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【発明の名称】 マイクロ液滴生成装置およびその製造方法
【発明者】 【氏名】鍾 震 桂

【氏名】林 俊 仁

【氏名】陳 仲 竹

【要約】 【課題】サテライトインク液滴の問題、インクの供給速度の増加、装置構成の高精度な制御および補強を図ることができるマイクロ液滴生成装置およびその製造方法を提供する。

【解決手段】供給用ヒータ30と、厚型の二層のフォトレジスト層38bおよびと、ニッケル層54を形成するためのニッケル電気メッキとが用いられる。第1フォトレジスト層38bの形成工程は、最終的に液体注入口20との間で吐出液体チャンバ40および補助液体チャンバ42を形成する。第2フォトレジスト層の形成工程は、吐出オリフィスをもつノズルを形成するためにオリフィス通路52の型を設計し、型をとる。オフショッター型ヒータ28は、垂直方向に沿ってノズルに対してオフセットをもって配置される。ニッケル電気メッキ工程は、吐出液体ヘッドとしての装置の頂端上にニッケル層54を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノズルから液滴を吐出するマイクロ液滴生成装置を製造する製造方法であって、上面および下面を備えるシリコン基板を供給する工程と、第1絶縁体層を前記シリコン基板の前記上面に形成するとともに、第2絶縁体層を前記シリコン基板の前記下面に形成する工程と、前記下面での第2絶縁体層の一部を除去して開口を形成する工程と、前記開口から前記シリコン基板の内部へ向かって漏斗形状の液体注入口を形成する工程と、垂直方向に沿って前記ノズルに対してオフセットをもって配置されるオフショッター型ヒータを前記第1絶縁体層上方の一側部に形成する工程と、導電体を付着するとともにパターン形成して、当該導電体と前記オフショッター型ヒータとを接触させて電気接続を得る工程と、前記オフショッター型ヒータと前記第1絶縁体層のそれぞれの上端へ第3絶縁体層を付着する工程と、第1フォトレジスト層を前記第3絶縁体層上にスピンコーティングする工程と、第1フォトレジスト層において光照射によって吐出液体室の形状にパターンを規定する工程と、金属シード層を前記第1フォトレジスト層上に付着するとともに、当該金属シード層をパターン形成して当該金属シード層の一部に吐出オリフィスを形成する工程と、第2フォトレジスト層を前記金属シード層上にスピンコーティングし、当該第2フォトレジスト層において前記吐出オリフィスの頂端に合わせてパターンを規定する工程と、パターンが規定された前記吐出オリフィス頂端上の第2フォトレジスト層の部分を除く、第2フォトレジスト層の他の部分を除去する工程と、前記金属シード層の上端にニッケル層を電気メッキし、前記吐出オリフィス頂端上の第2フォトレジスト層の部分を当該ニッケル層で取り囲む工程と、前記吐出オリフィス頂端上の第2フォトレジスト層の部分を除去する工程と、前記シリコン基板の前記下面の前記第2絶縁体層を除去するとともに、前記液体注入口から前記第1絶縁体層を経て前記第1フォトレジスト層に至るまで連通させる工程と、前記第1吐出液体室として前記第1フォトレジスト層に規定された部分を除去する工程と、を有することを特徴とする製造方法。
【請求項2】 前記第1絶縁体層および前記第2絶縁体層の材料は、酸化シリコンおよび炭化シリコンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】 前記第1絶縁体層および前記第2絶縁体層の厚さは、少なくとも100nmであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】 前記第2絶縁体層を除去する工程は、反応性イオンエッチングによりなされることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】 前記液体注入口は、水酸化カリウムを含む溶液を用いて前記シリコン基板をウエットエッチングすることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】 前記液体注入口は、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む溶液を用いて前記シリコン基板をウエットエッチングすることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】 供給用ヒータは、前記オフショッター型ヒータが前記第1絶縁体層上に形成されるのと同時に、前記液体注入口を基準として前記オフショッター型ヒータの位置の逆側に形成され、当該供給用ヒータを導電体部と接触させて電気接続を得ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】 前記オフショッター型ヒータおよび前記供給用ヒータの材料は、TaAl、HfB2、ZrB2、TaN、およびPtよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】 