トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 印鑑ケース用朱肉パッド
【発明者】 【氏名】松雪 直人
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区天塚町4丁目69番地シヤチハタ株式会社内

【要約】 【課題】捺印動作と連動して回転する回転蓋を備えた印鑑ケースに用いるのに最適な、印鑑ケース用の朱肉パッドを提供する。

【解決手段】捺印動作と連動して回転する回転蓋10を備えた印鑑ケースAの回転蓋10に内蔵され、回転蓋10が閉蓋状態にある時に印鑑ケースAに装着された印鑑32の印面33に接触する朱肉パッド12において、朱肉パッド12を構成する表布15として、オープニングが30μ〜120μのメッシュ織物を用いた印鑑ケース用朱肉パッドである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 捺印動作と連動して回転する回転蓋を備えた印鑑ケースの前記回転蓋に内蔵され、前記回転蓋が閉蓋状態にある時に前記印鑑ケースに装着された印鑑の印面に接触する朱肉パッドにおいて、前記朱肉パッドを構成する表布として、オープニングが30μ〜120μのメッシュ織物を用いたことを特徴とする印鑑ケース用朱肉パッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、捺印動作と連動して回転する回転蓋を備えた印鑑ケースの前記回転蓋に内蔵され、前記回転蓋が閉蓋状態にある時に前記印鑑ケースに装着された印鑑の印面に接触する印鑑ケース用朱肉パッドに関する。
【0002】
【従来の技術】三文判等の市販の印鑑を内部に装着し、朱肉パッドを内蔵した回転蓋が閉蓋状態にある時には印鑑の印面に朱肉パッドが接触し、捺印時には捺印動作と連動して回転蓋が回転して開蓋状態となって印面を開放する構成の印鑑ケースは知られており、例えば、実開平5−41844号、実開平5−91858号、実開平6−12056号等に開示されている。
【0003】そして、このような構成の印鑑ケースの回転蓋に内蔵される朱肉パッドにはインキ含浸可能なスポンジが使われていたが、このようなスポンジ製の朱肉パッドはインキが必要以上にしみ出して印面にインキが付着し過ぎてしまい、印影が不鮮明になるという問題点があった。このような問題点を解消した印鑑ケース用の朱肉パッドとして、発泡体やフェルト等からなるインキ含浸体に天然繊維や合成繊維等からなる表布を積層したものや、前記したインキ含浸体と不織布からなる調節体と前記した表布を順次積層したものがある。このような構成の朱肉パッドに用いられる表布は一般に天然繊維や合成繊維等の織編物で構成されるもので、インキ含浸体に含浸されたインキは毛細管力により表布に保持され、印鑑ケースに収納された印鑑によって表布に押圧力が加わることにより、表布に保持されたインキが吐出されて印面に付着して捺印できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記したような表布を備えた朱肉パッドにおいてインキを吐出させるためには、表布にある程度の押圧力を加えないと表布からインキが十分に吐出されないが、この種の印鑑ケースでは、閉蓋状態にある回転蓋の朱肉パッドの表布と印鑑の印面は常時接触しているものの、表布には僅かな押圧力しか加わっておらず、又、捺印時には捺印動作により印鑑が下降して朱肉パッドの表布は押圧されるものの回転蓋が捺印動作と連動して回転するので、捺印動作時においては朱肉パッドの表布には押圧力はほとんど加わらない。このため、インキ含浸体のインキ含浸量が十分な使用初期段階では表布にインキが十分に保持されていることから、朱肉パッドの表布と印面の接触による僅かな押圧力でも表布からインキが均一に吐出されて鮮明な印影を得ることができるが、ある程度の使用期間が経過してインキ含浸体に含浸されているインキ量が減少し始めると毛細管力による表布へのインキの移行量も減少するので、表布と印面の接触による僅かな押圧力では表布からのインキの吐出し量が不足し、印面にインキが十分に付着せず印影が不鮮明になるという問題点があった。
