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【発明の名称】 インクジェットプリンタ
【発明者】 【氏名】丹野 龍司
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内

【要約】 【課題】樹脂に影響を与える高粘度インクを用いた場合においても、短期間でブレードを交換しなくとも長期にわたって明瞭な画像形成を可能とするインクジェットプリンタを提供する。

【解決手段】樹脂に影響を与える高粘度インクを記録媒体に吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタは、記録媒体に向けて高粘度インクを吐出する吐出口および吐出口を複数配列した吐出面を有する記録ヘッドと、フッ素樹脂もしくはフッ素樹脂がコーティングされた樹脂により形成され、かつ吐出面を清掃する清掃部材とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂に影響を与える高粘度インクを記録媒体に吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタであって、前記記録媒体に向けて前記高粘度インクを吐出する吐出口および前記吐出口を複数配列した吐出面を有する記録ヘッドと、フッ素樹脂もしくはフッ素樹脂がコーティングされた樹脂により形成され、かつ前記吐出面を清掃する清掃部材とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記清掃部材は、硬度(JIS−A)が20〜100の範囲内に収まるようにほぼ板状に形成されたブレードであり、前記ブレードは、前記吐出面の清掃時に前記吐出面を弾性変形しながら摺擦することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】請求項1または2に記載のインクジェットプリンタにおいて、30℃における粘度が10mPa・s〜500mPa・sの前記高粘度インクを、30℃〜150℃の範囲内に収まるように加熱する加熱手段を備え、前記記録ヘッドは、前記加熱手段により加熱された前記高粘度インクを、1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記記録ヘッドが前記記録媒体上に前記高粘度インクを吐出した後に、前記記録媒体に光を照射する光照射手段を備え、前記高粘度インクは、光が照射されることにより硬化する光硬化性インクであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録液として高粘度インクを用いるインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタにおいては、インクを記録媒体に吐出する吐出口が、記録ヘッドの一面(吐出面)に備えられている。この記録ヘッドには、インクの粘度の増大、インクの固着による吐出口の目詰まり、あるいは吐出口に通じる液路内に発生した気泡やごみ等による目詰まりを回復するために、記録ヘッドの吐出面をキャップ部材で密閉するように覆い、このキャップ部材を介して吸引ポンプで吸引することにより、流路内に残留している気泡をインクとともに吐出口から吸引除去したり、吐出面に付着したごみ等を除去したりするメンテナンスが行われている。
【0003】通常、キャップ部材を記録ヘッドから取り外した際には、吐出面にインク滴が多数残留することになる。インク滴が吐出面に残ったままであると、明瞭な画像形成が行えない。このため、キャップ部材離脱後においては、弾性を有し立設した状態のブレードの先端部を吐出面に摺擦させることで、吐出面を拭き取り清掃している。
【0004】ところで、近年インクジェットプリンタには、紫外線等の光が照射されることで硬化する光硬化性インクを記録液として用いたものが開発されている。このように、光硬化性インクを用いて画像形成を行った場合、画像形成後に光を照射すれば光硬化性インクは硬化し、例えば樹脂からなる記録媒体に対して画像形成を行った場合においても長期間にわたって形成画像を消えにくくすることができ、形成画像を屋外などに配置した際においても優れた耐候性を示すことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来用いられていた光硬化性インクでは、硬化時の収縮により記録媒体自体にシワや弛み、カールが発生してしまうおそれがあり、特に記録媒体が薄い樹脂からなる場合には、シワや弛み、カールが発生する可能性が高かった。このため、本出願人らは、硬化後に記録媒体にシワや弛み、カールを生じさせにくい光硬化性インクの開発を行った。ところが、シワや弛み、カールを生じさせにくい光硬化性インクを、従来のインクジェットプリンタに適用した場合、この光硬化性インクが樹脂等からなるブレードに影響を与えて劣化を進行させ、ワイプ性能を短期間で低下させてしまう。
【0006】また、常温時において光硬化性インクは、一般的なインクと比べて粘度の高い高粘度インクであるので、摺擦によりブレードの先端部に付着すると、その粘度のためになかなか流下せず、そのまま先端部に残留してしまう。このように、ブレードの先端部にインクが多量に残留したままであると、ブレードのワイプ性能の低下を進行させてしまう。つまり、記録媒体に対するシワや弛み、カールを防止した光硬化性インクを用いると、短期間でブレードを交換しなければ、形成画像が不明瞭となってしまう。
【0007】本発明の課題は、樹脂に影響を与える高粘度インクを用いた場合においても、短期間でブレードを交換しなくとも長期にわたって明瞭な画像形成を可能とするインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、樹脂に影響を与える高粘度インクを記録媒体に吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタであって、前記記録媒体に向けて前記高粘度インクを吐出する吐出口および前記吐出口を複数配列した吐出面を有する記録ヘッドと、フッ素樹脂もしくはフッ素樹脂がコーティングされた樹脂により形成され、かつ前記吐出面を清掃する清掃部材とを備えることを特徴としている。
