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【発明の名称】 インクカートリッジおよびインクカートリッジホルダ
【発明者】 【氏名】情野 健朗
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】藤岡 聡
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】インクカートリッジホルダに対してインクカートリッジが不安定性を有する場合であっても、正確な位置決めが要求されるインクカートリッジホルダの情報読取部とインクカートリッジの情報記憶部の相対的な位置を保持する。

【解決手段】記録装置10にインクを供給するインクカートリッジ300であって、インクを収容し、略筐体の形状を有するインクカートリッジ本体302と、インクカートリッジ本体302の第1側面310の一部に設けられた接続電極部316を有する情報記憶部314と、第1側面310と交差する前面320に設けられたインク供給部322と、前面320の接続電極部316の近傍で、接続電極部316と略平行な方向でかつ接続電極部316と対向するように記録装置10の位置決め部材220を案内する位置決め部326とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録装置にインクを供給するインクカートリッジであって、前記インクを収容し、第1の壁と該第1の壁と交差する前壁を有するインクカートリッジ本体と、前記インクカートリッジ本体の前記第1の壁の一部に設けられ、記憶素子と電気的に接続した少なくとも一つの接続電極を含む接続電極部と、前記前壁に設けられたインク供給部と、前記前壁上の前記接続電極部近傍に配置され、前記インクカートリッジを前記記録装置の位置決め部材に沿って案内する位置決め部を備え、該位置決め部は、前記接続電極部と略平行な方向で且つ前記接続電極部と対向するように前記記録装置の位置決め部材を案内可能に形成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】 前記接続電極部が前記第1の壁の凹部に配設されたことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】 前記第1の壁に対して垂直方向から見たときに、前記位置決め部の中心軸は、前記接続電極部の幅内にあることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】 前記カートリッジ装着方向と平行な方向に延びる前記位置決め部の中心軸は、前記カートリッジ装着方向と平行な方向に延びる前記接続電極部の中心線に略沿っていることを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】 前記前壁に副位置決め部をさらに有し、該副位置決め部の中心軸は、前記インクカートリッジ装着方向に平行に延びるよう形成されていると共に、前記副位置決め部はインクカートリッジ装着方向に垂直な方向に長い形状であることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】 前記前壁と前記位置決め部の頂面との間の距離が、前記前壁と前記副位置決め部の頂面との間の距離よりも長いことを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】 前記第1の壁と交差する第2の壁上に、少なくとも一つの凸部をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項8】 前記第2の壁に対して垂直の方向から見たときに、前記凸部は、前記接続電極部と前記位置決め部の少なくとも一方の一部と重なり合うことを特徴とする請求項7に記載のインクカートリッジ。
【請求項9】 前記前壁とは反対側の端部に形成された把持部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】 前記把持部は凹部を有することを特徴とする請求項9に記載のインクカートリッジ。
【請求項11】 第1の壁の一部に情報記憶部と接続した接続電極部が設けられ、かつ前記第1の壁と交差する前壁にインク供給部が設けられたインクカートリッジが、着脱可能に装着されるインクカートリッジホルダであって、前記インクカートリッジの前記前壁が最初に挿入される開口面と、前記インクカートリッジを収容するホルダ本体と、前記ホルダ本体の内側に配置され、前記インクカートリッジが装着された時に、前記インクカートリッジの前記情報記憶部の接続電極部と電気的に接続する接続電極部が形成された情報読取部と、前記ホルダ本体から前記開口面の方向に延出し、前記インクカートリッジの前記第1の壁および前記前壁に平行な方向において前記情報読取部の近傍に位置し、前記インクカートリッジの前記第1の壁に対して垂直方向から見た時に、少なくともその一部が前記情報読取部の少なくとも一部と重なり合う様に配置された位置決め部材とを備えることを特徴とするインクカートリッジホルダ。
【請求項12】 前記位置決め部材は、テーパ状の端部を有し、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に収容されたときに前記インクカートリッジに収容されるように寸法決めされかつ配設された位置決め部材本体と、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に収容されたときに前記インクカートリッジと当接する当接面を含む当接部とを有することを特徴とする請求項11に記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項13】 前記当接面の断面積は、前記位置決め部材本体の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項12に記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項14】 装着されたインクカートリッジの第1の壁に対して垂直方向から見たときに、前記位置決め部材本体の中心軸は、前記情報読取部における前記接続電極部の幅内に位置することを特徴とする請求項12に記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項15】 