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【発明の名称】 液体収納容器の包装構造およびその開封方法
【発明者】 【氏名】楠城 達雄
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内

【氏名】山本 肇
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内

【氏名】清水 英一郎
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内

【氏名】竹之内 雅典
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内

【要約】 【課題】開封時にインクの供給口からインクが飛散することを防止し、更に誰でも容易に開封可能な信頼性の高いインクタンクの包装構造を提供する。

【解決手段】インクを収納するインク容器101と、外部(例えばインクジェット記録ヘッド)にインクを供給するインク供給口102と、空気の導入出口である大気連通口104と、大気連通口104を密閉する密閉部材105と、インク供給口102を覆い、且つインク容器101の全体を被覆する被覆部材103とを備えている。被覆部材103は、インク供給口102を密封するキャップ121と、キャップ121を含めてインク容器101を包囲する包囲部材120とから構成されている。密閉部材105は包囲部材120と一体に形成されていてもよい。さらに、包囲部材120には第1の接着領域110と第2の接着領域111が施されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体を収納する液体収納部と、前記液体を外部に供給するための液体供給部と、前記液体収納部を大気と連通させる大気連通部と、を有する液体収納容器の、前記液体供給部と前記大気連通部とを覆い封止する被覆部材を備えて構成される包装構造において、前記被覆部材は、前記大気連通部を封止する大気連通部封止部と、前記液体供給部を封止する液体供給部封止部と、前記大気連通部封止部と前記液体供給部封止部とを繋ぐ前記液体収納容器の連接面を覆う連接領域とを備えており、前記液体供給部封止部は前記液体供給部に対して非接着封止とされ、前記連接領域は開封抵抗発生部として構成されていることを特徴とする液体収納容器の包装構造。
【請求項2】 液体を収納する液体収納部と、前記液体を外部に供給するための液体供給部と、前記液体収納部を大気と連通させる大気連通部と、を有する液体収納容器の、前記液体供給部と前記大気連通部とを覆い封止する被覆部材を備えて構成される包装構造の、前記被覆部材は、前記大気連通部を封止する大気連通部封止部と、前記液体供給部を封止する液体供給部封止部と、前記大気連通部封止部と前記液体供給部封止部とを繋ぐ前記液体収納容器の連接面を覆う連接領域とを備えるとともに、前記液体供給部封止部は前記液体供給部に対して非接着封止とされ、前記連接領域は開封抵抗発生部として構成されており、前記液体収納容器は主要な6つの側面によって構成された直方体であり、前記大気連通部と前記液体供給部とは対向した側面に配され、前記大気連通部が配された側面と、前記液体供給部が配された側面とを繋ぐ側面の内、対向した側面対の一方の対を覆うように、前記被覆部材は第1領域と第2領域とを備え、前記第1領域及び第2領域は夫々前記被覆部材を開封する際に、開封抵抗を発生する第1開封抵抗発生部及び第2開封抵抗発生部を構成する包装構造の開封方法であって、前記大気連通部封止部に封止された前記大気連通部を開封する工程と、前記第1開封抵抗発生部を前記液体収納容器の側面から引き離す工程と、前記液体供給部封止部によって封止された前記液体供給部の非接着封止を開放する工程と、前記第2開封抵抗発生部を前記液体収納容器の側面から引き離す工程と、を、この順に行なうことを特徴とする液体収納容器の包装構造の開封方法。
【請求項3】 液体を収納する液体収納部と前記液体を供給するための液体供給口とを有する液体収納容器における前記液体供給口を被覆部材により被覆した液体収納容器の包装構造であって、前記被覆部材には、前記液体収納容器と接着する接着領域が少なくとも二箇所に、前記液体供給口に対応する部位を挟んで独立して配されている液体収納容器の包装構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドに対して供給される記録用の液体、例えばインクを収容した、インクジェットヘッドへの供給経路に対して着脱自在に構成される液体収容容器に施された改善された包装構造及びその開封方法に関し、簡便な操作で、インク飛び散りなどの不都合が生じ難い液体収納容器の包装構造及びその開封方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドとは別体に構成されて、インク供給管などを通してインクジェット記録ヘッドにインクを供給する交換型インクタンクが提案されている。交換型インクタンクは多くの場合、その筐体内にインク吸収体が装填されていて、インク吸収体にインクを保持するように構成されている。そして、インクタンクをインク供給管に連結したときにインクジェット記録ヘッドにインクが供給され易くするため、インクジェット記録ヘッドへインクを供給するインク供給口の近傍ではインクが密になるようにインク吸収体にインクが保持される構成が知られている。なお、大気連通口からのインク漏れを抑制するためインクタンク内部を大気に連通させる大気連通口の側ではインクが疎になるようにインク吸収体にインクが保持される構成が知られている。
【0003】上述した交換型インクタンクは、物流時にインク供給口や大気連通口からのインク漏れに備えて、上記のインク供給口や大気連通口をシール部材で封止した包装形態を採っていることが多い。このインク供給口や大気連通口を封止する従来採用されている包装形態として、可撓性材料のシール部材で大気連通口やインク供給口を覆い、このシール部材における大気連通口やインク供給口の周縁の部分を粘着または熱溶着することによってインクタンクの密閉を保っている構成のものがあった。この包装形態は安価で且つ確実にインクタンクを密閉できるため、多くのインクタンクで適用されている。このような包装形態において、インク供給口や大気連通口の開封方法としては、ユーザーが直接シール部材を引っ張るなどして、大気連通口やインク供給口の周縁からシール部材を剥ぎ取ることによって行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のインクタンクの包装形態(構造)には、物流時での環境変化におけるインクタンク内の内圧上昇によってシール部材の一部が剥がれ、インクが漏れ出してしまう事態が発生しないように、大気連通口やインク供給口に対するシール部材の粘着や熱溶着が強力に施されている場合がある。このような場合、シール部材の接着部はこれを剥ぎ取るときの力(剥離力)が高くなっているため、ユーザーは力をこめてシール部材を剥ぎ取らなければならなかった。
【0005】このような開封方法が行われると、大気連通口やインク供給口に対するシール部材の接着力もしくは溶着力が、シール部材が大気連通口やインク供給口から剥がれた瞬間に解放されてシール部材が勢いよくインクタンクから取り外されることになり、特にインク供給口においてはシール部材で密封していたインクが周囲に飛散してユーザーの手や周囲のものを汚してしまう結果を招く恐れがあった。
【0006】このような開封時のインクの飛散には2つのモードがある。1つはインク吸収体とシール部材との間に存在していると考えられるインクの飛散であり、2つ目はシール部材に付着しているインクの飛散である。
