トップ :: B 処理操作 運輸 :: B41 印刷;線画機;タイプライタ−;スタンプ




【発明の名称】 記録制御装置、インクジェット式記録装置
【発明者】 【氏名】横山 孝一郎
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】矢崎 平
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】柴垣 安孝
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】伊藤 圭吾
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】マージンゼロ印刷において無駄なインク消費量を減らすと共に、スループットを向上を図る。

【解決手段】マージン有り印刷におけるイメージ領域Aは、マージンゼロ印刷において領域A’まで拡大される。拡大後のイメージ領域A’が用紙Pの端部から外れる長さは、始端及び左右端においてはX(step)、終端ではX+X(step)となる。プリンタは、用紙Pの下端印刷処理において、プリンタドライバから指定された用紙サイズと、実際に検出した用紙サイズとを比較し、指定用紙サイズと実際の用紙サイズが一致した場合であって、且つ終端マージンゼロ印刷を行う場合には、印刷データにおいて位置Rから後のデータにマスク処理を行い、無駄なインクの消費を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向して設けられ、被記録材を下から支持して被記録材記録面と前記記録ヘッドとの距離を規定し、且つ、被記録材の終端から外れて打ち捨てられたインクを導く溝穴が形成されたプラテンと、前記記録ヘッドの上流側に配設され、前記記録ヘッドへ被記録材を搬送する搬送ローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設され、記録の行われた被記録材を排紙する排紙ローラと、搬送された被記録材の始端及び終端の通過を検出する被記録材通過検出手段と、を備え、記録データに従って記録が行われるべき記録領域において被記録材終端から外れる領域部分のインクを前記溝穴に打ち捨てることにより、被記録材終端マージンゼロの記録動作を実行可能に構成されたインクジェット式記録装置における記録制御装置であって、前記記録データにおいて指定された被記録材長さと、前記被記録材通過検出手段からの検出信号を基に算出した被記録材長さとの差が規定値内であって、且つ、被記録材終端マージンゼロの記録動作を実行する際には、前記記録データにおいて被記録材終端から所定長さ外れた部分より後のデータ部分に、マスク処理を行うことを特徴とする記録制御装置。
【請求項2】 請求項1において、前記所定長さが3mm以下に設定されたことを特徴とする記録制御装置。
【請求項3】 請求項1または2において、前記記録データにおいて指定された被記録材長さと、前記用紙通過検出手段からの検出信号を基に算出した被記録材長さとの差が規定値外である場合には、前記記録データにおいて被記録材終端に所定のマージンを設けた位置から後のデータ部分に、マスク処理を行うことを特徴とする記録制御装置。
【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項において、前記記録ヘッドを、ドット形成要素アレイの全ドット形成要素を駆動させて記録する標準インターレース記録と、一部のドット形成要素に限定して駆動させて記録する限定インターレース記録とを切り替えて駆動可能に構成されていると共に、被記録材終端が前記溝穴部分に位置するときに、前記限定インターレース記録を実行することを特徴とする記録制御装置。
【請求項5】 副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向して設けられ、被記録材を下から支持して被記録材記録面と前記記録ヘッドとの距離を規定し、且つ、被記録材の始端から外れて打ち捨てられたインクを導く溝穴が形成されたプラテンと、前記記録ヘッドの上流側に配設され、前記記録ヘッドへ被記録材を搬送する搬送ローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設され、記録の行われた被記録材を排紙する排紙ローラと、搬送された被記録材の始端の通過を検出する被記録材通過検出手段と、を備え、記録データに従って記録が行われるべき記録領域において被記録材始端から外れる領域部分のインクを前記溝穴に打ち捨てることにより、被記録材始端マージンゼロの記録動作を実行可能に構成されたインクジェット式記録装置における記録制御装置であって、被記録材始端マージンゼロの記録動作を実行する際には、前記記録データにおいて被記録材始端から所定長さ外れた部分より前のデータ部分に、マスク処理を行うことを特徴とする記録制御装置。
【請求項6】 請求項1から5のいずれか1項に記載の記録制御装置を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
【請求項7】 請求項7において、前記溝穴が、被記録材始端用部分と、被記録材終端用部分とに分離していることを特徴とするインクジェット式記録装置。
【請求項8】 請求項6または7において、前記溝穴にインク吸収体が設けられていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被記録材の終端部分或いは始端部分のマージンをゼロにする縁無し印刷を実行する機能を備えたインクジェット式記録装置における記録制御装置に関する。また、本発明は、該記録制御装置を備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)には、被記録材としての印刷用紙に余白無く印刷を行う縁無し印刷、即ちマージンゼロ印刷を実行可能なものがある。
【0003】マージンゼロ印刷を実行可能なプリンタにおいては、プラテンにインクを打ち捨てる溝穴が設けられている。そしてマージンゼロ印刷時には、印刷用紙の始端と終端とについては、始端或いは終端が前記溝穴部分に差し掛かった際に、始端及び終端から外れた領域にもインクを吐出する。また、印刷用紙の左右両側端についても同様に、記録ヘッドの主走査において左右側端から外れた領域にもインクを吐出する。
