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【発明の名称】 インクジェットプリンタ
【発明者】 【氏名】丹野 龍司
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内

【要約】 【課題】高粘度インクであっても摺擦後にブレードの先端部に残留するインク量を低減することで、短期間でブレードを交換しなくとも長期にわたって明瞭な画像形成を可能とするインクジェットプリンタを提供する。

【解決手段】記録媒体に高粘度インクを吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタは、記録媒体に向けて高粘度インクを吐出する吐出口および吐出口を複数配列した吐出面を有する記録ヘッドと、吐出面を清掃する清掃手段とを備える。清掃手段は、吐出面を弾性変形しながら先端部で摺擦するブレードと、ブレードに接触し、かつ吐出面を摺擦することによりブレードに付着した高粘度インクを吸収する吸収体とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】記録媒体に高粘度インクを吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタにおいて、前記記録媒体に向けて高粘度インクを吐出する吐出口および前記吐出口を複数配列した吐出面を有する記録ヘッドと、前記吐出面を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃手段は、前記吐出面を弾性変形しながら先端部で摺擦するブレードと、前記ブレードに接触し、かつ前記吐出面に対する摺擦により前記ブレードに付着した高粘度インクを吸収する吸収体とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記吸収体は、前記ブレードの先端部から後端部に向かって、前記ブレードに沿って設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】請求項1または2に記載のインクジェットプリンタにおいて、30℃における粘度が10mPa・s〜500mPa・sの高粘度インクを、30℃〜150℃の範囲内に収まるように加熱する加熱手段を備え、前記記録ヘッドは、前記加熱手段により加熱された高粘度インクを、1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記記録ヘッドが前記記録媒体上に高粘度インクを吐出した後に、前記記録媒体に光を照射する光照射手段を備え、高粘度インクは、光が照射されることにより硬化する光硬化性インクであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項5】請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ブレードは、ゴムまたはゴム状部材を、表面の滑らかなほぼ板状に形成したものであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録液として高粘度インクを用いるインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタにおいては、インクを記録媒体に吐出する吐出口が、記録ヘッドの一面(吐出面)に備えられている。この記録ヘッドには、インクの粘度の増大、インクの固着による吐出口の目詰まり、あるいは吐出口に通じる液路内に発生した気泡やごみ等による目詰まりを回復するために、記録ヘッドの吐出面をキャップ部材で密閉するように覆い、このキャップ部材を介して吸引ポンプで吸引することにより、流路内に残留している気泡をインクとともに吐出口から吸引除去したり、吐出面に付着したごみ等を除去したりするメンテナンスが行われている。
【0003】通常、キャップ部材を記録ヘッドから取り外した際には、吐出面にインク滴が多数残留することになる。インク滴が吐出面に残ったままであると、明瞭な画像形成が行えない。このため、キャップ部材離脱後においては、弾性を有し立設した状態のブレードの先端部を吐出面に摺擦させることで、吐出面を拭き取り清掃している。
【0004】ここで、ブレードは、記録ヘッドの吐出面と接触する部分(先端部)に多量のインクが残留したままの状態であると、そのワイプ性能は劣化しやすい。しかし、従来使われていた一般的なインクであれば、摺擦後にブレードの先端部に付着したインクの多くはブレードに沿って下方へと流れるために、ワイプ性能の劣化を進行させにくい。
【0005】ところで近年、インクジェットプリンタには、紫外線が照射されることで硬化するUVインクを記録液として用いたものが開発されている。このように、UVインクを用いて画像形成を行った場合、画像形成後に紫外線を照射すればUVインクは硬化し、長期間にわたって形成画像を消え難くすることができ、形成画像を屋外などに配置した際においても優れた耐候性を示すことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、常温時においてUVインクは、一般的なインクと比べて粘度の高い高粘度インクであるので、摺擦によりブレードの先端部に付着すると、その粘度のためになかなか流下せず、そのまま先端部に残留してしまう。このように、ブレードの先端部にインクが多量に残留したままであると、ブレードのワイプ性能の低下を進行させてしまい、短期間でブレードを交換しなければ、形成画像が不明瞭となってしまう。
