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【発明の名称】 スタンプ作成装置及びこれに用いられる樹脂フィルムカセット
【発明者】 【氏名】小林 慎治
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー工業株式会社内

【氏名】安井 淳一
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー工業株式会社内

【氏名】今牧 照雄
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー工業株式会社内

【要約】 【課題】サーマルヘッドに塵埃が付着するのを防止するとともにサーマルヘッドがスティッキングするのを防止する。

【解決手段】サイズ検出スイッチ53によってスタンプ作成装置に装着されているスタンプユニットのサイズ表示部の形状を検出し、CPU41はこの検出結果を基にスタンプユニットの印面サイズを検出する。そして、スタンプユニットの印面に所定の画像を形成し終えた後、フィルム巻き取りモータ52を制御してサイズ検出スイッチ53によって検出された印面サイズより若干多く製版フィルムを搬送する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像データに基づいた選択的な加熱によって印材にインク滲出領域とインク非滲出領域とを混在させるサーマルヘッドと、長尺の樹脂フィルムを印材の表面に沿って搬送した後に回収するためのフィルム搬送機構と、前記サーマルヘッドを樹脂フィルムを介して印材に圧接させるためのヘッド圧接手段と、印材の加熱時に前記サーマルヘッドが未使用の樹脂フィルムを介して印材を圧接するように前記フィルム搬送機構及び前記ヘッド圧接手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするスタンプ作成装置。
【請求項2】 印材のサイズを検出するためのサイズ検出手段をさらに備えており、前記制御手段は、印材の加熱時に前記樹脂フィルムが搬送されず、且つ、印材の非加熱時に前記サイズ検出手段で検出された印材のサイズに応じた距離だけ前記樹脂フィルムが搬送されるように前記フィルム搬送機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のスタンプ作成装置。
【請求項3】 前記サーマルヘッドが印材に対して相対的に移動するラインヘッドであり、前記制御手段は、印材の加熱終了後に前記サーマルヘッドが元の位置に戻るのに合わせて前記樹脂フィルムが搬送されるように前記フィルム搬送機構を制御することを特徴とする請求項2に記載のスタンプ作成装置。
【請求項4】 未使用の前記樹脂フィルムが巻装されたフィルム供給スプールと、使用後の前記樹脂フィルムが巻き取られるフィルム巻き取りスプールとを備えている、請求項1〜3のいずれか1項のスタンプ作成装置に用いられる樹脂フィルムカセット。
【請求項5】 前記樹脂フィルムの表面に潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂フィルムカセット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印面をサーマルヘッドによって選択的に加熱することでスタンプを作成するスタンプ作成装置、及びそのスタンプ作成装置に用いられる樹脂フィルムを収容した樹脂フィルムカセットに関する。
【0002】
【従来の技術】スタンプを捺印する際、その度にスタンプの印面にインクを付着させる手間を省くために、連続気泡を有する多孔性樹脂からなる印材を利用し、予め印材にインクを吸蔵させたスタンプが知られている。このようなスタンプをスタンプ作成装置において作成する場合、所望の画像データに基づいてスタンプの印面をサーマルヘッドによって選択的に加熱することで多孔性樹脂の孔を塞ぎ、これによって印面(印材表面)にインクが滲み出すインク滲出領域(多孔性樹脂の孔が塞がれていない領域)とインクが滲み出さないインク非滲出領域(多孔性樹脂の孔が塞がれた領域)とを混在させてスタンプを作成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、サーマルヘッドをスタンプの印面に直接圧接した場合、スタンプの印面に付着していた塵埃がサーマルヘッドに付着してサーマルヘッドが汚れるという問題がある。また、サーマルヘッドをスタンプの印面に圧接した状態でサーマルヘッドを印材に対して相対的に移動させようとするとサーマルヘッドがスティッキングするという問題がある。
