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【発明の名称】 記録媒体の切断装置及び記録装置
【発明者】 【氏名】藤岡 聡
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】記録媒体を傷付けずに切断することができる切断装置及びその切断装置を備えた記録装置を提供すること。

【解決手段】記録媒体を幅方向に押さえ込んで回転移動する押さえローラ72と、前記押さえローラと共に移動して前記記録媒体を幅方向に押し切るカッタ刃71とを備える。これにより、記録媒体の切断時に押さえローラは記録面上で回転するため余計な摩擦は発生しないので、未乾燥な記録面のインクが剥げることはなく、記録画像の傷付けを防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録媒体を切断する切断装置であって、前記記録媒体を幅方向に押さえ込んで回転移動する押さえローラと、前記押さえローラと共に移動して前記記録媒体を幅方向に押し切るカッタ刃とを備えたことを特徴とする記録媒体の切断装置。
【請求項2】 前記押さえローラは、前記カッタ刃の両側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体の切断装置。
【請求項3】 前記押さえローラは、PFA樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体の切断装置。
【請求項4】 前記押さえローラは、前記記録媒体と接触する表面に撥水処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体の切断装置。
【請求項5】 前記押さえローラと前記カッタ刃を前記記録媒体に対して当接・離間させる移動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の記録媒体の切断装置。
【請求項6】 記録媒体に情報を記録する記録装置において、請求項1〜5の何れか一項に記載の記録媒体の切断装置を備えたことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体を切断する切断装置及びその切断装置を備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタには、比較的大型のサイズの記録媒体、例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判の幅を有するロール紙に記録できる大型のインクジェット式プリンタがある。このような大型のインクジェット式プリンタの場合、ロール紙は、給紙部から記録部に供給されて記録され、排紙部から外部に排出される。そして、所定長まで排出されたロール紙は、排紙部に備えられている切断部により切断されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−158738号公報【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の切断部は、カッタ刃の周囲に配設された平坦な押さえ面を有する用紙押さえ部がロール紙を押さえ込み、用紙押さえ部とともにカッタがロール紙に沿って移動してロール紙を押し切るようになっている。このため、いわゆる縁無し記録を行ったロール紙を切断する際は、用紙押さえ部の平坦な押さえ面が記録面を擦ることになるので、未乾燥な記録面のインクが剥げて特に上部の記録画像に傷が付く場合がある。
【0005】本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、記録媒体を傷付けずに切断することができる切断装置及びその切断装置を備えた記録装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本発明の記録媒体の切断装置では、記録媒体を切断する切断装置であって、前記記録媒体を幅方向に押さえ込んで回転移動する押さえローラと、前記押さえローラと共に移動して前記記録媒体を幅方向に押し切るカッタ刃とを備えたことを特徴としている。これにより、記録媒体の切断時に押さえローラは記録面上で回転するため余計な摩擦は発生しないので、未乾燥な記録面のインクが剥げることはなく、記録画像の傷付けを防止することができる。
【0007】また、前記押さえローラは、前記カッタ刃の両側に配設されていることを特徴としている。これにより、記録媒体の切断時にカッタ刃が当たる切断部分を押さえローラにより平坦に押さえることができるので、切断を高精度に行うことができる。
【0008】また、前記押さえローラは、PFA樹脂で形成されていることを特徴としている。また、前記押さえローラは、前記記録媒体と接触する表面に撥水処理が施されていることを特徴としている。これにより、特に全面記録を行ったとき、押さえローラは未乾燥な記録面上を転動することになるが、その場合でも押さえローラの撥水効果により記録材が付着することはなく、記録画像の乱れを防止することができる。
【0009】また、前記押さえローラと前記カッタ刃を前記記録媒体に対して当接・離間させる移動手段を備えたことを特徴としている。これにより、記録媒体の切断時には押さえローラとカッタ刃を記録媒体に確実に押し付けることができるので、切断をより高精度に行うことができる。また、記録媒体の排出時には押さえローラとカッタ刃を記録媒体から確実に離間させることができるので、押さえローラやカッタ刃と記録媒体との干渉を防止することができる。