【0007】1つ目のシール部材がインク供給口から勢いよく離脱される状態は、図9の(a),(b),(c)に示すように、インクタンク51内の体積が膨張する方向、すなわちインクタンク51内からインクを引き出す方向に圧力が作用し、またシール部材52の離脱における慣性力とにより、インク吸収体53とシール部材52との間のインク54がシール部材52に追従するように、引っ張られる。この場合、引っ張られているインクは最終的には切断されることとなり、その際の、インク吸収体53およびシール部材52のいずれの側にも付かずに別れたインク滴54が飛散することになる。
【0008】また、2つ目は図10の(a),(b),(c)に示すように、シール部材52の開封直後、インク供給口55に接着されているシール部材52がインク供給口55から離れた瞬間に、シール部材52は強い衝撃ではじかれ、シール面に付着しているインク滴54aが周囲に飛散してしまうということがあった。
【0009】また、このインクの飛散防止に対して、図11に示すようなインク供給口61にキャップ62が溶着部64によって溶着されて密閉を保っている構成のものがある。このインクタンク63を開封する際には、キャップ62を離脱方向とは異なる方向に回動して溶着部64をせん断した後に、キャップ62を離脱させる。このため、キャップ開封時にインクタンク63内の体積膨張はなく、また溶着が開放されてからキャップ62を離脱させるので、勢いの良い開封がなされない。このような開封手段では、キャップを回動して開封するので、図10で示すシール部材を封止手段に用いた場合の開封時に生じるインク飛散を防止することができる。
【0010】しかしながら、上述したインクタンクの開封にはキャップを“ひねる”という動作がある。この“ひねる”という動作は、キャップを指でつまんで、手首をまわす動作である。子供やお年寄り、手や手首に障害を持ったユーザーにおいては、手首をまわす“ひねる”という動作が大変難しい動作となっている。また、この例においても封止を確実にするための強固な溶着がなされており、このことも“ひねる”動作を難しくしている要因となっている。したがって、だれにでも簡便な開封動作が達成できるインクタンクの封止構成が望まれていた。
【0011】そこで、本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は開封時にインクの供給口からインクが飛散することを防止し、更に誰にでも容易に開封可能な信頼性の高い液体収納容器の包装構造及び開封方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、液体を収納する液体収納部と前記液体を供給するための液体供給口とを有する液体収納容器における前記液体供給口を被覆部材により被覆した液体収納容器の包装構造であって、前記被覆部材には、前記液体収納容器と接着する接着領域が少なくとも二箇所に、前記液体供給口に対応する部位を挟んで独立して配されていることを特徴とする。
【0013】また、液体を収納する液体収納部と前記液体を供給するための液体供給口とを有する液体収納容器における前記液体供給口を被覆部材により被覆した液体収納容器の包装構造であって、前記被覆部材には、前記液体収納容器と接着する接着領域と、前記被覆部材を破断する破断手段とを、前記液体供給口に対応する部位を挟んで独立して配されていることを特徴とする。
【0014】さらに、液体を収納する液体収納部と前記液体を供給するための液体供給口とを有する液体収納容器の開封方法において、前記液体供給口は被覆部材により被覆され、前記被覆部材には、前記液体収納容器と接着する接着領域が少なくとも二箇所に、前記液体供給口に対応する部位を挟んで独立して配されており、少なくとも一箇所の接着領域が剥がされた後に前記液体供給口が開放されることを特徴とする。
【0015】加えて、液体を収納する液体収納部と前記液体を供給するための液体供給口とを有する液体収納容器において前記液体供給口を被覆部材により被覆した液体収納容器の開封方法において、前記被覆部材には、前記液体収納容器と接着する接着領域と、前記被覆部材を破断する破断手段とを、前記液体供給口に対応する部位を挟んで独立して配されており、前記破断手段の破断が完了した後に前記液体供給口が開放され、その後に前記粘着領域が剥がされることを特徴とする。
【0016】さらにまた、液体を収納する液体収納部と、前記液体を外部に供給するための液体供給部と、前記液体収納部を大気と連通させる大気連通部と、を有する液体収納容器の、前記液体供給部と前記大気連通部とを覆い封止する被覆部材を備えて構成される包装構造において、前記被覆部材は、前記大気連通部を封止する大気連通部封止部と、前記液体供給部を封止する液体供給部封止部と、前記大気連通部封止部と前記液体供給部封止部とを繋ぐ前記液体収納容器の連接面を覆う連接領域とを備えており、前記液体供給部封止部は前記液体供給部に対して非接着封止とされ、前記連接領域は開封抵抗発生部として構成されていることを特徴とする。そして、前記液体収納容器は主要な6つの側面によって構成された直方体であり、前記大気連通部と前記液体供給部とは対向した側面に配され、前記大気連通部が配された側面と、前記液体供給部が配された側面とを繋ぐ側面の内、対向した側面対の一方の対を覆うように、前記被覆部材は第1領域と第2領域とを備え、前記第1領域及び第2領域は夫々前記被覆部材を開封する際に、開封抵抗を発生する第1開封抵抗発生部及び第2開封抵抗発生部を構成することを特徴とする。
【0017】また、液体を収納する液体収納部と、前記液体を外部に供給するための液体供給部と、前記液体収納部を大気と連通させる大気連通部と、を有する液体収納容器の、前記液体供給部と前記大気連通部とを覆い封止する被覆部材を備えて構成される包装構造の、前記被覆部材は、前記大気連通部を封止する大気連通部封止部と、前記液体供給部を封止する液体供給部封止部と、前記大気連通部封止部と前記液体供給部封止部とを繋ぐ前記液体収納容器の連接面を覆う連接領域とを備えるとともに、前記液体供給部封止部は前記液体供給部に対して非接着封止とされ、前記連接領域は開封抵抗発生部として構成されており、前記液体収納容器は主要な6つの側面によって構成された直方体であり、前記大気連通部と前記液体供給部とは対向した側面に配され、前記大気連通部が配された側面と、前記液体供給部が配された側面とを繋ぐ側面の内、対向した側面対の一方の対を覆うように、前記被覆部材は第1領域と第2領域とを備え、前記第1領域及び第2領域は夫々前記被覆部材を開封する際に、開封抵抗を発生する第1開封抵抗発生部及び第2開封抵抗発生部を構成する包装構造の開封方法であって、前記大気連通部封止部に封止された前記大気連通部を開封する工程と、前記第1開封抵抗発生部を前記液体収納容器の側面から引き離す工程と、前記液体供給部封止部によって封止された前記液体供給部の非接着封止を開放する工程と、前記第2開封抵抗発生部を前記液体収納容器の側面から引き離す工程と、を、この順に行なうことを特徴とする。
【0018】このような包装構造もしくは開封方法では、ユーザーは、液体供給口(液体供給部)に対応する部位を挟んで独立する接着領域が配された被覆部材の端部のどちらか一方を掴んで、被覆部材の引き剥がしを行う。被覆部材の引き剥がしに際して、まず、最初に第1の接着領域(開封抵抗発生部)を剥がすことになる。このとき、第1の接着領域の剥がし方向長さによりユーザーに対して引き剥がしに必要な応力を認識させることができるため、過剰な引き剥がし操作力による勢いのある引き剥がしを防止することが可能となる。