【0005】このような問題点を解消しようとする印鑑ケース用の朱肉パッドが特開平7−52510号や特開平7−228031号に開示されている。この特開平7−52510号や特開平7−228031号に開示された印鑑ケース用の朱肉パッドでは、表布に単繊維繊度が1デニール以下の極細繊維を用いて毛細管力を強めて表布のインキ保持力を高め、表布からのインキの吐出し性を向上させている。ところが、この極細繊維からなる表布を用いた朱肉パッドを有する印鑑ケースにおいても、インキ含浸体のインキ含浸量が十分な使用初期段階では鮮明な印影を得ることができるものの、ある程度の使用期間が経過すると、表布と印面の接触による僅かな押圧力では表布からのインキの吐出し量が不足して印面にインキが十分に付着しなくなるので、前記した印影が不鮮明になるという問題点は完全に解消されてはいない。
【0006】又、朱肉パッドに表布を用いた印鑑ケースにおいて連続捺印をすると、インキ含浸体に含浸されたインキの毛細管力による表布への移行が追いつかず、これにより印鑑の印面に付着するインキの量が不足して印影が不鮮明になるという問題点があった。前記した特開平7−52510号や特開平7−228031号に開示された印鑑ケース用の朱肉パッドでは表布に極細繊維を用いて毛細管力を強めて表布からのインキの吐出し性を向上させているが、連続捺印をした場合にはやはり印影が不鮮明になることがあり連続捺印性には劣っている。
【0007】更に、この種の印鑑ケースでは朱肉パッドへのインキの補充は朱肉パッドの表面から行うのが一般的であり、表布を用いた朱肉パッドでは表布を介してインキ含浸体にインキを補充するととなるが、特に前記した特開平7−52510号や特開平7−228031号に開示された極細繊維を用いた表布の場合は毛細管力が通常の表布よりも強いために、補充したインキは表布からインキ含浸体にスムーズに移行せずインキ補充に非常に時間がかかるといった問題点があり、又、補充後すぐに印鑑ケースを使用することができないという問題点があった。
【0008】そこで、本発明は使用期間や使用方法に左右されず常に鮮明な印影を得ることができ、インキ補充も短時間で行うことができインキ補充後直ぐに印鑑ケースを使用することができる、捺印動作と連動して回転する回転蓋を備えた印鑑ケースに最適な朱肉パッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を解決するために、捺印動作と連動して回転する回転蓋を備えた印鑑ケースの前記回転蓋に内蔵され、前記回転蓋が閉蓋状態にある時に前記印鑑ケースに装着された印鑑の印面に接触する朱肉パッドにおいて、前記朱肉パッドを構成する表布として、オープニングが30μ〜120μのメッシュ織物を用いたことを特徴とする印鑑ケース用朱肉パッドである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を基にして説明する。まず、第1の実施の形態について説明すると、図3においてAは印鑑ケースであり、この印鑑ケースAは以下に説明する部品により構成されている。
【0011】図3及び図4において、1は上下端面が開口したプラスチック製の中空状の脚枠体であり、この脚枠体1の下部一側面には窓部2を設けてあり、この窓部2の上縁には後述する回転蓋10を枢着するための小孔を有する一対の支持部3を設けてあり、窓部2を有する側面と連続する対向二側面には窓部2と連通する一対の切欠部4を設けてある。この切欠部4は前記支持部3の小孔を中心とした円周上を切欠いた半円状となっている。
【0012】5は下端が開口したプラスチック製の中空状の印鑑保持筒であり、下部側面の対向位置には縦方向に延びる一対の縦溝6を設けてあり、上部側面の対向位置には一対の係止爪7を設けてあり、上端面には円形の孔8を設けてある。この印鑑保持筒5は、孔8側を上向きにして脚枠体1の下端開口より挿入して縦溝6と切欠部4を対向させて脚枠体1の内部に上下動自在に収納するものである。又、この印鑑保持筒5の内部には三文判等の朱肉を必要とする市販の印鑑を着脱自在に保持するための筒状のカツラバネ9を嵌挿してある。このカツラバネ9は上下2ヵ所を内側に突出させた波状をしており、下端には側面の一部を外側に折り曲げて爪部9aを形成してあり、この爪部9aを印鑑保持筒5内の溝部5aに嵌入することにより印鑑保持筒5内に固定されるものである。
