トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 インクジェットヘッド、インクジェットヘッド製造方法、及びインクジェットヘッド記録装置
【発明者】 【氏名】梅沢 道夫
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内

【要約】 【課題】ノズル形成部材表面に形成した撥水膜のワイピングに対する耐久性を向上させて撥水性能を維持できるようにすると同時に、エキシマレーザによるノズル孔の加工性を確保して異形孔がないようにしたノズルプレートを備えるインクジェットヘッドを提供する。

【解決手段】インク滴を吐出する複数のノズル孔44を有するノズル形成部材121と、各ノズル孔44が連通するノズル連通口127を有する複数のインク液室とを有し、各ノズル孔44に対応するエネルギー発生手段を駆動することでインク液室内の容積を変化させ、ノズル孔44からインク滴を吐出させる。ノズル形成部材121の表面は、フッ素系撥水剤123でコーティングされており、ノズル形成部材121とフッ素系撥水剤123との間にはSiO2薄膜層122が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インク滴を吐出する複数のノズルを有するノズル形成部材と、前記各ノズルが連通する複数のインク液室とを有し、前記各ノズルに対応するエネルギー発生手段を駆動することで前記インク液室内の容積を変化させ、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘッドにおいて、前記ノズル形成部材の表面がフッ素系撥水剤でコーティングされていること、及び前記ノズル形成部材と前記フッ素系撥水剤との間に、SiO2膜が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】 前記ノズル形成部材が、ポリイミド樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】 前記フッ素系撥水剤の膜厚が、1Å以上30Å以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】 前記フッ素系撥水剤が、パーフルオロポリオキセタンまたは変性パーフルオロポリオキセタンまたは双方の混合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】 前記SiO2膜の膜厚が、1Å以上300Å以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1に記載のインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッド製造方法において、前記フッ素系撥水剤は、前記SiO2膜が形成されたノズル形成部材に真空蒸着法でコーティングされることを特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
【請求項7】 前記フッ素系撥水剤の真空蒸着は、真空中での前記SiO2膜の形成に引き続いて同一チャンバ内で連続して行われることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド製造方法。
【請求項8】 前記ノズル形成部材と前記フッ素系撥水剤との間に形成する前記SiO2膜は、前記ノズル形成部材に対してSiをスパッタ後、O2イオン処理をして形成することを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェットヘッド製造方法。
【請求項9】 前記ノズル形成部材に前記SiO2膜を形成し、その後前記フッ素系撥水剤を真空蒸着した後、紫外光レーザでノズル孔を加工することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1に記載のインクジェットヘッド製造方法。
【請求項10】 記録信号に応じて駆動される駆動素子の発生する駆動エネルギーにより、ノズルからインク滴を吐出して記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置であって、少なくとも請求項1乃至5のいずれか1に記載のインクジェットヘッドを具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘッド、インクジェットヘッド製造方法及びインクジェット記録装置に関し、より詳細には、撥水性,ワイピング耐性に優れ、エキシマレーザによる加工性を向上させたノズルプレートを有することでインクジェットプリンタ等に用いてより好適なインクジェットヘッド、該インクジェットヘッドの製造方法、及び、該インクジェットヘッドを具備するインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ,複写機,複合機等の画像形成装置に用いられるインクジェットヘッドにおいては、ノズルからインク滴を吐出させて記録を行うため、ノズルの形状,精度がインク滴の噴射特性に大きな影響を与える。また、ノズル孔を形成しているノズル形成部材の表面の特性もインク滴の噴射特性に影響を与えることが知られている。例えば、ノズル形成部材表面のノズル孔周辺部にインクが付着して不均一なインクだまりが発生すると、インク滴の吐出方向が曲げられたり、インク滴の大きさにバラツキが生じたり、インク滴の飛翔速度が不安定になる等の不都合が生じることが知られている。そこで、インクジェットヘッドにおいては、ノズルの吐出側表面に撥インク膜を形成して撥インク性を持たせ、ノズル形成部材の表面の均一性を高め、インク滴の飛翔特性の安定化を図るようにすることが必要である。