【0010】記録媒体に情報を記録する記録装置において、上記各記録媒体の切断装置を備えたことを特徴としている。これにより、上記各作用を奏する記録装置を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図であり、図2は、そのインクジェット式プリンタの主要部の内部構成例を示す斜視図である。図1及び図2に示すインクジェット式プリンタ100は、例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判といった比較的大型のサイズの記録用紙にまで記録できる大型のプリンタであり、給紙部110、記録部120、排紙部130、脚部140がこの順で上部から配設された構成となっている。記録部120と排紙部130は本体として一体化されており、給紙部110及び脚部140とそれぞれ分離可能に構成されている。
【0013】給紙部110は、図1に示すように、本体120、130の上部後方に突き出るように設けられている。そして、給紙部110の内部には、図2に示すように、1本のロール状の記録用紙(以下、ロール紙という)がセット可能なロール紙ホルダ111が設けられ、給紙部110の前面には、図1及び図2に示すように、跳ね上げ式の開閉可能なロール紙カバー112がロール紙ホルダ111を覆うように取り付けられている。
【0014】ロール紙ホルダ111は、図2に示すように、ロール紙を保持するスピンドル113及び一対のフランジ状のロール紙押さえ114と、給紙部110の両側壁内面に取り付けられて、スピンドル113の着脱及び懸架が可能な一対のスピンドル受け115を備えている。そして、スピンドル113は、中央にロール紙が填め込まれてロール紙押さえ114で挟持された状態で、両端がスピンドル受け115に載置され、回転可能に軸支持されるようになっている。ロール紙カバー112は、図1及び図2に示すように、全体が回動可能に支持されており、ユーザが下部を持って持ち上げ、あるいは押し下げることにより開閉するようになっている。
【0015】記録部120は、図2に示すように、記録ヘッド121を搭載したキャリッジ122、記録ヘッド121と記録を実行するための図示しない制御部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)123、記録ヘッド121とインクが入ったインクカートリッジ10とをつなぐインクチューブ124、ロール紙を副走査方向に搬送する図示しない紙送りローラ、ロール紙の浮き上がりを防止する図示しない紙吸引手段等を備えている。そして、記録部120の上面及び前面には、図1及び図2に示すように、上蓋125及び前蓋126が記録ヘッド121やキャリッジ122等を覆うように取り付けられている。
【0016】記録ヘッド121は、ブラックインクを吐出するブラックインク用記録ヘッドと、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタ等の各色のインクを吐出する複数のカラーインク用記録ヘッドとを備えている。そして、記録ヘッド121は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口が設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口からロール紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。
【0017】キャリッジ122は、図2に示すように、主走査方向に設けられているレール127にコロを介して吊り下げられ、キャリッジベルト128に連結されており、図示しないキャリッジ駆動装置によってキャリッジベルト128が作動すると、キャリッジベルト128の動きに連行され、レール127に案内されて往復移動するようになっている。
【0018】FFC123は、一端が制御部のコネクタに接続され、他端が記録ヘッド121のコネクタに接続されており、記録信号を制御部から記録ヘッド121に送るようになっている。インクチューブ124は、上記各色のインク用が配設されており、図示しないインク加圧供給手段を介して各一端が対応する各色のインクカートリッジ10につながれ、各他端が対応する各色の記録ヘッド121につながれている。そして、インクチューブ124は、インク加圧供給手段によって加圧された各色のインクをインクカートリッジ10から記録ヘッド121に送るようになっている。
【0019】前蓋126は、図1及び図2に示すように、下部が回動可能に支持されており、ユーザが上部を持って押し下げ、あるいは押し上げることにより開閉するようになっている。ユーザは、前蓋126を開けることにより記録部120を大きく開放することができるので、記録ヘッド121やキャリッジ122等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0020】排紙部130は、図1及び図2に示すように、ロール紙を副走査方向に搬送する経路の一部を成す排紙ガイド131と、ロール紙を副走査方向に搬送する図示しない排紙ローラを備えている。排紙ガイド131は、前面側に突き出た平坦な傾斜面として形成されており、上方から搬送されてくるロール紙を下方へスムーズに導くことができるようになっている。