第3絶縁体層の材料は、窒化シリコンおよび炭化シリコンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】 前記第1フォトレジスト層の厚さは、少なくとも1μmであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】 前記吐出液体室に対応するパターンを前記第1フォトレジスト層に規定するのと同時に補助液体室に対応するパターンも前記第1フォトレジスト層に規定され、前記吐出液体室と前記補助液体室との間を液体が流れるように当該吐出液体室と当該補助液体室とが連通するパターンが規定されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】 前記供給用ヒータは、前記補助液体室の近傍に設置されて、液体を前記吐出液体室側へ供給する機構を形成することを特徴とする請求項7または請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】 第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層を除去する工程は、ウエットエッチングによりなされることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】 第2フォトレジスト層の厚さは、少なくとも2μmであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】 前記金属シード層の材料は、クロムおよびニッケルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】 前記吐出オリフィスは、前記金属シード層に形成され、前記オフショッター型ヒータは、その近傍に形成されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】 ノズルから液滴を吐出するマイクロ液滴生成装置であって、上面および下面を備えるシリコン基板と、前記上面に形成された第1絶縁体層および前記下面に形成された第2絶縁体層と、シリコン基板および前記第2絶縁体層に形成された漏斗形状の液体注入口と、前記上面での前記第1絶縁体層上方の一側部に形成されており、垂直方向に沿って前記ノズルに対してオフセットをもって配置されたオフショッター型ヒータと、前記オフショッター型ヒータに接触して電気接続を得る導電体と、前記第1絶縁体層と前記オフショッター型ヒータのそれぞれの上端へ形成された第3絶縁体層と、前記第3絶縁体層上に形成された第1フォトレジスト層と、前記第1フォトレジスト層に形成され、液体が流通可能なように前記液体注入口との間で連通されており、液体を吐出するために前記オフショッター型ヒータが設けられている吐出液体室部と、前記第1フォトレジスト層上に配置された金属シード層と、前記金属シード層に形成された吐出オリフィスと、液体を流通させるように前記吐出オリフィスとの間で連通した貫通孔を有しており、前記金属シード層上に設けられたニッケル層と、を有することを特徴とするマイクロ液滴生成装置。
【請求項18】 前記マイクロ液滴生成装置は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項19】 前記第1絶縁体層および前記第2絶縁体層の厚さは、少なくとも100nmであることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項20】 前記第1絶縁体層および前記第2絶縁体層の材料は、酸化シリコンおよび炭化シリコンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料であることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項21】 前記液体注入口は、水酸化カリウムを含む溶液を用いて前記シリコン基板をウエットエッチングすることによって形成されていることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項22】 前記液体注入口は、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む溶液を用いて前記シリコン基板をウエットエッチングすることによって形成されていることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項23】 前記オフショッター型ヒータの前記第1絶縁体層上への形成と同時に、供給用ヒータが、前記液体注入口を基準として前記オフショッター型ヒータの位置の逆側に形成されており、当該供給用ヒータは導電体と接触して電気接続が得られていることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項24】 