【0007】本発明の課題は、高粘度インクであっても摺擦後にブレードの先端部に残留するインク量を低減することで、短期間でブレードを交換しなくとも長期にわたって明瞭な画像形成を可能とするインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、記録媒体に高粘度インクを吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタにおいて、前記記録媒体に向けて高粘度インクを吐出する吐出口および前記吐出口を複数配列した吐出面を有する記録ヘッドと、前記吐出面を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃手段は、前記吐出面を弾性変形しながら先端部で摺擦するブレードと、前記ブレードに接触し、かつ前記吐出面に対する摺擦により前記ブレードに付着した高粘度インクを吸収する吸収体とを備えることを特徴としている。
【0009】請求項1記載の発明によれば、ブレードに付着した高粘度インクは吸収体によって吸収されるので、流下しにくい高粘度インクであろうと吸収体の吸収力によりブレードの先端部から吸収される。このため、ブレードの先端部に残留するインクを低減でき、短期間でブレードを交換しなくとも長期にわたって、明瞭な画像形成を可能とする。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記吸収体は、前記ブレードの先端部から後端部に向かって、前記ブレードに沿って設けられていることを特徴としている。
【0011】請求項2記載の発明によれば、吸収体が、ブレードの先端部から後端部に向かって、ブレードに沿って設けられているので、ブレードの先端部に付着した高粘度インクを吸収できる。ここで、ブレードの先端部とは、ブレードの先端から、摺擦後にブレードに付着した高粘度インクの、ブレードの先端から最も離れた端部までの部分が好ましい。つまり、摺擦後にブレードの先端部に付着した高粘度インクは、確実に吸収体と接触して、吸収体により吸収される。このため、摺擦を複数回行う場合において、各回毎に、ブレードの先端部に残留する高粘度インクを確実に吸収でき、ワイプ性能の低下を抑制することができる。なお、吸収体は、ブレードが吐出面を摺擦する際に、吐出面に対して非接触であることが好ましく、こうした場合、摺擦時に吸収体と吐出面との接触により吐出口のメニスカスが壊されることを防止できる。
【0012】なお、高粘度インクは粘度が高いために、摺擦により吐出面から取り除いたインクは、そのほとんどがブレードの先端部に溜まった状態で付着している。つまり、上記した「摺擦面に付着した高粘度インク」とは、摺擦後にブレードの先端部に溜まっている高粘度インクのことである。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタにおいて、30℃における粘度が10mPa・s〜500mPa・sの高粘度インクを、30℃〜150℃の範囲内に収まるように加熱する加熱手段を備え、前記記録ヘッドは、前記加熱手段により加熱された高粘度インクを、1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出することを特徴としている。
【0014】請求項3記載の発明によれば、高粘度インクは加熱手段によって、30℃〜150℃の範囲内に収まるように加熱されるので、この加熱により高粘度インクの粘度は下がり、射出安定性の点で好ましい。なお、さらに好ましくは40℃〜100℃の範囲内である。一般に、高粘度インクは、30℃以下および150℃以上では、射出が困難になる。高粘度インクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化をおこすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)、から吐出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
【0015】温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱する記録ヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0016】また、記録ヘッドの1ドット当たりの吐出量が2pl未満であると、形成される画像の濃度が低くなってしまう。このため、請求項3記載の発明によれば、記録ヘッドが、加熱手段により加熱された高粘度インクを、1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出するので、形成する画像の濃度低下を防止している。なお。1ドットあたりの射出量は、好ましくは4pl〜10plである。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記記録ヘッドが前記記録媒体上に高粘度インクを吐出した後に、前記記録媒体に光を照射する光照射手段を備え、高粘度インクは、光が照射されることにより硬化する光硬化インクであることを特徴としている。
