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【発明の名称】 インクジェット記録装置
【発明者】 【氏名】及川 真樹
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノン株式会社内

【要約】 【課題】記録ヘッドの駆動において、各ノズル列における設計値の違いや、製造バラツキを検知または認識し、それぞれ駆動制御することにより、吐出速度、吐出量、安定性をより適正化できる。

【解決手段】各ノズル列数分の駆動信号供給手段を持ち、各ノズル列のインク供給開口部の大きさや位置、配線抵抗に応じて駆動パルス制御をする。また製造バラツキについてもそれぞれ各ノズル列に応じて検知し、その出力に応じて、駆動パルス制御をする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インクを吐出するための複数のノズルと、各ノズルに設けられ、かつ前記インクを吐出するための駆動信号を印加することによってエネルギーを発生させる記録素子とを備えた記録ヘッド用基板において、複数のノズル列と、複数のインク供給開口部と、各ノズル列をそれぞれ駆動する複数の駆動信号供給手段と、インク供給開口部の大きさまたは位置を検出または認識する手段を有し、該検出または認識手段の出力に応じて、各ノズル列それぞれの駆動パルス制御を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】 インクを吐出するための複数のノズルと、各ノズルに設けられ、かつ前記インクを吐出するための駆動信号を印加することによってエネルギーを発生させる記録素子とを備えた記録ヘッド用基板において、複数のノズル列と、各ノズル列をそれぞれ駆動する複数の駆動信号供給手段と、各ノズル列の素子抵抗値を検出または認識する手段を有し、該検出または認識する手段の出力に応じて、各ノズル列それぞれの駆動パルス制御を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】 請求項1の構成において、該インク供給開口部の大きさを検出または認識する手段は、ノズル列方向に垂直である方向の幅を検出または認識するものであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】 請求項1の構成において、該インク供給開口部の位置を検出または認識する手段は、ノズル内の該記録素子とインク供給部の距離を検出または認識することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】 請求項1,2の構成において、該駆動パルスは、第一と第二のパルスから成るダブルパルスであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】 請求項3及び5の構成において、該インク供給開口部の大きさを検出または認識する手段の検出または認識値が大きいほど、駆動制御パルスの第一のパルス幅を大きくすることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】 請求項3及び5の構成において、該インク供給開口部の位置を検出または認識する手段の検出または認識値が小さいほど、駆動制御パルスの第一のパルス幅を大きくすることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】 請求項2の構成において、該素子抵抗値を検出または認識する手段は、各ノズル列の素子抵抗値のあるひとつを検出または認識することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】 請求項2の構成において、該素子抵抗値を検出または認識する手段は、各ノズル列のそれぞれの素子抵抗値の少なくとも2つ以上の平均値を検出または認識することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】 請求項2の構成において、該素子抵抗値を検出または認識する手段の検出または認識値の値が大きいほど駆動制御パルスの第二のパルス幅を大きくすることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】 請求項3の構成において、該インク供給開口部の大きさを検出または認識する手段の検出または認識値が大きいほど、発泡が大きくなるように駆動制御パルスを制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項12】 請求項4の構成において、該インク供給開口部の位置を検出または認識する手段の検出または認識値が小さいほど、発泡が大きくなるように駆動制御パルスを制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】 