【0009】本発明者は、シワや弛み、カールを生じさせにくい高粘度インクを用いたとしても、この光硬化性インクの影響で劣化しない部材を探すべく、試行錯誤し種々の実験を行った。そして、本発明者は上記した高粘度インクであっても、フッ素樹脂であれば、高い耐久性が得られることを突き止めた。つまり、請求項1記載の発明によれば、清掃部材が、フッ素樹脂もしくは、フッ素樹脂がコーティングされた樹脂により形成されているので、上記した高粘度インクを用いたとしても、吐出面の清掃時に清掃部材に付着した高粘度インクの影響により、清掃部材が劣化することを防止でき、ワイプ性能を長期にわたって維持することができる。また、フッ素樹脂は、非濡性も優れているので、清掃部材に付着した高粘度インクは、はじかれ流動しやすい状態となり、清掃部材の先端部から流下し高粘度インクの残留を防ぐことができる。したがって、いっそう清掃部材のワイプ性能を長期にわたって維持することができる。
【0010】フッ素樹脂とは、フッ素を含有する樹脂であり、具体的にはポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体等が挙げられる。
【0011】また、フッ素樹脂には、フッ素ゴム、フッ素系熱可塑性エラストマーも含まれる。フッ素ゴムとは、フッ素を含有する合成ゴムのことであり、フッ化ビニリデン系、テトラフルオロエチレン−プロピレン系、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル系、ホスファゼン系の4種に大別される。フッ素系熱可塑性エラストマーとは、熱可塑性エラストマーの1つで、ハードセグメントとしてフッ素樹脂分子、ソフトセグメントとしてフッ素ゴム分子で構成されている。
【0012】樹脂に対して、フッ素樹脂をコーティングすることにより、フッ素を含まない樹脂であっても、上記したフッ素樹脂と同様の特性が付加される。フッ素樹脂をコーティングする方法としては、樹脂表面にフッ素樹脂の薄膜を形成する方法ならば如何なるものでもよく、例えば、フッ素樹脂を含有した塗料を表面に塗布する方法や、シート状のフッ素樹脂で表面を覆う方法、液状のフッ素樹脂を対象物に噴射する方法などが挙げられる。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記清掃部材は、硬度(JIS−A)が20〜100の範囲内に収まるようにほぼ板状に形成されたブレードであり、前記ブレードは、前記吐出面の清掃時に前記吐出面を弾性変形しながら摺擦することを特徴としている。
【0014】請求項2記載の発明によれば、清掃部材が、硬度(JIS−A)が20〜100の範囲のゴムまたはゴム状部材によりほぼ板状に形成されるブレードであるので、弾性変形により吐出面をまんべんなく摺擦することができる。また、ブレードの硬度が20未満であると、ブレード自体の形成が困難であり、硬度が100を超えると、摺擦時に好適な弾性変形しにくく、吐出面の清掃がまんべんなく行えないおそれがある。このため、ブレードの硬度は、上記したように20〜100の範囲内に収まるように設定される。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタにおいて、30℃における粘度が10mPa・s〜500mPa・sの前記高粘度インクを、30℃〜150℃の範囲内に収まるように加熱する加熱手段を備え、前記記録ヘッドは、前記加熱手段により加熱された前記高粘度インクを、1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出することを特徴としている。
【0016】請求項3記載の発明によれば、高粘度インクは加熱手段によって、30℃〜150℃の範囲内に収まるように加熱されるので、この加熱により高粘度インクの粘度は下がり、射出安定性の点で好ましい。なお、さらに好ましくは40℃〜100℃の範囲内である。一般に、高粘度インクは、30℃以下および150℃以上では、射出が困難になる。高粘度インクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化をおこすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)、から吐出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
【0017】温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱する記録ヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0018】また、記録ヘッドの1ドット当たりの吐出量が2pl未満であると、形成される画像の濃度が低くなってしまう。このため、請求項3記載の発明によれば、記録ヘッドが、加熱手段により加熱された高粘度インクを、1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出するので、形成する画像の濃度低下を防止している。なお。1ドットあたりの射出量は、好ましくは4pl〜10plである。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記記録ヘッドが前記記録媒体上に前記高粘度インクを吐出した後に、前記記録媒体に光を照射する光照射手段を備え、前記高粘度インクは、光が照射されることにより硬化する光硬化性インクであることを特徴としている。
【0020】請求項4記載の発明によれば、高粘度インクとして光硬化性インクを適用したインクジェットプリンタにおいても、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について、図1〜図3の図面を参照しながら説明する。