【0018】請求項4記載の発明によれば、高粘度インクとして光硬化インクを適用したインクジェットプリンタにおいても、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ブレードは、ゴムまたはゴム状部材を、表面の滑らかなほぼ板状に形成したものであることを特徴としている。
【0020】請求項5記載の発明によれば、ゴムまたはゴム状部材を、表面の滑らかなほぼ板状に形成したものをブレードとしているので、ブレードが液体を吸収することを防止している。このためブレードに付着した高粘度インクは確実に吸収体に吸収されることとなり、高粘度インクによるワイプ性能の低下を抑制することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について、図1〜図4の図面を参照しながら説明する。
【0022】この実施の形態で例示されるインクジェットプリンタ1は、温度上昇に伴って低粘度化し、紫外線が照射されることで硬化するUVインク(高粘度インク:以下インクと記述)を記録媒体に吐出し画像形成を行うものである。このインクジェットプリンタ1の主要構成は、図1に示すように、シート状の記録媒体2を画像形成時に前方へ搬送させる搬送手段(図示省略)と、記録媒体2にインクを吐出する記録ヘッド3と、複数色毎の記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4と、記録ヘッド3のメンテナンスを行うメンテナンスユニット5と、画像形成時あるいはメンテナンス時などにキャリッジ4を水平方向(矢印A)に沿って案内するガイドレール6と、前記キャリッジ4の待機所となるホームポジション7と、これら各部の制御を行う制御部(図示省略)とを備えている。
【0023】ここで用いられる高粘度インクは、30℃における粘度が10mPa・s〜3000mPa・sとなるインクであり、好ましくは30℃における粘度が10mPa・s〜500mPa・sとなるインクである。10mPa・s未満であれば、記録媒体に着弾した後に滲みやすく、500mPa・sを超えると、形成画像の平滑性が失われてしまう。そして、さらに好ましくは、30℃における粘度が40mPa・s〜500mPa・sとなるインクである。そして、上記した高粘度インクを加熱して吐出する際には、粘度が3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化するおそれがあるので、60℃における粘度が3mPa・s〜30mPa・sとなる高粘度インクが好ましい。さらに、より好ましくは、60℃における粘度が3mPa・s〜20mPa・sとなる高粘度インクである。なお、このインクの粘度は、JIS Z 8803に規定する液体の粘度−測定方法において測定されたものであって、実際の粘度の測定にはHAAKE社製粘度計(ビスコテスター)型式VT07Lを用いた。
【0024】記録媒体2は、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)である。インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属である。
【0025】搬送手段は、画像形成時において、キャリッジ4の動作にタイミングを合わせて、記録媒体2を画像形成領域C上で搬送し、画像形成の終了に応じて、記録媒体2は画像形成領域Cから下方(矢印B)に向かって搬送される。
【0026】記録ヘッド3は、インクジェットプリンタ1で使用されるインクの種類(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)に応じて、複数個設けられている。この記録ヘッド3は、インク吐出の駆動力としてインクに対しての適用範囲が広く、高速射出が可能な圧電体の圧電作用を利用した方式を適用している。それは具体的には、例えば特公平4−48622号に記載されるように、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、さらに絶縁体で覆われているインク流路とする記録ヘッド方式である。そして、記録ヘッド3は、インクを1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出する。なお、記録ヘッド3により記録媒体2上に形成されるドット径は、50μm〜200μmである。好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。50μm未満では形成される画像の濃度が低くなってしまい、また、200μmよりも大きければ高精細画像形成が難しい。