【0013】10はプラスチック製の回転蓋で、図1に示すように側板部11の一側には朱肉用のインキを含浸させた朱肉パッド12が配設される朱肉皿16を設けてあり、側板部11の上縁中央には小孔を有する軸受け部17を設けてあり、側板部11の上部両端には内方に突出する突子18を内面に有する一対のガイド片19を設けてある。この回転蓋10の組付けは、脚枠体1の切欠部4と脚枠体1内に収納された印鑑保持筒5の縦溝6を同位置としてガイド片19の突子18を切欠部4と縦溝6内に位置させて、その状態で軸受け部17を脚枠体1の一対の支持部3の間に配置して支持部3の小孔と軸受け部17の小孔を連通させて、その小孔に軸20を嵌挿することにより脚枠体1に回転自在に枢着するものである。
【0014】そして、回転蓋10を脚枠体1に枢着した状態では、ガイド片19の突子18の周面は切欠部4の切欠面に常時当接し、かつ、突子18は脚枠体1内に収納された印鑑保持筒5の縦溝6内に常時位置するものとなる。そして、図6に示すように突子18が縦溝6の下端に当接し、かつ、回転蓋10の側板部11が窓部2を閉塞している時、印鑑保持筒5は下端が脚枠体1の下端開口よりも上方に位置し脚枠体1内おいて上方に抜け止めされて最上部に位置することとなり、この時、朱肉皿16は印鑑保持筒5の下端開口を閉塞し、回転蓋10は窓部2において脚枠体1内に没入して閉蓋状態となる。尚、回転蓋10が閉蓋状態にある時、図6に示すようにガイド片19の突子18は切欠部4の上部に位置する。
【0015】又、図1に示すように、朱肉パッド12はウレタン、ポリエステル等の発泡体やフェルトからなるインキ含浸体13と、インキ含浸体13に積層される不織布からなる調節体14と、調節体14に積層されるメッシュ織物からなる表布15とから構成される3層構造のもので、インキ含浸体13には粘度3,000〜5,000cp(25℃)の朱肉用インキを含浸してある。そして、調節体14を設けたことによりインキ含浸体13に含浸されたインキは毛細管力により調節体14に一定量保持されるので、表布15から吐出されるインキ量は調節体14により適量に調節されることとなり、又、インキ含浸体13に含浸されたインキは無駄なく消費される。尚、インキ含浸体13と調節体14と表布15の積層は、ホットメルト接着剤を用いた加圧加熱による接着や刺し加工など公知の手法により行うことができ、この際には、表布15からのインキの吐出し性に十分留意する。
【0016】表布15として用いられるメッシュ織物は一般にスクリーン印刷用紗として用いられるものであり、メッシュ織物の構造としては図2に示すように経糸と緯糸で囲まれる正方形状の孔15aが一定の大きさで均等に形成されるように経糸と緯糸を平織組織として織込んであるのが一般的であり、糸の材質としてはポリエステルやナイロンやステンレススチール等がある。メッシュ織物は毛細管力が働かないものであり、インキ含浸体13に含浸されたインキを保持しないものである。
【0017】ここで、本実施の形態における表布15には、線径34μ、オープニング51μのポリエステル製の300メッシュ織物(日本特殊織物株式会社製、品番TNO300S)を用いている。線径は糸の太さのことであり、オープニングとは前記した図2に示す経糸と緯糸で囲まれた正方形状の孔15aの一辺の長さのことであり、メッシュとは織密度を表す数値で1インチ(25.4mm)の間隔に織込まれる糸の本数を示すものである。本実施の形態の300メッシュ織物であれば、1インチ(25.4mm)の間隔に300本の糸が織込まれたメッシュ織物であることを示す。