【0019】第1の接着領域の引き剥がしが終了すると、急に被覆部材の引き剥がし応力が0となるが、上述したように、ユーザーの引き剥がし操作の力は過剰には働いていないため、被覆部材を掴んでいるユーザーの手が勢い良く運ばれない。
【0020】そして、被覆部材の液体供給口に対応する部位には接着領域が施されていないので、第1の接着領域の引き剥がしが完了すると、液体供給口が開封される。この際、上述したように、勢いのある開封は行われないため、開封時に液体供給口の液体が飛散する現象は発生しない。また、急に引き剥がし応力が0となり、液体供給口が開封されるため、ユーザーに液体供給口を開封したという“開封感”を与えることができる。
【0021】さらに、この包装構造では、被覆部材に付着した液体の飛散も防止することができる。それは、被覆部材の“一気に取り去る”という行為を防止するために、第2の接着領域(開封抵抗発生部)がユーザーの引き剥がし動作におけるストッパーとして機能して、被覆部材の“一気に取り去る”という行為を防止できるからである。
【0022】さらに、上記の包装構造において、前記被覆部材の前記液体供給口に対応する部位に前記液体収納部を密閉に保つ封止手段(液体供給部封止部)が設けられており、前記被覆部材の限られた方向からの引き剥がし方向に関して、第1の接着領域が前記封止手段の前に、第2の接着領域が前記封止手段の後にそれぞれ位置していることが好ましい。
【0023】加えて、前記液体収納容器は前記液体収納部の内部を大気に連通する大気連通口(大気連通部)を有する場合、前記大気連通口は、前記被覆部材の限られた方向からの引き剥がし方向に関して、前記液体供給口の封止手段の前に位置していることが好ましい。この構造によれば、被覆部材を引き剥がす際に液体供給口を開封する前に大気連通口が開くため、環境温度変化により容器内圧が大気圧より高くなっていたとしても、液体供給口の開封時に液体を飛散させないで済む。
【0024】また、上記のような包装構造を施した液体収納容器としては直方体形状のものを適用できる。この場合、前記液体収納容器は偏平容器で、最大面積面以外の面に前記液体供給口を有するものであると、複数の液体収納容器をスペースをとらないで並列配置するときに有利である。
【0025】このような形状の液体収納容器の場合、前記被覆部材は少なくとも、前記液体供給口を形成する面とこの面に隣接する面を被覆することが好ましい。そして、このような液体収納容器を被覆する被覆部材の第1の接着領域と第2の接着領域はそれぞれ、前記液体供給口を形成する面に隣接する面に有していることが好ましい。
【0026】さらに、前記被覆部材の限られた方向からの引き剥がし方向に関して前記液体供給口に対応する部位の後に位置する第2の接着領域に、前記液体供給口を形成する面とこれに隣接する面とが交わる稜線を含んでいることが好ましい。このように構成すれば、上述したストッパーの作用を液体供給口開封後すぐに効かせることができる。さらに、早期に上述のストッパー機能を効かせるためには、前記液体供給口は前記第2の接着領域を有する面の近傍に設けられていることが好ましい。
【0027】また、前記液体収納容器は前記液体収納部の内部を大気に連通する大気連通口を密閉する密閉部材(大気連通部封止部)を有することが好ましい。この密閉部材は前記被覆部材と一体に形成されていてもよい。この場合、前記被覆部材は前記密閉部材の縁部に沿ったミシン目を有することが好ましい。
【0028】前記被覆部材としてはフィルム状部材、より好ましくは熱収縮性フィルム状部材が適用でき、この場合、前記被覆部材は液体収納容器を包囲する環状であってもよい。また、前記被覆部材は弾性部材であってもよい。
【0029】前記被覆部材と前記液体収納容器との接着手段は粘着剤または熱溶着が用いられていることが考えられる。
【0030】前記液体供給口の封止手段としてはキャップ部材が適用できる。この場合、前記キャップ部材は弾性体またはエラストマを有するものが好ましい。
【0031】また、上記目的を達成するにあたり、前記被覆部材に前記液体収納容器と接着する接着領域と、前記被覆部材を破断する破断手段とを、前記液体供給口に対応する部位を挟んで独立して配されている構成のものでも、上述した作用は発揮される。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、ここでは、収納する液体がインクジェット記録に用いられるインクであるインクタンクを例にとって説明するが、本発明は大気連通口と液体供給口を有した液体を収納した容器に適用可能な構成であり、インクタンクのみに限られないが、インクタンクが最も好適な構成例として挙げられる。
【0033】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施の形態によるインクタンクの全体構成を説明するための図で、(a)はインクタンクの斜視図、(b)はインクタンクの正面図を示す。
【0034】図1で示す形態のインクタンク100はインクを収納するインク容器101と、外部(例えばインクジェット記録ヘッド)にインクを供給するインク供給口(液体供給部)102と、空気の導入出口である大気連通口104と、大気連通口104を密閉する密閉部材105と、インク供給口102を覆い、且つインク容器101の全体を被覆する被覆部材103とを備えている。被覆部材103は、インク供給口102を密封する非接着封止のキャップ121と、キャップ121を含めてインク容器101を包囲する包囲部材120とから構成されている。密閉部材105は包囲部材120と一体に形成されていてもよい。さらに、包囲部材120は、大気連通口104が形成された側面(大気連通部封止部)と、これと対向したインク供給口102が形成された側面(液体供給部封止部)とに連接するインク容器101の側面(連接面)を覆う連接領域を有し、この領域には第1の接着領域(開封抵抗発生部)110と第2の接着領域(開封抵抗発生部)111が施されている(図1(b))。
【0035】なお、図1では構成を明らかにするために、包囲部材120は透明な部材として表した。さらに、各接着領域110,111は斜線で表した。
【0036】図2は図1に示したインク容器101の、最大面積面と平行な面に沿った断面図である。この図に示すように、インク容器101は直方体状で偏平の容器外形をなしている。インク容器101の内部(液体収納部)は、負圧を発生させてインクを吸収保持する負圧発生部材132を収納する負圧発生部材収容室130と、負圧発生部材収容室130に隣接してインクを収容するインク収容室131とから構成となっている。
【0037】負圧発生部材収容室130とインク収容室131を仕切る壁の、容器底部側の端部には両室を連通させる連通路が設けられている。負圧発生部材収容室130は底部にインク供給口102を、天井部に室内を大気に連通する大気連通口104を備えている。負圧発生部材収容室130とインク供給口102内にはインクをインクジェットヘッドのインク供給管に良好に導くインク導出部材としての圧接体133が配置されている。
【0038】次に、インクタンク100のインク供給システムについて図2(b)を参照して説明する。