前記位置決め部材本体の中心軸は、前記情報読取部の前記接続電極部の幅方向の中心線と略一致する位置にあることを特徴とする請求項14に記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項16】 前記ホルダ本体から前記開口面に向かって延びる副位置決め部材をさらに有し、前記副位置決め部材と前記位置決め部材の両方が前記第1の壁と略平行に延びており、前記インクカートリッジの前記第1の壁と前記前壁に平行な方向において、前記情報読取部の接続電極部と前記副位置決め部材との間の距離が、前記情報読取部の接続電極部と前記位置決め部材との間の距離よりも長いことを特徴とする請求項11に記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項17】 前記位置決め部材の中心軸は前記副位置決め部材の中心軸と平行であることを特徴とする請求項16に記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項18】 前記副位置決め部材は、テーパ状の端部を有し、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に収容されたときに前記インクカートリッジに収容されるように寸法決めされかつ配設された副位置決め部材本体と、前記副位置決め部材本体よりも大きい断面積を有する当接面を備え、前記開口面と前記副位置決め部材の前記当接面との間の距離が、前記開口面と前記位置決め部材の前記当接部の前記当接面との間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項16に記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項19】 前記ホルダ本体は、前記インクカートリッジが装着されるときに、少なくとも前記インクカートリッジの前記第1の壁および前記前壁に平行な方向にクリアランスを生じるように寸法決めされていることを特徴とする請求項11から18のいずれかに記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項20】 前記インクカートリッジの前記第1の壁と前記前壁とに交差する第2壁を選択的に付勢する付勢部をさらに備えることを特徴とする請求項11から19のいずれかに記載のインクカートリッジホルダ。
【請求項21】 前記付勢部は、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に着脱可能な第1の位置と、前記インクカートリッジがホルダ本体に規制される第2の位置とを有していることを特徴とする請求項20に記載のインクカートリッジホルダ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクカートリッジおよびインクカートリッジホルダに関する。特に本発明は、記録装置にインクを供給するインクカートリッジ、およびこのインクカートリッジが装着されるインクカートリッジホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置において、インクを保持したインクカートリッジを着脱可能にインクカートリッジホルダに装着して、インクをインクジェット記録装置に供給するものが知られている。ポスターなどの大判の用紙に記録をするインクジェット記録装置にあっては、大量のインクを用いるために、これに相当してインクカートリッジも大きい。
【0003】インクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジには、インクの種類、色、インクの現存量等の情報を記憶するICチップを有するものがある。この種のインクカートリッジが装着されるインクカートリッジホルダには、このICチップに対応する位置に情報の読取部を設ける。インクカートリッジがインクカートリッジホルダに装着された状態で、インクカートリッジのICチップと、インクカートリッジホルダの読取部とが、例えば電気的に結合して、情報を読み書きする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インクカートリッジホルダ、インクカートリッジ、これらの構成要素およびその組み付けには、製品ごとのばらつきがある。この製品ごとのばらつきにより、インクカートリッジのICチップとインクカートリッジホルダの読取部との相対位置がずれると、これらの電気的な結合が離れ、情報を読み書きできなくなる。特に、大型のインクカートリッジを用いる場合にあっては、この製品ばらつきによるICチップと読取部との相対位置のずれの絶対値が大きくなりやすい。よって、情報の読み書きができなくなるおそれが大きい。
【0005】また、インクカートリッジをインクカートリッジホルダに装着するのを容易にするために、インクカートリッジホルダにクリアランス、すなわちいわゆる“遊び”を設ける場合がある。特に、大型のインクカートリッジの場合にあっては、インクカートリッジホルダのクリアランスを大きく設けた方が良い。しかし、この場合には上述のように、クリアランスによるガタが生じ、ICチップと読取部との相対位置がずれやすい。よって、情報の読み書きができなくなるおそれが大きい。
【0006】そこで本発明は、上記の課題を解決することのできるインクカートリッジおよびインクカートリッジホルダを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1の形態によると、記録装置にインクを供給するインクカートリッジであって、前記インクを収容し、第1の壁と該第1の壁と交差する前壁を有するインクカートリッジ本体と、前記インクカートリッジ本体の第1の壁の一部に設けられ、記憶素子と電気的に接続した少なくとも一つの接続電極を含む接続電極部と、前記前壁に設けられたインク供給部と、前記前壁上の前記接続電極部近傍に配置され、前記インクカートリッジを前記記録装置の位置決め部材に沿って案内する位置決め部を備え、前記位置決め部は、前記接続電極部と略平行な方向で且つ前記接続電極部と対向するように前記記録装置の位置決め部材を案内可能に形成されている。
【0008】前記インクカートリッジにおいて、前記接続電極部が前記第1の壁の凹部に配設されていてもよい。