【0004】そして、用紙端から外れた領域に対して吐出されたインクは前記溝穴に打ち捨てられ、これによって余白がゼロとなるマージンゼロ印刷が実行されると共に、用紙端から外れた領域に対して吐出されたインクは前記溝穴の存在によってプラテン上面に付着せず、以て印刷用紙を汚すことなく、マージンゼロ印刷を実行することができる様になっている。
【0005】ところで、マージンゼロ印刷を実行する場合には、余白部分を設けて印刷を行う場合(以下これを「マージン有り印刷」と言う)と比して、印刷イメージ(印刷領域、即ちインク吐出領域)を、より一層拡大する必要がある。つまり、印刷イメージの大きさを、印刷用紙のサイズより大なるものとし、印刷用紙のサイズからはみ出た部分の領域を破棄する訳である。このとき、印刷用紙のサイズのばらつきや、印刷時の紙送り精度等を考慮して、所定の余裕を考慮して拡大するのが望ましい。
【0006】図12は、一例としてA4サイズの印刷用紙に印刷を行う場合における、マージン有り印刷とマージンゼロ印刷とを行う場合の、インク吐出領域の比較を行う為の説明図であり、(a)はマージン有り印刷の場合を、(b)はマージンゼロ印刷の場合を示している。また、図中、符号PはA4サイズの印刷用紙を示し、符号Aはマージン有り印刷を行う場合のインク吐出領域を、符号A’はマージンゼロ印刷を行う場合のインク吐出領域を示している。加えて、図12においては上方が用紙Pの始端であり、印刷時には、この始端から印刷が行われることになる。
【0007】図12(a)と(b)との比較から明らかな様に、マージンゼロ印刷を行う場合には、マージン有り印刷を行う場合よりもインク吐出領域を拡大する必要がある。そして、図12(b)に示す様に用紙端から外れた領域(以下これを「インク打ち捨て領域」と言う)においては、吐出されたインクは、プラテンに設けられた溝穴に打ち捨てられることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ここで、A4サイズの印刷用紙に合わせてインク吐出領域Aをインク吐出領域A’の様に拡大した場合、用紙の始端側においては、図12(b)に示す様にインク打ち捨て領域の幅を、用紙の側端側と同じXmmとすることができる。しかし、A4サイズの印刷用紙は上下左右対称形状ではない為、用紙の終端側においては図12(b)に示す様にインク打ち捨て領域の幅がXmm増え、X+X=Xmmとなる。従って用紙終端側においてはインク打ち捨て領域が増大し、これに伴ってインク打ち捨て量が増え、より一層インクを無駄に消費すると共に、スループットの低下を招くことにもなる。
【0009】そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その課題は、マージンゼロ印刷において無駄なインク消費量を減らすと共に、スループットを向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本願請求項1記載の記録制御装置は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向して設けられ、被記録材を下から支持して被記録材記録面と前記記録ヘッドとの距離を規定し、且つ、被記録材の終端から外れて打ち捨てられたインクを導く溝穴が形成されたプラテンと、前記記録ヘッドの上流側に配設され、前記記録ヘッドへ被記録材を搬送する搬送ローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設され、記録の行われた被記録材を排紙する排紙ローラと、搬送された被記録材の始端及び終端の通過を検出する被記録材通過検出手段と、を備え、記録データに従って記録が行われるべき記録領域において被記録材終端から外れる領域部分のインクを前記溝穴に打ち捨てることにより、被記録材終端マージンゼロの記録動作を実行可能に構成されたインクジェット式記録装置における記録制御装置であって、前記記録データにおいて指定された被記録材長さと、前記被記録材通過検出手段からの検出信号を基に算出した被記録材長さとの差が規定値内であって、且つ、被記録材終端マージンゼロの記録動作を実行する際には、前記記録データにおいて被記録材終端から所定長さ外れた部分より後のデータ部分に、マスク処理を行うことを特徴とする。
【0011】本願請求項1記載の発明によれば、被記録材終端マージンゼロ印刷において、記録データにおいて指定された被記録材長さ(以下「指定用紙サイズ」と言う)と、被記録材通過検出手段からの検出信号によって得られた実際の被記録材長さ(以下「実際の用紙サイズ」と言う)とを比較し、指定用紙サイズと実際の用紙サイズが予め定められた規定値内であて、且つ、被記録材終端マージンゼロ印刷を実行する場合には、記録データにおいて被記録材終端から所定長さ外れた部分より後のデータ部分にマスク処理を行うので、被記録材終端マージンゼロ印刷において余分なインク吐出動作を低減することができ、以て無駄なインク消費量を低減できると共に、印刷スループットを向上させることができる。ここで、「マスク処理」とは、インク吐出有りのデータをインク吐出無しのデータに置換する処理を言い、結果として、インクの吐出が行われなくなる様な処理を言う。
【0012】本願請求項2記載の記録制御装置は、請求項1において、前記所定長さが3mm以下に設定されたことを特徴とする。本願請求項2記載の発明によれば、記録データにおいて被記録材終端から3mm外れた部分ないしこれよりも被記録材終端に近い部分より後のデータ部分にマスク処理が行われるので、インク打ち捨て領域部分を最小限に抑えることができ、以てより一層無駄なインク消費量を低減することが可能となる。
【0013】本願請求項3記載の記録制御装置は、請求項1または2において、前記記録データにおいて指定された被記録材長さと、前記用紙通過検出手段からの検出信号を基に算出した被記録材長さとの差が規定値外である場合には、前記記録データにおいて被記録材終端に所定のマージンを設けた位置から後のデータ部分に、マスク処理を行うことを特徴とする。本願請求項3記載の発明によれば、記録制御装置は、指定用紙サイズが実際の用紙サイズと異なる場合には、前記記録データにおいて被記録材終端に所定のマージンを設けた位置、つまり被記録材終端から確実にはみ出さない位置から後のデータ部分にマスク処理を行うので、指定用紙サイズが実際の用紙サイズよりも長い様な場合に、被記録材が存在しない状態でインク吐出を行うことが無く、プラテンをインクによって汚すことによる被記録材汚れの問題を防止することができると共に、無駄なインク消費を防止することができる。