【0039】インクタンク100がインクジェット記録装置(不図示)に搭載されると、インク供給口102内にインクジェット記録装置側のインク導入管200が挿入してきて圧接体133を押圧する。そのインク導入管200の開口部には図のようにフィルタ201が取り付けられていることもある。そして、インクジェット記録装置が稼動することにより、インクジェット記録ヘッド(不図示)からインクが吐出されて、インク容器101内のインクを吸引する力が働く。インクは、この吸引力によりインク収容室131から負圧発生部材収容室130へ入り、そして負圧発生部材132を通ってインク導入管200内に引き込まれて、インクジェット記録ヘッドへ供給される。これによりインク収容室131内の圧力が低下しインク収容室131と負圧発生部材収容室130との間に圧力差が生じる。インクジェット記録ヘッドによる記録動作が継続してインク供給が続行されると、その圧力差は上昇するが、負圧発生部材収容室130は大気連通口104により開放されているため、空気が負圧発生部材132を通過し、インク収納室131に入る。この時点でインク収容室131と負圧発生部材室130内の圧力差は解消される。記録動作中は、このような動作が繰り返されることによって、インクをスムースに供給することが可能になる。
【0040】次に、大気連通口104を密閉する密閉部材105について説明する。
【0041】大気連通口104はインク容器101のインク供給口102を有する面と対向する面に設けられており、負圧発生部材132と連通するように施されている。この大気連通口104を封止するためにフィルム状の密閉部材105が、インク容器101の大気連通口104を有する面に大気連通口104を閉塞するように接着されている。インクタンク101をインクジェット記録装置(不図示)に装着する段階では、密閉部材105は剥がしておく必要があるから、接着手段としては剥離可能な粘着剤(接着剤)もしくは熱溶着が用いられている。
【0042】図3は、図1に示したようにインク容器101を被覆する被覆部材103を示す斜視図である。図中の斜線部は接着領域110,111を表す。図3に示すように、被覆部材103の外形は環形状をなしている。前述したように、被覆部材103はキャップ121と包囲部材120から構成されている。図1に示したようにキャップ121は被覆部材103でインク容器101を被覆した際に、インク容器101のインク供給口102と当接する位置に配置されている。被覆部材103において、キャップ1211と包囲部材120は別材質となっている。キャップ121はインク供給口102を押圧し、インク容器101を密閉状態にするものであるため、キャップ121の材質としては、変形し易いエラストマなどの弾性体が好ましい。
【0043】本実施の形態において、キャップ121は2つの材質から構成されており、インク供給口102と当接し、封止している部分はエラストマで、そのエラストマ部分を包囲している周囲部はポリプロピレンで構成されている。(図4参照)図3に示すようにキャップ121は包囲部材120に固定されているが、この固定方法はキャップ121におけるエラストマ部分121aの周囲のポリプロピレン部分121bを包囲部材120に粘着材または熱溶着で固定する。本実施形態において、包囲部材120とキャップ121は粘着材または熱溶着で固定されているが、開封時に包囲部材120からキャップ121が落ちなければ、包囲部材120がキャップ121をホールドするような接着手段のない形態でも全く問題ない。
【0044】包囲部材120の材料は、図1に示したようにインク容器101を被覆したとき、キャップ121に対してインク供給口102への押圧力を与えると共に、インク容器101全体をコンパクトに被覆することを考慮すると、熱処理により収縮してインク容器101の外縁にならう形状に変形するシュリンクフィルムであることが好ましい。もちろん帯状のフィルム端を熱溶着などの手段で環状に閉じ、キャップ121を保持できるように構成してもよい。
【0045】また、図1および図3に示すように、包囲部材120の、インク容器101の大気連通口104を有する面に対応する部分が密封部材105を一体に含んで構成されており、密閉部材105の両縁の対応する部分にミシン目115が2本平行に施されている。この構成により、密閉部材105を引き上げることで包囲部材120を容易に破断することができる。さらに、大気連通口104の開放と、インク供給口開封のための包囲部材102の破断とを一回の操作で行うことができる。
【0046】さらに、包囲部材120において、インク容器101の、インク供給口102を有する面を挟んで対向する2側面(インク供給口を形成する面と連接する面)と接する箇所の一部には、それぞれ第1の接着領域110と第2の接着領域111が施されている。この第1の接着領域110と第2の接着領域111の接着手段は開封により剥がされるため、剥離容易な、粘着剤または熱溶着が用いられる。すなわち本発明では、インク容器101は6つの側面によって構成された直方体であり、大気連通口104とインク供給口102とは対向した側面に配され、大気連通口104が配された側面とインク供給口102が配された側面とを繋ぐ側面のうち、対向した側面対の一方の対を覆うように、被覆部材103は第1領域と第2領域とを備えている。そして第1領域と第2領域の一部はそれぞれ、被覆部材103を開封する際に、剥離抵抗(開封抵抗)を発生する第1の接着領域(第1開封抵抗発生部)110と第2の接着領域(第2開封抵抗発生部)111を構成する。
【0047】次に、被覆部材103によるインク容器101およびインク供給口102の被覆方法について説明する。
【0048】最初に、被覆部材103の包囲部材120はインク容器101の被覆される部分の外周長さよりも長い円周の環状形状となっており、その包囲部材120の環形状の中にインク容器101を挿入する。その後、インク容器101と被覆部材103を、キャップ121とインク供給口102が当接するように配置し、保持具(不図示)によりインク供給口102にキャップ121を押し付ける。この際、保持具としてはキャップ121のエラストマ部分121aに損傷を与えなければどのような構成のものでも使用可能である。
【0049】そして、被覆部材103の、粘着剤が設けられている第1の接着領域110および第2の接着領域111をそれぞれインク容器101の側面に押し付け、粘着させ、密接させる。この貼り付けの際には、各接着領域110,111とインク容器101の側面との間にエアが入り込まないように密接させる。そして、キャップ121に対して上述した保持具による押し付けを維持しながら、シュリンクフィルムである被覆部材103に熱処理を施し、被覆部材103を熱収縮させる。この際、熱処理は、被覆部材103であるシュリンクフィルムがインク容器101の外形にならって密接するまで収縮させ、且つインク供給口102をキャップ121で封止可能な張力が被覆部材103に発生するまで続ける。その後、インク容器101を保持具から解放し、被覆部材103のインク容器101への被覆が完了する。この被覆完了の状態を示したのが図1である。
【0050】さらに、被覆部材103の熱収縮後のインク供給口102とキャップ121の封止状態について図4を用いて説明する。図4はインク供給口102とこれを封止するキャップ121の封止状態を示す断面図である。この図において、インク供給口102の開口部の周囲には、円筒150が設けられており、円筒150の内径がインク供給口102の径とほぼ同径となっている。さらに、突き出た円筒150の端面に突起部151が形成されている。また、キャップ121の円筒150が当接するエラストマ部分121aには、円筒150の突起部151が入るV溝125が形成されている。
【0051】図4に示すように、突起部151とV溝125とが圧接されることによって、突起起部151がエラストマ部分121aの肉を押し広げてV溝125内に入り込む。この時、V溝125の、突起部151との接触面が突起部151の形状に合わせて変形し、突起部151とV溝125との接触面が密着している。このように突起部151とV溝125の斜面とが密着することによってインク供給口102を気密に封止する効果が生じる。