【0021】脚部140は、図1及び図2に示すように、移動用のコロ141を有する2本の支持柱142と、これらの支持柱142の間に掛け渡されている補強棒143を備えている。そして、支持柱142の上部に給紙部110及び本体120、130が載置されネジ止め固定されるようになっている。支持柱142に移動用のコロ141が配設されていることにより、重量のある給紙部110及び本体120、130を所望の位置へスムーズに移動させて設置することができるようになっている。なお、この脚部140の支持柱142の間には、排紙部130から排出されるロール紙を受ける排紙受け装置を設置することができるようになっている。
【0022】さらに、本体120、130の前面側から見て左側には、図1及び図2に示すように、各色のインクカートリッジ10を収納保持するホルダ本体151とその前面を覆うカバー152を有するインクカートリッジホルダ150が配設されている。このインクカートリッジホルダ150は、ホルダ本体151に対しカバー152の下部が回動可能に支持されており、ユーザが上部を持って押し下げ、あるいは押し上げることにより開閉するようになっている。
【0023】また、本体120、130の前面側から見て右側上部には、図1及び図2に示すように、ユーザが記録制御等を操作するための操作パネル160が配設されている。この操作パネル160は、液晶画面と各種ボタンが配設されており、ユーザが液晶画面を見て確認しながらボタン操作できるようになっている。
【0024】このような構成において、インクジェット式プリンタ100を使用する場合は、先ず、給紙部110からロール紙ホルダ111を構成するスピンドル113を取り出し、図3に示すように、スピンドル113に挿入されている一方のロール紙押さえ114をスピンドル113の一端から引き抜く。
【0025】そして、図4に示すように、スピンドル113の一端をロール紙Rの軸穴Cの一端から挿入して貫通させ、図5に示すように、ロール紙Rの軸穴Cの一端をスピンドル113の他端側に挿入固定されている他方のロール紙押さえ114にはめ込んで当接させる。続いて、一方のロール紙押さえ114をスピンドル113の一端から挿入して、ロール紙Rの軸穴Cの他端に填め込む。これにより、ロール紙Rはスピンドル113と共に回転可能となる。
【0026】次に、図6に示すように、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の両端を持って給紙部110まで持ち上げる。ここで、図7に示すように、スピンドル受け115には、スピンドル113の端部を一時的に載置するための比較的浅い窪み115aと、スピンドル113の端部を回転可能に軸支するための比較的深い窪み115bが前後に並設されている。手前の窪み115aは、重量のあるロール紙Rが挿入されたスピンドル113を正規の窪み115bに一時に填め込む作業は困難性が伴うために、仮置きをするために設けられている。
【0027】そこで、図7に示すように、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の両端部をスピンドル受け115の仮置きの窪み115aに一旦載置し、その後、図8に示すように、先ず、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の一端部を対応するスピンドル受け114の正規の窪み115bに掛け、次に、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の他端部を対応するスピンドル受け115の正規の窪み115bに掛ける。これにより、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113を給紙部110に安全かつ容易にセットすることができる。
【0028】次に、図9に示すように、ロール紙Rの先端を下方に引き出して記録部120の搬送経路を通し、さらに図10に示すように、排紙部130の搬送経路まで通す。そして、図11に示すように、ロール紙Rを巻き取り方向に回転させてロール紙Rの先端を例えば排紙ガイド131に形成されているマーカMに位置決めする。その後、インクジェット式プリンタ100を起動して、ロール紙Rを副走査方向に給紙しつつ記録ヘッド121を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出させ、ロール紙Rに所定の情報を記録して排紙する。
【0029】図12は、インクカートリッジホルダ150の詳細を示す斜視図である。このインクカートリッジホルダ150は、インクジェット式プリンタ100の本体120の前面左側に取り付けられたホルダ本体151と、このホルダ本体151の前面側に取り付けられたカバー152を備えている。ホルダ本体151内は、インクカートリッジ10を収納する収納部153と、上下方向に移動可能な制御レバー154が並設されている。カバー152は、下部がホルダ本体151の下部に回転自在に支持されており、下方に旋回してホルダ本体151の前面を開放し、上方に旋回してホルダ本体151の前面を閉塞するようになっている。
【0030】ホルダ本体151内に設けられている収納部153は、図示左側から順にブラック、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタの計7色のインクカートリッジ10B、10LY、10Y、10LC、10C、10LM、10Mが個々に引き出し、押し入れ可能なように仕切られている。
