンクの間に格子状の極薄カーボンシートを挟み込みつつ両者を重ね合わせた後、図1のようにホルダーに保持させる。次に、これをマイクロウエーブオーブンに入れ、出力500Wでマイクロ波を照射する。そうするとカーボンが発熱し、ローデンポリエチレンフィルムが溶融する。当該フィルムが溶融すると溶融部分からインキタンク内のインキが移行を開始する。一旦移行を開始したインキは、毛細管力による相乗効果と相俟って移行するので、多孔質印字体内部の途中で停止することなく、多孔質印字体の印面まで到達し、インキの充填が完了する。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、インキを含浸させたインキタンクを直接触ることがないので、手指やホルダー等をインキで汚すことなく印判を作成することができ、また、組み付けた印判に直接または間接的にマイクロ波または高周波を照射するだけでフィルムが溶解し、印判用インキを多孔質印字体全体に迅速かつ均一に充填できるものである。また、インキタンクへのインキ含浸工程と多孔性印字体の印面作成工程を時と場所を別にして行うことができるので、あらかじめインキタンクのみをホルダーに組み付けた仕掛かり品を小売店などに供給すれば、小売店で個別に印面作成を行なうだけで容易に印判の作成が可能となる優れた効果を有するものである。
【0018】
【出願人】 【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区天塚町4丁目69番地
【出願日】 平成14年5月24日(2002.5.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−341204(P2003−341204A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−150134(P2002−150134)