【0004】この対策として、サーマルヘッドを樹脂フィルムを介してスタンプの印面に圧接させる手段があるが、樹脂フィルムは一度使用するとサーマルヘッドの熱によって損傷するため、樹脂フィルムの一度使用した箇所を再度使用すると、直接サーマルヘッドを印面に圧接する場合と同様に、サーマルヘッドがスティッキングするという問題がある。
【0005】本発明は、サーマルヘッドに塵埃が付着するのを防止するとともにサーマルヘッドがスティッキングするのを防止することができるスタンプ作成装置及びこれに用いられる樹脂フィルムカセットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のスタンプ作成装置は、画像データに基づいた選択的な加熱によって印材にインク滲出領域とインク非滲出領域とを混在させるサーマルヘッドと、長尺の樹脂フィルムを印材の表面に沿って搬送した後に回収するためのフィルム搬送機構と、前記サーマルヘッドを樹脂フィルムを介して印材に圧接させるためのヘッド圧接手段と、印材の加熱時に前記サーマルヘッドが未使用の樹脂フィルムを介して印材を圧接するように前記フィルム搬送機構及び前記ヘッド圧接手段を制御する制御手段とを備えている。
【0007】請求項1によると、サーマルヘッドからの熱による変形を起こしていない未使用の樹脂フィルムを介して印材がサーマルヘッドによって圧接されるので、印材表面の塵埃がサーマルヘッドに付着するのを防止することができると共に印材によるサーマルヘッドのスティッキングを確実に抑制することができる。
【0008】請求項2に記載のスタンプ作成装置は、印材のサイズを検出するためのサイズ検出手段をさらに備えており、前記制御手段は、印材の加熱時に前記樹脂フィルムが搬送されず、且つ、印材の非加熱時に前記サイズ検出手段で検出された印材のサイズに応じた距離だけ前記樹脂フィルムが搬送されるように前記フィルム搬送機構を制御することを特徴とする。請求項2によると、樹脂フィルムを効率よく使用することができる。
【0009】請求項3に記載のスタンプ作成装置は、前記サーマルヘッドが印材に対して相対的に移動するラインヘッドであり、前記制御手段は、印材の加熱終了後に前記サーマルヘッドが元の位置に戻るのに合わせて前記樹脂フィルムが搬送されるように前記フィルム搬送機構を制御することを特徴とする。請求項3によると、樹脂フィルムの搬送を印材の加熱終了後のサーマルヘッドの移動に合わせて行うようにしたことにより、印材の製版間隔を短くすることができ、処理能力の向上を図ることが可能となる。
【0010】請求項4に記載の樹脂フィルムカセットは、未使用の前記樹脂フィルムが巻装されたフィルム供給スプールと、使用後の前記樹脂フィルムが巻き取られるフィルム巻き取りスプールとを備えている、請求項1〜3のいずれか1項のスタンプ作成装置に用いられることを特徴とする。請求項4によると、樹脂フィルムをスタンプ作成装置内の所定位置に配置するのが容易になる。
【0011】請求項5に記載の樹脂フィルムカセットは、前記樹脂フィルムの表面に潤滑剤が塗布されていることを特徴とする。請求項5によると、潤滑剤のためにスティッキング抑制効果を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係るスタンプ作成装置について図面を参照しつつ説明する。
【0013】スタンプ作成装置の装置構成について図1を参照しつつ説明する。図1は、スタンプユニット9を装着した状態におけるスタンプ作成装置1の外観を示す斜視図である。図1に示したスタンプ作成装置1は、本体フレーム2と、本体フレーム2の前面部に設けられたキーボード3及び液晶ディスプレイ4と、開閉扉5とを備えているとともに、本体フレーム2の後部に設けられた印刷ユニット6と、本体フレーム2内に設けられた制御ユニット7とを備えている。本体フレーム2の後部側方に設けられた前記開放扉5により本体フレーム2の内部の印刷ユニット6の側方が外部に開放され、後述のスタンプユニット9が横方向から装着される。
【0014】キーボード3には、図示を省略しているが、仮名キーとアルファベットキー兼用の複数の文字キーと複数の記号キーとを含む文字記号キー、種々のファンクションキー(カーソル移動キー、実行キー、改行キーなど)、メインスイッチなどが設けられている。また、液晶ディスプレイ4は、スタンプ作成装置1のユーザ(スタンプ製造業者、スタンプ販売業者など)がキーボード3を利用して入力した入力データやスタンプ作成装置1に接続されたパーソナルコンピュータなどの各種接続機器から送られてくる送信データを複数行に表示可能に構成されている。