請求項1の構成において、インク供給開口部の周囲にあって、インク供給開口部を開ける前段階においてインク供給開口部にオーバーラップされるように周回させる配線パターンと、該配線パターンに通電して抵抗値を検出する手段とを有し、インク供給開口部の大きさまたは位置を検出または認識する手段は、該配線パターンの抵抗値によって行われることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項14】 請求項13の構成において、該配線パターンはTa層であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項15】 請求項2の構成において、該記録素子にエネルギーを供給する陽極配線層と、陰極配線層と、該陽極配線層及び陰極配線層上に設けたダミー配線パターンと該ダミー配線パターンに通電して抵抗値を検出する手段とを有し、該素子抵抗値検出または認識する手段は、該ダミー配線の抵抗値によって行われることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項16】 請求項15の構成において、該ダミー配線パターンはTa層であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録装置および記録方法に関し、特に熱エネルギーを利用してインクを吐出する形態のインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、数多くの記録装置が使用されるようになり、これらの記録装置に対して、高速記録、高解像度、高画像品質、低騒音などが要求されている。このような要求に応える記録装置として、インクジェット装置をあげることができる。インクジェット式は、記録ヘッドの吐出口からインク(記録液)滴を吐出飛翔させ、これを被記録材に付着させて記録するように構成されている。このインクジェット記録装置では、記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行うために非接触で印字が可能でありこのために非常に安定した記録画像を得ることができる。
【0003】従来においてはノズル列方向の罫線を出来るだけ直線状に印字可能なように複数あるノズルを出来るだけ短時間に吐出しようとするものが多かった。しかし従来の駆動方法にあっては、ノズル数が増加すると、同時に駆動するノズル数を増やすことになり、電圧降下や一時的に共通液室内の負圧のレベルが非常に高くなりリフィルが間に合わなくなる。そのため、すべてのノズルをいくつかのブロックに分け、時分割して駆動する方法が取られている。時分割駆動をにおいては、ノズルの位置を調節したり、ノズル列を傾けるなどして罫線が直線になるように調整している。
【0004】また駆動信号においては、当初1つの矩形波によるシングルパルスによる駆動であったが、それでは所望の吐出量、吐出速度、リフィル周波数等が得られない。そのため1つのインク滴を吐出するのに対して複数の矩形波を供給することがなされている。特にヒータに熱をかけて、インクを発泡させ吐出するサーマルインクジェット方式では、図6に示すように2つの矩形波によるダブルパルス駆動が一般的である。これは、第1のパルスP1(プレパルス)によりヒータ上のインクを保温し、P2の休止時間の後、第2のパルスP3(メインパルス)によりインクを発泡させるというものでありシングルパルスに比べ効率が良い。またこのダブルパルスにより、プレパルスP1の期間や第1と第2のパルスの休止時間P2を変化させることによって、吐出量、吐出速度を制御することができる。
【0005】さらには前記記録装置で用いられる記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクに気泡を生成し、その気泡の生成に基づいてインクを吐出するものであるが、発生した熱エネルギーは、吐出に際しすべて消費されることはなく、残りの熱エネルギーは蓄積され、結果として記録ヘッドが記録特性に悪影響を及ぼす程の昇温を生じることがある。一般には前記昇温により、記録液(インク)の粘性が下がり、所定の吐出量より増えてしまい画像に悪影響を及ぼしたり、インクの使用量が増えるためランニングコストの増加につながることがある。また昇温が大きい場合には不吐出や記録ヘッドの損傷につながることがある。
【0006】そこで従来では、装置や記録ヘッド自体に放熱部材を設けたり、記録ヘッドに所定の冷却のための時間を与えたりするなどの対策が行われてきた。
【0007】また最近では更なる高速記録、高解像度の要求され、ノズル数が数百から数千となり、駆動周波数が数十kHzという高速駆動が必要とされている。そのため、従来の駆動方式では、時分割駆動による1ブロック毎における同時駆動素子数が増大し、そのため瞬間最大電流が増大し電源電圧の途中配線による電圧降下が大きくなる。印字データにより同時駆動素子数は変化するのだが、同時駆動素子数が大きくなった時において吐出に必要な電圧がヒータにかからなくなり吐出しなくなるということがある。この解決手段として、配線抵抗を極力小さくし、最大電圧降下分マージンをもたせ、設定電圧を上げるという方法が取られている。