【0052】次に、本発明の目的とするところのインクタンク開封方法について図5の(a)〜(d)、図6を用いて説明する。図5の(a)はインク供給口102の開封操作前の斜視図、同図(b)は密閉部材105の取り去り時の斜視図、同図(c)は第1の接着領域110の引き剥がし時の斜視図、同図(d)は更に第1の接着領域110の引き剥がしを進めた状態の斜視図である。図6はインク供給口102の開封時の正面図である。
【0053】まず、本実施の形態にかかるインクタンク100の開封は、大気連通口104にかかっている密閉部材105を取り去り、大気連通口104を開放することから始まる。これは温度変化等の周囲環境の変化によりインク容器101の内圧が大気圧より高くなっていたとしても、インク容器101内の負圧発生部材(図2)のインクが疎に維持されている大気連通口104側から開放することにより、インク容器101内が大気圧に等価になるためインク供給口102の開封時のインク飛び散りを防止することができるためである。
【0054】開封動作としてまずユーザーは、一部がインク容器101の端面を越えて延長されている密閉部材105の掴み部112(図5(a))を掴み、密閉部材105を取り去る動作を行う。この際、密閉部材105の両縁に対応する位置に、被覆部材103からの切断を補助するミシン目115が施されているため、ユーザーは密閉部材105の取り去り動作によって被覆部材103を容易に破断することができる。また、このミシン目115を認識することにより密閉部材105の剥がし方向が正しいことも確認できる。このままユーザーにより図中矢印A方向へ密閉部材105の引っ張り操作が行われると、密閉部材105がインク容器101から剥離されると共に、被覆部材103のミシン目115に挟まれている領域も取り去られることになる。密閉部材105が取り去られると、大気連通口104は開放される。また、被覆部材103のミシン目115に挟まれた領域が取り去られることで、被覆部材103はその端部から見るとU字形状となる。
【0055】ここで、密閉部材105の掴み部112には、ユーザーに明確に掴み部112であることを認識させるために表示がされていることは好ましい構成である。
【0056】次に被覆部材103の引き剥がしについて説明する。密閉部材105が取り去られた後、被覆部材103はインク容器101の外形に沿うようにU字形状で維持されている(図5(b))。ユーザーはインク供給口102が配置されている面を挟んで対向している2面と接着されている被覆部材103の端部のどちらか一方を掴んで、被覆部材103の引き剥がしを行う。ここで、第1の接着領域110とこれと反対側の第2の接着領域(図1(b))は被覆部材103の幅方向においては全幅に施されているものの、長さ方向においては大気連通口104側の一部の領域には接着領域が施されていない。これはユーザーがこの領域を掴んで被覆部材103の引き剥がしを行うための掴み代116である。本実施形態のインクタンク100において、剥がしの方向は明確に規定していなく、どちらからでも剥がし可能となっているが、ここでは説明の便宜上、時計回りの方向を引き剥がしの方向とする。
【0057】なお、第1の接着領域110とこれと反対側の第2の接着領域(図1(b))は被覆部材103の幅方向において全幅に施されているため、掴み部112からの開封を無視した被覆部材103から開封動作を行ないにくくしており、本発明に規定する掴み部112からの開封動作が優先して行なわれるようになっている。
【0058】被覆部材103の引き剥がしに際して、図5(c)に示すように、まず、最初に第1の接着領域110を図中矢印B方向に剥がすことになる。第1の接着領域110は被覆部材103の長さ方向において十分な長さで施されているため、ユーザーは一気に剥がそうとせずに、徐々に剥がしていくような認識を持つ。また、徐々に被覆部材103を剥がすことにより、ユーザーに対して引き剥がしに必要な応力を認識させることができるため、過剰な引き剥がし操作力による勢いのある引き剥がしを防止することが可能となる。
【0059】このまま第1の接着領域110の引き剥がしを継続していき、面の端部までくると、第1の接着領域110は終了する。被覆部材103の引き剥がしにおいて、第1の接着領域110が剥がされると、急に被覆部材103の引き剥がし応力が0となってしまうため、図5(d)に示すように、矢印B方向に勢いがついてしまうことになる。しかし、上述したように、ユーザーの引き剥がし操作の力は過剰には働かないような接着応力を規定することにより、被覆部材103を掴んでいるユーザーの手が勢い良く矢印方向には運ばれてしまうことを防止できる。
【0060】この第1の接着領域110の引き剥がしが完了すると、図6に示すように、インク供給口102を封止していたキャップ121は、第2の接着領域111の最もインク供給口102寄りの箇所(図中の回動中心C)を中心として回動し、インク供給口102が開封される。この際、上述したように、勢いのある開封は行われないため、開封時にインク供給口とキャップ間のインクが引っ張られていずれの側にも付かずに飛散する現象は発生しない。また、急に引き剥がし応力が0となり、インク供給口102が開封されるため、ユーザーにインク供給口102を開封したという“開封感”を与えることができる。
【0061】さらに、この開封方法では、キャップ121のシール面に付着したインクの飛散も防止することができる。それは、キャップ121のシール面に付着したインクの飛散の原因でもある、被覆部材103の“一気に取り去る”という行為を防止するために、第2の接着領域111がユーザーの引き剥がし動作におけるストッパーとして作用しているためである。ストッパーを開封後すぐに効かせるために、第2の接着領域111は、図6に示すように、この領域を有する側面に連接するインク供給口104を有する面との稜線近傍まで配置した方が良い。さらに、剥がし方向が反対の場合も考慮して第1の接着領域110も、インク供給口104を有する面との稜線近傍に配置するのがよい。加えて、早期にストッパー機能を効かせるためには、インク供給口104を第2の接着領域111を有する面の近傍に配置させた方が良い(剥がし方向を反対に規定する場合は第1の接着領域110を有する側面側に配置する。)。そして確実に引き剥がし動作を止めるためには、第1の接着領域110の接着力より第2の接着領域111の接着力を高めた方が良い(剥がし方向を反対に規定する場合は第1の接着領域110と第2の接着領域111の接着力を逆に設定する。)。
【0062】上述したように早期に、そして確実にストッパーを効かすことができたならば、キャップ121はインク供給口104に対してほぼ対向する位置で、且つインク供給口104近傍にて引き剥がし動作を止めることができるため、万が一、インク供給口102からインクが飛散したとしても、キャップ121内にインクが飛び込み、トラップするようになるため、外部へインクが飛散することはない。また、第2の接着領域111をストッパーとして、さらに効果的に作用させるために、本実施形態では、インク供給口102の開封時の被覆部材103の引き剥がし方向を、インク供給口102を有している面に対してほぼ垂直方向に設けている。これは、被覆部材103の引き剥がし方向における力は、第2の接着領域111に対してせん断方向の力となるために、容易に第2の接着領域111を取り去ることはできないようにするためである。