【0015】以下、本体フレーム2の後部に設けられた印刷ユニット6について図面を参照しつつ説明する。図2及び図3に示すように、サブフレーム11の右端壁11aには、最大サイズのスタンプユニットを挿入可能な開口Pが形成されている。この右端壁11aは前記開閉扉5に面してプリンタ内に配置されており、開口Pをスタンプユニット9が通過して本体フレーム2内に装着されるのである。
【0016】サブフレーム11の下部には、右端壁11aから左端壁11bへわたって左右方向に延びるキャリッジ12を案内するガイドロッド13が取り付けられている。また、サブフレーム11の下部には右端壁11aから左端壁11bにわたって左右方向に延びるとともに、キャリッジ12を案内し、且つ、キャリッジ12に搭載されるサーマルヘッド15の位置を切り換えるカム体16を操作するためのヘッド切換ロッド14が取り付けられており、カム体16はヘッド切換ロッド14に回動不能且つ軸方向へスライド自在に装着されている。
【0017】キャリッジ12には、カム当接板17とヘッド放熱板18とが、前後方向に配置された支軸19により上下揺動自在に装着され、ヘッド放熱板18にはサーマルヘッド15が固定されている。ヘッド放熱板18は、これに固定されたピン20に取り付けられたバネ21によって、カム当接板17に対して上方へ弾性付勢されている。
【0018】カム体16は、楕円状に形成されており、カム当接板17の下面に当接されている。ヘッド切換ロッド14を回動させてカム体16を横向きの姿勢(楕円の長軸が水平方向となる姿勢)にすると、サーマルヘッド15はヘッド放熱板18とともに下方へ移動し、サーマルヘッド15がスタンプユニットから離れた状態などのヘッドリリース状態となる。また、ヘッド切換ロッド14を回動させてカム体16を縦向きの姿勢(楕円の短軸が水平方向となる姿勢)にすると、サーマルヘッド15はヘッド放熱板18とともに上方へ移動し、サーマルヘッド15は、多孔性樹脂スタンプの製版時の位置へ移動する(ヘッド圧接状態)。
【0019】ヘッド切換ロッド14の右端部には、サブフレーム11の右端壁11aの外側にギア22が設けられており、ヘッド圧接モータ76によりギア22が回転され、ギア22の回転角度に応じてカム体16が横向きの姿勢、及び縦向きの姿勢の何れかに切り換えられる。これらのカム体16、ヘッド切換ロッド14、ヘッド圧接モータ76などによりヘッド圧接手段が構成される。
【0020】サブフレーム11の前壁11cには、キャリッジ12を駆動するキャリッジ送りモータ51が付設されており、キャリッジ送りモータ51の回転駆動力が、キャリッジ12のラック12aに噛合した不図示の駆動ギア等を介してキャリッジ12に伝達され、キャリッジ12が左右方向へ移動する。尚、キャリッジ12の原点位置(初期の待機位置)は図4に示すようにサブフレーム11の右端壁11a側である。
【0021】サブフレーム11の前壁11cには、製版フィルムカセット8のフィルム供給スプール35が嵌合され且つ回転可能な供給スプール回転体23、及び製版フィルムカセット8のフィルム巻き取りスプール36が嵌合され且つフィルム巻き取りモータ(図5参照)の駆動力により回転する巻き取りスプール回転体24が付設されている。
【0022】サブフレーム11には、スタンプユニットの夫々に形成されたサイズ表示部61の形状を検出するサイズ検出スイッチ53(図5参照)が付設されている。このサイズ検出スイッチ53は、複数のスイッチ(本実施の形態では4つのスイッチ)からなり、そのスイッチの状態(押された状態になっているか、押されていない状態になっているか)を制御ユニット7のCPU41(図5参照)へ出力する。CPU41は、サイズ検出スイッチ53のスイッチの状態からスタンプユニットの印面サイズ(印材のサイズ)を判別する。
【0023】製版フィルムカセット8がスタンプ作成装置1にセットされているか否かを検出するカセット検出スイッチ54(図5参照)が、製版フィルム8の架橋部34に押される位置に配置されている。カセット検出スイッチ54は、1つのスイッチからなるものであってスイッチの状態(押された状態となっているか、押されていない状態となっているか)を制御ユニット7のCPU41へ出力する。CPU41は、スイッチが押された状態の場合に製版フィルムカセット8がセットされていると判定し、スイッチが押されていない状態の場合に製版フィルムカセット8が装着されていないと判定する。
【0024】サーマルヘッド15は、複数の発熱素子、例えば128個の発熱素子が前後方向に1列に配列されたラインヘッドであって、複数の発熱素子の両端に位置する発熱素子間の間隔が最大の印面サイズにおける縦方向の寸法より大きくなっている。
