| 【発明の名称】 |
ヘッド開封時における顔料インクの強制吐出処理 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 財士 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノン株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ヘッドキャリブレーションに不具合のないよう、ヘッドキャリブレーション以前に吐出速度を安定させる。
【解決手段】着荷時のインク置換処理手段と、強制吐出シーケンス、ヘッドキャリブレーションシーケンス、回復手段を有する印字記録装置においてインク置換終了後、ヘッドキャリブレーションシーケンス以前に、インクの吐出速度を安定させるべく強制吐出を行うシーケンスを有することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記憶手段を有する記録ヘッドで、物流インクを装着するインクカートリッジより供給されるインクに置換する回復手段と、該記憶手段の情報により、該回復手段を作動させることを決定する判断手段とを有し、該物流インク置換動作後に行う、たとえばレジ調整などのヘッドキャリブレーションを作動させる前に、顔料インクを使用する発熱素子に対して強制吐出を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。 【請求項2】 記録媒体に印字を行うことで、強制吐出を実施する請求項1のインクジェット記録装置。 【請求項3】 印字に寄与しない位置で、強制吐出を実施する請求項1のインクジェット機録装置。 【請求項4】 印字に寄与しない位置が回復手段のキャップ直上であって、キャップ内からインクがあふれないようにインクをキャップ内から排出する吸引手段と、インクの吐出量をカウントするカウント手段と、該カウント手段より求められたカウント値を比較し、該吸引手段よりインクを排出する判定を行う判定手段を有することを特徴とする請求項3のインクジェット記録装置。 【請求項5】 記録ヘッドの温度を検知する温度検知手段を有し、強制吐出実施後に記録ヘッドの温度が、任意の温度閾値になるまで印字動作を行わない印字待機制御手段を有することを特徴とする請求項1乃4至のインクジェット記録装置。 【請求項6】 強制吐出実施後の該温度閾値と、印字時の温度閾値と、複数の温度閾値を有することを特徴とする請求項6のインクジェット記録装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプリンタに関し、より詳しくは、記録ヘッドの強制吐出処理に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の記録ヘッドに対する強制吐出は、発熱素子上の不純物を強制吐出によって排出するものであって、一般に工場の出荷の際に実施されている。 【0003】また、顔料インクを搭載する記録ヘッドは物流時において、記録ヘッドのインクをノズルに供給する液室に顔料インクが充填されていると、インクの乾燥等で顔料インクが増粘、および固着してしまい、記録ヘッド装着時の初期印字で回復しない現象が起こる。 【0004】この現象を解決するために、記録ヘッドの液室内に充填する物流インクの成分はカーボンを取り除いたもので、ヘッド保存に適したインク組成となっている。このインクによって従来発生していた増粘・固着を防止している。 【0005】そして着荷時には回復手段により、物流インクと供給されるインクとを置換するインク置換シーケンスが実施されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液室内に物流インクを充填すると着荷時のインク置換回復動作を実施してもインク置換は完全なものでなく、また完全なインク置換を行うためには多量のインクを無駄に排出しなくてはならない。このような状態でインク置換された後のノズル内の供給されたインクは顔料成分が少ないため、工場で出荷前に行った強制吐出により平衡状態にあった記録素子上のカーボンの堆積量が印字を行うことで減少し、その結果、ヘッドキャリブレーション時の吐出速度が、強制吐出直後の速度と異なる現象が起こった。 【0007】ここで、平衡状態とは発熱素子の発熱によって堆積するカーボンと、吐出時のキャビテーションによって発熱素子からはがれるカーボンとが釣り合って安定している状態をいう。 【0008】そのため、インク置換後に特開平10−329381に挙げられるようなレジ調整等のヘッドキャリブレーションを行うと、完全に置換されないためにインク中のカーボンの割合が減少し、このときの印字により発熱素子上のカーボンの堆積量が変化してしまう。