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【発明の名称】 電歪アクチュエータの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法
【発明者】 【氏名】張 俊華
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】製造効率を高めることができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。

【解決手段】複数のヘッド本体を取付ベースに取り付ける取付工程において、1つの記録ヘッドに取り付ける複数のヘッド本体を、セラミックスシート18における収縮率が等しいチップ領域19の電歪アクチュエータ3…から作製されたヘッド本体にする。収縮率が行方向に揃ったセラミックスシート18では、チップ領域A1〜A4のアクチュエータユニット3…をセットにする。同様に、チップ領域B1〜B4、チップ領域C1〜C4、或いは、チップ領域D1〜D4のアクチュエータユニット3…をセットにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 振動板となる振動板基材を少なくとも含んだシート状部材を、セラミックス材の焼成によって作製するシート作製工程と、シート作製工程で作製されたシート状部材に複数のチップ領域をマトリクス配置すると共に、圧電材料及び電極材料の焼成によって複数の圧電素子を各チップ領域に設けてアクチュエータ母部材を作製する母部材作製工程と、母部材作製工程で作製されたアクチュエータ母部材をチップ領域毎に切断する切断工程とを経て製造される電歪アクチュエータの製造方法において、前記切断工程で切断された複数の電歪アクチュエータの中から、前記アクチュエータ母部材における収縮率が等しいチップ領域の電歪アクチュエータをセットにするバンドル工程を行うことを特徴とする電歪アクチュエータの製造方法。
【請求項2】 前記バンドル工程は、マトリクス配置における同列に属する電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1に記載の電歪アクチュエータの製造方法。
【請求項3】 前記バンドル工程は、マトリクス配置における同行に属する電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1に記載の電歪アクチュエータの製造方法。
【請求項4】 前記バンドル工程は、アクチュエータ母部材の中心を基準に点対称の位置関係となる電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1に記載の電歪アクチュエータの製造方法。
【請求項5】 前記バンドル工程は、同一のアクチュエータ母部材から作製された電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の電歪アクチュエータの製造方法。
【請求項6】 振動板となる振動板基材を少なくとも含んだシート状部材を、セラミックス材の焼成によって作製するシート作製工程と、シート作製工程で作製されたシート状部材に複数のチップ領域をマトリクス配置すると共に、圧電材料及び電極材料の焼成によって複数の圧電素子を各チップ領域に設けてアクチュエータ母部材を作製する母部材作製工程と、母部材作製工程で作製されたアクチュエータ母部材をチップ領域毎に切断する切断工程と、複数の電歪アクチュエータを用いて液体噴射ヘッドに組み立てる組立工程とを経て製造される液体噴射ヘッドの製造方法において、前記組立工程は、1つの液体噴射ヘッドを組み立てるにあたり、アクチュエータ母部材における収縮率が等しいチップ領域の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項7】 前記組立工程は、マトリクス配置における同列に属する複数の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項8】 前記組立工程は、マトリクス配置における同行に属する複数の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項9】 前記組立工程は、アクチュエータ母部材の中心を基準に点対称の位置関係となる複数の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項10】 前記各電歪アクチュエータに、アクチュエータ母部材におけるチップ領域の位置を示す識別情報を設けたことを特徴とする請求項6から請求項9の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項11】 前記切断工程で切断された複数の電歪アクチュエータの中から1つの液体噴射ヘッドに用いられる複数の電歪アクチュエータをセットにするバンドル工程を、前記切断工程と組立工程との間に行うことを特徴とする請求項6から請求項10の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項12】 前記バンドル工程は、同一のアクチュエータ母部材から作製された複数の電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項11に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動源としての圧電素子を有する電歪アクチュエータの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子は、電気エネルギーの供給によって変形するものであり、例えば、液体噴射ヘッド、マイクロポンプ、発音体(スピーカ等)用の駆動源として広く用いられている。