【0014】本願請求項4記載の記録制御装置は、請求項1から3のいずれか1項において、前記記録ヘッドを、ドット形成要素アレイの全ドット形成要素を駆動させて記録する標準インターレース記録と、一部のドット形成要素に限定して駆動させて記録する限定インターレース記録とを切り替えて駆動可能に構成されていると共に、被記録材終端が前記溝穴部分に位置するときに、前記限定インターレース記録を実行することを特徴とする。本願請求項4記載の発明によれば、被記録材終端マージンゼロ印刷を実行する際には前記限定インターレース記録を実行することで、被記録材終端から外れる領域を減少させ、以てより一層インクの節約を図ることができる。
【0015】本願請求項5記載の記録制御装置は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向して設けられ、被記録材を下から支持して被記録材記録面と前記記録ヘッドとの距離を規定し、且つ、被記録材の始端から外れて打ち捨てられたインクを導く溝穴が形成されたプラテンと、前記記録ヘッドの上流側に配設され、前記記録ヘッドへ被記録材を搬送する搬送ローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設され、記録の行われた被記録材を排紙する排紙ローラと、搬送された被記録材の始端の通過を検出する被記録材通過検出手段と、を備え、記録データに従って記録が行われるべき記録領域において被記録材始端から外れる領域部分のインクを前記溝穴に打ち捨てることにより、被記録材始端マージンゼロの記録動作を実行可能に構成されたインクジェット式記録装置における記録制御装置であって、被記録材始端マージンゼロの記録動作を実行する際には、前記記録データにおいて被記録材始端から所定量外れた部分より前のデータ部分に、マスク処理を行うことを特徴とする。
【0016】本願請求項5記載の発明によれば、被記録材始端マージンゼロ印刷における記録データにおいて、被記録材始端から所定長さ外れた部分より前のデータ部分に、前述した本願請求項1記載と同様にマスク処理を行うので、被記録材始端マージンゼロ印刷において余分なインク吐出動作を低減することができ、以て無駄なインク消費量を低減させることができると共に、印刷スループットを向上させることができる。
【0017】本願請求項6記載のインクジェット記録装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の記録制御装置を備えていることを特徴とする。本願請求項6記載の発明によれば、インクジェット記録装置は請求項1から5のいずれか1項に記載の記録制御装置を備えているので、前述した本願請求項1から5のいずれか1項に記載の発明と同様な作用効果を得ることができる。
【0018】本願請求項7記載のインクジェット式記録装置は、請求項6において、前記溝穴が、被記録材始端用部分と、被記録材終端用部分とに分離していることを特徴とする。本願請求項7記載の発明によれば、プラテンに設けられた溝穴が、被記録材始端用部分と、被記録材終端用部分とに分離しているので、紙送り方向寸法が大なる溝穴を一つ設ける様な場合に比して被記録材を下から支える部分を残すことができ、これによってより安定して被記録材を下から支持することができ、以て安定した記録品質を得ることができる。
【0019】本願請求項8記載のインクジェット式記録装置は、請求項6または7において、前記溝穴にインク吸収体が設けられていることを特徴とする。本願請求項8記載の発明によれば、プラテンに設けられた前記溝穴にはインク吸収体が設けられているので、打ち捨てられたインクが前記溝穴内で飛散せず、以て被記録材或いはインクジェット式記録装置の構成要素を汚損するといった不具合を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下では先ず、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の概略構成について図1を参照しつつ説明する。ここで、図1はプリンタ100の側断面概略図である。尚、以下では、図1の右側(プリンタ100の後方側)を「上流側」(用紙搬送経路の上流側)と言い、図1の左側(プリンタ100の前方側)を「下流側」(用紙搬送経路の下流側)と言うこととする。
【0021】プリンタ100は、上流側に給紙装置1を備え、該給紙装置1から用紙P(単票紙)を下流側へと1枚ずつ給送する。ここで、図1に示す様に給紙装置1は、給紙ローラ3と、ホッパ5と、分離パッド7とを備えている。
【0022】図示しない駆動モータによって回動駆動される給紙ローラ3は側面視略D形の形状をなし、ローラ本体3aと、該ローラ本体3aの外周部に巻回されるゴム材3bとから構成されている。給紙ローラ3は、その円弧部分によって用紙Pを給送する一方、平坦部分によって用紙Pを通過させて、下流側の搬送ローラ17による搬送動作時に搬送負荷を与えない様になっている。
【0023】ホッパ5は板状体からなり、図示する様に傾斜姿勢に設けられ、且つ、上部に設けられた回動軸5aを中心に図1の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられている。また、ホッパ5の背面側にはホッパばね8が設けられ、ホッパ5の下端部を給紙ローラ3に向けて付勢している。そしてこの様に構成されたホッパ5は、図示しないカム機構によって揺動駆動されることにより、下端部が給紙ローラ3に対して圧接及び離間動作する様になっている。従って、ホッパ5が給紙ローラ3に対して圧接方向に揺動すると、ホッパ5上に堆積された用紙Pの束は給紙ローラ3に圧接し、そして当該圧接状態で給紙ローラ3が回動することにより、堆積された用紙Pの最上位のものが下流側へと給送される。
【0024】分離パッド7は、高摩擦部材からなり、給紙ローラ3と対向する位置に設けられている。給紙ローラ3が回動すると、給紙ローラ3の円弧部分と分離パッド7とが圧接し、圧接部が形成される。給紙ローラ3の円弧部分によって繰り出された最上位の用紙Pは、前記圧接部を通過して下流側へと進むが、最上位の用紙Pにつられて下流側へと進もうとする次位以降の用紙Pは、前記圧接部により、下流側への進行が阻止され、これによって用紙Pの重送が防止される。