前記オフショッター型ヒータおよび前記供給用ヒータの材料は、TaAl、HfB2、ZrB2、TaN、およびPtよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料であることを特徴とする請求項23に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項25】 前記オフショッター型ヒータが複数個にわたって前記吐出オリフィスに対して平行に配置されていることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項26】 前記第1フォトレジスト層の厚さは、少なくとも1μmであることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項27】 補助液体室が前記第1フォトレジスト層に形成されており、当該補助液体室、前記吐出液体室、および前記液体注入口とが相互に連通しており、当該補助液体室、前記吐出液体室、および前記液体注入口の相互間で液体が流通することを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項28】 補助液体室が前記第1フォトレジスト層に形成されており、当該補助液体室、前記吐出液体室、および前記液体注入口とが相互に連通しており、当該補助液体室、前記吐出液体室、および前記液体注入口の相互間で液体が流通可能であり、前記供給用ヒータが前記補助液体室の近傍に設定されることにより液滴を前記吐出液体室側へ供給する機構を形成していることを特徴とする請求項23に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項29】 前記金属シード層の材料は、クロムおよびニッケルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料であることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項30】 前記吐出オリフィスは、前記オフショッター型ヒータに近接していることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【請求項31】 前記吐出オリフィスは、前記吐出液体室に形成されており、前記オフショッター型ヒータと背中合わせに形成されていることを特徴とする請求項17に記載のマイクロ液滴生成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ液滴生成装置に関し、特に熱バブル型のマイクロ液滴生成装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ液滴(マイクロドロップレット)生成装置は、液体を複数の液滴に変形して、これらの液滴を吐出する小型精密流体装置である。電子産業における最近の技術進歩に伴って、マイクロ液滴生成装置は、インクジェットプリンタのようなプリンタ技術およびカラーフィルタシートの製造技術に用いられている。
【0003】インクジェットプリンタの構成として使用されるマイクロ液滴生成装置は、通常インクジェットヘッドと呼ばれることが多く、インクジェットプリンタを構成する上で最も基本的な機械構成である。このインクジェットヘッドでは、単位時間あたりに吐出可能な頻度である吐出周波数が高く、かつ空間分解能が高い状態で動作することが重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在では、インクジェットプリンタは、ピエゾ圧電型と熱バブル型とに大別される。ピエゾ圧電型インクジェットプリンタでは、インクを搾り出してインク液滴を生成するためのピエゾ圧電アクチュエータが用いられている。一方の熱バブル型インクジェットプリンタは、内部に設けられたヒータを用いており、このヒータによってインクが加熱される結果、気泡(バブル)が生じる。この気泡は、吐出インクチャンバからノズルの外へとインク液滴を押し出す。このインク液滴が吐出インクチャンバの吐出口における液体の柱(カラム)から離れるときに、このインク液滴の移動方向に対して垂直でないサテライトインク液滴(satellite ink drops)が生成される場合がある。これは、インク液滴の末尾での液体の柱の速度寄与度が一様でないからである(具体的には、前端部での速度が大きく、後端部での速度が小さい)。気泡が生成されると、インク通路に対して圧力が伝達される。したがって、混在現象(クロストーク現象)は、隣接する吐出インクチャンバ間で発生する。この現象は、印刷品質の悪化を引き起こすおそれがある。
【0005】熱バブル型インクジェットプリンタにとって他の重要点は、吐出インクチャンバ側へのインクの供給である。一般的なバブル型インクジェットヘッドは、インクを供給する際の駆動力として、液体面を収縮させようとする表面張力を用いている。しかしながら、この方法では、非常に小さな表面張力に依存するため、このインクを吐出インクチャンバ側へ引き込む速度が遅くなり、インク供給時間が長くなる。これは、インクジェトの吐出出力周波数を低下させる。以上の問題を解決するために、従来技術として、インクを供給する圧力を増加するための切替ゲートを持つバックプレッシャ型インクカートリッジが利用され、この結果、インクの引き込み速度の加速が図られている。