ここで、液体噴射ヘッドは、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴を吐出させるものであり、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレーの製造に用いられる液晶噴射ヘッド、カラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド等がある。また、マイクロポンプは、極く微量の液体を扱うことができる超小型のポンプであり、例えば、極く少量の薬液を送出する際に用いられる。
【0003】このような液体噴射ヘッドやマイクロポンプに用いられる重要な部品の一つに、振動板の表面に圧電素子を設けた電歪アクチュエータがある。この電歪アクチュエータは振動板と圧電素子とを最小構成単位とする部材であり、上記の液体噴射ヘッドやマイクロポンプにおいては、圧力室の一部を振動板で区画する。そして、液滴を吐出したり、液体を送出したりする際には、圧電素子に駆動パルスを供給してこの圧電素子及び振動板(即ち、圧力室の変形部分)を変形させ、圧力室の容積を変化させる。
【0004】これらの液体噴射ヘッドやマイクロポンプにおいては、圧電素子の高周波駆動に対する強い要請がある。これは、液滴の高周波吐出を実現したり、送液能力を高めたりするためである。そして、圧電素子の高周波駆動を実現するためには、上記変形部分のコンプライアンスを従来よりも小さくし、且つ、圧電素子の変形量を従来よりも大きくする必要がある。これは、変形部分のコンプライアンスを小さくすると応答性が向上するため、従来よりも高い周波数での駆動が可能となること、及び、圧電素子の変形量を大きくすると圧力室の容積変化量が大きくなるため、吐出される液滴の量や送出される液体の量を増やすことができることによる。
【0005】そして、変形部分のコンプライアンスと圧電素子の変形量の相反する特性を充足するものとして、多層構造の圧電素子が提案されている。例えば、特開平2−289352号公報には、圧電体層を上層圧電体と下層圧電体の2層構造とし、上層圧電体と下層圧電体の境界に駆動電極(個別電極)を形成すると共に、上層圧電体の外表面と下層圧電体の外表面とにそれぞれ共通電極を形成した構造の圧電素子が開示されている。同様に、特開平10−34924号公報にも多層構造の圧電素子が開示されている。
【0006】上記多層構造の圧電素子では、上層圧電体と下層圧電体の境界に駆動電極が設けられているので、各層の圧電体には、駆動電極から各共通電極までの間隔(即ち、各層圧電体の厚さ)と、駆動電極と各共通電極の電位差とによって定まる強さの電場が付与される。このため、共通電極と駆動電極とで単層の圧電体を挟んだ単層構造の圧電素子と比べた場合、圧電素子全体の厚さを多少厚くして変形部分のコンプライアンスを小さくしても、従来と同じ駆動電圧で大きく変形させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記多層構造の圧電素子は現実に市販されるまでに至っていない。このため、実際の製品としては、上記単層構造の圧電素子を用いることを余儀なくされている。これには種々の要因が考えられるが、多層構造の圧電素子を有する電歪アクチュエータは、製造時におけるペーストの塗布及び焼成の繰り返し回数が多いため、その分だけ焼成時の収縮ばらつきの影響を受け易く、その特性が従来のものよりも大きくばらつくことも一因と考えられる。
【0008】即ち、上記の液体噴射ヘッドやマイクロポンプ、発音体には、上記の電歪アクチュエータを複数備えたものがあり、各電歪アクチュエータの特性が大きくばらついてしまうと、駆動信号の波形形状による特性の補正が困難になる。このため、特性の揃った電歪アクチュエータを選定して取り付けることになるが、使用する電歪アクチュエータの選定に時間を要すると製造効率が低下してしまうという問題が生じる。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特性の揃った電歪アクチュエータを容易に選定可能にして、製造効率を高めることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、振動板となる振動板基材を少なくとも含んだシート状部材を、セラミックス材の焼成によって作製するシート作製工程と、シート作製工程で作製されたシート状部材に複数のチップ領域をマトリクス配置すると共に、圧電材料及び電極材料の焼成によって複数の圧電素子を各チップ領域に設けてアクチュエータ母部材を作製する母部材作製工程と、母部材作製工程で作製されたアクチュエータ母部材をチップ領域毎に切断する切断工程とを経て製造される電歪アクチュエータの製造方法において、前記切断工程で切断された複数の電歪アクチュエータの中から、前記アクチュエータ母部材における収縮率が等しいチップ領域の電歪アクチュエータをセットにするバンドル工程を行うことを特徴とする電歪アクチュエータの製造方法である。