【0018】そして、メッシュ織物よりなる表布15からのインキの吐出しは孔15aをインキが通過することにより行われるものであり、このインキの吐出しは印鑑の印面が表布15に接触する程度のほんの僅かな押圧力で十分足りるものである。ここで、本実施の形態では表布15として線径が34μ、オープニングが51μのポリエステル製の300メッシュ織物を用いているが、これは、前記した粘度3,000〜5,000cp(25℃)の朱肉用インキを使用した場合において、非常に鮮明な印影を得ることができるインキ吐出し量となるからである。尚、本実施の形態における3層構造の朱肉パッド12において、良好なインキ吐出し量を得る表布15として使用できるメッシュ織物としては、オープニングが30μ〜120μ、メッシュが150メッシュ〜390メッシュの範囲内のものが使用でき、その中でも特にオープニングが40μ〜60μ、メッシュが250メッシュ〜350メッシュの範囲内のものが最も適している。これは、オープニングが30μより小さくなると、孔15aにインキが目詰まりして印面に付着するインキ量が不足してしまうことがあり、オープニングが120μより大きくなると、インキの吐出し量が多くなり過ぎて印面にインキが多量に付着してしまい印影にムラやニジミができてしまうからである。尚、表布15に使用するメッシュ織物のオープニングとメッシュは、朱肉パッド12のインキ含浸体13に含浸するインキの粘度に応じて、前記した範囲内において適宜選択することができる。
【0019】21は下端が開口し下部一側を切欠いたプラスチック製の中空状のホルダーで、上部側面の対向位置には印鑑保持筒5の係止爪7に対応する一対の係止孔22を設けてある。このホルダー21の組付けは、印鑑保持筒5を内部に収納した脚枠体1の上端面に弾発部材23を配設した状態で、脚枠体1の上端開口より突出した印鑑保持筒5の係止爪7を係止孔22に係止させることにより印鑑保持筒5に冠着するもので、これにより、ホルダー21は脚枠体1の上部外周を覆った状態で印鑑保持筒5と連結されて一体化されるものである。尚、本実施の形態では弾発部材23としてコイルスプリングを使用している。
【0020】そして、ホルダー21を印鑑保持筒5に冠着した時、図3に示すように弾発部材23の一端は脚枠体1の上端面に当接し他端はホルダー21内の環状段部24に当接して、印鑑保持筒5はホルダー21と共に常時上方に付勢された状態となり、これにより、印鑑保持筒5は常時脚枠体1内の最上部に位置した状態となり、回転蓋10は常時閉蓋状態となる。
【0021】又、ホルダー21の上端面中央には円形の孔25を設けてあり、この孔25の周縁には上端が開口し外周に雄ねじが形成してある中空状のねじ筒26を突設してある。そして、このねじ筒26には、内面に雌ねじが形成され中心に軸部28を有するプラスチック製の高さ調整部材27を螺着してあり、図3に示すようにこの高さ調整部材27の軸部28は、ねじ筒26内を貫通して下端がホルダー21の孔25と印鑑保持筒5の孔8を介して印鑑保持筒5内に突出している。この高さ調整部材27を回転させると、高さ調整部材27の雌ねじとねじ筒26の雄ねじの螺合により高さ調整部材27はねじ筒26に対して上下動し、これにより、軸部28の下端は印鑑保持筒5内で上下動する。
【0022】29は下端が開口したプラスチック製の中空状のホルダーキャップであり、内側面対向位置には一対の突起30を設けてあり、この突起30と、ホルダー21の上部側面の対向位置に設けられた一対の突起31を乗り越え嵌合させることにより、ホルダーキャップ29はホルダー21の上部に着脱自在に冠着するものである。このホルダーキャップ29は印鑑保持筒5の上部に設けられた一対の開口部7やホルダー21のねじ筒26に螺着された高さ調整部材27等を覆い隠すものである。
【0023】次に、以上のように構成された印鑑ケースAの使用方法を説明する。まず、印鑑ケースAに印鑑32を装着する場合には、ホルダー21を弾発部材23の弾発力に抗して押圧して脚枠体1に対して押し下げると、回転蓋10は印鑑保持筒5により押圧され、この押圧力により回転蓋10は図6に示すように朱肉皿16の上面が印鑑保持筒5の下端角部34に当接しながら脚枠体1の外側方向に回転し、この回転蓋10の回転と共に印鑑保持筒5は脚枠体1内を下降する。