【0022】この実施の形態で例示されるインクジェットプリンタ1は、温度上昇に伴って低粘度化し、紫外線が照射されることで硬化するUVインク(高粘度インク:以下インクと記述)を記録媒体に吐出し画像形成を行うものである。このインクジェットプリンタ1の主要構成は、図1に示すように、シート状の記録媒体2を画像形成時に前方へ搬送させる搬送手段(図示省略)と、記録媒体2にインクを吐出する記録ヘッド3と、複数色毎の記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4と、記録ヘッド3のメンテナンスを行うメンテナンスユニット5と、画像形成時あるいはメンテナンス時などにキャリッジ4を水平方向(矢印A)に沿って案内するガイドレール6と、前記キャリッジ4の待機所となるホームポジション7と、これら各部の制御を行う制御部(図示省略)とを備えている。
【0023】ここで用いられるインクは、光が照射されることにより硬化する光硬化性インクであり、この光硬化性インクには、硬化しても記録媒体にシワや弛み、カールが生じにくくするために、開始剤として光酸発生剤が適用されている。
【0024】光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる。これらの化合物としては、「イメ−ジング用有機材料」(有機エレクトロニクス材料研究会編、ぶんしん出版、1993年の187〜192ページに記載されているものが適用可能である。
【0025】光硬化性インクにカチオン重合性組成物を適用する場合、開始剤として好適な化合物は以下の5つのグループに分類できる。
【0026】第1のグループは、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの式(1)〜(14)に例示したカチオンと、B(C6F5)4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、CF3SO3-といったアニオンとからなる芳香族オニウム塩である。第1のグループに属する開始剤としては、対アニオンとしてボレートを有するものが高い酸発生能力を具備する点でが特に好ましい。
【0027】
【化1】

【0028】第2のグループは式(15)〜(25)に例示するスルホン化物である。これらの化合物は、紫外線の照射によってスルホン酸イオンを発生する。
【0029】
【化2】

【0030】第3のグループは、式(26)〜(32)に例示するハロゲン化物である。これらの化合物は紫外線の照射によってハロゲン化水素を発生する。
【0031】
【化3】

【0032】第4のグループは、式(33)、(34)に例示する鉄アレン錯体である。
【0033】
【化4】

【0034】そして、光硬化性インクは、特開平8−248561号、特開平9−034106号等のすでに公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することが好ましい。酸増殖剤を用いることで、さらなる吐出安定性向上を可能とする。
【0035】また、光硬化性インクには、上記の少なくとも1つのスルホニウム化合物を光酸発生剤として含有することが好ましい。インク硬化時のシワの問題が、さらに低減され、また吐出安定性が向上するという効果もある。
【0036】光カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−220526号に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0037】エポキシ化合物には、例えば、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、脂肪族エポキシドなどが挙げられ、これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。そして、上記エポキシドを1種単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0038】芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素付加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0039】脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキサンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0040】脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1.6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイドの付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンノキサイドおよびプロピレンノキサイド等が挙げられる。
【0041】ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネイト、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0042】これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。そして、上記ビニルエーテル化合物を1種単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0043】オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526号、特開2001−310937号に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物をしようできる。オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、組成物の粘度が高くなるため、取り扱いが困難になったり、また組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。このため、オキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。さらに、インク硬化の際の記録媒体の収縮を押さえる目的で、光重合性化合物として少なくとも1個のオキセタン化合物を含有することが好ましい。