【0011】なお、「振動板基材」とは、振動板となるセラミックスシート、即ち、切断加工される前の振動板である。また、「チップ領域」とは、電歪アクチュエータの一単位に対応する領域、つまり、1つの電歪アクチュエータとなる領域を意味する。例えば、アクチュエータ母部材から電歪アクチュエータを切り出す際の切断予定線によって区画(囲繞)される領域が該当する。さらに、「アクチュエータ母部材」とは、電歪アクチュエータに切断加工される前の部材を意味する。
【0012】請求項2に記載のものは、前記バンドル工程は、マトリクス配置における同列に属する電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1に記載の電歪アクチュエータの製造方法である。
【0013】請求項3に記載のものは、前記バンドル工程は、マトリクス配置における同行に属する電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1に記載の電歪アクチュエータの製造方法である。
【0014】請求項4に記載のものは、前記バンドル工程は、アクチュエータ母部材の中心を基準に点対称の位置関係となる電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1に記載の電歪アクチュエータの製造方法である。
【0015】請求項5に記載のものは、前記バンドル工程は、同一のアクチュエータ母部材から作製された電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の電歪アクチュエータの製造方法である。
【0016】請求項6に記載のものは、振動板となる振動板基材を少なくとも含んだシート状部材を、セラミックス材の焼成によって作製するシート作製工程と、シート作製工程で作製されたシート状部材に複数のチップ領域をマトリクス配置すると共に、圧電材料及び電極材料の焼成によって複数の圧電素子を各チップ領域に設けてアクチュエータ母部材を作製する母部材作製工程と、母部材作製工程で作製されたアクチュエータ母部材をチップ領域毎に切断する切断工程と、複数の電歪アクチュエータを用いて液体噴射ヘッドに組み立てる組立工程とを経て製造される液体噴射ヘッドの製造方法において、前記組立工程は、1つの液体噴射ヘッドを組み立てるにあたり、アクチュエータ母部材における収縮率が等しいチップ領域の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0017】請求項7に記載のものは、前記組立工程は、マトリクス配置における同列に属する複数の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0018】請求項8に記載のものは、前記組立工程は、マトリクス配置における同行に属する複数の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0019】請求項9に記載のものは、前記組立工程は、アクチュエータ母部材の中心を基準に点対称の位置関係となる複数の電歪アクチュエータを用いることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0020】請求項10に記載のものは、前記各電歪アクチュエータに、アクチュエータ母部材におけるチップ領域の位置を示す識別情報を設けたことを特徴とする請求項6から請求項9の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0021】請求項11に記載のものは、前記切断工程で切断された複数の電歪アクチュエータの中から1つの液体噴射ヘッドに用いられる複数の電歪アクチュエータをセットにするバンドル工程を、前記切断工程と組立工程との間に行うことを特徴とする請求項6から請求項10の何れかに記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0022】請求項12に記載のものは、前記バンドル工程は、同一のアクチュエータ母部材から作製された複数の電歪アクチュエータをセットにすることを特徴とする請求項11に記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、プリンタやプロッタ等の画像記録装置に搭載される記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一種)を例に挙げて説明する。この記録ヘッドは、例えば、図9に示すように、複数個のヘッド本体1…を備え、これらのヘッド本体1…を取付ベース61に取り付けて構成されている。
【0024】まず、図1及び図2に基づき、ヘッド本体1の基本構造について説明する。このヘッド本体1は、流路ユニット2とアクチュエータユニット3とから概略構成されている。