【0025】製版フィルムカセット8は、図2に示すように、カセット本体部31と、長尺の未使用の製版フィルム(樹脂フィルム)37が巻装された円筒状のフィルム供給スプール35と、使用後の製版フィルム37が巻き取られる円筒状の巻き取りスプール36とを備えており、製版フィルム37はフィルム供給スプール35側(上流側)から巻き取りスプール36側(下流側)へ搬送される。カセット本体部31は、フィルム供給スプール35を収容する供給スプール収容部32と、フィルム巻き取りスプール36を収容する巻き取りスプール収容部33と、供給スプール収容部32と巻き取りスプール収容部33との間に位置し長方形の孔が形成された架橋部34とが一体に形成されたものである。製版フィルムカセット8は、供給スプール収容部32に収容されたフィルム供給スプール35が供給スプール回転体23と嵌合するように且つ巻き取りスプール収容部33に収容されたフィルム巻き取りスプール36が巻き取りスプール回転体24と嵌合するように装着される。そして、スタンプユニット9の装着時にはその印面に平行となっており、且つその印面とサーマルヘッド15との間に製版フィルム37が位置する。従って、スタンプの製版時、サーマルヘッド15は製版フィルム15を介してスタンプユニット9の印面に圧接されることになる。
【0026】製版フィルム37は、サーマルヘッド15側から、例えば厚さ0.8μmのシリコン系樹脂などの背面処理材(潤滑材)、例えば厚さ6μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を材質とするフィルム、及び例えば厚さ0.8μmのシリコン系樹脂などの背面処理剤(潤滑材)の三層で構成されている。そして、製版フィルム37は、PETを材質とするフィルムの両面に背面処理剤(潤滑材)を塗布することで三層に作られる。尚、フィルムの材質としてPETの代りに、HDPE(高密度ポリエチレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などであってもよい。
【0027】上述したような製版フィルムカセット8は、単体でスタンプ作成装置1に着脱可能である。例えば、製版フィルムカセット8に収められた製版フィルム37の未使用で残っている部分が次のスタンプユニットの製版に必要な量より少なくなっている場合にはユーザは使用していた製版フィルムカセット8をスタンプ作成装置1から取り外し、新しい製版フィルムカセット8を取り付けることができるようになっている。
【0028】以下、本体フレーム2内に設けられた制御ユニット7について図5を参照しつつ説明する。図5にブロック図を示した制御ユニット7は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、CG−ROM44と、入力インタフェース(入力I/F)45と、出力インタフェース(出力I/F)46と、スタンプ作成装置1にパーソナルコンピュータ(PC)48を接続するためのPCインタフェース(PCI/F)47とを備えている。入力I/F45には、キーボード3と、サイズ検出スイッチ(サイズ検出手段)53と、カセット検出スイッチ54が接続されているとともに、サーマルヘッド15が原点位置にあるか否かを検出する原点検出スイッチ55と、スタンプ作成装置1内の温度を検出する温度センサ56とが接続されている。また、出力I/F46には、サーマルヘッド15を駆動するヘッド駆動回路57と、キャリッジ送りモータ51を駆動するモータ駆動回路58と、フィルム巻き取りモータ52を駆動するモータ駆動回路59と、液晶ディスプレイ4を駆動するディスプレイ駆動回路60と、ヘッド圧接モータ76を駆動する圧接モータ駆動回路75とが接続されている。
【0029】ROM42は、スタンプ作成装置1の全体の作動を制御するための制御プログラムを格納しているプログラムメモリ、仮名/漢字変換等のための辞書データを格納している辞書メモリなどからなる。RAM43は、キーボード3から入力された入力データを格納する入力バッファ、サーマルヘッド15の発熱素子をオン状態にする位置に対応するドットパターンのデータを格納する印刷バッファ、CPU41が作業を行うワークエリアなどからなる。CG−ROM44には、印刷又は表示の対象となる多数のキャラクタのドットパターンのデータがそのキャラクタのコードデータに対応付けて格納されている。