【0044】そして上記したインクは、30℃における粘度が10mPa・s〜3000mPa・sとなるインクであり、好ましくは30℃における粘度が10mPa・s〜500mPa・sとなるインクである。10mPa・s未満であれば、記録媒体に着弾した後に滲みやすく、500mPa・sを超えると、形成画像の平滑性が失われてしまう。そして、さらに好ましくは、30℃における粘度が40mPa・s〜500mPa・sとなるインクである。そして、このインクを加熱して吐出する際には、粘度が3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化するおそれがあるので、60℃における粘度が3mPa・s〜30mPa・sとなるインクが好ましい。さらに、より好ましくは、60℃における粘度が3mPa・s〜20mPa・sとなるインクである。なお、このインクの粘度は、JIS Z 8803に規定する液体の粘度−測定方法において測定されたものであって、実際の粘度の測定にはHAAKE社製粘度計(ビスコテスター)型式VT07Lを用いた。
【0045】そして、インクは、色剤が添加されることにより着色される。色材としては、重合性組成物の主成分に溶解または分散できる色材が適用可能であり、耐光性の点で顔料が好ましい。顔料としては、例えば下に列挙したものが適用可能であるが、本発明に適用される顔料はこれに限らない。
【0046】C.I Pigment Yellow−1,3,12,13,14,17,81,83,87,95,109,42,74,128,185、C.I Pigment Orange−16,36,38、C.I Pigment Red−5,22,38,48:1,48:2,48:4,49:1,53:1,57:1,63:1,144,146,185,101,2,12,9,122,184,188、C.I Pigment Violet−19,23、C.I Pigment Blue−15:1,15:3,15:4,18,60,27,29、C.I Pigment Green−7,36、C.I Pigment White−6,18,21、その他有機白色顔料C.I Pigment Black−7【0047】光硬化インクに添加する色材の添加量は、分散後の発色性等によって決定するが、0.1〜15質量%とすることが好ましい。色材の添加量を0.1質量%未満とした場合、色材が十分に発色せず、記録媒体Pに印刷された画像の色再現性を低下させるという問題が生ずる。また、色材を15質量%を超えて添加した場合には、紫外線の照射によってインクドットが速やかに硬化せず、記録媒体P上でインクドットが滲んだりして画像の画質が低下するという問題が生ずる。
【0048】光硬化インク中に顔料を分散させるために、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
【0049】また、顔料の分散を行うために分散剤を添加することも可能である。分散剤は高分子分散剤を用いることが好ましい。高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。さらに、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを光硬化インクに添加することも可能である。
【0050】これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散剤及び分散助剤の添加量が顔料100質量部に対し、1質量部を下回る場合には、顔料が光硬化インクに均等に分散せず、記録媒体P上の画像の画質を著しく低下されるという問題が生ずる。一方、分散剤及び分散助剤の添加量が顔料100質量部に対し、1質量部を上回る場合には、色材が十分に発色しなかったり、記録媒体Pに着弾した光硬化インクが速やかに硬化しなかったりするという問題が生ずる。
【0051】上記顔料を光硬化インクに分散させるための分散媒体には溶剤または重合性組成物を適用する。ここで、本発明に適用する光硬化インクは、紫外線の照射によって速やかに硬化させるともに、硬化後の光硬化インクの劣化や臭気を防止するため、重合性組成物のみで顔料を分散させることが好ましい。また、溶剤を用いずに顔料を分散させるため、重合性組成物には粘度の低いモノマーを適用することが好ましい。
【0052】顔料の分散に際し、顔料の平均粒径は0.08〜0.5μmとすることが好ましい。ここで、顔料の粒径は光散乱法により測定されたものであり、平均粒径はヒストグラム平均(D50)で定義されたものである。顔料の平均粒径が0.08μm未満の場合には、光硬化インクにかかる経費が高くなるという問題が生ずる。また、顔料の平均粒径が0.5μmを超える場合には記録媒体Pに着弾した光硬化インクの透明性が損なわれたり、光硬化インクが紫外線の照射で速やかに硬化しなくなったりするために、画像の画質が低下するという問題が生じる。
【0053】さらに、顔料の最大粒径は0.3〜10μmとすることが好ましい。顔料の最大粒径が0.3μm未満の場合には、光硬化インクにかかる経費が高くなるという問題が生ずる。また、顔料の最大粒径が10μmを超える場合には、光硬化インクがノズルで詰まりやすくなるという問題が生ずる。また、上述の理由から顔料の最大粒径は0.3〜3μmとすることがより好ましい。