【0024】そして、印鑑保持筒5の下端開口が脚枠体1の下端開口に位置するまでホルダー21を押し下げると、回転蓋10は図7に示すようにその朱肉皿16が窓部2より脚枠体1の外側に完全に突出した状態となるまで回転し、このように回転蓋10が開蓋状態となった時、印鑑保持筒5の下端開口は開放される。ここで、印鑑保持筒5が脚枠体1内を下降して回転蓋10が脚枠体1の外側方向に回転する時、図5及び図6及び図7に示すようにガイド片19の突子18はその周面が脚枠体1の切欠部4の切欠面に当接しながら切欠部4の下方に移動し、かつ、突子18は印鑑保持筒5の縦溝6の上方に移動するものであり、印鑑保持筒5の溝部6は回転蓋10の回転を妨げない大きさに設定されるものである。
【0025】そして、図7に示すように回転蓋10を開蓋状態として印鑑保持筒5の下端開口を開放したら、この状態を保ちながら印鑑保持筒5の下端開口より印鑑32を挿入して印鑑保持筒5に保持させる。この時、図3に示すように印鑑32の上端が高さ調整部材27の軸部28の下端面に当接するまで印鑑32を挿入する。尚、印鑑32の上端が高さ調整部材27の軸部28下端面に当接した時、図3に示すように印面33が印鑑保持筒5の下端開口より下方に若干突出した状態となるようにする。
【0026】そして、印鑑32の上端が高さ調整部材27の軸部28下端面に当接したら、ホルダー21への押圧を解く。すると、印鑑保持筒5は弾発部材23の弾発力により脚枠体1内を上昇し、これに伴いガイド片19の突子18は縦溝6の下端に接近していく。そして、図6に示すように突子18が縦溝6の下端に当接した後に印鑑保持筒5が脚枠体1内を更に上昇すると、突子18と縦溝6下端の当接により回転蓋10はその朱肉皿16の上面が印鑑保持筒5の下端角部34に当接しながら脚枠体1の内側方向に回転する。尚、回転蓋10が脚枠体1の内側方向に回転する時、ガイド片19の突子18はその周面が脚枠体1の切欠部4の切欠面に当接しながら切欠部4の上方に移動する(図6→図5参照)。
【0027】そして、印鑑保持筒5が最上部に位置した時、回転蓋10は図5に示すように閉蓋状態となって側板部11は窓部2を閉塞し、朱肉皿16は図3に示すように印鑑32の印面33を閉塞して印面33は朱肉パッド12の表布15に接触する。この時、表布15には印面33の接触による僅かな押圧力が加わり、これにより表布15からは調節体14に保持されたインキが孔15aを通過してスムーズに吐出されて、印面33にはインキが均一に付着した状態となる。以上の作業により印鑑32の装着が完了する。尚、このように印鑑32を装着した後、高さ調節部材27を回転させて印面33の突出量を調整することにより、印面33と朱肉パッド12の表布15の接触状態を調整することができる。
【0028】又、本実施の形態における印鑑ケースAは、図5及び図6及び図7に示すように回転蓋10が回転する際にその朱肉皿16上面が当接する印鑑保持筒5の下端角部34をR形状としてあり、回転蓋10が回転する際にはガイド片19の突子18の周面が切欠部4の切欠面に常時当接しているので、回転蓋10はがたつくことなくスムーズに開閉する。
【0029】次に、印鑑ケースAに装着した印鑑32を捺印する場合には、脚枠体1を捺印位置に置いて、前記した印鑑取り付け時と同様にホルダー21を弾発部材23の弾発力に抗して押圧して押し下げ、印鑑保持筒5を脚枠体1内にて下降させる。すると、回転蓋10は脚枠体1の外側方向に回転して図7に示すように開蓋状態となり、インキが付着した印面33が脚枠体1の下端開口より露呈して捺印することができる。尚、捺印前の閉蓋状態における朱肉パッド12の表布15と印面33の接触により、印面33には表布15から孔15aを通過して吐出されたインキが均一に付着しているので、本実施の形態の印鑑ケースAに装着した印鑑32の印影は鮮明なものとなる。