【0003】ところで、樹脂材料をノズル形成部材として使用する場合、撥インク膜を樹脂材料の表面に形成することになるが、樹脂材料と撥インク剤との密着性があまり良くないため、直接塗布することは非常に困難である。そのため、樹脂材料の表面を粗面化して微細な凹凸を形成し、その上に撥水剤を塗布することで密着力の向上を図ったりしているが、十分な密着力の確保には至っていない。すなわち、塗布後の初期には撥水性は得られているが、ノズルプレート表面やノズル開口部に付着したインク滴やゴミ等の除去のために行われるワイピングによって表面が擦られるため、密着性が十分でない分、徐々に撥水層の剥がれが発生し、撥水性が劣化することになる。そこで、ノズル形成部材と撥インク膜との密着性を高める必要もある。
【0004】上述のような問題を解決するために、特開平10−305582号公報には、支持基体の一方の面に、テトラフルオロエチレンを成分とする共重合体を含む有機樹脂層を撥水層として持つノズルを備えたインクジェット式プリントノズルヘッドが提案されている。
【0005】また、特開平6−87216号公報には、ノズル形成部材の表面に含フッ素重合体からなるコーティング層を設け、その背面側からエキシマレーザを照射してノズル孔加工を行うインクジェット記録ヘッドのノズル形成方法が提案されている。
【0006】更に、特許2914146号公報には、ノズルプレートの一方の面に粘着部材を貼り付け、その反対側面からレーザビームを照射し、プレートの一部が残るように加工した後、粘着部材を剥がして残った一部を除去するノズルプレートの製造方法が提案されている。
【0007】また、ノズル形成部材の表面に、耐摩耗性のある微粉末層と撥水層を重ねて設けることにより、撥水層の密着性・ワイピング耐久性を向上させたインクジェットヘッドや、ノズル周縁部を表面酸化処理したノズルプレート上に、0℃〜70℃の温度範囲で液相状態となり、且つ、加水分解可能な官能基を少なくともひとつ持つ非晶質樹脂を酸素を介して重ねて構成することで、撥水性と耐久性を向上させ、樹脂材料をノズル形成部材とした場合、密着力が低くワイピング耐性が悪いという問題を解決可能なインクジェット記録ヘッドを提案している。
【0008】更には、ノズル形成部材と撥水層の間に無機酸化物の島状薄層を形成し、薄層の材料(例えば、SiO2,TiO2等)、薄層の膜厚を指定することにより、撥水性とエキシマレーザによる加工性を両立させたインクジェットヘッドを提案している。
【0009】更には、有機材料からなる耐摩耗性のある微粒子をエキシマレーザによる加工性のある材料(ポリイミド)とし、当該微粒子を有する微粒子層をノズル形成部材と撥水層との間に設けることで、ワイピング耐性が十分でないという問題を解決したインクジェットヘッドを提案している。
【0010】上述のごとく、撥インク層としてフッ素系撥水剤を使用する場合などでは、ノズル形成部材である樹脂材料等の表面に、SiO2膜を形成し、その上にフッ素系撥水剤を塗布することで密着力を向上することも試みられている。この場合、SiO2膜厚をある程度厚くしないと十分な密着力向上効果が得られない。ところが、例えば、ノズル孔加工をエキシマレーザ加工等で行う場合、ノズル形成部材はポリイミド等で形成すればエキシマレーザによる加工性を確保できるが、SiO2膜はエキシマレーザによる加工性が悪いため、きれいなノズル孔加工ができなくなり、異形ノズル孔が発生してしまうことになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、ノズル形成部材表面に形成した撥水膜のワイピングに対する耐久性を向上させ撥水性能を維持すると共に、紫外線レーザによる加工性を確保し異形孔のないノズルプレートを提供することにより、画像品質が良好で、且つ、経時的劣化のないインクジェット記録装置用のインクジェットヘッドを提供することを目的としたものである。
【0012】具体的には、ノズル形成部材に対しフッ素系撥水剤を高い密着力でコーティングできるようにすることを目的としたものである。
【0013】また、ノズル形成部材が樹脂材料である場合であっても、フッ素系撥水剤とノズル形成部材との間で高い密着力を得ることができるようにすることを目的としたものである。
【0014】更には、フッ素系撥水剤とノズル形成部材との間で高い密着力を得ることにより、従来のように、密着性の悪さを撥水層の厚さでカバーする、すなわち、徐々に減ることを見込んで厚い膜を形成して摩耗に対応することで、膜形成時間,材料費などが大きくなりコストがかさむということがないようにすることを目的としてなされたものである。
