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【発明の名称】 インクジェットプリンタ
【発明者】 【氏名】横山 武史
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内

【氏名】鈴木 良幸
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内

【要約】 【課題】粘度を安定させた状態で高粘性インクをサブタンクから記録ヘッドに供給できるインクジェットプリンタを提供する。

【解決手段】本発明のインクジェットプリンタ1は、インクタンクから記録ヘッドに供給される高粘性インクを一時的に貯留するサブタンク3を備えている。このインクジェットプリンタ1は、サブタンク3に貯留された高粘性インクを加熱するヒータ線34と、高粘性インクの温度を検知する温度センサ36と、温度センサ36の検知結果に基づきサブタンク3に貯留された高粘性インクの温度が予め設定された設定温度になるようにヒータ線34を制御する制御手段と、を更に備えている。そして、インクタンクからサブタンク3に流入した高粘性インクは、サブタンク3の各液室3a,3b,3cを順に流通して記録ヘッドに流出するようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】温度上昇に伴い低粘性化する高粘性インクを貯留するインクタンクと、前記高粘性インクを記録媒体に吐出する記録ヘッドと、前記インクタンクから前記記録ヘッドに供給される前記高粘性インクを一時的に貯留可能な二以上の液室を有するサブタンクと、前記サブタンクに貯留された前記高粘性インクを加熱する加熱手段と、前記サブタンクに貯留された前記高粘性インクの温度を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づき、前記サブタンクに貯留された前記高粘性インクの温度が予め設定された設定温度になるように前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、前記インクタンクから前記サブタンクに流入した前記高粘性インクは、前記サブタンクの各液室を順に流通して前記記録ヘッドに流出することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記検知手段及び前記加熱手段が前記液室毎に設けられ、前記制御手段は、各検知手段の検知結果に基づき、前記加熱手段の加熱を前記液室毎に制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、前記制御手段は、前記高粘性インクの流通方向における下流側の前記液室の加熱を、上流側の前記液室の加熱より高い精度で制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】請求項2又は3記載のインクジェットプリンタにおいて、前記高粘性インクの流通方向における下流側の前記液室は、上流側の前記液室より前記加熱手段から伝導される熱量が小さいことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項5】請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記サブタンクの各液室は、互いに高さの異なる複数の隔壁により仕切られ、各隔壁の高さは、前記高粘性インクの流通方向の下流に向かうにつれて低くなることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項6】請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記高粘性インクは、光の被照射によって硬化するインクであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体にインク滴を吐出することで当該記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタは、インクを貯留するインクタンクから記録ヘッドにインクを供給しこの供給されたインクを記録ヘッドから記録媒体上に吐出し着弾させることで、当該記録媒体に画像を記録する。ここで、インクとして、常温において高粘性を有し温度上昇に伴い低粘性化する高粘性インクを用いると、記録された画像が記録媒体に滲み難く明瞭な画像の記録を行えるという利点がある。
【0003】しかしながら、インクを加熱したりせずにそのまま記録ヘッドから吐出すると、インクは高粘性を有したままなので、インクタンクから記録ヘッドへとインクを供給するインク供給路内で流路抵抗による圧力損失が増大する。このとき、記録ヘッドのノズルからインクが正常に吐出されないといった所謂「ノズル欠」が発生し、記録された画像の画質が安定せず画質の低下を招く。
【0004】ここで、上記の通り、高粘性インクは温度上昇に伴い低粘性化する特性を具備するから、例えば、インクタンク及びインク供給路を含むインク供給系をヒータ等の加熱手段で加熱しインクを低粘性化させることで、圧力損失を減少させて記録ヘッドへのインクの供給を安定させることが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録ヘッドへのインクの供給を安定させるためには、インク供給路中でのインクの粘度、言い替えると、インク供給系の温度をなるべく均一に保つことが必要である。仮に、インク供給系の温度が不均一な場合には、インク供給系内に存ずるインクの粘度も不均一なものとなる。例えば、インク供給系のうちインクタンクのみを加熱すれば、インクがインク供給路内又は記録ヘッド内に流通又は滞留している間にインクの温度が変化してインクの粘度も変化する、つまり、インクの粘度が不均一なものとなる。
【0006】このようにインク供給系の温度が不均一であればインクの粘度も不均一となり、結果的に、インク供給路内で圧力損失が変動し、記録された画像の画質が不安定なものとなる。つまり、インクジェットプリンタによる記録は、記録媒体上で記録ヘッドを主走査させながら当該記録ヘッドからインクを吐出させて行うが、インクの粘度が不均一であるとインクの吐出速度にバラツキが生じ、記録媒体の所望の位置にインクが吐出されず、結果的に、記録された画像にズレが生じてしまう。また、インクの粘度はインクの吐出量にも影響するため、インクの粘度が不均一であると吐出されるインクの量が不安定となり、安定した大きさのドット径を得ることができない。