【0030】そして、捺印が完了したら前記した印鑑取り付け時と同様にホルダー21への押圧を解くと、弾発部材23の弾発力により印鑑保持筒5が脚枠体1内を上昇し、それと連動して回転蓋10が脚枠体1の内側方向に回転し、印鑑保持筒5が最上部に位置した時、回転蓋10は図5に示すように閉蓋状態となって側板部11は窓部2を閉塞し、朱肉皿16は図3に示すように印鑑32の印面33を閉塞して朱肉パッド12の表布15に印面33が接触する。この時、表布15には印面33の接触による僅かな押圧力が加わり、これにより表布の孔15aからは調節体14に保持されたインキがスムーズに吐出されて、印面33には再びインキが均一に付着した状態となる。
【0031】又、印鑑ケースAに装着した印鑑32の連続捺印を行うと、回転蓋10が閉塞状態になる度に朱肉パッド12の表布15に印面33が接触して調節体14に保持されたインキが孔15aからスムーズに吐出されて印面33に均一に付着し、又、調節体14に保持されたインキの消費に応じてインキ含浸体13に含浸されたインキが調節体14にスムーズに移行するので、本実施の形態の印鑑ケースAに装着した印鑑32の印影は連続して鮮明なものとなる。
【0032】次に、朱肉パッド12にインキを補充する場合には、朱肉パッド12の表布15の表面にインキを滴下して行う。この場合、軸20を取り外して回転蓋10を脚枠体1から取り外して表布15の表面にインキを滴下したり、回転蓋10を回転した途中の段階(図6)に保持して、脚枠体1の下端開口から朱肉パッド12の表布15の表面にインキを滴下する等してインキ補充を行う。そして、表布15の表面に滴下されたインキは、表布15の孔15aを通過して調節体14、インキ含浸体13へと浸透していく。この時、補充したインキは表布15の孔15aを通過するので表布表面に溜まることなくスムーズに調節体14、インキ含浸体13へと浸透していく。よって、インキ補充は短時間で行うことができ、又、インキ補充後直ぐに印鑑ケースAを使用することができる。
【0033】尚、ウレタン発泡体からなるインキ含浸体13と不織布からなる調節体14とポリエステル製のメッシュ織物(織密度:300メッシュ、線径:34μ、オープニング:51μ)からなる表布15とから構成される、本実施の形態による3層構造の朱肉パッド12を備えた印鑑ケースAと、ウレタン発泡体からなるインキ含浸体と不織布からなる調節体と単繊維繊度が約1デニールのポリエステル繊維を綾織組織とした織物からなる表布とから構成される、従来の3層構造の朱肉パッドを備えた印鑑ケースBを用意し、両者の朱肉パッドに朱肉用インキとして市販されている「シヤチハタ朱の油」(シヤチハタ株式会社商品名)を含浸した後、両者の印鑑ケースに印鑑を装着して連続捺印性とインキ補充性の試験を行った。その結果は以下の表の通りである。
【0034】
【表1】

【0035】試験方法■連続捺印回数:印影を目視により観察しながら連続捺印を行い、それにより得られたカスレのない鮮明な印影の数を測定して、その数を連続捺印回数とした。
■インキ補充時間:捺印の都度印影にカスレが生じるようになった時点で、朱肉パッドの表布表面に市販の朱肉用インキ「シヤチハタ朱の油」(シヤチハタ株式会社商品名)を0.1g滴下してそのインキを目視により観察し、そのインキが表布表面から朱肉パッドの下層に完全に移行するまでの時間を計測した。
※印鑑は直径10mmの円柱状のプラスチック製の三文判を使用した。
【0036】次に、本発明の第2の実施の形態として、前記した第1の実施の形態における3層構造の朱肉パッド12を2層構造の朱肉パッド121とした場合について説明する。この朱肉パッド121は、図8に示すようにウレタン、ポリエステル等の発泡体やフェルトからなるインキ含浸体131に、メッシュ織物からなる表布151を積層した2層構造のものであり、表布151の積層は、ホットメルト接着剤を用いた加圧加熱による接着や刺し加工など公知の手法により行うことができる。
【0037】表布151は、線径40μ、オープニング46μのナイロン製の300メッシュ織物(日本特殊織物株式会社製、品番NNO300T)としており、この表布151の構造は前記した実施の形態の表布15と同様、即ち、図2に示す符号15を151、符号15aを151aに置き換えたもので、経糸と緯糸で囲まれる正方形状の孔151aが一定の大きさで均等に形成されるように経糸と緯糸を平織組織として織込んだものである。