【0054】なお、光硬化インクに含まれる成分は上述のものに限らなくともよい。例えば、光硬化インクが吐出前に硬化することを防止するため、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することとしてもよい。特に、光硬化インクを高粘性に作成し、加熱、低粘度化して吐出する場合には、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐため、光硬化インクに重合禁止剤を添加することが好ましい。
【0055】この他に、必要に応じて界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知あらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが挙げられる。また、ラジカル重合性モノマーと、開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0056】記録媒体2は、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)である。インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属、ガラスなどである。
【0057】具体的に、記録媒体2が、樹脂などからなる場合には、例えばPETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムなどの各種樹脂フィルムが用いられる。その他、樹脂としては、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。これら各種樹脂フィルムの表面エネルギーは、大きく異なり、材料によってインク着弾後のどっと径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。しかし、上記したインクであれば、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETフィルムまでを含む、表面エネルギーが35〜60dyn/cmの広範囲の材料に有効な高精細な画像を形成できる。
【0058】そして、記録媒体2としては、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリント作成効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)とものを使用することが好ましい。
【0059】搬送手段は、画像形成時において、キャリッジ4の動作にタイミングを合わせて、記録媒体2を画像形成領域C上で搬送し、画像形成の終了に応じて、記録媒体2は画像形成領域Cから下方(矢印B)に向かって搬送される。
【0060】記録ヘッド3は、インクジェットプリンタ1で使用されるインクの種類(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)に応じて、複数個設けられている。この記録ヘッド3は、インク吐出の駆動力としてインクに対しての適用範囲が広く、高速射出が可能な圧電体の圧電作用を利用した方式を適用している。それは具体的には、例えば特公平4−48622号に記載されるように、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、さらに絶縁体で覆われているインク流路とする記録ヘッド方式である。
【0061】そして、記録ヘッド3は、インクを1ドット当たり2pl〜20plの範囲で吐出する。なお、記録ヘッド3により記録媒体2上に形成されるドット径は、50μm〜200μmである。好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。50μm未満では形成される画像の濃度が低くなってしまい、また、200μmよりも大きければ高精細画像形成が難しい。
【0062】さらに、記録ヘッド3は、光照射後の総インク膜厚が、2μm〜20μmとなるようにインクを記録ヘッド3に吐出することが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを超えているのが現状であるが、記録媒体が薄い樹脂材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録媒体のシワや弛み、カールの問題だけでなく、記録媒体の全体のこし、質感が変わってしまうという問題があるため使えない。
【0063】そして、上記方式を適用した記録ヘッド3は、図2に示すように、インクを記録媒体2に向けて吐出する吐出口(図示省略)と、吐出口を複数配列した吐出面31と、吐出口の目詰まりを検知する吐出口センサー(吐出口検知手段:図示省略)とを備えるとともに、図示しないインクタンクおよびインク供給管からなるインク供給系に接続されている。この記録ヘッド3およびインク供給系には、流路内のインクを加熱する加熱手段と、流路内のインク温度を検知する温度センサーが設けられている。
【0064】吐出口センサーは、吐出口の目詰まりを検知するものであれば如何なるものでもよいが、例えば本実施の形態の吐出口センサーは、発光部と受光部とを備え、この発光部と受光部とが吐出口を挟んで対峙するように配置されている。そして、吐出口センサーは、発光部から受光部に向けて発光される光が、吐出口から吐出されたインク滴により遮断されることで、インク滴の通過を検知する。つまり、インクを吐出するはずの吐出口から、インク滴の通過が検知されないときは、その吐出口が目詰まりを生じていることが認識される。
【0065】加熱手段は、温度センサーの検知結果を基に制御部によって、流路内のインクの温度が30℃〜150℃の範囲内に収まるように、加熱温度が制御されている。
【0066】キャリッジ4は、図1に示すように、ガイドレール6の案内により水平方向(矢印A)に沿って往復移動を繰り返し、記録ヘッド3を、画像形成領域Cにある記録媒体2の画像形成面上を走査させる。このキャリッジ4には、記録ヘッド3から吐出されたインクを硬化させるために、記録媒体に紫外線を照射するUV光源(光照射手段)41が設けられている。