【0009】前記インクカートリッジにおいて、前記第1の壁と垂直方向から見たときに、前記位置決め部の中心軸は、前記接続電極部の幅内にあってもよい。
【0010】前記インクカートリッジにおいて、前記カートリッジ装着方向と平行な方向に延びる前記位置決め部の中心軸は、前記カートリッジ装着方向と平行な方向に延びる前記接続電極部の中心線に略沿っていてもよい。
【0011】前記インクカートリッジにおいて、前記前壁に副位置決め部をさらに有し、該副位置決め部の中心軸は、前記インクカートリッジ装着方向に平行に延びるよう形成されていると共に、前記副位置決め部はインクカートリッジ装着方向に垂直な方向に長い形状であってもよい。
【0012】前記インクカートリッジにおいて、前記前壁と前記位置決め部の頂面との間の距離が、前記前壁と前記副位置決め部の頂面との間の距離より長くてもよい。
【0013】前記インクカートリッジにおいて、前記第1壁と交差する第2壁上に、少なくとも一つの凸部をさらに備えていてもよい。
【0014】前記インクカートリッジにおいて、前記第2の壁に対して垂直の方向から見たときに、前記凸部は、前記接続電極部と前記位置決め部の少なくとも一方の一部と重なり合っていてもよい。
【0015】前記インクカートリッジにおいて、前記前壁とは反対側の端部に形成された把持部をさらに有していてもよい。
【0016】前記インクカートリッジにおいて、前記把持部は凹部を有していてもよい。
【0017】また、本発明の第2の形態によれば、第1の壁の一部に情報記憶部と接続した接続電極部が設けられ、かつ前記第1の壁と交差する前壁にインク供給部が設けられたインクカートリッジが、着脱可能に装着されるインクカートリッジホルダであって、前記インクカートリッジの前記前壁が最初に挿入される開口面と、前記インクカートリッジを収容するホルダ本体と、前記ホルダ本体の内側に配置され、前記インクカートリッジが装着された時に、前記インクカートリッジの前記情報記憶部の接続電極部と電気的に接続する接続電極部が形成された情報読取部と、前記ホルダ本体から前記開口面の方向に延出し、前記インクカートリッジの前記第1の壁および前記前壁に平行な方向において前記情報読取部の近傍に位置し、前記インクカートリッジの前記第1の壁に対して垂直方向から見た時に、少なくともその一部が前記情報読取部の少なくとも一部と重なり合う様に配置された位置決め部材とを備えている。
【0018】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記位置決め部は、テーパ状の端部を有し、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に収容されたときに前記インクカートリッジに収容されるように寸法決めされかつ配設された位置決め部材本体と、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に収容されたときに前記インクカートリッジと当接する当接面を含む当接部とを有していても良い。
【0019】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記当接面の断面積は、前記位置決め部材本体の断面積よりも大きくてもよい。
【0020】前記インクカートリッジホルダにおいて、装着されたインクカートリッジの第1の壁に対して垂直方向から見たときに、前記前記位置決め部材本体の中心軸は、前記情報読取部における前記接続電極部の幅内に位置していてもよい。
【0021】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記位置決め部材本体の中心軸は、前記情報読取部の前記接続電極部の幅方向の中心線と略一致する位置にあってもよい。
【0022】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記ホルダ本体から前記開口面に向かって延びる副位置決め部材をさらに有し、前記副位置決め部材と前記位置決め部材の両方が前記第1の壁と略平行に延びており、前記インクカートリッジの前記第1の壁と前壁前記に平行な方向において、前記情報読取部の接続電極部と前記副位置決め部との間の距離が、前記情報読取部の前記接続電極部と前記位置決め部材との間の距離よりも長くてもよい。
【0023】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記位置決め部材の中心軸は前記副位置決め部材の中心軸と平行であってもよい。
【0024】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記副位置決め部材は、テーパ状の端部を有し、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に収容されたときに前記インクカートリッジに収容されるように寸法決めされかつ配設された副位置決め部材本体と、前記副位置決め部材本体よりも大きい断面積を有する当接面を備え、前記開口面と前記副位置決め部材の前記当接面との間の距離が、前記開口面と前記位置決め部材の前記当接部の前記当接面との間の距離よりも大きくてもよい。
【0025】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記ホルダ本体は、前記インクカートリッジが装着されるときに、少なくとも前記インクカートリッジの前記第1の壁および前記前壁に平行な方向にクリアランスを生じるように寸法決めされていてもよい。
【0026】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記インクカートリッジの前記第1の壁と前記前壁とに交差する第2壁を選択的に付勢する付勢部をさらに備えていてもよい。
【0027】前記インクカートリッジホルダにおいて、前記付勢部は、前記インクカートリッジが前記ホルダ本体に着脱可能な第1の位置と、前記インクカートリッジがホルダ本体に規制される第2の位置とを有していてもよい。
【0028】なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0030】図1は、本発明の第1実施形態が適用されるインクジェット記録装置の斜視図である。インクジェット記録装置10は、記録装置本体100と、この記録装置本体100の一部に設けられ、インクカートリッジが装着されるインクカートリッジホルダ200とを備える。インクジェット記録装置10のインクカートリッジホルダ200は、回動自在な蓋202を有する。インクジェット記録装置10の一例は、インクを大量に用いて、ポスターなどの大判の用紙(A2〜A0サイズ等)に記録する大型のインクジェットプリンタである。