【0027】そして、上記方式を適用した記録ヘッド3は、図2に示すように、インクを記録媒体2に向けて吐出する吐出口(図示省略)と、吐出口を複数配列した吐出面31と、吐出口の目詰まりを検知する吐出口センサー(図示省略)とを備えるとともに、図示しないインクタンクおよびインク供給管からなるインク供給系に接続されている。この記録ヘッド3およびインク供給系には、流路内のインクを加熱する加熱手段と、流路内のインク温度を検知する温度センサーが設けられている。
【0028】吐出口センサーは、吐出口の目詰まりを検知するものであれば如何なるものでもよいが、例えば本実施の形態の吐出口センサーは、発光部と受光部とを備え、この発光部と受光部とが吐出口を挟んで対峙するように配置されている。そして、吐出口センサーは、発光部から受光部に向けて発光される光が、吐出口から吐出されたインク滴により遮断されることで、インク滴の通過を検知する。つまり、インクを吐出するはずの吐出口から、インク滴の通過が検知されないときは、その吐出口が目詰まりを生じていることが認識される。
【0029】加熱手段は、温度センサーの検知結果を基に制御部によって、流路内のインクの温度が30℃〜150℃の範囲内に収まるように、加熱温度が制御されている。
【0030】キャリッジ4は、図1に示すように、ガイドレール6の案内により水平方向(矢印A)に沿って往復移動を繰り返し、記録ヘッド3を、画像形成領域Cにある記録媒体2の画像形成面上を走査させる。このキャリッジ4には、記録ヘッド3から吐出されたインクを硬化させるために、記録媒体に紫外線を照射するUV光源(光照射手段)41が設けられている。
【0031】UV光源41は、紫外線を照射するものであれば如何なるものでもよいが、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、紫外線レーザー・LEDなどを用いることができる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、記録ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式で記録ヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO9954415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源を記録ヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の記録方法においては、これらの照射方法を用いることが可能である。具体的には、帯状のメタルハライドランプ管、紫外線ランプ管が好ましい。線源は、実質的にインクジェットプリンタに固定化し、稼働部をなくすことで、安価な構成とすることが可能である。
【0032】照射は、各色の画像形成毎に行われることが好ましく、つまり、いずれの露光方式でも線源は2種用意し、第2の線源によって、硬化を完了させることが好ましい形態の1つである。これは、2色目の着弾インクの濡れ性、インク間の接着性を得ることと、線源を安価に組むことに寄与する。なお第1の線源と、第2の線源とは露光波長または露光照度を変えることが好ましい。第1の線源の照射エネルギーを第2の線源の照射エネルギーより小さく、すなわち第1の線源の照射エネルギーを照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1〜5%とする。照度を変えた照射を行うことで、硬化後の分子量分布が好ましいものとなる。つまり一度に高照度の照射を行ってしまうと、重合率は高められるものの、重合したポリマーの分子量は小さく、強度が得られない。
【0033】また、第1の線源の照射は、第2の線源の照射よりも長波長とすることで、第1の照射では、インクの表層を硬化させてインクの滲みを抑えられ、第2の照射では、照射線が届きにくい記録媒体近傍のインクを硬化させ、密着性を改善することができる。インク内部の硬化促進のためにも、第2の照射線波長は長波長であることが好ましい。
【0034】なお、本実施の形態では、硬化性、線源のコスト等を考慮して、光硬化性インクとして、紫外線が照射されることにより硬化するUVインクを適用した場合を例示しているが、紫外線以外の光線が照射されることにより硬化する光硬化性インクを適用してもよい。この場合、光照射手段は、UV光源でなく光硬化性インクを硬化させる光線(例えば、電子線、X線、可視光、赤外光など)を照射する様々な線源を用いることが可能である。なお、光硬化性インクは、実質的に水および有機溶媒を含有しないことが望ましい。実質的に含有しないとは、水および有機溶媒の含有量が1重量%未満である。
【0035】ここで、照射線の照射タイミングは、着弾から照射までの時間を0.01〜0.5秒、好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒後である。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、上記したインクを用いることで大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加および臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、一色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