【0067】UV光源41は、紫外線を照射するものであれば如何なるものでもよいが、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、紫外線レーザー・LEDなどを用いることができる。
【0068】基本的な照射方法は、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、記録ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式で記録ヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO9954415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源を記録ヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の記録方法においては、これらの照射方法を用いることが可能である。具体的には、帯状のメタルハライドランプ管、紫外線ランプ管が好ましい。線源は、実質的にインクジェットプリンタに固定化し、稼働部をなくすことで、安価な構成とすることが可能である。
【0069】照射は、各色の画像形成毎に行われることが好ましく、つまり、いずれの露光方式でも線源は2種用意し、第2の線源によって、硬化を完了させることが好ましい形態の1つである。これは、2色目の着弾インクの濡れ性、インク間の接着性を得ることと、線源を安価に組むことに寄与する。なおかつ、照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録媒体の収縮を抑えることが可能となる。なお第1の線源と、第2の線源とは露光波長または露光照度を変えることが好ましい。第1の線源の照射エネルギーを第2の線源の照射エネルギーより小さく、すなわち第1の線源の照射エネルギーを照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1〜5%とする。照度を変えた照射を行うことで、硬化後の分子量分布が好ましいものとなる。つまり一度に高照度の照射を行ってしまうと、重合率は高められるものの、重合したポリマーの分子量は小さく、強度が得られない。
【0070】また、第1の線源の照射は、第2の線源の照射よりも長波長とすることで、第1の照射では、インクの表層を硬化させてインクの滲みを抑えられ、第2の照射では、照射線が届きにくい記録媒体近傍のインクを硬化させ、密着性を改善することができる。インク内部の硬化促進のためにも、第2の照射線波長は長波長であることが好ましい。
【0071】なお、本実施の形態では、硬化性、線源のコスト等を考慮して、光硬化性インクとして、紫外線が照射されることにより硬化するUVインクを適用した場合を例示しているが、紫外線以外の光線が照射されることにより硬化する光硬化性インクを適用してもよい。この場合、光照射手段は、UV光源でなく光硬化性インクを硬化させる光線(例えば、電子線、X線、可視光、赤外光など)を照射する様々な線源を用いることが可能である。なお、光硬化性インクは、実質的に水および有機溶媒を含有しないことが望ましい。実質的に含有しないとは、水および有機溶媒の含有量が1重量%未満である。
【0072】ここで、照射線の照射タイミングは、着弾から照射までの時間を0.001〜2.0秒、好ましくは0.001〜1.0秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒後である。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、上記したインクを用いることで大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加および臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、一色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
【0073】また、複数色の記録ヘッドからなるユニットでは、各色間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材で記録ヘッド間を構成するか、部材を配置させない構成である。このように簡単な構成とすることで、各色毎に、着弾直後、速やかに照射することが可能である、特に二次色の滲み防止、双方向描画における、行きと帰りのドット滲み差を防止(行きと帰りの色が異なるのを防ぐ)できるため、好ましい。
【0074】そして、光源の総消費電力が1kw未満であることが好ましい。従来のUVインクジェット方式では、インク着弾顔のドットの広がり、滲みを抑制するために、光源の総消費電力が1kwを超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどでは、記録媒体の収縮があまりにも大きく、実質上使用できないのが現状であった。本発明では280nm〜320nmに最高照度をもつ活性光線を用いることで総消費電力が1kw未満の光源を用いても、高精細な画像を形成でき、かつ、記録媒体の収縮も防止できる。総消費電力が1kw未満の光源の例としては、蛍光管、冷陰極管、LEDなどがあるが、これらに限定されない。
【0075】メンテナンスユニット5は、記録ヘッド3の吐出口を覆った状態で吐出面31と密閉し、吐出口からインクを吸引するためのキャップ部材51と、キャップ部材51によるインクの吸引が行われた後に、記録ヘッド3の吐出面31を清掃する清掃部52と、記録ヘッド3の吐出口から空吐出されたインクを受けるインク受け部53とを、上面(記録ヘッド3の吐出面31に対向する面)に、一体的に備えている。そして、このメンテナンスユニット5には、記録ヘッド3のメンテナンスに応じてメンテナンスユニット5を移動させる移動手段(図示省略)が設けられている。