【0006】しかしながら、かかる従来技術では、切替ゲートを有していることから、余剰なインクがオリフィスから溢れ出すことを防止することは可能となるものの、切替ゲートによって増加した色材粒子の蓄積によって、インク詰まりを生じてしまう。これらの従来技術は、米国特許番号6,102,530(キム等)およびリー等による発明(IEEE MENS´01)に対応する。これらの発明は、基本的には一つのヒータが設けられている構成であり、それらは、インク供給能力を向上させるための供給用ヒータを提供するものではない。
【0007】本発明は、以上の問題を解決するためになされたものである。具体的には、本発明は、上述したサテライトインク液滴の問題を解決し、隣接する複数の吐出液体チャンバ間および通路間における干渉を抑制することができ、さらに、吐出液体チャンバ内へのインクの供給が間に合わずに空洞化することを防止することを目的とする。
【0008】さらに、補助液体チャンバおよび供給用ヒータをマイクロ液滴生成装置に加えることによって、液体供給速度を増加させて、液体吐出周波数を高くすることを目的とする。
【0009】また、マイクロ液滴生成装置を構成する各部分の寸法を高精度に制御することができるのみならず、その構造の補強を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による製造方法は、以下の工程を有する。上面および下面を持つシリコン基板を提供する。そして、第1絶縁体層をシリコン基板の上面へ形成し、第2絶縁体層をシリコン基板の下面へ形成する。第1絶縁体層および第2絶縁体層の厚さは、すくなくとも100nm(1000Å)である。ここで、好ましくは、各絶縁体層の材料として、酸化シリコン(SiO2)および窒化シリコン(Si34)からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料が用いられる。そして、反応性イオンエッチング(RIE)を用いて、前記シリコン基板の下面での第2絶縁体層をエッチング除去し、開口を形成する。そして、KOH(水酸化カリウム)またはN(CH34OH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を含む溶液を用いて、前記開口から前記シリコン基板の内部へ向かって漏斗形状の液体注入口である液体用漏斗型マニホルドを形成する。また、オフショッター型ヒータおよび供給用ヒータ(材料は、TaAl、HfB2、ZrB2、TaN、およびPtからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料)は前記上面の第1絶縁体層上方の一側部と他側部とにそれぞれ形成される。一対の導電体を付着するとともにパターン形成して、得られた一の導電体はオフショッター型ヒータに接触させ、他の導電体部は供給用ヒータに接触させて、それぞれ電気接続が得られる。次に第3絶縁体層(材料は、Si34およびSiCからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料)を、前記各ヒータおよび前記第1絶縁体層のそれぞれの上端へ付着させる。この第3絶縁体層上に少なくとも1μmの層厚を有する第1フォトレジスト層をスピンコーティングする。そして、この第1フォトレジスト層において、吐出液体チャンバおよび補助液体チャンバに対応する部分のパターンを紫外線照射によって規定する。このとき、当該吐出液体チャンバと補助液体チャンバとの間で液体が流通可能とするべく当該吐出液体チャンバと補助液体チャンバ間を連通するようにパターンが規定される。そして、金属シード層(材料は、クロムおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料)が第1フォトレジスト層上に付着され、この金属シード層をパターン形成して当該金属シード層の一部に吐出オリフィスを形成する。この金属シード層上に少なくとも2μmの層厚の第2フォトレジスト層をスピンコーティングする。そして、前記吐出オリフィス頂端上の第2フォトレジスト層の部分を除く他の第2フォトレジスト層の部分を除去する。金属シード層の上端にニッケル層を電気メッキし、吐出オリフィス頂端上の第2フォトレジスト層の部分を当該ニッケル層で取り囲む。その後、ウエットエッチングを用いて、吐出オリフィス頂端上の第2フォトレジスト層をエッチング除去する。反応性イオンエッチングを用いて、シリコン基板の下面の第2絶縁体層をエッチング除去するとともに、液体注入口と第1絶縁体層との間を液体が詰まることなく流通可能なように、液体注入口から前記第1絶縁体層を経て前記第1フォトレジスト層に至るまで連通させる。最後に、ウエットエッチングを用いて、吐出液体チャンバおよび補助チャンバとして第1フォトレジスト層に規定された部分をエッチング除去する。以上の製造方法によって、本発明に係るマイクロ液滴生成装置を提供する。