【0025】次に、給紙装置1の下流には板状体からなる紙案内15が略水平に設けられ、給紙ローラ3によって繰り出された用紙Pの先端が該紙案内15に斜めに当接し、滑らかに下流側に案内される。紙案内15から下流には回動駆動される搬送駆動ローラ17aと、該搬送駆動ローラ17aに圧接する搬送従動ローラ17bとからなる搬送ローラ17が設けられ、用紙Pは、当該搬送駆動ローラ17aと搬送従動ローラ17bとにニップされて、一定ピッチで下流側に搬送される。ここで、搬送従動ローラ17bは搬送従動ローラホルダ21の下流側に軸支されていて、当該搬送従動ローラホルダ21は、回動軸21aを中心に図1の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられ、且つ、図示しないねじりコイルばねによって搬送従動ローラ17bが常に搬送駆動ローラ17aに圧接する方向(図1の反時計方向)に回動付勢されている。尚、搬送駆動ローラ17aは、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に長い軸体からなり、搬送従動ローラ17bと搬送従動ローラホルダ21とは、共に搬送駆動ローラ17aの軸方向に複数配設されている(図示は省略)。
【0026】ここで、搬送駆動ローラ17aの軸端側には、搬送駆動ローラ17aの回動量及び回動速度を検出する為のローラタリエンコーダ18が設けられている。ロータリエンコーダ18は、搬送駆動ローラ17aの軸端に取り付けられ、搬送駆動ローラ17aと同期して回動する円盤状スケール18aと、プリンタ100の基体を構成する図示しないフレーム材に固設されるセンサ部18bとから構成されている。
【0027】円盤状スケール18aは、その外周部に光透過部(図示せず)と光遮断部(図示せず)とが円周方向に一定ピッチで交互に繰り返し形成されてなる回転検出用パターン(スリットパターン:図示せず)を有している。センサ部18bは、光を放射する発光部(図示せず)と、該発光部からの放射光を受光する受光部(図示せず)とから構成されていて、円盤状スケール18aの外周部に設けられた回転検出用パターンが、前記発光部と前記受光部との間に挟入する様に設けられている。そして、円盤状スケール18aが搬送駆動ローラ17aの回動に伴って回転すると、前記回転検出用パターンは、前記発光部から前記受光部に向かう光の透過と遮断とを繰り返し、センサ部18bは、ONとOFFとを交互に繰り返す矩形波の信号を後述する制御部50(図2)に送信する。従ってこれにより、制御部50は、この矩形波の個数から搬送駆動ローラ17aの回動量、即ち紙送り量を求めると同時に、矩形波の繰り返し周期から搬送駆動ローラ17aの回動速度、即ち紙送り速度を求め、必要な印刷制御を行う様になっている。
【0028】次に、最も0桁側(図1の紙面表側)に位置する搬送従動ローラホルダ21近傍には、用紙Pの通過を検出する「被記録材通過検出手段」として、センサ本体部19bと検出レバー19aとからなる紙検出器19が配設されている。検出レバー19aは側面視略「く」の字の形状をなし、その中央付近の回動軸19cを中心に図1の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられている。検出レバー19aの上方に位置するセンサ本体部19bは発光部(図示せず)及び該発光部からの光を受ける受光部(図示せず)を備え、検出レバー19aの回動軸19cから上側が、その回動動作により、前記発光部から前記受光部に向かう光の遮断及び通過を行う様になっている。
【0029】従って、図1に示す様に用紙P先端の通過に伴って検出レバー19aが上方に押し上げられる様に回動すると、検出レバー19aの上側がセンサ本体部19bから外れ、これによって前記受光部が受光状態となり、紙検出器19は、後述するプリンタ100の制御部50(図2)に受光状態への切り替わりを表す信号を送出する。そして、制御部50は、これによって用紙P始端の通過を知ることができる。また、用紙Pの終端が検出レバー19aの位置を通過すると、検出レバー19aは元の状態に復帰し、これによって前記受光部が非受光状態となり、紙検出器19は、制御部50に非受光状態への切り替わりを表す信号を送出する。そして、制御部50は、これによって用紙P終端の通過を知ることができると共に、前述した様にロータリエンコーダ18から送出される矩形波信号を監視することにより、用紙Pのサイズ(長さ)を知ることもできる様になっている。
【0030】続いて、搬送駆動ローラ17aの下流には、プラテン27及びインクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と言う)25が上下に対向する様に配設され、搬送ローラ17によってインクジェット記録ヘッド25の下へ搬送される用紙Pは、プラテン27によって下から支持される。インクジェット記録ヘッド25はインクカートリッジ24を搭載するキャリッジ23の底部に設けられ、該キャリッジ23は、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に延びるキャリッジガイド軸14によって主走査方向にガイドされながら、図示しない駆動モータの動力を受けて主走査方向に往復動する。尚、プラテン27にはインク打ち捨て用の溝穴が設けられているが、これについては後に詳述する。
【0031】次に、インクジェット記録ヘッド25から下流は排紙部となっていて、回動駆動される排紙駆動ローラ29aと、自由回動可能な排紙従動ローラ29bとからなる排紙ローラ29が設けられている。従ってインクジェット記録ヘッド25によって印刷の行われた用紙Pは、排紙駆動ローラ29aと排紙従動ローラ29bとによってニップされた状態で排紙駆動ローラ29aが回動することにより、矢印方向に排出される。尚、排紙駆動ローラ3aと、前述した給紙ローラ3と、搬送駆動ローラ17aとは、共通の駆動源として一つの紙送りモータ16(図2)を有し、図示しない歯車機構を介して同時に回動駆動可能に構成されている。
【0032】以上がプリンタ100の用紙搬送経路の構成であり、以下、図2を参照しつつ、プリンタ100の「記録制御装置」を構成する制御部50の構成について説明する。ここで、図2は、制御部50のブロック図である。制御部50は、中央処理部51と、印刷制御部52と、モータ駆動部53と、印字パターンデータ生成部54とを有し、プリンタ100に印刷情報を送信するホスト・コンピュータ200との間でデータの送受信が可能に構成され、ホスト・コンピュータ200から印刷データを受信し、該印刷データに従って印刷機構部150を駆動制御する。尚、制御部50は、図1を参照しつつ説明したキャリッジ23を駆動するキャリッジモータ(図示せず)用のモータ駆動部(図示せず)等の、図示しない他の構成要素を備えている。