【0008】しかしながら、上記の設定電圧をあげる方法では、更なる多ノズル化、高速化のため、駆動素子の耐圧には限界があるため、対応が困難になってきている。また同時駆動素子数が小さい時、ヒータに過大なエネルギーが投入され、熱効率が悪いのはもとより、ヒータの耐久性を著しく落としてしまうという弊害が顕著化し問題として発生していた。
【0009】この解決手段として、特開平9−11504にあるように、同時駆動素子数をカウントし、駆動パルスや駆動電圧を制御する方法がある。これは、同時駆動素子数をカウントし、電圧降下分の電力ロスを計算し、駆動パルスや駆動電圧を制御することにより上記不吐出を補償するという方法がある。これは、同時駆動数により計算された適性な駆動パルス及び駆動電圧が設定されるため、熱効率や、ヒータの耐久性に大変有効である。
【0010】また図2は、具体的に各電気熱変換素子毎の個別のインク流路を形成するための隔離壁がインク供給口まで達している構成を持つインクジェットプリントヘッドである。これらのプリントヘッドは特開平4-10940号公開公報、特開平4-10941号公開公報に記載のインクジェット記録方法を特徴とするインク滴吐出手段、すなわち吐出時の発泡を外気と連通させる特徴を持つ。なお、各図とも電気熱変換素子を配した基板の正面から見た拡大図および、A-A'、B-B’方向の垂直断面図を示している。
【0011】8は、インク供給口でエネルギー発生素子が設けられた基板を貫通して形成することが一般的である。このインク供給口の形成方法としては、ドリル等の機械的手段、レーザー等の光エネルギーの使用、あるいは化学的なエッチングによる方法などが知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記インク供給口の開口部は、製造工程上、バラツキをもって製造されるものである。一般的に、ドリル等の機械的手段にくらべ、レーザーや、エッチングに形成される供給口は、マスクによって大きさが決定されるため、大変精度が良いことが知られれている。しかしながら、最近では、コストダウン化のため、主に半導体プロセスによりSiウェハーなどから作成される基板サイズ(チップサイズ)の小サイズ化、高密度化が進められているため、エッチングなどの高精度の吐出口製法でも必要な精度が得られないといった問題が発生していた。また、ヒータにエネルギーを供給する電気的配線についても、チップサイズを小さくするため、配線抵抗大きくなり、バラツキが大きくなるという問題も同時に起きていた。
【0013】図1に示すように、複数のノズル列を備え、かつインク供給口のサイズがノズル列毎に異なるものが、複数存在していたりするチップに対しては問題が顕著である。配線抵抗においても、1ノズル列におけるノズル数が増加し、かつチップサイズを小さくしているため、特開平10-44416に記載されているように、個々の発熱抵抗体と電極パッド間の配線抵抗値をほぼ等しくなるようにするため、配線抵抗値が増大していた。そのため、従来の精度による半導体プロセスにおける配線の形成において、必要とされる精度が得られなくなっていた。図1に示す構成において、配線に当てられる領域R1、R2、R3とあるように、配線幅が異なっており、特にノズル列内のバラツキより、ノズル列毎におけるバラツキが顕著である。
【0014】従来の制御では、駆動パルスを各ノズル列において共通とし、同じ信号を供給していたが、製造バラツキなどにより、各ノズル列の吐出量やリフィル周波数など吐出特性が変化し、印字列毎に濃度が異なるなどの問題が発生していた。
【0015】また同時駆動における瞬間最大電流がばらつくため、必要な電圧がヒータにかからなくなり、印字が乱れたり、吐出しなくなるということが発生してしまう。その解決手段として、最大電圧降下分マージンをもたせ、設定電圧を上げるという方法があるが、同時駆動素子数が小さい時、ヒータに過大なエネルギーが投入され、熱効率が悪いのはもとより、ヒータの耐久性を著しく落としてしまうという弊害が発生したり、更なる多ノズル化、高速化のため、駆動素子の耐圧には限界があるため、対応が困難になったりしていた。
【0016】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、各ノズル列数分の駆動信号供給手段を持ち、各ノズル列のインク供給開口部の大きさや位置を検知し、また各ノズル列における素子抵抗値を検知し、その出力に応じて、駆動パルス制御をすることにより、上記バラツキをもった複数ノズルを備えたヘッドにおいても、吐出速度、吐出量、安定性をより適正化することにができ、印字品位劣化、非効率など諸問題を解決することができる。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記載の発明においては、インクを吐出するための複数のノズルと、各ノズルに設けられ、かつ前記インクを吐出するための駆動信号を印加することによってエネルギーを発生させる記録素子とを備えた記録ヘッド用基板において、複数のノズル列と、複数のインク供給開口部と、各ノズル列をそれぞれ駆動する複数の駆動信号供給手段と、インク供給開口部の大きさまたは位置を検出または認識する手段を有し、該検出または認識手段の出力に応じて、各ノズル列それぞれの駆動パルス制御を行うことを特徴とするものである。