【0011】本発明の他の目的は、マイクロ液滴生生成装置を提供することである。この装置は、主として、上面および下面を持つシリコン基板と、当該上面および下面上にそれぞれ形成され、少なくとも夫々1000Åの層厚を持ち、酸化シリコンおよび窒化シリコンからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる第1および第2の絶縁体層と、前記シリコン基板および第2絶縁体層間に形成された漏斗形状の液体注入口である漏斗型マニホルドと、前記上面の第1絶縁体層上方の一側部と他側部に形成されており、TaAl、HfB2、ZrB2、TaN、およびPtからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなるオフショッター型ヒータおよび供給用ヒータと、オフショッター型ヒータに接続される導電体および供給用ヒータに接続される導電体と、第1絶縁体層、オフショッター型ヒータ、および供給用ヒータのそれぞれの上端へ形成された第3絶縁体層と、前記第3絶縁体層上に形成され、少なくとも1μmの層厚を有する第1フォトレジスト層と、第1フォトレジスト層に形成され、液体が流通可能なように前記液体注入口との間で連通されている吐出液体チャンバ(この吐出液体チャンバには、液体注入機構を形成するために前記吐出液体チャンバに前記オフショッター型ヒータが配置される)と、前記第1フォトレジスト層に形成されており、吐出液体チャンバおよび液体注入口との間で相互に連通しており、吐出液体チャンバおよび液体注入口との間で相互に液体が流通するようになっている補助液体チャンバ(この補助液体チャンバには、高速なインク供給機構を形成するために前記供給用ヒータが配置される)と、前記第1フォトレジスト層上に配置されており、クロムおよびニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料でできた金属シード層と、前記金属シード層に形成される吐出オリフィスと、液体を流通させるように前記吐出オリフィスとの間で連通されている貫通孔を有しており、前記金属シード層上に設けられたニッケル層と、を有する。
【0012】したがって、本発明の目的は、主として二重層のフォトレジストとニッケル電気メッキ技術を併用して製造された、オフショッター型ヒータ、供給用ヒータ、注入口、および吐出オリフィス面などの種々の構造を有するマイクロ液滴生成装置を提供することである。このことは、液滴生成装置のサイズを正確に規定することを可能とするのみならず、印刷品質を向上し、熱バブル型インクジェットプリンタヘッドの構造を改良することを可能とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。本発明の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な好ましい説明によって明らかであるが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。説明は、以下の図面を用いてなされる。図1〜図2は、本発明における装置の概略的な断面図である。図3〜図16は、本発明による各製造工程での装置の概略的な断面図である。図17〜図22は、本発明による動作状態での装置の概略的な断面図である。図23は、本発明による第2の実施の形態の概略的な断面図である。図24は、本発明による第3の実施の形態の概略的な断面図である。
【0014】本発明で用いられる製造方法は、(スピンコーティング法で形成される)二重層のフォトレジストと、ニッケル電気メッキ技術と、半導体プロセス等のマイクロシステム製造技術を加え合わせることによって、マイクロ液滴生成装置を製造するものである。第1に、吐出液体チャンバおよび補助液体チャンバを同時に形成するために、第2フォトレジストのスピンコーティング法を用いる。次に、吐出オリフィスを形成するためにモールド層を設計すべく、第2フォトレジストのスピンコーティング法を用いる。最後に、これらの処理を経て形成された装置(吐出ヘッド)の上端に電気メッキ技術を用いてニッケル層を形成する。さらに、第2フォトレジスト層を除去した後に、必須の吐出オリフィスを形成することによって、当該吐出オリフィスから液滴を吐出できる状態にする。このマイクロ液滴生成装置の本発明による製造方法は、マイクロマシン製造技術(MEMS)を用いており、マイクロ液滴生成装置は、一体的に形成される。
【0015】本発明によるマイクロ液滴生成装置において使用されている主要材料は、単結晶シリコン基板である。オフショッター型ヒータは、このシリコン基板の上方の一側部に形成される。オフショッター型ヒータは、リング形状をしており、対象性を有するものであり、この結果、高品質の液滴が生成される。さらに、このオフショッター型ヒータである電極は、高い方向垂直性を有している。このために、隣接する吐出液体チャンバ間および隣接する通路間での干渉を防止することができ、吐出液体チャンバにおける調整(キャリブレーション)が容易になる。