【0033】中央処理部51は、図示しないCPU、RAM、PROM、EEPROM等によって構成され、印刷制御部52を制御する為の制御プログラム等が記憶され、そして該制御プログラムを実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行う。
【0034】印刷制御部52は印字位置演算部52a、パルスカウンタ52b、レジスタ52c及び、その他図示しない演算部、比較器等の要素を有している。印刷制御部52には、前述した紙検出器19からの検出信号と、ロータリエンコーダ18からの出力信号とが与えられ、パルスカウンタ52bはロータリエンコーダ18からの出力信号に基づいてパルス数をカウントする。印字位置演算部52aは、紙検出器19からの検出信号及び前記パルスカウンタ52bのパルスカウント値に基づいて用紙Pの現在位置を算出し、紙送りモータ16を制御するモータ駆動部53に必要な制御指令を出す。モータ駆動部53は印刷制御部52からの制御指令内容に基づいて紙送りモータ16の駆動電流を制御し、紙送りモータ16の駆動量、駆動速度、駆動タイミングを制御する。レジスタ52cは、ホスト・コンピュータ200上で稼働するプリンタドライバ200aから指定された印刷情報(用紙サイズ、上下左右端マージン量、印刷解像度)や、印字位置演算部52aによって算出された用紙Pの現在位置や、所定の位置から積算した紙送り量等のデータ読み出し及び書き込みに用いられる。
【0035】印字パターンデータ生成部54は、ホスト・コンピュータ200から受信した印刷データに基づいて印刷解像度や記録ヘッド25の駆動波形等を制御する。
【0036】以上が制御部50の構成であり、以下、図3乃至図7を参照しつつ、用紙Pへの始端及び終端マージンゼロ印刷について詳説する。ここで、図3及び図5は図1における記録ヘッド25付近の拡大図、図4及び図6はプラテン27付近の平面図、図7は標準インターレース記録と限定インターレース記録によるドットの記録の様子を示す説明図である。
【0037】先ず、図3及び図4に示す様にプラテン27には、主走査方向(図3の紙面表裏方向、図4の左右方向)に延びるような2つの溝穴27a及び該溝穴27aから下流側に溝穴27bが形成されていて、また、用紙Pの両側端に位置する部分には、平面視において方形の溝穴27c及び27dが形成されている。ここで、溝穴27aは用紙Pの終端から外れたインクを打ち捨てる為の溝穴であり、溝穴27bは用紙Pの始端から外れたインクを打ち捨てる為の溝穴である。また、溝穴27c及び27は、用紙Pの左右端から外れたインクを打ち捨てる為の溝穴である。尚、溝穴27dは、用紙Pの規格(A4、B5、はがきetc)に合わせて、プラテン27において紙幅方向に局在する様に複数設けられるものである。
【0038】具体的には、図3及び図4に示す様に、用紙P始端の印刷においては、用紙Pの始端が搬送方向下流側に位置する溝穴27bの上部にさしかかったとき、記録ヘッド25を構成するノズルアレイ26の一部26bのみを駆動して、用紙Pにインクを吐出する。これにより、用紙P始端から外れた部分に吐出されたインクが溝穴27bに打ち捨てられ、従ってプラテン27の上面がインクで汚損されること無く用紙Pの始端マージンゼロ印刷が実行できる。用紙Pの左右両側端部分についても同様に、用紙Pの左右両側端から外れた部分に吐出されたインクが溝穴27c及び27dに打ち捨てられ、従ってプラテン27の上面が汚損されること無く用紙Pの左右端マージンゼロの印刷が実行できる。そして、用紙Pの終端においても同様に、図5及び図6に示す様に、用紙P終端が搬送方向上流側に位置する溝穴27aの上部にさしかかったとき、ノズルアレイ26の一部26aのみを駆動して、用紙Pにインクを吐出する。これにより、用紙P終端から外れた部分に吐出されたインクが溝穴27a内に打ち捨てられ、従ってプラテン面がインクで汚損されること無く用紙Pの終端マージンゼロ印刷が実行できる。
【0039】続いて、図7に基づいて、ノズルアレイ26の全ドット形成要素を駆動して記録を行う標準インターレース記録及び、一部のドット形成要素に限定して駆動し、記録を行う限定インターレース記録について説明する。本実施形態に係る記録ヘッド25は、制御部50により、前記標準インターレース記録と前記限定インターレース記録とを切り替えて実行可能となっている。制御部50は、用紙Pの始端が溝穴27bの部分に位置するとき及び終端が溝穴27aの部分に位置するときに、前記限定インターレース記録を実行することにより、始端及び終端における無駄なインクの吐出動作を低減する。尚、図7及び以下では、一例として用紙Pの終端が溝穴27aの部分に位置するときの限定インターレース記録について説明する。
【0040】図7は、各主走査時のノズルの副走査方向の位置を表した図である。図7の上下方向が副走査方向(紙送り方向)に相当する。図の頬雑さを避けるため、ノズル位置を主走査ごとに順次右にずらして示した。また、理解の容易の為にノズルアレイ26とプラテン27に設けられる溝穴27aとの位置関係を、「プラテン穴範囲」で併記した。図7において、P1,P2…は1回目、2回目…の主走査を意味している。丸囲みの数字は、各走査におけるノズルの副走査方向の位置を示している。また、太線で丸囲みしてある数字は、その位置でドットが形成されることを意味しており、細い線で丸囲みしてある数字はノズルが位置するものの、ドットは形成されないことを意味している。図7の左側に示した値は各ラスタに便宜上付したラスタ番号RNであり、後述する通り、この記録方法によって副走査における紙送り精度を保証しつつ画像が記録される最も下方のラスタをラスタ番号0(RN=0)とし、それよりも下方のラスタを正の数字で、上方のラスタを負の数字で表している。「L=」の形で表した数字は、各副走査における紙送り量をラスタ数で表したものである。
【0041】標準印刷処理ルーチンが開始されると、ドット形成データを設定され、主走査を行いつつドットを形成する。図7の例では、ノズルピッチは4ラスタ分であるから、ドット形成用のデータは、先に入力した画像データの先頭から4ラスタおきに主走査方向に順にデータを抽出したものとなる。図7中の主走査P1では、ラスター番号−28より上方の領域(RN≦−28なる領域)で、4ラスタおきにドットが形成される。