【0031】ここで、図13は、インクカートリッジ10を後面側から見た斜視図である。このインクカートリッジ10は、例えば硬質プラスチック材料で直方体状に形成された外装ケース11内に、例えば可撓性材料で袋状に形成されて内部にインクが充填されたインクタンクが密閉されている。外装ケース11の片側面の前面側には、インクカートリッジ10を収納部153に対し引き出し、押し入れする際にユーザが手を掛ける凹状の把持部12が形成されている。
【0032】従来のインクカートリッジホルダのホルダ本体内には、例えば6色のインクカートリッジのみが収納されており、スペースは比較的余裕があったため、インクカートリッジを収納部に対し引き出し、押し入れする際にユーザがホルダ本体内に手を入れて作業をすることができた。ところが、本実施形態では、従来と同一サイズのインクカートリッジホルダ150のホルダ本体151内に、7色のインクカートリッジ10を収納する収納部153と制御レバー154を並設する必要があるため、スペースに余裕が無くなっている。そこで、上記凹状の把持部12をインクカートリッジ10に形成することにより、インクカートリッジ10を収納部153に対し引き出し、押し入れする作業を容易に行うことができる。
【0033】外装ケース11の後面中央部には、内部のインクタンクに接続されたゴムパッキングで覆われたインク供給口13が形成され、その上下両側には、このインクカートリッジ10を収納部153に対し押し入れるときに位置決めするための位置決め穴14が形成されている。さらに、外装ケース11の後面上部には、窪み15が形成され、その内部にはこのインクカートリッジ10のインク情報、例えば製造番号、インクの色や残量等が読み書きされるIC16が貼付されている。さらに、外装ケース11の上面中央部には、このインクカートリッジ10を収納部153に収納したときに係止するための係止突起17が形成されている。
【0034】図14は、ホルダ本体151における1色分のインクカートリッジ10の収納部153の内部構造を示す斜視図である。収納部153の内側後面には、インクカートリッジ10のインク供給口13内に挿入されるインク供給針21と、インクカートリッジ10の位置決め穴14内に挿入される位置決め針22が、インクカートリッジ10の引き出し、押し入れ方向に突き出るように配設されている。
【0035】ここで、図15(A)は、インク供給針21の詳細を示す平面図である。このインク供給針21は、先端側面に供給口21aが穿孔され、後端がインクチューブ124に接続されている。そして、インク供給針21には、後端側に挿入されている圧縮バネ23により軸方向に付勢されてインク供給針21の先端側面に穿孔されている供給口を塞いでいる円筒状のゴム製のバルブ24が填め込まれている。これにより、インクジェット式プリンタ100内のインク供給系は閉じた状態を維持することができる。
【0036】このような構成において、図15(A)に示すように、ユーザがインクカートリッジ10を収納部153内へ押し入れると、図15(B)に示すように、インク供給針21がインク供給口13内に挿入されるとともに、バルブ24がインク供給口13のゴムパッキングに押されてインク供給針21の後端側に押し込まれる。これにより、バルブ24で覆われていた供給口21aが露出するので、インクカートリッジ10のインクタンク内のインクは、インク供給口13からインク供給針21の供給口21aを通ってインクチューブ124へ供給される。
【0037】一方、ユーザがインクカートリッジ10を収納部153から引き出すと、インク供給針21もインク供給口13から引き出されるので、インク供給口13のゴムパッキングに押されていたバルブ24は圧縮バネ23の復元力によりインク供給針21の先端側に押し出される。これにより、露出していた供給口21aは再びバルブ24で覆われる。
【0038】図14に示すように、収納部153の内側後面の上部には、インクカートリッジ10のIC16と電気的に接続されるコネクタ25が貼付されている。このコネクタ25は上記FFC123に接続されており、インクジェット式プリンタ100の制御部はインクカートリッジ10のIC16に対しインク情報を読み書きすることができる。さらに、収納部153の上面中央部には、カム159に連動してインクカートリッジ10の係止突起17に対し係止し、あるいは係止解除する係止爪153bが形成されている。
【0039】図12に示すように、ホルダ本体151内に設けられている制御レバー154は、ホルダ本体151に縦方向に設けられたガイド溝151aに沿って上下に揺動自在に配設されている。この制御レバー154は、上下に揺動することにより、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを電気的に制御するとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れを機械的に制御するようになっている。
【0040】すなわち、制御レバー154が最上端に位置決めされているときは、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは禁止されているとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは可能となっている。一方、制御レバー154が最下端に位置決めされているときは、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは許可されているとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは不可能となっている。