【0016】さらに、吐出液体チャンバにおけるオフショッター型ヒータである電極は、液滴を押し、吐出させるための気泡を生み出す。そして、吐出液体チャンバから上流側(吐出オリフィスからみて遠い側)に設けられた供給用ヒータである電極は、液体の吐出液体チャンバへの供給を加速するために他の気泡を生み出す。これは、液体の供給時間を短縮化するのみならず、液滴の吐出周波数を増加することを可能とする。
【0017】図1および図2に示されるとおり、本発明において、シリコン基板上のヒータの位置配置は、オフショッター型およびバックショット型という二つの種類に分割される。しかしながら、実際には、本発明の適用は、これらの二つの種類に限られるものではない。さらに、トップショット型およびサイドショット型などのいずれの液滴装置も本発明の供給ヒータ機能を利用することができ、この結果、液体供給速度が高まる。オフショッター型ヒータは、ノズル56aに対応する標準位置から外れた位置に注入ヒータの位置を配置するものである。すなわち、オフショッター型ヒータは、垂直方向に沿ってノズル56aからオフセットをもって配置されるヒータである。以下には、説明のための一つの実施形態としてオフショッター型の構造を例にとって説明する。なお、バックショット型および他の型の液滴装置は、その製造方法がオフショッター型の場合とほとんど同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0018】参照する図3には、マイクロ液滴生成装置を製造するための第1工程が示されている。低圧化学気層成長法(LPCVD)が本発明において使用され、第1絶縁体層16がシリコン基板10の上面12に形成され、第2絶縁体層18がシリコン基板10の下面14に形成される。第1絶縁体層16および第2絶縁体層18は、SiO2(酸化シリコン)またはSi34(窒化シリコン)の何れか一方によって形成されており、その層厚は、好適には、1000〜2000Å(100〜200nm)、またはそれ以上である。
【0019】本実施例で用いられたシリコン基板10は、p型シリコンウエハであり、直径が101mmであり、面方位が(100)である。上記の第1絶縁体層16および第2絶縁体層18の処理工程前に、シリコンウエアの表面は、RCA洗浄によって清浄される。その後、シリコンウエアは、加熱炉に投入され、ウエット酸素を用いて厚さ1μm以上の厚さのSiO2(図示していない)が形成される。
【0020】次に、図4に示されるとおり、フォトリソグラフィーが用いられて、シリコン基板の一の面上に液体注入口20が形成される。第1フォトマスクが用いられ、液体注入口20の対応位置が区画される。この液体注入口20を形成するための第1のステップでは、反応性イオンエッチング(RIE)のドライエッチングが用いられ、第2絶縁体層18および上記のウエット酸化層について、一部分がエッチング除去される。すなわち、シリコン基板10の下面14での第2絶縁体層18の一部を除去して開口が形成される。その後、水酸化カリウム(KOH)または水酸化テトラメチルアンモニウム(N(CH34OH)がシリコン基板の一部をエッチングするために用いられる。すなわち、これらのウエットエッチングにより、前記開口から前記シリコン基板10の内部へ向かって漏斗形状の液体注入口20が形成される。エッチングが終了した後のシリコンウエアのリンスには、脱イオン水が用いられる。
【0021】さらに、物理的気層成長(PVD)およびフォトリソグラフィーが導電体34を形成するために用いられる。図5に示されるとおり、第2フォトマスクがシリコンウエハ上に適用されて、一対の導電体部34aおよび34bの夫々の位置が区画される。アルミニウム(Al)または銅(Cu)などの高い導電体物質が、導電体部34aおよび34bの材料として選択される。選択された材料は、第1の絶縁体層上の両側部に付着され、導電体34aおよび導電体34bへとパターン形成される。その後、脱イオン水を再び用いて、このシリコンウエハがリンスされる。
【0022】図6および図7は、オフショッター型ヒータ28である電極および供給用ヒータ30である電極の製造工程を示す。TaAl合金(タンタルアルミ合金)層がシリコン基板10上の前記導電体部34aおよび34bのそれぞれの頂端に積層され、(図示していない)第3フォトマスクがこの金属層をパターン形成するために用いられる。この結果、オフショッター型ヒータ28および供給用ヒータ30が形成される。
【0023】すなわち、図5〜7の処理によれば、オフショッター型ヒータ28は、第1絶縁体層16上方の一側部に形成される。一方、供給用ヒータ30は、オフショッター型ヒータ28が第1絶縁体層16上方に形成されるのと同時に、液体注入口20を基準として前記オフショッター型ヒータ28の位置の逆側に形成される。また、導電体を付着するとともにパターン形成して得られた導電体34aと前記オフショッター型ヒータ28とを接触させて電気接続を得る。一方、同様にパターン形成して得られた導電体34bと前記供給用ヒータ30とを接触させて電気接続を得る。