【0015】更には、SiO2膜とパーフルオロポリオキセタンまたは変性パーフルオロポリオキセタンまたは双方の混合物との化学的結合により高い密着力を得ることを目的としてなされたものである。
【0016】更には、撥水膜のワイピング耐久性(撥水膜の密着性)の向上と紫外光レーザによるノズル孔加工時の被加工性はトレードオフの関係にあるが、この両特性が十分なレベルで両立する条件を得ることを目的としたものである。
【0017】更には、SiO2膜形成後、チャンバから取り出すことなくディッピングやスピンコートでのフッ素系撥水剤の成膜を行い、表面汚染等のために高い密着力が得られなくなることを防ぐことを目的とするものである。
【0018】更には、SiO2膜形成時に、Si材料を直接スパッタすることによって(換言すれば、SiO2を直接スパッタしないことによって)SiOが一部混ざったり、膜質が緻密でなかったりすることをなくし、良質な膜が形成されるようにすることを目的としてなされたものである。
【0019】更には、ノズル形成工程を短くすることにより、部品コストを低減することと、メッキ工法を行わないことにより、排水汚染などの環境問題を起こさないようにすることとを目的としてなされたものである。
【0020】更には、撥水膜のワイピング耐久性と紫外光レーザによるノズル孔加工時の被加工性とを両立したインクジェットヘッドを具備するインクジェット記録装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、インク滴を吐出する複数のノズルを有するノズル形成部材と、前記各ノズルが連通する複数のインク液室とを有し、前記各ノズルに対応するエネルギー発生手段を駆動することで前記インク液室内の容積を変化させ、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘッドにおいて、前記ノズル形成部材の表面がフッ素系撥水剤でコーティングされていること、及び前記ノズル形成部材と前記フッ素系撥水剤との間に、SiO2膜が形成されていることを特徴としたものである。
【0022】請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ノズル形成部材が、ポリイミド樹脂で形成されていることを特徴としたものである。
【0023】請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記フッ素系撥水剤の膜厚が、1Å以上30Å以下であることを特徴としたものである。
【0024】請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1の発明において、前記フッ素系撥水剤が、パーフルオロポリオキセタンまたは変性パーフルオロポリオキセタンまたは双方の混合物であることを特徴としたものである。
【0025】請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1の発明において、前記SiO2膜の膜厚が、1Å以上300Å以下であることを特徴としたものである。
【0026】請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1のインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッド製造方法において、前記フッ素系撥水剤は、前記SiO2膜が形成されたノズル形成部材に真空蒸着法でコーティングされることを特徴としたものである。
【0027】請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記フッ素系撥水剤の真空蒸着は、真空中での前記SiO2膜の形成に引き続いて同一チャンバ内で連続して行われることを特徴としたものである。
【0028】請求項8の発明は、請求項6または7の発明において、前記ノズル形成部材と前記フッ素系撥水剤との間に形成する前記SiO2膜は、前記ノズル形成部材に対してSiをスパッタ後、O2イオン処理をして形成することを特徴としたものである。
【0029】請求項9の発明は、請求項6乃至8のいずれか1の発明において、前記ノズル形成部材に前記SiO2膜を形成し、その後前記フッ素系撥水剤を真空蒸着した後、紫外光レーザでノズル孔を加工することを特徴としたものである。