【0038】そして、インキ含浸体131には、前記した第1の実施の形態と同様に粘度3,000〜5,000cp(25℃)の朱肉用インキを含浸してあり、この2層構造の朱肉パッド121を図3に示す印鑑ケースAの朱肉パッド12に代えて使用した場合においても、印鑑32の印面33には朱肉パッド121の表布151との接触により、表布151の孔151aを通過して吐出されたインキが均一に付着するので、印鑑32の印影は鮮明なものとなる。又、連続捺印を行った場合においても、回転蓋10が閉塞状態になる度に朱肉パッド121の表布151に印面33が接触してインキ含浸体131に含浸されたインキが孔151aからスムーズに吐出されて印面33に均一に付着するので、連続捺印による印影も鮮明なものとなる。
【0039】尚、2層構造の朱肉パッド121において、良好なインキ吐出し量を得る表布151として使用できるメッシュ織物としては、オープニングが40μ〜60μ、メッシュが270メッシュ〜330メッシュのものが使用でき、その中でも特にオープニングが45μ〜50μ、メッシュが300メッシュのものが最も適している。これは、オープニングが40μより小さくなると、孔15aにインキが目詰まりして印面に付着するインキ量が不足してしまうことがあり、オープニングが60μより大きくなると、インキの吐出し量が多くなり過ぎて印面にインキが多量に付着してしまい印影にムラやニジミができてしまうからである。尚、表布151に使用するメッシュ織物のオープニングとメッシュは、朱肉パッド121のインキ含浸体131に含浸するインキの粘度に応じて、前記した範囲内において適宜選択することができる。
【0040】又、朱肉パッド121にインキを補充する場合には、前記した第1の実施の形態と同様に表布151の表面にインキを滴下して行うが、補充するインキは表布151の孔151aを通過して、表布表面に溜まることなくスムーズにインキ含浸体131へと浸透していくので、インキ補充は短時間で行うことができ、インキ補充後直ぐに印鑑ケースを使用することができる。
【0041】尚、ウレタン発泡体からなるインキ含浸体131とナイロン製のメッシュ織物(織密度:300メッシュ、線径:40μ、オープニング:46μ)からなる表布151とから構成される、第2の実施の形態による2層構造の朱肉パッド121を備えた印鑑ケースA’と、ウレタン発泡体からなるインキ含浸体と単繊維繊度が約1デニールのポリエステル繊維を綾織組織とした織物からなる表布とから構成される、従来の2層構造の朱肉パッドを備えた印鑑ケースB’を用意し、両者の朱肉パッドに朱肉用インキとして市販されている「シヤチハタ朱の油」(シヤチハタ株式会社商品名)を含浸した後、両者の印鑑ケースに印鑑を装着して連続捺印性とインキ補充性の試験を、前記した第1の実施の形態と同様の試験方法(段落0035参照)により行った。その結果は以下の表の通りである。
【0042】
【表2】

【0043】
【発明の効果】以上の通り、本発明の印鑑ケース用朱肉パッドは、印鑑ケースに装着した印鑑の印面が表布に接触する程度のほんの僅かな押圧力で表布からインキを均一に吐出すことができ、印鑑ケースに装着した印鑑の印面には常時インキを十分に付着することができるので、常に鮮明な印影を得ることができる。又、回転蓋が閉蓋状態となって印面と表布が接触する度に印面にはインキが確実に付着するので、連続捺印を行った場合においても鮮明な印影を得ることができる。更に、表布の表面からのインキ補充も短時間で行うことができるので、インキ補充後直ぐに印鑑ケースを使用可能とすることができる。
【出願人】 【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区天塚町4丁目69番地
【出願日】 平成13年10月17日(2001.10.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−103891(P2003−103891A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−319037(P2001−319037)