【0024】そして、次に、第3絶縁体層すなわち保護層36がシリコン基板10の頂端上に付着される。より具体的には、第3絶縁層である保護層36は、前記オフショッター型ヒータ28、供給用ヒータ30、および第1絶縁体層16のそれぞれの上端へ付着される。その結果、オフショッター型ヒータ28、供給用ヒータ30、導電体部34a,34b、および他の構造が良好なパッシベーション効果を備えることを可能となる。第3絶縁体層の材料は、窒化シリコン(Si34)、酸化シリコン(SiO2)、および炭化シリコン(SiC)からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の材料である。これらの材料が、プラズマエンハンスト化学気層成長法(PECVD)により積層されて、上記の保護層36が形成される。
【0025】次に、図8に示されるとおり、厚型の第1フォトレジスト層38aが、スピンコーティング法とベーキング法により第3絶縁体層である保護層36上に形成される。すなわち、第1フォトレジスト層38aが、第3絶縁体層上にスピンコーティングされる。第1フォトレジスト層38aの層厚は、少なくとも1μmであるが、最適な層厚は、25μm〜30μmである。次に、図9に示されるとおり、紫外線放射を用いて、露光工程が実行される。第4のフォトマスクが厚型の第1フォトレジスト層38a上に適用され、吐出液体チャンバ40および補助液体チャンバ42のそれぞれの位置および大きさが区画される。すなわち、第1フォトレジスト層38aにおいて光照射によって吐出液体チャンバ40の形状にパターンを規定する。また、第1フォトレジスト層38aにおいて吐出液体チャンバ40の形状にパターンを規定するのと同時に、第1フォトレジスト層38a層において補助液体チャンバ42の形状にパターンを規定する。なお、このとき、将来的に吐出液体チャンバ40と補助液体チャンバ42との間を液体が流れるように当該吐出液体チャンバ40と補助液体チャンバ42とが連通したパターンを規定する。第1フォトレジスト層は、ポジ型のフォトレジストであっても、ネガ型のフォトレジストであってもよく、設計要求によって定められる。露光または非露光の第1フォトレジスト層部分38aおよび38bは、シリコン基板10上に残る。その後、精密な位置および形状の吐出液体チャンバ40および補助液体チャンバ42が、形成される。この工程は、本発明の重要点の一つである。
【0026】次に、図10に示されるとおり、金属シード層46を、第1フォトレジスト層の露光された部分38aおよび露光されていない部分38bのそれぞれの上に付着するとともに、この金属シード層46をパターン形成して当該金属シード層の一部に吐出オリフィス48を形成する。具体的には、以下の処理が実行される。金属シード層46を、第1フォトレジスト層上に付着させる。望ましくは、金属シード層46の材料は、クロム(Cr)またはニッケル(Ni)合金であるが、金属シード層46の表面上のみにクロム(Cr)またはニッケル(Ni)合金の金属層をスパッタリングまたは蒸着して付着させてもよい。そして、第5フォトマスクがフォトリソグラフィー処理のために使用され、この結果、吐出オリフィス48の大きさと位置とが区画される。最後に、フォトリソグラフィーを実行した後に、吐出オリフィス48を形成すべく、ウエットエッチングが用いられ、フォトレジスト層がエッチング除去される。
【0027】次に、厚型の第2フォトレジスト層50aを金属シード層46上にスピンコーティングし、当該第2フォトレジスト層50aの頂端に合わせてパターンを規定する。この状態を図11に示す。上記のスピンコーティング処理が完了すると、吐出オリフィス48の頂端上の第2フォトレジスト層の部分50bを除く、第2フォトレジスト層の他の部分50aが除去される。そして、図12に示されるとおり、オリフィス通路52の形状をした第2のフォトレジスト層50bが吐出オリフィス48の頂端上に残される。
【0028】次に、図13に示されるとおり、ニッケル電気メッキ技術が使用され、吐出オリフィスメッキ層54が形成される。すなわち、前記金属シード層46の上端にニッケル層54を電気メッキし、前記吐出オリフィス48の頂端上の第2フォトレジスト層の部分50bを当該ニッケル層54で取り囲む。その後、吐出オリフィス頂端上の第2フォトレジスト層の部分50bが、ウエットエッチングによりエッチング除去され、図14に示されるとおり、吐出液体チャンバ40に対応する部分と連通するオリフィス通路52が形成される。
【0029】そして、シリコン基板10の下面上をエッチング処理するために反応性イオンエッチング(RIE)が用いられて、前記シリコン基板10の第2絶縁体層18がエッチング除去されるとともに、図15に示されるとおり、前記液体注入口20から前記第1絶縁体層を経て前記第1フォトレジスト層に至るまで連通させる。
【0030】図16を参照すれば、図16は、本発明による製造方法の最終工程を示している。現像液が用いられ、吐出液体チャンバ40および補助液体チャンバ42として第1フォトレジスト層に規定された部分38aを除去する。この結果、液体注入口20、吐出液体チャンバ40、補助液体チャンバ42、およびオリフィス通路52の間を連通させ、液体がそれらの各部の間を流通することを可能とする。この図は、本発明におけるマイクロ液滴生成装置の最終製品を示している。