【0030】請求項10の発明は、記録信号に応じて駆動される駆動素子の発生する駆動エネルギーにより、ノズルからインク滴を吐出して記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置であって、少なくとも請求項1乃至5のいずれか1のインクジェットヘッドを具備することを特徴としたものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の機構部の概略斜視図、図2は、同機構部の側面図で、このインクジェット記録装置は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0032】印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるインクジェットヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側にはインクジェットヘッド14に各色のインクを供給するための各インクタンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着している。
【0033】インクカートリッジ15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッド14へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッド14へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。このインクカートリッジ15からインクをインクジェットヘッド14内に供給する。
【0034】ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に装着し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0035】また、記録ヘッドとしてここでは各色のインクジェットヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のインクジェットヘッドでもよい。さらに、インクジェットヘッド14としては、後述するように、インク流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動板とこれに対向する電極とを備え、静電力で振動板を変形変位させてインクを加圧する静電型インクジェットヘッドを用いている。
【0036】一方、給紙カセット4にセットした用紙3をインクジェットヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25、及び、搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0037】そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3をインクジェットヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31,拍車32を設け、さらに、用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0038】記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じてインクジェットヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0039】また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、インクジェットヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37を配置している。回復装置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動されてキャッピング手段でインクジェットヘッド14をキャッピングされ、吐出口部(ノズル孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する(パージする)ことにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0040】吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でインクジェットヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等をクリーニング手段により除去し吐出不良を回復する。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0041】次に、図1に示したインクジェット記録装置のヘッド14を構成するインクジェットヘッドについて図3乃至図6を参照して説明する。ここで、図3は、図1に示したインクジェットヘッドの分解斜視図、図4は、同ヘッドの振動板長手方向に沿う断面図、図5は、同ヘッドの振動板長手方向に沿う要部断面図、図6は、同ヘッドの振動板短手方向に沿う要部断面図である。
【0042】インクジェットヘッド40は、単結晶シリコン基板,多結晶シリコン基板,SOI基板などのシリコン基板等を用いた第一基板である流路基板41と、この流路基板41の下側に設けたシリコン基板,パイレックス(登録商標)ガラス基板,セラミックス基板等を用いた第二基板である電極基板42と、流路基板41の上側に設けた第三基板であるノズル板43とを備え、複数のインク滴を吐出するノズル孔44、各ノズル孔44が連通するインク流路である加圧室46、各加圧室46にインク供給路を兼ねた流体抵抗部47を介して連通する共通液室流路48などを形成している。