【0007】また、インク供給系の温度を均一にするために、インクタンク及びインク供給路を含むインク供給系全てを加熱すればよいと考えられるが、インク供給系を構成する部材を熱容量の大きな部材とする必要があり、さらにインク供給路内に存するインクの温度を一定に制御することは実際問題として困難である。
【0008】そこで、インクタンクと記録ヘッドとの間にインクタンクからのインクを一時的に貯留可能なサブタンクを設け、インクタンクからサブタンクにインクを一度圧送してサブタンクを加熱又は温度調整することで、サブタンク内のインクを低粘性化させた状態で記録ヘッドに供給する方式が効率的であると考えられる。しかしながら、サブタンクに圧送される前のインクは常温下で放置されるため、サブタンクに圧送されるインクは、高粘性を有したままサブタンクに圧送される。
【0009】従って、サブタンク内でインクの温度を調整しても、メインタンクからインクが供給される毎にサブタンク内のインクの温度分布は不均一なものとなり、インクの粘度も不均一なものとなる。従って、粘度を安定させた状態で高粘性インクをサブタンクから記録ヘッドに供給できない。
【0010】本発明の課題は、粘度を安定させた状態で高粘性インクをサブタンクから記録ヘッドに供給できるインクジェットプリンタを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、温度上昇に伴い低粘性化する高粘性インクを貯留するインクタンクと、前記高粘性インクを記録媒体に吐出する記録ヘッドと、前記インクタンクから前記記録ヘッドに供給される前記高粘性インクを一時的に貯留可能な二以上の液室を有するサブタンクと、前記サブタンクに貯留された前記高粘性インクを加熱する加熱手段と、前記サブタンクに貯留された前記高粘性インクの温度を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づき、前記サブタンクに貯留された前記高粘性インクの温度が予め設定された設定温度になるように前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、前記インクタンクから前記サブタンクに流入した前記高粘性インクは、前記サブタンクの各液室を順に流通して前記記録ヘッドに流出することを特徴とする。
【0012】請求項1記載の発明では、インクタンクに貯留された高粘性インクは、サブタンクの各液室に一時的に貯留されて、その後、サブタンクから記録ヘッドへ供給される。このとき、メインタンクからサブタンクに流入した高粘性インクは、最初にサブタンク内での流通方向の上流の液室に流入し、その後、流通方向の下流の液室に向かって各液室を順に流通し、最終的に流通方向の下流の液室から記録ヘッドに流出するようになっている。
【0013】ここで、検知手段でサブタンク内の高粘性インクの温度を検知し、制御手段が検知手段の検知結果に基づきサブタンクに貯留された高粘性インクの温度が設定温度になるように加熱手段を制御するから、サブタンク内の高粘性インクは、各液室で加熱されて温度制御されながら上流の液室から下流の液室へと流通する。従って、メインタンクからサブタンクに流入した高粘性インクは、各液室を経る毎に所望温度に徐々に近づきながらサブタンク内を流通し、下流の液室に貯留された際には設定温度に最も近づくことになる。そして、下流の液室に流入した高粘性インクは、設定温度に近づいた状態で下流の液室から記録ヘッドに流出する。これにより、下流の液室から記録ヘッドに流出する高粘性インクの温度を常に安定させることができるので、粘度を安定させた状態で高粘性インクをサブタンクから記録ヘッドに供給できる。
【0014】請求項2記載の発明のインクジェットプリンタのように、前記検知手段及び前記加熱手段が前記液室毎に設けられ、前記制御手段は、各検知手段の検知結果に基づき、前記加熱手段の加熱を前記液室毎に制御してもよい。
【0015】請求項2記載の発明によれば、制御手段は、加熱手段の加熱を液室毎に制御するから、各液室に貯留された高粘性インクの温度を各液室において設定温度に近づけることができる。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、前記制御手段は、前記高粘性インクの流通方向における下流側の前記液室の加熱を、上流側の前記液室の加熱より高い精度で制御することを特徴とする。
【0017】請求項3記載の発明によれば、制御手段は、高粘性インクの流通方向における下流側の液室の加熱を、上流側の液室の加熱より高い精度で制御するから、下流側の液室に貯留された高粘性インクほどより設定温度に近づいた状態を保持する。従って、高粘性インクの粘度をより安定させた状態で高粘性インクをサブタンクから記録ヘッドに供給できる。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載のインクジェットプリンタにおいて、前記高粘性インクの流通方向における下流側の前記液室は、上流側の前記液室より前記加熱手段から伝導される熱量が小さいことを特徴とする。
【0019】請求項4記載の発明によれば、流通方向の下流側の液室は、上流側の液室より加熱手段から伝導される熱量が小さいから、下流側の液室に貯留された高粘性インクほど加熱手段から受ける加熱の影響が小さい。従って、下流側の液室に貯留された高粘性インクほど温度変動が少なく、当該高粘性インクの粘度が安定する。これにより、高粘性インクの粘度をより安定させた状態で高粘性インクをサブタンクから記録ヘッドに供給できる。
【0020】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記サブタンクの各液室は、互いに高さの異なる複数の隔壁により仕切られ、各隔壁の高さは、前記高粘性インクの流通方向の下流に向かうにつれて低くなることを特徴とする。
【0021】請求項5記載の発明では、各隔壁の高さは、高粘性インクの流通方向の下流に向かうにつれて低くなるから、サブタンク内の各液室を流通するインクは、流通方向の上流の液室から下流の液室へと向かって順に各隔壁を超えるように溢れ出して(オーバーフローして)各液室を順に流通する。従い、各隔壁の高さを流通方向の下流に向かうにつれて低くするといった簡単な構成で、メインタンクからサブタンクに流入したインクをサブタンク内において流通させることができる。