【0031】図2は、図1のインクジェット記録装置10において、インクカートリッジホルダ200の蓋202を開けた状態を示す斜視図である。インクカートリッジホルダ200は、複数のインクカートリッジ300を収容する。このインクジェット記録装置10は、それぞれが所定の色のインクを収容した複数個のインクカートリッジ300を列設して装着する。これにより、インクジェット記録装置10は、供給された用紙にフルカラーで記録することができる。
【0032】図3は、本発明の第1実施形態にかかるインクカートリッジの正面斜視図である。第1実施形態のインクカートリッジ300は、略筐体の形状を有するインクカートリッジ本体302と、このインクカートリッジ本体302の第1側面(第1の壁)310の一部である凹部312に設けられた情報記憶部314と、第1側面310と交差する前面(正面)320に設けられたインク供給部322と、前面320に設けられる位置決め部326とを備える。
【0033】図23は、インクカートリッジ本体302の分解斜視図である。インクカートリッジ300のインクカートリッジ本体302は、内部に所望の量のインクを保持するよう構成されている。インクカートリッジ本体302の内部にインクを保持する手段の一例として、インクカートリッジ本体302は、一方が開口した容器状の容器本体304と、一端にインク供給口307が形成された可撓性のインクバッグ306と、略平板状の蓋部308とからなる。このインクカートリッジ本体302において、バッグ306内にインクが充填され、このバッグ306が容器本体304内に収納され、その一端に形成されたインク供給口307が容器本体304のインク供給部322に係合および固定される。バッグ306が収納された状態で蓋部308を容器本体304の開口周縁部へ、例えば振動溶着などで固着する。これにより、大容量のインクを収容することが可能になり、ポスターなどの大型の用紙に記録するインクジェット記録装置においても、大量のインクを安定して供給することができる。
【0034】図4に示されるインクカートリッジ300の情報記憶部314は、インクやインクカートリッジの種類、インクカートリッジが保持するインクの色、インクの現存量等の情報を記憶する。情報記憶部314の一例は、接触式のICチップである。接触式のICチップは、基板と、基板の表側に露出された複数の接続端子316aからなる接続電極部316と、基板の裏側に設けられたEEPROM等の半導体記憶素子からなるメモリ(記憶素子)とを有し、接続端子316aと記録装置側の接続電極が接触して電気的に接続されることにより、メモリ内の情報データが読み出されたり、書き換えられたりする。本実施形態において、情報記憶部314は接触式であり、外部に露出された複数の接続端子316aを含む接続電極部316を有する。なお、図3においては接続端子316aは2つに簡略化して図示しているが、正確には図4に示すように7つの接続端子を2列千鳥状に配置している。また、接続電極部が第1側面310に設けられると共に、例えばフレキシブルプリントサーキット(FPC)で引き回されて、情報記憶部のメモリの部分が他のカートリッジ本体の側面等に設けられてもよい。さらに、接触式に限られず、磁気または光学を利用した非接触式の情報記憶部であってもよい。
【0035】本実施形態において、インクカートリッジ本体302の第1側面(壁)310の図3中で上方よりの一部、図3および4の例では右上方コーナー部に凹部312が設けられる。この凹部312に、情報記憶部314、特に接続電極部316が配される。これにより、情報記憶部314に外部から不用意に接触されたり、衝撃が加わったりすることを防ぐことができる。また、上記凹部312は一方が開放されているため、情報記憶部314をインクカートリッジ本体302に装着固定する製造作業を容易に行うことができる。
【0036】なお、凹部312の底面及び凹部312から突出した情報記憶部取付部318の上面は、第1の側面と略平行に形成されている。
【0037】インクカートリッジ300のインク供給部322には、インク供給孔324が設けられ、このインク供給孔324からインクが記録装置本体100に供給される。なお、一端にインク供給口を有するインクバックを内部に収容した形態の場合には、インクバックのインク供給口の一端をインク供給孔324から露出するように固定し、このインク供給口に記録装置のインク供給針が挿入される。インクバックのインク供給口の形態としては、ゴム等の弾性部材によりインクが漏れないように封止した形態や、弁体を配置してインク供給針の挿入により開弁する形態などを採用することができる。
【0038】さらに、インクカートリッジ300の背面側には、把持部350と、窪み部352とを有する。これらにより、使用者が、確実にインクカートリッジ300を把持することができ、インクジェット記録装置10のインクカートリッジホルダ200からインクカートリッジ300を容易に着脱することができる。
【0039】図4は、第1実施形態のインクカートリッジの正面及び第1の側面側から見たカートリッジの一部を示す図である。インクカートリッジ300の位置決め部326は、第1側面310に形成された凹部312内に形成された情報記憶部314の接続電極部316の近傍で、前面から見たときのカートリッジの厚さ方向(矢印B方向)で接続電極部316と重なり合うように形成されている。より詳細には、位置決め部326の孔部328の矢印A方向の幅Wの中心線Cが、接続電極部316の幅Wの範囲内に位置するように形成されている。図中矢印Aは、「第1の側面及びカートリッジ挿入方向に垂直な面に平行な方向」を示している。また、位置決め部326の孔部328はインクカートリッジ挿入方向に延びており、その中心軸は第1側面310に対して垂直方向から見たときに、接続電極部316の幅Wの範囲内に位置するように形成されている。
【0040】また、位置決め部326の形状としては、後述する位置決め部材220が挿入可能な凹部または筒状部にすることもできるが、矢印A方向及び/または図面上で矢印A方向に垂直な矢印B方向の規制を行うことが可能な形状であることが好ましい。
【0041】位置決め部326の孔部328の位置は、より好ましくは、位置決め部326の孔部328の矢印A方向における幅Wの中心線Cが接続電極部の幅Wの中心線Cと略一致する様に形成されているとよい。