【0041】このような機能を有する制御レバー154を設けることにより、大型のインクカートリッジを使用することができるようになる。すなわち、従来は、インクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みは、インクカートリッジホルダのカバーの開閉動作で制御されていた。ところが、大型のインクカートリッジはホルダ本体にセットしたときに前面側に突き出てしまい、カバーを閉じることができないため、インクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みを制御することができなかった。
【0042】これに対し、本実施形態のインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは、上述したようにインクカートリッジホルダ150の制御レバー154の揺動で制御されている。このため、大型のインクカートリッジをホルダ本体151にセットしたときに前面側に突き出てカバー152を閉じることができなくても、大型のインクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みを制御することができる。
【0043】ところで、前述したように、このインクカートリッジホルダ150に収納されている各色のインクカートリッジ10内のインクは、インク加圧供給手段によって加圧されて記録ヘッド121に送られるようになっている。このため、従来のインクジェット式プリンタのように水頭差を利用したインク供給手段の場合は、インクカートリッジホルダはキャリッジよりも上部に配設する必要があったが、このインクカートリッジホルダ150は何処に配設されてもインクを供給することができるので、配設場所を自由に設定することができる。
【0044】図16は、インクジェット式プリンタ100の用紙搬送案内部を含むロール紙の搬送面を示す概略断面側面図、図17は、その用紙搬送案内部の周辺を示す平面図である。給紙部110から記録部120を経て排紙部130へ向かう用紙搬送経路は、インクジェット式プリンタ100の上部後面側から下部前面側にかけて傾斜して設けられている。
【0045】この用紙搬送経路は、給紙部110から記録部120にかけて配設された平坦な給紙ガイド211、対向配置された接触・離間可能な紙送りローラ212及び従動ローラ213、キャリッジ122に搭載された記録ヘッド121と対向配置された平坦な用紙搬送案内部であるプラテン214、記録部120から排紙部130にかけて配設された平坦な紙吸引部215、排紙部130に配設された排紙ガイド131により構成されている。
【0046】給紙ガイド211、排紙ガイド131の各表面は、用紙搬送面として作用する。紙吸引部215の表面は、用紙搬送面及び用紙吸引面として作用する。すなわち、図17に示すように、紙吸引部215は、主走査方向に複数並設され、副走査方向に3列配設された吸引口215a、215b、215cを備えており、図16に示すように、記録部120の内部に配設されたファン217により外気が各吸引口215a、215b、215cから吸引されることにより、紙吸引部215上を搬送されるロール紙を吸着するようになっている。
【0047】プラテン214の表面は、用紙搬送案内面として作用すると共に用紙吸引面としても作用する。すなわち、図17に示すように、プラテン214は、主走査方向に複数並設された吸引口214aを備えており、図16に示すように、記録部120の内部に配設されたファン217により外気が各吸引口214aから吸引されることにより、プラテン214上を搬送されるロール紙を吸着するようになっている。したがって、記録時において特にロール紙の幅が広くてもロール紙はプラテン214上で全幅にわたって確実に吸引されて平坦になるので、記録精度を高精度に維持することができる。
【0048】また、図17に示すように、プラテン214と吸引部215との間に隙間Cを設け、図16に示すように、記録部120の内部に配設されたファン217により外気が隙間Cから吸引されることにより、隙間C上を搬送されるロール紙を吸着するようになっている。したがって、記録時においてプラテン214と吸引部215との間でもロール紙は吸引されてプラテン214でより平坦になるので、記録精度をさらに高精度に維持することができる。なお、プラテン214に吸引口214aを設けてロール紙を吸引し、あるいはプラテン214と吸引部215との間に隙間Cを設けてロール紙を吸引する何れか一方のみを設けても同様の効果を奏する。
【0049】さらに、プラテン214は、ロール紙の幅方向のサイズに対応させて分割、例えば4インチの幅で7つに分割され、各分割部には例えばスポンジや不織布等のインク吸収材216が配設されている。このように、プラテン214を分割して各分割部にインク吸収材216を配設することにより、ロール紙の全面に記録するいわゆる四辺縁無し記録の際に、全サイズのロール紙に対してはみ出たインクを吸収して回収することができるため、記録ヘッド121やロール紙の汚染を防止することができる。