【0030】CPU(制御手段)41は、主に以下のような制御及び演算を行う。CPU41は、キーボード3からの押下信号に基づいてROM42の辞書メモリの内容を参照しつつユーザによる入力データをRAM43の入力バッファに格納する。また、CPU41は、カセット検出スイッチ54による検出結果を基に、スタンプ作成装置1に製版フィルムカセット8が装着されているか否かを判別する。さらに、CPU41は、サイズ検出スイッチ53による検出結果を基に、スタンプ作成装置1に装着されたスタンプユニット9の印面サイズを判定する。
【0031】CPU41は、RAM43の入力バッファに格納されている入力データ及びCG−ROM44に格納されているキャラクタのドットパターンのデータ等から、サイズ検出スイッチ53による検出結果から判別されたスタンプユニット9の印面サイズに応じた印面のドットデータ(多孔性樹脂の孔を塞ぐ位置に対応するドットパターン)を作成し、作成した印面のドットデータをRAM43の印刷バッファに格納する。
【0032】CPU41は、サブフレーム11の右端壁11a側の初期の待機位置(原点位置:図4中の実線の位置)にあるサーマルヘッド15を未使用の製版フィルム37を介してスタンプユニット9の多孔性樹脂に圧接する。その後、CPU41は、スタンプの製版時(印材である多孔性樹脂の加熱時)には製版フィルムカセット8の製版フィルム37を搬送することなく、RAM43の印刷バッファに格納されている印面のドットデータを一列ずつ読み出して、その読み出した一列のドットデータに基づいてサーマルヘッド15の発熱素子のオン状態とオフ状態を制御するとともに温度センサ56による検出結果である温度に基づいてサーマルヘッド15の発熱素子への印加エネルギを制御して、スタンプユニット9の多孔性樹脂の孔を塞いで印面にドットパターンを形成する。これに合わせて、CPU41は、多孔性樹脂に圧接した後のサーマルヘッド15をサブフレーム11の左端壁11b側(図4中の点線側)へと移動させる。
【0033】CPU41は、サーマルヘッド15をスタンプユニット9の多孔性樹脂からリリースする(圧接解除する)とともに、CPU41は、原点位置検出スイッチ55による検出結果を参照しながら、キャリッジ12を右側へ移動させてサーマルヘッド15を前記初期の待機位置(原点位置)に戻す制御を行う。それに合わせて、CPU41は、サイズ検出スイッチ53の検出結果に基づいて判別されたスタンプユニット9の印面サイズに応じた量(例えば、印面サイズより若干大きい長さ)だけ製版フィルム37をフィルム巻き取りスプール36に巻き取る。尚、モータ駆動回路59とフィルム巻と取りモータ52とが一体となって製版フィルム37を印面に沿って搬送するフィルム搬送機構として機能している。
【0034】以下、上述したスタンプ作成装置1に使用されるスタンプユニット9について図面を参照しつつ説明する。図6に斜視図を示すスタンプユニット9は、スタンプユニット9を手で掴むための把持部61と、把持部61に固定するように連結されるスタンプ部62と、スタンプ部62の外周側を覆うスカート部材63とを備えている。スタンプ印面を保護するための不図示の保護キャップがスカート部材63の外周壁部に内嵌されて支持される。把持部61の頂部には、スタンプ印面の内容等を印刷したラベルを添付するための凹部61aが形成されている。また、スタンプ部62は、下面側に浅い凹部を備えた合成樹脂製の基部材と、基部材の凹部に装着された油性インクを含浸させるための含浸体と、含浸体の下面に取り付けられたと多孔性樹脂等とで構成されている。
【0035】スカート部材63は、把持部61とスタンプ本体部62に対して昇降自在に付設されている。スカート部材63の前壁63a及び後壁63bの夫々の対応する個所には、スタンプユニット9の印面サイズに応じて予め定められた形状のサイズ表示部71が形成されている。このサイズ表示部71は、このサイズ表示部71の形状をサイズ検出スイッチ53が検出し、この検出結果をCPU41が解析しスタンプユニットの印面サイズの判別を可能にするためのものである。
【0036】サイズ表示部71は、最大4つの凹部からなり、その凹部となっていない部分がサイズ検出スイッチ53の4つのスイッチを押すことになる。サイズ検出スイッチ53の4つのスイッチをその一方からスイッチB1、スイッチB2、スイッチB3、スイッチB4とすると、例えば印面サイズが縦10mm×横10mmの場合には、スイッチB1がON(スイッチが押されている状態)、スイッチB2がON、スイッチB3がON、スイッチB4がONとなるように、サイズ表示部71が形成されている。また印面サイズが縦12mm×横12mmの場合には、スイッチB1がOFF(スイッチが押されていない状態)、スイッチB2がON、スイッチB3がON、スイッチB4がONとなるように、サイズ表示部71が形成されている。このように、各印面サイズのスタンプのサイズ表示部71が互いに異なるサイズ検出スイッチ53のスイッチを押すように、サイズ表示部71を形成している。