【0042】より詳細には、図4において、位置決め部326における孔部328の幅Wの中心を通る第1側面の方向へ引いた中心線Cと、情報記憶部314における接続電極部316の幅方向の中心線Cとが、図面上第1側面310および前面320に平行な方向Aについて略一致するとさらによい。なお、図4においてはわずかながらずれているが、この程度のずれであれば許容し得る。これにより、後述するインクカートリッジホルダへの挿入において、より正確に接続電極部を記録装置側の接続電極と位置決め当接させることができる。
【0043】図5は、第1実施形態のインクカートリッジの背面斜視図である。インクカートリッジ300は、前面320と略平行な背面340を備える。この背面340には、把持部350が設けられ、背面の最大の幅Wよりも把持部350の幅Wは狭く形成されている。これにより、カートリッジが複数隣り合うようにインクカートリッジホルダに収容されていても、使用者の指等を挿入してインクカートリッジを容易に取り出すことができる。
【0044】図6は、第1実施形態のインクカートリッジホルダの部分斜視図である。図1のインクカートリッジホルダ200は複数のインクカートリッジを収容するが、ここでは説明のため、そのうちの1つのインクカートリッジを収容するインクカートリッジホルダ201が示されている。
【0045】第1実施形態のインクカートリッジホルダ201は、インクカートリッジ300の前面320から挿入される開口面212を有し、インクカートリッジ300を収容するホルダ本体210を備える。本実施形態において、インクカートリッジホルダ201は、開口面212と略平行な端面230を有する。
【0046】さらにインクカートリッジホルダ201は、ホルダ本体210の内側で、インクカートリッジ300の情報記憶部314に対応する位置に情報読取部214が形成されている。この情報読取部214の上面にはインクカートリッジ300の接続電極部316の複数の接続端子316aに対応する複数の接続電極216が形成されている。情報読取部214は、インクカートリッジが記録装置に装着されたときに、正確にその接続電極部が前記インクカートリッジの接続電極部と電気的に接続するように正確に寸法決めおよび配列されている。本図面では、簡略化して2つの接続電極を図示している。情報読取部214は、インクカートリッジ300の情報記憶部314から情報を読み取ることができる形態であれば、これに限られない。
【0047】図6に特に示されているように、さらにインクカートリッジホルダ201は、ホルダ本体210から開口面212の方向に延出しする位置決め部材220を備える。本発明の位置決め部材は、インクカートリッジの第1の壁に対して垂直方向から見た時に、少なくともその一部が情報読取部の少なくとも一部と重なり合うように寸法決めならびに配設されている。本実施形態においては、インクカートリッジ300の位置決め部326が孔部328を有することに対応して、この位置決め部材220は断面が円形の略円筒形状を有する。本実施例における位置決め部材220は、テーパ状の端部224と、インクカートリッジ300の孔部328に挿入される位置決め部材本体222とを有している。位置決め部材本体222は、インクカートリッジがホルダ本体に収容されたときに、インクカートリッジに収容されるように寸法決めされかつ配設されている。また、位置決め部材220は、インクカートリッジがホルダ本体に収容されたときにインクカートリッジと当接する当接面228を含む当接部226も有している。この当接面228の断面積は、位置決め部材本体222の断面積よりも大きくなるように設定されている。本実施形態において、当接部226は端面230から延出して設けられている。
【0048】インクカートリッジホルダ201は、さらに、一端が記録装置本体100の記録ヘッドと接続されるインク供給針232を備えている。インク供給針232はインク通路234を有し、インクカートリッジのインク供給部322と接続してインクカートリッジ300内部に収容されたインクを記録装置本体100に設けられた記録ヘッドへ供給する。
【0049】図7は、第1実施形態のインクカートリッジホルダ201を開口面の方向から見た部分正面図である。
【0050】インクカートリッジホルダ201の位置決め部材220は、情報読取部214の接続電極216近傍にあり、矢印D方向(挿入されたカートリッジの厚み方向)で対向するように形成されている。また図中矢印C方向は、挿入されるインクカートリッジ300の第1側面310及びカートリッジの挿入方向に垂直な面に平行な方向を示している。
【0051】位置決め部材220は、位置決め部材の中心線Cが、矢印C方向における情報読取部214の接続電極216の幅Wの範囲内に位置するように構成されている。更に、位置決め部材本体222の中心線Cと情報読取部214の接続電極216の幅Wの中心線Cとが矢印A方向において重なり合うように位置するとより好ましい。図では若干ずれてはいるが、この程度のずれであれば許容され得る。また、位置決め部材220の本体222はインクカートリッジ挿入方向に延びており、その中心軸は第1側面310に対して垂直方向から見たときに、情報読取部214の幅Wの範囲内に位置するように形成されている。
【0052】図8から図10は、第1実施形態において、インクカートリッジがインクカートリッジホルダに装着される過程を示す部分側面図である。
【0053】図8は、インクカートリッジ300がインクカートリッジホルダ201に装着される初期の過程を示す部分側面図である。インクカートリッジ300の前面(正面)320が、インクカートリッジホルダ201のホルダ本体210の開口面212から挿入される。このとき、インクカートリッジホルダ201の位置決め部材220の先端部224は、インクカートリッジ300の位置決め部326の孔部328と対向する。さらに、インクカートリッジホルダ201のインク供給針232は、インクカートリッジ300のインク供給部322のインク供給孔324と対向する。その状態で、インクカートリッジ300は、インクカートリッジホルダ201にさらに深く進入される。