【0022】また、請求項6記載の発明のインクジェットプリンタのように、前記高粘性インクは、光の被照射によって硬化するインクであってもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」という。)に係る実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は図示例に限定されない。図1は、プリンタ1の要部を示す斜視図である。
【0024】なお、本実施形態に係るプリンタ1は、インクを滴として記録媒体99に向けて吐出し、その後、記録媒体99のうちインク滴が着弾した領域に光を照射することで、記録媒体99に画像を記録するものである。ここでいう「インク」とは、常温において高粘性を有し加熱するに従い低粘性を有するインクであって、30℃での粘度が30〜3000mPa・s、好ましくは、50〜1000mPa・s、より好ましくは、100〜500mPa・sのインクの意である。30mPa・s以下では記録紙等の記録媒体99に滲みやすいため明瞭な記録を行うことができない。また、3000mPa・s以上では、画質の平滑性が失われる。さらに、このインクは、60℃での粘度が3〜30mPa・sの液体であることがさらに好ましい。3mPa・S未満では後述する記録ヘッド2からの高速な吐出に不具合を生じるおそれがあり、また、30mPa・sを超えると吐出性が劣化してしまうおそれがある。また、特にピエゾ素子からなる記録ヘッドから吐出される場合、このインクは、粘度が3〜30mPa・sの液体であることが好ましい。なお、このインクの粘度は、JIS Z 8803に規定する液体の粘度−測定方法において測定されたものであって、実際の粘度の測定には、HAAKE社製回転式粘度形(ビスコテスター)型式VT07Lを用いた。さらに、ここでいう「インク」は、光の被照射により硬化する性質をも具備するインクの意である。ここでいう「光」については、後述する。
【0025】また、本実施形態に係る「記録媒体99」としては、紙製、樹脂製又はその他のプリンタ1によって画像記録が可能な材質からなるものが適用可能であって、インク吸収性のよい記録媒体(例えば、紙製の記録媒体)に加え、インク吸収性の無い記録媒体又はインク吸収性の低い記録媒体であってもよい。「インク吸収性の無い記録媒体又はインク吸収性の低い記録媒体」とは、インク吸収性の無い材料やインク吸収性の低い材料から形成された記録媒体、又は、インク吸収性の無い材料又はインク吸収性の低い材料からなる表面層(記録層)を有する記録媒体等である。「インク吸収性の無い材料又はインク吸収性の低い材料」としては、例えば、各種プラスチックや金属等が挙げられる。
【0026】図1に示すように、プリンタ1は、その基本構成として、記録媒体99にインク滴を吐出する複数の記録ヘッド2,2,…と、各記録ヘッド2にインクを供給する複数のサブタンク3,3,…と、主走査方向Aに沿って移動可能なキャリッジ4aを備えるキャリッジ機構4と、各記録ヘッド2のメンテナンスを行うメンテナンスユニット6と、未使用状態のキャリッジ4が待機するホームポジション7と、各色のインクを貯留する複数のメインタンク8,8,…と、各メインタンク8に接続された複数の加圧ポンプ9,9,…と、各メインタンク8から各サブタンク3へとインクを供給するインク供給部材10と、記録媒体99の非記録面を吸引保持するプラテン11と、記録媒体99を副走査方向Bに送り出す送り機構(図示略)と、インクの付着した記録媒体99に光を照射する照射手段(図示略)と、上記各部材の動作を制御する制御装置20(図5参照)と、を具備する。
【0027】送り機構は、図示略の送りモータ及び送りローラ等を備え、前記送りモータの駆動により記録媒体99を副走査方向Bに送り出す機能を有する。具体的に、送り機構は、後述するキャリッジ4aの動作に合わせて、記録媒体99を間欠的に送り出す、つまり、記録媒体99の送り出しと停止とを繰り返すものである。
【0028】プラテン11は、副走査方向Bに搬送される記録媒体99の非記録面を吸引保持するものである。具体的には、プラテン11の下方にはファンを備える吸引室が設けられているとともに、この吸引室に連通する複数の小孔からなる吸引口がプラテン11の裏側に設けられている。従い、吸引室のファンを駆動させることによってプラテン11上の記録媒体99の非記録面を吸引でき、さらに、このファンの駆動と前記搬送機構との協働によって記録媒体99をプラテン11に密着させた状態で副走査方向Bに搬送できるようになっている。
【0029】各メインタンク8は、例えば、交換可能なインクカートリッジであって、各メインタンク8には一色のインクが貯留されている。つまり、一つのインクタンク8には、数種の色のうちの何れかの色のインクが貯留されている。基本的に、各インクタンク8毎に異なる色のインクが貯留されているが、同じ色のインクが二以上のインクタンク8,8(,…)に貯留されていてもよい。プリンタ1に適用されるインクの色としては、図1に示す通り、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)を基本色とする各プロセスカラー及びライトイエロー(LY),ライトマゼンタ(LM),ライトシアン(LC),ライトブラック(LK)等が適用可能であり、その他に、ホワイト(W)、レッド(R),ブルー(B),グリーン(G)といった特色等も適用可能である。
【0030】インク供給部材10は、複数のメインタンク8,8,…から複数のサブタンク3,3,…へとインクの色毎に通じる部材であって、各メインタンク8から当該メインタンク8に通じているサブタンク3へと各色のインクを供給するものである。このインク供給部材10は、後述するキャリッジ4aの移動に追従できるようにフレキシブルな部材から形成されている。
【0031】インク供給部材10と複数のメインタンク8,8,…との間には、複数の加圧ポンプ9,9,…が介在している。各加圧ポンプ9は、各メインタンク8毎に設けられている。各加圧ポンプ9は、各メインタンク8からのインクの供給を可能とするものであって、各加圧ポンプ9により各メインタンク8から当該メインタンク8に通じるサブタンク3へのインクの供給が行われる。
【0032】複数のサブタンク3,3,…は、複数のメインタンク8,8,…に貯留された各色のインクを一時的に貯留するものである。各サブタンク3には、当該サブタンク3に通じるメインタンク8からインク供給部材10を介してインクが供給される。さらに、各サブタンク3には記録ヘッド2がそれぞれ接続されており、一時的に貯留したインクを記録ヘッド2に供給する機能を有する。また、各サブタンク3は、後述するキャリッジ4aに搭載されており、キャリッジ4aの移動に追従する。なお、各サブタンク3の構成についてはさらに後述する。