【0042】次に、搬送駆動ローラ17aが駆動制御されて、副走査が行われる。図7の例では、7ラスタに相当する紙送りが実行され、記録ヘッド25の位置は図7中のP2まで相対移動する。この送り量は、インターレース方式によりラスタの抜けが生じることなく画像を記録することができる種々の送り量のうち、ノズルを最も有効に用いることができる送り量に設定してある。送り量はノズルピッチ、ノズル個数およびスキャン繰り返し数に応じて定めることができるが、その設定方法は周知であるため説明を省略する。
【0043】副走査を行った後、主走査P2で示した位置、即ちラスタ番号−20より上方の領域にドットを形成する。この処理の繰り返しにより、ラスタを間欠的に形成しつつ、画像を記録することができる、例えば、図7から明らかな通り、主走査P4までが実行されると、ラスタ番号−34から−25の領域では画像が完成していることが分かる。以下、画像の形成が終了するまで、この処理を繰り返し実行して、画像を形成する。但し、本実施例では、後述する通り、標準印刷処理の後に、別の印刷モードによる印刷を実行するため、ここでいう画像の形成が終了とは、入力された画像データ全体の印刷の終了ではなく、標準印刷処理ルーチンによる画像の形成の終了を意味している。
【0044】標準印刷処理による画像の形成が終了した後、中間処理による画像の印刷が実行される。中間処理におけるドット形成の流れ自体は、標準印刷処理ルーチンと同様である。中間処理では、副走査における紙送り量が標準印刷における紙送り量と相違する。
【0045】中間処理においては、標準処理における7ラスタ相当の紙送り量とは異なり、まず4ラスタ相当の紙送りを実行し、ラスタを形成する(図7の主走査P5)。この4ラスタの意味については後述する。次に、3ラスタの紙送りを行いつつ、ラスタを形成する(図7の主走査P6〜P8)。この際、例えば主走査P7における1番ノズルのように、既に形成されたラスタ位置にノズルが重複して存在する場合もあるため、かかるノズルはドットの形成データをマスクし、ドットの形成が行われないようにされる。なお、図7の主走査P8の位置が、精度を保証しつつ紙送りをすることができる限界位置である。つまり、このとき用紙4の下端は、搬送駆動ローラ17aから外れる直前の状態にあることになる。
【0046】中間処理における送り量の設定について説明する。本実施例の中間処理においては、4ラスタの過渡的な送り量に続いて3ラスタの一定の送り量による紙送りが行われている。この一定の送り量は、4ラスタ分のノズルピッチからなる3つのノズルが備えられている場合のインターレース方式の送り量に相当する。また、中間処理の最初に実行した4ラスタ分の過渡的な送りも、ラスタの抜けが生じないように設定されるものである。過渡的な送り量は、標準処理における送り量等のパラメータと中間処理における送り量等のパラメータ双方に基づいて定まるものでる。このように中間処理において使用ノズル数を見かけ上減らしたインターレース記録を実行するのは、かかる記録方式を採用することにより、紙送り精度を保証した状態で画像を記録することができる領域を拡張することができるからである。
【0047】拡張印刷領域では各3ラスタの送りによる副走査を行いつつ、ドットを記録している。このように設定したとき、インターレース方式による記録をするための送り量はさらに減少し、3ラスタ分となる。このように設定した後、使用ノズルの設定が行われ、使用しないノズルについてはデータマスク処理を行う。データマスク処理とはドットが形成されないようにする処理をいう。
【0048】次に、拡張印刷処理が実行される。中間処理では、副走査における紙送り量が標準印刷における紙送り量と相違する。先に説明した通り、拡張印刷処理においては、3ラスタ分の送り量によるインターレース方式でドットを形成する。このとき、ラスタ番号0よりも上方の領域(RN≦0なる領域)では既に画像が形成されているため、かかる領域に存在するノズルはドットを形成しない。
【0049】以上で説明したように、標準印刷を行う領域においては、インターレース方式により高画質な画像を得ることができる。また、中間処理を採用することにより、紙送りの精度を保証しつつ画像を形成することができる領域を拡張することができる。このように拡張された領域においてもインターレース方式による画像の記録が行われているため、高画質な画像を得ることができる。画像を記録することができる領域は、されに拡張印刷を実行することにより下方に拡張することができる。
【0050】図7に基づいて説明した全ノズル駆動の標準インターレース記録および使用ノズルを限定した拡張処理即ち限定インターレース記録は、特開平11−291506号公報に記載されている公知の手法である。以上、用紙Pへの終端マージンゼロ印刷を、限定インターレース記録により実行する例を説明したが、このように用紙Pの終端或いは始端のマージンゼロ印刷において限定インターレース記録を実行することで、溝穴27a(27b)に打ち捨てるインクの量を減らすことが可能となる。
【0051】続いて、図8乃至図11を参照しつつ、用紙終端部分における印刷データのマスク処理について説明する。ここで、図8は用紙Pに上下左右端マージンゼロ印刷を行う際の、イメージ領域のサイズと用紙サイズとの関係を示す説明図であり、図9は紙検出器19を用紙P終端が通過する際の様子を示す説明図であり、図10及び図11は制御部50が実行する用紙終端印刷処理のフローチャートである。
【0052】図8において、用紙Pは一例としてA4サイズの用紙(単票紙)であるとする。領域Aは通常の印刷、即ち上下左右端にマージンを設けて印刷する場合のイメージ領域を示し、領域A’は、上下左右端マージンゼロ印刷を行う場合のイメージ領域を示している。領域A’は、用紙Pのサイズよりも大なるサイズとなり、従って用紙Pの上下左右端から外れる領域(以下これを「はみ出し領域」と言う)が、インクが打ち捨てられる領域となる。
【0053】今、領域A’で示す如く、上下左右端マージンゼロ印刷を行うものとすると、当該領域A’は領域Aを上下左右方向に等しい倍率で拡大したものであるから、領域A’において始端側及び終端側のはみ出し領域長と、用右端側及び左端側のはみ出し領域長は異なるものとなる。図8は、始端から外れる長さと、右端及び左端から外れる長さとがX(step)であり、終端から外れる長さがX+X(step)であることを示している。尚、以下では、上記の様に長さの単位を、図1に示したロータリエンコーダ18のステップ数で表すこととする。
【0054】X(step)は、用紙Pのサイズのばらつきや、用紙Pの給紙時及び搬送時の桁方向位置ばらつき、紙検出器19(図2)の検出精度や紙送り精度等によって定まる頭出し位置ばらつき等を考慮して決定されるものであり、本実施形態では、約2.5mmの長さに相当するステップ数が設定されている。