【0018】また、請求項2に記載の発明においては、インクを吐出するための複数のノズルと、各ノズルに設けられ、かつ前記インクを吐出するための駆動信号を印加することによってエネルギーを発生させる記録素子とを備えた記録ヘッド用基板において、複数のノズル列と、各ノズル列をそれぞれ駆動する複数の駆動信号供給手段と、各ノズル列の素子抵抗値を検出または認識する手段を有し、該検出または認識手段の出力に応じて、各ノズル列それぞれの駆動パルス制御を行うことを特徴とするものである。
【0019】また、請求項3に記載の発明においては、該インク供給開口部の大きさを検出または認識する手段は、ノズル列方向に垂直である方向の幅を検出または認識するものであることを特徴とするものである。
【0020】また、請求項4に記載の発明においては、該インク供給開口部の位置を検出または認識する手段は、ノズル内の該記録素子とインク供給部の距離を検出または認識することを特徴とするものである。
【0021】また、請求項5に記載の発明においては、該駆動パルスは、第一と第二のパルスから成るダブルパルスであることを特徴とするものである。
【0022】また、請求項6に記載の発明においては、該インク供給開口部の大きさを検出または認識する手段の検出または認識値が大きいほど、駆動制御パルスの第一のパルス幅を大きくすることを特徴とするものである。
【0023】また、請求項7に記載の発明においては、該インク供給開口部の位置を検出または認識する手段の検出または認識値が小さいほど、駆動制御パルスの第一のパルス幅を大きくすることを特徴とするものである。
【0024】また、請求項8に記載の発明においては、該素子抵抗値を検出または認識する手段は、各ノズル列の素子抵抗値のあるひとつを検出または認識することを特徴とするものである。
【0025】また、請求項9に記載の発明においては、該素子抵抗値を検出または認識する手段は、各ノズル列のそれぞれの素子抵抗値の少なくとも2つ以上の平均値を検出または認識することを特徴とするものである。
【0026】また、請求項10に記載の発明においては、該素子抵抗値を検出または認識する手段の検出または認識値の値が大きいほど駆動制御パルスの第二のパルス幅を大きくすることを特徴とするものである。
【0027】また、請求項11に記載の発明においては、該インク供給開口部の大きさを検出または認識する手段の検出または認識値が大きいほど、発泡が大きくなるように駆動制御パルスを制御することを特徴とするものである。
【0028】また、請求項12に記載の発明においては、該インク供給開口部の位置を検出または認識する手段の検出または認識値が小さいほど、発泡が大きくなるように駆動制御パルスを制御することを特徴とするものである。
【0029】また、請求項13に記載の発明においては、インク供給開口部の周囲にあって、インク供給開口部を開ける前段階においてインク供給開口部にオーバーラップされるように周回させる配線パターンと、該配線パターンに通電して抵抗値を検出する手段とを有し、インク供給開口部の大きさまたは位置を検出または認識する手段は、該配線パターンの抵抗値によって行われることを特徴とするものである。
【0030】また、請求項14に記載の発明においては、該配線パターンはTa層であることを特徴とするものである。
【0031】また、請求項15に記載の発明においては、該記録素子にエネルギーを供給する陽極配線層と、陰極配線層と、該陽極配線層及び陰極配線層上に設けたダミー配線パターンと該ダミー配線パターンに通電して抵抗値を検出する手段とを有し、該素子抵抗値検出または認識する手段は、該ダミー配線の抵抗値によって行われることを特徴とするものである。
【0032】また、請求項16に記載の発明においては、該ダミー配線パターンはTa層であることを特徴とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】図9は本発明が実施もしくは適用される好適なマルチヘッドで紙面上を印字していく際のプリンタ部の構成を示したものである。ここでは、4色分のノズル列を備えた上記記録ヘッドを記録走査方向に備えたものとしている。この図において、701はインクカートリッジである。これらは、4色のカラーインク、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローが詰め込まれたインクタンクと記録ヘッド702より構成されている。