【0025】流路ユニット2は、インク供給口(オリフィス)4及びノズル連通口5の一部となる通孔を開設した供給口形成基板6と、共通インク室7となる通孔及びノズル連通口5の一部となる通孔を開設したインク室形成基板8と、ノズル開口9…を副走査方向(記録ヘッドが移動される主走査方向とは直交する方向)に沿って開設したノズルプレート10から構成されている。これらの供給口形成基板6、インク室形成基板8、及び、ノズルプレート10は、例えば、ステンレス製の板材をプレス加工することで作製されている。そして、流路ユニット2は、インク室形成基板8の一方の表面(図中下側)にノズルプレート10を、他方の表面(同上側)に供給口形成基板6をそれぞれ配置し、これらの供給口形成基板6、インク室形成基板8、及び、ノズルプレート10を接合することで作製される。例えば、シート状の接着剤によって各部材6,8,10を接着することで作製される。
【0026】上記のノズル開口9は、図2に示すように、所定ピッチで複数個列状に開設される。そして、列設された複数のノズル開口9…によってノズル列11が構成される。例えば、92個のノズル開口9…で1つのノズル列11が構成され、このノズル列11が横並びに2列形成される。
【0027】アクチュエータユニット3は、ヘッドチップとも呼ばれる部材である。このアクチュエータユニット3は、圧力室12となる通孔を開設した圧力室形成基板13と、圧力室12の一部を区画する振動板14と、供給側連通口15となる通孔及びノズル連通口5の一部となる通孔を開設した蓋部材16と、駆動源としての圧電素子17とによって構成される。これら各部材13,14,16の板厚に関し、圧力室形成基板13、及び、蓋部材16は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上である。また、振動板14は、好ましくは50μm以下、より好ましくは3〜12μm程度である。
【0028】このアクチュエータユニット3において、振動板14と圧電素子17が本発明の電歪アクチュエータを構成する最小単位となる。そして、この電歪アクチュエータに関し、振動板14及び圧電素子17が含まれていれば、圧力室形成基板13を加えた態様でもよく、圧力室形成基板13と蓋部材16とを加えた態様でもよい。なお、振動板14及び圧電素子17に対して圧力室形成基板13と蓋部材16とを加えた態様については、電歪アクチュエータユニットと表現することもできる。
【0029】このアクチュエータユニット3は、圧力室12…や圧電素子17…等を複数ユニット分形成したセラミックスシート18(本発明のアクチュエータ母部材の一種,図7参照)を作製し、このセラミックスシート18をチップ領域19毎に切断することで作製される。そして、セラミックスシート18は、圧力室形成基板13の一方の表面に蓋部材16を、他方の表面に振動板14をそれぞれ配置して各部材を接合してシート状部材を作製し、このシート状部材における振動板14の表面に圧電素子17を形成することで作製される。これらの中で圧力室形成基板13、振動板14、及び、蓋部材16は、アルミナや酸化ジルコニウム等のセラミックスで作製されており、焼成によって接合される。なお、このアクチュエータユニット3の製造方法については、後で詳しく説明する。
【0030】上記の圧力室12は、ノズル列11とは直交する方向に細長い空部であり、ノズル開口9に対応する複数形成されている。即ち、図2に示すように、ノズル列方向に列設されている。そして、各圧力室12…の一端は、ノズル連通口5を通じて対応するノズル開口9に連通する。また、ノズル連通口5とは反対側の圧力室12の他端は、供給側連通口15及びインク供給口4を通じて共通インク室7に連通している。さらに、この圧力室12の一部は、振動板14によって区画されている。
【0031】上記の圧電素子17は、所謂撓み振動モードの圧電素子であり、圧力室12とは反対側の振動板表面に圧力室12毎に形成されている。この圧電素子17の幅は圧力室12の幅と略等しく、長さは圧力室12の長さよりも多少長い。即ち、圧電素子17は、圧力室12の長手方向を覆うように形成されている。この圧電素子17は、例えば、図3に示すように、圧電体層31と共通電極32と駆動電極33等によって構成される多層構造であり、駆動電極33と共通電極32とによって圧電体層31を挟んでいる。なお、この圧電素子17の詳細な構造については、後で詳しく説明する。
【0032】上記の駆動電極33には駆動信号の供給源(図示せず)が導通され、共通電極32は例えば接地電位に調整される。駆動電極33に駆動信号が供給されると、駆動電極33と共通電極32との間には電位差に応じた強さの電場が発生される。この電場は圧電体層31に付与されるので、圧電体層31は付与された電場の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極33の電位を高くする程、圧電体層31は電場と直交する方向に収縮し、圧力室12の容積を少なくするように振動板14を変形させる。一方、駆動電極33の電位を低くする程、圧電体層31は電界と直交する方向に伸長し、圧力室12の容積を増やすように振動板14を変形させる。
【0033】そして、このアクチュエータユニット3と上記の流路ユニット2とは、互いに接合される。例えば、供給口形成基板6と蓋部材16との間にシート状接着剤を介在させ、この状態でアクチュエータユニット3を流路ユニット2側に加圧することで接着される。