【0037】スタンプユニット9のスタンプ部62の右側(スタンプ部62の製版フィルム37が搬送される下流側)が、印面サイズにかかわらず、スタンプ作成装置1の装着時にスタンプ作成装置1に対して同じ位置になるように、スタンプユニット9はスタンプ作成装置1に保持される。このようにスタンプユニット9を保持することで、スタンプユニット9の印面サイズに対応した量だけ製版フィルム37を搬送すれば、次の製版対象のスタンプユニット9の印面サイズにかかわらず、スタンプユニット9の印面に未使用の製版フィルム37が対向する。
【0038】以下、上述したスタンプ作成装置1におけるスタンプ作成処理の動作手順について図7を参照しつつ説明する。
【0039】ステップS101において、CPU41は、カセット検出スイッチ54による検出結果を基にスタンプ作成装置1にスタンプユニット9が装着されているか否かを判定する。スタンプユニット9が装着されていると判定された場合には(S101:YES)、ステップS102の処理へ移行する。一方、スタンプユニット9が装着されていないと判定された場合には(S101:NO)、スタンプ作成処理を終了する。
【0040】ステップS102において、CPU41は、サイズ検出スイッチ53による検出結果を基にスタンプ作成装置1に装着されているスタンプユニット9の印面サイズを判別する。
【0041】ステップS103において、CPU41は、RAM43の入力バッファに格納されている文字コード等の入力データ及びCG−ROM44に格納されているキャラクタのドットパターンのデータ等から、ステップS102で判別されたスタンプユニット9の印面サイズに応じた印面のドットデータ(多孔性樹脂の孔を塞ぐ位置に対応するドットパターン)を作成し、作成した印面のドットデータをRAM43の印刷バッファに格納する。例えば、CPU41は、入力データが文字コードである場合には、CG−ROM44から対応する文字ドットパターンデータを読み出し、検出されたスタンプユニット9の印面サイズに収まるように文字ドットパターンデータに対して拡大や縮小等の処理を施して印面のドットデータを作成するのである。
【0042】ステップS104において、CPU41は、圧接モータ駆動回路75を介してヘッド圧接モータ76を駆動してヘッド切換ロッド14を回転させてカム体16を縦向きの姿勢にして初期の待機位置(原点位置:図4の実線)にあるサーマルヘッド15を上方に移動させてサーマルヘッド15を未使用の製版フィルム37を介してスタンプユニット9の多孔性樹脂に圧接する。そして、CPU41は、スタンプの製版時(印材である多孔性樹脂の加熱時)には製版フィルムカセット8の製版フィルム37を搬送することなく、RAM43の印刷バッファに格納されている印面のドットデータを一列ずつ読み出して、その読み出した一列のドットデータに基づいてサーマルヘッド15の発熱素子のオン状態とオフ状態を制御するとともに温度センサ56による検出結果である温度に基づいてサーマルヘッド15の発熱素子への印加エネルギを制御して、即ち、サーマルヘッド15の発熱素子への通電を制御して、スタンプユニット9の多孔性樹脂の孔を塞いで印面にデータを形成する。これに合わせて、CPU41は、多孔性樹脂に圧接された後のサーマルヘッド15をモータ駆動回路58を介してキャリッジ送りモータ51を駆動してサブフレーム11の左端壁11b側(図4中の点線側)へと移動させる。このようなサーマルヘッド15による印面のドットデータに基づいた選択的な加熱によって印材である多孔性樹脂にインク滲出領域とインク非滲出領域とを混在させている。
【0043】ステップS104で印面の形成が終了した後、ステップS105において、CPU41は、圧接モータ駆動回路75を介してヘッド圧接モータ76を駆動してヘッド切換ロッド14を回転させてカム体16を横向きの姿勢にしてサーマルヘッド15を下方に移動させてサーマルヘッド15をスタンプユニット9の多孔性樹脂からリリースする(圧接解除する)とともに、CPU41は、原点位置検出スイッチ55による検出結果を参照しながら、モータ駆動回路58を介してキャリッジ送りモータ51を駆動してキャリッジ12を右側へ移動させてサーマルヘッド15を前記初期の待機位置(原点位置:図4の実線)に戻す制御を行う。それに合わせて、CPU41は、ステップS102で判別されたスタンプユニット9の印面サイズに応じた量(例えば、印面サイズより所定量大きい長さ)だけ製版フィルム37をフィルム巻き取りスプール36に巻き取るようにモータ駆動回路59を介してフィルム巻き取りモータの制御を行う。つまり、スタンプの製版終了後(印材である多孔性樹脂の加熱終了後)、サーマルヘッド15が元の位置(初期の待機位置:図4の実線)に戻るのに合わせて製版フィルム37がこの処理において作成されたスタンプの印面サイズに応じた量(距離)だけ搬送されることになる。