【0036】また、複数色の記録ヘッドからなるユニットでは、各色間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材で記録ヘッド間を構成するか、部材を配置させない構成である。このように簡単な構成とすることで、各色毎に、着弾直後、速やかに照射することが可能である、特に二次色の滲み防止、双方向描画における、行きと帰りのドット滲み差を防止(行きと帰りの色が異なるのを防ぐ)できるため、好ましい。
【0037】メンテナンスユニット5は、記録ヘッド3の吐出口を覆った状態で吐出面31と密閉し、吐出口からインクを吸引するためのキャップ部材51と、キャップ部材51によるインクの吸引が行われた後に、記録ヘッド3の吐出面31を清掃する清掃部(清掃手段)52と、記録ヘッド3の吐出口から空吐出されたインクを受けるインク受け部53とを、上面(記録ヘッド3の吐出面31に対向する面)に、一体的に備えている。そして、このメンテナンスユニット5には、記録ヘッド3のメンテナンスに応じてメンテナンスユニット5を移動させる移動手段(図示省略)が設けられている。
【0038】キャップ部材51は、複数(本実施の形態では2個)並んで設けられており、メンテナンス時において、一度に複数個の記録ヘッド3の吸引を行うことを可能としている。このキャップ部材51の下方には、キャップ部材51が記録ヘッド3の吐出面31を覆った際に、キャップ部材51と吐出面31により形成された空間内部を吸引する吸引ポンプ54、大気連通弁(図示省略)が回収管54aを介して連結されている。つまり、吸引ポンプ54は、キャップ部材51により覆われた状態の吐出口から、キャップ部材51を介してインクを吸引する。そして、吸引ポンプ54によって吐出口から吸引されたインクは、回収管54aを通って回収タンク55に回収される。
【0039】なお、本実施の形態では、記録ヘッド3の吐出口からインクを吸引する手段として吸引ポンプ54を例示したが、吐出口からのインクを吸引できるものであれば如何なるものでもよく、例えば、ピストンやシリンダ等が挙げられる。
【0040】清掃部52は、図3に示すように、記録ヘッド3の吐出面31を弾性変形しながら先端部で摺擦するブレード52aと、ブレード52aに付着したインクを吸収する吸収体52bとを備えている。
【0041】ブレード52aは、弾性を有し、記録ヘッド3の吐出面31を摺擦して清掃するほぼ板状の清掃部材である。このブレード52aは、ゴムまたはゴム状部材により、液体に対する不吸収性を有するように形成されて、吐出面31を摺擦するために立設している。
【0042】ここで、ゴムまたはゴム状部材は、各種ゴム材料や熱可塑性エラストマ−などの他に、ゴム材料と同様の性質をもつ各種材料を広く含む。例えば、各種ゴム材料、樹脂材料、熱可塑性エラストマー等を、単独もしくは併用したものを用いても良い。この場合において、各種ゴム材料とは限定されるものではなく、例えば、固体のゴム材料の他に、液状の粘弾性体を硬化させて得られる液状反応硬化物等を用いても良い。また、固体のゴム材料とは、例えば、エチレンプロピレン三元共重合体(EPDM)、ブチルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、ウレタンゴム等を、単独もしくは併用して用いたポリマーに対して、従来からゴム工業一般で用いられている、加硫剤や架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、溶剤等の配合薬品を配合し、加硫(または架橋)したものが含まれる。
【0043】ここで、加硫とは、硫黄加硫に限定されるものではなく、例えば、ゴム工業一般に用いられている有機過酸化物、金属酸化物、有機多価アミンなどの各種架橋剤による架橋も含まれる。また、液体のゴム材料とは、例えば、ウレタン、液状ポリブタジエン、変性シリコン、シリコン、ポリサルファイド等が含まれる。なお、これらの材料は、固体化させるための硬化剤を所定量添加して混合し、反応硬化させて用いることが好ましい。
【0044】そして、ゴムまたはゴム状部材は、その性質として液体に対する不吸収性を有しているが、製品として形成した際の形状(例えばスポンジ状など)によっては液体に対する吸収性が発揮される場合もあるので、液体に対する不吸収性を維持できる形状に形成する。具体的には、ブレード52aの表面が、凹凸なく滑らかになるように形成する。