【0034】703は紙送りローラで704の補助ローラとともに印字紙707を抑えながら図の矢印の方向に回転し、印字紙707をy方向に随時送っていく。また705は給紙ローラであり印字紙の給紙を行うとともに、703、704と同様、印字紙707を抑える役割も果たす。706は4つのインクカートリッジを支持し、印字とともにこれらを移動させるキャリッジである。これは印字を行っていないとき、あるいはマルチヘッドの回復作業などを行うときには、図の点線で示した位置のホームポジション(h)に待機するようになっている。
【0035】印字開始前、ホームポジションにあるキャリッジ706は、印字開始命令がくると、x方向に移動しながら、マルチヘッド702上のn個のマルチノズルにより、紙面上に幅Dだけ記録する。この記録は、エンコーダの読み取りタイミングに従い、前述発熱素子を記録信号に基づいて駆動し、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順に被記録材上にインク液滴を吐出、付着させることで画像を形成している。紙面端部までデータが終了するとキャリッジは元のホームポジションに戻り、再びx方向(往走査方向)への印字を行う。あるいは、往復印字であれば、−x方向(復走査方向)に移動しながら印字を行ってしまう。この最初の印字が終了してから2回目の印字が始まるまでに、紙送りローラ703が矢印方向へ回転することにより幅Dだけy方向への紙送りを行う。この様にしてキャリッジ1スキャンごとにマルチヘッド幅Dだけy方向への紙送りを行う繰り返しにより、一紙面上のデータ印字が完成するのである。
【0036】また図12は、本発明が実施もしくは適用される好適なヘッドカートリッジ、記録ヘッド、インクタンクのそれぞれ及びそれぞれの関係を説明するための説明図である。以下、これらの図面を参照して各構成要素の説明を行う。
【0037】本発明の記録ヘッドH1001は、図12(a)及び図12(b)の斜視図でわかるように、記録ヘッドカートリッジH1000を構成する一構成要素であり、記録ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と記録ヘッドH1001に着脱自在に設けられたインクタンクH1900(H1901,H1902,H1903,H1904)とで構成されている。この記録ヘッドカートリッジH1000は、インクジェット記録装置本体に載置されているキャリッジM4001(不図示)の位置決め手段及び電気的接点によって固定支持されるとともに、該キャリッジM4001に対して着脱可能となっている。インクタンクH1901はブラックのインク用、インクタンクH1902はシアンのインク用、インクタンクH1903はマゼンタのインク用、インクタンクH1904はイエローのインク用である。この様にインクタンクH1901,H1902,H1903,H1904のそれぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となり、それぞれのインクタンクが交換可能となっていることにより、インクジェット記録装置における印刷のランニングコストが低減される。
【0038】(実施例)以下に本発明の実施例を図面を参照しながら具体的に説明する。
【0039】図10は本実施例におけるカラーインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。図において、161はCCD等による原稿画像を光学的に読み取るあるいはホストコンピュータやビデオ機器等から画像輝度信号(RGB)を入力する画像入力部を示し、162は各種パラメータの設定及び印字開始を支持する各種キーを備えている操作部を示している。163はROM中の各種プログラムに従って本記録装置全体を制御し、インク吐出制御手段を構成するCPUを示している。164は制御プログラム・エラー処理プログラムに従って本記録装置を動作させるためのプログラム等を格納しているROMを示している。ここでは、本発明に使用しているインク供給開口部−駆動テーブル、素子抵抗値−駆動テーブルを図示している。
【0040】165はRAMで、aは印字データ展開用、bは設定ノズル列情報、cは設定パルス幅を格納するエリアを示している。そして166は画像信号処理を行う処理部を示し、167は記録時に画像信号処理部で処理した画像信号に基づいてドット画像を形成する記録ヘッド部を示している。168は本装置内のアドレス信号、データ、制御信号等を伝送するバスラインを示している。