【0076】キャップ部材51は、インクの影響による劣化を抑制するために、フッ素樹脂やフッ素樹脂がコーティングされた樹脂で形成されている。そして、キャップ部材51は、複数(本実施の形態では2個)並んで設けられており、メンテナンス時において、一度に複数個の記録ヘッド3の吸引を行うことを可能としている。このキャップ部材51の下方には、キャップ部材51が記録ヘッド3の吐出面31を覆った際に、キャップ部材51と吐出面31により形成された空間内部を吸引する吸引ポンプ54、大気連通弁(図示省略)が回収管54aを介して連結されている。つまり、吸引ポンプ54は、キャップ部材51により覆われた状態の吐出口から、キャップ部材51を介してインクを吸引する。そして、吸引ポンプ54によって吐出口から吸引されたインクは、回収管54aを通って回収タンク55に回収される。
【0077】なお、本実施の形態では、記録ヘッド3の吐出口からインクを吸引する手段として吸引ポンプ54を例示したが、吐出口からのインクを吸引できるものであれば如何なるものでもよく、例えば、ピストンやシリンダ等が挙げられる。
【0078】清掃部52は、図3に示すように、記録ヘッド3の吐出面31を清掃するブレード(清掃部材)52aと、ブレード52aに付着したインクを吸収する吸収体52bとを備えている。
【0079】ブレード52aは、弾性を有し、記録ヘッド3の吐出面31を弾性変形しながら摺擦して清掃する清掃部材である。このブレード52aは、フッ素樹脂がコーティングされた樹脂により板状に形成されている。そしてブレード52aは、吐出面31を摺擦するために立設している。
【0080】ここで、フッ素樹脂がコーティングされる樹脂は、コーティング後の硬度が20〜100(JIS−A)の範囲内に収まるように、予め架橋されている。この樹脂は、各種ゴム材料や熱可塑性エラストマ−なども含み、例えば、各種ゴム材料、樹脂材料、熱可塑性エラストマー等を、単独もしくは併用したものを用いても良い。この場合において、各種ゴム材料とは限定されるものではなく、例えば、固体のゴム材料の他に、液状の粘弾性体を硬化させて得られる液状反応硬化物等を用いても良い。また、固体のゴム材料とは、例えば、エチレンプロピレン三元共重合体(EPDM)、ブチルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、ウレタンゴム等を、単独もしくは併用して用いたポリマーに対して、従来からゴム工業一般で用いられている、加硫剤や架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、溶剤等の配合薬品を配合し、加硫(または架橋)したものが含まれる。
【0081】ここで、加硫とは、硫黄加硫に限定されるものではなく、例えば、ゴム工業一般に用いられている有機過酸化物、金属酸化物、有機多価アミンなどの各種架橋剤による架橋も含まれる。また、液体のゴム材料とは、例えば、ウレタン、液状ポリブタジエン、変性シリコン、シリコン、ポリサルファイド等が含まれる。なお、これらの材料は、固体化させるための硬化剤を所定量添加して混合し、反応硬化させて用いることが好ましい。
【0082】吸収体52bは、インクを吸収するものであれば如何なるものでもよいが、本実施の形態では、スポンジを用いている。吸収体52bは、直方体状に形成されて、上部に開口部52cが設けられており、この開口部52cにブレード52aが差し込まれ固定されることで、吸収体52bとブレード52aとが接触し、ブレード52aに付着したインクを吸収できる。そしてこの吸収体52bは、メンテナンスユニット5に固定されている。
【0083】インク受け部53は、メンテナンスユニット5におけるキャップ部材51とブレード52aとの間に配置されている。このインク受け部53には、溜まったインクを回収タンク55まで流す回収管53aが設けられている。
【0084】ここで、メンテナンス後に排出されたインクが、UV光源41により照射された紫外線の影響で、回収管53a、54a、回収タンク55内で硬化しないように、これら各部は遮光カバー56、57、58、59により覆われている。また、回収管53a、54aは、インクの影響による劣化を抑制するために、フッ素樹脂もしくは、フッ素樹脂コーティングされた樹脂などで形成されている。
【0085】ホームポジション7は、図1に示すように、キャリッジ4が往復移動する経路の一端側に備えられている。このホームポジション7には、記録ヘッド3の吐出面31を保湿する保湿キャップ71が、記録ヘッド3と同数設けられており、キャリッジ4の待機中においては、記録ヘッド3の吐出面31を覆って密閉している。
【0086】制御部は、インターフェイス、ROM(Read Only Memory)、RAM(RandomAccess Memory)、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。
【0087】インターフェイスには、記録ヘッド3、キャリッジ4、吸引ポンプ54、UV光源41、加熱手段、温度センサー、吐出口センサー、搬送手段、移動手段などが電気的に接続されている。
【0088】ROMには、インクジェットプリンタの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0089】RAMは、電力が供給されている間だけ入力されたデータを複数記憶可能であり、画像形成される画像データ等の各種データを記憶する記憶領域とCPUによる作業領域などが備えられている。
【0090】CPUは、ROMに格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムを、RAM内の作業領域に展開し、各センサーからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0091】この制御部は、インクジェットプリンタ1の動作全体を制御するものであるが、ここでは記録ヘッド3のメンテナンス時に行われる制御について、図2を参照にして説明する。