【0055】そしてこの様に用紙Pの始端側において左右端側と同じX(step)のはみ出し領域長を設定すると、終端側は、始端側よりもX(step)だけはみ出し領域長が長くなる。従ってこの様にはみ出し領域長が長くなると、打ち捨てられるインク量も増大し、無駄なインクを消費すると共に、スループットも低下することになる。そこで、制御部50は、印刷データにおいて、終端側の印刷において一点鎖線Rで示す部分から後のデータ部分にマスク処理を行い、無駄なインク消費を防止すると共に、スループットの向上を図っている。
【0056】以下、図9乃至図11を参照しつつ、また適宜図2をも参照しながら、制御部50が実行する用紙終端印刷処理フロー300について説明する。今、図10においてキャリッジ主走査(ステップS301)と紙送りモータN(step)正転(ステップS302)とが交互に繰り返し実行されて、用紙Pへのドット形成が行われている。ここで、N(step)は、印刷データに基づいてその都度決定される変数であり、次の主走査を行う為の紙送り量である。そして、制御部50はドット形成を続ける最中において紙検出器19(図2)からの検出信号によって”用紙無し”状態を検知すると(ステップS303の肯定枝)、プリンタドライバ200a(図2)から指定された用紙のサイズ(以下「指定用紙サイズ」と言う)と、実際の用紙サイズとが一致したか否かを判定する(ステップS304)。
【0057】ここで、制御部50は、パルスカウンタ52b(図2)により、紙検出器19からの検出信号によって”用紙有り”状態を検知してから、”用紙無し”状態を検知するまでのロータリエンコーダ18(図2)のステップ数をカウントし、これによって用紙Pの実際のサイズを検知する。そして、実際の用紙サイズが指定用紙サイズと一致した場合には(ステップS304の肯定枝)、レジスタ52c(図2)に”用紙サイズ一致”を記憶し(ステップS305)、一致しない場合には(ステップS304の否定枝)、レジスタ52cに”用紙サイズ不一致”を記憶する(ステップS306)。
【0058】尚、ステップS304における用紙サイズの一致・不一致の判定には、所定のマージン(規格値)を設けている。つまり、実際の用紙サイズが、指定用紙サイズ±α(step)(αは予め定められる規格値)以内である場合に、”用紙サイズ一致”と判断する。これは、用紙サイズのばらつき、用紙の斜行(スキュー)、紙検出器19の検出精度等を考慮したものであり、本実施形態では、3mmの長さに相当するステップ数を設定している。
【0059】次に、制御部50はパルスカウンタ52cを用いて紙送り量をカウントする為の紙送りカウンタ(F)をゼロリセットし(ステップS307)、紙送りカウンタ(F)のカウントを開始する。
【0060】ここで、用紙Pの状態は、図9(b)に示す様な状態、即ち用紙Pの終端が検出レバー19aを通過し、検出レバー19aが復帰方向に回転した瞬間の状態を示している。図9(b)に示す状態に至る過程は、先ず、図9(a)に示す様に用紙Pの終端が紙検出器19の検出レバー19aを通過せず、紙検出器19が”用紙有り”状態を検出した状態となっていて、当該状態から用紙PがN(step)紙送りされる途中で、用紙Pの終端が検出レバー19aを通過し、紙検出器19が”用紙無し”状態を検出する。N(step)の紙送りを開始してから紙検出器19が”用紙無し”状態を検出するまでの紙送り量をN(step)とすると、残りの紙送り量Nは、N−N(step)となり(ステップS308)、従って制御部50は紙送りモータをN(step)正転させて残りの紙送り動作を実行する(ステップS309)。
【0061】続いて図11に移り、紙送りモータをN(step)正転させた状態で印刷データが残っていない場合(印刷終了の場合:ステップS310の肯定枝)には、用紙排出動作を行って(ステップS320)終了し、印刷データが残っている場合には、次のキャリッジ主走査を実行する(ステップS310の否定枝、ステップS311)。
【0062】次に、実際の用紙サイズが指定用紙サイズと一致しない場合(ステップS312の否定枝)、次の紙送り量N(step)と、”用紙無し”状態を検出した後の総紙送り量F(step)との和がX(step)より大なる場合には(ステップS313の肯定枝)、残りの印刷データにマスク処理を行い(ステップS319)、用紙排出動作を行う(ステップS320)。
【0063】ここで、X(step)は、図8に示す様に紙検出器19が”用紙無し”状態を検出した時のドット形成位置(以下これを「基準位置」と言う)から、用紙Pの終端からマージンX(step)を考慮した位置までの距離であり、符号Qで示す一点鎖線が、”用紙無し”状態を検出した時のドット形成位置、即ち基準位置である。また、図8においてX(step)は前記基準位置から用紙Pの終端までの距離であり、X(step)は、前記基準位置から、用紙Pの終端からX(step)だけ外れた位置(符号Rで示す一点鎖線)までの距離、即ち、始端及び左右端におけるはみ出し領域長と同じ長さとなる位置までの距離を示している。
【0064】そして、上記X(step)は、”用紙無し”状態を検知した時のノズルアレイ26におけるノズル位置と、検出レバー19aとの距離であるから、制御部50は、実際に搬送されている用紙Pのサイズが指定用紙サイズと一致しているか否かに関わらず、”用紙無し”状態を検知した時点からどれだけの量紙送りを行えば、図8に示す所定の位置(基準位置QからX(step)の位置、基準位置QからX(step)の位置(用紙終端)、基準位置QからX(step)の位置(一点鎖線R))が記録ヘッド25の下に搬送されるかを知ることが可能となる。
【0065】そこで、用紙Pの実際の用紙サイズが指定用紙サイズと不一致である場合に、次のN(step)の紙送り動作を行うと、次のドット形成位置が用紙Pの終端からマージンX(step)を考慮した位置(基準位置Qから距離X(step)の位置)よりも下になる場合には、残りの印刷データにマスク処理を行う(ステップS319)。従ってこれにより、用紙Pがプラテン27上に存在しない場合でもプラテン27にインクを吐出し、そしてプラテン27を汚損することによって次に搬送される用紙Pを汚損するといった不具合を防止することができる。尚、上述の場合において用紙Pの終端からマージンX(step)を考慮するのは、この様にマージンを設けることによって確実に用紙終端からのインクの打ち捨てを防止し、確実にプラテン27を汚損させない様にする為である。