【0054】図9は、図8の次の過程を示す部分側面図である。図8に示す状態からさらに、インクカートリッジ300がインクカートリッジホルダ201に深く進入されると、インクカートリッジホルダ201の位置決め部材220の先端部224が、インクカートリッジ300の位置決め部326の孔部328に挿入される。この先端部224は、位置決め部材本体222から先端に向けて漸近的に半径が小さくなるテーパ状に形成されているため、インクカートリッジ300をインクカートリッジホルダ201に対する位置ずれを矯正する案内機能も有している。
【0055】さらにインクカートリッジ300がインクカートリッジホルダ201に深く進入されると、インクカートリッジホルダ201のインク供給針232が、インクカートリッジ300のインク供給部322のインク供給孔324に挿入される。
【0056】図10は、図9の次の過程を示す部分側面図である。図9に示す状態からさらに、インクカートリッジ300がインクカートリッジホルダ200に深く進入されると、インクカートリッジ300の位置決め部326が、インクカートリッジホルダ201における位置決め部材220の当接部226の当接面228と当接する。これにより、インクカートリッジ300のインクカートリッジホルダ201への進入が終了する。図中では隠れて見えないが、この状態でインクカートリッジホルダ201における情報読取部214の接続電極216は、インクカートリッジ300における情報記憶部314の各々対応する接続電極部316の接続端子316aと接触する。
【0057】これにより、インクカートリッジホルダ201へのインクカートリッジ300の装着が完了する。インクカートリッジホルダ201の情報読取部214は、インクカートリッジ300の情報記憶部314からインクやインクカートリッジの種類、インクカートリッジが保持するインクの色、現存のインク量等の情報を読み取る。この読み取った情報と、記録装置本体100からの要求とに基づいて、インクカートリッジ300のインクが、インクカートリッジホルダ201のインク供給針232を通して記録装置本体100の記録ヘッドへと供給される。インクジェット記録装置10は、供給されたインクを用いて用紙に記録する。また、記録に用いたインクの量に応じて、インクカートリッジホルダ201の情報読取部214がインクカートリッジの現在のインク量等の情報をインクカートリッジの情報記憶部314へ書き込む。
【0058】インクカートリッジホルダ201、インクカートリッジ300、これらの構成要素およびその組み付けには、製品ごとのばらつきがある。これらのばらつきにより、インクカートリッジ300がインクカートリッジホルダ201に対して、図10における矢印Bの方向に不安定性を有する場合がある。その場合であっても、インクカートリッジホルダ201の位置決め部材220とインクカートリッジ300の位置決め部326とが位置決めされているので、インクカートリッジ300はインクカートリッジホルダ201に対して点Oを略中心として矢印Dの方向に回動する。よってこの不安定性があっても、正確な位置決めが要求されるインクカートリッジホルダ201の情報読取部214における接続電極216とインクカートリッジ300の情報記憶部314における接続電極部316の相対的な位置関係のずれは小さい。
【0059】以上、第1実施形態によれば、製品ごとのばらつき等により、インクカートリッジホルダに対してインクカートリッジが不安定性を有する場合であっても、正確な位置決めが要求されるインクカートリッジホルダの情報読取部における接続電極とインクカートリッジの情報記憶部における接続端子の相対的な位置を保持することができる。
【0060】図11は、本発明の第2実施形態が適用されるインクジェット記録装置のインクカートリッジホルダ200の蓋202を開けた状態を示す斜視図である。このインクジェット記録装置10のインクカートリッジホルダ200の右側面にレバー470が形成され、このレバー470が上下動されることにより、インクカートリッジ500が固定又は解除される。
【0061】図12は、本発明の第2実施形態にかかるインクカートリッジの正面斜視図である。第2実施形態のインクカートリッジ500において、第1実施形態のインクカートリッジ300と同様の構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。第2実施形態のインクカートリッジ500は、第1実施形態のインクカートリッジ300とは異なり、副位置決め部526をさらに備える。インクカートリッジ500は、さらに、インクカートリッジ本体302の第1側面310と前面320とに交差する第2側面530に凸部532を備える。
【0062】図13は、第2実施形態のインクカートリッジを正面及び第1の側面側からみたカートリッジの一部を示す図である。副位置決め部526と位置決め部326はインク供給部322を挟むように図中A方向(第1の側面310及びカートリッジ挿入方向に垂直な面に平行な方向)に並列しており、副位置決め部526は位置決め部326よりも情報記憶部314の接続電極部316から離れた場所に位置している。副位置決め部526は、断面が矢印B方向の幅Wよりも矢印A方向の幅Wの方が長い楕円形状である孔部528を有する。本実施形態において、副位置決め部526の面位置は位置決め部326の面位置と整合する。図13から明らかなように、副位置決め部526の中心軸および位置決め部326の中心軸の両方が、第1の壁に略平行に延びている。
【0063】図14は、第2実施形態のインクカートリッジホルダの部分斜視図である。図15は、第2実施形態のインクカートリッジホルダの部分正面図である。第2実施形態のインクカートリッジホルダ400において、第1実施形態のインクカートリッジホルダ201と同様の構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。第2実施形態のインクカートリッジホルダ400は、第1実施形態のインクカートリッジホルダ201とは異なり、副位置決め部材420をさらに備える。
【0064】インクカートリッジホルダ400の副位置決め部材420は、ホルダ本体210から開口面212の方向に延出する。この副位置決め部材420は、インク供給針232を挟むように位置決め部材220と図中矢印C方向に並列されている。副位置決め部材420は情報読取部214の接続電極部216から離れた位置に形成されている。