【0033】複数の記録ヘッド2,2,…は前記した複数のサブタンク3,3,…に接続されているとともに、サブタンク3同様、後述するキャリッジ4aに搭載されてキャリッジ4aの移動に追従する。そして、各記録ヘッド2は、キャリッジ4aの移動中において当該記録ヘッド2に接続されたサブタンク3から供給されたインクを記録媒体99に吐出する。詳細には、各記録ヘッド2には、主走査方向Aに沿って一列に並んだ所定数(例えば、128個)のノズルが設けられており、各記録ヘッド2は、制御装置より出力された駆動信号に基づき、サブタンク3から供給された色のインクをインク滴として各ノズルから記録媒体99に吐出する。
【0034】各ノズルから吐出される一滴当たりのインク滴の吐出量Mとしては、2pl≦(吐出量M)≦20plであることが好ましく、2pl≦(吐出量M)≦10plであることがより好ましく、4pl≦(吐出量M)≦7plであることが更に好ましい。吐出量Mが、20pl以上である場合には高精細印字が難しく、2pl以下である場合には記録媒体99に形成される画像の濃度が低くなってしまうからである。また、記録媒体99に着弾したインク滴の滴径、つまりドット径Dとしては、50μm≦(ドット径D)≦200μmであることが好ましく、50μm≦(ドット径D)≦150μmであることがより好ましく、55μm≦(ドット径D)≦100μmであることが更に好ましい。ドット径が、50μm以下である場合には記録媒体99に形成される画像の濃度が低くなってしまい、200μm以上である場合には高精細印字が難しいからである。
【0035】なお、各記録ヘッド2におけるインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速吐出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。それは、具体的に、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、更に絶縁膜で覆われてインク流路を形成するインクジェットヘッド方式である。
【0036】ここで、図2及び図3を参照して各記録ヘッド2の構成を説明する。なお、以下に説明する構成は、複数の記録ヘッド2,2,…において全ての記録ヘッド2,2,…に共通するものであって、そのうちの一つの記録ヘッド2について説明する。図2(a)は記録ヘッド2の断面図であり、図2(b)は、図2(a)の(IV)−(IV)線矢視拡大図である。図3は、記録ヘッド2の分解斜視図である。図2及び図3に示す通り、記録ヘッド2は、基板2aと、圧電素子2bと、流路板2cと、インク流路2dと、壁部2eと、共通液室構成部材2fと、共通液室2gと、インク供給パイプ2hと、ノズルプレート2iと、ノズル2jと、駆動用回路プリント板(PCB)2kと、リード線2lと、駆動電極2mと、溝2nと、保護板2oと、流体抵抗2pと、電極2q,2rと、上部隔壁2sと、ヒータ2tと、ヒータ電源2uと、伝熱部材2vと、を具備する。
【0037】集積化された記録ヘッド2において、電極2q,2rを有する積層された圧電素子2bは、インク流路2dに対応して、インク流路2d方向に溝加工が施され、溝2nと駆動圧電素子2xと非駆動圧電素子2yとに区分される。溝2nには充填剤が封入されている。溝加工が施された圧電素子2bには、上部隔壁2sを介して流路板2cが接合される。すなわち、上部隔壁2sは、非駆動圧電素子2yと隣接する流路を隔てる壁部2eとで支持される。駆動圧電素子2xの幅は、インク流路2dの幅よりも僅かに狭い。駆動用回路プリント板(PCB)2k上の駆動回路により選択された駆動圧電素子2xは、パルス状信号電圧を印加されると、駆動圧電素子2xは厚み方向に変化する。これにより、上部隔壁2sを介してインク流路2dの容積が変化し、その結果、ノズルプレート2iのノズル2jよりインク滴が吐出される。
【0038】流路板2c上には、伝熱部材2vを介してヒータ2tがそれぞれ接着されている。伝熱部材2vは、ノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材2vは、ヒータ2tからの熱を効率良く流路板2cに伝えてインク流路2dのインクを加熱すること、及び、ヒータ2tからの熱をノズル面近傍に運んでノズル面近傍の空気を温めることを目的とするものである。従って、この伝熱部材2vには、熱伝導率の良い材料が用いられる。例えば、アルミニウム,鉄,ニッケル,銅,ステンレス等の金属、又は、SiC,BeO,AlN等のセラミックス等が好ましい材料としてあげられる。
【0039】インクが液状になった状態で圧電素子2bを駆動すると、駆動圧電素子2xがインク流路2dの長手方向に垂直な方向に変位し、インク流路2dの容積が変化し、その容積変化によりノズル2jからインクがインク滴となって吐出する。圧電素子2bには、常時インク流路2dの容積が縮小するように保持する信号を与え、選択されたインク流路2dに対してインク流路2dの容積を増大する向きに変位させた後、再びインク流路2dの容積が縮小する変位を与えるパルス信号を印加することにより、当該インク流路2dと対応するノズル2jよりインクがインク滴となって吐出する。
【0040】キャリッジ機構4は、前述した複数の記録ヘッド2,2,…及び複数のサブタンク3,3,…を搭載したキャリッジ4aと、主走査方向Aに沿って延在してキャリッジ4aの主走査方向Aへの移動をガイドするガイド部材4bと、キャリッジ4aを支持した状態でキャリッジ4aを移動させる搬送ベルト(図示略)と、キャリッジ4aの移動の駆動源となる搬送モータ(図示略)と、を具備する。このキャリッジ機構4において、前記搬送モータが駆動されると前記搬送ベルトが作動し、キャリッジ4aは、ガイド部材4bにガイドされた状態で主走査方向Aに沿って移動するようになっている。なお、前記搬送モータの回転方向に従ってキャリッジ4aの移動方向は変更される。具体的には、キャリッジ4aは、間欠的な記録媒体99の送り出しに合わせてガイド部材4bに沿って主走査方向Aに往復移動するものであり、さらに具体的には記録媒体99が停止している際に主走査方向Aに往動、復動又は往復移動するものである。
【0041】照射手段は、図示しないが、副走査方向Bに送り出される記録媒体99に対して光を照射するものであって、記録媒体99に光を照射することにより、記録媒体99に付着したインク滴を硬化させて当該記録媒体99にインクを定着させるものである。この照射手段は記録媒体99に光を照射するための光源を具備するが、この光源は、特開昭60-132767号公報に開示されているように、各記録ヘッド2の両側に主走査方向Aに沿って配置されるようにキャリッジ4aに搭載されていてもよいし、副走査方向Bのプラテン11より下流側でかつ副走査方向Bに送り出される記録媒体99の全幅にわたるようにプリンタ1本体に固定されていてもよい。