【0043】流路基板41には加圧室46及びこの加圧室46の壁面である底部をなす第1電極を兼ねた振動板50を形成する凹部を形成し、ノズル板43には流体抵抗部47を形成する溝を形成し、また流路基板41と電極基板42には共通液室流路48を形成する貫通部を形成している。
【0044】ここで、流路基板41は、例えば、単結晶シリコン基板を用いた場合、振動板の厚さに予めボロンを注入してエッチングストップ層となる高濃度ボロン層を形成し、電極基板42と接合した後、加圧室46となる凹部をKOH水溶液などのエッチング液を用いて異方性エッチングすることにより、高濃度ボロン層がエッチングストップ層となって振動板50が高精度に形成される。また、多結晶シリコン基板で振動板50を形成する場合は、液室基板上に振動板となる多結晶シリコン薄膜を形成する方法、または、予め電極基板42を犠牲材料で平坦化し、その上に多結晶シリコン薄膜を成膜した後、犠牲材料を除去する方法で形成できる。
【0045】なお、振動板50に別途電極膜を形成してもよいが、ここでは、上述したように、不純物の拡散などによって振動板が電極を兼ねるようにしている。また、振動板50の電極基板42側の面に絶縁膜を形成することもできる。この絶縁膜としてはSiO2等の酸化膜系絶縁膜、Si34等の窒化膜系絶縁膜などを用いることができる。絶縁膜の成膜は、振動板表面を熱酸化して酸化膜を形成したり、成膜手法を用いたりすることができる。
【0046】さらに、この流路基板41には共通電極を設けている。この共通電極は、Al等の金属をスパッタしてシンタリング(熱拡散)することにより付設しており、流路基板41との導通を確保して、半導体基板よりなる流路基板41とオーミックコンタクトを取っている。
【0047】また、電極基板42には酸化膜層42aを形成し、この酸化膜層42aの部分に凹部54を形成して、この凹部54の底面に振動板50に対向する第2電極である電極55を設け、振動板50と電極55との間に所定のギャップ56(ここでは、ギャップ0.2μmとしている。)を形成し、これらの振動板50と電極55とによってアクチュエータ部を構成している。なお、電極55の表面にはSiO2膜などの酸化膜系絶縁膜、Si34膜などの窒化膜系絶縁膜からなる電極保護膜57を成膜しているが、電極55の表面に電極保護膜57を形成しないで、振動板50の側に絶縁膜を形成することもできる。
【0048】これらの流路基板41と電極基板42との接合は、接着剤による接合も可能であるが、より信頼性の高い物理的な接合、例えば、電極基板42がシリコンで形成される場合、酸化膜を介した直接接合法を用いることができる。この直接接合は1000℃程度の高温下で実施する。また、電極基板42がガラスの場合、陽極接合を行うことができる。電極基板42をシリコンで形成して、陽極接合を行う場合には、電極基板42と流路基板41との間にパイレックス(登録商標)ガラスを成膜し、この膜を介して陽極接合を行うこともできる。さらに、流路基板41と電極基板42にシリコン基板を使用して金等のバインダーを接合面に介在させた共晶接合で接合することもできる。
【0049】また、電極基板42の電極55としては、通常、半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられるAl,Cr,Ni等の金属材料や、Ti,TiN,W等の高融点金属、または不純物により低抵抗化した多結晶シリコン材料などを用いることができる。電極基板42をシリコンウエハで形成する場合には、電極基板42と電極55との間には絶縁層(上述した酸化膜層42a)を形成する必要がある。電極基板42にガラス等の絶縁性材料を用いる場合には電極55との間に絶縁層を形成する必要はない。
【0050】また、電極基板42にシリコン基板を用いる場合、電極55としては、不純物拡散領域を用いることができる。この場合、拡散に用いる不純物は基板シリコンの導電型と反対の導電型を示す不純物を用い、拡散領域周辺にpn接合を形成し、電極55と電極基板42とを電気的に絶縁する。
【0051】ノズル板43は多数のノズル孔44を二列配置して形成したものであり、吐出面には撥水処理を施している。ここでは、このノズル板43は、後に詳述するように、樹脂部材と金属部材との複層部材からなる。このノズル板43は流路基板41に接着剤にて接合している。
【0052】このように、このインクジェットヘッド40ではノズル孔44を二列配置し、この各ノズル孔44に対応して加圧室46,振動板50,電極55なども二列配置し、各ノズル列の中央部に共通液室流路48を配置して、左右の加圧室46にインクを供給する構成を採用している。これにより、簡単なヘッド構成で多数のノズルを有するマルチノズルヘッドを構成することができる。