【0065】また、副位置決め部材420と位置決め部材220の両方が、インクカートリッジの第1の壁と略平行に延びており、インクカートリッジの第1の壁と前壁に平行な方向において、情報読取部214の接続電極部216と副位置決め部420との間の距離が、接続電極部216と位置決め部220との間の距離よりも長く設定されている。換言すると、情報読取部214の接続電極部216は、副位置決め部材420に比較して位置決め部220の方により近接した位置に配設されている。なお、位置決め部220の中心軸は副位置決め部420の中心軸と平行となるように寸法決めされている。
【0066】図16は、第2実施形態のインクカートリッジホルダの部分側面図である。副位置決め部材420は、漸近的に断面積が小さくなる円錐形(テーパ)状の先端部424を有し、インクカートリッジ500に挿入される位置決め部材本体422を有する。副位置決め部材420は、さらに、位置決め部材220の当接部226の当接面228よりも開口面212に対して奥に位置する当接面428を有し、位置決め部材本体422より断面積が大きい当接部426とを有する。インクカートリッジが装着されるホルダ本体の開口面と、副位置決め部420の当接面428との間の距離が、開口面と位置決め部220の当接部226の当接面228との間の距離よりも大きくなるように設定されている。
【0067】図17は、レバー470に一番近い側にある図16のインクカートリッジホルダ400をレバー470の側から見た部分側面図である。レバー470のギア部471は、歯車状部材480のギア部481と歯合し、歯車状部材480は軸490を介してカム450に接続される。
【0068】インクカートリッジホルダ400は、さらに、インクカートリッジ500の第2側面530を、選択的に付勢する付勢部430を備える。本実施例の付勢部430は、インクカートリッジがホルダ本体に着脱可能な第1の位置と、前記インクカートリッジがホルダ本体に規制される第2の位置とを有している。本実施形態における付勢部430は、インクカートリッジ500の凸部532に当接する微小回動可能な当接部440aを有する当接片440と、この当接片440をインクカートリッジ300の方向へ付勢する板バネ460とを有する。さらに付勢部430は、板バネ460と当接しない開放位置と、板バネ460と当接する付勢位置とに回動自在なカム450を有する。カム450は、軸490で接続された歯車状部材480、ギア471、ギア481を介してレバー470の上下動作に応じて軸490を中心に回動する。図16および図17に示すように、図11のレバー470が上げられた状態で、カム450は開放位置にある。カム450が開放位置にある場合には、カム450は板バネ460と当接しない。よって、板バネ460に抗する力が働くことにより、当接片440の上方への微小回動が許容される。一方、図11のレバー470が下げられた状態では、カム450は付勢位置にあり、カム450は板バネ460と当接する。よって、当接片440は上方への微小回動を禁止される。
【0069】図18から図21は、第2実施形態において、インクカートリッジがインクカートリッジホルダに装着される過程を示す部分側面図である。ただし、インクカートリッジ500の凸部532およびインクカートリッジホルダ400の付勢部420の動作を説明するために、その部分は透視図として示されている。
【0070】図18は、インクカートリッジ500がインクカートリッジホルダ400に装着される初期の過程を示す部分側面図である。まず、図11のレバー470が上げられることにより、カム450が開放位置に回動される。よって、当接片440の上方への微小回動が許容される。
【0071】インクカートリッジ500の前面(正面)320が、インクカートリッジホルダ400のホルダ本体210の開口面212から挿入される。このとき、インクカートリッジホルダ400の位置決め部材220の位置決め部材本体222は、インクカートリッジ500の位置決め部326の孔部328と対向する。同様に、インクカートリッジホルダ400の副位置決め部材420の先端部224は、インクカートリッジ500の副位置決め部526の孔部528と対向する。さらに、インクカートリッジホルダ400のインク供給針232は、インクカートリッジ500のインク供給部322のインク供給孔324と対向する。その状態で、インクカートリッジ500は、インクカートリッジホルダ400にさらに深く進入される。
【0072】図19は、図18の次の過程を示す部分側面図である。図18に示す状態からさらに、インクカートリッジ500がインクカートリッジホルダ400に深く進入されると、インクカートリッジホルダ400の位置決め部材220の先端部224が、インクカートリッジ500の位置決め部326の孔部328に挿入される。また、インクカートリッジホルダ400の副位置決め部材420の先端部424が、インクカートリッジ500の副位置決め部526の孔部528に挿入される。
【0073】位置決め部材220の先端部224は、位置決め部材本体222から先端に向けて漸近的に半径が小さく形成されているため、インクカートリッジ500をインクカートリッジホルダ400に対する位置ずれを矯正するように案内することができる。また、副位置決め部526の孔部528は、その断面が、図中の上下方向に長い形状なので、インクカートリッジ500のインクカートリッジホルダ400に対する位置決め部材220を中心とした回動によるずれを抑え、かつ、図15における矢印Bの方向に関して、インクカートリッジ500およびインクカートリッジホルダ400の製品のばらつきを許容することができる。
【0074】インクカートリッジ500が進入される過程で、インクカートリッジ500の第2側面530に設けられた凸部532は、インクカートリッジホルダ400の付勢部430の当接片440の当接部440aに当接する。ここで、当接片440の上方への微小回動が許容されているので、インクカートリッジ500が進入されるにともない、凸部532は、板バネ460の付勢力に抗して当接片440を上方に押し上げる。
【0075】さらにインクカートリッジ500がインクカートリッジホルダ400に深く進入されると、インクカートリッジホルダ400のインク供給針232が、インクカートリッジ500のインク供給部322のインク供給孔324に挿入される。