【0063】本実施形態のインクタンク100において、ユーザーによるさまざまな第1の接着領域110の引き剥がしが行われた場合について図13の(a),(b)を用いて説明する。図13(a)は第1の接着領域110を有する面と平行であるE方向に最大引き剥がされた状態であり、図13(b)は第1の接着領域110を有する面と平行ではないF方向に引き剥がされた状態を示す。たとえ、図13の(a),(b)のような引き剥がしが行われたとしても、ストッパーとして機能している第2の接着領域111が存在しているため、キャップ121からインク供給口120までの距離(l)は規制される。
【0064】従来の封止手段であるシールテープでは開封後のシールテープからインク供給口までの距離は規制されることがなかったため、たとえ図13(a)、(b)のような引き剥がし行われたとしても、従来のシールテープと比較して、単位時間(t)当たりの引き剥がし距離(1/t)はかなり小さな値に抑えることができるため、インクを飛散させないことが可能となっている。
【0065】また、本例の構成では、もしインクが飛び散ったとしても被覆部材103自体が、インクの受け部材としても機能することが可能で、インク飛び散りによる汚れを最小限に押さえることも可能である。
【0066】インク供給口102の開封後は、第2の接着領域111から被覆部材103を剥ぎ取ることになる。第2の接着領域111も第1の接着領域110と同様に、被覆部材103の長さ方向において十分な長さで施されているため、ユーザーは徐々に被覆部材103を剥がしていき、また引き剥がしに必要な応力を認識することができる。さらに、ユーザーはインクが付着しているキャップ121のシール面を見ながら剥ぎ取ることになるため、慎重に被覆部材103の剥ぎ取りを継続し、被覆部材103の取り去りが完了する。
【0067】本実施形態において、第1の接着領域110及び第2の接着領域111は被覆部材103の幅方向において、全幅接着が施されているが、引き剥がし始めの剥離力を低下させるために、図12に示すような接着領域のパターンであっても全く問題はない。
【0068】本実施の形態において、ユーザーとしてインク供給口102を開封する動作は、図5の(a)〜(d)および図6に示したとおり、密閉部材105の剥ぎ取りと、被覆部材103の剥ぎ取りだけであり、共に掴み部をつかんで引っ張るだけで剥ぎ取るので、誰でも簡単に開封することが可能である。
【0069】(第2の実施の形態)次に、図7を参照して、第2の実施の形態によるインクタンクを説明する。
【0070】図7は本発明の第2の実施形態によるインクタンクを示し、(a)は開封状態のインクタンクの斜視図、(b)は被覆部材でインク供給口が封止されている状態のインクタンクの斜視図である。
【0071】図7で示す形態のインクタンク100は一つのインク容器101の中に3色のインクを保持するタイプの液体収納容器であり、インク供給口102が3個設けられている。インクタンク100の内部はリブで3区間に区切られており、それぞれ負圧発生部材(図2参照)が充填されていて、それぞれに各色のインクが保持されている。インク容器101は外形が直方体状であり、図7において、縦長の形状となっている。
【0072】被覆部材103はゴム材であり、U字形状をなしている。本実施形態の偏平形状のインクタンク100において、被覆部材103の包囲する面はインク供給口102を有する面と、その面を挟んで対向する一対の最大面積面(インク供給口を形成する面と連接する面)の計3面を覆っている。これは、この包囲方向に限ったことではなく、インク供給口を有する面とこの面と連接する他の一対の面でもよい。被覆部材103の第1の接着領域110と第2の接着領域111はそれぞれ、インク供給口102を有する面に連接する一対の面(最大面積面)に対応して設けられ、かつ粘着材により接着されている。被覆部材103は弾性体のゴム材であるため、被覆部材103に張力を持たせた状態でインク容器101に接着することで、キャップ121はインク供給口102を気密に封止することが可能である。この形態では、インク供給口102が3つ設けられているが、問題なく全ての供給口を一つのキャップ121で封止可能である。開封方法は上述した第1の実施の形態の開封方法と同様であり、図7(b)中の矢印D方向に引き剥がしが行われる。
【0073】この実施形態も上述の第1の実施の形態と同様に、開封時にインク供給口102とキャップ121間のインクが引っ張られていずれの側にも付かずに飛散することを防止することができる。また、第2の接着領域111が、ユーザーの引き剥がし動作におけるストッパーとして作用するため、インク供給口102のシール面に付着したインクの飛散を防止することができる。
【0074】(第3の実施の形態)次に、図8を参照して、第3の実施の形態によるインクタンクを説明する。
【0075】図8は本発明の第3の実施形態によるインクタンクにおいて、被覆部材でインク供給口が封止されている状態を示す斜視図である。
【0076】図8で示す形態のインクタンク100は内部が2室構造となっており、内部にインクを収容するインク収容室と負圧発生部材が充填された負圧発生部材収納室の2室が構成されている。インク収容室にはインク供給口(不図示)が形成され、そのインク供給口の開口部にはフィルタ(不図示)が配置されている。
【0077】被覆部材103はフィルム状部材であり、本実施形態の偏平形状のインクタンクにおいて、包囲方向はインク供給口を有する面と、その面を挟んで対向する一対の階段状の最大面積面(インク供給口を形成する面と連接する面)の計3面を覆っている。これは、この包囲方向に限ったことではなく、インク供給口を有する面とこの面と連接する他の一対の面でもよい。被覆部材103の第1の接着領域110とこれに対向する第2の接着領域(不図示)にはスポット熱溶着が施されている。開封方法は、上述した第1及び第2の実施の形態の開封方法と同様であり、図8中の矢印E方向に引き剥がしが行われる。
【0078】被覆部材103の引き剥がしに際して、図8に示すように、まず、最初に第1の接着領域110を図中矢印E方向に剥がすことになる。第1の接着領域110は被覆部材103の長さ方向において複数のスポット溶着部110aで接着されているため、ユーザーは一気に剥がそうとせずに、スポット溶着部110a毎に徐々に剥がしていくような認識を持つ。また、徐々に被覆部材103を剥がすことにより、ユーザーに対して引き剥がしに必要な応力を認識させることができるため、過剰な引き剥がし操作力による勢いのある引き剥がしを防止することが可能となる。
【0079】このまま第1の接着領域110の引き剥がしを継続していき、第1の接着領域110が施された容器面の端部までくると、第1の接着領域110は終了する。被覆部材103の引き剥がしにおいて、第1の接着領域110が剥がされると、急に被覆部材103の引き剥がし応力が0となってしまうため、矢印E方向に勢いがついてしまうことになる。しかし、上述したように、ユーザーの引き剥がし操作の力が過剰に働くことを抑制するような接着応力を設定して構成することで、被覆部材103を掴んでいるユーザーの手が勢い良く矢印方向には運ばれるような事態を回避できる。
【0080】この第1の接着領域110の引き剥がしが完了すると、インク供給口を封止していたキャップ121は、第1の接着領域110に対向する第2の接着領域の最もインク供給口寄りの箇所(不図示)を中心として回動し、インク供給口が開封される(図6参照)。この際、上述したように、勢いのある開封は行われないため、開封時にインク供給口とキャップ間のインクが引っ張られていずれの側にも付かずに飛散する現象は発生しない。また、急に引き剥がし応力が0となり、インク供給口が開封されるため、ユーザーにインク供給口を開封したという“開封感”を与えることができる。