【0031】図17〜図22を参照すれば、これらの図は、本発明によるマイクロ液滴生成装置の動作原理を示している。液体は、漏斗形状をした液体注入口20と、マイクロ液滴生成装置内の吐出液体チャンバ40と、補助液滴チャンバ42とに充填される。オフショッター型ヒータ28の電極が加熱されることによって、リング型の気泡70aが生成される。次に、瞬間的に液体の柱(カラム)が吐出オリフィス48を通過してオリフィス通路52から押し出される。補助液体チャンバ42に配置された供給用ヒータ30は、この工程では未だ加熱されていない。そして、オフショッター型ヒータ28の電極は、吐出液体チャンバ40内の液体を加熱しつづけ、この結果、気泡70aは、連続的に成長し、液体の柱74は、図18および図19に示されるとおり、オリフィス通路52を介してさらに押し出される。
【0032】そして、図19および図20に示されるとおり、気泡70aは、連続的に成長および結合し、この間、液体の柱74を押し出し、切断する。液体の柱は、オリフィス通路52から切り離され、液滴を形成するとともに、対象物へ向かって吐出される。この時、気泡70aは破壊されて、メニスカス形状で下方へ収縮する(図20参照)。
【0033】一方、シリコン基板10の他端部上の供給用ヒータ30が加熱される結果、他の気泡70bを生じさせる。この供給用ヒータ30である電極が、補助液体チャンバ42内の液体を加熱しつづけると、図21に示されるとおり、気泡70bは、補助液体チャンバ42から吐出液体チャンバ40方向へと成長し、液体を供給のために吐出液体チャンバへと押し出す。そして、液体によって吐出液体チャンバが満たされると、次の液体注入が行なわれ、オフショッター型ヒータが再び加熱されて、新たな気泡が生じる。液体注入過程は、図22に示される。液体は、液体注入口30から補助液体チャンバ42へと補充され、液体注入サイクルが完了する。このように、図23には、第2の好適な実施の形態が示されている。第2の実施の形態に用いられる製造工程は、第1の実施の形態での製造工程と同様であるので、詳しい説明は省略する。同様な複数のヒータおよび複数のノズルがシリコン基板10の頂端の二箇所に作成されている。この結果、注入液体密度が増加する。図24には、第3の好適な実施の形態が示されている。この第3の好適な実施の形態では、一つのヒータがシリコン基板10上に製造されており、このヒータは、垂直方向に沿ってノズル56aに相対的なオフセットを持つように配置されている。すなわち、供給用ヒータが省略された実施の形態である。液滴がマイクロ液滴生成装置から吐出された後、収縮時のメニスカスが、吐出オリフィス48から下方へ形成される。この表面張力は、液体注入口20での液体を引き付け、この結果、吐出液体チャンバ40に液体を再び供給される。こうして、液体供給機構が形成される。他の製造工程および装置機能は、上述した他の実施の形態と同様であるので、ここでは繰り返しの説明は省略する。
【0034】本発明によるマイクロ液体生成装置およびその製造方法は、従来のマイクロ液滴生成装置(インクジェットプリンタ)における、インクの供給速度が低く、インクジェット周波数が高くない、および構造の強度が弱く統合性が低い、といった短所を解決することができる。
【0035】以上のとおり、本発明の好適な実施例を説明したが、上記の説明は、本発明を理解するためのものであり、本発明は、上記の実施例に限定されるべきではなく、特許請求の範囲に示される本発明の思想の範囲内で、当業者によって種々の変形および改変が可能であることは明らかである。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を有する。本発明におけるオフショッター型のリング形状ヒータは、高い垂直方向性を有するので、上述したサテライトインク液滴の問題を解決し、隣接する複数の吐出液体チャンバ間および通路間における干渉を抑制することができ、また、吐出液体チャンバ内へのインクの供給が遅れ、吐出液体チャンバ内にインクが足りない状態(空洞化)を防止することができる。
【0037】補助液体チャンバおよび供給用ヒータをマイクロ液滴生成装置に加えることによって、液体供給速度が増加し、この結果、液体吐出周波数が高くなる。
【0038】マイクロ液滴生成装置は、二重層のフォトレジストおよびニッケル電気メッキ技術を用いて製造するので、各部分の寸法を精度よく制御することができるのみならず、構造を補強することができる。
【出願人】 【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財団法人工業技術研究院
【出願日】 平成14年5月28日(2002.5.28)
【代理人】 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
【公開番号】 特開2003−341075(P2003−341075A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−153935(P2002−153935)