このときのキャリブレーション値から印字を行ううちに強制吐出直後の該平衡状態に戻ったときキャリブレーション値がずれてしまうために、結果として出力画像に大きな弊害をもたらしていた。 【0009】(発明の目的)本発明は、該キャリブレーション値がずれてしまう問題を鑑み、該キャリブレーション以前に吐出速度を安定させることを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】顔料インクを使用するノズルに対して強制吐出を行うことで、物流インク混ざったインクを排出し、供給される顔料インクにより発熱素子上のカーボンの平衡状態を安定化させることで、吐出速度を安定させる。 【0011】 【発明の実施の形態】(実施例1)(紙に印字して強制吐出する) 記録ヘッド101の出荷前に行われるのは発熱素子上の不純物を取り除くための強制吐出処理であり、特登録02839966に記載されるように一定の強制吐出で発熱素子を洗浄するのが一般的である。しかし、顔料インクにおいては、特開2000-118003に記載されるように発熱素子上にカーボンを堆積させ、吐出速度を安定させることを強制吐出処理によって実施している。つまり、本発明は出荷時に行われる発熱素子上の不純物を除去するための強制吐出ではなく、発熱素子上のカーボン堆積状態の安定化を施すものである。 【0012】出荷時に強制吐出を施された記録ヘッド101は物流のために、図9におけるヘッドノズル内部106及び液室102内部のインクを顔料成分の除かれ且つヘッドの保存に適した物流インクに置換し、専用の包装袋104で密封される。 【0013】この包装袋104の中で保湿された状態で保存された記録ヘッド104は、保存された状態を維持したまま物流行程を経て顧客の元に届けられる。 【0014】顧客の元に届けられた記録ヘッド及びインクジェット記録装置1は、梱包を解かれセットアップされるが、その手順は図1に従って説明していきたい。 【0015】まず、開梱されたインクジェット記録装置1の電源をONし、カバーをオープンにする。 【0016】カバーがオープンされると、キャリッジ2がヘッド交換ポジション(図5)に移動するので、そのキャリッジ2に記録ヘッド1を搭載し、更にインクカートリッジ105を記録ヘッド1にセットする。 【0017】カバーをクローズすることで、インクジェット記録装置1は物流インクと装着されたインクカートリッジ105から供給されるインクとを置換するべく、回復装置114により吸引動作を行う。 【0018】この回復動作は図2の回復動作のフォローチャートで示されるが、記録ヘッド101に設けられたEEPROMから情報を取得し、その情報を基にインク置換を行ったか否かの判定をし、否であれば、インク置換用の回復処理を行う。このインク置換用の回復処理は、標準の回復処理の吸引量より多い吸引量で、かつ、液室102内の物流インクをカートリッジ105から供給されるインクに置換できる十分な吸引量で行われる。 【0019】十分な置換といっても完璧に置換できるわけではないために、液室102およびノズル内106のインクの顔料成分は、インクカートリッジから供給されるインクのそれよりも少なくなってしまう。顔料成分が少ない状態で、吐出を行うと工場出荷時の強制吐出後の平衡状態が崩れてしまい、吐出によってはがれたカーボンの量に対して、顔料成分の少ないインクを吐出することで堆積するカーボンの量が少なくなるために、カーボンの堆積量で安定していた吐出速度が変化する要因になっている。 【0020】次に、コンピュータとインクジェット記録装置を専用のインターフェースケーブルで接続し、CD-ROMからプリンタドライバをインストールする。 【0021】インストールされたドライバより、まず始めに、不吐ノズルがないか確認するノズルチャック印刷を行う。ここで、不吐ノズルが発生した場合には、回復装置114により記録ヘッド101の吸引回復動作を不吐ノズルがなくなるまで行う。 【0022】ノズルチェックが終了したら、記録ヘッド101のレジ調整等の印字に必要なヘッドキャリブレーションを行うが、ヘッドキャリブレーションをドライバ上から実施したときにまず印字による強制吐出処理を行う。 【0023】強制吐出処理は開封直後の記録ヘッドに対して1回行えば十分なので、記録ヘッドに配置されているEEPROMなどの記憶手段から、強制吐出処理の実施・未実施の情報を取得し、未実施の時に、強制吐出処理を実施する。 【0024】ノズルチェックを行うと発熱素子上のカーボンの堆積量が減少してしまうが、強制吐出前にノズルチェックを行わず、不吐のまま強制吐出を行うと強制吐出処理が施されないだけでなく発熱素子の断線にも繋がるので、強制吐出前にノズルチェックを行うことが妥当である。 