【0081】この実施形態も上述の第1および第2の実施の形態と同様に、開封時にインク供給口とキャップ121間のインクが引っ張られていずれの側にも付かずに飛散することを防止することができる。また、インク供給口のシール面に付着したインクの飛散を防止することもできる。
【0082】(第4の実施の形態)次に、図14を参照して、第4の実施の形態について説明する。本実施形態のインクタンク100は、第1の実施の形態のインクタンク100と同等であり、被覆部材103と密閉部材105のみが異なっている。よって、本実施形態の説明としては、被覆部材103と密閉部材105、そして上記2部材のかかるところの開封方法について説明を行う。
【0083】図14は本発明の第4の実施の形態によるインクタンクを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【0084】まず、図14で示すインクタンク100の被覆部材103について説明する。被覆部材103は、第1の実施の形態と同材質の包囲部材120とキャップ121から構成されており、外形は環形状をなしている。この被覆部材103の掴み部500はインクタンク100の大気連通口104を有する面からインクタンク100の最大面積面側へ一部飛び出す形状で設けられており、被覆部材103を一部くり抜くことにより形成されている。またこの被覆部材103には掴み部500の縁端部(破断開始位置511)から被覆部材包囲方向に向けてミシン目510が2本施されており、このミシン目510は大気連通口104を有する面と、その面と連接する面まで延在し、最後は包囲部材120の縁部(破断完了位置512)まで達している。第1の接着領域110と第2の接着領域111は第1の実施の形態と同様に、インク供給口102を有する面を挟んで対向する2側面(インク供給口を形成する面と連接する面)に施されている。
【0085】次に、密閉部材105について説明する。密閉部材105は四角形状のフィルムで構成されており、大気連通口104を封止するように接着されている。インクジェット記録装置(不図示)に装着する段階では、密閉部材105は剥がしておく必要があるから、接着手段としては、剥離可能な粘着剤、もしくは熱溶着が用いられる。被覆部材103に対して、密閉部材105は2本のミシン目510の間に位置するように配されており、大気連通口104を封止する接着力よりも強い接着力で被覆部材103と接着されている。これは、2本のミシン目510間領域を剥離していくインクタンク100の開封と大気連通口104の開放を一連の操作で行うことができるようにするためである。詳細については後述する開封方法で説明する。この被覆部材103との接着手段は大気連通口104を封止する接着力よりも強い接着力の粘着剤、もしくは熱溶着が用いられる。
【0086】次に、本実施形態の開封方法について説明する。ここでは大気連通口の開放までの説明を行い、それ以後の開封方法については第1の実施の形態と同じであるため省略する。
【0087】インクタンクの開封において、まずユーザーは被覆部材103の掴み部500を掴んで被覆部材103を被覆部材包囲方向に剥がしていくことから始める。被覆部材103の剥離は被覆部材103を破断することにより行われる。被覆部材103の破断手段は2本のミシン目510であり、掴み部500の縁端部(破断開始位置511)から始まっているため、掴み部500を掴んで被覆部材包囲方向に操作すると、ミシン目510は容易に破断され、2本のミシン目510間の領域が剥がされていく。この際、ユーザーはミシン目510を認識することにより、剥がし方向が正しいことも確認できる。
【0088】被覆部材103のミシン目510間の領域が剥がされていき、密閉部材105の位置までくると、ミシン目510間の領域の剥離に伴い、密閉部材105もインクタンク100から剥がされ、大気連通口104が開放される。これは、密閉部材105が大気連通口104を封止する接着力よりも強い接着力で被覆部材103と接着されているため、剥離時、被覆部材103側に追従してくるためである。この大気連通口104の開放において、密閉部材105は密閉を保持する強い接着がなされているため、剥がしに必要な力(剥離力)が高まり、勢いがついた剥離が行われてしまう。そうなると密閉部材105から後ろのミシン目510間領域は一気に剥がされてしまうことになる。しかし、ミシン目510の破断完了位置512近傍に第1の粘着領域110があり、その第1の粘着領域110がユーザーの勢いのある剥がし動作におけるストッパーとして作用しているため、開封動作を一旦止めることができる。これは、大気連通口104の開放時の勢いのある剥がし動作のままインク供給口102の開封が行われるとインクが飛散してしまうため、その勢いのある開封動作を継続させないようにするためである。
【0089】ここまでの開封方法において、開封動作としては掴み部500を掴んで被覆部材103を剥がすだけなので、誰でも簡単に行うことができる。
【0090】この後、第1の粘着領域110の剥離、インク供給口102の開封、第2の粘着領域111の剥離が行われるが、第1の実施の形態と同じ開封動作、効果が本実施形態でも作用するため、インクの飛散が防止でき、且つ容易な開封が可能となる。
【0091】なお、密閉部材105を用いず、被覆部材103で直接大気連通口104を封止し、開封するように構成してもよい。
【0092】(第5の実施の形態)次に、図15を参照して、第5の実施の形態によるインクタンク100を説明する。本実施形態のインクタンク100も、第1、第4の実施の形態のインクタンク100と同等であり、第4の実施の形態と比較して、被覆部材103のみが異なっている。よって、本実施形態の説明としては、被覆部材103とその被覆部材103のかかるところの開封方法について説明を行う。
【0093】図15は本発明の第5の実施の形態によるインクタンクを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)はミシン目切り替わり位置513部の拡大図を示す。
【0094】図15で示す被覆部材103について説明する。被覆部材103は、第1、第4の実施の形態と同材質の包囲部材120とキャップ121から構成されており、掴み部500の外形は第4の実施の形態と同等形状となっている。被覆部材103には掴み部500の縁端部(破断開始位置511)から被覆部材包囲方向に向けてミシン目510が2本施されており、このミシン目510は大気連通口104を有する面と、その面と連接する面まで延在し、ミシン目の510の破断完了位置512はインク供給口近傍の包囲部材120の縁部(破断完了位置512)まで達している。このミシン目510にはミシン目切り替わり位置513が有されており、破断開始位置511からミシン目切り替わり位置513までのミシン目510と、ミシン目切り替わり位置513から破断完了位置512までのミシン目510とでは、図15(d)に示すように、ミシン目510の残り部が異なっている。詳細には、破断開始位置511からミシン目切り替わり位置513までのミシン目残り部514は、それ以後のミシン目残り部515より幅が狭く、破断しやすいように施されている。2本のミシン目510間の領域には、第4の実施の形態と同様に、密閉部材105が配されており、大気連通口104を封止する接着力よりも強い接着力の粘着剤または熱溶着で接着されている。接着領域600は破断完了位置512を有する面と対向する面に有されており、接着手段は開封により剥がされるため、剥離容易な、粘着剤または熱溶着が用いられる。