【0045】吸収体52bは、インクを吸収するものであれば如何なるものでもよいが、本実施の形態では、スポンジを用いている。吸収体52bは、直方体状に形成されて、上部に開口部52cが設けられており、この開口部52cにブレード52aが差し込まれ固定されることで、吸収体52bとブレード52aとが接触し、ブレード52aに付着したインクを吸収できる。そしてこの吸収体52bは、固定爪52dによってメンテナンスユニット5に固定されている。そして吸収体52bは、ブレード52aの先端部から下端部(後端部)に向かって、ブレード52aに沿って設けられている。具体的に吸収体52bは、図4(a)に示すように、摺擦時に記録ヘッド3の吐出面31に対して非接触で、かつ、図4(b)に示すように、ブレード52aの先端からMだけ間隔をあけた所に、吸収体52bの先端がくるようにブレード52aに配置される。
【0046】なお、摺擦後に付着したインクを確実に吸収するには、記録ヘッド3の吐出面31と吸収体52bとが接触しない範囲で、Mの値をできるだけ小さくすることが好ましい。そして、記録ヘッド3の吐出面31には接触しないものの、吐出面31に残留するインクに吸収体52bが接触する構成であれば、インクの吸収が効率的に行える。一方、吐出面31に残留するインクには吸収体52bが接触しない構成であれば、吐出口のメニスカスを維持しやすい。
【0047】インク受け部53は、図2に示すように、メンテナンスユニット5におけるキャップ部材51とブレード52aとの間に配置されている。このインク受け部53には、溜まったインクを回収タンク55まで流す回収管53aが設けられている。
【0048】ここで、メンテナンス後に排出されたインクが、UV光源41により照射された紫外線の影響で、回収管53a、54a、回収タンク55内で硬化しないように、これら各部は遮光カバー56、57、58、59により覆われている。
【0049】ホームポジション7は、図1に示すように、キャリッジ4が往復移動する経路の一端側に備えられている。このホームポジション7には、記録ヘッド3の吐出面31を保湿する保湿キャップ71が、記録ヘッド3と同数設けられており、キャリッジ4の待機中においては、記録ヘッド3の吐出面31を覆って密閉している。
【0050】制御部(制御手段)は、インターフェイス、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。
【0051】インターフェイスには、記録ヘッド3、キャリッジ4、吸引ポンプ54、UV光源41、加熱手段、温度センサー、吐出口センサー、搬送手段、移動手段などが電気的に接続されている。
【0052】ROMには、インクジェットプリンタの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0053】RAMは、電力が供給されている間だけ入力されたデータを複数記憶可能であり、画像形成される画像データ等の各種データを記憶する記憶領域とCPUによる作業領域などが備えられている。
【0054】CPUは、ROMに格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムを、RAM内の作業領域に展開し、各センサーからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0055】この制御部は、インクジェットプリンタ1の動作全体を制御するものであるが、ここでは記録ヘッド3のメンテナンス時に行われる制御について、図2および図4を参照にして説明する。
【0056】制御部は、記録ヘッド3が記録媒体2に所定量画像形成を行った後や、吐出口センサーが吐出口の目詰まりを検知した後、あるいはインクジェットプリンタ1の電源投入時等を、開始タイミングとして、記録ヘッド3のメンテナンスを開始する。
【0057】メンテナンスの開始タイミングとなると、制御部は、図2に示すように、キャリッジ4を駆動して、記録ヘッド3の吐出面31とキャップ部材51とを対向させる。その後、制御部は移動手段を駆動して、キャップ部材51と記録ヘッド3の吐出面31とが密閉するまで、メンテナンスユニット5を上方(矢印D)へと移動させる。キャップ部材51が記録ヘッド3の吐出口を覆って、吐出面31と密閉すると、制御部は、吸引ポンプ54を駆動して、キャップ部材51を介して、吐出口からインクを吸引する。
【0058】吸引が終了すると、制御部は、移動手段を駆動して、記録ヘッド3の吐出面31がブレード52aの先端よりも下となるように、メンテナンスユニット5を下方(矢印E)へと移動させて、キャップ部材51を吐出面31から離間させる。キャップ部材51の離間が完了すると、制御部は、移動手段を駆動して、メンテナンスユニット5を右方向(矢印F)に移動させる。この移動時においては、図4(a)に示すように、ブレード52aは、吐出面31を先端部で摺擦して、インクIを拭き取り清掃しながら、記録ヘッド3を通過する。この際、ブレード52aは、弾性変形しながら吐出面31を摺擦して、吐出面31をまんべんなく清掃する。これにより、吐出面31に残留していたインクIは、ブレード52aの摺擦面に拭き取られ、付着する。ブレード52aが、図4(b)に示すように、記録ヘッド3を通過すると、ブレード52aは弾性復帰して基の状態に戻る。