【0042】光源が各記録ヘッド2の両側に配置された場合には、光源は、キャリッジ4aの主走査に追従しながら光を記録媒体99に照射し、光源が副走査方向Bのプラテン11より下流側でかつ記録媒体99の幅方向にわたるようにプリンタ1本体に固定されている場合には、光源は、プリンタ1本体に固定された状態で記録媒体99に光を照射する。なお、このような構成の場合には、各記録ヘッド2から吐出されたインク滴が記録媒体99に着弾した後に、一定時間をあけて、光源から記録媒体99に光が照射されることになる。
【0043】また、上記特開昭60-132767号公報に開示されたような上記構成に代えて、光ファイバーを用いた構成としてもよいし、コリメートされた光源から照射された光を、複数の記録ヘッド2,2,…からなるヘッドユニットの側面に設けた鏡面に当てることで記録媒体99のうちインク滴が着弾した領域に照射する構成としてもよい。なお、上記したいずれの構成においても光源をプリンタ1(キャリッジ4aを含む。)に固定すれば、光源を動かすための稼動部を省略できるので、安価な構成とすることができる。
【0044】また、ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線及び赤外線等を含むものである。しかし、インク滴の硬化性又は光源のコスト等を考慮すると紫外線を適用することが好ましい。また、紫外線を照射する「光源」としては、水銀ランプ,メタルハライドランプ,エキシマーランプ,紫外線レーザー又はLED(Light Emitting Diode)等が適用可能である。
【0045】光源からの光の照射は、各記録ヘッド2からインク滴が吐出される度に、つまり、一色のインク滴が吐出される度に行われることが好ましい。また、上記した何れの露光方式においても光源を二種類(第一光源及び第二光源)用意し、第二光源からの光の照射によって、インク滴の硬化を完了させることが好ましい。これは、記録媒体99に着弾した二色目のインク滴の濡れ性、各インク滴間の接着性を得ること、光源を安価に組むことに寄与するからである。
【0046】なお、第一光源と第二光源とは、露光波長又は露光照度を変えることが好ましい。すなわち、第一光源の照射エネルギーを第二光源の照射エネルギーより小さくすることが好ましい。具体的には、第一光源の照射エネルギーを、照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%にする。照度を変えた照射を行うことで、インク滴が硬化した後の分子量分布が好ましいものとなる。なお、一つの光源によって一度に高照度の照射を行ってしまうと、インクの組成物の重合率は高められるものの、重合した組成物(ポリマー)の分子量は小さく、記録媒体99に着弾したインク滴の強度が得られない。本実施形態に係るインクのように、極端に粘度の低い組成では顕著な効果が得られる。
【0047】また、第一光源から照射される光の波長を、第二光源から照射される光の波長よりも長波長とすることが好ましい。この場合、第一光源による光の照射では、インク滴の表層を硬化させて記録媒体99に対するインクの滲みを抑えられ、第二光源による光の照射では、照射線が届き難い記録媒体99近傍のインクを硬化させ、当該インクと記録媒体99との密着性を改善できる。従い、記録媒体99に着弾したインク滴内部の硬化を促進させるためにも、第二光源による光の照射線波長は短波長であることが好ましい。
【0048】また、本実施形態に係るプリンタ1の構成の特徴として、上記したインクを用いるとともに、インク滴が記録媒体99に着弾してから、0.01〜0.5秒後、好ましくは0.01〜0.3秒後、更に好ましくは0.01〜0.15秒後に、光源から光を照射するように制御する。このように、インク滴の記録媒体99への着弾から光源による光の照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体99に着弾したインク滴が、光の被照射によって硬化する前に記録媒体99に滲むのを防止できる。また、多孔質な記録媒体99を適用した場合には、着弾したインク滴が記録媒体99に浸透する前に、光源からの光の届かない深部まで露光できるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、本実施形態に係るインクを用いることで大きな相乗効果を得ることができ、特に、25℃におけるインクの粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。つまり、このような構成を適用することで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体99に対しても、着弾したインク滴のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。
【0049】なお、記録媒体99にカラーの画像を記録する際には、明度の低い色のインクから順に重ねていくことが好ましい。何故なら、明度の低い色のインクを明度の高い色のインクの上に重ねると、明度の高い色の下部のインクまで光源からの照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加、臭気の発生及び各インク滴間の密着性の劣化等が生じやすいからである。また、光源からの光の照射については、全色のインク滴を各記録ヘッド2から吐出した後にまとめて露光することも可能だが、一色のインク滴を吐出する毎に露光する方が、インク滴の硬化を促進するという観点で好ましい。
【0050】また、複数の記録ヘッド2,2,…について、各記録ヘッド2間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材で各記録ヘッド2間を構成するか又は部材を配置させない構成を適用することが好ましい。このような簡単な構成を適用することで、各色毎に、インク滴が記録媒体99に着弾した直後に、速やかに光を照射することが可能であり、特に、二次色の滲み防止、双方向印字(キャリッジ4aの往復動のうち往路方向及び復路方向の移動中にインク滴を吐出して画像を形成する記録。)においてキャリッジ4aの往路移動での記録と復路移動での記録とのドットの滲み差を防止(キャリッジ4aの往路移動での記録と復路移動での記録とで記録された色が異なるのを防ぐ)できる。