【0053】そして、インクジェットヘッド40の電極55は外部に延設して接続部(電極パッド部)55aとし、これにヘッド駆動回路であるドライバIC60を搭載したFPCケーブル61を異方性導電膜などを介して接続している。このとき、電極基板42とノズル板43との間は、図4に示すように、エポキシ樹脂等の接着剤を用いたギャップ封止剤62にて気密封止している。
【0054】さらに、インクジェットヘッド40全体をフレーム部材65上に接着剤で接合している。このフレーム部材65にはインクジェットヘッド40の共通液室流路48に外部からインクを供給するためのインク供給穴66を形成しており、また、FPCケーブル61等はフレーム部材65に形成した穴部67に収納される。
【0055】このフレーム部材65とノズル板43との間は、図4に示すように、エポキシ樹脂等の接着剤を用いたギャップ封止剤68にて封止し、撥水性を有するノズル板43表面のインクが電極基板42やFPCケーブル61等に回り込むことを防止している。
【0056】そして、このインクジェットヘッド14のフレーム部材65にはインクカートリッジ15とのジョイント部材70が連結されて、フィルタ71を介してインクカートリッジ15からインク供給穴66を通じて共通液室流路48にインクが供給される。
【0057】このインクジェットヘッド40においては、振動板50を共通電極とし、電極55を個別電極として、振動板50と電極55との間に駆動電圧を印加することによって、振動板50と電極55との間に発生する静電力によって振動板50が電極55側に変形変位し、この状態から振動板50と電極55との間の電荷を放電させることによって振動板50が復帰変形して、加圧室46の内容積(体積)/圧力が変化することによって、ノズル孔44からインク滴が吐出される。
【0058】すなわち、個別電極とする電極55にパルス電圧を印加すると、共通電極となる振動板50との間に電位差が生じて、個別電極55と振動板50の間に静電力が生じる。この結果、振動板50は印加した電圧の大きさに応じて変位する。その後、印加したパルス電圧を立ち下げることで、振動板50の変位が復元して、その復元力により加圧室46内の圧力が高くなり、ノズル孔44からインク滴が吐出される。
【0059】次に、図7から図11を用いて、従来例及び本発明の詳細を説明する。図7は、従来のインクジェットヘッドの一例を示した断面図で、ノズル板43は樹脂部材101と高剛性部材102とを熱可塑性接着剤103で接合し、樹脂部材101の表面に微粉末層104及び撥水膜105を順次積層形成したものであり、樹脂部材101に所要精度のノズル孔44を形成し高剛性部材102にノズル孔44に連通するノズル連通口106を形成している。そして、このノズル板43は高剛性部材102側を接着剤で流路基板に接合している。微粉末層104はアンダーコート剤111に耐磨耗性を有する微粉末112を混合分散している。このように、樹脂材料の表面に耐磨耗性を有する微粉末層及び撥水層を順次積層することでワイピング耐性を向上させている。
【0060】しかし、この従来例では、アンダーコート層(微粉末層)104に加える微粉末の粒径は適当な範囲に入っている必要がある。すなわち、あまり粒径が大きいと次工程のエキシマレーザ加工でノズル孔を加工した際、ちょうどノズル外形部に粒子が存在するとエキシマレーザで加工しきれずに、凸状粒子として残ってしまうことになる。凸状粒子が残れば当然ノズル外周部が異形となり噴射特性に影響が出ることになる。また、粒径が小さすぎると撥水層のワイピング耐性が低下し、撥水性能が必要な寿命まで持たないことになる。また、粒径が小さくても、やはりノズル外周となる部分に粒子が存在すると、影響が小さいとはいえ、微小な凸状粒子は残るため、噴射特性への影響は少なからず発生することになる。
【0061】図8は、本発明のインクジェットヘッドの一実施例を示した図で、エキシマレーザ加工でノズル孔が形成された状態を示している。ノズル板43は樹脂部材121と高剛性部材125とを熱可塑性接着剤126で接合したもので、樹脂部材121の表面はSiO2薄膜層122とフッ素系撥水層123を順次積層形成したものであり、樹脂部材121に所要径のノズル孔44を形成し、高剛性部材125にはノズル孔44に連通するノズル連通口127を形成している。SiO2薄膜層122の形成には、比較的熱のかからない、すなわち、樹脂部材に熱的影響の発生しない範囲の温度で成膜可能な方法で形成する。具体的にはスパッタリング,イオンビーム蒸着,イオンプレーティング,CVD(化学蒸着法),P−CVD(プラズマ蒸着法)などが適しているといえる。
【0062】SiO2薄膜層122の膜厚は、密着力が確保できる範囲で必要最小限の厚さとするのが工程時間,材料費から見て有利である。この膜厚があまり厚くなると、エキシマレーザでのノズル孔加工に支障がでてくる場合があるからである。すなわち、樹脂部材121はきれいにノズル孔形状に加工されていても、SiO2薄膜層122の一部が十分に加工されず、加工残りになることがある。したがって、具体的には密着力が確保でき、エキシマレーザ加工時にSiO2薄膜層122が残らない範囲として、膜厚1Å〜300Åの範囲が適しているといえる。より好適には、10Å〜100Åの範囲が適している。実験結果では、SiO2膜厚が30Åでも密着性は十分であり、エキシマレーザによる加工性についてはまったく問題がなかった。また、300Åでは僅かな加工残りが観察されたが使用可能範囲であり、300Åを超えるとかなり大きな加工残りが発生し、使用不可能なほどのノズル異形が見られた。