【0044】上述した本実施の形態に係るスタンプ作成装置1では、スタンプを作成した後、そのスタンプの印面サイズに応じた量だけ、製版フィルム37を搬送するので、次にスタンプを作成する際には、未使用の製版フィルム37がスタンプの印面に対向することになり、サーマルヘッド15のステッィキングを防止することができる。また、サーマルヘッド15が直接スタンプユニット9の多孔性樹脂に圧接されないため、スタンプユニット9の多孔性樹脂に付着していた塵埃がサーマルヘッド15に付着することがない。また、製版フィルム37に背面処理剤(潤滑剤)が塗布されているため、スティッキング抑制効果を高めることができる。さらに、製版フィルムをカセットに収容しているため、製版フィルムをスタンプ作成装置1内の所定位置に配置することが容易になる。
【0045】また、製版フィルム37をスタンプユニット9の印面サイズに応じた量だけ搬送するので、製版フィルム37を効率よく使用することができる。さらに、製版フィルム37の搬送をスタンプの作成終了後のサーマルヘッド15の移動に合わせて行うようにしているため、スタンプの製版間隔を短くすることができ、処理能力の向上を図ることが可能となる。
【0046】以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、スタンプ作成後、スタンプ作成装置に装着されたスタンプユニットの印面サイズに拘わらず、予め決められた量(印面サイズの最大値以上)だけ製版フィルムを搬送するようにしてもよい。この場合には、サイズ検出スイッチが不要となり、スタンプ作成装置のコストを抑えることができるようになる。
【0047】また、サーマルヘッドを原点位置に戻すのに合わせて製版フィルムを搬送しているが、サーマルヘッドを原点位置に戻した後に製版フィルムを必要量搬送するようにしてもよい。
【0048】さらに、製版フィルムを形成するPETなどのフィルムに背面処理剤(潤滑材)が塗布されている必要は必ずしもない。
【0049】さらに、複数のスイッチからなるサイズ検出スイッチを使用する代りに、複数の透過型センサを横一列に配置するとともに、複数の透過型センサ間の間隔をスタンプユニットのサイズが一つ大きくなるとサブフレームの右端壁側から順に1つずつ透過型センサが光を受光しなくなるような間隔にすれば、右端壁側から初めて光を受光する透過型センサ(光を受光しない最後の透過型センサ)を見つけ出すことによってスタンプユニットの印面サイズの判別が可能になる。このように、スタンプユニットの印面サイズを検出することができるのであればサイズ検出スイッチ以外であってもよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1によると、サーマルヘッドからの熱による変形を起こしていない未使用の樹脂フィルムを介して印材がサーマルヘッドによって圧接されるので、印材表面の塵埃がサーマルヘッドに付着するのを防止することができると共に印材によるサーマルヘッドのスティッキングを確実に抑制することができる。
【0051】請求項2によると、樹脂フィルムを効率よく使用することができる。
【0052】請求項3によると、樹脂フィルムの搬送を印材の加熱終了後のサーマルヘッドの移動に合わせて行うようにしたことにより、印材の製版間隔を短くすることができ、処理能力の向上を図ることが可能となる。
【0053】請求項4によると、樹脂フィルムをスタンプ作成装置内の所定位置に配置するのが容易になる。
【0054】請求項5によると、潤滑剤のためにスティッキング抑制効果を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号
【出願日】 平成13年11月12日(2001.11.12)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之 (外2名)
【公開番号】 特開2003−145907(P2003−145907A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−346626(P2001−346626)