【0050】図18(A)は、ロール紙の切断装置の周辺を示す側面図である。この切断装置70は、カッタ刃71と、このカッタ刃71を挟み込むように両側に配設された用紙押さえローラ72と、カッタ刃71及び用紙押さえローラ72を下端で保持しているホルダ73と、このホルダ73と連結アーム74を介して連結されてホルダ73を上下動させるプランジャ75を備えており、キャリッジ122の前面側に対して固定されている。
【0051】カッタ刃71は、既存の切り出し刃であり、ロール紙の幅方向に移動することによりロール紙を押し切るようになっている。すなわち、カッタ刃71は、切断装置70に対向配置されたサブプラテン76におけるカッタ刃71と対向する位置に形成されたカッタ溝段差76aに食い込んでカッタ溝段差76aに沿って移動することにより、サブプラテン76上に載置されたロール紙を切断するようになっている。
【0052】用紙押さえローラ72は、回転自在に取り付けられており、ロール紙を幅方向に押さえ込んでカッタ刃71とともに移動するようになっている。すなわち、用紙押さえローラ72は、サブプラテン76におけるカッタ溝段差76aの後部位置、つまり用紙押さえローラ72と対向する位置に形成されたローラ摺動面76bに当接してカッタ刃71とともに移動するようになっている。
【0053】このように、用紙押さえローラ72はロール紙の切断時に紙面上で回転するため余計な摩擦は発生しないので、記録面のインクが剥げることはなく、記録画像の傷付けを防止することができる。すなわち、用紙押さえローラ72は、ロール紙をカットするときの記録面を保護する機能を有しており、カッタ刃71に近接して配設されていても、カッタ刃71から離間して配設されていても上記機能を損ねることは無いので、どちらの配設形態を取っても良い。
【0054】さらに、用紙押さえローラ72を撥水効果の高い例えばPFA樹脂等により成形したり、用紙押さえローラ72のローラ表面に撥水性を有するものを塗布することで、特に上述した四辺縁無し記録を行ったロール紙をカットするときの記録面を保護する機能を更に向上させることができる。ここで、図17に示すように、四辺縁無し記録に必要なインク吸収材216は用紙両側端に対応する部分しか配設されていないので、大型のインクジェット式プリンタ100における四辺縁無し記録は、用紙両側端は印字で展開するが、用紙先端はその端部から1mm程度の余白を取った部分から印字を始め、印字中に用紙先端が切断装置70の位置に達したときにカッタ刃71により余白部分がカットされ、用紙後端は印字終了の排紙時のカットの際に余白を残さぬようにカットされる。すなわち、このような四辺縁無し記録を行ったとき、用紙押さえローラ72は未乾燥な記録面上を転動することになるが、その場合でも用紙押さえローラ72の撥水効果によりインクが付着することはなく、記録画像の乱れを防止することができる。なお、インク吸収材216を用紙両側端に対応する部分のみならず用紙先端及び用紙後端に対応する部分にも配設した場合も、同様に適用することが可能であり、同様の効果を奏する。
【0055】また、用紙押さえローラ72はカッタ刃71の両側に配設されて平坦なローラ摺動面76bにロール紙を介して押圧するので、ロール紙が例え反っていたとしても、切断時にはカッタ刃71が当たる切断部分のロール紙を平坦にすることができ、さらにカッタ刃71はカッタ溝段差76aにより確実に真っ直ぐに移動することができるので、ロール紙の切断精度を常に高精度に維持することができるとともに、ロール紙の切断面の安定化、すなわち良好なカット性能を得ることができる。
【0056】また、ロール紙の両側から真中に向かって順次カット、例えば3段カットもしくは4段カットする方式を採用している。これにより、ロール紙を片側から一気にカットしたとき、ロール紙の自重の関係で切り離される直前がセンタに寄る現象が出てカット面が傾く場合があるが、上記現象を防止して真っ直ぐなカット面とすることができ、ロール紙の切断精度を常に高精度に維持することができる。
【0057】プランジャ75は、図18(B)に示すように、ホルダ73を上下動させることによりカッタ刃71と用紙押さえローラ72をサブプラテン76上に載置されているロール紙に対して当接・離間させるようになっている。このように、ロール紙の切断時にはカッタ刃71と用紙押さえローラ72をロール紙に確実に押し付けることができるので、切断をより高精度に行うことができる。また、ロール紙の排出時等の切断装置70の不使用時にはカッタ刃71と用紙押さえローラ72をロール紙から確実に離間させて退避状態にしておくことができるので、ロール紙との干渉を防止することができる。
【0058】以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は以上の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されるのは勿論である。例えば、上述した実施形態では、記録装置としてインクジェット式プリンタを例に説明したが、これに限定されるものではなく、切断装置を有する記録装置であれば、例えばファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成15年2月27日(2003.2.27)
【代理人】 【識別番号】100098279
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 聖
【公開番号】 特開2003−341163(P2003−341163A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2003−50828(P2003−50828)