【0051】メンテナンスユニット6は、図1に示す通り、キャリッジ4aの移動端に設けられた部材であって、各記録ヘッド2の下面を覆って各ノズルからインクを吸引する複数の吸引キャップ61,61,…と、各記録ヘッド2の下面に残るインクを拭き取るブレード部62と、を具備する。このメンテナンスユニット6は、これら複数の吸引キャップ61,61,…及びブレード部62等を具備することによって、各記録ヘッド2の各ノズルにおける気泡の発生及び目詰まり等を防止し、更にインクの残留等を除去する。このメンテナンスユニット6により、各ノズルからのインク滴の吐出状態を良好な状態に維持することができ、ひいては記録媒体99に明瞭な画像を記録できる。
【0052】ホームポジション7は、図1に示す通り、キャリッジ4aの移動端でかつメンテナンスユニット6とは反対側に設けられている。複数の記録ヘッド2,2,…及びキャリッジ4a等が記録動作に関わらないとき、複数の記録ヘッド2,2,…及びキャリッジ4aがこのホームポジション7に待機するようになっている。ホームポジション7には、複数の保湿キャップ71,71,…が設けられている。これら複数の保湿キャップ71,71,…は、キャリッジ4aに搭載された記録ヘッド2と同じ数だけ設けられている。各保湿キャップ71は、各記録ヘッド2の下部を覆えるよう各記録ヘッド2の下部に対応するサイズ及び形状等を有しており、各記録ヘッド2に係るインクの保湿を行うものである。なお、複数の記録ヘッド2,2,…及びキャリッジ4a等が待機状態である場合に、キャリッジ4aはホームポジション7に位置しており、各記録ヘッド2が各保湿キャップ71で覆われて各記録ヘッド2に係るインクの保湿が行われるようになっている。これにより、記録動作中において、各記録ヘッド2からのインク滴の吐出を良好に行える。
【0053】次に、上述した各サブタンク3の構成を図4を参照してさらに詳細に説明する。図4(a)は各サブタンク3の縦断面図であり、図4(b)は図4(a)における(I)−(I)線で切断した横断面図である。なお、以下に説明する各サブタンク3の構成は、基本的に、複数のサブタンク3,3,…のうち全てのサブタンク3,3,…に共通するものであって、そのうちの一つのサブタンク3について説明する。
【0054】サブタンク3は、後述する伝熱部材からなる略箱状に形成された部材であって、サブタンク3の内部を三つの液室3a,3b,3cに仕切る二つの隔壁31,32と、各液室3a,3b,3cの周りに配されたヒータ線34と、液室3c内に残留するインクの量(以下「インク残量」という。)を検知する残量検知センサ35と、液室3c内のインクの温度を検知する温度センサ36と、を具備する。
【0055】ヒータ線34は、各液室3a,3b,3c内のインクを加熱する部材であって、二つの隔壁31,32を含むサブタンク3の筐体部分を構成する伝熱部材の内部に配されている。詳しくは、ヒータ線34は、各液室3a,3b,3cの左右両側及び下側に延在し、全体としては縦断面視して(図4(a)参照)各液室3a,3b,3cを間に挟んで櫛歯状に配されている。なお、前記伝熱部材は、ヒータ線34からの熱を効率良く各液室3a,3b,3c内のインクに伝熱することを目的としており、従って熱伝導率の高い材料から構成される。前記伝熱部材の材料としては、例えば、アルミニウム,鉄,ニッケル,銅若しくはステンレス等の金属又はSiC,BeO,AlN等のセラミックス等が好ましい。
【0056】液室3aの下部近傍には、インク供給部材10等を介してメインタンク8からのインクを流入するための流入口3dが設けられている。流入口3dには、メインタンク8からのインクの供給を調節するインク弁37が設けられている。なお、インク弁37は、サブタンク3にインクを供給する場合に開き、それ以外の場合は常時閉じた状態となっている。一方、液室3cの下部近傍には、液室3cに貯留されたインクを記録ヘッド2に流出するための流出口3eが設けられている。
【0057】また、上記の通り、サブタンク3内は二つの隔壁31,32により三つの液室3a,3b,3cに仕切られているが、液室3a及び液室3bを仕切る隔壁31は、液室3b及び液室3cを仕切る隔壁32よりも高く構成されている(図4(a)参照)。各液室3a,3b,3cの底面積については、どの液室も略同じである(図4(b)参照)。従い、各液室3a,3b,3cにおけるインクの貯留可能な容量は、液室3aが最も大きく、液室3bがその次ぎに大きく、液室3cが最も小さい。
【0058】さらに、隔壁31の高さが隔壁32よりも高いことから、流入口3dからインクが供給されると、液室3aに貯留されたインクは、隔壁31を超えて液室3bに溢れ出し(オーバーフローし)、液室3bに貯留されたインクは、隔壁32を超えて液室3cにオーバーフローする。つまり、サブタンク3内に流入したインクは、液室3aから液室3bを経て液室3cへと階段状にオーバーフローするとともに、サブタンク3内の各液室3a,3b,3cに一時的に貯留される。そして、液室3cに貯留されたインクは、最終的に流出口3eから当該サブタンク3に通じる記録ヘッド2に流出するようになっている。
【0059】残量検知センサ35は、上記の通りインク残量を検知するものであって、図4(a)に示す通り、液室3c近傍に設置されている。この残量検知センサ35としては、例えば、液室3c内に残留するインクの液面を検知する液面センサが適用可能である。この液面センサは、フッ素樹脂等の材料からフルカバーされかつ液室3c内に延出する検知部35aと、検知部35aに搭載された発光素子及び受光素子(図示略)と、を具備するものであって、フッ素樹脂と空気との屈折率の差及びフッ素樹脂と液体(インク)との屈折率の差を利用して発光素子から放射された光がどの程度受光素子に戻るかを検知し、液室3c内に残留しているインクの液面を検知するものである。つまり、この液面センサによりインクの液面を検知することで、インク残量を検知する。なお、残量検知センサ35は、後述する制御装置20(図5参照)に接続されており、残量検知センサ35による検知信号が制御装置20に出力されるようになっている。
【0060】温度センサ36は、サーミスタ又は熱伝対等から構成される接触式センサであって、図4(b)に示す通り、液室3c近傍に設置されている。この温度センサ36は、液室3cに貯留されたインクの温度を検知するものである。なお、温度センサ36は、残量検知センサ35同様、後述する制御装置20(図5参照)に接続されており、温度センサ36による検知信号が制御装置20に出力されるようになっている。