【0041】次に167の記録ヘッド部における記録ヘッド基板について説明する。図1は、本実施例を実施する最適な記録ヘッド基板の模式図であり、ノズル部を拡大したものが、図2である。図1において、8はインク供給開口部であり、2はノズル、1は2内にあるインクを正面に飛ばすための記録素子(ヒータ)である。301は個々の記録素子1に駆動電気エネルギーを伝える配線であり、300の電極パッドに接続され、この電気パッドはTABなどの配線部品をワイヤボンディングすることにより、外部の電源供給系に接続される。本実施形態の記録ヘッド部は、それぞれd1〜d5に示すインク供給幅をもつ5つのインク供給開口部と6つのノズル列を備え、インク供給部の両端にノズルを配置する列と、片方にのみノズル列を配置したものがある。また配線301は、限られたチップサイズの中に6列のノズルを最適に配置するため、R1〜R3に示されるような配線領域の幅が様々となっている。図2はノズルを配した基板の正面から見た拡大図および、A-A'、B-B’方向の垂直断面図を示している。本発明における重要なパラメータとして、図2のtに示される距離が記録素子とインク供給開口部の位置(距離)である。
【0042】次に図5はインクジェット記録ヘッドの電気的構成を説明するための回路図である。本実施例におけるインクジェット記録ヘッドの1つのノズル列は、図5に示すように、160bitのヒータエレメントがあり、10bitずつ16分割(ブロック)に時分割駆動される構成になっている。この動作を図5(b)、(c)に示すタイミングチャートに従って説明する。
【0043】図5(b)は1ブロックにおける印字ビット及び印字ブロックのデータ転送の様子を示したタイミングチャートである。図5のCLK端子より発する、図7のCLK信号のエッジタイミングに従って、図5のDATA端子より発する、図7のDATA+BE信号が出力される。DATA+BE信号は図7下の表にあるように、入力順序1〜10のものは印字データ信号、すなわちヒータのオンオフを示すもので、図5の10bitS/R(シフトレジスタ)に順次格納される。また入力順序11〜16のものは印字ブロック信号、すなわちヒータの駆動ブロックを示すもので、図5の6bitS/R(シフトレジスタ)に順次格納される。
【0044】1ブロック分の印字ビット及び印字ブロックのデータ転送が終わると、図5のLT端子より発する、図8のLT信号の立ち上がりエッジによって、図5の10bitS/R、6bitS/Rのデータは、10bitLATCH、6bitLATCHにそれぞれラッチされる。
【0045】次に図8は1ラスタにおける印字ビット及び印字ブロックのデータ転送とヒータエレメントの駆動を示したタイミングチャートである。1ブロックのデータの転送がおわると、次のブロックより、データの転送とヒータエレメントの駆動は同時に行われることになる。LT信号に従い、6bitLATCHにラッチされたブロックデータは図5のデコーダによって図8の下の表に示すように16本のデコード出力(BE0〜15)になる。BE0〜15はそれぞれ10本のヒータエレメントのドライバーに接続されている。次に図5のHE端子よりHE信号が入力される。ここでHEはLowアクティブである。HE端子はすべてのヒータエレメントのドライバに接続されている。また10bitLATCHにラッチされた印字データは、10本がそれぞれ16本のヒータに接続され、印字データとブロックデータのマトリクスにより160bitのヒータエレメントが選択駆動できる構成になっている。またHEは駆動パルス幅を設定するものである。すなわちBEとDATAとHEはドライバーでAND回路(図示せず)に接続され、すべてがオンされると図8に示すVH電流がヒータエレメントに流れることになる。図8に示すようにBE0からBE15のブロックデータを送りを印字データに従って順次それぞれ駆動することにより1ラスタにおける160bitのヒータエレメントが選択的に駆動される。
【0046】ここで、本発明の請求項にあるように、HEが各ノズル列をそれぞれ駆動する複数の駆動信号供給手段であり、HE端子をそれぞれ各ノズル列数分供給すれば良い。他のLT、CLK端子は、6ノズル列共通の信号を供給することで、駆動できる。
【0047】次に本発明の第一の実施例における制御方法を図1、図2、図3、図4、図10、図11、図13を用いて説明する。まず、記録ヘッドが製造される工程において、請求項にあるように、図1の各ノズルにおける、インク供給開口部の大きさd1〜d5と図2のtの示す配置t1〜t6(ノズル列数分)を認識する必要がある。インク供給口の大きさを認識する手段として、図13に示す検知用のTa配線Ta1の抵抗値を測定する手段が有効である。図13は、図1のインク供給開口部を開ける前段階のヘッド基板において、インク供給開口部周り及び配線部の拡大模式図である。請求項にあるように、インク供給開口部の周囲に、インク供給開口部が開けられる位置にオーバーラップして、インク供給開口部大きさ検知用Ta配線Ta1が張られている。次にインク供給開口部8が開けられるが、図に示すように、製造工程で401aから401bまで大きさがばらつく。このとき、同時に検知用配線Ta1がインク供給開口部のバラツキによって侵食される。このインク供給開口部の大きさのバラツキは、電極400間に通電し、検知用配線Ta1の抵抗値を読み取ることで検知することが出来るのである。位置についても、それぞれ、ノズル列に配線をつけるなどすれば検知することが可能である。また図11にあるように、レーザー測長などを用いることによって、検知する手段であっても良い。