【0063】フッ素系撥水層123に使用されるフッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、パーフルオロポリオキセタン及び変性パーフルオロポリオキセタンの混合物(ダイキン工業製、商品名:オプツールDSX)を1Å〜30Åの厚さに蒸着することで必要な撥水性を得ている。実験結果では、オプツールDSXの厚さは、10Åでも20Å,30Åでも撥水性,ワイピング耐久性能に差は見られなかった。よって、コストなどを考慮するとより好適には、1Å〜20Åが良い。また、フッ素系撥水層123の表面には樹脂製のフィルムに粘着材を塗布した粘着テープ124が貼り付けられていて、エキシマレーザ加工時の補助機能をはたしている。
【0064】図9は、ノズル孔を加工する際に使用するエキシマレーザ加工機の構成を示した図で、レーザ発振器81から射出されたエキシマレーザビーム82はミラー83,85,88によって反射され、加工テーブル90に導かれている。レーザビーム82が加工テーブル90に至るまでの光路には、加工物に対して最適なビームが届くように、ビームエキスパンダ84,マスク86,フィールドレンズ87,結像光学系89が所定の位置に設けられている。加工物(ノズルプレート)91は加工テーブル90の上に載置され、レーザビームを受けることになる。加工テーブル90は、周知のXYZテーブル等で構成されていて、必要に応じて加工物91を移動し所望の位置にレーザビームを照射することができるようになっている。ここでレーザは、エキシマレーザを利用して説明したが、アブレーション加工が可能である短波長な紫外光レーザであれば、種々なレーザが利用可能である。
【0065】図10は、本発明のインクジェットヘッドの製造方法におけるノズル板製造工程を模式的に示した図で、図10(A)は、ノズル形成部材の基材となる材料を示しており、ここでは、樹脂フィルム121として、例えば、Dupont製ポリイミドフィルムであるカプトン(商品名)の粒子無しのフィルムを使用している。一般的なポリイミドフィルムはロールフィルム取り扱い装置での取り扱い性(滑り)からフィルム材料の中にSiO2(シリカ)などの粒子が添加されている。ところが、エキシマレーザでノズル孔加工を行う場合には、SiO2(シリカ)の粒子がエキシマレーザによる加工性が悪いためノズル異形が発生する。よって、本発明の材料は、SiO2(シリカ)の粒子が添加されていないフィルムを使用しているのである。
【0066】図10(B)は、樹脂フィルム121の表面にSiO2薄膜層122を形成する工程を示しており、このSiO2薄膜層122の形成は真空チャンバ内で行われるスパッタリング工法が適しており、膜厚は数Å〜200Å程度が適しており、ここでは10〜50Åの厚さに形成している。ここで、スパッタリングの方法としては、Siをスパッタした後、Si表面にO2イオンを当てることでSiO2膜を形成する方法を用いることが、SiO2膜の樹脂フィルム121への密着力が向上すると共に、均質で緻密な膜が得られ、撥水膜のワイピング耐久性向上により効果的であることがわかった。
【0067】図10(C)は、フッ素系撥水剤123aを塗布する工程であり、塗布方法としては、スピンコータ,ロールコータ,スクリーン印刷,スプレーコータなどの方法が使用可能であるが、真空蒸着で成膜する方法が撥水膜の密着性を向上させることにつながるので、より効果的であることが確認された。また、その真空蒸着は、図10(B)でのSiO2薄膜層122を形成した後、そのまま真空チャンバ内で実施することでさらに良い効果が得られることもわかった。すなわち、従来は、SiO2薄膜層122を形成後、一旦真空チャンバからワークを取り出すので、不純物などが表面に付着することにより密着性が損なわれるものと考えられる。なお、フッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、フッ素非晶質化合物としてパーフルオロポリオキセタンまたは変形パーフルオロポリオキセタンまたは双方の混合物を使用することで、インクに対する必要な撥水性を得ることができた。前述のダイキン工業製「オプツールDSX」は「アルコキシシラン末端変性パーフルオロポリエーテル」と称されることもある。
【0068】図10(D)は、撥水膜蒸着後の空中放置工程であり、これによりフッ素系撥水剤123aとSiO2薄膜層122とが、空気中の水分を仲介として化学的結合をし、フッ素系撥水層123になる。
【0069】図10(E)は、粘着テープ124を貼り付ける工程であり、フッ素系撥水層123の塗布された面に粘着テープ124を貼り付ける。この粘着テープ124を貼るときには気泡が生じないように貼り付けることが必要である。気泡があると、気泡のある位置に開けたノズル孔は、加工時の付着物などで品質の良くないものになってしまうことがあるからである。