【0061】次に、図5を参照して制御装置20の構成について説明する。図5は、制御装置20及び制御装置20に係る部材の関係を示すブロック図である。図5に示す通り、制御装置20は、その基本構成として、プリンタ1の各部材の動作を予め制御するための制御プログラム及びこの制御プログラムで使用されるデータ等を格納するROM21と、制御プログラムに基づく各種処理を行うCPU22と、ROM21から読み出したデータ及び制御プログラムに基づいてCPU22により算出されたデータ等を格納するRAM23と、を具備する。
【0062】CPU22には、インターフェース(以下「I/F」という。)24を介して、インク残量を検知する残留検知センサ35及び液室3c内のインクの温度を検知する温度センサ36が接続されている。CPU22は、残留検知センサ35及び温度センサ36から検知信号を入力されて、この検知信号に基づく制御を行う。また、CPU22には、I/F25を介して、ヒータ線34を駆動する駆動回路26が接続されている。CPU22は、ヒータ線34を駆動させる旨の制御信号を駆動回路26に出力してヒータ線34の加熱を制御し、サブタンク3内(特に、液室3c内)のインクの温度を制御する。
【0063】次に、上記構成を具備するプリンタ1の記録動作中における各部材の動作について説明する。プリンタ1の記録動作中において、送り機構及びプラテン11のファンが作動することで、記録媒体99は、プラテン11に吸引保持された状態で間欠的に順次副走査方向Bに沿って送り出される。ここで、記録媒体99が停止した際に、キャリッジ機構4が作動することで、キャリッジ4aが記録媒体99の直上を主走査方向Aに沿って移動する。そして、キャリッジ4aが記録媒体99の直上を移動する最中に、各記録ヘッド2からインク滴が記録媒体99に向けて吐出される。吐出されたインク滴は、記録媒体99上に着弾する。その後、記録媒体99のうちインク滴の着弾した領域が、照射手段の光源の直下を通過する。このとき、前記光源から光が照射されて、記録媒体99に着弾したインク滴は硬化する。そして、プリンタ1が上述の動作を繰り返すことで、所望の画像が記録媒体99に順次記録されるようになっている。
【0064】ここで、プリンタ1が上述の動作を繰り返す際に、各残留検知センサ35で各サブタンク3のインク残量を検知しながら各サブタンク3内のインクの量が制御されている。すなわち、複数のサブタンク3,3,…のうち任意のサブタンク3を例にして説明すると、液室3c内に貯留されたインクの液面が予め設定された液面設定値を下回った場合に残留検知センサ35から制御装置20に検知信号が入力され、この検知信号に基づきCPU22がインク弁37を開ける処理を行う。この場合、インク弁37が開いて、メインタンク8からサブタンク3へとインクが流入する。詳しくは、液室3aのインクは液室3bにオーバーフローし、液室3bのインクは液室3cにオーバーフローし、液室3cのインクは記録ヘッド2に流出する。
【0065】そして、インク残量が所要量を超えると、残留検知センサ35から所要量に達した旨の検知信号が制御装置20に入力され、この検知信号に基づきCPU22がインク弁37を閉じる処理を行う。この場合、インク弁37が閉じて、メインタンク8からサブタンク3へのインクの供給は停止する。このようにして、各サブタンク3内のインクの量が制御される。
【0066】さらに、プリンタ1が上述の動作を繰り返す際に、各温度センサ36で各サブタンク3の液室3c内のインクの温度を検知しながら各液室3c内のインクの温度が制御されている。すなわち、複数のサブタンク3,3,…のうち任意のサブタンク3を例にして説明すると、温度センサ36により検知された液室3cのインクの温度が予め設定された設定温度範囲の下限値を下回った場合に、温度センサ36から制御装置20に検知信号が入力され、この検知信号に基づきCPU22は、ヒータ線34を駆動させる処理を行う。この場合、ヒータ線34が加熱されて、サブタンク3における各液室3a,3b,3cが加熱され、各液室3a,3b,3c内のインクが加熱される。
【0067】そして、温度センサ36により検知された液室3cのインクの温度が設定温度範囲の上限値を超えると、温度センサ36からインクの温度が所定温度を超えた旨の検知信号が制御装置20に入力され、この検知信号に基づきCPU22がヒータ線34の加熱を停止させる処理を行う。この場合、ヒータ線34の加熱が停止する。このようにして、各サブタンク3における液室3cのインクの温度が制御される。
【0068】なお、インクの温度制御に係る前記「設定温度(T)」としては、30℃≦(設定温度T)≦150℃であることが好ましく、40℃≦(設定温度T)≦100℃であることがより好ましい。この範囲内において設定温度Tを設定すれば、インクの粘性を低下させた状態で記録ヘッド2に当該インクを供給できるので、記録ヘッド2からのインク滴の吐出を安定させることができる。設定温度Tが、(設定温度T)≦30℃又は150℃≦(設定温度T)である場合には、各記録ヘッド2からのインク滴の吐出が困難になり好ましくない。
【0069】さらに、本実施形態にかかるインクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。ここで、インクの粘度変動はそのままインク滴のサイズ及びインク滴の吐出速度に大きく影響し、画質の劣化が引き起こされるため、各サブタンク3(特に、各液室3c)内のインクの温度を出来るだけ一定に保つことが必要である。従い、前記設定温度Tに対する制御幅(温度範囲)を、(設定温度T)±5℃に制御することが好ましく、(設定温度T)±2℃に制御することがより好ましく、(設定温度T)±1℃に制御することが更に好ましい。
【0070】以上、本実施形態に係るプリンタ1では、記録動作中において、各サブタンク3における液室3c内のインクの量を制御しつつ、液室3c内のインクの温度を制御している。これにより、記録動作中であっても、各サブタンク3における液室3cのインクの量を略所定量に保つことができ、かつ、各サブタンク3における液室3cのインクの温度も略所定温度に保つことができる。ここで、各サブタンク3に流入したインクは、各液室3a,3b,3cを経る毎に設定温度に徐々に近づきながら各サブタンク3内を流通し、流通方向の最下流に位置する液室3cにおいて最も設定温度に近づいた状態となる。そして、液室3cに滞留したインクは、設定温度に近づいた状態のまま各サブタンク3の液室3cから各記録ヘッド2に流出する。
【0071】これにより、各サブタンク3の液室3cから各記録ヘッド2に流出するインクの温度を常に安定させることができる。言い替えれば、粘度を安定させた状態でインクを各サブタンク3から各記録ヘッド2に供給できる。この場合、各記録ヘッド2から吐出されるインクの粘度を粘度変動のほとんど無い安定させた状態に常に維持でき、ひいては各記録ヘッド2から吐出されるインク滴の吐出精度を向上させることができる。