【0059】ここで、吸収体52bを備えていない清掃部であれば、図4(b)の(注)に示すように、インクI’は、ブレード52a’の先端からLの範囲で付着している。しかしながら、本実施の形態では、ブレード52aの先端からM(Lよりも短い)だけ間隔をあけた所に、吸収体52bの先端がくるように、つまり摺擦面に付着していたインクIの下端部(ブレードの先端から最も離れた部分)よりも吸収体52bの先端がブレード52aの先端寄りとなるように、吸収体52bがブレード52aに配置されているので、摺擦後にはブレード52aに付着したインクと吸収体52bとが接触して、インクは吸収体52bに吸収される。
【0060】吐出面31の清掃されると、制御部は、移動手段を駆動して、記録ヘッド3の吐出面31がブレードの先端よりも上となるように、メンテナンスユニット5を下方(矢印E)へと移動させる。その後、制御部は、移動手段を駆動して、メンテナンスユニット5を左方向(矢印G)へと移動させて、記録ヘッド3の吐出面31とインク受け部53とを対向させる。
【0061】記録ヘッド3の吐出面31とインク受け部53とが対向すると、制御部は、記録ヘッド3を駆動して、吐出口からインク受け部53に向けて空吐出させ、吐出口の吐出状態を復帰させる。記録ヘッド3のメンテナンスが終了すると、制御部は、移動手段を制御してメンテナンスユニット5を所定の位置に戻す。
【0062】以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタ1によれば、ブレード52aの摺擦面に付着したインクは吸収体52bによって吸収されるので、流下しにくい高粘度インクであろうと吸収体52bの吸収力によりブレード52aの先端部から吸収される。このため、ブレード52aの先端部に残留するインクを低減でき、短期間でブレード52aを交換しなくとも長期にわたって、明瞭な画像形成を可能とする。また、ブレード52aが記録ヘッド3の吐出面31を摺擦する際に吐出面31に対して非接触となるように、吸収体52bはブレード52aに配置されているので、摺擦時に吸収体52bと吐出面31との接触により吐出口のメニスカスが壊されることを防止できる。また、吸収体52bは、ブレード52aが記録ヘッド3の吐出面31を摺擦した後に、摺擦面に付着したインクの、ブレード52aの先端から最も離れた部分よりも、吸収体52bの先端がブレード52aの先端寄りとなるようにブレード52aに配置されているので、摺擦後にブレード52aの先端に付着したインクを確実に吸収体に接触させることができる。このため、摺擦を複数回行う場合において、各回毎に、ブレード52aの先端部に残留するインクを確実に吸収でき、ワイプ性能の低下を抑制することができる。
【0063】なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態では、ブレード52aに付着したインクを吸収体52bが吸収することにより、ブレード52aの清掃を行っているが、ブレードの清掃が吸収のみであると、インクの除去が完全に行われるとは限らないので、インクの吸収後にさらにブレード52aを清掃するブレード清掃手段を設ける構成であってもよい。これにより、一層長期にわたってブレード52aのワイプ性能を維持することができる。
【0064】また、本実施の形態では、吸収体52bがブレード52aの両面と接触する構成であるので、ブレード52bによる摺擦を双方向で行うことも可能であるが、本実施の形態のように一方向での摺擦のみを行う構成であれば、吸収体はブレードの摺擦面とだけ接触する構成であってもよい。
【0065】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、流下しにくい高粘度インクであろうと吸収体の吸収力によりブレードの先端部から吸収される。このため、ブレードの先端部に残留するインクを低減でき、短期間でブレードを交換しなくとも長期にわたって、明瞭な画像形成を可能とする。請求項2記載の発明によれば、摺擦時に吸収体と吐出面との接触により吐出口のメニスカスが壊されることを防止できる。また、摺擦後にブレードの先端に付着した高粘度インクを確実に吸収体に接触させることができる。このため、摺擦を複数回行う場合において、各回毎に、ブレードの先端部に残留する高粘度インクを確実に吸収でき、ワイプ性能の低下を抑制することができる。
【0066】請求項3記載の発明によれば、最適な画像形成を行うことができる。請求項4記載の発明によれば、高粘度インクとしてUVインクを適用したインクジェットプリンタにおいても、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。請求項5記載の発明によれば、ブレードに付着した高粘度インクは確実に吸収体に吸収されることとなり、高粘度インクによるワイプ性能の低下を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番1号
【出願日】 平成14年5月30日(2002.5.30)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
【公開番号】 特開2003−341107(P2003−341107A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−157586(P2002−157586)