【0092】制御部は、記録ヘッド3が記録媒体2に所定量画像形成を行った後や、吐出口センサーが吐出口の目詰まりを検知した後、あるいはインクジェットプリンタ1の電源投入時等を、開始タイミングとして、記録ヘッド3のメンテナンスを開始する。
【0093】メンテナンスの開始タイミングとなると、制御部は、図2に示すように、キャリッジ4を制御して、記録ヘッド3の吐出面31とキャップ部材51とを対向させる。その後、制御部は移動手段を制御して、キャップ部材51と記録ヘッド3の吐出面31とが密閉するまで、メンテナンスユニット5を上方(矢印D)へと移動させる。キャップ部材51が記録ヘッド3の吐出口を覆って、吐出面31と密閉すると、制御部は、吸引ポンプ54を制御して、キャップ部材51を介して、吐出口からインクを吸引する。
【0094】吸引が終了すると、制御部は、移動手段を制御して、記録ヘッド3の吐出面31がブレード52aの先端よりも下となるように、メンテナンスユニット5を下方(矢印E)へと移動させて、キャップ部材51を吐出面31から離間させる。キャップ部材51の離間が完了すると、制御部は、キャリッジ4を制御して、記録ヘッド3をその場に停止させるとともに、移動手段を制御して、メンテナンスユニット5を右方向(矢印F)に移動させる。この移動時においては、ブレード52aは、吐出面31を摺擦して、インクを拭き取り清掃しながら、記録ヘッド3を通過する。この際、ブレード52aは、弾性変形して、吐出面31をまんべんなく清掃する。これにより、吐出面31に残留していたインクIは、ブレード52aの摺擦面に拭き取られ付着する。ここで、ブレード52aは、フッ素樹脂でコーティングされて、表面の非濡性が高められているので、ブレード52aに付着したインクは、吸収体52bへと向かって流下し、吸収体52bにより吸収される。
【0095】吐出面31の清掃されると、制御部は、移動手段を制御して、記録ヘッド3の吐出面31がブレードの先端よりも上となるように、メンテナンスユニット5を下方(矢印E)へと移動させる。その後、制御部は、移動手段を制御して、メンテナンスユニット5を左方向(矢印G)へと移動させて、記録ヘッド3の吐出面31とインク受け部53とを対向させる。
【0096】記録ヘッド3の吐出面31とインク受け部53とが対向すると、制御部は、記録ヘッド3を制御して、吐出口からインク受け部53に向けて空吐出させ、吐出口の吐出状態を復帰させる。記録ヘッド3のメンテナンスが終了すると、制御部は、移動手段を制御してメンテナンスユニット5を所定の位置に戻す。
【0097】以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタ1によれば、ブレード52aには、フッ素樹脂がコーティングされているので、樹脂に影響を与えるインクを用いたとしても、ブレード52aに付着した前記インクの影響により、ブレード52aが劣化することを防止でき、ワイプ性能を長期にわたって維持することができる。
【0098】なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態では、ブレード52aを樹脂により形成して、その表面にフッ素樹脂をコーティングした構成を例示しているが、これ以外にも、フッ素樹脂によりブレードを形成してもよい。この場合、ブレードが弾性変形するように、フッ素樹脂を加硫しておくことが好ましく、さらには、JIS−Aに規格される硬度20〜100の範囲内に収まるように、フッ素樹脂を加硫しておくことが好ましい。
【0099】また、本実施の形態では、清掃部材として、弾性変形するブレード52aを例示しているが、清掃部材は、記録ヘッド3の吐出面31に付着したインクに接触して除去するものであれば如何なるものでもよく、例えば、スクレーパー形式の清掃部材や、ブラシにより吐出面を清掃する清掃部材が挙げられる。ブラシにより吐出面を清掃する清掃部材の場合、インクに接触するブラシの線材を、フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素系熱可塑性エラストマー、フッ素コーティングされたゴムまたはゴム状部材の少なくともいずれかにより形成する。
【0100】また、本実施の形態では、吸収体52bがブレード52aの両面と接触する構成であるので、ブレード52aによる摺擦を双方向で行うことも可能であるが、本実施の形態のように一方向での摺擦のみを行う構成であれば、吸収体はブレードの摺擦面とだけ接触する構成であってもよい。
【0101】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、樹脂に影響を与える高粘度インクを用いたとしても、吐出面の清掃時に清掃部材に付着した高粘度インクの影響により、清掃部材が劣化することを防止でき、ワイプ性能を長期にわたって維持することができる。
【0102】請求項2記載の発明によれば、清掃部材が、硬度(JIS−A)が20〜100の範囲のゴムまたはゴム状部材によりほぼ板状に形成されるブレードであるので、弾性変形により吐出面をまんべんなく摺擦することができる。また、ブレードの硬度が20未満であると、ブレード自体の形成が困難であり、硬度が100を超えると、摺擦時に好適な弾性変形しにくく、吐出面の清掃がまんべんなく行えないおそれがある。このため、ブレードの硬度は、上記したように20〜100の範囲内に収まるように設定される。請求項3記載の発明によれば、最適な画像形成を行うことができる。請求項4記載の発明によれば、高粘度インクとして光硬化性インクを適用したインクジェットプリンタにおいても、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番1号
【出願日】 平成14年5月30日(2002.5.30)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
【公開番号】 特開2003−341081(P2003−341081A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−157635(P2002−157635)