【0034】このように構成されたヘッド本体1には、共通インク室7からインク供給口4、供給側連通口15、圧力室12、及び、ノズル連通口5を通じてノズル開口9に至る一連のインク流路がノズル開口9毎に形成されている。使用時においてこのインク流路内はインク(液体の一種)で満たされている。そして、圧電素子17を変形させることで対応する圧力室12が収縮或いは膨張し、圧力室12内のインクに圧力変動が生じる。このインク圧力を制御することで、ノズル開口9からインク滴を吐出させることができる。例えば、定常容積の圧力室12を一旦膨張させた後に急激に収縮させると、圧力室12の膨張に伴ってインクが充填され、その後の急激な収縮によって圧力室12内のインクが加圧されてインク滴が吐出される。
【0035】ここで、高速記録のためには、より多くのインク滴を短時間で吐出させる必要がある。この要求に応えるためには、圧力室12を区画している部分の振動板14及び圧電素子17(即ち、圧力室12における変形部分)のコンプライアンスと、圧電素子17の変形量とを考慮する必要がある。即ち、上記変形部分のコンプライアンスが大きくなる程、変形に対する応答性が悪くなり、高い周波数での駆動が困難になるからである。また、変形部分のコンプライアンスが小さくなる程にこの変形部分が変形し難くなり、圧力室12の収縮量が少なくなって1滴のインク量が減ってしまうからである。
【0036】このような観点から、既に実用化されている撓み振動モードの圧電素子を用いた記録ヘッドでは、圧電素子は単層の圧電体を共通電極と駆動電極とで挟んだ単層構造のものが用いられており、最大応答周波数は25kHz程度、最大インク滴量は13pL(ピコリットル)程度であった。
【0037】そして、本実施形態では、多層構造の圧電素子17を用いて振動板14のコンプライアンスを小さくし、さらに、この圧電素子17の構造を改良することにより、必要量のインク滴を従来よりも高い周波数で吐出可能にした。以下、この点について説明する。
【0038】まず、圧電素子17の構造について詳細に説明する。図3に示すように、圧電体層31は、互いに積層された上層圧電体(外側圧電体)34及び下層圧電体(内側圧電体)35から構成される。また、共通電極32は、共通上電極(共通外電極)36及び共通下電極(共通内電極)37から構成される。そして、この共通電極32と駆動電極(個別電極)33とが電極層を構成する。
【0039】なお、ここでいう「上(外)」或いは「下(内)」とは、振動板14を基準とした位置関係を示している。換言すれば、圧電素子17における振動板14との接合面(圧電素子17の変形を出力するための作用面とも表現できる。)を基準とした位置関係を示している。そして、「上(外)」とあるのは振動板14から遠い側を示し、「下(内)」とあるのは振動板14に近い側を示している。
【0040】上記の駆動電極33は、上層圧電体34と下層圧電体35の境界に形成され、共通下電極37は下層圧電体35と振動板14との間に形成される。また、共通上電極36は下層圧電体35とは反対側の上層圧電体34の表面に形成される。即ち、この圧電素子17は、振動板側から、共通下電極37、下層圧電体35、駆動電極33、上層圧電体34、共通上電極36の順で積層された多層構造である。そして、圧電体層31の厚さは上層圧電体34と下層圧電体35の2層を合計して約17μmであり、共通電極32を含めた圧電素子17の全体の厚さは約20μmである。なお、従来の単層構造の圧電素子17にあっては、素子全体の厚さが約15μmである。従って、圧電素子17の厚さが増したことから、その分だけ振動板14のコンプライアンスが小さくなっている。
【0041】上記の共通上電極36と共通下電極37は、駆動信号に拘わらず一定の電位に調整される。本実施形態において、これらの共通上電極36と共通下電極37は互いに導通され、例えば接地電位に調整される。また、駆動電極33は、上記したように駆動信号の供給源に導通されているので、供給された駆動信号に応じて電位を変化させる。従って、駆動信号の供給によって、駆動電極33と共通上電極36との間、及び、駆動電極33と共通下電極37との間には、それぞれ向きが反対の電場が生じる。
【0042】そして、これらの各電極33,36,37を構成する材料としては、例えば、金属単体、合金、電気絶縁性セラミックスと金属との混合物等の各種導体が選択されるが、焼成温度において変質等の不具合が生じないことが要求される。本実施形態では、共通上電極36に金を用い、共通下電極37及び駆動電極33に白金を用いている。
【0043】上記の上層圧電体34と下層圧電体35は共に、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料によって作製されている。そして、上層圧電体34と下層圧電体35とは分極方向が反対である。このため、駆動信号印加時の伸縮方向が上層圧電体34と下層圧電体35とで揃い、支障なく変形することができる。即ち、上層圧電体34及び下層圧電体35は、駆動電極33の電位を高くする程に圧力室12の容積を少なくするように振動板14を変形させ、駆動電極33の電位を低くする程に圧力室12の容積を増やすように振動板14を変形させる。
【0044】この多層構造の圧電素子17を効率よく変形させるべく、本実施形態では、駆動信号の供給に伴う上層圧電体34の変形度合いを、下層圧電体35の変形度合いよりも大きくしている。即ち、同じ駆動信号が供給された場合に、上層圧電体34を下層圧電体35よりも大きく変形させるようにしている。このように、上層圧電体34が下層圧電体35よりも相対的に大きく撓むと、上層圧電体34の方が振動板14から離隔しているため、その変形量が増幅されて振動板14に作用し、振動板14の変形量を大きくすることができる。