【0025】このときの強制吐出は記録媒体に印字を行い実施されるが、A4サイズの記録媒体に対して、印字領域のほぼ全域に印字をして1枚で強制吐出処理される。 【0026】本発明における印字発数は、1ノズル当たりおよそ50000ドット以上である。強制吐出直後にヘッドキャリブレーションを行うのであるが、続いてヘッドキャリブレーションを行うと、記録ヘッド101の強制吐出による記録素子のベース温度が上昇しているため、正確なキャリブレーションが行えない可能性がある。 【0027】そのため、発熱素子近傍に配置された温度センサーの出力値をモニタリングして、一定の温度、本発明に係る実験によるとベース温度が50℃(B)以下になるまで、ヘッドキャリブレーションを行わない。本実験において時間にすると約10秒ほどであった。 【0028】図11は、そのときのベース温度を示すものである。 【0029】本実験で用いた記録ヘッド101はベース温度が65℃以上になると液室102内に空気が溜まりインク落ちしてしまう現象があり、本件において60℃(A)を超えたら印字を行わない制御をかけている。また、60℃未満になったら印字を行うので図11右のようなグラフ結果となる。 【0030】キャリブレーションを開始するときにおけるベース温度の閾値と、印字制御のときの閾値とを持ち、複数のベース温度閾値で印字制御を行っている。 【0031】この制御のメリットとしては、強制吐出処理の処理速度は最小限にし、ヘッドキャリブレーションの際には、記録ヘッド101のベース温度の影響をキャリブレーションに反映させないことが挙げられる。 【0032】このように一定時間待機し、ヘッドキャリブレーションを行うことで、実印字と同様の安定した状態で、キャリブレーションを実施できるので、正確なヘッドキャリブレーションが行える。 【0033】最後に強制吐出処理が正常に完了後、記録ヘッドの記憶手段に強制吐出処理実施の情報を書き込んでおく。 【0034】(実施例2)(予備吐口に予備吐して強制吐出する) 実施例1のように、記録媒体に対して強制吐出を行うと記録媒体を数枚消費してしまう可能性がある。 【0035】そこで本発明は、予備吐口あるいは、回復手段に設けられたキャップ吸収体などの印字に寄与しない場所への吐出を実施し、強制吐出を行うことを特徴とする。 【0036】図4は本発明の強制吐出処理の一例である。 【0037】本実施例では、印字に寄与しない場所としてキャップ吸収体への吐出に関して解説を行う。 【0038】本体(図5)の右端に図6に示される回復装置が設置されている。 【0039】強制吐出処理時には、予備吐出領域またはキャップの直上までキャリッジを移動させ、強制吐出を行うが、本実施例においてはキャップ直上に移動させて強制吐出する方法での説明を行う。 【0040】強制吐出処理において、1ノズル当たり50000発以上の吐出を行うことは実施例1で述べたとおりである。しかしながら、1ノズル当たり50000発以上もの強制吐出を行ってしまっては、図7上のようにインクがキャップからあふれ出てしまう不具合が発生する。 【0041】そこで、キャップ吸収体からあふれる前(図7下)にポンプによってチューブ管より適度に空吸引を行い、インクを排出する。この空吸引を実施することで、記録ヘッドのベース温度の上昇を抑制しながら、強制吐出処理をおこなうことが可能となる。 【0042】また、本実施例においては、インク置換と強制吐出処理を分けているが、時間短縮を目的に、この2つの動作を同時に行ってもよい。 【0043】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る回復処理方法および強制吐出処理方法によれば、ヘッドキャリブレーション時に発熱素子上のカーボンの堆積状態が安定になり、正常なヘッドキャリブレーションの実施がなされる。従って、キャリブレーション値のズレといった問題が解消される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
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| 【出願日】 |
平成14年5月24日(2002.5.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090538 【弁理士】 【氏名又は名称】西山 恵三 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−341097(P2003−341097A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−150906(P2002−150906) |
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