【0076】図20は、図19の次の過程を示す部分側面図である。図19に示す状態からさらに、インクカートリッジ500がインクカートリッジホルダ400に深く進入されると、インクカートリッジ500の位置決め部326が、インクカートリッジホルダ400における位置決め部材220の当接面228と当接する。これにより、インクカートリッジ500のインクカートリッジホルダ400への進入が終了する。図中では隠れて見えないが、この状態でインクカートリッジホルダ400における情報読取部214の接続電極216は、インクカートリッジ500における情報記憶部314の各々対応する接続電極部316の接続端子と接触する。また、インクカートリッジ500の第2側面530に設けられた凸部532がインクカートリッジホルダ400の付勢部430の当接片440の当接部440aより奥へ移動し、当接片440は、板バネ460の付勢力によりもとの状態に戻る。
【0077】このとき、副位置決め部材420における当接部426の当接面428は、位置決め部材220の当接部226の当接面228よりも開口面212に対して奥に位置する。よって、インクカートリッジ500の副位置決め部526は、位置決め部326が当接面228に当接するよりも先に、当接面428と当接しない。例えば、図20においては、副位置決め部526と当接面428との間には間隙がある。よって、インクカートリッジ500、インクカートリッジホルダ300およびこれらの構成の製品ばらつき等があっても、情報読取部214の接続電極216および情報記憶部314の接続電極部316により近い位置決め部材228の側を確実に当接させることができる。
【0078】図21は、図20において付勢部430の図11のレバー470を下げた状態を示す部分側面図である。レバー470が下げられると、それにともないカム450は、付勢位置に回動し、板バネ460に当接する。よって、板バネ460は当接片440を下方へ付勢する。下方に付勢された当接片440は、確実にインクカートリッジ500の凸部530に当接する。これにより、インクカートリッジ500は、位置決め部材本体222と位置決め部326とが結合された近傍の点Oを中心に図中の矢印Dの方向へ微小回動される。
【0079】この微小回動において、回動の中心点Oが情報読取部214および情報記憶部314の近傍にあるので、この近傍の回動による変位量は小さい。一方、回動の中心点から離れた位置にある副位置決め部526の変位量はそれより大きいが、副位置決め部526の孔部528は、回動される方向にその断面が長い形状なので、この変位を吸収することができる。
【0080】その結果、インクカートリッジ500の副位置決め部526がインクカートリッジホルダ400の副位置決め部材420の当接面428に当接するか、または、インクカートリッジ本体302の一部がホルダ本体210の一部に当接することにより、微小回動が終了する。これにより、インクカートリッジホルダ400へインクカートリッジ500の装着が完了する。
【0081】なお、インクカートリッジ500をインクカートリッジホルダ400から離脱する場合には、インクカートリッジホルダ400の図11のレバー470を上げて、カム450を開放位置に回動させる。その後、インクカートリッジホルダ400の開口部212からインクカートリッジ500を引き抜く。そのときに、インクカートリッジ500の凸部532は、インクカートリッジホルダ400の板バネ460に抗して当接片440を上方に押し上げて退避する。
【0082】以上、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第2実施形態によれば、製品ばらつき等があっても、インクカートリッジがインクカートリッジホルダに対して確実に固定することができる。
【0083】なお、第2実施形態においては、インクカートリッジホルダ400において、位置決め部材220の当接部226の当接面228よりも、副位置決め部材420の当接部426の当接面428を、開口面212に対して奥に位置させたが、これに限られない。他の一例は、インクカートリッジ500において、副位置決め部526の面位置を位置決め部326の面位置よりも奥に設ける。この場合にも上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】また、第1実施形態および第2実施形態において、インクカートリッジホルダ201、400のホルダ本体210、410が、インクカートリッジ300、500がそれぞれ挿入されるときに、少なくともインクカートリッジ300、500の第1側面310および前面320に平行な方向にクリアランスを有してもよい。この場合には、使用者はインクカートリッジをインクカートリッジホルダに挿入するのが容易になる一方で、第1実施形態と同様に、正確な位置決めが要求されるインクカートリッジホルダの情報読取部の接続電極とインクカートリッジの情報記憶部の接続電極部との相対的な位置を保持することができる。さらに、第2実施形態に対応するインクカートリッジホルダ400のホルダ本体410にクリアランスを設けた場合にあっては、上記に加え、インクカートリッジ500を挿入した後にこのクリアランスによるガタを付勢部430により吸収することができる。よって、インクカートリッジがインクカートリッジホルダに対して確実に固定することができる。
【0085】図22は、本発明のインクカートリッジの他の実施例を説明するための図であり、インクカートリッジ600には、複数のインクカートリッジを装着するカートリッジホルダの適正な位置にインクカートリッジが挿入できるように、カートリッジ本体の前面320寄りの側面に誤挿入防止部材610が着脱自在に形成されている。図中突起611、612の数や位置の異なる誤挿入防止部材610をカートリッジ毎に変更して装着することにより、共通のインクカートリッジ本体を用いて異なるインクカートリッジを構成することができる。
【0086】以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0087】上記説明から明らかなように、本発明によれば、製品ごとのばらつき等により、インクカートリッジホルダに対してインクカートリッジが不安定性を有する場合であっても、正確な位置決めが要求されるインクカートリッジホルダの情報読取部とインクカートリッジの情報記憶部の相対的な位置を保持することができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成15年3月20日(2003.3.20)
【代理人】 【識別番号】100104156
【弁理士】
【氏名又は名称】龍華 明裕
【公開番号】 特開2003−341100(P2003−341100A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2003−77815(P2003−77815)