【0045】そして、振動板14を大きく変形できることから、収縮時における圧力室12の容積をより小さくできる。従って、単に多層構造の圧電素子17を用いた場合よりも、圧力室12の膨張時と収縮時の容積差を広げることができ、インク滴の吐出量を増やすことができる。
【0046】次に、上記した記録ヘッドの製造方法について詳細に説明する。本実施形態では、切断前の圧力室形成基板13、振動板14、蓋部材16の積層体であるシート状部材を作製するシート作製工程と、このシート状部材の表面に、複数の圧電素子17…をチップ領域19毎(図7に太線で示す矩形状領域)に設けてセラミックスシート18(アクチュエータ母部材の一種)を作製する素子形成工程と、セラミックスシート18をチップ領域19毎に切断して複数のアクチュエータユニット3…を得る切断工程と、各層圧電体34,35を分極する分極工程と、作製された複数のアクチュエータユニット3…の中から同一の記録ヘッドに用いられる複数のアクチュエータユニット3…をセットにするバンドル工程と、バンドル工程でセットにされた複数のアクチュエータユニット3…のそれぞれに流路ユニット2…を接合して複数のヘッド本体1…を作製する流路ユニット接合工程と、流路ユニット接合工程で作製された複数のヘッド本体1…を取付ベース61に取り付ける取付工程とを順に経ることで、記録ヘッドが製造される。なお、これらの各工程の中で、素子形成工程は本発明の母部材作製工程の一種であり、流路ユニット接合工程及び取付工程は本発明における組立工程に相当する。
【0047】以下、各工程について説明する。
【0048】シート作製工程では、まず、セラミックス原料、バインダー及び液媒等によってセラミックスのスラリーを調整する。次に、ドクターブレード装置やリバースロールコーター装置等の一般的な装置を用いて、スラリーをグリーンシート(未焼成のシート材)に成形する。その後、このグリーンシートに対して切削や打ち抜き等の加工を施して必要な通孔等を形成し、圧力室形成基板13、振動板14、及び、蓋部材16の各シート状前駆体を形成する。そして、各シート状前駆体を積層及び焼成することにより、各シート状前駆体は一体化されて1枚のシート状部材となる。即ち、圧力室形成基板13となる基材、振動板14となる基材(振動板基材)、及び、蓋部材16となる基材からなるシート状部材となる。この場合、各シート状前駆体は一体焼成されるので、特別な接着処理が不要である。また、各シート状前駆体の接合面において高いシール性を得ることもできる。
【0049】そして、1枚のシート状部材には、複数ユニット分の圧力室12…やノズル連通口5…等が形成されている。換言すれば、1枚のシート状部材から複数のアクチュエータユニット(電歪アクチュエータ)3…を作製する。例えば、1つのアクチュエータユニット3となるチップ領域19を、1枚のシート状部材内にマトリクス状に複数設定する。そして、圧電素子17等の必要な部材は、各チップ領域19…内に形成される。
【0050】素子形成工程では、まず、図5(a)に示すように、振動板14の表面に共通下電極37を形成する(第1工程)。本実施形態では、この共通下電極37の形成を印刷法(厚膜印刷)によって行っている。従って、まずシート状部材における振動板14(詳しくは上記の振動板基材であるが、便宜上「振動板14」という。)上の所定位置にマスクを載置し、電極材料の一種である白金ペーストをこのマスクを介して振動板14の表面に塗布する。白金ペーストを塗布したならば、この白金ペーストを焼成する。即ち、白金ペーストが塗布されたシート状部材を焼成炉に入れて所定温度で所定時間に亘って焼成する。この焼成により、振動板14の表面には共通下電極37が形成される。
【0051】共通下電極37を形成したならば、次に、図5(b)に示すように、下層圧電体35を形成する(第2工程)。即ち、振動板14上の所定位置にマスクを載置した後、圧電材料(例えば、ジルコン酸チタン酸鉛)のペーストを振動板14の表面に塗布する。そして、塗布したペースト状の圧電材料を焼成する。
【0052】その後は、図5(c)〜(e)に示すように、同様な手順で、駆動電極33、上層圧電体34、共通上電極36を順に形成する(第3工程〜第5工程)。即ち、第3工程では下層圧電体35に積層させて駆動電極33を形成し、第4工程では駆動電極33を覆うように下層圧電体35に積層させて上層圧電体34を形成し、第5工程では上層圧電体34の表面に共通上電極36を形成する。
【0053】なお、この素子形成工程において、これらの各層、即ち、共通下電極37、下層圧電体35、駆動電極33、上層圧電体34、及び、共通上電極36は、図7に符号Rで示すように、その形成範囲がチップ領域19よりも内側に設定されている。
【0054】共通上電極36を形成したならば、切断工程に移行する。この切断工程では、各チップ領域19…の縁を通る切断線Y(図7参照)に沿ってセラミックスシート18を切断することで、複数のアクチュエータユニット3…を得る。この場合において、上記したように、各電極層33,36,37及び各層圧電体34,35等が形成される形成領域Rは、チップ領域19よりも内側に設定されている。このため、切断刃に電極材料が付着せずに良好な切れ味を長期間に亘って維持できる。また、各アクチュエータユニット3…を寸法精度良く切り出すこともできる。