【0066】尚、ステップS319におけるデータマスク処理とは、前述の様にドットが形成されないようにする処理をいい、この様にマスク処理が行われることにより、インク吐出が行われず、はみ出し領域においては無駄なインクの消費を防止することができる。
【0067】次に、ステップS312に戻り、実際の用紙サイズが指定用紙サイズと一致した場合(ステップS312の肯定枝)、レジスタ52c(図2)に記憶されている印刷モード(プリンタドライバ200a(図2)によって指定された印刷モード)が終端マージンゼロ印刷モードであるか否かを判定し(ステップS314)、終端マージンゼロ印刷モードで無い場合には(ステップS314の否定枝)、プリンタドライバ200aから指定された印刷条件に従って残りの印刷を実行する。
【0068】具体的には、ステップS316において、次のN(step)の紙送り動作を行った場合、ドット形成位置が用紙Pの終端から外れるか否かを判定し、即ち、次のドット形成位置が、基準位置QからX(step)の位置を超えるか否かを判定し、超える場合(ステップS316の肯定枝)には、残りの印刷データにマスク処理を行い(ステップS319)、用紙排出動作を行う(ステップS320)。
【0069】尚、実際には、上述の場合において搬送されている用紙のサイズは指定用紙サイズと一致し且つ終端マージン有りの印刷を行っているので、この様に残りの印刷データにマスク処理を行う必要がある場合とは、何らかのエラー(例えば、印刷途中でユーザが用紙Pを引き出した様な場合)が発生した結果、残りの印刷データに対して残りの用紙長が不足した様な場合である。この様に通常の終端マージン有り印刷においても、用紙終端位置とドット形成位置との関係を管理することにより、確実にプラテン27の汚損を防止することができる。
【0070】一方、次のN(step)の紙送り動作を行った場合、ドット形成位置が用紙Pの終端から外れない場合には(ステップS316の否定枝)、次のN(step)の紙送り動作を行い(ステップS317)、紙送りカウンタFにN(step)を加え(ステップS318)、印刷処理を継続する。
【0071】続いて、ステップS314に戻り、印刷モードが終端マージンゼロ印刷モードである場合には(ステップS314の肯定枝)、ステップS315において、次のN(step)の紙送り動作を行った場合、次のドット形成位置が用紙Pの終端からX(step)の距離から外れるか否か、即ち、次のドット形成位置が、基準位置QからX(step)の位置を超えるか否かを判定し、超える場合(ステップS315の肯定枝)には、残りの印刷データにマスク処理を行い(ステップS319)、用紙排出動作を行う(ステップS320)。
【0072】一方、次のN(step)の紙送り動作を行った場合、次のドット形成位置が基準位置Qから距離X(step)の位置を越えない場合には(ステップS315の否定枝)、次のN(step)の紙送り動作を行い(ステップS317)、紙送りカウンタFにN(step)を加え(ステップS318)、印刷処理を継続する。
【0073】以上の様に、用紙終端部分の印刷処理において、実際の用紙サイズが指定用紙サイズに対して予め定められた規定値内(本実施形態では、3mm)であるか否かを判断し、その結果実際の用紙サイズが指定用紙サイズに対して規格値内であって、且つ、終端マージンゼロ印刷を実行する場合に、印刷データにおいて用紙終端から所定長さ外れた部分(図8における一点鎖線Rの位置)より後のデータ部分(図8におけるX(step)の領域部分に相当する印刷データ)にマスク処理を行う。従って、用紙終端マージンゼロ印刷において余分なインク吐出動作を低減することができ、以てインクの節約を図ることができると共に、印刷スループットを向上させることができる。
【0074】尚、本実施形態では基準位置Qから距離X(step)の位置より後のデータ部分、つまり、本来ならばインク吐出を行うデータ部分を、インク吐出を行わないデータに置換して、以て無駄なインクの吐出を防止しているが、前記データ部分を全て破棄することによっても同様な作用効果が得られることは言うまでも無い。つまり、結果としてインク吐出が行われなくなれば良い。
【0075】この様に、本発明ではホスト・コンピュータ200の側では通常のデータ処理を行い、プリンタ100の側において、無駄なインク吐出を防止するマスク処理を行うので、ホスト・コンピュータ200の側におけるプリンタ・ドライバ200aにおいて複雑な処理を行う必要が無いという作用効果を得ることもできる。
【0076】加えて、本実施形態においては用紙終端における印刷処理について説明したが、用紙始端における印刷処理にも適用可能であることも言うまでも無い。例えば、図8では、終端部分にX(step)部分の余分な領域を設定し、当該領域に相当する印刷データ部分にマスク処理を行っているが、X(step)部分の領域を2分し、始端側と終端側とで均等に配置するとともに、始端側と終端側との双方でデータマスク処理を行うこともできる。この場合は、用紙Pにおけるドット形成領域がイメージ領域A’の中央に配置され、即ちセンタリング効果が得られて、より好ましい印刷結果を得ることができる。
【0077】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、被記録材終端マージンゼロ印刷(被記録材終端の縁無し印刷)において、記録データにおいて指定された被記録材長さ(指定用紙サイズ)と、被記録材通過検出手段からの検出信号によって得られた実際の被記録材長さ(実際の用紙サイズ)とを比較し、指定用紙サイズと実際の用紙サイズが予め定められた規定値内であて、且つ、被記録材終端マージンゼロ印刷を実行する場合には、被記録材終端から所定長さ外れた部分より後のデータ部分にマスク処理を行うので、被記録材終端マージンゼロ印刷において余分なインク吐出動作を低減することができ、以てインクの節約を図ることができると共に、印刷スループットを向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成14年5月16日(2002.5.16)
【代理人】 【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
【公開番号】 特開2003−326798(P2003−326798A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−141217(P2002−141217)