【0095】これまで説明した第1から第4の実施形態では、インク容器は6つの側面によって構成された直方体であり、大気連通口104とインク供給口102とは対向した側面に配され、大気連通口104が配された側面とインク供給口102が配された側面とを繋ぐ側面のうち、対向した側面対の一方の対を覆うように、被覆部材103は第1領域と第2領域とを備えている。そして第1領域と第2領域の一部はそれぞれ、被覆部材103を開封する際に、開封抵抗を発生する第1開封抵抗発生部(第1の接着領域110)と第2開封抵抗発生部(第2の接着領域111)を構成している。これに対し、本実施形態では、第1及び第2開封抵抗発生部は、インク容器に対して被覆部材103の前記第1もしくは第2領域のいずれか一方の領域(接着領域600)が接着されることで発生する剥離抵抗が開封抵抗となり、接着されない他方の領域にミシン目状の破断部が構成されることで発生する破断抵抗が開封抵抗となる。すなわち、被覆部材103には、インク容器と接着する接着領域600と、被覆部材103を破断するミシン目510を有する破断手段とを、インク供給口102に対応する部位を挟んで独立して配されている。
【0096】次に、本実施形態の開封方法について説明する。ここではミシン目510の破断までの説明を行い、それ以後の開封方法については第1の実施の形態と同じであるため省略する。
【0097】インクタンク100の開封においては、まずユーザーは被覆部材103の掴み部500を掴んで被覆部材103を被覆部材包囲方向に剥がしていくことから始める。被覆部材103の剥離は被覆部材103を破断することにより行われる。被覆部材103の破断手段は2本のミシン目510であり、掴み部500の縁端部(破断開始位置511)から始まっているため、掴み部500を掴んで被覆部材包囲方向に操作すると、ミシン目510は容易に破断され、2本のミシン目510間の領域が剥がされていく。この際、ユーザーはミシン目510を認識することにより、剥がし方向が正しいことも確認できる。
【0098】被覆部材103のミシン目510間の領域が剥がされていき、密閉部材105の位置までくると、ミシン目510間の領域の剥離に伴い、密閉部材105もインクタンク100から剥がされ、大気連通口104が開放される。これは、密閉部材105が大気連通口104を封止する接着力よりも強い接着力で被覆部材103と接着されているため、剥離時、被覆部材103側に追従してくるためである。
【0099】この大気連通口104の開放において、密閉部材105は密閉を保持する強い接着がなされているため、剥がしに必要な力(剥離力)が高まり、勢いがついた剥離が行われてしまう。そうなると密閉部材105から後ろのミシン目510間の領域は一気に剥がされてしまうことになる。しかし、大気連通口104を有する面と連接する面にミシン目切り替わり位置513があり、このミシン目切り替わり位置513がユーザーの勢いのある剥がし動作におけるストッパーとして作用しているため、開封動作を一旦止めることができる。これは、破断開始位置511からミシン目切り替わり位置513までのミシン目残り部514の長さが短いため、破断に必要な力が小さくても破断可能となっていたが、ミシン目切り替わり位置513以降はミシン目残り部515の長さは長くなり、破断に必要な力が大きくなる。この場合、ユーザーの勢いのある開封は、この破断力のギャップにより、一旦ブレーキがかかり、止まってしまうことになる。これにより、大気連通口104開放時の勢いのある剥がし動作が、インク供給口102の開封まで伝わらなくなるので、急開封によるインクの飛散が防止できるのである。
【0100】この後、ユーザーはミシン目切り替わり位置513から破断完了位置512までのミシン目510を改めて破断し、ミシン目510間の領域をインクタンク100から剥離していくことになる。上述したように、ミシン目切り替わり位置513から破断完了位置512までのミシン目510はある程度の剥離力が必要であり、また被覆部材103の包囲方向において十分な長さで施されているため、ユーザーは一気に剥がそうとせずに、徐々に剥がしていくような認識を持つ。また、徐々にミシン目510間の領域を剥がすことにより、ユーザーに対して引き剥がしに必要な応力を認識させることができるため、過剰な引き剥がし操作力による勢いのある引き剥がしを防止することが可能となる。
【0101】このままミシン目510間の領域の引き剥がしを継続していき、破断完了位置512までくると、被覆部材103の環状形状が切断される。ミシン目510間の領域の引き剥がしにおいて、ミシン目510が破断完了位置512まで破断されると、急に引き剥がし応力が0となってしまうため、勢いがついてしまうことになるが、上述したように、ユーザーの引き剥がし操作の力は過剰には働いていないため、被覆部材103を掴んでいるユーザーの手は勢い良く運ばれないようになっている。このミシン目510間の領域の引き剥がしが完了するとインク供給口102は開封される。
【0102】ここまでの開封方法において、開封動作としては掴み部500を掴んで被覆部材103を剥がすだけなので、誰でも簡単に行うことができる。
【0103】この後、インク供給口102の開封、粘着領域600の剥離が行われるが、第1の実施の形態と同じ開封動作、効果が本実施形態でも作用するため、インクの飛散が防止でき、且つ容易な開封が可能となる。
【0104】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明は、内部に液体を収納する液体収納容器の液体供給口を被覆部材により被覆した包装構造であって、前記被覆部材において、前記液体収納容器と接着する接着領域が少なくとも二箇所に(上記第1から第4の実施の形態)、もしくは粘着領域と所望の破断力を要する破断手段(上記第5の実施の形態)が前記液体供給口に対応する部位を挟んで独立して配されたことにより、被覆部材の引き剥がしに際して、最初に剥がす接着領域(上記第1から第4の実施の形態)または破断手段(第5の実施の形態)の剥がし方向長さによりユーザーに対して引き剥がしに必要な応力を認識させることができるので、過剰な引き剥がし操作力による勢いのある引き剥がしを防止することが可能となる。
【0105】そして、被覆部材の液体供給口に対応する部位には接着が施されていないので、第1の接着領域(上記第1から第4の実施の形態)、または破断手段(上記第5の実施の形態)の引き剥がしが完了すると液体供給口を開封することができる。この際、上述したように、勢いのある開封は行われないため、開封時に液体供給口の液体が飛散する現象は発生しない。また、急に引き剥がし応力が0となり、液体供給口が開封されるため、ユーザーに液体供給口を開封したという“開封感”を与えることができる。
【0106】さらに、この包装構造では、第2の接着領域(上記第1から第4の実施の形態)、または接着領域(上記第5の実施の形態)がユーザーの引き剥がし動作におけるストッパーとして機能して、被覆部材の“一気に取り去る”という行為を防止するので、被覆部材に付着した液体の飛散も防止することができる。
【0107】さらに本発明においては、開封動作は掴み部をつかんで引っ張るだけで被覆部材を剥ぎ取ることができるので、誰でも簡単に開封することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
【出願日】 平成15年2月14日(2003.2.14)
【代理人】 【識別番号】100088328
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
【公開番号】 特開2003−341089(P2003−341089A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2003−36544(P2003−36544)