【0055】複数のアクチュエータユニット3…をセラミックスシート18から切り出したならば検査工程に移行し、圧電素子17を構成する各層が正常に作製されたことを検査する。本実施形態では、圧電体層(アクト)の寸法(例えば、厚さや幅)に相関のある静電容量を、各層圧電体34,35毎に測定する。即ち、この検査工程では、まだ両共通電極36,37は導通されていないので、各層圧電体34,35毎に静電容量を測定することができる。
【0056】そして、全ての圧電素子17…に対する検査(例えば、静電容量の測定)が終わったならば、測定した静電容量に基づいて、そのアクチュエータユニット3が、良品、或いは、不良品であるのかを判断する。さらに、良品と判断されたアクチュエータユニット3については、測定された静電容量に基づいて分類する。例えば、アクチュエータユニット3毎の平均静電容量に基づくランク分けを行ったり、静電容量のばらつき範囲に基づくランク分けを行う。
【0057】アクチュエータユニット3を分類したならば、各層圧電体34,35を分極する分極工程を行う。この分極工程では、共通電極32と駆動電極33とを用いて分極電圧を供給し、上層圧電体34及び下層圧電体35を分極する。即ち、直流強電界を加え、内部の電気双極子を一定方向に揃える。例えば図6に示すように、共通上電極36及び共通下電極37を共に接地し、駆動電極33を電源に接続することで行う。この場合、分極処理は、使用予定の駆動電圧よりも十分に高い電圧で行われる。本実施形態では、駆動電圧が30V前後であるため、分極電圧は70V前後に設定される。そして、この分極電圧を所定時間に亘って印加したならば、分極工程を終了する。
【0058】各層圧電体34,35を分極したならば、図5(f)に示すように、良品のアクチュエータユニット3に対して導通処理を行い、半田等の導通部材47を設けることで共通上電極36と共通下電極37とを導通させる。
【0059】共通上電極36と共通下電極37を導通させたならばバンドル工程に移行し、同一の記録ヘッドに用いられる複数のアクチュエータユニット3…をセット(組)にする。即ち、特性の揃った複数のアクチュエータユニット3…を選択する。
【0060】この選択は、セラミックスシート18の位置に応じてアクチュエータユニット3の特性がばらつく傾向があることに基づいている。即ち、このセラミックスシート18は、シート状前駆体の焼成や圧電素子17を構成する各層の焼成によって作製されるが、この焼成時においてセラミックスシート18(即ち、上記したアクチュエータ母部材)の収縮度合いは一様でなく、その場所に応じて相違し、この収縮度合いの相違がアクチュエータユニット3の特性ばらつきとなっていると考えられる。
【0061】このような事情に鑑み、このバンドル工程では、同じ記録ヘッドに取り付ける複数のアクチュエータユニット3…を、同じセラミックスシート18において収縮率が等しいチップ領域19のアクチュエータユニット3…にする。
【0062】例えば、図8に示すように、1枚のセラミックスシート18に、4行4列(合計16領域)のチップ領域19…を設定した場合について説明する。この例において、説明の便宜上、行をA行からD行で、列を第1列から第4列でそれぞれ示す。このため、A行第1列はチップ領域A1といい、4行第4列はチップ領域D4ということにする。
【0063】このように、チップ領域19をマトリクス状に配置した場合、セラミックスシート18の収縮率は行方向或いは列方向に揃う傾向がある。これは、複数のセラミックスシート18…を纏めて焼成していることが影響していると思われる。例えば、方形状のセラミックスシート18を4枚マトリクス状に並べて焼成した場合、即ち、4枚のセラミックスシート18を2行2列に配置して焼成した場合には、隣に他のセラミックスシート18が存在しないシート隅角部から焼成が始まり、その後は4枚のシートが互いに近接している配置中心に向かって焼成が進行することになる。即ち、1枚のセラミックスシート18については、1つの隅角部から焼成が開始され、対角線状に位置する隅角部に向かって焼成が進行することになる。そして、焼成の進行がシートの部位毎に相違することから、セラミックスシート18の収縮度合いも行方向或いは列方向に揃う傾向が生じる。
【0064】そして、収縮率が行方向に揃ったセラミックスシート18では、同じ行、例えば、図中G1の枠で示すように、チップ領域A1〜A4のアクチュエータユニット(ヘッドチップ)3…をセットにする。同様に、チップ領域B1〜B4、チップ領域C1〜C4、或いは、チップ領域D1〜D4のアクチュエータユニット3…をセットにする。一方、収縮率が列方向に揃ったセラミックスシート18では、図中G2の枠で例示するように、同じ列(チップ領域A1〜D1,A2〜D2,A3〜D3,A4〜D4)のアクチュエータユニット3…をセットにする。
【0065】ところで、上記した様に、複数のセラミックスシート18…を纏めて焼成する場合には、セラミックスシート18の収縮率は行方向或いは列方向に揃う。しかし、セラミックスシート18を1枚ずつ焼成した場合には、焼成がシート隅角部からシート中心に向かって進行することから、セラミックスシート18の中心(図7に符号Cで示す母部材の中心点)からの距離に応じて収縮率が揃うと考えられる。このため、1枚ずつ焼成されたセラミックスシート18に関しては、セラミックスシート18の中心を基準に点対称の位置関係にあるアクチュエータユニット3…をセットにすることが好ましい。