【0072】また、本実施形態に係るプリンタ1では、各サブタンク3内を二つの隔壁31,32によって三つの液室3a,3b,3cに仕切り、かつ、各隔壁31,32の高さを各サブタンク3内におけるインクの流通方向の下流に向かうにつれて低くするといった簡単な構成で、各サブタンク3に流入したインクを、最上流の液室3aから液室3bを経て最下流の液室3cへとオーバーフローさせて、液室3cに供給できる。
【0073】なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。例えば、上記実施形態に係る各サブタンク3の構成を変形させることが可能である。図6に上記実施形態に係る各サブタンク3の変形例を示し、図7に図6に示した各サブタンク3の変形例を示した。図6(a)は各サブタンク3の縦断面図であり、図6(b)は図6(a)における(II)−(II)線で切断した横断面図である。図7(a)は各サブタンク3の縦断面図であり、図7(b)は図7(a)における(III)−(III)線で切断した横断面図である。なお、以下の説明では、図6及び図7において図4に示した上記実施形態と同様の部材には同一の符号を付すとともに、当該部材は図4に示した構成と同様であって当該部材についての詳細な説明は省略する。
【0074】図6に示す各サブタンク3では、図6(b)に示す通り、各液室3a,3b,3cの周りにヒータ線38が液室3a,3b,3c毎に配されている。詳しくは、各ヒータ線38は、各液室3a,3b,3cの前後両側及び下側に延在しており、縦断面視してU字状に各々配されている(図示略)。なお、各ヒータ線38は、I/F25及び駆動回路(図示略)等を介して制御装置20のCPU22に各々接続されている。
【0075】また、図6に示す各サブタンク3では、図6(b)に示す通り、温度センサ36が液室3a,3b,3c毎に設けられている。各温度センサ36は、各液室3a,3b,3cに貯留されたインクの温度を各々検知する。なお、各温度センサ36は、I/F24等を介して制御装置20のCPU22に各々接続されている。
【0076】そして、プリンタ1が上記実施形態に示したように記録動作を繰り返す際に、各サブタンク3においては、各温度センサ36で検知された検知結果に基づき各ヒータ線38の加熱を液室3a,3b,3c毎に制御する。すなわち、各温度センサ36で各液室3a,3b,3c内のインクの温度を各々検知し、各温度センサ36で検知された検知信号に基づいて、制御装置20のCPU22が、各ヒータ線38を加熱させる処理を行う。このように構成した場合、各液室に3a,3b,3cに貯留されたインクは、各液室3a,3b,3cにおいて設定温度に近づく。
【0077】なお、各液室3a,3b,3c内のインクの温度制御に係る設定温度範囲は、全ての液室3a,3b,3cにおいて同じであってもよいし、液室3a,3b,3c毎に異なっていてもよい。前記設定温度範囲を液室3a,3b,3c毎に異ならせる場合には、制御装置20による各ヒータ線38の加熱の制御精度を、各サブタンク3内においてインクの流通方向における下流の液室ほど、高くすることが好ましい。例えば、液室3cに係る設定温度範囲を最も狭くし、液室3bに係る設定温度範囲をその次ぎに狭くし、液室3aに係る設定温度範囲を最も広くするように設定する。この場合、液室3cに貯留されたインクの温度を温度変動の少ない最も安定な状態に保持でき、粘度をより安定させた状態で各サブタンク3から各記録ヘッド2にインクを供給できる。
【0078】また、図7に示す各サブタンク3では、図7(b)に示す通り、液室3bとヒータ線38bとの距離は液室3aとヒータ線38aとの距離よりも大きく、液室3cとヒータ線38cとの距離は液室3bとヒータ線38bとの距離よりも大きい。つまり、各サブタンク3内において、各液室3a,3b,3cを流通するインクの流通方向の下流に設けられた液室ほど、ヒータ線38との距離が大きくなっている。この場合、下流の液室ほど、ヒータ線38から伝導される熱量が小さいから、下流の液室のインクほどヒータ線38からの熱の影響を受けにくくなる。このとき、下流の液室のインクほど温度変動幅が小さくなる。これにより、各液室3a,3b,3cのうち液室3c内のインクの粘度をより安定させることができ、ひいてはインクの粘度を更に安定させた状態で各サブタンク3から各記録ヘッド2にインクを供給できる。
【0079】なお、本実施形態に係る図4、図6及び図7に示した各サブタンク3においては、二つの隔壁31,32によって三つの液室3a,3b,3cを設ける構成としたが、液室の数は三つに限定されない。つまり、液室の数は二つでもよいし、三つ以上でもよい。また、各サブタンク3の各液室の大きさにおいても全ての液室の大きさを同じにする必要は無く、各液室の大きさは各々適宜変更可能である。また、本実施形態に係る各サブタンク3の各隔壁31,32について、各隔壁31,32の高さを各サブタンク3内におけるインクの流通方向の下流に向かうにつれて低くする構成としたが、各隔壁31,32の高さを同じにしかつ各隔壁31,32に流通孔を設けて、各液室3a,3b,3c間でインクが流通するように構成してもよい。
【0080】さらに、本実施形態に係る各記録ヘッド2及び各サブタンク3は、プリンタ1本体又は外気からの温度の影響を受けないよう熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ1の立上げ時間を短縮する又は熱エネルギーのロスを低減するために、各記録ヘッド2及び各サブタンク3以外の部材との断熱を行うとともに、各記録ヘッド2及び各サブタンク3を熱容量の小さい部材で覆うことが好ましい。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、粘度を安定させた状態で高粘性インクをサブタンクから記録ヘッドに供給できる。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番1号
【出願日】 平成14年5月29日(2002.5.29)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
【公開番号】 特開2003−341099(P2003−341099A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−156137(P2002−156137)