【0048】次に各ノズル列の素子抵抗値を測定する。これも図13に示す検知用のTa配線Ta2の抵抗値を測定する手段が有効である。請求項にあるように、記録素子1に駆動電気エネルギーを伝える配線301上に配線抵抗検知用Ta配線Ta2が張られている。図1説明にあるように、製造工程で配線301はノズル列によって、バラツキをもつ。そこで、請求項にあるように電極400間に通電し、配線抵抗検知用配線Ta2の抵抗値を読み取ることで検知することが出来るのである。これは、請求項にあるように、個々のノズル抵抗値の平均でもいいし、ある一つの抵抗値で代用してもよい。図1の説明にあるように、ノズル列毎によるバラツキ値は、配線抵抗部領域R1〜R3に示される幅で決定されるため、個々のノズルにおける抵抗値のバラツキは、特開平10-44416にある手段により抑えることが可能である。
【0049】本実施例では、製造工程で測定するといった手段を例にあげたが、図1にあるように、d1〜d5に示すインク供給開口部幅が設計値より異なっており各ノズル列のバラツキは設計値で決定されることもあるので設計値をそのまま利用しても良い。素子抵抗値についても、ノズル列毎によるバラツキ値は、配線抵抗部領域R1〜R3に示される幅で決定されるため、測定工程をしなくとも、設計値により決定したり、配線幅より予測制御することも可能である。
【0050】次に、検知及び認識されたそれぞれのノズル列のインク供給開口部大きさや、素子抵抗値情報を、図10の165RAMにあるb設定ノズル列情報に格納する。本件では、記録装置内におけるRAMとしたが、これは、例えば記録ヘッド内にEEPROMなどを設けてその中に情報をEEPROM書き込み装置などを利用して、格納しても良い。
【0051】次に実際に印字が実行される時において、説明する。図3、図4は図10のROM164における各ノズル列情報から駆動パルスを導く変換テーブルの一例である。まずスタンバイ状態から、印字信号が画像入力部161より入力される。次に画像信号処理部166において、データバッファに格納される。次に画像処理部166に一時格納された印字信号は、RAM165のデータ展開用エリアaに展開される。次にCPU163は、165bにあるノズル列情報を参照し、図3、図4に示されるテーブルにより、各ノズル列の駆動パルスを決定し、RAM165の設定パルス幅cに書き込まれる。
【0052】次に図3、図4に示すROM164内の変換テーブルについて説明する。まず、図3のテーブルより、インク供給開口部の幅dと距離tから、図6に示すダブルパルスのプレパルスに相当するパルス幅P1が決定される。P1は、図6説明にあるように、発泡サイズを決定するパラメータである。例えば、図1のd1=66μmのインク供給開口部のノズル列の位置t1=35μmであったとき、駆動パルスP1=0.53μsとなる。
【0053】次に、図4のテーブルより、素子抵抗値Rlより、Ptotalが決定される。これにより図6に示すダブルパルスのメインパルスに相当するP3=Ptatal−P1より決定される。例えば、上記d1に相当するノズル列のRl=146Ωであるとき、Ptotal=2.00μsとなり、P3=1.47μsとなる。本例において、P2=0.7μsと固定されているため、以上の変換により、d1に相当するノズル列の駆動パルスは、P1=0.53μs、P2=0.7μs、P3=1.47μsと決定される。この駆動パルスは、図5に示すHEより供給されるパルス幅であり、図5の前述動作説明にあるように、画像データに従って、d1のノズル列は、このダブルパルスにより印字が実行される。
【0054】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、各ノズル列のインク供給開口部の設計値の違いや、製造バラツキを検知または認識し、大きさや位置を検知し、また各ノズル列における素子抵抗値を検知し、その出力に応じて、駆動パルス制御をすることにより、上記バラツキをもった複数ノズルを備えたヘッドにおいても、吐出速度、吐出量、安定性をより適正化することにができ、印字品位劣化、非効率など諸問題を解決することができる。
【0055】またパルス幅をそれぞれ制御することにより、高駆動周波数で、電圧降下による吐出量変動や不吐出といった問題なく、かつ高耐久性、高信頼性のインクジェット記録装置および記録方法を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
【出願日】 平成14年5月24日(2002.5.24)
【代理人】 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三 (外1名)
【公開番号】 特開2003−341061(P2003−341061A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−150905(P2002−150905)