【0066】図8の例で説明すると、チップ領域A1,A4,D1,D4のアクチュエータユニット3…を1セットとし、チップ領域A2,A3,D2,D3のアクチュエータユニット3…を1セットとする。同様に、チップ領域B1,C1,B4,C4のアクチュエータユニット3…を1セットとし、チップ領域B2,B3,C2,C3のアクチュエータユニット3…を1セットとする。
【0067】バンドル工程で複数のアクチュエータユニット3…をセットにしたならば、流路ユニット接合工程(本発明の組立工程の一部)に移行し、各アクチュエータユニット3…に流路ユニット2…を接合しヘッド本体1…とする。この接合は、上記したように、シート状接着剤を用いた接着によって行う。また、この流路ユニット接合工程での接合作業は、バンドル工程で1セットとされた複数のアクチュエータユニット3…毎に行う。例えば、4つのアクチュエータユニット3…が1セットとなっている場合には、これら4つのアクチュエータユニット3…に対して流路ユニット2…を接合したならば、作製された4つのヘッド本体1…を次工程(組立工程)に移送し、その後、次の1セットに対する接合作業を行う。
【0068】この流路ユニット接合工程に続いて取付工程(本発明の組立工程の一部)が行われる。取付工程では、移送された複数のヘッド本体1…を取付ベース61に取り付けて記録ヘッドに組み立てる。この取付工程では、ヘッド本体1を取付ベース61に取り付ける他、電気配線や制御IC等が実装された配線基板の取り付け、インクカートリッジ内に挿入されるインク導入針の接続等も行われる。
【0069】そして、この取付工程においては、収縮率が等しいチップ領域19…のアクチュエータユニット3…から作製された複数のヘッド本体1…を選択して取り付けているので、各ヘッド本体1…から吐出されるインク滴の吐出特性が揃う。これにより、高品質な画像を記録することができる。また、各ヘッド本体1…に用いられているアクチュエータユニット3…は、同一のセラミックスシート18から切り出されているので、セラミックスシート18を構成する各シート状前駆体のばらつきが少ない。例えば、各層の厚さばらつきが少ない。この点でも、インク滴の吐出特性を揃えることができる。さらに、各アクチュエータユニット3…の選択がセラミックスシート18における位置に基づいて行われているので、特別な測定等が不要であり、選択を迅速に行うことができる。このため、作業性に優れる。
【0070】ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0071】例えば、各電歪アクチュエータ3…に、セラミックスシート18におけるチップ領域19の位置を示す識別情報を形成してもよい。これは、上記のバンドル工程での作業性を向上させることができるからである。
【0072】即ち、アクチュエータユニット3毎に識別情報を設けることで視覚による確認が可能となり、CCDカメラ等の撮像手段を用いることで、複数のアクチュエータユニット3…を自動的に複数のセットに分けることができる。例えば、この識別情報を撮像した映像から識別情報の内容を自動的に認識し、その認識した内容に基づいて分類することにより、バンドル工程の自動化が実現できる。勿論、作業者による手作業においても、この識別情報を確認することでアクチュエータユニット3…の組み合わせを容易に把握できる。
【0073】そして、この識別情報としては、例えば、電極層を塗布する際に、その電極材料によって同時に印刷することが好ましい。即ち、電極層用のマスクに、識別情報用のパターンを形成し、電極層の塗布で識別情報も印刷する。これにより、作業性の向上が図れる。
【0074】また、以上は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド、並びに、この記録ヘッドに用いられる電歪アクチュエータに本発明を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、液晶噴射ヘッドや色材噴射ヘッド等といった他の液体噴射ヘッド、及び、この液体噴射ヘッド用の電歪アクチュエータにも適用できる。また、マイクロポンプや発音体用の電歪アクチュエータにも適用できる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。即ち、アクチュエータ母部材において収縮率が等しいチップ領域の電歪アクチュエータをセットにするので、特性が揃った電歪アクチュエータを簡単に選定することができ、作業効率の向上が図れる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成14年7月8日(2002.7.8)
【代理人】 【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
【公開番号】 特開2003−341076(P2003−341076A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−199182(P2002−199182)