【0070】図10(F)は、ノズル孔44の加工工程で、ポリイミドフィルム121側からエキシマレーザを照射してノズル孔44を形成する。ノズル孔44の加工後は、粘着テープ124を剥がして使用することになる。なお、ここでは、図8で説明したノズル板43の剛性を上げるために用いられる高剛性部材125は説明を省略したが、この工程に適用すれば、図10(D)工程と図10(E)工程の間に実施するのが適当である。
【0071】図11は、本発明におけるインクジェットヘッド製造方法によりインクジェットヘッドを製造する際に使用する装置について概要を示す図で、この装置200は、USAのOCLI(OPTICAL COATING LABORATORY INC.)が開発した、「メタモードプロセス」と呼ばれる工法を装置化したものであり、ディスプレイなどの反射防止・防汚膜の作製に使用されている。図にあるように、ドラム201の周囲4個所にステーションであるSiスパッタ202,O2イオンガン203,Nbスパッタ204,オプツール蒸着205が配置されて、全体が真空引きできるチャンバの中にある。先ずSiスパッタ202によりSiをスパッタし、その後、O2イオンガン203によりO2イオンをSiに当ててSiO2とする。そのあとNbスパッタ204,オプツール蒸着205でNb,オプツールDSXを適宜蒸着する。反射防止膜の場合は、NbとSiO2を所定の厚さで必要層数重ねた後蒸着することになる。本発明の場合は、反射防止膜の機能は必要ないので、Nbは不要でSiO2,オプツールDSXを1層ずつつければ良い。この装置を使用することで、上述したように、SiO2薄層122を形成した後、そのまま真空チャンバ内でオプツールDSXの真空蒸着を実施するのが可能となる。
【0072】
【発明の効果】(請求項1の効果)ノズル形成部材とフッ素系撥水剤の間にSiO2膜を介在させることで、フッ素系撥水剤が化学的結合によりSiO2膜と密着するため、ノズル形成部材との密着力が高くなり、ワイピングなどの擦りに対し強い耐性を持つ撥水膜が得られる。
【0073】(請求項2の効果)ノズル形成部材をポリイミド樹脂で形成したので、ノズル孔の加工方法の選択範囲が広くなり、具体的には、紫外光レーザ加工での精度の高いノズル孔加工が効率的に、且つ、低コストで可能となった。
【0074】(請求項3の効果)SiO2膜とフッ素系撥水剤が化学的結合により密着するため、フッ素系撥水膜を非常に薄くすることが可能になり、必要材料が低減でき、且つ、処理時間も短縮できコストダウンができた。
【0075】(請求項4の効果)パーフルオロポリオキセタンまたは変性パーフルオロポリオキセタンまたは双方の混合物をフッ素系撥水剤として使用することで、撥水膜のワイピング耐久性の向上と紫外光レーザによる加工性の向上を両立することができた。すなわち、パーフルオロポリオキセタンまたは変性パーフルオロオキセタンまたは双方の混合物とSiO2膜との密着性が高いので、SiO2膜厚及び撥水剤膜厚を薄くすることができ、紫外光レーザによる加工が良好になった。
【0076】(請求項5の効果)請求項4の効果で記載したように、SiO2膜厚を薄くすることが可能になったため、紫外光レーザによる加工が良好となり、精度の高いノズル孔加工が効率的に、且つ、低コストで可能となった。
【0077】(請求項6の効果)フッ素系撥水剤を真空蒸着によって形成するため、薄く均質で、且つ、SiO2膜との密着性が高い撥水膜が得られる。
【0078】(請求項7の効果)真空中で連続してSiO2蒸着処理とフッ素系撥水膜蒸着処理とを行うため、SiO2膜とフッ素系撥水膜との間がゴミ,汚れなどで汚染される恐れがなくなり、SiO2膜とフッ素系撥水膜との間で高い密着性が得られる。
【0079】(請求項8の効果)Siをスパッタ後、O2イオン処理をしてSiO2膜を形成するため、緻密、且つ、均質で完全なSiO2膜が形成でき、ノズル形成部材とフッ素系撥水剤双方共に、SiO2膜と強固な密着性を得ることができる。
【0080】(請求項9の効果)SiO2膜とフッ素系撥水剤の真空蒸着を同一チャンバ内で連続して行った後、紫外光レーザ加工によりノズル孔を形成するため、SiO2膜を薄くしてもSiO2膜とフッ素系撥水膜との密着力、ワイピング耐久性が確保できると共に、SiO2膜を薄くすることで、紫外光レーザによる加工性も確保できる。すなわち、精度の高いノズルを低コストで実現できる。
【0081】(請求項10の効果)低コストで、画像品質が高く、安定した性能を持つインクジェット記録装置が提供可能となる。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
【出願日】 平成14年5月30日(2002.5.30)
【代理人】 【識別番号】100079843
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 明近 (外1名)
【公開番号】 特開2003−341070(P2003−341070A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−157017(P2002−157017)